【実施例1】
【0020】
<構成>以下、構成について説明する。
【0021】
図1(〜
図4)に示すように、住宅などの建物1に対し、浴室設備としてバスユニット2を取付ける。このバスユニット2は、バスユニット設置用金具3などを用いて建物1(の内部)に設置される。このバスユニット設置用金具3は、建物1の床面4よりも低い位置にバスユニット底部支持部材5を設置するためのものとされる。
【0022】
(補足説明)
ここで、上記についての補足説明を行う。なお、補足説明については、必要に応じて参照すれば良い。
【0023】
上記した「建物1」には、木質系のもの(木造住宅)や、鉄骨系のもの(鉄骨系住宅)や、コンクリート系のもの(コンクリート住宅)など、各種のものが存在しているが、この場合には、木質系の住宅を想定している。そして、木質系の住宅には、在来工法によるもの(木造軸組住宅)や、ツーバイフォー工法によるもの(ツーバイフォー住宅)や、木質系ユニット工法によるもの(木質系ユニット住宅)などが存在しているが、これらのいずれであっても良い。この場合には、主に、木質系ユニット工法によるものを想定している。
【0024】
木質系ユニット工法による住宅は、地盤6に打設形成した基礎7の上部に、土台8(
図2参照)を設置し、この土台8の上部に、工場で予め組立てられたほぼ立方体状の木質系ユニット9を、水平方向(同一階方向)や上下方向(上下階方向)に所要数だけ載置し、これらの木質系ユニット9間を互いに連結することによって一体化したものである。
【0025】
上記立方体状をした各木質系ユニット9は、基本的に、床パネル11と、天井パネル12と、壁パネル13とによって構成される。そして、これらの各パネルは、それぞれ下地材と面材とによって構成される。例えば、床パネル11は、
図2、
図3などに示すように、床下地材14(床根太)と床面材15とによって構成される。上記床下地材14には、床パネル11の外周枠部を形成するもの(端根太)や、外周枠部の内側に架設されるものなどがある。
【0026】
上記した「バスユニット2」は、ユニット化された浴室設備であり、設備メーカーにより製造されて、住宅メーカーなどへ販売されるものである。バスユニット2は、その内部に洗い場部分と浴槽部分とを有している。
【0027】
上記した「バスユニット設置用金具3」は、建物1の内部にバスユニット2を設置するために用いられる金具(取付具)のことである。この場合には、バスユニット設置用金具3は、バスユニット2を直接取付けるためのものではなく、上記したバスユニット底部支持部材5を取付けるためのものとされている。バスユニット設置用金具3の詳細については、後述する。
【0028】
上記した「床面4」は、建物1の床部の上面のことである。例えば、木質系ユニット住宅の場合には、下階の木質系ユニット9の床パネル11(床部)を構成する床面材15の上面である。
【0029】
上記した「バスユニット底部支持部材5」は、バスユニット2の底部を支持するための部材のことである。バスユニット底部支持部材5の詳細については、後述する。
【0030】
そして、以上のような基本的な構成に対し、この実施例のものでは、以下のような構成を備えるようにしている。
【0031】
(構成1)バスユニット設置用金具3について
バスユニット設置用金具3を、以下のようなものとする。
【0032】
即ち、
図5(
図6)に示すように、バスユニット設置用金具3は、建物1の床下地材14の側面に対して取付可能な側面取付部21と、
この側面取付部21から下方へ延びる下方延設部22と、
この下方延設部22の下端側に設けられて、上記バスユニット底部支持部材5の端部を下方から係止保持可能な支持部材係止保持部23と、を有する金具本体24を備えるようにする。
【0033】
そして、上記下方延設部22が、建物1の土台8または基礎7を迂回可能な迂回部25を有するものとされる。
【0034】
(補足説明1)
ここで、上記した「床下地材14」は、
図2、
図3に示すように、建物1の床部(例えば、上記した床パネル11)における、下地となる材料(木材)のことである。在来工法の場合、床下地材14には、大引や床根太などが含まれる。土台8も床下地材14に含まれる。ツーバイフォー工法の場合、床下地材14には、端根太や床根太などが含まれる。木質系ユニット工法の場合、上記したように、床パネル11を構成する床枠材(端根太や床根太)などが含まれる。
