特許第6209100号(P6209100)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6209100
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】折畳式乳母車
(51)【国際特許分類】
   B62B 7/08 20060101AFI20170925BHJP
【FI】
   B62B7/08
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-27728(P2014-27728)
(22)【出願日】2014年2月17日
(65)【公開番号】特開2015-151050(P2015-151050A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2016年12月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】508189474
【氏名又は名称】アップリカ・チルドレンズプロダクツ合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】特許業務法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥山 貴祥
【審査官】 北中 忠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−6553(JP,A)
【文献】 特開昭63−184567(JP,A)
【文献】 特開2014−28618(JP,A)
【文献】 米国特許第4779879(US,A)
【文献】 特開2009−202776(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 7/00−9/28
B60B 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前脚および後脚を含み、展開状態と折り畳み状態で形態が異なる車体フレームと、
前記前脚の下端部に設けられるキャスタ保持部材、および前記キャスタ保持部材に上下方向に延びる転回軸線回りに回動可能に保持されて前輪を軸支するキャスタ回動部材を有し、前記前輪を方向転回可能にする前輪キャスタ機構と、
前記キャスタ保持部材に設けられ、ロック位置で前記キャスタ回動部材の回動を規制し、解除位置で前記キャスタ回動部材の回動を許容するキャスタロック部材と、
前記キャスタロック部材を前記ロック位置から前記解除位置へ付勢する弾性部材と、
一端が前記キャスタロック部材と連結し、他端が前記車体フレームに配置される部材であって、前記展開状態から前記折り畳み状態へ形態変化する前記車体フレームの形態変化箇所が前記他端と当接することにより、前記弾性部材の付勢力に抗して前記キャスタロック部材を前記ロック位置にする作動部材とを備える、折畳式乳母車。
【請求項2】
前記作動部材は、前記キャスタロック部材から上方へ延びるリンクと、前記リンクの上端と連結して前記前脚に変位可能に設けられる前脚可動部材とを含み、
前記前脚可動部材は、前記形態変化箇所と当接することにより下方位置に押し下げられ、前記リンクを介して前記キャスタロック部材を前記ロック位置にする、請求項1に記載の折畳式乳母車。
【請求項3】
前記後脚は、前記車体フレームの形態変化によって前記前脚に近づき、
前記前脚可動部材は前記形態変化箇所になる前記後脚と当接することにより前記下方位置に押し下げられ、前記リンクを介して前記キャスタロック部材を前記ロック位置にする、請求項2に記載の折畳式乳母車。
【請求項4】
前記車体フレームは幼児用座席の側方に配設された手摺部材をさらに含み、
前記手摺部材は、前記車体フレームの形態変化によって前記前脚に近づき、
前記前脚可動部材は前記形態変化箇所になる前記手摺部材と当接することにより前記下方位置に押し下げられ、前記リンクを介して前記キャスタロック部材を前記ロック位置にする、請求項2に記載の折畳式乳母車。
【請求項5】
前記車体フレームは、前記前脚に沿ってスライドするスライド部材をさらに含み、
前記スライド部材は、前記車体フレームの形態変化によって下方へスライド移動し、
前記前脚可動部材は前記形態変化箇所になる前記スライド部材と当接することにより前記下方位置に押し下げられ、前記リンクを介して前記キャスタロック部材を前記ロック位置にする、請求項2に記載の折畳式乳母車。
【請求項6】
前記車体フレームは幼児用座席の側方に配設された座部支持棒をさらに含み、
前記座部支持棒は、前記車体フレームの形態変化によって前記前脚に近づき、
前記前脚可動部材は前記形態変化箇所になる前記座部支持棒と当接することにより前記下方位置に押し下げられ、前記リンクを介して前記キャスタロック部材を前記ロック位置にする、請求項2に記載の折畳式乳母車。
【請求項7】
