(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、発明を実施するための形態(以下、実施の形態とする)について説明する。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態
2.第2の実施の形態
3.第2の実施の形態の変形例
4.第3の実施の形態
5.第4の実施の形態
6.第5の実施の形態
【0026】
<1.第1の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態のレーザー加工装置の概略構成図(斜視図)を、
図1に示す。
図1に示すレーザー加工装置1は、レーザー光を発生させる光源部と、光源部からのレーザー光をON/OFF制御するシャッター部と、被加工材にレーザー光を照射して被加工材の加工を行う加工部を備えている。
【0027】
光源部は、光源であるレーザー発振器2と、レーザー発振器2から発振されたコリメート・レーザー光3のビームの光径を広げて成形する、ビームエクスパンダー4から成る。
シャッター部は、上下に配置された第1のシャッターユニット11及び第2のシャッターユニット31と、これらのシャッターユニット11,31を制御する制御装置57とから成る。これらの構成によって、光源部からのレーザー光の通過と遮断を切り替えて、ON/OFF制御する。
加工部は、被加工材52が載置され、X方向とY方向に移動可能な、X−Yテーブル53と、レーザー光を被加工材52に照射する光学系ユニット50から成る。
【0028】
光源部のレーザー発振器2としては、各種のレーザー発振器を使用することができる。
レーザー発振器2には、CWレーザー、パルス波レーザーのいずれも使用することが可能であり、シングルモード、マルチモードを問わず、ほとんどの既存のレーザー発振器を使用することが可能である。また、レーザー発振器を構成するレーザーも、固体レーザー、半導体レーザー、レーザー励起レーザーなど、各種のレーザーを採用することが可能である。加工する対象の被加工材52の材料や、加工に使用するレーザー光の波長に応じて、適切なレーザー発振器を使用する。
ビームエクスパンダー4は、レーザー発振器2から出射したコリメート・レーザー光3に対して、光径を広げて、第1のシャッターユニット11に入力される入力レーザー12とする。
【0029】
第1のシャッターユニット11は、レーザー光を通すアパチャー15が設けられ、中心にある軸21の周りに回転可能な構成とされた、円筒形シャッター14と、円筒形シャッター14を回転させるスピンドル・モーター24を、備えている。また、円筒形シャッター14の斜め上方に設けられた、レーザー吸収ブロック22を備えている。
【0030】
円筒形シャッター14は、外形が円柱形であって内部が空洞である、円筒形となっており、表面が反射材19で形成されている。また、円筒形シャッター14は、外形の中心線を通る軸21が設けられ、スピンドル・モーター24によって、矢印20で示すように軸21を中心として回転駆動される。
反射材19は、詳細を後述するように、円筒形シャッター14自体を金属などの材料で形成して反射材19としても良く、円筒形シャッター14の材料の表面に反射膜を形成して反射材19としても良い。
【0031】
軸21とスピンドル・モーター24との接続部には、エアーベアリング23が設けられており、エアーベアリング23の軸受けで軸21を保持している。
また、円筒形シャッター14と、スピンドル・モーター24とは、軸21に設けられたカプラー25で接続されている。
スピンドル・モーター24の図中右側の側面には、インターフェース26が設けられている。そして、このインターフェース26と制御装置57との間に、水冷配管、エアーベアリング用空気配管、電機系配線がそれぞれ接続されている。
スピンドル・モーター24は、その回転数の制御や、第2のシャッターユニット31との同期の制御が、制御装置57によって行われる。
なお、レーザー・エネルギーが強い場合には、円筒形シャッター14や軸21などを冷却することが望ましい。
【0032】
円筒形シャッター14には、その側面に、2箇所のアパチャー15が形成されており、これらのアパチャー15の間をレーザー光が通過することができる。
円筒形シャッター14のアパチャー15の大きさは、通過するレーザー光の光束より、少し大きい程度となっている。
また、2箇所のアパチャー15は、通過するレーザー光の光路が、円筒形シャッター14の中心線からオフセットされるように形成されている。即ち、2箇所のアパチャー15を結ぶ線は、円筒の直径ではなく、弦となっている。
そして、円筒形シャッター14が回転して、2箇所のアパチャー15が上下になったときにレーザー光が通るように、光源部と円筒形シャッター14が相対配置されている。これにより、円筒形シャッター14に入力レーザー12が当たる位置は、アパチャー15の位置に対応して、円筒形シャッター14の中心線の真上からオフセットされている。
【0033】
円筒形シャッター14の回転により、入力レーザー12が当たる円筒形シャッター14の位置が、アパチャー15、あるいは、アパチャー15以外の部分、というように変化する。
入力レーザー12がアパチャー15に当たったときは、アパチャー15を通過して、下側のアパチャー15から出射されて、出力レーザー13となる。
入力レーザー12がアパチャー15以外の部分に当たったときには、入力レーザー12が円筒形シャッター14の表面の反射材19で反射される。このとき、入力レーザー12が円筒形シャッター14の中心線の真上からオフセットされた位置に照射されるので、反射材19で反射された入力レーザー12は、入射側に戻ることなく、レーザー吸収ブロック22に向かい、レーザー吸収ブロック22で吸収される。
【0034】
円筒形シャッター14は、例えば、金属、セラミック、グラファイト、合成樹脂などにより形成することができる。
また、円筒形シャッター14に反射率の高い材料を使用して、そのまま反射材19としても良く、円筒形シャッター14に反射率の高くない材料を使用して、表面に反射率の高い材料によって反射膜を形成して反射材19としても良い。
円筒形シャッター14の軸21は、円筒形シャッター14の外側に接続された構成も、円筒形シャッター14の内部を貫通して形成された構成も、いずれも可能である。円筒形シャッター14は、高速回転に対応するために軽量化することが望ましく、また、回転の精度を向上させるためにバランスの工夫をすることが望ましい。
【0035】
さらに、円筒形シャッター14の内面でのレーザー光の乱反射を防ぐために、レーザー光を吸収する吸収材が、円筒形シャッター14の内面に形成されていることが望ましい。例えば、円筒形シャッター14の回転により、入力レーザー12が上側のアパチャー15の縁をまたいだ範囲に当たっている場合には、円筒形シャッター14内へ入ったレーザー光のほとんどが下側のアパチャー15を通過できず、円筒形シャッター14の内壁に当たることになる。このとき、円筒形シャッター14の内面が反射材であると、円筒形シャッター14の内面を乱反射して、2箇所のアパチャー15から、不要なレーザー光が望ましくない方向へ出射される。
円筒形シャッター14に反射率の高い材料を使用した場合には、円筒形シャッター14の内面に吸収材をコーティングする。
円筒形シャッター14に吸収材を使用した場合には、内面はそのままとする。
また、円筒形シャッター14の材料に、反射率や吸収率は高くないが、軽くて丈夫な材料を使用して、表面に反射膜を形成して、内面に吸収材をコーティングしても良い。
【0036】
レーザー吸収ブロック22には、レーザー・エネルギーの強度に応じて、空冷または水冷またはペルチェ素子などの冷却器を設ける。
また、レーザー吸収ブロック22が、レーザーパワーメーターのセンサーを兼ねる構成としても良い。このような構成とした場合、レーザーが常時反射する場所において、レーザーパワーの測定が可能となる。
【0037】
第2のシャッターユニット31は、レーザー光を通す3種類のアパチャー35,36,37が設けられ、中心にある軸41の周りに回転可能な構成とされた、円筒形シャッター34と、円筒形シャッター34を回転させるスピンドル・モーター44と、円筒形シャッター34及びスピンドル・モーター44を移動させるラック・ピニオンギアー48を、備えている。また、円筒形シャッター34の斜め上方に設けられた、レーザー吸収ブロック42を備えている。
【0038】
第2のシャッターユニット31の円筒形シャッター34に対しては、第1のシャッターユニット11の円筒形シャッター14から出射された出力レーザー13が、入力レーザー32として入力される。
【0039】
円筒形シャッター34は、外形が円柱形であって内部が空洞である、円筒形となっており、表面が反射材39で形成されている。また、円筒形シャッター34は、外形の中心線を通る軸41が設けられ、スピンドル・モーター44によって、矢印40で示すように軸41を中心として回転駆動される。
