特許第6209049号(P6209049)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6209049
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】営業支援端末
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/00 20120101AFI20170925BHJP
   G06Q 30/02 20120101ALI20170925BHJP
【FI】
   G06Q10/00
   G06Q30/02
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-218379(P2013-218379)
(22)【出願日】2013年10月21日
(65)【公開番号】特開2015-82136(P2015-82136A)
(43)【公開日】2015年4月27日
【審査請求日】2016年9月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000155469
【氏名又は名称】株式会社野村総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100080001
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 大和
(74)【代理人】
【識別番号】100093023
【弁理士】
【氏名又は名称】小塚 善高
(74)【代理人】
【識別番号】100117008
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 章子
(72)【発明者】
【氏名】小木曽 功一
(72)【発明者】
【氏名】吉本 憲文
【審査官】 青柳 光代
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−129312(JP,A)
【文献】 特開2002−259363(JP,A)
【文献】 特開2011−065270(JP,A)
【文献】 特開2010−073110(JP,A)
【文献】 特開2008−047960(JP,A)
【文献】 特開2001−350909(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
営業担当者が営業活動を行う対象とする1人以上の顧客の顧客情報を、営業担当者からの指示により切り替えて、個人情報をマスクした上で表示する営業支援端末であって、
表示対象とする顧客を前記営業担当者が指示するための識別表示として、当該顧客名の仮名の先頭1文字のみを表示するマスク処理部を有する、営業支援端末。
【請求項2】
請求項1に記載の営業支援端末において、
前記マスク処理部は、前記識別表示として、前記顧客名の仮名の先頭1文字に加えて、前記顧客の属性を示す画像データを表示する、営業支援端末。
【請求項3】
請求項1または2に記載の営業支援端末において、
前記マスク処理部は、顧客情報を表示する際に、対象の顧客についての個人情報をブランクにより非表示とすることでマスクする、営業支援端末。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の営業支援端末において、
前記マスク処理部は、前記営業担当者が顧客から収集した顧客情報を表示する際に、当該顧客情報の各項目について、それぞれ、値が存在する場合には当該値を所定のマスク文字列によって置換して表示し、値が存在しない場合にはブランクを表示する、営業支援端末。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の営業支援端末において、
顧客情報として顧客の住所に対応する位置を含む近辺の地図情報を表示し、当該地図における前記位置に指示画像を表示する、営業支援端末。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、営業担当者の営業活動を支援する技術に関し、特に、証券会社等の金融機関における営業活動を支援する営業支援端末に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、証券会社等の金融機関では、営業担当者の営業活動に際して、CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)システム等を用いて顧客情報を管理するとともに、営業担当者が営業活動に携行するタブレット端末などの携帯型端末によって顧客情報や営業資料等を外出先においても参照可能としたり、営業実績を記録したり等の処理を行うSFA(Sales Force Automation:営業支援システム)が活用され、営業活動の効率化が図られている。