前記車体フレームは、回動軸を介して前脚に連結されたフレーム部材をさらに含み、
前記フレーム部材は、前記車体フレームの形態変化によって前記回動軸を中心として回動し前記前脚に近づき、
前記前脚可動部材は前記形態変化箇所になる前記フレーム部材と当接することにより前記下方位置に押し下げられ、前記リンクを介して前記キャスタロック部材を前記ロック位置にする、請求項2に記載の折畳式乳母車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用時には展開状態にされ、不使用時には折り畳み状態にされる乳母車に関し、特にロック可能なキャスタ輪の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
使用時には展開状態に広げられ、不使用時には折り畳み状態に縮小される乳母車として例えば、特開2013−095274号公報(特許文献1)および特開2013−006553号公報(特許文献2)に記載されるものが知られる。特許文献1および2において、前脚の下端に設けられた前輪は、左右に転回可能なキャスタ輪である。特許文献1記載の乳母車には、キャスタ輪の転回をロック可能にする公知のロックレバーが設けられており、乳母車の操作者がこのロックレバーを操作することによってキャスタ輪は転回不能にロックされる。特許文献2記載の乳母車は、前脚と、前脚の下端に設けられたキャスタ輪と、前脚に沿った背面押し位置と前脚から離れた対面押し位置に切り替え可能な押棒とを備え、キャスタ輪は、キャスタロック部材によって転回しないようロックされ得る。特許文献2記載のキャスタロック部材は、乳母車の操作者によって直接操作されるものではなく、ワイヤを介して、前脚の上端側領域に変位可能に設けられた前脚側可動部材と接続する。押棒は、機構的な動作により、前脚側可動部材を上方位置に引き上げることができる。また前脚側可動部材は下方位置に変位することができる。このような前脚側可動部材の上方位置あるいは下方位置への変位に応動して、キャスタロック部材はキャスタ輪の転回を許容するロック解除位置あるいはキャスタ輪の転回を規制するロック位置に変位する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−095274号公報
【特許文献2】特開2013−006553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載のロックレバーが掛かっておらず、キャスタ輪が転回自由な状態のままで特許文献1記載の乳母車を折り畳む場合、前輪が路面に対して不安定に転回してしまう。そうすると、前輪および後輪を確りと接地させて折り畳まれた乳母車を安定して自立させることができない。また折り畳み状態で前輪であるキャスタ輪の向きと後輪の向きが揃わず、見栄えが悪いという問題がある。
【0005】
また前輪および後輪を接地させたまま前輪と後輪との距離が小さくなるように乳母車を折り畳む操作の際、前輪が左右方向に不用意に転回してしまうと、円滑な折り畳み操作の障害となり、乳母車の操作者にとって折り畳み操作が煩わしいものとなる。さらに左右に転回した前輪が後輪に干渉して折り畳みの操作の障害になる虞がある。かといって乳母車を折り畳む操作に先立って、キャスタ輪のロックレバーをその都度掛けるのは、操作者にとって大変面倒である。
【0006】
特許文献2記載のキャスタロック部材はばねの付勢力でキャスタ輪を転回不能にロックする。かかる構成にあっては、乳母車の展開状態にあっては押棒で前輪側可動部材を引き上げる等、何らかの手段を付加してキャスタロック部材をばねの付勢力に抗してロック解除位置に保持しなければならない。
【0007】
本発明は、上述の実情に鑑み、特許文献1に記載のような操作者の手動による面倒なキャスタレバーのロック操作を不要にして、乳母車を折り畳む際にキャスタ輪(前輪)を自動的にロックすることができ、乳母車を展開する際にも操作者の手動による操作を伴うことなくキャスタ輪の転回を自動的に許容する乳母車を提供することを第1の目的とする。また、乳母車を折り畳む操作においてキャスタ輪の不用意な転回を防止することを第2の目的とする。また乳母車の展開状態にあっては、特許文献2に記載のような押棒による引き上げ手段等、特段の機構を要することなく、簡易な構成でキャスタ輪の転回を許容することを第3の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のため本発明による折畳式乳母車は、前脚および後脚を含み、展開状態と折り畳み状態で形態が異なる車体フレームと、前脚の下端部に設けられるキャスタ保持部材、およびキャスタ保持部材に上下方向に延びる転回軸線回りに回動可能に保持されて前輪を軸支するキャスタ回動部材を有し、前輪を方向転回可能にする前輪キャスタ機構と、キャスタ保持部材に設けられ、ロック位置でキャスタ回動部材の回動を規制し、解除位置でキャスタ回動部材の回動を許容するキャスタロック部材と、キャスタロック部材をロック位置から解除位置へ付勢する弾性部材と、一端がキャスタロック部材と連結し、他端が車体フレームに配置される部材であって、展開状態から折り畳み状態へ形態変化する車体フレームの形態変化箇所が他端と当接することにより、弾性部材の付勢力に抗してキャスタロック部材をロック位置にする作動部材とを備える。