【0035】
上記した「床下地材14の側面」は、床下地材14の上下面、および、(長手方向の)両端面以外の面のことである。
【0036】
上記した「側面取付部21」は、バスユニット設置用金具3における、床下地材14の側面に対して取付けられるようにした部分のことである。
【0037】
上記した「下方延設部22」は、側面取付部21から下方へ向けて延設された部分のことである。下方延設部22の下方への延長量は、バスユニット2の洗い場の床面4を、建物1の床部と同じ高さにするために必要な量などとされる。この場合には、後述する支持部材係止保持部23の上面が、基礎7の上面と同じ高さか、または、それよりも低くなるような(下方)延長量にしている。具体的に、(下方)延長量は、例えば105mm程度のものなどとされている。但し、(下方)延長量の具体的な数値は、上記に限るものでない。
【0038】
上記した「支持部材係止保持部23」は、バスユニット底部支持部材5の端部の下面を下方から係止保持するようにした部分のことである。
【0039】
上記した「金具本体24」は、バスユニット設置用金具3の本体を構成する部分(即ち、バスユニット設置用金具3の主要部)のことである。
【0040】
上記した「基礎7」は、
図1に示すように、地盤6に打設形成されて、建物1を下側から支持するようにした(鉄筋)コンクリート製の支持構造物のことである。
【0041】
上記した「土台8」は、基礎7と建物1との間に介在される木製の支持部材のことである。
【0042】
上記した「迂回部25」は、床下地材14の側面の位置から、建物1の土台8または基礎7を避けるように回り込みながら下方へ延びる形状の部分のことである。迂回部25は、土台8または基礎7の側面から十分に離間されるように、比較的大きく迂回されるようなものとする。例えば、迂回部25の迂回量は、土台8または基礎7の半幅程度以上のものなどとされる。この場合、例えば、迂回部25の迂回量は、85mm程度とされている。但し、迂回部25の迂回量は、上記に限るものではない。
【0043】
なお、一見、同じようではあるが、バスユニット設置用金具3を土台8または基礎7の側面に沿って下方へ導かせるような屈曲形状としたようなものなどは、基礎7の側面からほとんど離間されていないため、特定形状の土台8または基礎7にしか対応できない専用のものとなってしまうので、上記した迂回部25には含まれない。
【0044】
(構成2)
図3(b)に示すように、上記迂回部25が、建物1の土台8または基礎7の上面によって支持される被支持部26を有するものとされる。
【0045】
(補足説明2)
ここで、上記した「被支持部26」は、建物1の土台8または基礎7の上面に直接的に当接されて支持される部位のことである。被支持部26は、迂回部25の一部に形成される。または、被支持部26は、迂回部25に対して部分的に形成される。
【0046】
(構成3)
図5(
図6)に示すように、上記側面取付部21が、床下地材14の側面に当接可能な上端側縦面部21aを有し、
上記下方延設部22の迂回部25が、中間横面部25aおよび中間縦面部25bからなる屈曲形状を有し、
上記支持部材係止保持部23が、バスユニット底部支持部材5の端部下面が当接係止可能な下端側横面部23aを有することにより、上記金具本体24が、側面視W字状のものとされる。
【0047】
この側面視W字状の金具本体24が、少なくとも一側部に、上記金具本体24を構成する各面部
をつないで面外方向に立上がる補強用の立設部27を有するものとされる。
【0048】
(補足説明3)
ここで、上記した「上端側縦面部21a」は、バスユニット設置用金具3の上端側に設けられた、ほぼ上下方向へ延びる面状の部分(取付面部)のことである。この上端側縦面部21aには、床下地材14の側面に釘やネジやその他の固定具で固定するための釘穴やネジ穴やその他の穴部などの固定点21bが多数形成されている。
【0049】
上記した「中間横面部25a」は、バスユニット設置用金具3の中間部に設けられた、ほぼ水平方向へ延びる面状の部分(張出面部)のことである。上記した迂回部25の横方向への迂回量は、この中間横面部25aの水平方向の長さ(張出量)によって設定される。また、上記した被支持部26は、この中間横面部25aにおける、上端側縦面部21a寄りの部分に設定される。
