(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
[発泡性組成物の製造方法]
本発明の発泡性組成物の製造方法は、下記の工程(1)及び(2)を有する、香料の含有量が2質量%以上である、発泡性組成物の製造方法である。
工程(1):有機酸、香料及び水溶性バインダーを混合し、造粒物を得る工程
工程(2):工程(1)で得られた造粒物と炭酸塩を混合し、圧縮成形する工程
【0009】
本発明の製造方法により得られる発泡性組成物は、良好な香り立ちが持続すると共に保存安定性に優れる。その理由は必ずしも明らかではないが、次のように考えられる。
すなわち、有機酸は、炭酸塩と反応して炭酸ガスを発生させるための成分であるが、本発明では、この有機酸を、香料の保持媒体として用いている。このため、当該媒体として従来用いられているデキストリン等の多量の吸油性粉体を用いる場合と比べて、発泡性組成物中の有機酸含量を高めることができる。その結果、使用時により多くの炭酸ガスを発生させることができ、良好な香り立ちを維持することができると考えられる。
また、これら有機酸及び香料を水溶性バインダーとともに造粒することにより、多量の香料を用いても当該香料を安定して造粒物内に留めることができる。加えて、このように有機酸及び香料が水溶性バインダーによって強固に保持された造粒物は、炭酸塩と混合後に、圧縮成形する場合にあっても、造粒物によって保持された香料の染み出しを抑制できる。このため、浸み出した香料が有機酸と炭酸塩との反応媒となって引き起こす炭酸ガスの発生を防止できると考えられる。これにより、保存安定性が向上するとともに、使用時には多量の香料が多量の炭酸ガスとともに放出され、香り立ちが良好に維持されると考えられる。
更に、有機酸及び香料とを水溶性バインダーを用いて造粒物としているため、使用時に当該造粒物の溶解に時間を要し、これにより、更に長時間にわたり良好な香り立ちを維持できると考えられる。
次に、各工程で用いる成分について説明し、次いで、発泡性組成物の製造方法の各工程について説明する。
【0010】
<有機酸>
本発明で用いる有機酸は、組成物中では、香料を保持すると共に、使用時には、本発明品が水又は湯(以下、単に水等という)と接触した際に、炭酸塩と中和反応して炭酸ガスを発生させ、水しぶきにより、香料を揮散させ、香り立ちを高めるための成分である。
本発明で用いる有機酸は、室温(25℃)で固体である。この有機酸の融点は、保存安定性及び香り立ちの持続性の観点から、好ましくは60℃以上、より好ましくは80℃以上更に好ましくは100℃以上であり、また、好ましくは300℃以下、より好ましくは250℃以下、更に好ましくは230℃以下である。
この有機酸は、ハンドリング性、水中での適度な溶解性、香り立ちの持続性及び保存安定性の観点から、20℃の水に対する溶解度が、好ましくは10g/100g以下、より好ましくは8g/100g以下、更に好ましくは5g/100g以下である。
【0011】
かかる有機酸としては、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、マレイン酸、コハク酸、フタル酸、グルタル酸、アジピン酸、安息香酸、サリチル酸、シュウ酸、ピロリドンカルボン酸が挙げられる。この中でも、フマル酸、コハク酸、リンゴ酸、アジピン酸、シュウ酸、及びクエン酸からなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましく、ハンドリングの容易さ(低吸湿性)及び経済性の観点から、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、シュウ酸からなる群から選択される少なくとも1種を用いることがより好ましく、フマル酸が特に好ましい。これら有機酸は、単独又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0012】
また、工程(1)にて液状の香料を担持させる観点から、有機酸の吸油能は、0.02ml/g以上が好ましく、0.05ml/g以上がより好ましく、0.1ml/g以上が更に好ましい。吸油能とは、実施例に記載の方法により決定される値である。なお、吸油能の上限は、特に限定されるものでないが、1.0ml/g以下が好ましく、0.8ml/g以下がより好ましく、0.5ml/g以下が更に好ましい。
【0013】
更に、造粒性、溶解性及び吸油能の観点から、有機酸の平均粒径は、250μm以下が好ましく、200μm以下がより好ましく、150μm以下が更に好ましく、100μm以下が更に好ましく、50μm以下が特に好ましい。下限は生産性の観点から10μm以上が好ましく、15μm以上がより好ましく、20μm以上が更に好ましい。有機酸の平均粒径は、実施例に記載の方法により測定される。
【0014】
上記に示す粒径よりも大きい場合には、好適な粒度になるまで事前に解砕することが好ましい。解砕に利用できる粉砕機としては、ハンマクラッシャー等の衝撃破砕機、アトマイザー、ピンミル等の衝撃粉砕機、フラッシュミル等の剪断粗砕機等が挙げられる。これらは、1段操作でもよく、同種又は異種粉砕機の多段操作でもよい。
【0015】