【0040】
軸41とスピンドル・モーター44との接続部には、エアーベアリング43が設けられており、エアーベアリング43の軸受けで軸41を保持している。
また、円筒形シャッター34と、スピンドル・モーター44とは、軸41に設けられたカプラー45で接続されている。
スピンドル・モーター44の図中右側の側面には、インターフェース46が設けられている。そして、このインターフェース46と制御装置57との間に、水冷配管、エアーベアリング用空気配管、電機系配線がそれぞれ接続されている。
スピンドル・モーター44は、その回転数の制御や、第1のシャッターユニット11との同期の制御が、制御装置57によって行われる。
なお、レーザー・エネルギーが強い場合には、円筒形シャッター34や軸41などを冷却することが望ましい。
【0041】
円筒形シャッター34には、その側面に、開口の寸法形状が異なる3種類のアパチャー35,36,37がそれぞれ2箇所ずつ形成されており、それぞれのアパチャー35,36,37の間をレーザー光が通過することができる。それぞれのアパチャー35,36,37は、通過するレーザー光の光路が、円筒形シャッター34の中心線からオフセットされるように形成されている。即ち、2箇所のアパチャー35,36,37を結ぶ線は、円筒の直径ではなく、弦となっている。
そして、円筒形シャッター34が回転して、2箇所のアパチャー35,36,37が上下になったときにレーザー光が通るように、第1のシャッターユニット11の円筒形シャッター14と第2のシャッターユニット31の円筒形シャッター34が相対配置されている。これにより、円筒形シャッター34に入力レーザー32が当たる位置は、アパチャー35,36,37の位置に対応して、円筒形シャッター34の中心線の真上からオフセットされている。
【0042】
円筒形シャッター34の回転により、入力レーザー32が当たる円筒形シャッター34の位置が、アパチャー35,36,37、あるいは、アパチャー35,36,37以外の部分、というように変化する。
入力レーザー32がアパチャー35,36,37に当たったときは、アパチャー35,36,37を通過して、下側のアパチャー35,36,37から出射されて、出力レーザー33となる。
入力レーザー32がアパチャー35,36,37以外の部分に当たったときには、入力レーザー32が円筒形シャッター34の表面の反射材39で反射される。このとき、入力レーザー32が円筒形シャッター34の中心線の真上からオフセットされた位置に照射されるので、反射材39で反射された入力レーザー32は、入射側に戻ることなく、レーザー吸収ブロック42に向かい、レーザー吸収ブロック42で吸収される。
【0043】
円筒形シャッター34は、例えば、金属、セラミック、グラファイト、合成樹脂などにより形成することができる。
また、円筒形シャッター34に反射率の高い材料を使用して、そのまま反射材39としても良く、円筒形シャッター34に反射率の高くない材料を使用して、表面に反射率の高い材料によって反射膜を形成して反射材39としても良い。
円筒形シャッター34の軸41は、円筒形シャッター34の外側に接続された構成も、円筒形シャッター34の内部を貫通して形成された構成も、いずれも可能である。円筒形シャッター34は、高速回転に対応するために軽量化することが望ましく、また、回転の精度を向上させるためにバランスの工夫をすることが望ましい。
【0044】
さらに、円筒形シャッター34の内面でのレーザー光の乱反射を防ぐために、レーザー光を吸収する吸収材が、円筒形シャッター34の内面に形成されていることが望ましい。吸収材の構成は、第1のシャッターユニット11の円筒形シャッター14において説明した各態様と同様にすることができる。
【0045】
レーザー吸収ブロック42には、レーザー・エネルギーの強度に応じて、第1のシャッターユニット11のレーザー吸収ブロック22と同様に、空冷または水冷またはペルチェ素子などの冷却器を設ける。
また、レーザー吸収ブロック42が、レーザーパワーメーターのセンサーを兼ねる構成としても良い。このような構成とした場合、レーザーが常時反射する場所において、レーザーパワーの測定が可能となる。
【0046】
さらに、第2のシャッターユニット31は、ラック・ピニオンギアー48によって、円筒形シャッター34及びスピンドル・モーター44を、矢印49で示すように、図中左右方向に移動させることができる。これにより、入力レーザー32が通過するアパチャーを、3種類のアパチャー35,36,37の間で切り替えることが可能である。
左側のアパチャー35は、第1のシャッターユニット11の円筒形シャッター14のアパチャー15と同様に、通過するレーザー光の光束より少し大きい程度に形成されている。
中央のアパチャー36は、通過するレーザー光の光束よりも十分に大きい、矩形状に形成されている。
右側のアパチャー37は、左側に向かうほど開口幅が狭くなる、扇形に形成されている。この構成により、ラック・ピニオンギアー48の動作で、このアパチャー37に入力レーザー32が当たる位置を変えることにより、入力レーザー32に対するアパチャー37の開口幅を変えて、バースト波レーザーの発生タイミングを変えることが可能である。そして、ラック・ピニオンギアー48を連続的に動作させることにより、バースト波レーザーの発生タイミングを連続的に変えることも可能になる。なお、この扇形のアパチャー37の代わりに菱形のアパチャーを形成しても、同様の作用効果が得られる。
図1では、入力レーザー32が通る位置には、円筒形シャッター34の中央のアパチャー36があり、入力レーザー32がアパチャー36を通過し、下側のアパチャー36から出射して、出力レーザー33となっている。
【0047】
第2のシャッターユニット31の円筒形シャッター34から出射した出力レーザー33は、加工部の光学系ユニット50に入力される。光学系ユニット50は、対物レンズまたはスキャナーなどを含む。
光学系ユニット50に入力された出力レーザー33は、光学系ユニット50によって集束されることにより、集光レーザー51となり、この集光レーザー51が結像して被加工材52に照射され、被加工材52が加工される。
そして、被加工材52が載置されたX−Yテーブル53を、X軸方向(矢印54)またはY軸方向(矢印55)に動かすことにより、被加工材52の加工される位置を変えることができる。
【0048】
第1のシャッターユニット11及び第2のシャッターユニット31において、円筒形シャッター14,34が回転駆動されて、アパチャー15,35,36,37の位置が変わることにより、レーザー光がON/OFF制御される。これにより、被加工材52に照射される集光レーザー51を、バースト波レーザーとすることができる。
【0049】
円筒形シャッター14,34の動作、光学系ユニット50の動作、並びに、X−Yテーブル53のX軸方向54やY軸方向55の動作との組み合わせにより、被加工材52上にレーザービームを走査することによって、連続線または点線または破線を組み合わせた、レーザー加工結果56を得ることが可能である。
【0050】
図1は、光源部からのレーザー光が、第1のシャッターユニット11及び第2のシャッターユニット31を通過して、被加工材52に照射されている状態を示していた。
これに対して、第1のシャッターユニット11でレーザー光が遮断されている状態を
図2に示し、第2のシャッターユニット31でレーザー光が遮断されている状態を
図3に示す。なお、
図2及び
図3では、レーザー発振器2及び制御装置57などの図示を省略している。
図2では、第1のシャッターユニット11の円筒形シャッター14において、アパチャー15以外の部分に、入力レーザー12が当たっている。そして、入力レーザー12が、円筒形シャッター14の表面の反射材19で反射されて斜め上方に向かう反射光18となり、レーザー吸収ブロック22で吸収される。
図3では、第2のシャッターユニット31の円筒形シャッター34において、アパチャー35,36,37以外の部分に入力レーザー32が当たっている。そして、入力レーザー32が、円筒形シャッター34の表面の反射材39で反射されて斜め上方に向かう反射光38となり、レーザー吸収ブロック42で吸収される。なお、この
図3では、
図1と同様に、入力レーザー32が通る位置には、円筒形シャッター34の中央のアパチャー36がある。
【0051】
次に、
図1のレーザー発振器2としてCWレーザーを使用した場合における、レーザー光のON/OFF制御について説明する。
図1のレーザー発振器2としてCWレーザーを使用した場合のタイミングチャートを、
図4に示す。なお、
