(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施例について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0011】
図1は、本実施例に係る空気調和機の室内機100、室外機、及びリモコンの正面図である。
図1に示すように、空気調和機Aは、室内機100と、室外機200と、リモコンReと、を備えている。室内機100と室外機200とは冷媒配管(図示せず)で接続され、周知の冷媒サイクルによって、室内機100が設置されている室内を空調する。また、室内機100と室外機200とは、通信ケーブル(図示せず)を介して互いに情報を送受信するようになっている。
【0012】
リモコンReはユーザによって操作され、室内機100のリモコン送受信部Qに対して赤外線信号を送信する。当該信号の内容は、運転要求、設定温度の変更、タイマ、運転モードの変更、停止要求などの指令である。空気調和機Aは、これらの信号に基づいて、冷房モード、暖房モード、除湿モードなどの空調運転を行う。また、室内機100のリモコン送受信信部Qから、室温情報、湿度情報、電気代情報などのデータを送信部RからリモコンReへ送信する。
【0013】
図2は、室内機100の側断面図である。筐体ベース101は、熱交換器102、送風ファン103、フィルタ108などの内部構造体を収容している。
【0014】
熱交換器102は複数本の伝熱管102aを有し、送風ファン103により室内機100内に取り込まれた空気を、伝熱管102aを通流する冷媒と熱交換させ、前記空気を加熱又は冷却するように構成されている。なお、伝熱管102aは、前記した冷媒配管(図示せず)に連通し、周知の冷媒サイクル(図示せず)の一部を構成している。
【0015】
左右風向板104は、室内機マイコン(図示せず)からの指示に従い、下部に設けた回動軸(図示せず)を支点にして左右風向板用モータ(図示せず)により回動される。
【0016】
上下風向板105は、室内機マイコンからの指示に従い、両端部に設けた回動軸(図示せず)を支点にして上下風向板用モータ(図示せず)により回動される。
【0017】
前面パネル106は、室内機100の前面を覆うように設置されており、下端を軸として前面パネル用モータ(図示せず)により回動可能な構成となっている。ちなみに、前面パネル106を、下端に固定されるものとして構成してもよい。
【0018】
図2に示す送風ファン103が回転する事によって、空気吸込み口107及びフィルタ108を介して室内空気を取り込み、熱交換器102で熱交換された空気が吹出し風路109aに導かれる。さらに、吹出し風路109aに導かれた空気は、左右風向板104及び上下風向板105によって風向きを調整され、空気吹出し口109bから外部に送り出されて室内を空調する。
【0019】
制御手段130においては、使用者によってリモコンから入力された運転指示に従って、室温サーミスタ及び、湿度センサの出力など監視しながら、空気調和機を制御し、空調運転を行う。また、空調運転は、空気調和機から冷風を吐き出す事により室温を下げる冷房運転、空気調和機から温風を吐き出す事により室温を上げる暖房運転など、空気調和機の仕様ごとに各空調運転を行う構成となっている。
【0020】
また、リモートコントローラによって所定の運転モードを選択された場合、前述の通り、制御手段130は、空気調和機本体に内蔵されている、室温センサ及び、湿度センサの出力を基に、最適な空調運転モードを所定のパラメータに従って導出し、これに従って空調運転を行う。この運転モードは、例えば使用者によって決定される通常の暖房や冷房、除湿等の基本的な空調運転設定に付加される運転モードでも良いし、空気調和機が独自に暖房や冷房、除湿等の空調運転を行う運転モードでも良い。
【0021】
また、本実施例に係る空気調和機の制御手段130においては、前記室温サーミスタ及び湿度センサの出力、日付情報や時刻情報、室外機に取り付けられている室外サーミスタの出力から、空調室内の快適性を判断するパロメータを内包する。
【0022】
一般に、同気温であっても、湿度が高い方が熱中症のリスクが高まる。また、同気温であっても、輻射熱量が多い場合、体感温度は高くなる。そのため、空気調和機で取得される気温、湿度情報や、各種センサを備える空気調和機の場合これも併せて利用し、空調室内の快適性や熱中症等のリスクを判断する事が可能である。また外気温情報から、空調運転を停止した後の空調室内の室温の変化も推測する事が可能であるが、推測される空調室内の快適性についても、推測する事が可能である。また、カレンダー情報から着衣量を推測したり、時刻情報を併せる事で、以降の気温の変化を推測する構成も実現出来る。
