特許第6209034号(P6209034)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6209034光学フィルム用接着剤、積層光学フィルムおよびその製造方法
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  • 特許6209034-光学フィルム用接着剤、積層光学フィルムおよびその製造方法 図000008
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6209034
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】光学フィルム用接着剤、積層光学フィルムおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 183/00 20060101AFI20170925BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20170925BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20170925BHJP
   G02F 1/13363 20060101ALI20170925BHJP
   B32B 37/12 20060101ALI20170925BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   C09J183/00
   G02B5/30
   G02F1/1335 510
   G02F1/13363
   B32B37/12
   B32B27/00 D
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-196212(P2013-196212)
(22)【出願日】2013年9月20日
(65)【公開番号】特開2015-59215(P2015-59215A)
(43)【公開日】2015年3月30日
【審査請求日】2016年6月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152571
【弁理士】
【氏名又は名称】新宅 将人
(74)【代理人】
【識別番号】100141852
【弁理士】
【氏名又は名称】吉本 力
(72)【発明者】
【氏名】村岡 敦史
(72)【発明者】
【氏名】森 拓也
(72)【発明者】
【氏名】林 大輔
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 暢
【審査官】 松原 宜史
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−503646(JP,A)
【文献】 特開平09−026755(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/119552(WO,A1)
【文献】 特開平11−218193(JP,A)
【文献】 特開平07−140348(JP,A)
【文献】 特開2002−328223(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0216840(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学フィルムの貼り合わせに用いられる接着剤であって、
アミノ系シランカップリング剤とエポキシ系シランカップリング剤とを、8:92〜60:40のモル比で含有する溶液からなり、前記アミノ系シランカップリング剤および前記エポキシ系シランカップリング剤の硬化により有機ケイ素化合物層を形成する、接着剤。
【請求項2】
アミノ系シランカップリング剤およびエポキシ系シランカップリング剤以外の不揮発性成分の含有量が、アミノ系シランカップリング剤とエポキシ系シランカップリング剤の含有量の合計100重量部に対して20重量部以下である、請求項1に記載の接着剤。
【請求項3】
前記溶液が揮発性溶媒を含み、アミノ系シランカップリング剤およびエポキシ系シランカップリング剤の含有量が、0.1〜10重量%である、請求項1または2に記載の接着剤。
【請求項4】
前記揮発性溶媒としてアルコール系溶媒または酸性の水系溶媒を含む、請求項3に記載の接着剤。
【請求項5】
第一の光学フィルムと第二の光学フィルムとが、請求項1〜4のいずれか1項に記載の接着剤の硬化物からなる有機ケイ素化合物層を介して貼り合わせられている、積層光学フィルム。
【請求項6】
前記有機ケイ素化合物層の膜厚が500nm以下である、請求項に記載の積層光学フィルム。
【請求項7】
前記第一の光学フィルムおよび前記第二の光学フィルムの少なくともいずれか一方が、環状ポリオレフィンフィルムである、請求項またはに記載の積層光学フィルム。
【請求項8】