図4においては、第2のシャッターユニット31の円筒形シャッター34を、2つのアパチャー36間に形成された貫通路以外が充填され、表面が反射材39とされた構成としている。円筒形シャッター34は、表面が反射材39であり、内部が完全に空洞とされた円筒形状の構成としても良い。
【0052】
CWレーザーにおいて、ゲート信号OFF60からゲート信号ON61にすると、CWレーザーの出力は、CWレーザーOFF62からCWレーザーON63となる。
第1のシャッターユニット11の円筒形シャッター14は、その回転(矢印20)に従って、図の左から右の状態に遷移する(矢印64)。これにより、CWレーザーON63の状態において、円筒形シャッター14のアパチャー15の径の大きさ及び円筒形シャッター14の回転速度によって決まる、CWバースト波65が得られる。
続いて、第1のシャッターユニット11の円筒形シャッター14からのレーザー出力13を、レーザー入力32として、第2のシャッターユニット31の円筒形シャッター34に照射する。
第2のシャッターユニット31の円筒形シャッター34は、その回転(矢印40)に従って、図の左から右の状態に遷移する(矢印66)。これにより、円筒形シャッター34のアパチャー36の開口度と回転(矢印40)の速度によってON/OFFする、レーザー出力33となり、CWレーザーによるバースト波67が得られる。
図4において、CWバースト波65では、5つの等間隔のパルスが得られており、バースト波67では、円筒形シャッター34によって一部のパルスが遮断されたことにより、3つのパルスが得られている。
【0053】
図4のタイミングチャートでは、一段目の円筒形シャッター14が高速回転であり、二段目の円筒形シャッター34が低速回転である。
そして、例えば、最高出力2kWのCWファイバーレーザーをレーザー発振器2に用いて、ピーク・エネルギー2kWのバースト波67が得られる。
【0054】
次に、
図1のレーザー発振器2としてパルス波レーザーを使用した場合における、レーザー光のON/OFF制御について説明する。
図1のレーザー発振器2としてパルス波レーザーを使用した場合のタイミングチャートを、
図5に示す。
【0055】
パルス波レーザーにおいて、ゲート信号OFF60aからゲート信号ON61aにすると、パルス波レーザーの出力は、パルス波レーザーOFF62aからパルス波レーザーON63aとなる。
図4の場合と同様に、第1のシャッターユニット11の円筒形シャッター14は、その回転(矢印20)に従って、図の左から右の状態に遷移する(矢印64)。これにより、パルス波レーザーON63aの状態において、円筒形シャッター14のアパチャー15の径の大きさ及び円筒形シャッター14の回転速度によって決まる、パルス波レーザーのバースト波65aが得られる。
続いて、第1のシャッターユニット11の円筒形シャッター14からのレーザー出力13を、レーザー入力32として、第2のシャッターユニット31の円筒形シャッター34に照射する。
図4の場合と同様に、第2のシャッターユニット31の円筒形シャッター34は、その回転(矢印40)に従って、図の左から右の状態に遷移する(矢印66)。これにより、円筒形シャッター34のアパチャー36の開口度と回転(矢印40)の速度によってON/OFFする、レーザー出力33となり、パルス波レーザーによるバースト波67aが得られる。
図5において、パルス波レーザーのバースト波65aでは、5組の等間隔のパルス群が得られており、バースト波67aでは、円筒形シャッター34によって一部のパルス群が遮断されたことにより、3つのパルス群が得られている。
【0056】
図5のタイミングチャートでは、一段目の円筒形シャッター14が高速回転であり、二段目の円筒形シャッター34が低速回転である。
例えば、1パルスのピーク・エネルギー6μJで繰り返し周波数4MHzのパルス波ファイバーレーザーをレーザー発振器2に用いて、繰り返し周波数が低い、バースト波65a及びバースト波67aが得られる。
【0057】
なお、
図5では、レーザー発振器2のパルス波の拡大波形71と、一段目の円筒形シャッター14によって得られたパルス波レーザー65aの拡大波形72と、二段目の円筒形シャッター34によって得られたバースト波67aの拡大波形73を示している。
拡大波形71に示すように、レーザー発振器2のパルス波は、パルスの高さが揃っている。これに対して、拡大波形72に示すパルス波レーザーのバースト波65aと、拡大波形73に示すバースト波67aは、円筒形シャッター14のアパチャー15の内外にレーザー光が掛かったときのパルスの高さが低くなっている。
【0058】
第1のシャッターユニット11の円筒形シャッター14の回転数は、必要に応じて、毎分1回転以下の超低速から毎分20万回転の超高速から選択する。これにより、シャッター機能及び広範囲なバーストモードが簡単に得られ、種々の加工に対応することが可能となる。
例えば、毎分20万回転のスピンドル・モーターでは毎秒3,333回転となり、
図1に示すように第1のシャッターユニット11の円筒形シャッター14のアパチャー15が1組2個である場合には、3.3kHzの繰り返し周波数が得られる。
【0059】
上述の本実施の形態のレーザー加工装置1の構成によれば、表面が反射材19,39とされ、レーザー光が通過するアパチャー15,35,36,37が側面に形成され、中心線を通る軸21,41の周りに回転する、円筒形シャッター14,34を、光源部と加工部の間に備えている。従って、円筒形シャッター14,34を回転させることにより、レーザー光がアパチャー15,35,36,37を通過する状態と、レーザー光が反射材19,39で反射されて遮断される状態とを、切り替えることが可能になる。そして、2つの円筒形シャッター14,34の少なくとも一方を高速で回転させれば、レーザー光のON/OFFを高速で切り替えることが可能になる。
【0060】
また、円筒形シャッター14,34は、軸21,41を中心とする回転体であり、強固な立体構造を有し、軸21,41を中心として回転動作させるため、回転の際の空気抵抗の影響を受けにくい。これにより、円筒形シャッター14,34の回転速度を高くしても、安定して回転させることができる。
【0061】
また、レーザー光を遮断する際には、円筒形シャッター14,34の表面の反射材19,39でレーザー光を反射させて、その反射光18,38をレーザー吸収ブロック22,42で吸収させている。これにより、チョッパー・ディスクを使用した場合と比較して、円筒形シャッター14,34が吸収するレーザー光の量を大幅に低減することができ、高出力のレーザーをレーザー発振器2に使用することが可能になる。
【0062】
また、レーザー光の光路を、円筒形シャッター14,34の中心線からオフセットさせていることにより、入力レーザー12,32が反射材19,39に当たるときに垂直には当たらないため、反射して光源部側に戻る光量がほとんどない。これにより、レーザー発振器2の損傷を防止することが可能となる。特に、レーザー発振器2にファイバーレーザーを用いた場合には、反射波に対して影響を受けやすいため、有効である。
【0063】
そして、CWのゲート信号ON61あるいはパルス波のレーザーゲート信号ON61aと、アパチャー15,35,36,37の形状と、制御装置57及びラック・ピニオンギアー48の制御の組み合わせにより、広範囲なON/OFF制御が可能となる。これにより、任意のパルス幅やパルス間隔を有するバースト波を得ることができ、例えば、点線や破線などの微細なパターンで被加工材52を加工することが可能になる。
特に、
図5に示したような、高い周波数のパルス列を低い周波数の周期で繰り返すバースト波65a,67aを被加工材52に照射する、バーストモードを採用することにより、熱の影響の非常に少ない加工が可能となる。
【0064】
また、例えば、本実施の形態のレーザー加工装置1で得られるバースト波により、被加工材52である金属の表面にパターン加工を施した場合には、金属の表面に細かい溝を形成することが可能になる。そして、この溝内に接着剤が入り込むことにより、接着剤を介した金属と他の材料との接着性を向上することができる。
【0065】
なお、本実施の形態のレーザー加工装置において、エアーベアリング23,43の代わりに、ベアリングを設けて、ベアリングによって円筒形シャッター14,34の軸21,41を保持する構成とすることも可能である。
ただし、シャッターを超高速で回転させる場合には、ベアリングよりもエアーベアリングを、シャッターやスピンドル・モーターの軸に用いることが望ましい。
【0066】
本実施の形態では、第1のシャッターユニット11及び第2のシャッターユニット31に、円筒形シャッター14及び34を使用していたが、それぞれのシャッターユニットに、内部が空洞ではない円柱形シャッターを使用しても良い。また、円柱形の内部のうち、一部を空洞とした構成のシャッターを使用しても良い。