【0023】
この制御手段130に内包する空調室内の快適性を判断するパロメータによる快適性の判断結果の活用方法については、後述する。
【0024】
図3に基本的なネットワーク通信の構成を示している。制御手段130内には、ネットワーク通信手段を備え、これを用いてネットワークへ接続し、各種情報通信を行う。ネットワーク通信手段は、インターネット上のサーバまたは所定のクラウドサービスを介して、所定のアプリケーションソフトがインストールされている外部の情報端末と情報通信を行う事も可能である。
【0025】
また、制御手段130内のネットワーク通信手段を介して、例えば家庭用の集中コントローラやBMSの様な空調管理システムに接続され、これらに備えられているサーバ、またはこれらを介してインターネット通信を行い、インターネット上のサーバと情報通信を行う方式としても良い。
【0026】
また、詳細なネットワーク通信方式については、既存の技術であり、詳細な説明は省く。
【0027】
使用者は、スマートフォンやタブレットPCなど、所定の外部の情報端末に、専用のソフトウェアを予めインストールしておく。このソフトウェア上から空気調和機の運転開始、運転停止を含む運転制御の変更を行う事が可能である。また同時にこのソフトウェア上では、例えば情報端末上から空気調和機の情報の確認や、各種ソフトウェアの変更、ダウンロードを行える構成とするなど、本実施例を適用する空気調和機の仕様に合わせ、任意に設定する。または、メールの送受信を利用したテキストデータでの通信により、情報通信を行う方式としても同様の効果を得る事ができる事は言うまでも無い。
【0028】
図4に空気調和機及び各端末のネットワーク構成を示す。本実施例に係る空気調和機に於いて、運転開始、運転停止を含む空調運転設定が変更された場合、制御手段130に内包する快適性を判断するパロメータにより、そのタイミングでの空調室内の快適性、また空調運転設定の変更後の空調室内の快適性の変化を推測する。
【0029】
このとき、制御手段130において、例えば室内温度検出手段140で空調室内の熱中症のリスクが高い温度が検出されるなど、快適性に問題がある事が検出された場合、空調室内及び、空気調和機の運転制御が可能な外部の情報端末へこの旨を通知することで、外部から必要に応じて空調運転を再変更可能な構成を実現できる。
【0030】
また、空調運転の、開始、停止を含めた空調運転の変更を行った際、当該空調運転の変更により空調室内の快適性に問題があると判断される場合、これを報知する。すなわち、本実施例では、リモートコントローラ及び外部情報端末によって運転を操作することができる空気調和機において、外部情報端末によって運転が停止されたときに、外部情報端末によって操作された操作情報を外部情報端末に送信する制御手段130を備える。例えば、外部情報端末によって運転が停止されたときに、外部情報端末に「運転を停止してもよいですか?」というメッセージを送信する。
【0031】
本実施例によれば、リモコンの誤操作により空調室内の快適性が損なわれる事を防ぐ構成も実現する事が可能となる。
【0032】
さらに、本実施例に係る空気調和機は、室内温度を検出する温度検出手段(室内温度検出手段140)を備え、制御手段130は、外部情報端末によって運転が停止され、且つ、温度検出手段(室内温度検出手段140)で検出された温度が所定温度以上であるときに、外部情報端末によって操作された操作情報又は温度検出手段(室内温度検出手段140)で検出された温度を外部情報端末に送信する。
【0033】
本実施例によれば、本実施例に係る空気調和機に於いては、外部の情報端末やリモートコントローラでの誤操作による空調室内の快適性の悪化を未然に防ぐ事が可能な構成を実現できる。これにより、温度が高くなることによる熱中症のリスクを低減することができる。
【0034】
なお、室外温度が例えば、35℃を超えている場合、室内温度が冷やされていても、すぐに室内の温度も上昇し、在室者が熱中症になるリスクがある。そこで、室内温度検出手段140の代わりに、室外温度検出手段を用いても良い。
【0035】
また、温度だけでなく、湿度を考慮してもよい。気温が下がり過ぎて風邪をひきやすい環境等が発生する事を抑えるために、室内の温度が温度検出手段で検出された温度が所定温度以下であるときに、外部情報端末に送信してもよい。
【0036】