【0050】
上記した「中間縦面部25b」は、バスユニット設置用金具3の中間部に設けられた、ほぼ上下方向へ延びる面状の部分(垂下面部)のことである。上記した下方延設部22の下方への延長量は、この中間縦面部25bの上下方向の長さによって設定される。
【0051】
上記した「屈曲形状」は、中間横面部25aと中間縦面部25bとによって形成される屈曲した形状のことである。
【0052】
上記した「下端側横面部23a」は、バスユニット設置用金具3の下端側に設けられた、ほぼ水平方向へ延びる面状の部分(係止取付面部)のことである。この下端側横面部23aの中央部(または中心部)などには、ボルトやナットなどの締結具29を挿通するためのボルト穴などの固定点23bが形成されている。
【0053】
上記した「各面部」は、上記した上端側縦面部21a、中間横面部25a、中間縦面部25b、下端側横面部23aのことである。これらの各面部は、一体に連続されると共に、隣接する面部に対してほぼ90°の角度を有して屈曲されている。
【0054】
上記した「面外方向」は、各面部(上端側縦面部21a、中間横面部25a、中間縦面部25b、下端側横面部23a)とほぼ面直な方向のことである。この場合には、床下地材14の側面とほぼ垂直な方向で、床下地材14の側面から離れる方向である。
【0055】
上記した「立設部27」は、各面部(上端側縦面部21a、中間横面部25a、中間縦面部25b、下端側横面部23a)に対してほぼ面直に立設された面部のことである。この場合、立設部27は、金具本体24の両側部に対して形成されている。
【0056】
(構成4)バスユニット2設置用の床構造について
図1(〜
図4)に示すように、上記したバスユニット設置用金具3を用いて、建物1の床面4よりも低い位置にバスユニット底部支持部材5を設置する。そのために、建物1の床部(例えば、床パネル11)には、バスユニット2設置用の開口部31が形成される。そして、バスユニット2設置用の開口部31の内部における、建物1の床部よりも低い位置に、バスユニット底部支持部材5を用いてバスユニット設置用床部32を形成する。このバスユニット2設置用の床構造は、以下のようなものとされる。
【0057】
即ち、建物1の平行な一対の床下地材14の内側面に対して、上記したバスユニット設置用金具3が、互いに向かい合った状態で取付けられるようにする。
【0058】
そして、上記バスユニット底部支持部材5が、建物1の平行な一対の床下地材14の間に架設されるバスユニット設置用床梁材33とされる。
【0059】
このバスユニット設置用床梁材33の両端部が、一対の床下地材14の内側面に互いに向かい合わせて取付けられたバスユニット設置用金具3の支持部材係止保持部23間に、それぞれ係止保持される。
【0060】
更に、このバスユニット設置用床梁材33の上面側にバスユニット設置用床面材34が敷設される。
【0061】
(補足説明4)
ここで、上記した「バスユニット2設置用の開口部31」は、建物1の床部における、バスユニット2を設置する部分に形成される開口部31のことである。このバスユニット2設置用の開口部31は、内部に設置されるバスユニット2の両側部の位置に、平行な一対の床下地材14が露出されるように形成される。また、バスユニット2の底部と干渉する位置にある床下地材14については、切断するようにして、開口部31から地盤6(または、基礎7がベタ基礎である場合には、基礎7の底板部の面)が直接臨めるようにする。
【0062】
上記した「バスユニット設置用床梁材33」は、バスユニット2を設置するようにしたバスユニット設置用床部32を構成する床梁材のことである。このバスユニット設置用床梁材33の長さは、対向する一対の床下地材14の内側面間の間隔よりも、一対のバスユニット設置用金具3の各迂回部25の迂回量を足した程度分だけ短いものとされる。バスユニット設置用床梁材33については、後述する。
【0063】
上記した「バスユニット設置用床面材34」は、バスユニット2を設置するための床面材15のことである。バスユニット設置用床面材34には、例えば、構造用合板などが使用される。
【0064】
(構成5)
図7(