【0009】
かかる本発明によれば作動部材が、展開状態から折り畳み状態へ形態変化する車体フレームの形態変化に連動して、キャスタ回動部材の回動を規制することから、折畳式乳母車を折り畳む操作において前輪キャスタ機構が自動的にロックされる。したがって操作者が手動で前輪のキャスタをロック操作する必要がなく、使い勝手が向上する。かかる前輪キャスタ機構のロックおよびロック解除は、操作者によるキャスタロック部材の操作を要することなく、折畳式乳母車を折り畳む操作および開く操作に連動して自動で行われる。
【0010】
また本発明によれば、折り畳み状態のみならず、操作者が折畳式乳母車を折り畳む操作において、折り畳み途中状態でキャスタ回動部材の回動を規制することができる。したがって操作者は、折り畳み操作を円滑に実行することができる。
【0011】
また本発明によれば、キャスタロック部材が弾性部材によって解除位置に付勢されることから、折畳式乳母車の展開状態において,特段の機構を要することなく、キャスタロック部材を解除位置に保持することができる。
【0012】
作動部材は様々な実施形態が可能である。作動部材の他端は、車体フレームの形態変化箇所に配置されるとよく、形態変化箇所は特に限定されないが、好ましくは、車体フレームの一部分と対面し、形態変化に伴って当該一部分が形態変化箇所に近づく箇所に配置されるとよい。一実施形態として作動部材は、キャスタロック部材から上方へ延びるリンクと、リンクの上端と連結して前脚に変位可能に設けられる前脚可動部材とを含み、前脚可動部材は車体フレームの形態変化箇所と当接することにより下方位置に押し下げられ、リンクを介してキャスタロック部材をロック位置にする。リンクはキャスタロック部材と前脚可動部材を接続するものであれば、ロッド、シャフト、あるいはワイヤ等、特に限定されない。
【0013】
本発明の車体フレームの形態変化は特に限定されない。例えば車体フレームは、折り畳むことによって前脚と後脚の間の角度が開いてもよい。好ましい実施形態として後脚は車体フレームの形態変化によって前脚に近づく。そして前脚可動部材は、形態変化箇所になる後脚と当接することにより下方位置に押し下げられ、リンクを介してキャスタロック部材をロック位置にする。
【0014】
他の実施形態として、車体フレームは幼児用座席の側方に配設された手摺部材をさらに含み、手摺部材は、車体フレームの形態変化によって前脚に近づく。そして前脚可動部材は、形態変化箇所になる手摺部材と当接することにより下方位置に押し下げられ、リンクを介してキャスタロック部材をロック位置にするものであってもよい。
【0015】
他の実施形態として車体フレームは、前脚に沿ってスライドするスライド部材をさらに含み、スライド部材は車体フレームの形態変化によって下方へスライド移動する。そして前脚可動部材は、形態変化箇所になるスライド部材と当接することにより下方位置に押し下げられ、リンクを介してキャスタロック部材をロック位置にしてもよい。このように作動部材は、車体フレームの形態変化を利用して、キャスタロック部材をロック位置に変位させるものであればよい。スライド部材は例えば押棒であってもよいし、あるいは他のフレーム部材であってもよい。
【0016】
他の実施形態として、車体フレームは幼児用座席の側方に配設された座部支持棒をさらに含み、座部支持棒は、車体フレームの形態変化によって前脚に近づく。そして前脚可動部材は、形態変化箇所になる座部支持棒と当接することにより下方位置に押し下げられ、リンクを介してキャスタロック部材をロック位置にするものであってもよい。
【0017】
一実施形態として、車体フレームは回動軸を介して前脚に連結されたフレーム部材をさらに含み、フレーム部材は車体フレームの形態変化によってこの回動軸を中心として回動し前脚に近づき、前脚可動部材は形態変化箇所になるフレーム部材と当接することにより下方位置に押し下げられ、リンクを介してキャスタロック部材をロック位置にする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、乳母車の折り畳み途中状態および折り畳み状態で前輪のキャスタ輪が不用意に転回せず、折り畳まれた乳母車は安定して自立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態になる折畳式乳母車の展開状態を示す骨格図である。
図2】同実施形態の折り畳み途中状態を示す骨格図である。
図3】同実施形態の折り畳み状態を示す骨格図である。
図4】同実施形態の展開状態を模式的に示す説明図である。