第一の光学フィルム上に、請求項1〜4のいずれか1項に記載の接着剤を塗布して塗膜を形成する工程;
前記接着剤の塗膜上に、第二の光学フィルムを積層する工程;および
前記接着剤の塗膜を硬化して有機ケイ素化合物層を形成する工程、
を有する、積層光学フィルムの製造方法。
【請求項9】
第一の光学フィルム上に前記接着剤を塗布する前に、第一の光学フィルム表面に活性化処理が行われる、請求項に記載の積層光学フィルムの製造方法。
【請求項10】
熱硬化により前記有機ケイ素化合物層が形成される、請求項8または9に記載の積層光学フィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学フィルムの貼り合わせに用いられる光学フィルム用接着剤に関する。さらに、本発明は、当該接着剤を介して複数の光学フィルムが貼り合わせられた積層光学フィルムおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置等のディスプレイには、位相差フィルム、偏光子、偏光子保護フィルム等の多数の光学フィルムが用いられている。これらの光学フィルムは、機能複合化や光学軸の配置精度向上等を目的として、複数の光学フィルムが粘着剤や接着剤を介して積層され、積層光学フィルムとして実用に供される。
【0003】
ディスプレイの普及が進むと共に、光学フィルムに対する要求性能も高くなってきている。特に、近年、携帯電話、スマートフォン、タブレットPC等のモバイル機器の急速な普及に伴い、光学フィルムの軽量化、薄型化に対する要求が高まっており、従来よりも厚みの小さい光学フィルムが用いられるようになっている(例えば特許文献1)。
【0004】
また、光学フィルムの厚みを小さくすることに加えて、光学フィルムを貼り合わせるための接着層の膜厚を小さくすることも検討されている。例えば、特許文献2では、紫外線等の活性エネルギー線硬化型の接着剤を用いて、各種の光学フィルムやガラス等を貼り合わせることが提案されている。活性エネルギー線硬化型の接着剤は、1μm程度の膜厚で、光学フィルムを貼り合わせることが可能であるため、粘着剤を用いて光学フィルムを貼り合わせる場合に比して、積層光学フィルムの厚みを減少できる。また、活性エネルギー線硬化型の接着剤は、水系接着剤のような乾燥工程を必要としないため、積層光学フィルムの生産性を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−93074号公報
【特許文献2】特開2012−67260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らの検討によれば、活性エネルギー線硬化型の接着剤を光学フィルムの貼り合わせに用いた場合、接着性が十分ではなく、特に、環状ポリオレフィンのような極性基を有さない材料からなるフィルムに対する接着性が低く、剥離を生じる傾向があった。また、活性エネルギー線硬化型の接着剤の硬化層は、耐水性が十分ではなく、積層光学フィルムが高湿環境に長時間暴露されると、接着界面で剥離を生じる場合があった。さらに、光学フィルムの貼り合わせに活性エネルギー線硬化型の接着剤を用いる場合、接着層の厚みを1μm程度あるいはそれ以上とする必要があり、更なる薄型化には限界があった。
【0007】
上記に鑑み、本発明は、薄型化が可能であり、かつ接着性および耐水性に優れる光学フィルム用接着剤、および当該接着剤を用いた積層光学フィルムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記に鑑みて検討の結果、所定のシランカップリング剤の硬化物層が、500nm以下の膜厚でも、高い初期接着性と耐水性とを兼ね備えることを見出し、本発明に至った。
【0009】
本発明は、光学フィルムの貼り合わせに用いられる接着剤に関する。本発明の接着剤は、アミノ系シランカップリング剤とエポキシ系シランカップリング剤とを、8:92〜60:40のモル比で含有する溶液である。
【0010】
また、本発明は、第一の光学フィルムと第二の光学フィルムとが、上記接着剤の硬化物からなる有機ケイ素化合物層(接着層)を介して貼り合わせられている積層光学フィルムに関する。積層光学フィルムの薄型化や、接着力増大の観点から、硬化後の接着層の厚みは500nm以下が好ましい。本発明の積層光学フィルムの一実施形態において、第一の光学フィルムおよび第二の光学フィルムの少なくともいずれか一方は、環状ポリオレフィンフィルムである。
【0011】
