【実施例】
【0021】
以下に実施例をあげて本発明を詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0022】
実施例1、比較例1〜7 口唇化粧料(油性スティック状)
下記表1に示す処方の口唇化粧料を調製し、密着感、化粧膜のツヤ感、伸び広がりが軽い使用感と、強度について下記の方法により評価した。その結果も併せて表1に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
注1:ANTARON V−216(ISP社製)
注2:パールリーム18(日油社製)
注3:フィッシャートロプシュワックス(融点91〜96℃)
注4:LIPONATE TDTM(リポケミカルズ社製)
【0025】
(製造方法)
A.成分(1)〜(10)を110℃まで加熱し、均一溶解する。
B.Aをスティック状容器に充填し、冷却固化して口唇化粧料を得た。
【0026】
(評価方法)
下記評価項目について下記方法により評価を行い、その結果も併せて表1に示した。
【0027】
(評価項目)
イ.密着感
ロ.化粧膜のツヤ感
ハ.伸び広がりが軽い使用感
ニ.光沢性
ホ.強度
【0028】
(評価方法1:官能評価)
イ〜ハの項目について、各試料について専門パネル20名による使用テストを行った。パネル各人が下記絶対評価基準にて7段階に評価し評点をつけ、各試料についてパネル全員の評点合計からその平均値を算出し、下記4段階判定基準により判定した。イについては、密着感があるかどうか、ロについては各試料の塗布時にツヤ感があると感じるかどうか、ハについては各試料塗布時に伸び広がりが軽い使用感を感じるかどうかを評価した。
【0029】
絶対評価基準
(評点):(評価)
6 :非常に良い
5 :良い
4 :やや良い
3 :普通
2 :やや悪い
1 :悪い
0 :非常に悪い
4段階判定基準
(判定):(評点の平均点)
◎ :5点を超える :非常に良好
○ :3.5点を超え5点以下 :良好
△ :1点を超え3.5点以下 :やや不良
× :1点以下 :不良
【0030】
(評価方法2:物性評価)
ニの光沢性については、各試料を溶融し、ラッピングフィルムシート(粒度30μm:住友3M社製)上に膜厚100μmのドクターブレードで被膜を形成させ、測定サンプルとする。これをグロスメーターVG−7000(日本電色工業社製)を用い、入射角45℃の正反射光強度を測定し、下記4段階判定基準により判定した。
4段階判定基準
(判定):(グロスメーターの読み値)
◎ :55を超える
○ :45を超える55以下
△ :35を超える45以下
× :35以下
【0031】
ホの強度については、各試料を各3個、35℃に1時間放置し、以下の条件にて最大カッター荷重を測定し、3個の平均カッター荷重を算出し、下記3段階判定基準により判定した。
測定機:FUDOH RHEOMETER RT−2002D・D(レオテック社製)
速度:6cm/m
アダプタ−:ピアノ線
測定部:容器より最長に繰り出し、容器根元より12mm部を測定
3段階判定基準
(判定):(平均荷重値)
○ :60g以上
△ :30g以上〜60g未満
× :30g未満
【0032】
表1の結果より明らかな様に、実施例1は比較例に比べ、官能評価項目の全てに良好な結果が得られた。また、ニの光沢性の結果も官能評価と同様に良いものであった。
ホの強度については、使用しても折れない強度のものであった。また、比較例7以外は、各試料とも良い結果が得られた。
一方、成分(a)の代わりに、屈折率は低いが、粘度が同等のデカイソステアリン酸ポリグリセリル−10を用いた比較例1は、官能評価の化粧膜のツヤ感が得られず、物性評価でも同じ結果となり、ベタツキがあり伸び広がりが軽い使用感に劣るものであった。
成分(a)の代わりに、屈折率は同等であるが、粘度が低いトリ2−エチルヘキサン酸グリセリルを用いた比較例2は、官能評価では化粧膜のツヤ感が全く得られず、物性評価でも同じ結果となり、伸び広がりがとても良く軽い使用感は得られたが、密着性が悪く、ズルズルして化粧膜の消失が生じてしまうものであった。
成分(a)の代わりに、粘度は同等であるが屈折率の高い水添ポリイソブテンを用いた比較例3は、粘度が高すぎて、膜が均一にならないため、実施例1よりも劣る結果となった、かなりのベタツキが生じ、伸び広がりが軽い使用感は全く得られなかった。