図5】同実施形態の折り畳み途中状態を模式的に示す説明図である。
図6】同実施形態の折り畳み状態を模式的に示す説明図である。
図7】本発明の他の実施形態になる折畳式乳母車の展開状態を模式的に示す説明図である。
図8】他の実施形態の折り畳み途中状態を模式的に示す説明図である。
図9】他の実施形態の折り畳み状態を模式的に示す説明図である。
図10】本発明のさらに他の実施形態になる折畳式乳母車の展開状態を模式的に示す説明図である。
図11】さらに他の実施形態の折り畳み途中状態を模式的に示す説明図である。
図12】さらに他の実施形態の折り畳み状態を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態になる折畳式乳母車の概略を示す骨格図である。図2は同実施形態の折り畳み途中状態を示す骨格図である。図3は同実施形態の折り畳み状態を示す骨格図である。図1図3は乳母車を車幅方向外側からみた状態を表す。
【0021】
折畳式乳母車1は、車体フレーム2と、幼児用座席の座部3と、幼児用座席の背もたれ部4とを備える。車体フレーム2は、座部3および背もたれ部4を支持し、折畳式乳母車1の展開状態において座部3および背もたれ部4が互いに離れるように展開されるフレーム構造を備える(図1)。また車体フレーム2は、折り畳み状態において座部3および背もたれ部4が互いに近づくように折り畳まれる(図3)。展開状態と折り畳み状態との間の形態変化については後で詳しく説明する。
【0022】
車体フレーム2は、前後方向に延びる手摺部材5と、下端に前輪7を有し上端が回動軸16を介して手摺部材5の前後方向中央部に回動可能に連結された前脚6と、下端に後輪9を有し上端が回動軸18を介して手摺部材5の前端寄りに回動可能に連結された後脚8と、下端部が回動軸12を介して後脚8の上下方向中央部に回動可能に連結された反転ブラケット11と、上下方向に延びその下端が回動軸13を介して反転ブラケット11の上端部に回動可能に連結された押棒10と、手摺部材5よりも下方で前後方向に延び前端が回動軸14を介して前脚6の上端寄りに回動可能に連結され後端が回動軸13を介して反転ブラケット11の上端部に回動可能に連結された座部支持棒19とを含む。手摺部材5の後端部は、回動軸15を介して、押棒10の途中位置に回動可能に連結されている。
【0023】
手摺部材5、前脚6、後脚8、押棒10、反転ブラケット11、および座部支持棒19は、それぞれ2個1対設けられており、それらは折畳式乳母車1の左右側面に位置するようにされる。これら1対の部材は、折畳式乳母車1の車幅方向に各対間で延びる図示しない車幅方向部材によって適宜連結される。車幅方向に離隔配置された1対の押棒10は、背もたれ部4を支持する。また車幅方向に離隔配置された1対の座部支持棒19は、座部3を支持する。
【0024】
前輪7は、前脚6の下端に設けられたキャスタ機構によって左右に転回可能とされる。キャスタ機構は、キャスタ保持部材22およびキャスタ回動部材23を有する。キャスタ保持部材22は前脚6の下端部に固定される。キャスタ回動部材23は、キャスタ保持部材22に保持されて上下方向に延びる転回軸線X回りに回動可能とされ、前輪7を軸支する。具体的には、キャスタ回動部材23からシャフトが転回軸線Xに沿って上方に突出し、かかるシャフトの先端領域がキャスタ保持部材22に回動可能に連結される。
【0025】
詳しくは後述するが、キャスタ保持部材22には、キャスタロック部材が変位可能に設けられる。キャスタロック部材は、下方のロック位置または上方の解除位置にされ、ロック位置でキャスタ回動部材23の回動を規制し、解除位置でキャスタ回動部材23の回動を許容する。
【0026】
図1に示すように、折畳式乳母車1が開いた展開状態においては、反転ブラケット11の回動が図示しない適当なロック手段によって禁止され、それによって折畳式乳母車1の展開状態を保持している。そして折畳式乳母車1を折り畳もうとするときは、ロック手段による反転ブラケット11に対する回動禁止状態を解除し、反転ブラケット11を図1において回動軸12を中心に時計回りに回動させ、反転ブラケット11の上端部と下端部を上下反転させる。反転ブラケット11の反転角度に応じて、押棒10全体が下がり、座部支持棒19の下端部が下がりながら後脚8の下端部に近づき、前脚6と後脚8が互いに近づき、折り畳みの途中状態を示す図2を経て、最終的には図3に示す完全な折り畳み状態が得られる。
【0027】
展開状態(図1)と比較すると折り畳み状態(図3)では、前脚6と後脚8との間の角度が狭くなって前輪7と後輪9が互いに近づき、手摺部材5が回動軸16を中心として時計回りに回動して手摺部材5の後端部が前脚6の下端部に近づき、座部支持棒19が回動軸14を中心として時計回りに回動して座部支持棒19の後端部が前脚6の下端部に近づく。また手摺部材5が回動軸15を中心として時計回りに回動して手摺部材5の後端部が押棒10の下端部に近づく。