図8)に示すように、上記バスユニット設置用床梁材33が、中空の角型鋼材33aによって構成される。
【0065】
図9に示すように、この角型鋼材33aの端部上面に、角型鋼材33aの端部下面と上記支持部材係止保持部23との間を締結固定するための作業スペースを確保形成可能な切欠部35が設けられる。
【0066】
(補足説明5)
ここで、上記した「角型鋼材33a」は、金属製の角型パイプなどとされる。
【0067】
上記した「切欠部35」は、角型鋼材33aの端部の強度が必要以上に低下せず、しかも、角型鋼材33aとバスユニット設置用金具3との間の締結作業を支障なく行える程度の大きさのものとされる。この場合、切欠部35は、角型鋼材33aの幅の半分程度以下の幅(切欠幅)、および、この切欠幅と同じかそれよりも若干大きい切欠深さを有する、ほぼU字状のものとされている。但し、切欠部35の大きさや形状は、これに限るものではない。
【0068】
なお、角型鋼材33aの端部下面における、切欠部35の中央部に相当する位置には、必要に応じて、ボルトやナットなどの締結具29(
図3参照)を挿通するためのボルト穴などの固定点33bが形成される。このボルト穴(固定点33b)は、上記したボルト穴(固定点23b)と対応合致するものである。この場合、ボルト穴(固定点33b)は、角型鋼材33aの一端側にのみ予め形成されており、他端側については、現場合わせで(ボルト穴(固定点33b)を)設けるようになっている。
【0069】
(構成6)
図8に示すように、上記バスユニット設置用床梁材33が、複数本平行に設けられる。
【0070】
そして、複数本のバスユニット設置用床梁材33の間が、横桟部材36によって一体に連結される。これによって、連結型床梁材37が構成される。
【0071】
(補足説明6)
ここで、上記した「横桟部材36」には、例えば、バスユニット設置用床梁材33と同様の角型鋼材などが使用される。この場合、連結型床梁材37は、2本のバスユニット設置用床梁材33の両端部近傍間を横桟部材36で連結してほぼ矩形枠状にしたものなどとされる。バスユニット設置用床梁材33と横桟部材36との連結は、溶接などの接合手段によって行われる。
【0072】
なお、バスユニット設置用床梁材33における、バスユニット設置用床梁材33の連結本数や、横桟部材36の設置位置や、連結形状などについては、上記に限るものではなく、必要に応じて、適宜設定・調整することができる。例えば、上記した連結型床梁材37に対して、バスユニット設置用床梁材33の中央部間の位置などに、同様の横桟部材36を追加するようにしても良い。
【0073】
また、
図4では、コンクリート製や金属製或いは樹脂製などの束部材38で、連結型床梁材37を構成するバスユニット設置用床梁材33の中央部の下部を支持させるようにして、連結型床梁材37の強度を下げられるようにしている。
【0074】
また、上記した束部材38は、納まり上、被支持部26が建物1の土台8または基礎7の上面にほとんど乗らない場合、即ち、バスユニット2の荷重を、被支持部26を介して、建物1の土台8または基礎7の上面で十分に受けさせられないような場合であっても、上記したように、連結型床梁材37を構成するバスユニット設置用床梁材33の中央部の下部を束部材38によって支持することで、バスユニット設置用金具3を介して建物1の床下地材14の側面に作用されるバスユニット2の荷重を大幅に低減することができる。
【0075】
このような束部材38は、上記の他にも、必要に応じて適宜設けることができる。例えば、基礎7が無い側の床下地材14の下部を支持するように、束部材38を配置することにより、バスユニット設置用床梁材33が傾かないようにすることができる。
【0076】
(構成7)
図3に示すように、上記バスユニット設置用床面材34の下面側に断熱材39が設置される。
【0077】
(補足説明7)
ここで、上記した「断熱材39」は、断熱性を有する部材のことである。この場合、床下地材14とバスユニット設置用床梁材33との間や、バスユニット設置用床梁材33間などに対し、断熱材39として、バスユニット設置用床梁材33と同じかそれよりも若干厚いフェノールフォームなどの比較的硬い硬質断熱部材39aが配設されている。
【0078】
