特許第6208980号(P6208980)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6208980
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】半導体モジュール及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/28 20060101AFI20170925BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20170925BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   H01L23/28 K
   H01L25/04 C
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-105915(P2013-105915)
(22)【出願日】2013年5月20日
(65)【公開番号】特開2014-229649(P2014-229649A)
(43)【公開日】2014年12月8日
【審査請求日】2015年9月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004765
【氏名又は名称】カルソニックカンセイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 豊
【審査官】 ▲吉▼澤 雅博
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−260148(JP,A)
【文献】 特開平11−087567(JP,A)
【文献】 特開昭63−028052(JP,A)
【文献】 特開2000−012576(JP,A)
【文献】 特開昭60−216571(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/28
H01L 25/07
H01L 25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックス基板(11)の上下両側に金属層(13,15)を備え、上部の前記金属層(13)の上に半導体素子(23)が実装された半導体モジュール本体(25)を、ケース(7)内に配置し、前記半導体モジュール本体(25)を樹脂(41)でポッティングして封止する構造の半導体モジュール(1)であって、
前記セラミックス基板(11)は、周縁が前記金属層(13,15)から突出する保持部(11a)を備え、
前記ケース(7)の側壁(5,31)は、上下方向に延びる通気孔(39)を複数備え、
前記側壁(5,31)の下部に、前記通気孔(39)の下部と前記ケース(7)内の底部とを連通する連通部(39b)が設けられ、
前記連通部(39b)は、前記保持部(11a)に近接する位置に形成され
前記連通部(39b)は、前記複数の通気孔(39)の下部相互を連通し、前記ケース(7)内の底部に開口して前記側壁(5,31)の全周にわたり連続して形成されていることを特徴とする半導体モジュール。
【請求項2】
前記連通部(39b)は、前記保持部(11a)よりも下方に位置していることを特徴とする請求項1に記載の半導体モジュール。
【請求項3】
前記連通部(39b)は、複数の通気孔(39)の下部相互を連通する連通路(39b2)と、この連通路(39b2)より下方に位置して前記ケース(7)内の底部に開口する開口部(39b1)と、を有することを特徴とする請求項1または2に記載の半導体モジュール。
【請求項4】
前記側壁(5,31)が下方に突出する突起(39c)を備えることで、前記開口部(39b1)が前記連通路(39b2)より下方に位置することを特徴とする請求項に記載の半導体モジュール。
【請求項5】
前記連通路(39b2)内の上壁の下面(39b3)は、前記側壁(5,31)の周方向に沿って互いに隣接する前記通気孔(39)相互間の位置(S)に対し、前記通気孔(39)側が上方となるよう傾斜していることを特徴とする請求項またはに記載の半導体モジュール。
【請求項6】
セラミックス基板(11)の上下両側に金属層(13,15)を備え、上部の前記金属層(13)の上に半導体素子(23)が実装された半導体モジュール本体(25)を、ケース(7)内に配置し、前記半導体モジュール本体(25)を樹脂(41)でポッティングして封止する半導体モジュール(1)の製造方法であって、
前記セラミックス基板(11)は、周縁が前記金属層(13,15)から突出する保持部(11a)を備え、
前記ケース(7)の側壁(5,31)に設けられた上下方向に延びる複数の通気孔(39)の下部相互を連通し、前記通気孔(39)の下部と前記ケース(7)内の底部とを連通する連通部(39b)が、前記ケース(7)内の底部の前記保持部(11a)に近接する位置の前記側壁(5,31)の下部に設けられ、前記連通部(39b)は、前記ケース(7)内の底部に開口して前記側壁(5,31)の全周にわたり連続して形成され、