【0028】
そして折り畳み状態(図3)では、形態変化した車体フレーム2が前輪7と後輪9との間に集約され、折畳式乳母車1の自立が可能になっている。
【0029】
なお本実施形態において、前脚6の上端部と後脚8の上端部は交差し、回動軸18は回動軸16よりも前方に配置される。この他にも図示はしなかったが、前脚6の上端部と後脚8の上端部は交差することなく回動軸18は回動軸16よりも後方に配置されてもよい。あるいは回動軸16および回動軸18は共通の回動軸であってもよい。
【0030】
本実施形態には、展開状態(図1)と折り畳み状態(図3)で形態が異なる車体フレーム2に連動して、前輪7のキャスタとしての転回を許容したり、ロックしたりすることができる。この構成につき、図4図6を参照して詳しく説明する。
【0031】
図4は、手摺部材5と、前脚6と、後脚8とを取り出して模式的に示す側面図であり、折畳式乳母車1の展開状態(図1)に対応する。キャスタ保持部材22に設けられるキャスタロック部材24は、転回軸線Xから離れた位置に配置され、例えばキャスタ保持部材22の後側に形成されて上下方向に延びる溝または孔に沿って変位可能にされる。そしてキャスタロック部材24は、上方の解除位置Aで、キャスタ回動部材23から離れている。このときキャスタロック部材24は、キャスタ回動部材23に形成された被係合部23mと係合していない。このためキャスタ回動部材23は前輪7とともに左右方向の転回を規制されず、キャスタとしての機能を果たす。
【0032】
被係合部23mは、例えばキャスタ回動部材23の後側に形成されて上下方向に延びる溝または孔であって、当該溝または孔の上端が開放する。かかる上端開放部は、キャスタロック部材24の下端へ指向する。被係合部23mは、キャスタロック部材24の下端部ないし全部を受け入れる。なお図には示さなかったが、被係合部23mの断面形状を、漏斗のように上方へ向かうにつれて徐々に幅広に形成することによって、被係合部23mは上方から降りてくるキャスタロック部材24の下端を受け入れ易くなる。これにより、キャスタロック部材24を被係合部23mに容易に係合させることができる。
【0033】
前脚6の上端寄りには前脚可動部材26が設けられる。前脚可動部材26は前脚6に沿って変位可能である。また前脚6の上端部には、弾性部材25が設けられており、弾性部材25は前脚可動部材26を常時上方へ付勢する。これにより前脚可動部材26は、折畳式乳母車1の展開状態で図4に示すように上方位置αにされる。前脚可動部材26とキャスタロック部材24はリンクで互いに接続される。リンクは例えば、軸方向圧縮力を伝達することができる長尺なロッド27である。他の例としてリンクは、軸方向圧縮力を伝達しないワイヤおよびばねの組み合わせである。ロッド27の下端はキャスタロック部材24と連結し、ロッド27の上端は前脚可動部材26と連結する。ロッド27は、好ましくは多少の撓み変形が可能であって、パイプ状に形成された前脚6の内部に通されるとよい。
【0034】
後脚8の上端部には当接部28が固定される。当接部28の先端部分は前脚6に向かって前方へ延び前脚可動部材26と対面するが、折畳式乳母車1の展開状態において当接部28は前脚可動部材26から離れている。あるいは図には示さかったが当接部28は僅かな力で前脚可動部材26の上端部に当接し、前脚可動部材26は下方に押し込まれていない。このため前脚可動部材26は弾性部材25の付勢力を受けて上方位置αに保持される。図4に示すように前脚6と後脚8は、所定の角度で開いている。このとき前輪7の回転軸から後輪9の回転軸までの軸距離Dlを最大値L1とする。
【0035】
前輪7およびキャスタ回動部材23を前向きにしたまま折畳式乳母車1の折り畳み操作を開始すると、前脚6および後脚8間の角度が徐々に小さくなり、軸距離Dlが最大値L1よりも徐々に小さくなる。このとき手摺部材5よりも下方に位置する前脚可動部材26および当接部28の位置関係に着目すると、折り畳み操作の間、当接部28が前方移動して前脚可動部材26に当接し、弾性部材25の付勢力に抗して前脚可動部材26を押し下げる。
【0036】
図5は、手摺部材5と、前脚6と、後脚8とを取り出して模式的に示す側面図であり、折畳式乳母車1の折り畳み途中状態(図2)に対応する。所定の折り畳み途中状態、例えば軸距離Dlが3/4L1のとき、当接部28は前脚可動部材26を中間位置βまで押し下げる。
【0037】
前脚可動部材26の中間位置βは上方位置αよりも下方にある。前脚可動部材26は、自身の下方変位に伴い、ロッド27を介してキャスタロック部材24を押し下げる。これに伴いキャスタロック部材24はロック限界位置Bにされる。ロック限界位置Bは解除位置Aよりも下方にあり、キャスタロック部材24の下端部がキャスタ保持部材22から進出して、キャスタ回動部材23に形成された被係合部23mに係合する。ロック限界位置Bにおいて、キャスタロック部材24と被係合部23mとの係合寸法は十分なものとなり、キャスタ回動部材23に対するキャスタロック部材24の実質的な係合が実現する。これによりキャスタ回動部材23は転回軸線X回りに回動しないよう規制される。