発泡性組成物中の有機酸の含有量は、組成物中での香料の保持性を高める観点から、及び炭酸ガスの発生による発泡性を高め、発泡により香料を有効に揮散させて優れた香り立ちを持続させる観点から、好ましくは25質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは35質量%以上、より更に好ましくは40質量%以上であり、また、有機酸の解け残りを抑制する観点から、好ましくは65質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは55質量%以下、より更に好ましくは50質量%以下である。
【0016】
発泡組成物中、造粒物内の有機酸の含有量(即ち、造粒物から持ち込まれる有機酸の含有量)は、発泡性を高め、発泡により香料の香りを持続させる観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、また、有機酸の解け残りの抑制する観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、更に好ましくは40質量%以下、より更に好ましくは35質量%以下である。
従って、全有機酸の含有量中、造粒物内の有機酸の含有量(即ち、造粒物から持ち込まれる有機酸の含有量)は、発泡性を高め、発泡により香料の香りを持続させる観点から、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは40質量%以上、また、有機酸の解け残りの抑制する観点から、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下、更に好ましくは80質量%以下、より更に好ましくは75質量%以下である。
また、造粒物中の有機酸の含有量は、香料を保持し、保存安定性を高める観点から、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは55質量%以上、より更に好ましくは60質量%以上、造粒性の観点から、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である。
【0017】
<香料>
本発明で用いる香料は、本発明品が水等と接触した際に、良好に溶解しながら炭酸ガスによる水しぶきによって、大気中への揮散が促進され、香りを急速に空間に付与するのみならず、優れた香り立ちを持続させるための成分である。
【0018】
香料としては、所望の香気を漂わせるべく適宜選択することができる。具体的には、例えば、テルペン類等の炭化水素類、フェノール類、アルコール類、エーテル類、アルデヒド類、ケトン類、エステル類、ラクトン類、合成ムスク、含窒素・硫黄化合物等が挙げられ、炭化水素類及びフェノール類の少なくとも1種が好ましく、テルペン類及びフェノール類の少なくとも1種がより好ましい。かかる香料は1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0019】
発泡組成物中の香料の含有量は、香料の香り立ちと持続性の観点から、2質量%以上、好ましくは2.5質量%以上、更に好ましくは3質量%以上であり、また、保存安定性の観点から、好ましくは6質量%以下、より好ましくは5.5質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、より更に好ましくは4.5質量%以下である。
造粒物中の香料の含有量は、香料の香り立ちと持続性の観点から、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは4質量%以上、より更に好ましくは4.5質量%以上であり、また、保存安定性の観点から、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは12質量%以下、より更に好ましくは10質量%以下である。
造粒物中の有機酸に対する香料の質量比(香料/有機酸)は、香料を造粒物中に含有させる観点から、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.03以上、更に好ましくは0.05以上であり、発泡性を高め、発泡により香料の香りを持続させる観点及び保存安定性の観点から、好ましくは0.3以下、より好ましくは0.2以下、更に好ましくは0.15以下である。
【0020】
本発明は、工程(2)で更に香料を配合してもよい。
発泡性組成物の保存安定性の観点から、発泡性組成物中の造粒物外の香料と造粒物内の香料の質量比(造粒物外/内)は1.0以下が好ましく、0.5以下がより好ましく、0.1以下が更に好ましく、0.05以下がより更に好ましく、0がより更に好ましい。
【0021】
<水溶性バインダー>
本発明で用いる水溶性バインダーは、造粒物の強度を高めるための成分である。また、有機酸、及び香料が水溶性バインダーによって被覆されることで、工程(2)における香料の染み出しが抑制されるとともに、有機酸と炭酸塩の接触を回避し、包装容器内での保存中に、染み出した香料を反応媒として有機酸と炭酸塩とが反応することが抑制される。これにより、炭酸ガスの発生により包装容器が膨張することが防止でき、保存安定性に優れる発泡性組成物が得られる。水溶性バインダーは、25℃で固体又はペースト状であり、20℃の水に対する溶解度が、好ましくは10g/100g以上である。溶解性は、目視で判断することができる。
【0022】
水溶性バインダーは、造粒性の観点から熱可塑性であることが好ましい。