本発明の積層光学フィルムは、例えば、第一の光学フィルム上に、接着剤を塗布して塗膜を形成する工程;接着剤の塗膜上に、第二の光学フィルムを積層する工程;および接着剤の塗膜を硬化する工程、により製造される。第一の光学フィルム上に接着剤を塗布する前に、第一の光学フィルム表面に活性化処理が行われることが好ましい。特に、第一の光学フィルムが、環状ポリオレフィンフィルムのように極性基を有していない材料からなるフィルムである場合、接着剤の塗布前に、コロナ処理等の活性化処理が行われることで、接着性を向上できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の接着剤は、初期接着性および耐水性の両方に優れ、環状ポリオレフィンのように一般に被着性の低い材料からなるフィルムに対しても高い接着性を示す。また、本発明の接着剤は、厚みが500nm以下でも高い接着性を示すため、積層光学フィルムの接着性、耐久性の向上に加えて、薄型化にも寄与し得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】積層光学フィルムの一実施形態を表す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明の積層光学フィルムの一実施形態を表す模式的断面図である。図1に示す積層光学フィルム100は、第一の光学フィルム11と第二の光学フィルム12とが接着層21を介して貼り合わせられている。
【0015】
[光学フィルム]
光学フィルム11,12は、液晶表示装置等のディスプレイの形成に用いられるものであれば、その種類は特に制限されず、例えば、位相差フィルム(光学補償フィルム)、偏光子、偏光子保護フィルム、輝度向上フィルム、反射板等が挙げられる。第一の光学フィルム11と第二の光学フィルム12の組み合わせとしては、偏光子と偏光子保護フィルム、偏光子と位相差フィルム、偏光子と輝度向上フィルム等が挙げられる。また、複屈折特性の異なる複数の位相差フィルムの組み合わせにより、単層の位相差板では実現困難な高度な光学補償を行い得る積層位相差板を形成することもできる。
【0016】
前記位相差フィルムや偏光子保護フィルムを構成する材料としては、例えば透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性等に優れる樹脂が好ましく用いられる。このような樹脂の具体例としては、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、環状ポリオレフィン樹脂(ノルボルネン系樹脂)、ポリアリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリスルホン系樹脂、およびこれらの混合物あるいは共重合体等が挙げられる。
【0017】
上記材料の中でも、環状ポリオレフィンは、極性基を有していないため、被着性が低いことが知られている。一方、後に詳述するように、本発明の接着剤は、環状ポリオレフィン等に対しても高い接着性を示す。そのため、第一の光学フィルム11および/または第二の光学フィルム12が環状ポリオレフィンフィルムである場合でも、本発明の積層光学フィルムは、接着界面での良好な接着性を示し、剥離が生じ難い。
【0018】
前記偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料の二色性物質を吸着させて所定方向に配向させたものが挙げられる。
【0019】
光学フィルム中には、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、離型剤、着色防止剤、難燃剤、核剤、帯電防止剤、顔料、着色剤等の任意の添加剤が1種類以上含まれていてもよい。光学フィルムは、表面にハードコート層や易接着層等が形成されたものでもよい。光学フィルムの表面には、反射防止処理、アンチグレア処理、スティッキング防止処理等を施すことができる。また、接着性の向上等を目的として、光学フィルムの表面に、コロナ処理、プラズマ処理、ケン化処理、低圧UV処理等の活性化処理が行われてもよい。特に、環状ポリオレフィンのように極性基を有していない材料からなる光学フィルムを用いる場合は、コロナ処理、プラズマ処理等の活性化により、光学フィルム表面に水酸基等の極性基が導入されることが好ましい。
【0020】
上記光学フィルムは、延伸フィルムであってもよい。一般に、位相差フィルムや偏光子等は、延伸によりポリマー鎖や二色性物質を配向させることによって光学異方性が付与される。本発明においては、延伸後の光学フィルムを、接着剤を介して貼り合わせて積層光学フィルムを作製できる。また、接着剤を介して貼り合わせた後の積層光学フィルムを延伸して、光学異方性を付与することもできる。
【0021】
各光学フィルムの厚みは、適宜に決定し得る。強度や取扱性等の作業性、薄膜性等の観点から、光学フィルムの厚みは、一般に1μm〜200μm程度であり、2μm〜100μm程度が好ましい。なお、薄型化の観点から、各光学フィルムの厚みは、50μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましい。また、第一の光学フィルム11と第二の光学フィルム12の合計厚みは、70μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましい。接着層21を介して貼り合わせ後の積層光学フィルム100の厚みも、70μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましい。