【0003】
このような仕組みで用いられる携帯型端末(以下では、このような携帯型端末を「営業支援端末」と記載する場合がある)では、金融機関における“個人”情報に対する取り扱いが厳しいことから、顧客の個人情報や重要情報など、営業支援端末にダウンロードやコピーして持ち出すことができない情報と、個人情報や重要情報に該当しない顧客の情報や、パンフレットなどの共通の営業資料など、営業支援端末にダウンロードやコピーして持ち出すことができる情報とを分類し、それぞれに対してアクセス権やアクセス方法などの管理が行われる場合がある。しかしながら、営業活動をする上では、重要な“顧客”情報について携帯型端末で参照できるようにすることが効果的かつ重要である。そこで、“個人”情報をうまくマスキングすることで、携帯型端末上でも“顧客”情報を取り扱えるようにする仕組みが要望される。
【0004】
このような分野での技術として、例えば、特開2009−129312号公報(特許文献1)には、店舗端末、携帯端末、イントラネットサーバ、ホストコンピュータ、およびWebサイトを提供する情報照会サーバを備え、個人情報の漏洩リスクを排除し、情報セキュリティを確保した渉外営業支援システムが記載されている。ここでは、イントラネットサーバは、事前登録画面提供部、データ登録部、データ抽出部、マスク処理部、データ送信部、シミュレーション処理部、顧客情報DB、および対象顧客DBを備え、また、前記情報照会サーバは、Webサイト提供部、データ受信部、および照会DBを備え、営業担当者は、携帯端末を用いて、Webサイト提供部によって提供されるWebサイトを参照することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−129312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されたような従来技術によれば、訪問先の顧客に関する情報を営業支援端末上で表示する際に、個人情報に係る部分を“*”(アスタリスク)などの任意のマスク文字で置換してマスキングすることで、端末の紛失・盗難や画面の覗き見等による個人情報の漏洩を防止することができる。しかしながら、このようなマスキングの場合は、マスク文字の位置や数などから元のデータに対してある程度の推測が可能となる場合が生じ得る。
【0007】
逆に、各種の情報についてマスキングを過度に強化すると、営業担当者が情報を参照しても、何の情報であるのかや、どのような情報が設定されているのかを把握できない場合も生じ得る。特に、上述したような携帯型端末による営業支援端末では、営業活動の便宜のために、外出時に訪問予定の複数の顧客の情報を一度に持ち出したり参照可能としたりする。このとき、例えば、各顧客についての情報を効率よく参照可能とするため、顧客毎にタブに分けて画面上に表示するユーザインタフェースが採用される場合があるが、顧客の氏名等も含めて個人情報を過度にマスキングしてしまうと、どのタブにどの顧客の情報が表示されているかすら把握できなくなってしまう場合も生じ得る。
【0008】
そこで本発明の目的は、外出先等において営業支援端末に複数の顧客の“顧客”情報を表示する際に、マスキングが必要な“個人”情報について営業担当者がある程度内容を把握可能な態様でマスキングし、また、“個人”情報がマスキングされていても、営業担当者が参照対象の“顧客”情報を特定することが可能な営業支援端末を提供することにある。
【0009】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0011】
本発明の代表的な実施の形態による営業支援端末は、営業担当者が営業活動を行う対象とする1人以上の顧客の顧客情報を、営業担当者からの指示により切り替えて、個人情報をマスクした上で表示する端末であって、表示対象とする顧客を前記営業担当者が指示するための識別表示として、当該顧客名の仮名の先頭1文字のみを表示するマスク処理部を有するものである。
【発明の効果】
【0012】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0013】
すなわち、本発明の代表的な実施の形態によれば、外出先等において営業支援端末に複数の顧客の“顧客”情報を表示する際に、マスキングが必要な“個人”情報について営業担当者がある程度内容を把握可能な態様でマスキングし、また、“個人”情報がマスキングされていても、営業担当者が参照対象の“顧客”情報を特定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施の形態である営業支援端末を有する営業支援システムの構成例について概要を示した図である。
図2】本発明の一実施の形態における顧客の情報をマスキングする画面例について概要を示した図である。