成分(a)の代わりに、粘度は同等であるが親水部を有するセスキオレイン酸ソルビタンを用いた比較例4は、ツヤ感が得られず、ベタツキも生じるものであった。
また、成分(b)の代わりに、粘度は同等であるが屈折率の低いトリイソステアリン酸ポリグリセリル−2を用いた比較例5は、表面の平滑性が得られず、ツヤ感に劣るものであった。
成分(b)の代わりに、粘度は同等であるが屈折率の低いリンゴ酸ジイソステアリルを用いた比較例6は、伸び広がりが非常に重くなり、軽い使用感は全く得られなかった。
成分(b)の代わりに、粘度は低いが屈折率の高いパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルを用いた比較例7は、密着感が得られないため、ズルズルして化粧膜の消失が生じ、ツヤ感にも劣るものであった。
【0033】
実施例2〜10及び比較例8〜17:口唇化粧料(スティック状口紅)
下記表2及び3に示す処方の口唇化粧料を調製し、密着感、化粧膜のツヤ感、伸び広がりが軽い使用感について前記の方法(評価方法1:官能評価)により評価した。その結果も併せて表2及び3に示す。
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】
*1:CIREBELLE 109L(CIREBELLE社製)
*2:EP−700(Baker Petrolite社製)
*3:PERFORMALENE655(ニュ−フェーズテクノロジー社製)
*4:合成セレシンJNP−81(融点79〜89℃:日本ナチュラルプロダクツ社製)
*5:ANTARON V−216(ISP社製)
*6:パールリーム18(日油社製)
*7:LIPONATE TDTM(リポケミカルズ社製)
*8:KF−54(信越化学工業社製)
*9:PlANDOOl−S(日本精化社製)
*10:AEROSIL R−976S(日本アエロジル社製)
【0037】
(製造方法)
A.成分(1)〜(16)を110℃まで加熱し、均一溶解する。
B.Aに成分(17)〜(23)をAに加え、均一に混合する。
C.Bを90℃に加熱し、スティック状容器に充填して口紅を得た。
【0038】
表1の結果から明らかなように、本発明の実施例2〜10の口紅は、比較例8〜17の口紅に比べ、密着感および化粧膜のツヤ感に優れ、さらに伸び広がりが軽い使用感にも優れたものであった。
一方、成分(a)の(ヘキサデセン/ビニルピロリドン)コポリマーの配合量が3%よりも少ない配合量である比較例8は密着感の点で劣り、表面の平滑性にも劣るため化粧膜のツヤ感にも劣っており、配合量が30%よりも多い比較例9は伸び広がりが軽い使用感の点で劣っていた。
また、成分(b)のトリメリト酸エステルの配合量が70%よりも多い比較例10は密着感や伸び広がりが軽い使用感の点で劣っていた。配合量が3%よりも少ない比較例11は化粧膜のツヤ感の点で劣っていた。
成分(b)の代わりに粘度が同等のトリイソステアリン酸ポリグリセリル−2やリンゴ酸ジイソステアリルを用いた比較例12、比較例13は、密着感に劣り、化粧膜のツヤ感も得られなかった。
成分(b)の代わりに、粘度が低いが、屈折率が高いメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルを用いた比較例14では密着感が得られず、化粧膜の消失が生じてしまい化粧膜のツヤ感にも劣るものでったた。
成分(a)の代わりに、屈折率は低いが、粘度が同等のデカイソステアリン酸ポリグリセリル−10を用いた比較例15は、化粧膜のツヤ感が得られず、ベタツキがあり伸び広がりが軽い使用感に劣るものであった。
成分(a)の代わりに、粘度と屈折率が低いトリ2−エチルヘキサン酸グリセリルを用いた比較例16は、化粧膜のツヤ感が得られず、軽い使用感は得られたが、密着性が悪く、ズルズルして化粧膜の消失が生じてしまうものであった。
成分(a)の代わりに、水添ポリイソブテンを用いた比較例17は、密着感はあるもののベタツキがかなり生じ軽い使用感が得られず、化粧膜のツヤ感も少し低くなった。
【0039】
実施例11:リップグロス
(成分) (%)
1.合成ワックス *11 2
2.パルミチン酸デキストリン 5
3.(ヘキサデセン/ビニルピロリドン)コポリマー *5 10
4.リンゴ酸ジイソステアリル 5
5.流動パラフィン 10
6.水添ポリイソブテン *12 20
7.トリメリト酸トリトリデシル *7 7