円柱形シャッターを使用する場合、円柱形シャッターの表面の2箇所のアパチャーを結ぶ貫通路を、円柱形シャッターの内部に形成する。そして、貫通路の内壁でレーザー光が乱反射しないように、吸収材によって円柱形シャッターを形成するか、貫通路の内壁に吸収材をコーティングすることが望ましい。
なお、シャッターを高速で回転させて使用する場合には、軽金属をシャッターに採用したり、シャッターへの加工によって軽量化を施したりすることが望ましい。
【0067】
本実施の形態では、
図4及び
図5において説明したように、第1のシャッターユニット11の円筒形シャッター14を高速で回転させ、第2のシャッターユニット31の円筒形シャッター34を低速で回転させていた。
これらのシャッターの配置を逆にして、光源部側の第1のシャッターユニットのシャッターを低速で回転させ、加工部側の第2のシャッターユニットのシャッターを高速で回転させる構成としても良い。
また、シャッターユニットを3つ以上配置しても構わない。
【0068】
<2.第2の実施の形態>
次に、本発明のレーザー加工装置の第2の実施の形態の概略構成図を、
図6A及び
図6Bに示す。
図6A及び
図6Bは、本実施の形態における、第1のシャッターユニット11のシャッター14Xの断面図(中心線に垂直な面における断面図)を示している。
なお、レーザー加工装置のその他の構成(光源部、第2のシャッターユニット、加工部)は、図示を省略しているが、
図1に示した第1の実施の形態のレーザー加工装置1と同様の構成とする。
【0069】
本実施の形態のシャッター14Xは、
図6A及び
図6Bに示すように、円筒形と円柱形との中間の形状であり、外形の円柱形の表面から途中のある程度の厚さまでは材料が充填されており、その内側は空洞となっている。
シャッター14Xの表面は、第1の実施の形態の円筒形シャッター14と同様に、反射材19となっている。
【0070】
シャッター14Xの側面の円周上に、アパチャー15Xが、ほぼ等間隔に4箇所開設されている。
アパチャー15Xの大きさは、
図1の第1の実施の形態のアパチャー15と同様に、レーザー光の光束より少し大きい程度となっている。また、各アパチャー15Xを結ぶように、充填された材料を貫通する貫通路27が、4本形成されている。
なお、貫通路27の内壁は、レーザー光を吸収する吸収材とすることが望ましい。そのため、円柱内に充填する材料を吸収材とするか、貫通路27の内壁に吸収材をコーティングする。
【0071】
本実施の形態の構成の場合、貫通路27が上下方向になったときに、即ち、アパチャー15Xの位置が中心線から約45°斜め上にあるときに、レーザー光が貫通路27を通過するように、光源部と第1のシャッターユニット11を配置する。従って、シャッター14Xの表面の反射材19で入力レーザー12が反射されたときには、
図6Bに示すように、反射光18がほぼ真横に進むので、レーザー吸収ブロック22をシャッター14Xへの入力レーザー12の照射位置の横に配置している。
【0072】
本実施の形態のシャッター14Xにおいて、アパチャー15Xが4箇所等間隔に形成され、貫通路27が4本あることにより、シャッター14Xの1回転で4回レーザー光が通過する。
第1の実施の形態では、円筒形シャッター14の1回転で1回レーザー光が通過していたので、本実施の形態では、同じシャッターの回転数で、第1の実施の形態の4倍のパルスもしくはパルス群が得られることになる。
【0073】
本実施の形態において、レーザー発振器としてCWレーザーを使用した場合のタイミングチャートを、
図7に示す。
第1のシャッターユニット11のシャッター14Xは、その回転(矢印20)に従って、図の左から右の状態に遷移する(矢印68)。これにより、CWレーザーON63の状態において、シャッター14Xのアパチャー15Xの径の大きさ及びシャッター14Xの回転速度によって決まる、CWバースト波69が得られる。
シャッター14Xの1/4回転毎に、貫通路27をレーザー光が通過して、CWバースト波69においてパルスが得られている。
図7では5つのパルスを示しているが、境界部にあるパルスを2つ示しているため、シャッター14Xが1回転する間に、CWバースト波69として、パルスが4つ得られる。
【0074】
続いて、第1のシャッターユニット11のシャッター14Xからのレーザー出力13をレーザー入力32として、第2のシャッターユニット31の円筒形シャッター34に照射する。
第2のシャッターユニット31の円筒形シャッター34は、その回転(矢印40)に従って、図の左から右の状態に遷移する(矢印66)。これにより、円筒形シャッター34のアパチャー36の開口度と回転(矢印40)の速度によってON/OFFする、レーザー出力33となり、CWレーザーによるバースト波70が得られる。
図7において、シャッター14Xの1回転の期間(1サイクル)74に、CWバースト波69では、4つの等間隔のパルスが得られており、バースト波70では、円筒形シャッター34によって4つ目のパルスが遮断されたことにより、3つのパルスが得られている。
【0075】
図7のタイミングチャートでは、一段目のシャッター14Xが高速回転であり、二段目の円筒形シャッター34が低速回転である。
そして、例えば、最高出力2kWのCWファイバーレーザーをレーザー発振器2に用いて、ピーク・エネルギー2kWのバースト波69が得られる。
【0076】
また、本実施の形態において、レーザー発振器としてパルス波レーザーを使用した場合のタイミングチャートを、
図8に示す。
図7の場合と同様に、第1のシャッターユニット11のシャッター14Xは、その回転(矢印20)に従って、図の左から右の状態に遷移する(矢印68)。これにより、パルス波レーザーON63aの状態において、シャッター14Xのアパチャー15Xの径の大きさ及びシャッター14Xの回転速度によって決まる、パルス波レーザーのバースト波69aが得られる。
図8では5つのパルス群を示しているが、境界部にあるパルス群を2つ示しているため、シャッター14Xが1回転する間に、パルス波レーザーのバースト波69aとして、パルス群が4つ得られる。
【0077】
続いて、第1のシャッターユニット11のシャッター14Xからのレーザー出力13をレーザー入力32として、第2のシャッターユニット31の円筒形シャッター34に照射する。
図7の場合と同様に、第2のシャッターユニット31の円筒形シャッター34は、その回転(矢印40)に従って、図の左から右の状態に遷移する(矢印66)。これにより、円筒形シャッター34のアパチャー36の開口度と回転(矢印40)の速度によってON/OFFする、レーザー出力33となり、パルス波レーザーによるバースト波70aが得られる。
図8において、シャッター14Xの1回転の期間(1サイクル)74に、バースト波69aでは、4つの等間隔のパルス群が得られており、バースト波70でaは、円筒形シャッター34によって4つ目のパルス群が遮断されたことにより、3つのパルス群が得られている。
【0078】
図8のタイミングチャートでは、一段目のシャッター14Xが高速回転であり、二段目の円筒形シャッター34が低速回転である。
例えば、1パルスのピーク・エネルギー6μJで繰り返し周波数4MHzのパルス波ファイバーレーザーを用いて、繰り返し周波数が低い、バースト波69a及びバースト波70aが得られる。
【0079】
本実施の形態のレーザー加工装置の構成によれば、第1のシャッターユニットのシャッター14Xが、表面が反射材19とされ、レーザー光が通過するアパチャー15Xが側面に形成され、中心線を通る軸21の周りに回転する、円柱状の構成である。従って、シャッター14Xを回転させることにより、レーザー光がアパチャー15Xを通過する状態と、レーザー光が反射材19で反射されて遮断される状態とを、切り替えることが可能になる。シャッター14Xを高速で回転させれば、レーザー光のON/OFFを高速で切り替えることが可能になる。
【0080】
また、シャッター14Xが軸21を中心とする回転体であり、強固な立体構造を有し、軸21を中心として回転動作させるため、回転の際の空気抵抗の影響を受けにくい。これにより、シャッター14Xの回転速度を高くしても、安定して回転させることができる。
【0081】
さらに、レーザー光を遮断する際には、円筒形シャッター14Xの表面の反射材19でレーザー光を反射させて、その反射光18をレーザー吸収ブロック22で吸収させている。これにより、チョッパー・ディスクを使用した場合と比較して、シャッター14Xが吸収するレーザー光の量を大幅に低減することができ、高出力のレーザーをレーザー発振器に使用することが可能になる。
【0082】
また、レーザー光の光路である貫通路27を、シャッター14Xの中心線からオフセットして形成しているため、入力レーザー12が反射して光源部側に戻る光量がほとんどなく、レーザー発振器の損傷を防止することが可能となる。特に、レーザー発振器2にファイバーレーザーを用いた場合には、反射波に対して影響を受けやすいため、有効である。