【0022】
[接着剤]
第一の光学フィルム11と第二の光学フィルム12とは、接着層21を介して貼り合わせられる。本発明において、光学フィルムを貼り合わせるための接着層21として、有機ケイ素化合物層が用いられる。有機ケイ素化合物層は、シランカップリング剤を含有する接着剤を硬化することにより形成される。本発明の接着剤に用いられるシランカップリング剤は、例えば、下記一般式(I)で表される化合物である。
【0023】
【化1】
【0024】
上記一般式(I)において、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、アルコキシ基またはアルキル基を表し、これらの少なくとも1つは、アルコキシ基である。R、RおよびRは同一であってもよく、異なっていてもよい。本発明の接着層に用いられるシランカップリング剤は、R〜Rの全てがアルコキシ基であることが好ましい。nは、1〜10の整数であり、好ましくは1〜5である。
【0025】
前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等が挙げられ、好ましくはメトキシ基、エトキシ基である。なお、R、RおよびRは、アルコキシ基の他に、例えば、加水分解反応によって水酸基となるものであってもよく、この場合、R、RおよびRの少なくとも1つ、または全部が加水分解反応によって水酸基となる基であってもよい。
【0026】
本発明の接着剤は、上記一般式(I)において置換基Xがアミノ基を含有するアミノ系シランカップリング剤、および上記一般式(I)において置換基Xがエポキシ基を含有するエポキシ系シランカップリング剤を含有する。
【0027】
(アミノ系シランカップリング剤)
アミノ系シランカップリング剤は、上記一般式(I)において、置換基Xが下記式(II)で表されるアミノ基含有有機ケイ素化合物である。
【0028】
【化2】
【0029】
上記式(II)において、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アミノ基、アミノアルキル基を表す。RとRとは、同一であってもよく、異なっていてもよい。RおよびRがアルキル基またはアミノアルキル基である場合、アルキル基の炭素数は6以下が好ましく、4以下がより好ましい。光学フィルムとの接着性や耐水性を高める観点から、RおよびRは、水素原子またはアミノアルキル基であることが好ましい。シランカップリング剤が末端に無置換アミノ基(−NH)を有することで、接着性が向上する傾向がある。その理由は定かではないが、シランカップリング剤の末端のアミノ基は、光学フィルム表面の水酸基等の極性官能基や、エポキシ系シランカップリング剤のエポキシ基との反応性が高いこと等に起因すると考えられる。
【0030】
アミノ系シランカップリング剤の具体例としては、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルジエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、あるいはこれらの塩酸塩が挙げられる。
【0031】
アミノ系シランカップリング剤の市販品としては、KBM−602、KBM−603、KBM−903、KBE−603、KBE−903、(以上、信越化学社製)、Z−6011、Z−6020、Z−6026、Z−6032、Z−6094、Z−6610、(以上、東レ・ダウコーニング社製)、A−1100、A−1110、A−1120,A−2120,Y−9669(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)等が挙げられる。
【0032】
アミノ系シランカップリング剤は、1種を単独で使用してよく、2種以上を併用してもよい。上記の中でも、上記一般式(I)における置換基Xが式(II)で表され、RまたはRが、炭素数1〜3のアミノアルキル基であるアミノ系シランカップリング剤が好ましく用いられる。
【0033】
(エポキシ系シランカップリング剤)
エポキシ系シランカップリング剤は、上記一般式(I)において、置換基Xが下記式(III)、(IV)または(V)で表されるエポキシ基含有有機ケイ素化合物である。
【0034】
【化3】
【0035】
エポキシ系シランカップリング剤の具体例としては、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0036】
エポキシ系シランカップリング剤の市販品としては、KBM−303、KBM−402、KBM−403、KBE−402、KBE−403(以上、信越化学社製)、SH6040、Z−6040、Z−6042、Z−6043、Z−6044(以上、東レ・ダウコーニング社製)、A−186、A−187、A−1871(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)等が挙げられる。