制御手段130は、外部情報端末によって運転が停止され、室内温度検出手段140で検出された室内温度が所定温度以上又は所定温度以下であるときに、外部情報端末によって操作された操作情報及び室内温度検出手段140で検出された室内温度を外部情報端末に送信する。例えば、外部情報端末によって運転が停止され、且つ、室内温度が31℃であるときに、「室内温度が31℃ですが、運転を停止してもよいですか?」というメッセージを送信する。また、「室内温度が高温ですが、運転を停止してもよいですか?」というメッセージを送信してもよい。
【0037】
また、本実施例に係る空気調和機に於いて、在室者検出手段150としてカメラ等の撮像手段及び画像処理ソフトウェアにより在室者とその位置を検出するイメージセンサや、フレネルレンズ又は赤外線センサにより構成される、室内での人の活動量を検出するセンサ等を、備える場合、これを利用してより、本実施例の精度を向上させる構成が実現できる。
【0038】
例えば、在室者検出手段150としてカメラ等の撮像手段を用いた場合、空調室内を撮像する撮像手段および、画像認識ソフトウェアによって構成され、撮像手段によって撮像された画像情報から画像認識ソフトウェアにより在室者を検出する。
【0039】
すなわち、本実施例では、被空調室内の在室者を検出する在室者検出手段150を備え、制御手段130は、外部情報端末によって運転が停止され、且つ、在室者検出手段150によって在室者が検出されたときに、
在室者検出手段150によって検出された在室者の在室情報又は外部情報端末によって操作された操作情報を外部情報端末に送信する。例えば、外部情報端末によって運転が停止されたときに、外部情報端末に「運転を停止してもよいですか?」というメッセージを送信する。
【0040】
さらに、本実施例では、制御手段130は、外部情報端末によって運転が停止され、且つ、在室者検出手段150によって在室者が検出されたときに、在室者検出手段150によって検出された在室者の在室情報及び外部情報端末によって操作された操作情報を外部情報端末に送信する。例えば、外部情報端末によって運転が停止されたときに、外部情報端末に「在室者がいますが、運転を停止してもよいですか?」というメッセージを送信する。
【0041】
例えば、外部の情報端末から空調運転が停止された際、室温が非常に低く、空調室内に在室者が居る場合、健康に影響が出ると判断される環境であっても、空調室内に在室者が居ない事が在室者検出手段150によって確認されていた場合、通知を行わず、空調室内へのみ空調運転を停止する旨を報知し、空調運転を停止する。この場合、在室者が空気調和機を運転したまま外出してしまい、外出先から空気調和機の運転を停止したと推測することが可能であるが、この例の様に空調室内に在室者が居ない場合、空気調和機の空調運転設定を変更した場合では、空調運転を停止したことにより迷惑をかける人が居ないため、不要な通知を行わないことで、使用者の煩わしさを回避することが可能である。
【0042】
さらに、室内温度検出手段140と在室者検出手段150の両方を用いてもよい。すなわち、本実施例に係る空気調和機は、室内温度を検出する室内温度検出手段140と、被空調室内の在室者を検出する在室者検出手段150を備え、制御手段130は、外部情報端末によって運転が停止され、室内温度検出手段140で検出された室内温度が所定温度以上又は所定温度以下であり、且つ、在室者検出手段150で在室者が検出されたときに、室内温度検出手段140で検出された室内温度、外部情報端末によって操作された操作情報又は在室者検出手段150によって検出された在室者の在室情報を外部情報端末に送信する。
【0043】
また、制御手段130は、外部情報端末によって運転が停止され、室内温度検出手段140で検出された室内温度が所定温度以上又は所定温度以下であり、且つ、在室者検出手段150で在室者が検出されたときに、室内温度検出手段140で検出された室内温度、外部情報端末によって操作された操作情報及び在室者検出手段150によって検出された在室者の在室情報を外部情報端末に送信してもよい。例えば、外部情報端末によって運転が停止され、室内温度が31℃であり、在室者が検知されたときに、外部情報端末に「室内温度が31℃で在室者がいますが、運転を停止してもよいですか?」というメッセージを送信する。
【0044】
なお、空調機本体に各種報知手段、例えばLEDによる運転モードの表示や、インジケータ、音声合成ソフトとスピーカを利用した発話での報知手段や、ブザーなどを活用し、外部の情報端末上から空気調和機の運転モードが変更された場合など、これを室内へ通知することで、より透明性の高い運転制御を提供できる。
【0045】
本実施例においては、空気調和機の不適切な空調運転が設定された場合、