【0083】
そして、CWのゲート信号ON61あるいはパルス波のレーザーゲート信号ON61aと、アパチャー15X,36の形状と、制御装置及びラック・ピニオンギアーの制御の組み合わせにより、広範囲なON/OFF制御が可能となる。これにより、任意のパルス幅やパルス間隔を有するバースト波を得ることができ、例えば、点線や破線などの微細なパターンで被加工材を加工することが可能になる。
特に、
図8に示したような、高い周波数のパルス列を低い周波数の周期で繰り返すバースト波69a,70aを被加工材に照射する、バーストモードを採用することにより、熱の影響の非常に少ない加工が可能となる。
【0084】
また、例えば、本実施の形態のレーザー加工装置で得られるバースト波により、被加工材である金属の表面にパターン加工を施した場合には、金属の表面に細かい溝を形成することが可能になる。そして、この溝内に接着剤が入り込むことにより、接着剤を介した金属と他の材料との接着性を向上することができる。
【0085】
<3.第2の実施の形態の変形例>
(変形例1)
ここで、第2の実施の形態に対する変形例として、第1のシャッターユニットのシャッターの断面図を、
図9A及び
図9Bに示す。
【0086】
図9A及び
図9Bに示す変形例は、第1のシャッターユニットに、肉薄の円筒形シャッター14Yを使用した場合である。
この円筒形シャッター14Yは、等間隔に4つのアパチャー15Yが形成され、表面が反射材19とされている。そして、円筒形シャッター14Yの内部は、空洞となっている。
その他の構成は、
図6A及び
図6Bに示した、第2の実施の形態と同様である。
【0087】
本例では、円筒形シャッター14Yに、等間隔に4つのアパチャー15Yが形成されているので、円筒形シャッター14Yの1回転の間に、4つのパルスもしくは4つのパルス群が得られる。
【0088】
この変形例の円筒形シャッター14Yを採用した場合も、第2の実施の形態のシャッター14Xを採用した場合と同様の、作用効果が得られる。
【0089】
この円筒形シャッター14Yを作製するには、例えば、薄板を円筒状に形成した後にアパチャー15Yを形成し、円筒の両端部に円板を溶接して、さらに円板の中心に軸21Yを取り付ければ良い。
【0090】
(変形例2)
また、第2の実施の形態に対する他の変形例として、第1のシャッターユニットのシャッターの断面図を、
図10A及び
図10Bに示す。
【0091】
図10A及び
図10Bに示す変形例は、第1のシャッターユニットに、口径が他の例よりも大きい円筒形シャッター14Zを使用した場合である。
この円筒形シャッター14Zは、等間隔に4つのアパチャー15Zが形成され、表面が反射材19Zとされている。そして、円筒形シャッター14Zの内部は、中心部が軸21Zの周囲のある程度の厚さまで円柱状に充填され、円柱状の部分と表面の円筒の部分との間が空洞となっている。そして、矢印20Zで示すように軸21Zの周りに回転する。
アパチャー15Zは、
図6のアパチャー15Xや
図9のアパチャー15Yよりも大きく形成され、入力レーザー12の光束よりも十分に大きく形成されている。
また、本例のレーザー吸収ブロック22Zは、他の例のレーザー吸収ブロック22よりも少し大きく形成されている。
その他の構成は、
図6A及び
図6Bに示した、第2の実施の形態と同様である。
【0092】
本例では、円筒形シャッター14Zに、等間隔に4つのアパチャー15Zが形成されているので、円筒形シャッター14Zの1回転の間に4つのパルスもしくは4つのパルス群が得られる。
【0093】
この変形例の円筒形シャッター14Zを採用した場合も、第2の実施の形態のシャッター14Xを採用した場合と同様の、作用効果が得られる。
【0094】
<4.第3の実施の形態>
本発明の第3の実施の形態のレーザー加工装置の概略構成図(斜視図)を、
図11に示す。
本実施の形態では、
図11に示すレーザー加工装置81において、第1のシャッターユニット11a及び第2のシャッターユニット31aを、第1の実施の形態のレーザー加工装置1とは異なる構成としている。
なお、光源部及び加工部は、
図1に示した第1の実施の形態のレーザー加工装置1と同様の構成である。
【0095】
本実施の形態のレーザー加工装置81の第1のシャッターユニット11aは、半球形シャッター14aを用いている。また、第1のシャッターユニット11aは、半球形シャッター14aの左斜め上方に設けられた、レーザー吸収ブロック22aを備えている。
半球形シャッター14aは、外形が半球形であり、その球面(半球の端部の平面を含まない部分)に、レーザー光を通すアパチャー15aが設けられ、中心にある軸21aの周りに回転可能な構成とされている。
そして、半球形シャッター14aは、半球形シャッター14aを回転させるスピンドル・モーター24に接続されている。
なお、第1のシャッターユニット11aのうち、スピンドル・モーター24、エアーベアリング23、カプラー25、インターフェース26は、それぞれ第1の実施の形態のレーザー加工装置1と同様の構成である。
【0096】
半球形シャッター14aは、表面が反射材19aで形成されている。そして、半球形シャッター14aは、スピンドル・モーター24によって、矢印20で示すように軸21aを中心として回転駆動される。
半球形シャッター14aの球面に、アパチャー15aが数箇所形成されており、これらのアパチャー15aの間をレーザー光が通過することができる。
アパチャー15aの大きさは、通過するレーザー光の光束より、少し大きい程度となっている。
また、アパチャー15aは、通過するレーザー光の光路が、半球形シャッター14aの中心線を通るように形成されている。
そして、半球形シャッター14aが回転して、数箇所のうちの2箇所のアパチャー15aが上下になったときにレーザー光が通るように、光源部と半球形シャッター14aが相対配置されている。半球形シャッター14aに入力レーザー12aが当たる位置は、半球形シャッター14aの中心線の真上にある。
【0097】
回転軸となる軸21aは、半球形シャッター14aに一部貫通または表面に溶接、接着またはカシメなどで取り付けられた構成であり、レーザー光は半球形シャッター14aの内部を障害物無しに貫通する構成となる。
【0098】
半球形シャッター14aの回転により、入力レーザー12aが当たる半球形シャッター14aの位置が、アパチャー15a、あるいは、アパチャー15a以外の部分、というように変化する。
入力レーザー12aがアパチャー15aに当たったときは、アパチャー15aを通過して、下側のアパチャー15aから出射されて、出力レーザー13aとなる。
入力レーザー12aがアパチャー15a以外の部分に当たったときには、入力レーザー12aが半球形シャッター14aの表面の反射材19aで反射される。このとき、入力レーザー12aが半球形シャッター14aの曲面の最上部ではない部分に照射されるので、反射材19aで反射された入力レーザー12aは、入射側(真上)に戻ることなく、左上方のレーザー吸収ブロック22aに向かい、レーザー吸収ブロック22aで吸収される。
【0099】
半球形シャッター14aは、例えば、金属、セラミック、グラファイト、合成樹脂などにより形成することができる。
また、半球形シャッター14aに反射率の高い材料を使用して、そのまま反射材19aとしても良く、半球形シャッター14aに反射率の高くない材料を使用して、表面に反射率の高い材料によって反射膜を形成して反射材19aとしても良い。
半球形シャッター14aの内部は空洞になっている。半球形シャッター14aは、高速回転に対応するために軽量化することが望ましく、また、回転の精度を向上させるためにバランスの工夫をすることが望ましい。
【0100】
さらに、半球形シャッター14aの内面でのレーザー光の乱反射を防ぐために、レーザー光を吸収する吸収材が、半球形シャッター14aの内面に形成されていることが望ましい。
半球形シャッター14aに反射率の高い材料を使用した場合には、半球形シャッター14aの内面に吸収材をコーティングする。
半球形シャッター14aに吸収材を使用した場合には、内面はそのままとする。
また、半球形シャッター14aの材料に、反射率や吸収率は高くないが、軽くて丈夫な材料を使用して、表面に反射膜を形成して、内面に吸収材をコーティングしても良い。
【0101】
レーザー吸収ブロック22aには、レーザー・エネルギーの強度に応じて、空冷または水冷またはペルチェ素子などの冷却器を設ける。
また、レーザー吸収ブロック22aが、レーザーパワーメーターのセンサーを兼ねる構成としても良い。
【0102】