【0037】
エポキシ系シランカップリング剤は、1種を単独で使用してよく、2種以上を併用してもよい。上記の中でも、上記一般式(I)における置換基Xが式(IV)で表されるエポキシ系シランカップリング剤が好ましく用いられる。
【0038】
(シランカップリング剤の含有量)
本発明の接着剤は、アミノ系シランカップリング剤とエポキシ系シランカップリング剤とを、8:92〜60:40のモル比で含有することが好ましい。アミノ系シランカップリング剤のみを含有する場合や、エポキシ系シランカップリング剤の含有量が過度に小さい場合は、硬化後の接着剤の耐水性が不十分となる傾向がある。一方、エポキシ系シランカップリング剤のみを含有する場合や、アミノ系シランカップリング剤の含有量が過度に小さい場合は、硬化後の接着剤の初期接着性が不十分となる傾向がある。これに対して、アミノ系シランカップリング剤とエポキシ系シランカップリング剤とを上記の含有量比で併用することにより、初期接着性と耐水性とを兼ね備える接着層(有機ケイ素化合物層)が得られる。接着剤中のアミノ系シランカップリング剤とエポキシ系シランカップリング剤との比は、モル比で、10:90〜55:45がより好ましく、15:85〜50:50がさらに好ましく、20:80〜45:55が特に好ましく、25:75〜40:60が最も好ましい。
【0039】
(接着性および耐水性向上の推定メカニズム)
本発明において、アミノ系シランカップリング剤とエポキシ系シランカップリング剤とを所定の比率で併用することにより、初期接着性と耐水性が両立できる理由は定かではないが、例えば、アミノ系シランカップリング剤は、その分子構造に起因して、光学フィルム表面の分子間に入り込みやすく、主に光学フィルムと接着層の界面の密着性向上に寄与していると考えられる。また、エポキシ系シランカップリング剤が架橋剤として作用して、接着層の強度が高められ、耐水性の向上に寄与していると考えられる。
【0040】
本発明の接着剤による接着の推定メカニズムをさらに説明すると、シランカップリング剤が光学フィルムの分子表面に入り込むと、アルコキシ基(一般式(I)のR〜R)の加水分解により生成したシラノール基や、アミノ系シランカップリング剤のアミノ基が光学フィルム表面の水酸基等の官能基と結合(あるいは相互作用)すると考えられる。エポキシ基はアミノ基との反応性が高いため、光学フィルム表面に結合したアミノ系シランカップリング剤のアミノ基がエポキシ系シランカップリング剤のエポキシ基とが結合を形成し、アルコキシ基の加水分解によって生じたシラノール基が縮合してシロキサン結合を形成すると考えられる。このように、アミノ基の存在下において、エポキシ系シランカップリング剤が、シランカップリング剤同士を架橋する架橋剤の役割を果たすために、小さな膜厚でも接着力と耐水性に優れる接着層が形成されると考えられる。
【0041】
なお、本発明者らの検討によれば、環状ポリオレフィンフィルム等の表面に極性基を有していないフィルム上に、本発明の接着剤を適用する場合、フィルム表面にコロナ処理を行うことにより、接着強度が大幅に向上することが確認されている。この検討結果から、本発明の接着剤は、フィルム表面の水酸基等の極性基とシランカップリング剤とが結合(あるいは相互作用)することにより、高い接着性を示すと考えられる。
【0042】
(接着剤の調製)
本発明の接着剤は、上記のシランカップリング剤を溶媒中に溶解することによって調製できる。溶媒は特に限定されないが、シランカップリング剤の溶解度が高く、かつ硬化が促進されることから、アルコール系溶媒や酸性の水系溶媒が好ましい。接着剤中のシランカップリング剤の濃度は特に限定されず、接着剤溶液の粘度や塗布性等を考慮して適宜に決定され、一般には、0.1〜10重量%程度である。
【0043】
本発明の接着剤は、アミノ系シランカップリング剤およびエポキシ系シランカップリング剤以外のシランカップリング剤(例えば、上記一般式(I)において、置換基Xがハロアルキル基、メルカプト基、アルキルスルファニル基、イソシアナト基、ウレイド基、ビニル基等の官能基を含むもの)を含有してもよい。ただし、光学フィルム間の接着性と耐水性を高める観点から、接着剤中のシランカップリング剤の全量に対するアミノ系シランカップリング剤とエポキシ系シランカップリング剤の含有量の合計は、60重量%以上が好ましく、80重量%以上がより好ましく、90重量%以上がさらに好ましく、95重量%以上が特に好ましい。
【0044】