かかる水溶性バインダーとしては、保存安定性の観点から、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリオキシアルキレングリコールが好ましく、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールがより好ましく、保存安定性及びハンドリング観点から、ポリエチレングリコールが更に好ましい。
【0023】
水溶性バインダーの数平均分子量は、造粒又は圧縮成形時の粘度調整とハンドリング性の観点から、好ましくは4,000以上、より好ましくは6,000以上、更に好ましくは7,000以上であり、また、好ましくは20,000以下、より好ましくは13,000以下、更に好ましくは9,000以下である。なお、ポリプロピレングリコール及びポリエチレングリコールの数平均分子量は、水酸基価から求めることができる。
ここで、水溶性バインダーとして、ポリエチレングリコールを使用する場合には、溶媒として水/エタノールを用いてもよいが、用いない方が好ましい。
また、これら水溶性バインダーを用いる場合には、数平均分子量の異なる水溶性バインダーを2種以上組み合わせて用いても構わない。
【0024】
水溶性バインダーの融点は、保存安定性の観点から、好ましくは40℃以上、より好ましくは45℃以上、更に好ましくは50℃以上であり、また、造粒時のハンドリングの観点から、好ましくは100℃以下、より好ましくは90℃以下、更に好ましくは80℃以下である。融点は、示差走査熱量測定法(DSC:Differential Scanning Calorimeter)によって測定することができる。具体的には、示差走査熱量計(例えば(株)リガク製、商品名: Thermo plus DSC8230)を用い、試料10〜20mg及び昇温速度5℃/minの条件で測定を行い、得られたDSC曲線の融解ピーク温度を融点とする。
【0025】
発泡性組成物中の水溶性バインダーの含有量は、圧縮成形物の強度の観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは7質量%以上、更に好ましくは8質量%以上であり、また、浴湯中での溶解性が向上し、発泡性を高め、発泡による香りの持続性の観点から、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは13質量%以下である。
【0026】
造粒物中の水溶性バインダーの含有量は、造粒物強度を高め、その崩壊を防止する観点、及び発泡性組成物の保存安定性の観点から、好ましくは8質量%以上、より好ましくは12質量%以上、更に好ましくは14質量%以上であり、また、浴湯中での溶解性が向上し、発泡性を高め、発泡による香りの持続性の観点から、好ましくは23質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは17質量%以下である。
【0027】
<炭酸塩>
本発明で用いる炭酸塩は、本発明品が水等と接触した際に、有機酸による中和により、炭酸ガスを発生させ、水しぶきにより、香料を揮散させ、香り立ちを高めるための成分である。
炭酸塩としては、発泡性を高め、発泡による香りの持続性の観点から、炭酸ジアルカリ金属塩、炭酸水素塩等が挙げられる。中でも、炭酸ジアルカリ金属塩としては、炭酸ナトリウム及び炭酸カリウムが好ましく、炭酸ナトリウムがより好ましい。炭酸水素塩として、は炭酸水素ナトリウムが好ましい。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0028】
炭酸塩の平均粒径は、泡の持続時間の観点から、好ましくは50μm以上、より好ましくは60μm以上、更に好ましくは70μm以上であり、発泡による初期の香り立ちを高める観点から、好ましくは350μm以下、より好ましくは300μm以下、更に好ましくは250μm以下である。炭酸塩の平均粒径とは、実施例に記載の方法により測定される。
【0029】
発泡性組成物中の炭酸塩の含有量は、炭酸ガスの発生による発泡性を高め、発泡により香料を有効に揮散させて優れた香り立ちを発現させる観点から、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは25質量%以上、より更に好ましくは30質量%以上であり、また、香りを持続させる観点、及び香りの劣化を抑制する観点から、好ましくは64質量%以下、より好ましくは57質量%以下、更に好ましくは50質量%以下、より更に好ましくは45質量%以下、より更に好ましくは40質量%以下である。
【0030】
また、保存安定性を確保する観点から、炭酸塩中の炭酸ナトリウムの含有量は、50質量%以上が好ましく、55質量%以上がより好ましく、60質量%以上が更に好ましい。また、同様の観点から、100質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましい。
【0031】
発泡性組成物中における、炭酸塩と有機酸のモル比(炭酸塩(モル)/有機酸(モル))は、適度な炭酸ガス発生量を確保し、香り立ちと持続性の観点から、好ましくは0.7以上、より好ましくは0.8以上、更に好ましくは0.9以上であり、また、同じ観点から、好ましくは1.3以下、より好ましくは1.2以下、更に好ましくは1.1以下である。
【0032】
<その他成分>
上記以外の成分であっても、本発明の課題を解決できる範囲内において、その他成分を適宜配合することができる。