図3】本発明の一実施の形態における顧客の情報をマスキングする他の画面例について概要を示した図である。
図4】本発明の一実施の形態における顧客の情報をマスキングする他の画面例について概要を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0016】
本発明の一実施の形態である営業支援端末を有する営業支援システムは、証券会社等の金融機関において、営業担当者の営業活動を支援するためのCRMシステムやSFAとしての機能を有する情報処理システムであり、顧客情報を管理するとともに、営業担当者が営業活動に携行するタブレット端末などの携帯型端末からなる営業支援端末によって顧客情報や営業資料等を外出先においても参照可能としたり、営業実績を記録したり等の処理を行うことによって営業活動の効率化を図るシステムである。
【0017】
本実施の形態では、営業活動の対象となる1人以上の顧客の顧客情報を営業支援端末にタブによって切り替え可能な態様で表示する。その際、各顧客の情報を識別可能とするためにタブのタイトル(識別表示)として顧客名を表示するが、顧客名をそのまま表示すると“個人”情報に該当してしまい、金融機関の顧客の情報を取り扱う情報処理システムとしては適切ではない。そこで、顧客名をそのまま表示するのではなく、マスキングの一態様として顧客名の“かな”の先頭の1文字目だけを表示する。これにより、一般的には、一文字の“かな”を見ただけではそこから顧客名を特定することはほぼ不可能であるが、顧客情報を自ら取得して表示させている営業担当者にとっては、“かな”1文字あればどの顧客のことであるかを特定することが実質的に可能となる。
【0018】
また、特定された顧客の顧客情報を表示する際にも、単に“個人”情報に該当する項目における全部もしくは一部の文字をマスク文字によって置換するのではなく、画面表示の内容や項目に応じてマスキングの手法を適宜変更する。これにより、第三者にとってはマスキングされた画面を見ただけではその内容を全く把握することはできない、すなわち、“個人”情報が特定されることはないが、顧客情報を自ら取得して表示させている営業担当者にとっては、ある程度の“顧客”情報を把握することが可能となる。
【0019】
<システム構成>
図1は、本発明の一実施の形態である営業支援端末を有する営業支援システムの構成例について概要を示した図である。営業支援システム1は、営業支援サーバ10と、これにインターネットやイントラネットなどのネットワーク20を介して接続される、証券会社等の営業担当者が保有する情報処理端末である営業支援端末30とを有する。
【0020】
営業支援サーバ10は、例えば、サーバ機器や、クラウドコンピューティングサービス上に構築された仮想サーバなどのサーバシステムにより構成され、図示しないOS(Operating System)やDBMS(DataBase Management System:データベース管理システム)、およびWebサーバプログラム11などの基盤ソフトウェア上で稼働するソフトウェアプログラムによって実装され、営業担当者の営業活動を支援する各種のサービスを提供する業務アプリケーションプログラムである1つ以上の支援サービス12を有する。
【0021】
支援サービス12により提供されるサービスとしては、例えば、データベースやファイルなどからなる営業支援情報13として保持され、もしくは図示しないバックオフィスシステム等により保持される各種の顧客情報や営業情報を取得して営業支援端末30上に表示させたり、営業支援端末30を介して営業担当者の活動実績の登録を受け付けて記録したりなどが含まれる。営業支援サーバ10は、上記以外に図示しない他の構成を有していてもよく、全体として、証券会社等におけるCRMやSFAとしての各種機能やサービスを実現している。
【0022】
営業支援端末30は、例えば、ノート型PC(Personal Computer)やタブレット端末などの携帯型端末からなり、図示しないOS上で稼働するソフトウェアプログラムによって実装されるWebブラウザ31や、マスク処理部32等を有する。
【0023】
マスク処理部32は、営業支援サーバ10上に保持されているHTMLファイルやプログラムモジュールなどに基づいてクライアント側のWebブラウザ31上で実行されるアプリケーションにより共通的に利用されるミドルウェアである。本実施の形態では、営業支援サーバ10の支援サービス12によって営業支援端末30のWebブラウザ31上に表示される画面のうち、顧客の個人情報に該当する部分については、マスク設定33に設定された内容に従って所定のマスキングを行った上で営業支援端末30上に表示するという機能を有する。なお、マスク設定33は、例えば、営業支援サーバ10へのログイン時などに営業支援サーバ10からダウンロードしてファイルやメモリテーブルとして保持することができる。
【0024】