また、接着剤には、本発明の目的、効果を損なわない範囲において、その他の任意成分として各種の添加剤を配合することができる。かかる添加剤としては、レベリング剤、濡れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤、紫外線吸収剤、無機充填剤、顔料、染料等が挙げられる。ただし、接着剤中の上記添加剤の含有量は、アミノ系シランカップリング剤とエポキシ系シランカップリング剤の含有量の合計100重量部に対して、20重量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましく、5重量部以下がさらに好ましく、3重量部以下が特に好ましい。
【0045】
[光学フィルムの貼り合わせ]
第一の光学フィルム11上に、上記の接着剤を塗布して塗膜を形成した後、必要に応じて接着剤の溶媒を乾燥し、その上に第二の光学フィルム12を積層し、接着剤を硬化することによって、積層光学フィルムが得られる。
【0046】
(接着剤の塗布)
第一の光学フィルム上に接着剤を塗布する方法は特に限定されず、第一の光学フィルムを接着剤中に浸漬する方法(ディップコーティング法)、カーテンコーティング法、スプレーコーティング法、バーコーティング法、ロッドコーティング法、ロールコーティング法、ダイコーティング法等の公知の方法を適宜用いることができる。
【0047】
前述のごとく、第一の光学フィルム上に接着剤を塗布する前に、第一の光学フィルム表面に、コロナ処理、プラズマ処理、ケン化処理、低圧UV処理等の活性化処理が行われてもよい。特に、極性基を有していない材料からなる光学フィルムを用いる場合は、コロナ処理、プラズマ処理等の活性化により、光学フィルム表面に水酸基等の極性基が導入されることが好ましい。
【0048】
接着剤の塗布厚みは特に限定されない。本発明の接着剤は、小さな厚みでも高い接着性と耐水性を実現できるため、積層光学フィルムの厚みを小さくする観点から、硬化後の接着層(有機ケイ素化合物層)の厚みが、好ましくは500nm以下、より好ましくは300nm以下、さらに好ましくは200nm以下、特に好ましくは100nm以下となるように、接着剤の塗布厚みが設定されることが好ましい。
【0049】
また、接着層21の厚みが過度に大きいと、耐水性が低下したり、光学フィルムを液晶セル等の他の光学部材から剥離(リワーク)する際に接着層が凝集破壊を生じやすくなること等からも、接着層の厚みは上記範囲とすることが好ましい。また、硬化後の接着層の厚みは、1nm以上が好ましく、5nm以上がより好ましく、10nm以上がさらに好ましい。
【0050】
(接着剤の乾燥)
第一の光学フィルム11上に接着剤を塗布して塗膜を形成した後、必要に応じて溶媒の乾燥が行われる。乾燥方法は特に限定されないが、加熱乾燥が好ましい。加熱温度や時間は、シランカップリング剤の濃度や溶媒の種類等に応じて適宜に設定される。なお、加熱温度が過度に高い場合や、乾燥時間が過度に長い場合は、第二の光学フィルムとの積層前に、シランカップリング剤が完全に硬化され、接着性が低下する傾向がある。そのため、接着剤を塗布後の乾燥は、シランカップリング剤の硬化が過度に進行しない程度、例えば加熱温度35〜120℃程度、加熱時間30秒〜10分程度の範囲で行われることが好ましい。
【0051】
(第二の光学フィルムの積層)
第一の光学フィルム上に形成された接着剤の塗膜上に、第二の光学フィルムが積層され貼り合わせられる。貼り合わせ前に、第二の光学フィルムの表面に、コロナ処理、プラズマ処理、ケン化処理、低圧UV処理等の活性化処理が行われてもよい。特に、第二の光学フィルムが、極性基を有していない材料からなる場合は、コロナ処理、プラズマ処理等の活性化により、表面に水酸基等の極性基が導入されることが好ましい。
【0052】
第一の光学フィルムと第二の光学フィルムとの積層方法は特に限定されないが、ラミネータ等を用いて加圧が行われることが好ましい。第一の光学フィルム11と第二の光学フィルム12とを積層する際、これらの光学フィルムは他のフィルム(支持体)等と積層された状態でもよい。例えば、厚みが15μm程度あるいはそれ以下のフィルムは、自己支持性が低く、単独でのハンドリングが困難であるため、光学フィルムと支持体フィルム上に密着積層させた状態で、積層に供してもよい。支持体は、光学フィルムの積層後に剥離されてもよく、そのまま次工程等に供されてもよい。
【0053】
(接着剤の硬化)
第一の光学フィルムと第二の光学フィルムとを積層後に、接着剤の塗膜の硬化が行われる。硬化方法は特に限定されないが、加熱による硬化が好ましい。加熱温度や時間は、適宜に設定され得るが、アルコキシ基の加水分解によって生じたアルコールを蒸発させて系外に排出できるように、加熱温度および時間が設定されることが好ましい。接着剤の硬化のための加熱は、例えば、加熱温度40〜150℃程度、加熱時間1分〜20分程度の範囲で行われることが好ましい。
【0054】
[積層光学フィルムの形態および用途]
上記により得られた積層光学フィルムは、液晶表示装置等のディスプレイの形成に好適に用いられる。なお、図1では、第一の光学フィルム11と第二の光学フィルム12の2層が積層された積層光学フィルムが図示されているが、さらに他の光学フィルム等が積層されてもよい。例えば、偏光板は、一般に、偏光子の両面に偏光子保護フィルムを備える3層構成である。この場合、偏光子と一方の偏光子保護フィルムとの貼り合わせに、本発明の接着剤が用いられてもよく、偏光子と両方の偏光子保護フィルムとの貼り合わせに本発明の接着剤が用いられてもよい。