前記ケース(7)の側壁(5,31)の内側の前記半導体モジュール本体(25)が配置されている領域(9)に前記樹脂(41)を注入する際に、前記連通部(39b)及び前記通気孔(39)を通して前記ケース(7)の側壁(5,31)の内側の領域(9)内の空気を外部に逃がすことを特徴とする半導体モジュールの製造方法。
【請求項7】
セラミックス基板(11)の上下両側に金属層(13,15)を備え、上部の前記金属層(13)の上に半導体素子(23)が実装された半導体モジュール本体(25)を、ケース(7)内に配置し、前記半導体モジュール本体(25)を樹脂(41)でポッティングして封止する半導体モジュール(1)の製造方法であって、
前記セラミックス基板(11)は、周縁が前記金属層(13,15)から突出する保持部(11a)を備え、
前記ケース(7)の側壁(5,31)の内側の前記半導体モジュール本体(25)が配置されている領域(9)に前記樹脂(41)を注入する際に、前記ケース(7)の側壁(5,31)に設けた通気孔(39)の外部から空気を吸引することで、前記ケース(7)内の底部の前記保持部(11a)に近接する位置の前記側壁(5,31)の下部に設けた連通部(39b)及び前記通気孔(39)を通して前記ケース(7)の側壁(5,31)の内側の領域(9)内の空気を外部に逃がすことを特徴とする半導体モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケース内に配置した半導体素子を樹脂でポッティングして封止した半導体モジュール及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、放熱用のベース基板上に、半導体素子を搭載した金属層を有するセラミックス基板を配置し、ケース側壁で囲んだ内側のセラミックス基板及び半導体素子をエポキシ樹脂でポッティングして封止した半導体モジュールが知られている(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−179732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記ポッティング用の樹脂は粘度が比較的高く、このためケース内の下部に、樹脂によって空気が閉じ込められた状態となる気泡が発生しやすく、改善が望まれている。
【0005】
そこで、本発明は、半導体素子を樹脂でポッティングする際に気泡の発生を抑制することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、セラミックス基板の上下両側に金属層を備え、上部の前記金属層の上に半導体素子が実装された半導体モジュール本体を、ケース内に配置し、前記半導体モジュール本体を樹脂でポッティングして封止する構造の半導体モジュールであって、前記セラミックス基板は、周縁が前記金属層から突出する保持部を備え、前記ケースの側壁は、上下方向に延びる通気孔を複数備え、前記側壁の下部に、前記通気孔の下部と前記ケース内の底部とを連通する連通部が設けられ、前記連通部は、前記保持部に近接する位置に形成され、前記連通部は、前記複数の通気孔の下部相互を連通し、前記ケース内の底部に開口して前記側壁の全周にわたり連続して形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、半導体素子を樹脂でポッティングする際に、注入する樹脂によって下部に押し込められる空気は、通気孔を通して外部に放出されるので、樹脂で閉じ込められた状態の気泡の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の一実施形態に係わるパワー半導体モジュールの断面図である。
図2図2は、図1のパワー半導体モジュールにおけるケースの側壁の一部を示す平面図である。
図3図3図2のC−C断面図である。
図4図4は、より具体化したケースの形状を示す、図2に対応する平面図である。
図5図5図4のD−D断面図である。
図6図6図4のE−E断面図である。
図7図7(a)は図4のF−F断面図、図7(b)は図7(a)の変形例を示す断面図である。
図8図8は、図1のパワー半導体モジュールにおけるケース内の領域にエポキシ樹脂をポッティングした状態を示す断面図である。
図9図9図1に対する比較例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係わる半導体モジュールとしてのパワー半導体モジュール1の断面図で、このパワー半導体モジュール1は、アルミニウム合金などの金属で構成される放熱用のベース板3を備え、ベース板3内には冷却水が流れる冷却水通路3aを設けている。ベース板3は、平面視で矩形状であり、そのベース板3の外周側上面には、周壁5が設けられ、これらベース板3及び周壁5はケース7を構成している。
【0011】
ベース板3上の周壁5で囲まれた内側の領域9には、セラミックス基板11の上下両側に、銅などからなる金属層13,15を設けた複合基板である台座17を、絶縁層19を介して配置している。そして、上部の金属層13上にはハンダ21を介してパワー半導体素子23を実装している。上記した台座17やその上部のパワー半導体素子23を含めて半導体モジュール本体25を構成している。
【0012】