本実施の形態のレーザー加工装置61の第2のシャッターユニット31aは、レーザー光を通す3種類のアパチャー35a,36a,37aが設けられ、中心にある軸41aの周りに回転可能な構成とされた円筒形シャッター34aと、円筒形シャッター34aを回転させるスピンドル・モーター44と、円筒形シャッター34a及びスピンドル・モーター44を図中左右方向に移動させるラック・ピニオンギアー48を、備えている。また、円筒形シャッター34aの斜め上方に設けられたレーザー吸収ブロック42aを備えている。
【0103】
円筒形シャッター34aは、外形が円柱形であって内部が空洞である、円筒形となっており、表面が反射材39aで形成されている。また、円筒形シャッター34aは、外形の中心線を通る軸41aが設けられ、スピンドル・モーター44によって、矢印40で示すように軸41aを中心として回転駆動される。
なお、第2のシャッターユニット31aのうち、スピンドル・モーター44、エアーベアリング43、カプラー45、インターフェース46、ラック・ピニオンギアー48は、それぞれ第1の実施の形態のレーザー加工装置1と同様の構成である。
【0104】
円筒形シャッター34aには、開口の寸法形状が異なる3種類のアパチャー35a,36a,37aがそれぞれ形成されており、それぞれのアパチャー35a,36a,37aの間をレーザー光が通過することができる。
このうち、円筒形シャッター34aの中央のアパチャー36aは、第1の実施の形態の円筒形シャッター34の左のアパチャー35と同じ構成である。円筒形シャッター34aの右のアパチャー37aは、第1の実施の形態の円筒形シャッター34の右のアパチャー37と同じ構成である。
円筒形シャッター34aの左のアパチャー35aは、数箇所に等間隔で形成されている。
それぞれのアパチャー35a,36a,37aは、通過するレーザー光の光路が、円筒形シャッター34aの中心線からオフセットしているように形成されている。円筒形シャッター34に入力レーザー32aが当たる位置は、アパチャー35a,36a,37aの位置に対応して、円筒形シャッター34aの中心線の真上からオフセットされている。
【0105】
第2のシャッターユニット31aの円筒形シャッター34aに対しては、第1のシャッターユニット11aの半球形シャッター14aから出射された出力レーザー13aが、入力レーザー32aとして入力される。
円筒形シャッター34aの回転により、入力レーザー32aが当たる円筒形シャッター34aの位置が、アパチャー35a,36a,37a、あるいは、アパチャー35a,36a,37a以外の部分、というように変化する。
入力レーザー32aがアパチャー35a,36a,37aに当たったときは、アパチャー35a,36a,37aを通過して、下側のアパチャー35a,36a,37aから出射されて、出力レーザー33aとなる。
入力レーザー32aがアパチャー35a,36a,37a以外の部分に当たったときには、入力レーザー32aが円筒形シャッター34aの表面の反射材39aで反射される。このとき、入力レーザー32aが円筒形シャッター34aの中心線の真上からオフセットされた位置に照射されるので、反射材39aで反射された入力レーザー32aは、入射側に戻ることなく、レーザー吸収ブロック42aに向かい、レーザー吸収ブロック42aで吸収される。
【0106】
円筒形シャッター34aは、例えば、金属、セラミック、グラファイト、合成樹脂などにより形成することができる。
また、円筒形シャッター34aの材質や反射材39aや吸収材の構成は、第1の実施の形態の円筒形シャッター34と同様とすることができる。
【0107】
レーザー・エネルギーが強い場合、レーザー吸収ブロック42aには、空冷または水冷またはペルチェ素子などの冷却器を設ける。
また、レーザー吸収ブロック42aが、レーザーパワーメーターのセンサーを兼ねる構成としても良い。このような構成とした場合、レーザーが常時反射する場所において、レーザーパワーの測定が可能となる。
【0108】
さらに、第2のシャッターユニット31aは、ラック・ピニオンギアー48によって、円筒形シャッター34a及びスピンドル・モーター44を、矢印49で示すように、図中左右方向に移動させることができる。これにより、入力レーザー32aが通過するアパチャーを、3種類のアパチャー35a,36a,37aの間で切り替えることが可能である。
左側のアパチャー35a及び中央のアパチャー36aは、通過するレーザー光の光束より、少し大きい程度に形成されている。
右側のアパチャー37aは、左側に向かうほど開口幅が狭くなる、扇形に形成されている。この構成により、ラック・ピニオンギアー48の動作で、このアパチャー37aに入力レーザー32aが当たる位置を変えることにより、入力レーザー32aに対するアパチャー37aの開口幅を変えて、バースト波レーザーの発生タイミングを変えることが可能である。そして、ラック・ピニオンギアー48を連続的に動作させることにより、バースト波レーザーの発生タイミングを連続的に変えることも可能になる。
図11では、入力レーザー32aが通る位置には、円筒形シャッター34aの中央のアパチャー36aがあり、入力レーザー32aがアパチャー36aを通過し、下側のアパチャー36aから出射して、出力レーザー33aとなっている。
【0109】
第2のシャッターユニット31aの円筒形シャッター34aから出射した出力レーザー33は、光学系ユニット50によって集束されることにより、集光レーザー51となって、被加工材52に結像して照射され、被加工材52が加工される。
そして、被加工材52が載置されたX−Yテーブル53を、X軸方向(矢印54)またはY軸方向(矢印55)に動かすことにより、被加工材52の加工される位置を変えることができる。
【0110】
第1のシャッターユニット11a及び第2のシャッターユニット31aにおいて、半球形シャッター14aと円筒形シャッター34aが回転駆動されて、アパチャー15a,35a,36a,37aの位置が変わることにより、レーザー光がON/OFF制御される。これにより、被加工材52に照射される集光レーザー51を、バースト波レーザーとすることができる。
【0111】
半球形シャッター14a及び円筒形シャッター34aの動作、光学系ユニット50の動作、並びに、X−Yテーブル53のX軸方向54やY軸方向55の動作との組み合わせにより、被加工材52上にレーザービームを走査することによって、連続線または点線または破線を組み合わせた、レーザー加工結果56を得ることが可能である。
【0112】
また、本実施の形態において、第1のシャッターユニット11aの半球形シャッター14aの断面図を
図12Aに示し、第1のシャッターユニット11aでレーザー光が遮断されている状態を
図12Bに示す。なお、
図12Bでは、第2のシャッターユニット31aの図示を省略している。
図12Aに示すように、半球形シャッター14aの上のアパチャー15aに当たった入力レーザー12aは、半球形シャッター14aの断面の円の中心部を通過して、下のアパチャー15aから出射して、出力レーザー13aとなる。
図12Bに示すように、半球形シャッター14aの表面の反射材19aに当たった入力レーザー12aは、反射材19aで反射されて左斜め上方に向かう反射光18aとなり、レーザー吸収ブロック22aで吸収される。
【0113】
本実施の形態において、レーザー光のON/OFF制御は、
図4〜
図5、
図7〜
図8に示した先の各実施の形態と同様の手法により、行うことができる。
【0114】
図12Aでは、半球形シャッター14aに、アパチャー15aが等間隔に10個形成されている。
これにより、半球形シャッター14aが1回転する間に、出力レーザー13aとして、10個のパルス波、もしくは10個のパルス群が得られる。
【0115】
図12Aに示すように、第1のシャッターユニット11aの半球形シャッター14aのアパチャー15aの数が10個で、半球形シャッター14aの回転数が毎分20万回転とした場合には、3.3kHz×10=33kHzの高い繰り返し周波数を得る。
さらに超高速の回転を得る手段としては、例えば、英国ABL社製の高周波・空気軸受を備えたスピンドル・モーターやウエストウインドのエアスピンドルがあり、負荷が無い状態で毎分30万回転が可能とされている。
また、例えば、入手が容易な毎分5万回転の高速スピンドル・モーターでは、毎秒833回転であり、0.833kHzとなる。例えば、
図12Aに示すように半球形シャッター14aを適用してアパチャー15aが10個の場合は、8.3kHzの繰り返し周波数を得る。
【0116】
上述の本実施の形態のレーザー加工装置81の構成によれば、表面が反射材19a,39aとされ、レーザー光が通過するアパチャー15a,35a,36a,37aが形成され、中心線を通る軸の周りに回転する、半球形シャッター14aと円筒形シャッター34aを、光源部と加工部の間に備えている。従って、半球形シャッター14aと円筒形シャッター34aを回転させることにより、レーザー光がアパチャー15a,35a,36a,37aを通過する状態と、レーザー光が反射材19a,39aで反射されて遮断される状態とを、切り替えることが可能になる。そして、2つのシャッター14a,34aの少なくとも一方を高速で回転させれば、レーザー光のON/OFFを高速で切り替えることが可能になる。