【0055】
液晶表示装置は、例えば、本発明の積層光学フィルムと、液晶セル、他の光学フィルム、およびバックライド等の光学部材とを適宜に組み立てて駆動回路を組み込むことにより製造できる。液晶表示装置の構成は液晶セルの片側又は両側に本発明の積層光学フィルムが用いられていれば、その他の構成は特に制限されない。
【0056】
以上説明したように、本発明の接着剤は、小さな厚みでも接着性および耐水性に優れる。そのため、本発明の接着剤の硬化物を介して複数の光学フィルムが積層された積層光学フィルムは、初期接着性が高いことに加えて、高湿環境に長時間暴露された場合でも、剥離が生じ難い。また、本発明の接着剤を用いることによって、積層光学フィルムの厚みを小さくすることができる。そのため、本発明の積層光学フィルムは、特に、携帯電話、スマートフォン、ノート型PC、タブレットPC等のモバイル用途のディスプレイに好適に用いられる。
【実施例】
【0057】
以下に、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0058】
[実施例1]
(接着剤溶液の調製)
アミノ系シランカップリング剤(N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン;信越化学工業製、製品名「KBM−603」、分子量:222.4)とエポキシ系シランカップリング剤(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン;信越化学工業製、製品名「KBM−403」、分子量:236.3)とを10:90の重量比(11:89のモル比)で、イソプロパノール中に添加し、シランカップリング剤濃度(合計)が0.5重量%の接着剤溶液を調製した。
【0059】
(積層光学フィルムの作製)
厚み18μmの環状ポリオレフィンフィルムの表面にコロナ処理を施した後、コロナ処理面上に、ワイヤーバー(#3;ウェット塗布厚み約5μm)を用いて、上記の接着剤溶液を塗布し、50℃のオーブン中で、3分間加熱乾燥させた。その後、ロールラミネータを用いて、接着剤溶液の塗膜上に、厚み5μmのポリトリフルオロスチレンフィルム(以下、「ポリスチレン系フィルム」と記載する)を貼り合わせ、50℃のオーブン中で5分加熱して、シランカップリング剤を硬化させ、積層光学フィルムを得た。
【0060】
[実施例2〜4および比較例1〜4]
上記実施例1の接着剤溶液の調製において、アミノ系シランカップリング剤(KBM−603)とエポキシ系シランカップリング剤(KBM−403)の比を、表1に示すように変更した。それ以外は、実施例1と同様にして、厚み18μmの環状ポリオレフィンフィルムと厚み5μmのポリスチレン系フィルムとが、接着層を介して貼り合わせられた積層光学フィルムを作製した。
【0061】
[比較例5]
(紫外線硬化型接着剤の調製)
ヒドロキシエチルアクリルアミド(HEAA):35重量部、トリプロピレングリコールジアクリレート(TPGDA;東亜合成社製、製品名「ARONIX M−220」):25重量部、およびアクリロイルモルホリン(ACMO):40重量部を、室温で1時間撹拌した。その後、光重合開始剤として、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン(BASF社製、製品名「イルガキュア907」):3重量部、および2,4−ジエチルチオキサントン(日本化薬社製、製品名「DETX−S」):1.5重量部を添加し、さらにアミノ系シランカップリング剤として、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学工業社製、製品名「KBM−602」):1重量部を添加して、紫外線硬化型接着剤組成物を調製した。
【0062】
(積層光学フィルムの作製)
厚み18μmの環状ポリオレフィンフィルムの表面にコロナ処理を施した後、コロナ処理面上に、ワイヤーバー(#0)を用いて、上記の紫外線硬化型接着剤組成物を塗布し、塗膜上に厚み5μmのポリ(トリフルオロスチレン)フィルムを貼り合わせ、コンベア式UV照射装置を用いて紫外線を照射して、接着剤組成物を硬化させ、積層光学フィルムを得た。
【0063】
[比較例6]
HEAA:20重量部、TPGDA:40重量部、ACMO:40重量部、2−アセトアセトキシエチルメタクリレート(AAEM):7重量部、および重量平均分子量約1600のアクリルオリゴマー(東亜合成社製、製品名「ARUFON UP−1190」):12.5重量部を、50℃で1時間撹拌した。その後、光重合開始剤として、イルガキュア907:3重量部、およびDETX−S:1.5重量部を添加し、さらにKBM−602:1重量部を添加して、紫外線硬化型接着剤組成物を調製した。この紫外線硬化型接着剤組成物を用いて、上記比較例5と同様にして、積層光学フィルムを得た。