図2は、ケース7の周壁5の一部を示す平面図で、ケース7の全体の形状は図2中で上下方向に長い長方形状であり、その長手方向(図2中で上下方向)に沿って3相(U相、V相、W相)分の前記した領域9が形成される。なお、図2では、該領域9内に配置する半導体モジュール本体25を省略している。
【0013】
ケース7の周壁5は、図2中で上下方向に長い長方形状における左右一対の長辺部27と、図2中で上下両側に位置する一対の短辺部29(図2中で下部側は省略されている)と、を備えている。また、3相(U相、V相、W相)分の各領域9は、短辺部29と平行な隔壁部31によって仕切られている。上記した周壁5(長辺部27、短辺部29)及び隔壁部31は、ケース7の側壁を構成している。
【0014】
図2中で右側の一方の長辺部27の上面には、図示しない外部バスバーと接続する電源用端子33,35がU、V、Wの各相毎に設けられている。図2中で左側の他方の長辺部27の上面には、図示しない他の外部バスバーと接続するU、V、W端子37が各相毎にそれぞれ設けられている。これらの各端子33,35,37に電気的に接続する図示しないインサートナットが長辺部27内に埋設されている。このインサートナットと台座17側との電気的な接続構造は省略している。
【0015】
そして、本実施形態では、周壁5内に上下方向に貫通するようにして延びる通気孔39を形成している。ここでの通気孔39は、図2に示すように、U、V、Wの各1相分に対応する周壁5の一対の長辺部27にそれぞれ2箇所、周壁5の短辺部29には3箇所設けている。図2では、通気孔39を隔壁部31に設けていないが、隔壁部31に設けることもできる。なお、図1の周壁5の左右の長辺部27の断面構造は、図1中で左側が図2のA−A断面図に対応し、図1中で右側が図2のB−B断面図に対応している。
【0016】
通気孔39は、図1に示すように、周壁5の上面に空気放出口となる開口39aを備え、下部はケース7内の領域9の底部に、連通部39bを介して連通している。連通部39bは、複数の通気孔39の下部相互を連通し、周壁5(長辺部27、短辺部29)及び隔壁部31の内周側の全周にわたり連続して形成されている。
【0017】
連通部39bは、図2のB−B線に対応する断面構造(図1の右側の長辺部27)で示すように、ケース7内の領域9に直接連通して開口する開口部39b1と、開口部39b1の領域9と反対側位置にて開口部39b1よりも上方に位置する連通路39b2とを備えている。連通路39b2は、互いに隣接する通気孔39の下部相互を連通している。このような開口部39b1及び連通路39b2は、周壁5の領域9側の部分を下方に突出させる突起39cを設けることで形成することができる。突起39cは、周壁5(長辺部27、短辺部29)及び隔壁部31の内周側の全周にわたり連続して設けてある。すなわち、突起39cをこのようにして全周にわたり設けることで、開口部39b1が全周にわたり形成される。
【0018】
図3は、図2のC−C断面図であり、連通路39b2は、互いに隣接する通気孔39同士を直接連通している。また、図3に示すように、通気孔39は、開口39a側が狭く、連通部39b側が広くなるようなテーパ形状としている。
【0019】
図4図7は、より具体化したケース7の形状を示すもので、図1図2と同一構成部分には同一符号を付して説明する。図4は、図2に対応しているが、図2に対し紙面上で時計回り方向に90度回転した図となっている。ただし、図4図2とでは、電源用端子33,35とU、V、W端子37とが、互いに反対側の長辺部27に設けられている点で異なる。また、図4では、隔壁部31にも通気孔39を設けている。
【0020】
図5図4のD−D断面図、図6図4のE−E断面図であり、周壁5(長辺部27、短辺部29)の下部には、図5図6中で左右方向に延びる開口部39b1が形成されているのがわかる。また、図5に示すように、短辺部29及び隔壁部31の下部には、開口部39b1に連通して開口部39b1より上方に位置する連通路39b2が形成されているのがわかる。
【0021】
図7(a)は図4のF−F断面図であり、周壁5における長辺部27の下部には、上記図6の開口部39b1の奥側に図7(a)中で左右方向に延びる連通路39b2が形成されているのがわかる。この連通路39b2は、互いに隣接する通気孔39の下部同士を直接連通している。
【0022】
図7(b)は図7(a)の変形例であり、連通路39b2内の上壁の下面に左右一対の傾斜面39b3を形成している。この一対の傾斜面39b3は、ケース7の周壁5の周方向に沿って互いに隣接する通気孔39相互間のほぼ中心位置Sに対し、通気孔39側が上方となるよう傾斜している。すなわち、通気孔39の下端開口部は、中心位置Sよりも上方に位置している。
【0023】
次に、作用を説明する。図1図2のように、周壁5及び隔壁部31で囲まれた領域9内の半導体モジュール本体25に対し、図8のようにエポキシ樹脂41でポッティングにより封止する。このようなポッティングに使用するエポキシ樹脂41は粘土が比較的高いことから、領域9に樹脂を充填する過程で、該樹脂によって空気が内部に閉じ込められてしまい、図9のように通気孔39を設けていない比較例で示すように、ケース7の下部(底部)に大きな気泡43が発生してしまう。