【0033】
(吸油性粉体)
本発明の発泡性組成物は更に吸油性粉体を含有できる。かかる吸油性粉体としては、多糖類、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体、無機粉体等が挙げられる。
多糖類としては、デキストリン、炭素数10〜40の直鎖又は分岐のアルキル基を有するアルキルグリセリルエーテル及び/又はヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数1〜5のスルホアルキルで修飾された多糖類、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース等の水溶性非イオン性セルロースエーテル、カチオン化セルロース、カルボキシメチルセルロース、カチオン化ヒドロキシエチルセルロース等のイオン性セルロース、グアーガム、ヒドロキシエチルグアーガム、メチルグアーガム、エチルグアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム、ヒドロキシエチルメチルグアーガム、ヒドロキシプロピルメチルグアーガム、スターチ、ヒドロキシエチルスターチ、メチルスターチ、エチルスターチ、ヒドロキシプロピルスターチ、ヒドロキシエチルメチルスターチ及びヒドロキシプロピルメチルスターチ等が挙げられる。
無機粉体としては、珪酸カルシウム及びシリカが挙げられる。
これら各種の吸油性粉体は、単独で用いてもよく、2種以上組み合せて用いてもよい。このうち、発泡性組成物の保存安定性や、高い香り立ちの観点から、デキストリンが好ましい。
【0034】
デキストリンの数平均分子量は、好ましくは1500以上、より好ましくは2000以上、更に好ましくは2500以上であり、また、好ましくは10000以下、より好ましくは9000以下、更に好ましくは8000以下である。
【0035】
造粒物中の吸油性粉体の含有量は、溶け残りと香りの持続性の観点から、15質量%以下が好ましく、12質量%以下がより好ましく、8質量%以下が更に好ましく、5質量%以下がより更に好ましく、含有しないことがより更に好ましい。
発泡性組成物中の吸油性粉体の含有量は、溶け残りと香りの持続性の観点から、10質量%以下が好ましく、8質量%以下がより好ましく、5質量%以下が更に好ましく、3質量%以下がより更に好ましく、含有しないことが特に好ましい。
【0036】
(非イオン界面活性剤)
本発明の発泡性組成物は、水中での香料成分の溶解性等の点から、非イオン界面活性剤を含有してもよい。
非イオン界面活性剤としては、例えば、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルケニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいが、2種以上組み合わせて用いることにより、上記効果をさらに向上させることができるため好ましい。
なかでも、本発明の発泡性組成物が前述の効果を発揮する点で、ショ糖脂肪酸エステルが好ましく、また、HLBが10〜16であることがより好ましい。ショ糖脂肪酸エステルの具体的としては、ショ糖ベヘニン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル等が挙げられる。
【0037】
ここで、HLBとは、界面活性剤の親水性と疎水性のバランスを表すのに通常使用される値であり、当分野において慣用される川上式等の幾つかの計算式により求めることができる。本発明においては、下記の川上式を採用する。
HLB=7+11.7log
10(M
w/M
0)
M
w:親水部の式量の総和
M
0:親油部の式量の総和
【0038】
これらの非イオン界面活性剤の含有量は、発泡性組成物の保存安定性や高い香り立ちの観点から、発泡性組成物全量中、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.005質量%以上であり、また、好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.05質量%以下である。
【0039】
(安定化剤)
本発明の発泡性組成物は、造粒物又は圧縮成形物の保存安定性を向上させる点から、安定化剤を含有してもよい。安定化剤としては、難水溶性の金属酸化物が好ましい。当該難水溶性金属酸化物としては、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛等のアルカリ土類金属酸化物が特に好ましい。
【0040】
安定化剤の粒径は、安定化剤としての効果を発現させる観点から、平均粒径は300μm以下が好ましく、200μm以下がより好ましく、100μm以下が更に好ましい。造粒にて造粒する場合には、平均粒径が50μm以下であるものを用いることが好ましく、平均粒径が30μm以下であるものを用いることがより好ましい。安定化剤の平均粒径とは、実施例に記載の方法により測定される。
【0041】
安定化剤の含有量は、造粒物、又は圧縮成形物の溶解性を向上させる観点から、発泡性組成物中、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましい。一方、崩壊助剤の含有量の上限は、コストの面から、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下が更に好ましい。