【0038】
図6は、手摺部材5と、前脚6と、後脚8とを取り出して模式的に示す側面図であり、折畳式乳母車1の完全な折り畳み状態(図3)に対応する。図5図6を対比して理解されるように、折り畳み途中状態から折り畳み操作を続行すると、前脚6および後脚8間の角度および軸距離Dlが一層小さくなる。最終的に、前脚6および後脚8間の角度は折り畳み状態で最も小さくなり、軸距離Dlは最小値L3になる。L3は例えば、1/3L1〜1/5L1の範囲に含まれる所定値である。折り畳み状態で当接部28は前脚可動部材26を完全に押し下げ、前脚可動部材26は下方位置γにされる。下方位置γは中間位置βよりも下方にある。
【0039】
下方位置γにされた前脚可動部材26に伴って、キャスタロック部材24はロック位置Cにされる。ロック位置Cはロック限界位置Bよりも下方にあり、キャスタロック部材24はロック位置Cでキャスタ回動部材23に係合する。これによりキャスタ回動部材23は転回軸線X回りに回動しないよう規制される。要するにロック限界位置Bからロック位置Cまでの間で、キャスタ回動部材23は転回軸線X回りに回動しないよう規制される。したがって前輪7は前向きに保持されて、折畳式乳母車1は折り畳み状態で安定して自立する。なお折り畳み状態から展開状態に開く際も、車体フレーム2が折り畳み途中状態にある間、キャスタ回動部材23は転回軸線X回りに回動しないよう規制され、前輪7は前向きのままキャスタとして転回しない。
【0040】
折り畳み状態から展開状態に開く操作の際も、上述した折り畳み操作の際と同様、折り畳み状態および折り畳み途中状態における前輪7のキャスタ旋回が禁止される。
【0041】
なお本実施形態において、キャスタロック部材24のロック限界位置Bとロック位置Cとは同位置であってもよい。この場合、前脚可動部材26の中間位置βから下方位置γまでの変位を、ロッド27の撓みで吸収してもよい。
【0042】
本実施形態によれば、キャスタロック部材24をロック位置Cから解除位置Aへ付勢する弾性部材25と、前脚6に変位可能に設けられる前脚可動部材26と、キャスタロック部材24と前脚可動部材26を接続するリンクとしてのロッド27とを備える。前脚可動部材26およびロッド27は、キャスタロック部材24を変位させる作動部材となる。作動部材の一端がキャスタロック部材24と連結し、作動部材の他端が前脚可動部材26として車体フレーム2に配置される。そして折畳式乳母車1の展開状態から折り畳み状態へ形態変化する車体フレーム2の形態変化箇所である当接部28が、作動部材の他端である前脚可動部材26と当接することにより、弾性部材25の上向きの付勢力に抗してキャスタロック部材24をロック位置Cにする。これにより前輪7は、図1および図4に示す展開状態でキャスタとしての転回を許容され、図3および図6に示す折り畳み状態でキャスタとしての転回を禁止される。したがって折り畳み状態にされた折畳式乳母車1において、前輪7が不安定に転回することがなく、前輪7および後輪9を確りと接地させつつ折り畳み状態にされた折畳式乳母車1を安定して自立させることができる。また折り畳み状態でキャスタ輪である前輪7の向きと後輪9の向きが前向きに揃い、見栄えが良くなる。
【0043】
また本実施形態によれば、前輪7は、図3および図6に示す折り畳み状態のみならず、図2および図5に示す折り畳み途中状態で、キャスタとしての転回を禁止される。これにより前輪7および後輪9を接地させたまま前輪7と後輪9との距離が小さくなるように乳母車を折り畳む操作の際、前輪7が左右方向に不用意に転回することなく、折り畳み操作を円滑に行い得て、折畳式乳母車1の操作者は、折り畳み操作を煩わしく感じることがなくなる。さらに前向きに保持された前輪は、後輪に干渉することがないので、折り畳み操作の障害になる虞が払拭される。なお折り畳み途中状態とは、展開状態と折り畳み状態との間における不定形の状態をいうと理解されたい。図2および図5に示す折り畳み途中状態は、展開状態から折り畳み状態まで、あるいはその逆に、連続して形態が変化する過程に含まれる一状態である。
【0044】
また本実施形態によれば、キャスタロック部材24は弾性部材25の付勢力で解除位置Aにされる。かかる構成にあっては、乳母車の展開状態にあってはキャスタロック部材24を引き上げる何らかの手段を付加する必要がない。
【0045】
また本実施形態によればキャスタロック部材24を作動させる作動部材が、キャスタロック部材24から上方へ延びるリンクであるロッド27と、リンクの上端と連結して前脚6に変位可能に設けられる前脚可動部材26とを含む。前脚可動部材26は、車体フレーム2の形態変化箇所になる当接部28と当接することにより下方位置γに押し下げられ、ロッド27を介してキャスタロック部材24をロック位置Cにする。なお撓むことができるロッド27に代えて、撓み不可能な硬質の棒材を使用し、棒材の下端をキャスタロック部材24に連結し、棒材の上端を前脚可動部材26に連結してもよい。