また、バスユニット設置用床部32の周縁部と壁部との間の立上がり部分の周辺に対し、断熱材39として、柔軟なグラスウールなどの軟質断熱部材39bが連続して取付けられている。
【0079】
更に、バスユニット設置用床部32や建物1ユニットなどと断熱材39との間にできる隙間に、防水テープ(不図示)などを貼付けることにより、隙間の密閉を行う。なお、使用する断熱材39についてはこれに限るものではない。
【0080】
(構成8)建物1について
上記した建物1が、上記したバスユニット設置用金具3によって形成されたバスユニット2設置用の床構造を備えたものとされる。
【0081】
(補足説明)
上記バスユニット2設置用の床構造を備えた建物1については、既に上記したように木質系の住宅(特に、木質系ユニット住宅)とするのが良い。但し、バスユニット設置用金具3を取付けるのに適した木製の床下地材14を有しているのであれば、建物1は、木質系の住宅に限るものではない。
【0082】
<作用>以下、この実施例の作用について説明する。
【0083】
バスユニット設置用金具3を用いて、建物1の床面4よりも低い位置にバスユニット底部支持部材5を設置させるようにする。そのために、建物1の床面4に、バスユニット2の底部を収容可能な矩形状をしたバスユニット2設置用の開口部31を形成する。
【0084】
バスユニット2設置用の開口部31は、より具体的には、新築の場合には、予め、バスユニット2を設置する部分の床板(床面材15)、および、バスユニット2を設置する部分を横断する床下地材14を設置しない状態にしておく。また、リフォームの場合には、バスユニット2を設置する部分の床板(床面材15)、および、バスユニット2を設置する部分を横断している床下地材14を切断除去して、上記開口部31を形成する。
【0085】
この場合、建物1は、上記したように、主に、木質系ユニット工法によるものとされる。そして、例えば、建物1の下階の端部に位置する木質系ユニット9における端部寄りの位置などに対し、木質系ユニット9と辺の向きを揃えた状態で、バスユニット2を設置する。
【0086】
なお、建物1における、バスユニット2を設置する木質系ユニット9の位置や、木質系ユニット9における、バスユニット2を設置する位置については、上記に限るものではない。
【0087】
そして、バスユニット2設置用の開口部31の縁部に位置する床下地材14のうち、対向する一対の床下地材14の内側面に対して、バスユニット設置用金具3を取付ける。このバスユニット設置用金具3は、対向する一対の床下地材14の内側面に沿って、それぞれ互いに対向するように複数対取付けるようにする。
【0088】
床下地材14の内側面に対するバスユニット設置用金具3(の側面取付部21)の取付けには、釘やネジやその他の固定具が用いられる。釘やネジやその他の固定具は、ほぼ水平方向へ向けて打込まれる。
【0089】
この際、バスユニット設置用金具3の迂回部25が、建物1の土台8または基礎7を(開口部31の内方へ)迂回すると共に、迂回部25の一部に設けられた被支持部26が、建物1の土台8または基礎7の上面によって支持されるようにする。
【0090】
こうして、床下地材14の内側面にバスユニット設置用金具3が取付けられたら、バスユニット底部支持部材5を、上方から、対向するバスユニット設置用金具3間に介在されるように設置する。これにより、バスユニット底部支持部材5の端部の下面が、バスユニット設置用金具3の支持部材係止保持部23の上面に当接されると共に、下方から係止保持される。
【0091】
そして、バスユニット底部支持部材5の端部上面に設けた切欠部35を通して、バスユニット底部支持部材5の端部下面とバスユニット設置用金具3の支持部材係止保持部23との間を、ボルトやナットなどの締結具29を用いて上下方向に締結固定する。これにより、バスユニット設置用金具3とバスユニット底部支持部材5とが一体化される。
【0092】
この際、バスユニット2における洗い場の下部については、棒状の、または、1本物のバスユニット底部支持部材5を設置するようにする。また、浴槽の下部については、複数本のバスユニット設置用床梁材33の間を、横桟部材36によって一体に連結した連結型床梁材37を設置するようにする。
【0093】