【0117】
また、半球形シャッター14a及び円筒形シャッター34aは、軸21a,41aを中心とする回転体であり、強固な立体構造を有し、軸21a,41aを中心として回転動作させるため、回転の際の空気抵抗の影響を受けにくい。これにより、高速で回転させても安定して回転させることができる。
さらに、レーザー光を遮断する際には、それぞれのシャッター14a,34aの表面の反射材19a,39aでレーザー光を反射させて、その反射光をレーザー吸収ブロック22a,42aで吸収させている。これにより、それぞれのシャッター14a,34aが吸収するレーザー光の量を、チョッパー・ディスクと比較して大幅に低減することができ、高出力のレーザーをレーザー発振器2に使用することが可能になる。
【0118】
また、入力レーザー12aを、半球形シャッター14aの端部の平面ではない球面に照射しているため、入力レーザー12aが反射して光源部側に戻ることがほとんどなく、レーザー発振器2の損傷を防止することが可能となる。特に、レーザー発振器2にファイバーレーザーを用いた場合、反射波に対して影響を受けやすいため、有効である。
【0119】
そして、ゲート信号のON状態と、アパチャー15a,35a,36a,37aの形状と、制御装置57及びラック・ピニオンギアー48の制御の組み合わせにより、広範囲なON/OFF制御が可能となる。これにより、任意のパルス幅やパルス間隔を有するバースト波を得ることができ、例えば、点線や破線などの微細なパターンで被加工材52を加工することが可能になる。
【0120】
また、例えば、本実施の形態のレーザー加工装置81で得られるバースト波により、被加工材52である金属の表面にパターン加工を施した場合には、金属の表面に細かい溝を形成することが可能になる。そして、この溝内に接着剤が入り込むことにより、接着剤を介した金属と他の材料との接着性を向上することができる。
【0121】
上述の第3の実施の形態では、半球形シャッター14aを使用していたが、半球形シャッター14aの代わりに、球形シャッターを使用することも可能である。ただし、球形シャッターを使用する場合には、入力レーザーが球形シャッターの表面に垂直に当たると反射光が光源側に戻るため、入力レーザーが球形シャッターの表面に垂直に当たらないように配置することが望ましい。そのためには、アパチャーを通過するレーザー光の光路を、球形シャッターの球の中心を通らないようにオフセットさせれば良い。
【0122】
<5.第4の実施の形態>
本発明の第4の実施の形態のレーザー加工装置の概略構成図(斜視図)を、
図13A及び
図13Bに示す。
本実施の形態では、シャッター部のシャッターとして、
図13A及び
図13Bに示す円錐形シャッター14bを用いている。
図13Aは、レーザー光が円錐形シャッター14bを通過する場合を示している。
図13Bは、レーザー光が円錐形シャッター14bで遮断される場合を示している。
なお、光源部及び加工部は、
図1に示した第1の実施の形態のレーザー加工装置1と同様の構成である。
【0123】
本実施の形態の円錐形シャッター14bは、円錐形の外形で側面にレーザー光を通すアパチャー15bが設けられ、中心線を通る軸21bの周りに回転可能な構成とされている。
円錐形シャッター14bは、表面が反射材19bで形成されている。そして、円錐形シャッター14bは、図示しないスピンドル・モーターによって、矢印20bで示すように軸21bを中心として回転駆動される。
円錐形シャッター14bには、その曲面の部分に、アパチャー15bが図示しないものも含めて4箇所形成されており、これらのアパチャー15bの間をレーザー光が通過することができる。
アパチャー15bの大きさは、通過するレーザー光の光束より、少し大きい程度となっている。
また、アパチャー15bは、通過するレーザー光の光路が、円錐形シャッター14bの中心線を通るように形成されている。
そして、円錐形シャッター14bが回転して、4箇所のうちの2箇所のアパチャー15bが上下になったときにレーザー光が通るように、光源部と円錐形シャッター14bが相対配置されている。円錐形シャッター14bに入力レーザー12bが当たる位置は、円錐形シャッター14bの中心線の真上にある。
【0124】
回転軸となる軸21bは、円錐形シャッター14bに一部貫通または表面に溶接、接着またはカシメなどで取り付けられた構成であり、レーザー光は円錐形シャッター14bの内部を障害物無しに貫通する構成となる。
【0125】
円錐形シャッター14bの回転により、入力レーザー12bが当たる円錐形シャッター14bの位置が、アパチャー15b、あるいは、アパチャー15b以外の部分、というように変化する。
入力レーザー12bがアパチャー15bに当たったときは、アパチャー15bを通過して、下側のアパチャー15bから出射されて、出力レーザー13bとなる。
入力レーザー12bがアパチャー15b以外の部分に当たったときには、入力レーザー12bが円錐形シャッター14bの表面の反射材19bで反射される。このとき、入力レーザー12bが円錐形シャッター14bの曲面に照射されるので、反射材19bで反射された入力レーザー12bは、入射側(真上)に戻ることなく、
図13Bに示すように、左上方のレーザー吸収ブロック22bに向かう反射光18bとなり、レーザー吸収ブロック22bで吸収される。
【0126】
円錐形シャッター14bは、例えば、金属、セラミック、グラファイト、合成樹脂などにより形成することができる。
また、円錐形シャッター14bの材質や反射材や吸収材の構成、レーザー吸収ブロック22bを冷却する構成は、それぞれ前述した各実施の形態と同様の構成とすることができる。
【0127】
円錐形シャッター14bが回転駆動されて、アパチャー15bの位置が変わることにより、レーザー光がON/OFF制御される。これにより、被加工材52に照射される集光レーザー51を、バースト波レーザーとすることができる。
【0128】
本実施の形態の円錐形シャッター14bは、
図13Aに示すように、単独でシャッター部のシャッターを構成しても良いが、
図1や
図11に示した各実施の形態の第2のシャッターユニット31,31aの円筒形シャッター34,34aを組み合わせても良い。
【0129】
上述の本実施の形態のレーザー加工装置の構成によれば、表面が反射材19bとされ、レーザー光が通過するアパチャー15bが形成され、中心線を通る軸21bの周りに回転する、円錐形シャッター14bを、光源部と加工部の間に備えている。従って、円錐形シャッター14bを回転させることにより、レーザー光がアパチャー15bを通過する状態と、レーザー光が反射材19bで反射されて遮断される状態とを、切り替えることが可能になる。そして、円錐形シャッター14bを高速で回転させれば、レーザー光のON/OFFを高速で切り替えることが可能になる。
【0130】
また、円錐形シャッター14bは、軸21bを中心とする回転体であり、強固な立体構造を有し、軸21bを中心として回転動作させるため、回転の際の空気抵抗の影響を受けにくい。これにより、高速で回転させても安定して回転させることができる。
さらに、レーザー光を遮断する際には、円錐形シャッター14bの表面の反射材19bでレーザー光を反射させて、その反射光18bをレーザー吸収ブロック22bで吸収させている。これにより、円錐形シャッター14bが吸収するレーザー光の量を、チョッパー・ディスクと比較して大幅に低減することができ、高出力のレーザーをレーザー発振器に使用することが可能になる。
【0131】
また、入力レーザー12bを、円錐形シャッター14bの側面に照射していることにより、入力レーザー12bが反射材19bに当たるときに垂直には当たらないため、反射して光源部側に戻ることがほとんどなく、レーザー発振器の損傷を防止することが可能となる。特に、レーザー発振器にファイバーレーザーを用いた場合、反射波に対して影響を受けやすいため、有効である。
【0132】
そして、ゲート信号のON状態と、アパチャー15bの形状と、制御装置及びラック・ピニオンギアーの制御の組み合わせにより、広範囲なON/OFF制御が可能となる。
【0133】
また、例えば、本実施の形態のレーザー加工装置で得られるバースト波により、被加工材である金属の表面にパターン加工を施した場合には、金属の表面に細かい溝を形成して、接着剤を介した金属と他の材料との接着性を向上することができる。
【0134】
<6.第5の実施の形態>
本発明の第5の実施の形態のレーザー加工装置の概略構成図(斜視図)を、
図14A及び
図14Bに示す。
本実施の形態では、シャッター部のシャッターとして、
図14A及び
図14Bに示す多角錐形シャッター14cを用いている。
