(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6209101
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】魚釣用スピニングリールのスプール
(51)【国際特許分類】
A01K 89/01 20060101AFI20170925BHJP
【FI】
A01K89/01 B
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-33518(P2014-33518)
(22)【出願日】2014年2月25日
(65)【公開番号】特開2015-156834(P2015-156834A)
(43)【公開日】2015年9月3日
【審査請求日】2016年3月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】グローブライド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097559
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 浩司
(74)【代理人】
【識別番号】100123674
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 亮
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 真嗣
【審査官】
門 良成
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−161230(JP,A)
【文献】
特開2008−035817(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 89/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣糸が巻回される釣糸巻回胴部と、釣糸巻回胴部の糸巻量を規定するスカート部とを金属材料で一体形成した外側部材と、
前記釣糸巻回胴部の内面に一体形成され、径方向内側に向けて突出すると共に突出端側に接合部を有する連結部と、
前記外側部材よりも低比重の材料で形成され、前記釣糸巻回胴部と同心状に配設される環状壁部を具備すると共に、前記接合部と接合して前記外側部材と一体化される内側部材と、
を有し、
前記環状壁部の内面には、閉塞蓋が取着されてドラグ装置が配設される環状凹所が形成されており、
前記内側部材は、前記釣糸巻回胴部の内面との間で環状の空隙を有する状態でスプール軸に対して回転可能に支持されていることを特徴とする魚釣用スピニングリールのスプール。
【請求項2】
前記接合部は、前記連結部の突出端に一体形成された環状螺合部を備えており、
前記内側部材を外側部材に対して螺合結合させることを特徴とする請求項1に記載の魚釣用スピニングリールのスプール。
【請求項3】
前記連結部に、前記内側部材の位置決めを果たす度当てを形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の魚釣用スピニングリールのスプール。
【請求項4】
前記内側部材は、前記スプール軸との間で軸受を介在させるスプール軸支持部を備えており、前記スプール軸支持部の径方向外側に前記閉塞蓋によって凹部が形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の魚釣用スピニングリールのスプール。
【請求項5】
釣糸が巻回される釣糸巻回胴部と、釣糸巻回胴部の糸巻量を規定するスカート部とを金属材料で一体形成した外側部材と、
前記外側部材よりも低比重の材料で形成され、ドラグ装置が配設される環状凹所を具備すると共に、前記釣糸巻回胴部の内側で釣糸巻回胴部と同心状に配設される環状壁部を具備して前記外側部材と一体化される内側部材と、
を有し、
前記内側部材は、スプール軸に対して回転可能に支持されるように、前記スプール軸との間で軸受を介在させるスプール軸支持部を備えており、前記スプール軸支持部と前記環状壁部との間に閉塞蓋によって閉塞される凹部を形成し、その前方側に前記環状凹所を形成したことを特徴とする魚釣用スピニングリールのスプール。
【請求項6】
前記請求項1から5のいずれか1項に記載されたスプールを装着したことを特徴とする魚釣用スピニングリール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣糸を巻回保持する魚釣用スピニングリールのスプールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、魚釣用スピニングリールの軽量化を図るために、構成要素であるスプールを合成樹脂で形成することが知られているが、スプール全体を合成樹脂で形成すると強度及び耐衝撃性が弱くなってしまうため、例えば特許文献1に開示されているように、スプールの前端部、及びスカートの後端部に、アルミ、ステンレス等の金属からなる環状連結部材を固定することで、スプールの軽量化を図りつつ強度を補強することが知られている。
【0003】