更に、必要に応じて、この連結型床梁材37の中央部の下部などに、コンクリート製や金属製或いは樹脂製などの束部材38を設けて、連結型床梁材37の中央部などを下側から支持させるようにする。
【0094】
次に、床下地材14とバスユニット設置用床梁材33との間や、バスユニット設置用床梁材33間に、断熱材39として、バスユニット設置用床梁材33と同じかそれよりも若干厚いフェノールフォームなどの硬質断熱部材39aを取付ける。
【0095】
その後、バスユニット設置用床梁材33の上面側にバスユニット設置用床面材34を敷設してバスユニット設置用床部32を形成する。
【0096】
更に、バスユニット設置用床部32の周囲と壁部との間の立上がり部分に、断熱材39として、柔軟なグラスウールなどの軟質断熱部材39bを、バスユニット2設置用の開口部31の周方向に連続して取付ける。その後、防水テープなどで、隙間のシールを行う。
【0097】
こうして、建物1の床面4よりも低い位置にバスユニット設置用床部32が構築されたら、バスユニット設置用床部32の上部にバスユニット2を設置する、或いは、バスユニット2を組立てるようにする。
【0098】
<効果>この実施例によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0099】
(作用効果1)
バスユニット設置用金具3に、建物1の床下地材14の側面に対して取付可能な側面取付部21を設けた。建物1の床下地材14の側面には、壁などの構造物が特に存在していないため、(壁などがある)建物1の床下地材14の上面と比べて、バスユニット設置用金具3の取付位置が自由であり、しかも、取付作業が容易であるので、建物1の新築時に限らず、建物1の構築後などであってもバスユニット設置用金具3を所望の位置に取付けることが可能となる。これにより、建物1の新築時は勿論、構築途中での設計変更やリフォームなどを行う場合であっても、バスユニット設置用金具3を用いて、確実にバスユニット2を設置することが可能となる。
【0100】
そして、バスユニット設置用金具3を、下方延設部22を有するものとした。これにより、建物1の床面4とバスユニット底部支持部材5との間の高低差を大きく確保することができる。以って、例えば、建物1の床面4とバスユニット2の洗い場の床面4との間の段差をなくしつつ浴槽の跨ぎ込み高さが低くなるようにしたバリアフリー用のバスユニット2などであっても余裕を持って設置することが可能となる。この際、構造が同じで、大きさや下方延設部22の長さなどが異なるバスユニット設置用金具3を複数種類用意しておくようにすれば、メーカーや規格の異なる様々なバスユニット2を自由に設置することが可能となる。
【0101】
更に、バスユニット設置用金具3の下方延設部22に、建物1の土台8または基礎7を迂回可能な迂回部25を設けた。これにより、下方延設部22が、建物1の土台8または基礎7と干渉してバスユニット設置用金具3が取付けられなくなるような不具合を防止することができる。よって、現場ごとに土台8または基礎7の状況が異なっていても、バスユニット設置用金具3を各種の建物に幅広く適用させる(即ち、汎用化する)ことが可能となる。また、迂回部25の形状は補強構造にもなっているので、その分、バスユニット設置用金具3の剛性を高めることができる。
【0102】
(作用効果2)
バスユニット設置用金具3の迂回部25に、建物1の土台8または基礎7の上面によって支持される被支持部26を設けた。これにより、バスユニット設置用金具3を床下地材14の側面に設置する際に、バスユニット設置用金具3の上下方向の位置(例えば、バスユニット設置用金具3の下端位置の位置など)を定めることができる(位置決め機能)。
【0103】
また、バスユニット設置用金具3に作用するバスユニット2の荷重を、被支持部26を介して、建物1の土台8または基礎7の上面に受けさせることができる。
【0104】
以って、バスユニット設置用金具3の必要強度を低減することができる。また、バスユニット設置用金具3を介して建物1の床下地材14の側面に作用されるバスユニット2の荷重を大幅に低減することができる。
【0105】
更に、被支持部26が、バスユニット設置用金具3の中間に位置する下方延設部22(の迂回部25)に設けられることにより、バスユニット設置用金具3に作用する回転モーメントを低減することができる。これにより、回転モーメントによるバスユニット設置用金具3の倒れや変形などを防止することができる。