【0046】
また本実施形態によれば、後脚8が車体フレーム2の形態変化によって前脚6に近づき、前脚可動部材26は形態変化箇所になる後脚8の当接部28と当接することにより中間位置βや下方位置γに押し下げられ、リンクであるロッド27を介してキャスタロック部材24をロック限界位置Bやロック位置Cにする。
【0047】
ここで附言すると、ロッド27に代えて、リンクとしてワイヤおよびばねを用いる場合、キャスタロック部材24と前脚可動部材26の間にワイヤを張設し、ばねをキャスタ保持部材22に設け、キャスタ保持部材22のばねが弾性部材25よりも弱い付勢力でキャスタロック部材24を常時下向きに付勢するとよい。これによりワイヤは張ったままの状態で保持される。また図4に示す展開状態で、弾性部材25は、ばねの弱い付勢力に影響を受けることなく、前脚可動部材26を上方位置αに保持する。また図5に示す折り畳み状態および図6に示す折り畳み途中状態で、当接部28が弾性部材25の上向き付勢力に抗して前脚可動部材26を押し下げると、弾性部材25の付勢力はばねに及ばない。したがってばねはキャスタロック部材24を下方に付勢して、ロック限界位置Bないしロック位置Cにする。
【0048】
次に本発明の他の実施形態を説明する。図7図9は本発明の他の実施形態を模式的に示す側面図である。図7は折畳式乳母車の展開状態を表し、図1に対応する。図8は折畳式乳母車の折り畳み途中状態を表し、図2に対応する。図9が折畳式乳母車の完全な折り畳み状態を表し、図3に対応する。他の実施形態につき、前述した実施形態と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成について以下に説明する。他の実施形態では、前述した当接部28を、後脚8に設けるのではなく、手摺部材5に設ける。前脚可動部材26は、前脚6の上端部に変位可能に設けられ、手摺部材5の近傍に配置される。
【0049】
当接部28は回動軸16の近傍であって、例えば手摺部材5の下縁に設けられる。前脚可動部材26は、回動軸16よりも下方に配置され、前脚6の上端部に設けられる。弾性部材25の第1端は前脚可動部材26に取り付けられ、弾性部材25の第2端は前脚6に取り付けられ、弾性部材25は前脚可動部材26を常時上方へ付勢する。これにより当接部28は前脚可動部材26の上端と対面する。図7に示す展開状態で、前輪7から後輪9までの軸距離DlはL1にされ、当接部28は前脚可動部材26から離れているか、あるいは軽い力で前脚可動部材26の上端部に当接し、前脚可動部材26は下方に押し込まれていない。このため前脚可動部材26は、弾性部材25の上向きの付勢力を受けて上方位置αにされる。
【0050】
折り畳み操作を開始して展開状態の折畳式乳母車を折り畳む際、手摺部材5は図7中の回動軸16回りに時計回りに回動する。そうすると回動軸16よりも後方にある手摺部材5の後端側領域が前脚6に近づく。また回動軸16よりも後方に配設された当接部28は、前脚6に沿って下方に移動し、弾性部材25の付勢力に抗して前脚可動部材26を下方に押し込む。
【0051】
図8に示す折り畳み途中状態で、例えば軸距離Dlが9/10L1のとき、当接部28は前脚可動部材26を中間位置βまで押し下げる。これに伴い、前脚可動部材26はロッド27に軸方向圧縮力を与え、キャスタロック部材24をロック限界位置Bまで押し下げる。
【0052】
ここで附言すると折り畳み操作の進行に伴って手摺部材5は益々回動することから、前脚可動部材26は軸距離Dlに対応して変位することが理解される。また前脚可動部材26およびキャスタロック部材24はロッド27で接続されることから、前脚可動部材26の変位に連動してキャスタロック部材24が変位することが理解される。要するにキャスタロック部材24の位置は、前脚可動部材26は軸距離Dl、換言すると車体フレーム2の形態変化に連動することが理解される。なお、キャスタロック部材24がロック限界位置Bにされる際の軸距離Dlは、これまで例示した値に限定されず、例えば9/10〜2/3L1の範囲に含まれる所定値であればよい。これにより、図9に示す折り畳み状態では勿論のこと、図8に示すような折り畳み途中状態において、前輪7を前向きにしたまま、そのキャスタ転回を禁止することができる。展開状態(図1図4図7)から折り畳みを開始すると同時に当接部28が前脚可動部材26を押し込み始めるように構成すれば、Dl=9/10L1程度で前脚可動部材26を中間位置βにすることができ、折り畳み操作開始後程なく前輪7の転回を規制することができる。
【0053】