【0042】
本発明の方法で得られる発泡性組成物中における、上記必須成分及び上記任意成分の含有量、すなわち、有機酸、香料、水溶性バインダー、炭酸塩、吸油性粉体、非イオン界面活性剤及び安定化剤の合計含有量は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、より更に好ましくは95質量%以上、より更に好ましくは99質量%以上、より更に好ましくは100質量%である。
ただし、本発明で用いる発泡性組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲内で、上記以外の成分を適宜配合することができる。このような成分としては、メタリン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等の無機塩類、ブドウ糖、果糖、乳糖、麦芽糖、蔗糖、マルトース、フルクトース、トレハロース等の糖類のほか、油性成分、賦形剤、消泡剤、酸化防止剤、防菌・防黴剤、色素、生薬類等が挙げられる。
【0043】
<発泡性組成物の製造方法>
前述のとおり、本発明の発泡性組成物の製造方法は、下記工程を有する。
工程(1):有機酸、香料及び水溶性バインダーを混合し、造粒して、造粒物を得る工程
工程(2):工程(1)で得られた造粒物と炭酸塩を混合し、圧縮成形する工程
なお、本発明の効果を奏する限りにおいて、炭酸塩の一部を工程(1)において添加してもよい。次に、各工程について具体的に説明する。
【0044】
(工程(1))
工程(1)は、有機酸、香料及び水溶性バインダーを混合し、造粒物を得る工程である。
工程(1)では、有機酸に香料を滴下混合した後、水溶性バインダーを滴下混合することが好ましい。
水溶性バインダーは、予め一部又は全部を溶融させてから混合してもよいし、固体として配合して混合機内部で加熱溶融させてもよいが、予め溶融させて用いることが好ましい。
工程(1)において、吸油性粉体を加える場合には、予め有機酸と吸油性粉体を均質に混合した後、香料を滴下混合することが好ましい。
【0045】
上記工程(1)にて押出し造粒する場合、各成分を混合する場合の混合機としては、混合時に強い剪断を与えて大きく圧密化させることのない装置であればよい。例えば、ドラム型ミキサー、リボンミキサー、ナウターミキサー等が挙げられる。
但し、本来、高剪断力を与えうる、シュギミキサー、ヘンシェルミキサーや主翼と解砕翼を備えた竪型又は横型混合機であるレディゲミキサー、ハイスピードミキサー等においても、回転数や以下に記載するフルード数を低く設定し圧密化を抑制することで、利用することができる。
【0046】
混合時の圧密化を抑制し、発泡性を高め、発泡による香りの持続性の観点から、以下の式で定義される造粒機のフルード数を60以下に設定するのが好ましく、50以下に設定するのがより好ましく、40以下に設定するのが更に好ましく、保存安定性の観点から、5以上が好ましく、10以上が更に好ましく、20以上がより更に好ましい。
フルード数:Fr=V
2/(R×g)
V:周速[m/s]
R:回転中心から回転物の円周までの半径[m]
g:重力加速度[m/s
2]
なお、主翼や解砕翼を備えた竪型或いは横型造粒機においては、V及びRは主軸の値を用い、攪拌部が自転及び公転軌道を描くナウターミキサーにおいては、V及びRは自転攪拌軸の値を用いることとする。
【0047】
上記工程(1)において、各成分を混合するときの温度は、混合を効率よく行う観点から、20℃以上であることがより好ましく、30℃以上であることが更に好ましく、40℃以上であることがより更に好ましく、有機酸の昇華を抑制する観点から、150℃以下であることがより好ましく、100℃以下であることが更に好ましく、80℃以下であることがより更に好ましい。
【0048】
前記で得られた混合物を押出し造粒する場合には、マルチグラン、ペレッターダブル、ドームグラン、ツインドームグラン、ディスクペレッター(何れも(株)ダルトン製)、バスケット式整粒機((株)菊水製作所製)等の周知の押出造粒機を用いることができる。
【0049】
押出し造粒機を用いる場合、スクリーンの穴径は、好ましくは0.3mm以上、より好ましくは0.4mm以上、更に好ましくは0.5mm以上であり、また、好ましくは2.0mm以下、より好ましくは1.5mm以下、更に好ましくは1.0mm以下である。
このようなスクリーンを用いることにより、円筒状もしくはヌードル状造粒物を得ることができる。
【0050】
得られた押出し造粒物は、合一化や塊状化を抑制するために冷却を行い、その後、必要に応じて整粒することができる。整粒する際に使用する機械としては、周知の所望の穴径を有するスクリーンを備えた粉砕機(あるいは破砕機)を用いることができ、例えば、フィッツミル(ダルトン(株)製)、パワーミル(何れも(株)ダルトン製)、コーミル((株)パウレック製)等が挙げられる。
【0051】
上記工程(1)にて転動造粒する場合、ヘンシェルミキサー(日本コークス工業(株)製)、ハイスピードミキサー((株)アーステクニカ製)、バーチカルグラニュレーター((株)パウレック製)、レディゲミキサー(松坂技研(株)製)、ブロシェアミキサー(太平洋機工(株)製)、V型ミキサー(不二パウダル(株)製)、リボンミキサー(ホソカワミクロン(株)製)、ナウターミキサー(ホソカワミクロン(株)製)、SVミキサー(神鋼バンテック(株)製)を用いることができる。