なお、営業支援端末30上に表示する顧客情報等は、実際に表示する際に都度ネットワーク20を介して営業支援サーバ10にアクセスし、所定の支援サービス12の実行により取得することができる。もしくは、営業担当者が外出前に予め社内等で営業支援サーバ10にアクセスして、営業支援情報13やバックオフィスシステムに保持された顧客情報をダウンロード等により取得し、営業支援端末30上の図示しない記憶装置等に記録して持ち出すものでもよい。
【0025】
<マスキング例>
図2図4は、本実施の形態の営業支援端末30において、顧客の情報をマスキングする画面例について概要を示した図である。図2の例では、1人以上の顧客の顧客情報を、画面最上部の顧客タブ40を切り替えることにより表示する画面において、顧客タブ40のタイトル(識別表示)として顧客名の“かな”の先頭の1文字目だけを表示している。例えば、図2の例では顧客名の先頭1文字目が“え”の顧客が選択されていることを示している。
【0026】
これにより、上述したように、第三者にとっては一文字の“かな”を見ただけではそこから顧客名を特定すること(もしくは顧客名の先頭の1文字目を示していると認識すること)はほぼ不可能である。しかしながら、顧客情報を自ら取得して表示させている営業担当者にとっては、“かな”1文字あればどの顧客のことであるかを特定することが実質的に可能となる。
【0027】
ここで、顧客名の“かな”の先頭1文字目の表示だけでは、複数の顧客が同一となってしまい、顧客を一意に特定することができない場合(図2の例では“す”の顧客)が生じ得る。そこで、本実施の形態では、顧客名の“かな”(平仮名に限らず片仮名も含む)の先頭1文字目に加えて、対象の顧客の属性を表すことができるアイコン41を合わせて表示する。アイコン41により表すことができる属性としては、図2の例に示すような男女の性別の他に、例えば、年齢層、営業担当者自身にとっての重要度や要注意度などが考えられるが、営業担当者が属性を把握することができる限り、顧客情報の取得時等において当該営業担当員が任意に設定することが可能である。
【0028】
これにより、第三者にとってはどの顧客の顧客情報が表示されているかを特定することをほぼ不可能としつつ、営業担当者にとっては、顧客タブ40に表示された顧客名の“かな”の先頭1文字とアイコン41が表す属性とを併せて判断することで、自身が取得した顧客情報のうちのどの顧客のものであるかを相当の確度で判断可能とする。なお、本実施の形態ではアイコン41により属性情報を表示しているが、そのデータフォーマットや形式等は特に限定されず、適当な大きさの画像からなる画像データであれば適宜用いることができる。
【0029】
図2の例では、先頭1文字目が“え”の顧客についての顧客タブ40が選択されており、当該顧客に係る顧客情報が顧客タブ40内の画面に表示されているが、顧客情報の表示はさらに複数の情報種別タブ42により内容を切り替えて各種情報を表示できるようになっている。図2の例では、情報種別タブ42として当該顧客に係る各種情報をサマリー表示する“サマリー”タブが選択されていることを示している。
【0030】
本実施の形態では、図示するように、“サマリー”タブに表示される顧客情報のサマリー画面においては住所や電話番号などの顧客の個人情報に該当する項目は一切を“非表示”として、値を表示しない。図2の例では、例えば、“基本属性”欄において“口座番号”や“氏名”、“住所”などの項目は、値の欄をブランクとすることにより“非表示”としている。値に加えて項目名自体を“非表示”としてもよい。どの画面(情報種別タブ42)のどの項目をどのように“非表示”とするかについては、例えば、各画面を表示するための支援サービス12に固定的に設定してもよいし、マスク設定33に設定しておいてもよい。
【0031】
図3の例では、先頭1文字目が“え”の顧客についての顧客タブ40が選択されており、その中で、情報種別タブ42として営業担当者が収集した情報を表示する“収集情報”タブが選択されていることを示している。本実施の形態では、“収集情報”タブにおいて表示する項目は基本的に当該顧客にとっての重要情報であることから、全項目をマスク可能とするが、図3の例における“属性情報”欄の“職業”や“役職”欄のように、マスクしない項目を有していてもよい。
【0032】
マスクする項目については、マスク対象の文字や数値をそれぞれ個別にマスク文字で置換したり、図2の例のように値全体を“非表示”とするのではなく、値全体を一律のマスク文字列(図3の例では4つの“*”からなる“****”)により置換するものとする。これにより、マスク対象のデータの内容をより推測されにくくする一方で、値自体がそもそもブランクである項目、すなわち、営業担当者により情報が収集されていない項目については、値自体がブランクなのであって、マスクされた結果“非表示”とされているわけではないことが把握可能となる。
【0033】