図7図9に示す実施形態によれば、車体フレーム2は幼児用座席の座部3の両側に配設された1対の手摺部材5をさらに含み、手摺部材5は車体フレーム2の形態変化によって前脚6に近づき、前脚可動部材26は形態変化箇所になる手摺部材5の当接部28と当接することにより中間位置βないし下方位置γに押し下げられ、リンクになるロッド27を介してキャスタロック部材24をロック限界位置Bないしロック位置Cにする。
【0054】
本発明の作動部材は、ロッド27および前脚可動部材26に限定されず、これまで説明してきた実施形態以外にも様々な実施形態が考えられる。
【0055】
図示しない変形例として、図1図3に示す押棒10に代えて、前脚6に沿ってスライド可能な押棒を設け、押棒が折り畳み操作によってスライド移動するよう構成してもよい。そして作動部材は、折畳式乳母車の展開状態において上方位置αにあり、キャスタロック部材24を解除位置Aにするとよい。また作動部材は、折畳式乳母車の折り畳み途中状態および折り畳み状態において押棒と当接することにより中間位置βないし下方位置γに押し下げられ、リンクを介してキャスタロック部材をロック限界位置Bおよびロック位置Cにしてもよい。
【0056】
次に本発明のさらに他の実施形態を説明する。図10図12は本発明のさらに他の実施形態を模式的に示す側面図である。図10は折畳式乳母車の展開状態を表し、図1に対応する。図11は折畳式乳母車の折り畳み途中状態を表し、図2に対応する。図12が折畳式乳母車の完全な折り畳み状態を表し、図3に対応する。他の実施形態につき、前述した実施形態と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成について以下に説明する。さらに他の実施形態では、前述した当接部28を、手摺部材5に設けるのではなく、座部支持棒19に設ける。前脚可動部材26は、前脚6の上端部に変位可能に設けられ、座部支持棒19の近傍に配置される。
【0057】
当接部28は座部支持棒19の前端部に設けられ回動軸14の近傍に配設される。前脚可動部材26は、回動軸14よりも下方に配置され、前脚6の上下方向中央部に設けられる。これにより当接部28は前脚可動部材26の上端と対面する。特に当接部28は、滑らかな円弧を描くよう下向きに膨出した形状にされる。これに対し前脚可動部材26の上端は平らな形状にされる。
【0058】
折畳式乳母車1が展開状態(図1)から折り畳み途中状態(図2)を経て折り畳み状態(図3)に形態変化する際、座部支持棒19は図中において、回動軸14を中心として時計回りに回動する。つまり座部支持棒19は車体フレーム2の形態変化によって前脚6の上下方向中央部に近づく。また前脚可動部材26は、形態変化箇所になる座部支持棒19の当接部28と当接することにより中間位置βないし下方位置γに押し下げられ、リンクになるロッド27を介してキャスタロック部材24をロック限界位置Bないしロック位置Cにする。特に図11から図12までの車体フレーム2の形態変化において、下向きに膨らんだ形状の当接部28は、前脚可動部材26の平らな上端に対して滑動しつつ下向きに押圧する。
【0059】
さらに他の実施形態の基本構成および機能作用効果は、既に説明した図7図9に示す実施形態と概略同一であり、図7図9に示す実施形態の既出説明において、手摺部材5を座部支持棒19と読み替え、回動軸16を回動軸14に読み替えることによって容易に理解されよう。
【0060】
これまで説明してきたように車体フレーム2は、手摺部材5、座部支持棒19、あるいは図示しない他の部材等、回動軸16や回動軸14といった回動軸を介して前脚6に連結されたフレーム部材をさらに含むとよい。かかるフレーム部材は、車体フレーム2の形態変化によって上述の回動軸を中心として回動し前脚6に近づく。かかる構成の下、前脚可動部材26は、車体フレーム2の形態変化箇所になるフレーム部材と当接することにより中間位置βないし下方位置γに押し下げられ、リンクを介してキャスタロック部材24をロック限界位置Bないしロック位置Cにするとよい。
【0061】
以上、図面を参照してこの発明の実施の形態を説明したが、この発明は、図示した実施の形態のものに限定されない。図示した実施の形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0062】
この発明は、折り畳み機能を備えた育児運搬器具において有利に利用される。
【符号の説明】
【0063】
1 折畳式乳母車、 2 車体フレーム、 5 手摺部材、
6 前脚、 7 前輪、 8 後脚、 9 後輪、 10 押棒、
11 反転ブラケット、 12,13,14,15,16,18 回動軸、
19 座部支持棒、 22 キャスタ保持部材、 23 キャスタ回動部材、
23m 被係合部、 24 キャスタロック部材、 25 弾性部材、
26 前脚可動部材、 27 ロッド(リンク)、 28 当接部、
A 解除位置、 B ロック限界位置、 C ロック位置、
Dl 軸距離、 X 転回軸線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12