発泡性組成物の保存安定性の観点から押出し造粒機が好ましい。
造粒物の平均粒径は、好ましくは100μm以上、より好ましくは300μm以上、更に好ましくは400μm以上、より更に好ましくは500μm以上であり、また、好ましくは2000μm以下、より好ましくは1500μm以下、更に好ましくは1000μm以下、より更に好ましくは800μm以下である。
【0052】
(工程(2))
工程(2)は、工程(1)で得られた造粒物と炭酸塩を混合し、圧縮成形する工程である。
工程(2)では、更に有機酸を混合し、圧縮成形してもよい。これにより、使用初期における香り立ちがより良好になり、また、得られる圧縮成形物の溶解時間が長くなり過ぎて溶け残りが生じることが防止される。
【0053】
工程(2)にて各成分を混合する際、造粒物と炭酸塩が実質的に均一に混合できればどのような方法を用いてもよい。例えば、工程(1)に関し説明した混合機を使用して混合してもよいし、V型ブレンダー(パウレックス(株)製)、ダブルコーンミキサー((株)徳寿工作所製)、及びリボンブレンダー(ホソカワミクロン(株)製)、SVミキサー(神鋼バンテック(株)製)等を使用して混合してもよい。
【0054】
圧縮成形には、錠剤若しくはブリケットが得られるものであれば限定されず、周知の打錠機、ブリケット機を用いることができる。
打錠機は、臼の中に造粒物を充填し、下杵と上杵の間で圧縮して成形する装置である。打錠機には、1個の臼内で上下一組の杵が上下運動して圧縮する単発打錠機、水平に回転するターンテーブルの外周に、臼が等間隔に埋め込まれ、ターンテーブルが回転する間に、充填・圧縮・排出の一連の操作が連続的に行われるロータリー打錠機がある。周知の打錠機として、単発打錠機には理研機器(株)製打錠機、ロータリー打錠機には菊水化学(株)製打錠機を用いることができる。
【0055】
打錠機を用いるときの錠剤の大きさは、円柱状の場合には直径(多角形の場合には1辺の長さ)が、70mm以下が好ましく、65mm以下がより好ましく、また、10mm以上が好ましく、30mm以上が更に好ましい。錠剤の厚みは、20mm以下が好ましく、15mm以下がより好ましく、また、2mm以上が好ましく、5mm以上がより好ましく、8mm以上が更に好ましい。錠剤の形状は、特に限定されるものではないが、円柱状、多角形状が好ましい。
【0056】
ブリケット機は、外周に所望する圧縮物の母型となるポケットが刻まれている2個のロールが互いに食い込み、同速で回転するロール間に造粒物を供給し、連続的に圧縮成形する装置である。周知のブリケット機としては、ブリケッティングマシン(新東工業(株)製)等を用いることができる。
ブリケット機を用いるときのブリケットの粒径は、ブリケットの溶解性の観点から25mm以下が好ましく、20mm以下がより好ましく、15mm以下が更に好ましく、10mm以下がより更に好ましい。ブリケットの形状としては、特に限定されるものではないが、ブリケット状、アーモンド形、ピロー形、フィンガー形、レンズ形等が好ましい。
【0057】
工程(2)では本発明の課題を解決できる範囲内において、その他成分、例えば水溶性バインダー、非イオン性界面活性剤、崩壊助剤、香料等を適宜配合することができる。
工程(2)で得られる発泡性組成物中における造粒物の含有量は、溶解性の観点から、70質量%以下が好ましく、65質量%以下がより好ましく、62質量%以下が更に好ましく、55質量%以下がより更に好ましい。また、香料を含有させて保存安定性を高める観点から、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、20質量%以上が更に好ましく、25質量%以上がより更に好ましい。
【0058】
[第1の態様に係る発泡性組成物]
本発明の第1の態様に係る発泡性組成物は、前述の発泡性組成物の製造方法によって製造することができる。この発泡性組成物中の各成分の種類及び含有量も、前述のとおりである。
【0059】
[第2の態様に係る発泡性組成物]
本発明の第2の態様に係る発泡性組成物は、香料、有機酸及び炭酸塩を含有する発泡性組成物であって、有機酸、香料及び水溶性バインダーを含有する造粒物と、炭酸塩とを含有しており、香料の含有量が2質量%以上である、発泡性組成物である。
この発泡性組成物中の造粒物は、前述の工程(1)により製造することができ、この造粒物中の各成分の種類及び含有量は、前述の発泡性組成物の製造方法において説明したとおりである。
また、この発泡性組成物は、前述の工程(1)及び(2)により製造することができ、この造粒物中の各成分の種類及び含有量も、前述の発泡性組成物の製造方法において説明したとおりである。
【0060】
[使用態様]
本発明の製造方法により得られる発泡性組成物は、例えば、浴室内において、カップ等の容器内に水等とともに入れて使用することができる。この容器内に入れる順序に制限はなく、容器内に水等を注いだ後にこれら発泡性組成物を入れてもよく、容器内にこれら発泡性組成物を入れた後に水等を注いでもよく、これらを同時に容器内に入れてもよい。
また、これら発泡性組成物は、浴用剤として、浴槽内に入れて使用してもよい。
【実施例】
【0061】
以下、実施例により本発明を説明するが、実施例は本発明の例示について述べるものであり、本発明を限定するものではない。
【0062】
<粉末及び造粒物の各種物性の測定方法>
1.平均粒径