8.トリメチルペンタフェニルトリシロキサン 10
9.ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/
フィトステリル/ベヘニル) *13 5
10.2−エチルヘキサン酸セチル 残量
11.無水ケイ酸 *14 1
12.フッ素化合物3%処理ベンガラ被覆雲母 0.5
13.酸化チタン被覆ガラス末 *15 2
14.赤色202号 0.8
15.黄色4号アルミニウムレーキ 1
16.黒酸化鉄 0.2
17.p−メトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル 1
18.dl−α−トフェロール 0.1
19.香料 0.01
20.パラオキシ安息香酸プロピル 0.1
(製造方法)
A.成分(1)〜(12)を110℃まで加熱し、均一溶解する。
B.Aに成分(13)〜(20)をAに加え、均一に混合する。
C.Bを容器に充填して口紅を得た。
*11:フィッシャートロプシュワックス:CIREBELLE 108(CIREBELLE社製)
*12:パールリーム24(日油社製)
*13:エルデュウPS−306(味の素社製)
*14:AEROSIL300(日本アエロジル社製)
*15:メタシャインMT1080RR(日本板ガラス社製)
本発明のリップグロスは、密着感、化粧膜のツヤ感、伸び広がりが軽い使用感のすべて点で満足のいくものであった。
【0040】
実施例12:リップグロス(油性固形皿流し込み状)
(成分) (%)
1.合成ワックス *1 7
2.水添ポリイソブテン *6 10
3.リンゴ酸ジイソステアリル 残量
4.トリメリト酸トリトリデシル *7 8
5.(ヘキサデセン/ビニルピロリドン)コポリマー *5 25
6.流動パラフィン 10
7.N−ラウロイル−L−グルタミン酸
(フィトステリル/オクチルドデシル) *16 5
8.ダイマージリノール酸(フィトステリル/
イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル) *9 10
9.ワセリン 5
10.ジフェニルジメチコン *8 1
11.(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)
クロスポリマー *17 2
12.無水ケイ酸 *14 3
13.赤202号 1
14.黄色4号 1.2
15.酸化チタン 0.4
16.黒酸化鉄 0.2
17.シリコーン3%処理酸化チタン被覆ガラスフレーク *18 3
*16:エルデュウPS−203(味の素社製)
*17:KSP−100(信越化学工業社製)
*18:ジメチルポリシロキサン3%処理メタシャインMT1120RY
(製造方法)
A:成分(1)〜(10)ヲ110℃に加温して溶解する。
B:Aに(11)〜(17)を加え、均一に混合する。
C:Bを脱泡後、90℃にて口紅容器に充填して製品とする。
本発明のリップグロスは、密着感、化粧膜のツヤ感、伸び広がりが軽い使用感のすべて点で満足のいくものであった。
【0041】
実施例13:口紅(油性固形皿流し込み状)
(成分) (%)
1.(エチレン/プロピレンコポリマー)*2 4
2.トリメリト酸トリトリデシル *7 20
3.トリイソステアリン酸ポリグリセリル−2 15
4.(ヘキサデセン/ビニルピロリドン)コポリマー *5 5
5.ダイマージリノール酸(フィトステリル/
イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル) *9 10
6.ワセリン 5
7.(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー *17 2
8.ジメチチルポリシロキサン(10mm2/s、25℃) 4
9.p−メトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル 0.1
10.リンゴ酸ジイソステアリル 残量
11.酸化チタン被覆ガラス末 *15 1
(製造方法)
A:成分(1)〜(6)を110℃に加温して溶解する。
B:Aに(7)〜(10)を加えて80℃で溶解し均一に混合する。
B:Bに成分11を加えて均一に混合する。
C:Cを脱泡後、90℃にて皿に流し込み室温まで冷却して製品とする。
本発明の口紅は、密着感、化粧膜のツヤ感、伸び広がりが軽い使用感のすべて点で満足のいくものであった。