図3に示す通り、各種方法で、空調室内、外部の情報端末上へ通知する事が可能な構成であることから、簡易的な見守り機能として使用する事も可能である。
【0046】
例えば、お子様や空気調和機の運転操作に不慣れな方、各種障害のある方などの空気調和機の誤操作で空気調和機が不適切な空調運転となってしまう事により、お子様や空気調和機の運転操作に不慣れな方、各種障害のある方などへ危害が及ぶ事を回避する事が可能である。これは、空気調和機が不適切な空調運転設定となった場合、インターネットを経由して外部の情報端末上で確認する事が可能なためである。
【0047】
一例として、カレンダー情報及び時刻情報を運転制御に利用する仕様である空気調和機を用いた場合について、
図4を用いて説明する。例えば、7月29日のPM1:00、室温28℃、湿度80%、外気温29℃のとき、空気調和機がリモートコントローラにより、暖房運転、設定温度32度が設定されたとする。このとき、制御手段内では、夏季に気温30以上のとき、室内の快適性が損なわれていると判断する仕様である場合、当該リモコン操作は、夏季の32℃設定暖房運転であるので、リモコン誤操作の可能性がある事が分かる。そのため、外部の情報端末A、外部の情報端末B、外部の情報端末Cへ、リモコンにより空調運転誤操作された空調運転設定が誤操作による可能性がある旨を通知し、必要に応じて空調運転を外部の情報端末上から変更する事が可能な構成としている。
【0048】
一例として、カレンダー情報及び時刻情報を運転制御に利用する仕様である空気調和機を用いた場合について、
図4を用いて説明する。8月6日のAM9:00、外気温31℃、空気調和機は冷房運転26℃設定で、空調室内の室温が27℃、湿度60%であったとする。このとき、例えば外部の情報端末Aから、空調運転停止の信号入力が空気調和機にあったとする。制御手段内に、例えば気温30℃以上、湿度70%以上の場合、室内の快適性に問題があると判断する仕様で有ったとする。8月6日は夏季であり着衣量は少ないと推測できるものの、外気温も31℃と高く、時刻もAM9:00であるため、空気調和機の空調運転が停止することにより、今後室温が上昇し、空調室内の快適性に問題が生じる事を推測する。このとき、空気調和機の制御手段は、ネットワーク通信を利用し、予め設定されている外部の情報端末A、外部の情報端末B、外部の情報端末Cへ、外部の情報端末Aからの運転停止の変更があった旨と、この運転モードの変更により空調室内の快適性が損なわれる旨を通知する。
【0049】
また、併せて空気調和機本体の表示部から、空調室内に向け、外部の端末から運転設定変更の入力が有った旨と、この運転設定の変更により空調室内の快適性が損なわれる旨を報知する。制御手段は報知動作を行ってから一定時間、例えば15分後までに空調運転モードの再設定など行われなかった場合、空調運転を停止しても問題ないと判断し、空調運転を停止する。また、制御手段からの通知以降、空調室内のリモートコントローラから冷房運転継続の運転入力が有った場合、先の外部の情報端末Aからの空調運転停止の入力を破棄し、リモートコントローラからの入力通り、冷房運転を継続する。また、この時リモートコントローラから入力された空調運転モードが暖房運転設定温度20℃など、空調室内の快適性が損なわれると判断される運転であった場合、再度その旨を通知し、確認を行う。
【0050】
また、別の例として、空気調和機に空調室内を撮像するように取りつけられた撮像手段及び画像処理ソフトウェアによって構成される、人検出センサを搭載する空気調和機の場合について、
図4を用いて説明する。
【0051】
例えば日付が3月11日、PM15:00で外気温が3℃、室内気温が12℃で湿度が40%で、空気調和機が暖房運転、設定温度20℃で動作しており、制御手段において空調室内は16℃以下の場合に空調室内の快適性に問題があると判断される場合を考える。このとき、外部の情報端末Bから空調運転停止の入力が有った場合、室内気温は12℃であるため、空気調和機の制御手段は空調室内の快適性に問題があると判断する。このとき、人検出手段において在室者の確認を行い、所定時間内、例えば20分間室内に在室者が検出されなかった場合、この旨を空調室内に報知する。このとき、空調室内に人が居た場合は、リモコン操作して頂くことで、外部の情報端末から送信された運転停止の信号をキャンセルし、空調運転を継続する。在室者が検出されず、リモコンからの信号受信も無かった場合、外部の情報端末からの運転入力に従い、空調運転を停止する。このとき、空調室内は気温が低いままで、快適性に問題があると判断されているが、空調室内に在室者が居ない事が確認されていることから、空調機を停止しても問題ない。