平均粒径については、以下の2つの方法により測定した。
(1)造粒物の平均粒径は、JIS K 8801の標準篩(目開き2000〜125μm)を用いて5分間振動させた後、篩目のサイズによる重量分率からメジアン径を算出した。
より詳細には、目開き125μm、180μm、250μm、355μm、500μm、710μm、1000μm、1400μm、2000μmの9段の篩と受け皿を用いて、受け皿上に目開きの小さな篩から順に積み重ね、最上部の2000μmの篩の上から100gの造粒物を添加し、蓋をしてロータップ型ふるい振とう機(HEIKO製作所製、タッピング156回/分、ローリング:290回/分)に取り付け、5分間振動させたあと、それぞれの篩及び受け皿上に残留した該粒子の質量を測定し、各篩上の該粒子の質量割合(%)を算出した。
受け皿から順に目開きの小さな篩上の該粒子の質量割合を積算していき合計が50%となる粒径を造粒物の平均粒径とした。
炭酸塩の平均粒径は、目開き45μm、63μm、90μm、125μm、180μm、250μm、355μm、500μm、710μm、1000μm、1400μm、2000μmの12段の篩と受け皿を用いた以外は前記同様に測定した。
【0063】
(2)有機酸、吸油性粉体、及び安定化剤の平均粒径測定
有機酸、吸油性粉体、及び安定化剤の平均粒径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920(堀場製作所(株)製)を用い、各粉末を溶解させない分散媒に分散させて測定したメジアン径を平均粒径とした。
具体的には、有機酸を測定する場合にあっては分散媒としてアセトンを用いた。また、吸油性粉体のうち水溶性高分子を測定する場合にあっては分散媒としてアセトンを用い、無機粉末を測定する場合にあっては分散媒としてイオン交換水を用いた。同様に、安定化剤を測定する場合にあっては分散媒としてイオン交換水を用いた。
【0064】
2.嵩密度
各粉末の嵩密度は、JIS K 3362により規定された方法で測定した。
【0065】
3.吸油能
各粉末の吸油能測定は以下の方法で行った。
吸油能測定は、まず、吸収量測定器((株)あさひ総研製S410)に粉末をおおよそ80ml投入し、駆動羽根200rpmで回転させた。粉末の仕込み量は前記嵩密度から算出した。ここに非イオン界面活性剤(日光ケミカルズ(株)製ニッコールGO−440V HLB=12.6)を、液供給速度2ml/minで滴下し、最大トルクとなる点を見極めた。この最大トルクとなる点の70%のトルクとなる点での液(非イオン界面活性剤)添加量を粉末投入量で除算し、各粉末の吸油能とした。
【0066】
4.保存安定性
得られた錠剤10錠を各々袋状のアルミピロー内に密封し(アルミピローの内容積/発泡性組成物の容積=2)、50℃で1カ月間保存した後、アルミピローの膨れの有無を目視により確認し、以下の評価基準に従って評価した。
4:アルミピローの外観にまったく変化を認めない
3:アルミピローの外観にごくわずかに膨れを認める
2:アルミピローにやや膨れを認める
1:アルミピローに膨れを認める
【0067】
5.香り立ち評価
得られた錠剤(質量20g)を40℃、200ミリリットルの湯に投入し、投入後2分、6分、10分の香り立ちについて、1名の熟練評価者が以下の評価基準に従って評価した。
A;香り立ちがよい
B;香り立ちがまあまあよい
C;香り立ちが悪い
【0068】
6.溶解時間
得られた錠剤(質量20g)を40℃、200ミリリットルの湯に投入し、全量が溶解することを目視で確認し、投入後からの時間を測定した。
【0069】
<押出し造粒物の製造>
下記の製造例及び比較製造例においては、下記の原料を用いて押出し造粒物を製造した。
(有機酸)
・フマル酸−1:(株)日本触媒製フマル酸を粉砕して調製、吸油能0.220ml/g、嵩密度809g/l、平均粒径35μm
(香料)
・花王(株)製調合香料:テルペン類を30〜50質量%、フェノール類を20質量%含む。
(水溶性バインダー)
・ポリエチレングリコール:花王(株)製、数平均分子量8500、66℃
(吸油性粉体)
・デキストリン:日澱化学(株)製、吸油量1.507ml/g、嵩密度142g/l、平均粒径455μm
・珪酸カルシウム:冨田製薬(株)製、吸油量4.517ml/g、嵩密度74g/l、平均粒径28μm
【0070】
製造例1
2Lハイスピードミキサー(深江パウテック(株)製:LFS−2、アジテータ回転数600rpm/チョッパー回転数1000rpm/フルード数34.0/ジャケット温水温度60℃)に、フマル酸−1:253.2g、デキストリン:46.8gを加え1分間混合した。
次に香料:31.2gを2分で滴下混合し、全量添加後1分間混合した。
更にポリエチレングリコール:58.4gを1分40秒で添加した後、1分間混合し、混合物を抜出した。
得られた混合物を、マルチグラン((株)ダルトン製:MG−55、φ0.5mmドームダイスクリーン、回転数30rpm)を用いて押出し造粒を行い、押出し造粒物を得た。
押出し造粒物はバットに受け、25℃で冷却した後、コーミル((株)パウレック製:QC−U5、φ2.1mmスクリーン、回転数504rpm)で整粒を行い、平均粒径560μmの製造例1の押出し造粒物を得た。
【0071】
製造例2
2Lハイスピードミキサー(深江パウテック(株)製:LFS−2、アジテータ回転数600rpm/チョッパー回転1000rpm/フルード数34.0/ジャケット温水温度60℃)に、フマル酸−1:300.0gを加え30秒間混合した。