【0106】
なお、バスユニット設置用金具3に被支持部26が設けられない場合や、納まり上、被支持部26を建物1の土台8または基礎7の上面に(十分に)支持させることができないような場合などには、上記したように、束部材38によって、床下地材14やバスユニット設置用床梁材33(連結型床梁材37を含む)の下部を支持させるようにする。
【0107】
(作用効果3)
バスユニット設置用金具3の金具本体24を、上端側縦面部21aと、中間横面部25aおよび中間縦面部25bからなる屈曲形状の迂回部25と、下端側横面部23aとを有する側面視W字状のものとした。これにより、バスユニット設置用金具3を、安価で構造が簡単なものとすることができる。
【0108】
また、側面視W字状の金具本体24の少なくとも一側部に、金具本体24を構成する各面部から面外方向に立上がる補強用の立設部27を設けた。これにより、バスユニット設置用金具3の剛性を効率的に高めることができる。
【0109】
(作用効果4)
バスユニット底部支持部材5を、バスユニット設置用床梁材33とし、バスユニット設置用床梁材33の上面側にバスユニット設置用床面材34を敷設してバスユニット設置用床部32とした。このように、バスユニット2の底部を床部(バスユニット設置用床部32)によって支えることにより、各種のバスユニット2を安定して設置することが可能となる。
【0110】
(作用効果5)
バスユニット設置用床梁材33を中空の角型鋼材33aによって構成した。これにより、バスユニット設置用床梁材33を軽量化しつつ、高い剛性を有するものとすることが可能となり、また、バスユニット設置用床梁材33を長期間に亘って安定した支持力を発揮するものとすることができる。
【0111】
角型鋼材33aの端部上面に切欠部35を設けた。これにより、角型鋼材33aの端部下面と上記支持部材係止保持部23との間を締結固定する際の作業スペースを確保形成することができる。よって、上記した締結固定作業を容易化し、作業性を向上することができる。
【0112】
(作用効果6)
複数本のバスユニット設置用床梁材33の間を、横桟部材36によって一体に連結した。これにより、例えば、浴槽の下部などの、バスユニット2の荷重が特に大きく掛かる箇所などに設けられるバスユニット設置用床梁材33に対して、高い剛性を持たせることが可能となる。
【0113】
(作用効果7)
バスユニット設置用床面材34の下面側に断熱材39を設置した。これにより、バスユニット設置用床部32の全面に対して断熱性を持たせることが可能となり、バスユニット2内部の熱が床下へ逃げ難くなるようにすることができる。
【0114】
なお、近年のバスユニット2は、それ自体で高い断熱性を備えているものが増えているが、このような場合であっても、バスユニット2の断熱性能をより向上することが可能となり、例えば、バスユニット2が持つ、浴槽内のお湯が冷め難くなる効果をより高めたり、洗い場の床を暖かく感じさせる効果をより高めたりすることができるようになる。
【0115】
(作用効果8)
上記建物1は、上記バスユニット2設置用の床構造を備えるようにした。これにより、上記と同様の作用効果を得ることができる。
【0116】
以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、実施例はこの発明の例示にしか過ぎないものである。よって、この発明は実施例の構成にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。また、例えば、各実施例に複数の構成が含まれている場合には、特に記載がなくとも、これらの構成の可能な組合せが含まれることは勿論である。また、複数の実施例や変形例がこの発明のものとして開示されている場合には、特に記載がなくとも、これらに跨がった構成の組合せのうちの可能なものが含まれることは勿論である。また、図面に描かれている構成については、特に記載がなくとも、含まれることは勿論である。更に、「等」の用語がある場合には、同等のものを含むという意味で用いられている。また、「ほぼ」「約」「程度」などの用語がある場合には、常識的に認められる範囲や精度のものを含むという意味で用いられている。