しかし、上記した構成では、スプールに対して最も負荷が加わる釣糸巻回胴部領域が補強されていないため、釣糸からの張力によって釣糸巻回胴部が変形し易いという問題が生じる。すなわち、釣糸巻回胴部に大きな負荷が加わると変形などが生じてしまい、これにより調整したドラグ力が発揮できず、釣果に影響を及ぼす可能性がある。そこで、例えば特許文献2に開示されているように、スプールの釣糸巻回胴部及びスカート部を金属薄板で形成し、釣糸巻回胴部の内側に合成樹脂の内筒部材を配設した構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−50774号
【特許文献2】特開2001−161230号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献2に開示されているような補強用の内筒部材を釣糸巻回胴部内に配設すると、径方向に厚肉化してしまい、ドラグ装置を収容する収容空間が小さくなってしまう(ある程度の強度を維持するためには、厚肉化した内筒部材を配設する必要があり、これによりドラグ装置を収容する収容空間が小さくなってしまう)。したがって、所望のドラグ性能を有するドラグ装置を組み込む場合、収容空間を大きくしなければならず、これによりスプール径が大型化して重量化してしまう。
【0006】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、強度を維持して軽量化が図れる魚釣用スピニングリールのスプールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するために、本発明に係る魚釣用スピニングリールのスプールは、釣糸が巻回される釣糸巻回胴部と、釣糸巻回胴部の糸巻量を規定するスカート部とを金属材料で一体形成した外側部材と、前記釣糸巻回胴部の内面に一体形成され、径方向内側に向けて突出すると共に突出端側に接合部を有する連結部と、前記外側部材よりも低比重の材料で形成され、
前記釣糸巻回胴部と同心状に配設される環状壁部を具備すると共に、前記接合部と接合して前記外側部材と一体化される内側部材と、を有し、
前記環状壁部の内面には、閉塞蓋が取着されてドラグ装置が配設される環状凹所が形成されており、前記内側部材は、前記釣糸巻回胴部の内面との間で環状の空隙を有する状態でスプール軸に対して回転可能に支持されていることを特徴とする。
【0008】
上記した構成のスプールは、釣糸巻回胴部とスカート部を有する外側部材が金属材料で一体形成され、かつ、釣糸巻回胴部の内面に連結部を形成して低比重の内側部材を一体的に接合させる構造となっており、内側部材は、釣糸巻回胴部の内面との間で環状の空隙を有する状態で接合されるため、スプール全体として強度を維持しつつ軽量化を図ることが可能となる。すなわち、外側部材の釣糸巻回胴部の内面に、径方向内側に向けて突出する連結部を形成したことにより、内側部材を厚肉化することなく強度を維持して軽量化を図ることが可能となる。
【0009】
また、上記した目的を達成するために、本発明に係る魚釣用スピニングリールのスプールは、釣糸が巻回される釣糸巻回胴部と、釣糸巻回胴部の糸巻量を規定するスカート部とを金属材料で一体形成した外側部材と、前記外側部材よりも低比重の材料で形成され、ドラグ装置が配設される環状凹所を具備すると共に、前記釣糸巻回胴部の内側で釣糸巻回胴部と同心状に配設される環状壁部を具備して前記外側部材と一体化される内側部材と、を有し、前記内側部材は、スプール軸に対して回転可能に支持されるように、前記スプール軸との間で軸受を介在させるスプール軸支持部を備えており、前記スプール軸支持部と前記環状壁部との間に
閉塞蓋によって閉塞される凹部を形成し、その前方側に前記環状凹所を形成したことを特徴とする。
【0010】
上記した構成のスプールは、釣糸巻回胴部とスカート部を有する外側部材が金属材料で一体形成され、かつ、釣糸巻回胴部の内側で釣糸巻回胴部と同心状に配設される環状壁部を具備して外側部材と一体化される低比重の内側部材を備えているため、スプール全体として強度を維持することが可能となる。この場合、内側部材は、スプール軸に対して回転可能に支持されるように、スプール軸との間で軸受を介在させるスプール軸支持部を備えており、スプール軸支持部と環状壁部との間に凹部を形成しているため、スプール全体として強度を維持しつつ、更に軽量化を図ることが可能となる。
【0011】
そして、本発明は、上記したように構成される外側部材と内側部材が一体化されたスプールを装着した魚釣用スピニングリールであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、強度を維持して軽量化が図れる魚釣用スピニングリールのスプールが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るスプールを装着した魚釣用スピニングリールの一構成例を示す図であり、スプール部分の内部構成を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る魚釣用スピニングリールのスプールの実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るスプールを装着した魚釣用スピニングリールの一構成例を示す図であり、