次に香料:31.2gを1分10秒で滴下混合し、全量添加後1分間混合した。
更にポリエチレングリコール:58.4gを1分で添加した後、40秒間混合し、混合物を抜出した。
得られた混合物を、マルチグラン((株)ダルトン製:MG−55、φ0.5mmドームダイスクリーン、回転数30rpm)を用いて押出し造粒を行い、押出し造粒物を得た。
押出し造粒物はバットに受け、25℃で冷却した後、コーミル((株)パウレック製:QC−U5、φ2.1mmスクリーン、回転数504rpm)で整粒を行い、平均粒径554μmの製造例2の押出し造粒物を得た。
【0072】
製造例3
2Lハイスピードミキサー(深江パウテック(株)製:LFS−2、アジテータ回転数600rpm/チョッパー回転1000rpm/フルード数34.0/ジャケット温水温度60℃)に、フマル酸−1:271.9g、デキストリン:28.1gを加え1分間混合した。
次に香料:18.8gを1分10秒で滴下混合し、全量添加後1分間混合した。
更にポリエチレングリコール:62.3gを2分で添加した後、1分間混合し、混合物を抜出した。
得られた混合物を、マルチグラン((株)ダルトン製:MG−55、φ0.5mmドームダイスクリーン、回転数30rpm)を用いて押出し造粒を行い、押出し造粒物を得た。
押出し造粒物はバットに受け、25℃で冷却した後、コーミル((株)パウレック製:QC−U5、φ2.1mmスクリーン、回転数504rpm)で整粒を行い、平均粒径573μmの製造例3の押出し造粒物を得た。
【0073】
比較製造例1
2.5Lナウターミキサー(ホソカワミクロン(株)製:LABOMIXER LV−1/回転数設定 目盛り:MAX/ジャケットなし)に、デキストリン:50.0gを加え、香料:33.3gを3分30秒で滴下混合した。全量添加後5分間混合し、比較製造例1の香料粉末を得た。
【0074】
比較製造例2
2Lハイスピードミキサー(深江パウテック(株)製:LFS−2、アジテータ回転数600rpm/チョッパー回転1000rpm/フルード数34.0/ジャケット温水温度60℃)に、デキストリン:157.5g、珪酸カルシウム:17.5gを加え1分間混合した。
次に香料:35.0gを1分10秒で滴下混合し、全量添加後1分間混合した。
更にポリエチレングリコール:140.0gを1分40秒で添加した後、40秒間混合し、混合物を抜出した。
得られた混合物を、マルチグラン((株)ダルトン製:MG−55、φ0.5mmドームダイスクリーン、回転数30rpm)を用いて押出し造粒を行い、押出し造粒物を得た。
押出し造粒物はバットに受け、25℃で冷却した後、コーミル((株)パウレック製:QC−U5、φ2.1mmスクリーン、回転数504rpm)で整粒を行い、平均粒径592μmの比較製造例2の押出し造粒物を得た。
【0075】
実施例1
2.5Lナウターミキサー(ホソカワミクロン(株)製:LABOMIXER LV−1/回転数設定 目盛り:MAX/ジャケットなし)に、炭酸水素ナトリウム:28.6g、炭酸ナトリウム:50.6g、製造例1の押出し造粒物:68.8g、酸化マグネシウム:4.4g、ポリエチレングリコール:16.6g、ショ糖脂肪酸エステル:0.038g、フマル酸−2:51.0gを入れ5分間混合し、混合物を得た。得られた混合物:20.0gをφ40mmの打錠セルに充填し、理研機器(株)製打錠機を用いて10MPaで圧縮成形し、φ40mm、厚さ12.1mmの錠剤型の発泡性組成物を得た。
結果を表2に記載する。なお、後述する実施例及び比較例においても、同様に結果を表2に記載する。
【0076】
実施例2〜
4、比較例1〜4
、及び参考例1
表2に示す配合にしたこと以外は実施例1と同様にして、発泡性組成物を得た。評価結果を表2に示す。
【0077】
本実施例及び比較例においては、下記の原料を用いた。
(有機酸)
・フマル酸−2:(株)日本触媒製フマル酸、吸油能0.131ml/g、嵩密度809g/l、平均粒径140μm
(炭酸塩)
・炭酸水素ナトリウム:東ソー(株)製、平均粒径234μm
・炭酸ナトリウム:セントラル硝子(株)製、平均粒径93μm
(水溶性バインダー)
・ポリエチレングリコール:花王(株)製、数平均分子量8500、融点66℃
(崩壊助剤)
・酸化マグネシウム:協和化学工業(株)製、平均粒径8μm
(非イオン性界面活性剤)
・ショ糖脂肪酸エステル:三菱化学フーズ(株)製、ショ糖ステアリン酸エステル、HLB11
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【0080】
実施例1〜
4では、いずれも保存安定性に優れると共に、香りの持続性(6分)に優れていた。
実施例2と実施例4との比較から、実施例4では、工程(1)で吸油性粉体(デキストリン)を用いなかったため、より香りの持続性(10分)に優れたのではないかと考えられる。
また、
参考例1では、有機酸を全量、工程(1)に用いているため、香りの持続性(10分)に優れるが、有機酸の溶け残りがあった。
実施例1と比較例1〜3との比較から、造粒物を用いずに、香料粉末を使用した場合は、保存安定性、香りの持続性いずれにも劣ることがわかる。
実施例2と比較例4との比較から、押出し造粒物に有機酸を含有しない場合は、保存安定性、初期の香り立ちと香りの持続性のいずれにも劣ることがわかる。