【0024】
このような大きな気泡43の発生は、特にセラミックス基板11の両面に金属層13,15を設けた台座17を備える実装構造で顕著となる。この場合、台座17を製造する際にセラミックス基板11を保持した状態で金属層13,15を形成する必要があることから、セラミックス基板11の周縁を金属層13,15から突出させた保持部11aを備えている。このため、該保持部11aが庇となってその下部に気泡43が発生しやすい。
【0025】
これに対して本実施形態では、周壁5や隔壁部31に通気孔39及び、通気孔39の下部に連通する連通部39bを設けている。このため、エポキシ樹脂41を充填する過程で、該充填するエポキシ樹脂41により下部に空気が閉じ込められても、該空気は連通部39b及び通気孔39を経て通気孔39の上部の開口39aから外部に放出される。このため、図8に示すように、セラミックス基板11に上記した保持部11aを備える実装構造であっても、エポキシ樹脂41をより確実にケース7の底部に導くことができ、発生する気泡43を、より小さく抑えることができる。
【0026】
その際、上記通気孔39の下部は、連通部39bを通してケース7の底部に連通しているので、ケース7の底部(底面)に押し込められる空気を、連通部39b及び通気孔39を通してより確実に外部に放出することができる。気泡43をより小さくすることで、充填後のエポキシ樹脂41が剥がれにくくなり、ポッティングして封止することによる、防湿や絶縁効果及び、半田寿命の向上など、信頼性の高い製品が得られる。
【0027】
また、本実施形態では、複数の通気孔39の下部相互を連通する連通部39bが周壁5や隔壁部31の下部に設けられ、連通部39bの開口部39b1は、ケース7内の底部に開口して側壁である周壁5及び隔壁部31の全周にわたり連続して形成されている。このため、ケース7の底部に押し込められた空気は、周壁5(長辺部27、短辺部29)及び隔壁部31で囲まれた領域9内の周囲全周の広い範囲にわたり外部に放出でき、気泡43の発生をより低減することができる。
【0028】
また、本実施形態では、連通部39bは、複数の通気孔39の下部相互を直接連通する連通路39b2と、この連通路39b2より下方に位置してケース7内の底部に開口する開口部39b1と、を有している。この場合、ケース7内の底部から開口部39b1に取り込んだ空気は、その一部が通気孔39に対応する位置付近から通気孔39に直接流れ、他の一部が図3図7に示す連通路39b2に一旦取り込まれる。
【0029】
上記連通路39b2に一旦取り込まれた空気は、連通路39b2を周方向に流れて通気孔39に達し、通気孔39の上部の開口39aから外部に放出される。この場合、開口部39b1から、開口部39b1より上方位置にある連通路39b2に取り込んだ空気を、図1図5に示す突起39cによって、連通路39b2から開口部39b1へ逆流するのを抑えることになり、通気孔39に効率よく導くことができる。
【0030】
また、本実施形態では、連通路39b2内の上壁の下面は、図7(b)に示すように、周壁5や隔壁部31の周方向に沿って互いに隣接する通気孔39相互間の中心位置Sに対し、通気孔39側が上方となるよう傾斜している傾斜面39b3を備える構成とすることもできる。この場合、開口部39b1から連通路39b2に取り込んだ空気が、傾斜面39b3に沿って通気孔39までより効率よく円滑に流れ、空気の放出効率がより向上し、気泡43の発生をより一層低減することができる。
【0031】
また、本実施形態では、ケース7の内側の領域9内の空気を、通気孔39を通して外部に逃がす際に、通気孔39の外部から空気を吸引するようにすることもできる。これにより、領域9内に注入する樹脂が、例えば自重によりケース7の底部まで到達しにくい程粘度が高い場合であっても、空気を通気孔39から強制的に吸引することにより、樹脂をケース7の底部まで行き渡らせ、これによって気泡43の発生を抑えることができる。
【0032】
以上、本発明の実施形態について説明したが、これらの実施形態は本発明の理解を容易にするために記載された単なる例示に過ぎず、本発明は当該実施形態に限定されるものではない。本発明の技術的範囲は、上記実施形態で開示した具体的な技術事項に限らず、そこから容易に導きうる様々な変形、変更、代替技術なども含むものである。
【0033】
例えば、上記した実施形態では、ポッティングで使用する樹脂をエポキシ樹脂41としているが、これに限るものではない。また、セラミックス基板11の周縁を金属層13,15から突出させた保持部11aを備えていない実装構造にも、本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0034】
1 パワー半導体モジュール(半導体モジュール)
5 ケースの周壁(ケースの側壁)
7 ケース
9 ケースの側壁の内側の領域
23 パワー半導体素子
31 隔壁部(ケースの側壁)
39 通気孔
39b 連通部
39b1 連通部の開口部
39b2 連通部の連通路
39b3 連通路の傾斜面(上壁の下面)
41 エポキシ樹脂(樹脂)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9