図14Aは、レーザー光が多角錐形シャッター14cを通過する場合を示している。
図14Bは、レーザー光が多角錐形シャッター14cで遮断される場合を示している。
なお、光源部及び加工部は、
図1に示した第1の実施の形態のレーザー加工装置1と同様の構成である。
【0135】
本実施の形態の多角錐形シャッター14cは、多角錐形の外形で側面にレーザー光を通すアパチャー15cが設けられ、中心線を通る軸21cの周りに回転可能な構成とされている。
多角錐形シャッター14cは、表面が反射材19cで形成されている。そして、多角錐形シャッター14cは、図示しないスピンドル・モーターによって、矢印20cで示すように軸21cを中心として回転駆動される。
図14A及び
図14Bにおいて、多角錐形シャッター14cは六角錐形状であり、多角錐形シャッター14cには、アパチャー15cが側面の境界の稜を中心とした部分に合計2箇所形成されており、これらのアパチャー15cの間をレーザー光が通過することができる。
アパチャー15cの大きさは、通過するレーザー光の光束より、少し大きい程度となっている。
また、アパチャー15cは、通過するレーザー光の光路が、多角錐形シャッター14cの中心線を通るように形成されている。
そして、多角錐形シャッター14cが回転して、2箇所のアパチャー15cが上下になったときにレーザー光が通るように、光源部と多角錐形シャッター14cが相対配置されている。多角錐形シャッター14cに入力レーザー12cが当たる位置は、多角錐形シャッター14cの中心線の真上にある。
【0136】
なお、
図14A及び
図14Bでは、多角錐形シャッター14cを六角錐形状としているが、多角錐形シャッターは六角錐形状に限定されず、三角錐以上の任意の多角錐の形状を採用することが可能である。より好ましくは、反射光の広がり具合や多角錐形状の作製の容易性などを考慮して、四角錐形状、六角錐形状、八角錐形状のいずれかとする。
【0137】
回転軸となる軸21cは、多角錐形シャッター14cに一部貫通または表面に溶接、接着またはカシメなどで取り付けられた構成であり、レーザー光は多角錐形シャッター14cの内部を障害物無しに貫通する構成となる。
【0138】
多角錐形シャッター14cの回転により、入力レーザー12cが当たる多角錐形シャッター14cの位置が、アパチャー15c、あるいは、アパチャー15c以外の部分、というように変化する。
入力レーザー12cがアパチャー15cに当たったときは、アパチャー15cを通過して、下側のアパチャー15cから出射されて、出力レーザー13cとなる。
入力レーザー12cがアパチャー15c以外の部分に当たったときには、入力レーザー12cが多角錐形シャッター14cの表面の反射材19cで反射される。このとき、入力レーザー12cが多角錐形シャッター14cの側面もしくは側面の境界の稜付近に照射されるので、反射材19cで反射された入力レーザー12cは、入射側(真上)に戻ることなく、
図14Bに示すように、左上方のレーザー吸収ブロック22cに向かう反射光18cとなり、レーザー吸収ブロック22cで吸収される。
【0139】
多角錐形シャッター14cは、例えば、金属、セラミック、グラファイト、合成樹脂などにより形成することができる。
また、多角錐形シャッター14cの材質や反射材や吸収材の構成、レーザー吸収ブロック22cを冷却する構成は、それぞれ前述した各実施の形態と同様の構成とすることができる。
【0140】
多角錐形シャッター14cが回転駆動されて、アパチャー15cの位置が変わることにより、レーザー光がON/OFF制御される。これにより、被加工材52に照射される集光レーザー51を、バースト波レーザーとすることができる。
【0141】
本実施の形態の多角錐形シャッター14cは、
図14Aに示すように、単独でシャッター部のシャッターを構成しても良いが、
図1や
図11に示した各実施の形態の第2のシャッターユニット31,31aの円筒形シャッター34,34aを組み合わせても良い。
【0142】
上述の本実施の形態のレーザー加工装置の構成によれば、表面が反射材19cとされ、レーザー光が通過するアパチャー15cが形成され、中心線を通る軸21cの周りに回転する、多角錐形シャッター14cを、光源部と加工部の間に備えている。従って、多角錐形シャッター14cを回転させることにより、レーザー光がアパチャー15cを通過する状態と、レーザー光が反射材19cで反射されて遮断される状態とを、切り替えることが可能になる。そして、多角錐形シャッター14cを高速で回転させれば、レーザー光のON/OFFを高速で切り替えることが可能になる。
【0143】
また、多角錐形シャッター14cは、強固な立体構造を有し、回転体である円錐形に近い六角錐形状であり、軸21cを中心として回転動作させるため、回転の際の空気抵抗の影響を受けにくい。これにより、高速で回転させても安定して回転させることができる。
さらに、レーザー光を遮断する際には、多角錐形シャッター14cの表面の反射材19cでレーザー光を反射させて、その反射光18cをレーザー吸収ブロック22cで吸収させている。これにより、多角錐形シャッター14cが吸収するレーザー光の量を、チョッパー・ディスクと比較して大幅に低減することができ、高出力のレーザーをレーザー発振器に使用することが可能になる。
【0144】
また、入力レーザー12cを、多錐形シャッター14cの側面及びその境界の稜に照射していることにより、入力レーザー12cが反射材19cに当たるときに垂直には当たらないため、反射して光源部側に戻ることがほとんどなく、レーザー発振器の損傷を防止することが可能となる。特に、レーザー発振器にファイバーレーザーを用いた場合、反射波に対して影響を受けやすいため、有効である。
【0145】
そして、ゲート信号のON状態と、アパチャー15cの形状と、制御装置及びラック・ピニオンギアーの制御の組み合わせにより、広範囲なON/OFF制御が可能となる。
【0146】
また、例えば、本実施の形態のレーザー加工装置で得られるバースト波により、被加工材である金属の表面にパターン加工を施した場合には、金属の表面に細かい溝を形成して、接着剤を介した金属と他の材料との接着性を向上することができる。
【0147】
上述の各実施の形態では、反射材で反射した反射光をレーザー吸収ブロックで吸収する構成としていた。そして、レーザー吸収ブロックを、反射光の広がる範囲より少し大きい構成としていた。
本発明では、反射光を吸収するレーザー吸収体は、ブロック状に限定されるものではなく、板状など、その他の構成も可能である。また、レーザー吸収体を設ける範囲は、シャッターの軸の周りの回転駆動や入力レーザー及び出力レーザーの光路を妨げない限り、任意の範囲とすることが可能である。例えば、シャッターの周りを囲んで、入力レーザー及び出力レーザーの光路の部分に開口を設けた構成も可能である。
【0148】
上述の各実施の形態では、いずれも、シャッターの回転の軸(シャッターの中心線)の方向と、シャッターを通過するレーザー光の光路の方向とが垂直になっていた。
本発明では、これらの方向が垂直である構成に限定されず、例えば、これら2つの方向のなす角度が90°よりある程度まで小さい構成とすることも可能である。なす角度の許容範囲はシャッターの構成によるが、例えば90°〜45°のような範囲となる。この構成とする場合には、レーザー光の光路に合わせて、シャッターのアパチャーやレーザー吸収ブロックを適切な位置に形成すれば良い。
なお、従来のチョッパー・ディスクの場合は、ディスクの回転軸の方向と通過するレーザー光の光路の方向が平行もしくは平行に近いため、本発明とは構成が異なる。
上述の各実施の形態のように、シャッターの回転の軸の方向とレーザー光の光路の方向を垂直とすると、レーザー加工装置の設計や各部の配置が容易になる利点を有する。
【0149】
第1〜第3の各実施の形態では、2つのシャッターユニットを設けていたが、各実施の形態の2つのシャッターユニットのうちのいずれか一方のみでシャッター部を構成することも可能である。
【0150】
本発明において、シャッターから出力される、レーザー光のパルスのデューティー比は、シャッターのアパチャーの間隔で決定される。
この点は、上述した各実施の形態の構成にも当てはまるが、
図1や
図11の構成などのように、シャッターが複数ある場合には、主にパルス幅を規定するシャッターのアパチャーの間隔によってデューティー比が決定される。
【0151】
本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でその他様々な構成が取り得る。
また、各実施の形態の構成は、本発明の範囲内で、適宜、変形や組み合わせをすることができる。例えば、第2の実施の形態のシャッター14Xで採用していた貫通路を、他の形状(半球形、球形、円錐形、多角錐形)のシャッターにも適用することが可能である。