【0064】
[評価]
上記各実施例および比較例の積層光学フィルムの接着層の厚みは、断面を透過型電子顕微鏡(TEM)観察により求めた。積層光学フィルムの初期接着性および耐水性は、以下の方法により評価した。
<初期接着性>
接着剤の硬化から1日経過後に、積層光学フィルムのポリ(トリフルオロスチレン)フィルム側の面に10×10(100)マスの碁盤目状に切れ込みを入れ、旧JIS−K5400の碁盤目試験に準じて、剥離試験を行い、ポリ(トリフルオロスチレン)フィルムが剥離されずに残存したマス目の割合(碁盤目残面積)を、画像処理によって算出した。
<耐水性>
接着剤の硬化から1日経過後に、積層光学フィルムを常温水に浸漬し、一定時間経過後に水から取出し、取出し直後に試料端部を爪で引っ掻き、剥がれの有無を目視で確認した。
【0065】
上記各実施例および比較例の接着剤中のシランカップリング剤の含有量、硬化後の接着層の厚み、ならびに積層光学フィルムの初期接着性および耐水性の評価結果を、表1に示す。
【0066】
【表1】
【0067】
アミノ系シランカップリング剤とエポキシ系シランカップリング剤からなる接着剤が用いられた実施例1から実施例4では、UV硬化型接着剤が用いられた比較例5,6に比べて、硬化後の接着層の厚みが、1/10程度であるにも関わらず、初期接着性が大幅に向上しており、耐水性にも優れることがわかる。
【0068】
アミノ系シランカップリング剤溶液からなる接着剤が用いられた比較例1では、初期接着性が優れるものの、耐水試験において短時間で剥がれが生じていた。一方、エポキシ系シランカップリング剤からなる接着剤が用いられた比較例2では、実施例と同等の高い耐水性を示したが、初期接着性が不十分であった。
【0069】
接着剤中のアミノ系シランカップリング剤の含有量が5モル%の比較例3では、アミノ系シランカップリング剤を含有していない比較例2と同様に、初期接着性が不十分であった。一方、接着剤中のエポキシ系シランカップリング剤の含有量が29モル%の比較例4では、エポキシ系シランカップリング剤を含有していない比較例1と同様に、耐水性が不十分であった。
【0070】
以上の結果から、アミノ系シランカップリング剤とエポキシ系シランカップリングと剤を所定の比率で含有する本発明の接着剤は、環状ポリオレフィンフィルムのような被着性の低いフィルムに対しても高い接着性を示し、かつ耐水性にも優れることがわかる。
【0071】
[実施例5,6および比較例7〜9]
アミノ系シランカップリング剤として、KBM−603に代えて、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学工業製、製品名「KBM−602」、分子量:206.4)を用い、上記実施例1,3および比較例1〜4と同様に、アミノ系シランカップリング剤とエポキシ系シランカップリング剤(KBM−403)の比を変更して、厚み18μmの環状ポリオレフィンフィルムと厚み5μmのポリスチレン系フィルムとが、接着層を介して貼り合わせられた積層光学フィルムを作製した。これらの実施例および比較例の接着剤中のシランカップリング剤の含有量、硬化後の接着層の厚み、ならびに積層光学フィルムの初期接着性および耐水性の評価結果を、表2に示す。なお、表2では、上記比較例2の結果もあわせて示している。
【0072】
【表2】
【0073】
[実施例7,8および比較例10〜12]
エポキシ系シランカップリング剤として、KBM−403に代えて、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学工業製、製品名「KBM−402」、分子量:220.3)を用い、上記実施例1,3および比較例1〜4と同様に、アミノ系シランカップリング剤(KBM−603)とエポキシ系シランカップリング剤の比を変更して、厚み18μmの環状ポリオレフィンフィルムと厚み5μmのポリスチレン系フィルムとが、接着層を介して貼り合わせられた積層光学フィルムを作製した。これらの実施例および比較例の接着剤中のシランカップリング剤の含有量、硬化後の接着層の厚み、ならびに積層光学フィルムの初期接着性および耐水性の評価結果を、表3に示す。なお、表3では、上記比較例1の結果もあわせて示している。
【0074】
【表3】
【0075】
上記表2および表3に示す結果から、アミノ系シランカップリング剤やエポキシ系シランカップリング剤の種類を変更した場合でも、実施例1〜4および比較例1〜4の場合と同様の傾向がみられた。これらの結果から、アミノ系シランカップリング剤とエポキシ系シランカップリング剤とを所定の比率で含有する接着剤が、高い接着性を示し、かつ耐水性にも優れることがわかる。
【符号の説明】
【0076】
11,12 光学フィルム
20 有機ケイ素化合物層(接着層)
100 積層光学フィルム
図1