図4の例では、先頭1文字目が“え”の顧客についての顧客タブ40が選択されており、その中で、情報種別タブ42として所在地もしくは訪問先の近辺の地図情報を表示する“地図”タブが選択されていることを示している。営業担当者が顧客を訪問して営業活動をする場合に、当該顧客の住所の情報が必要となる場合があるが、本実施の形態では、上述したように、顧客の住所は個人情報であるため他の画面(情報種別タブ42)では“非表示”としてマスクされることから、その代替として、および住所に対する補助情報として、顧客の住所近辺の地図情報を表示する。
【0034】
地図上において、顧客の住所に該当する位置は、図示するようにピン43等の指示画像を描画することで特定する。このとき、当然ながら、地図上に住所の詳細情報は表示しない。地図の縮尺は、建物1つ1つを識別することができない程度に小さいものであることが望ましい。これにより、地図上の位置をピン43等により示すのみで、詳細な住所を特定せずに顧客の大まかな所在地を把握可能とし、営業活動のために顧客を訪問する際の参照情報として用いることができる。また、顧客タブ40において表示されている複数の顧客をそれぞれ識別するための参照情報としても用いることができる。
【0035】
なお、上述の図2図4に示したような各種手法によりマスキングされる顧客情報は、例えば、営業担当者が特定の顧客に対して実際に営業活動を行う際やその準備を行う際に、当該顧客に係る分についてのみマスクが解除されるようにしてもよい。マスクの解除は、例えば、営業担当者による営業支援端末30に対する特殊な操作(例えば、タッチパネル上での所定のジェスチャなど)をトリガとして行うことができる。また、営業支援端末30が有するGPS(Global Positioning System)機能により把握される位置情報と顧客の住所情報(これ自体は“非表示”とされている)とに基づいて算出した両者間の距離に基づいて判断するようにしてもよい。
【0036】
また、本実施の形態では、各顧客の顧客情報や、個別の顧客について表示される情報の種別をタブによって画面を分けて表示し、切り替え可能とするユーザインタフェースとしているが、タブに限らず、例えば、メニュー領域などに一覧表示された顧客や情報種別の識別表示のリストから指定されたものに表示を切り替えるなど他のユーザインタフェースとすることも当然可能である。
【0037】
以上に説明したように、本発明の一実施の形態である営業支援端末30によれば、1人以上の顧客の顧客情報をタブ等によって切り替え可能な態様で表示する際、タブのタイトルとして“個人”情報である顧客名をそのまま表示するのではなく、顧客名の“かな”の先頭の1文字目だけを表示してマスクする。これにより、第三者にとっては一文字の“かな”を見ただけではそこから顧客名を特定することはほぼ不可能であるが、“顧客”情報を自ら取得して表示させている営業担当者にとっては、“かな”1文字あればどの顧客のことであるかを実質的に特定可能とすることができる。
【0038】
また、特定された顧客の“顧客”情報を表示する際にも、“顧客”情報のサマリー画面においては住所や電話番号などの顧客の“個人”情報に該当する項目は一切を“非表示”として、値を表示しないことで、“個人”情報の漏洩を抑止することができる。また、収集情報を表示する画面においては、表示する項目は基本的に当該顧客にとっての重要情報であることから、全項目をマスク可能とし、マスキングの際には値全体を一律のマスク文字列により置換する。これにより、マスク対象のデータの内容をより推測されにくくする一方で、値自体がブランクの項目を把握することが可能である。
【0039】
また、顧客の所在地近辺の地図情報を表示する画面において、顧客の住所に該当する位置をピン等の指示画像を描画することで特定する。これにより、住所の詳細な情報を表示せずとも顧客の大まかな所在地が把握可能となり、営業活動のために顧客を訪問する際の参照情報として用いることができるとともに、マスキングされて表示されている複数の顧客の顧客情報を識別するための参照情報としても用いることができる。
【0040】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、上記の実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、上記の実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、証券会社等の金融機関における営業活動を支援する営業支援端末に利用可能である。
【符号の説明】
【0042】
1…営業支援システム、
10…営業支援サーバ、11…Webサーバプログラム、12…支援サービス、13…営業支援情報、
20…ネットワーク、
30…営業支援端末、31…Webブラウザ、32…マスク処理部、33…マスク設定、
40…顧客タブ、41…アイコン、42…情報種別タブ、43…ピン。
図1
図2
図3
図4