図2は、
図1に示す魚釣用スピニングリールに装着されたスプールを拡大して示す図である。
【0015】
最初に、魚釣用スピニングリールの全体構成について説明する。
魚釣用スピニングリールを構成するリール本体1には、釣竿に装着されるリール脚1aが一体形成されており、その前方には回転可能に支持されたロータ2と、ロータ2の回転運動と同期して前後動可能に支持され、釣糸が巻回されるスプール3が配設されている。
【0016】
前記リール本体1内には、ハンドル軸5aが回転可能に支持されており、その突出端部にはハンドル5が取り付けられている。また、ハンドル軸5aには、公知の巻取り駆動機構が係合しており、この巻取り駆動機構は、ハンドル軸に取り付けられ、内歯が形成されたドライブギア(駆動歯車)7と、このドライブギア7に噛合すると共にハンドル軸5aと直交する方向に延出し、内部に軸方向に延出する空洞部8aが形成されたピニオンギア8とを備えている。なお、ピニオンギア8は、その後端側に歯部8bが形成されており、この歯部8bがドライブギア7と噛合関係となる。
【0017】
前記ピニオンギア8の空洞部8aには、前記スプール3を回転可能に支持するスプール軸10が軸方向に前後動可能に挿通されている。このスプール軸10の後方側には、公知のオシレート機構12が係合しており、ハンドル5を回転操作すると、オシレート機構12を介して前記スプール軸10(スプール3)は前後に往復動される。また、前記ピニオンギア8の前方側には、ロータナットを締め付けることで、前記ロータ2がピニオンギア8に対して固定されている。これにより、ハンドル5を巻き取り操作することで、ロータ2が回転すると共に、この回転と同期してスプール3は前後に往復動され、釣糸は、ロータ2と共に回転する釣糸案内装置(ラインローラ)14を介して、スプール3に均等に巻回される。
【0018】
次に、上記したスプール3の構成について説明する。
スプール3は、釣糸が巻回される釣糸巻回胴部21と、釣糸巻回胴部21の糸巻量を規定するスカート部22とを備えた外側部材20を有しており、釣糸巻回胴部21の前方側には、前方側で釣糸巻回胴部21の糸巻量を規定する前鍔部23が釣糸巻回胴部と共に一体形成されている。本実施形態では、釣糸巻回胴部21、スカート部22、及び、前鍔部23は、例えばアルミ、アルミ合金等、軽量化が図れる金属材料によって一体形成されている。
【0019】
前記釣糸巻回胴部21の前方には、硬質材によって形成された前端リング24が装着されている。この場合、前端リング24は、外側部材20とは別体で前鍔部23の前方に取着されているが、硬質材で形成された前端リング24が前鍔部23として構成されていても良いし、前端リング24は、硬質表面処理されて外側部材20、或いは後述する内側部材30と一体化された構成であっても良い。
【0020】
前記釣糸巻回胴部21の内面には、径方向内側に向けて突出するように、連結部21aが一体形成されている。この場合、連結部21aは、釣糸巻回胴部21の軸方向の範囲内で少なくとも1箇所形成されていれば良く、本実施形態では、釣糸巻回胴部21の下方側(後端側)で釣糸巻回胴部に対して直交する方向にフランジ状に形成されている。なお、連結部21aは、釣糸巻回胴部21の内面に360°に亘って形成されていることが好ましいが、円周方向に所定間隔をおいて形成しても良く、これによりスプールの軽量化を図ることが可能となる。
【0021】
前記連結部21aには、その突出端側(径方向内側)に、後述する内側部材30が接合される接合部Aが形成されている。この接合部Aは、釣糸巻回胴部の範囲内の内側に設けられて外側部材20と内側部材30を一体化する機能を備えたものであれば良く、本実施形態の接合部Aは、螺合結合方式を採用しており、連結部21aの突出端に一体形成された環状螺合部を備えた構成となっている。すなわち、環状螺合部は、連結部21aの突出端において軸方向に延在し、雌螺子部21cが形成された環状体21dとして構成されている。
【0022】
また、本実施形態では、連結部21a(環状体21d)に、内側部材30の位置決めを果たす度当て21eが形成されている。この度当て21eは、内側部材30を外側部材20に接合して両者を一体化する際、内側部材30に形成された当て付け部30aが当て付いて軸方向の位置決めを果たすものであり、前記環状体21dの下端を径方向内側に屈曲することで構成されている。
【0023】
前記外側部材20の径方向内側には、内側部材30が外側部材20と一体化されるように接合されている。この内側部材30は、前記外側部材20よりも比重が軽い材料(低比重の材料)、例えば、樹脂やマグネシウム合金等によって形成されており、有底の環状体として構成されている。すなわち、本実施形態の内側部材30は、釣糸巻回胴部21と同心状に配設される環状壁部32と略円形の底部33とを備えており、底部33の中央に開口33aが形成されて前記スプール軸10が挿通されている。なお、スプール軸10には、ピン10aによってスプールメタル10bが一体的に連結(スプール軸を囲繞している)されており、前記開口33aには、スプールメタル10bが取着されたスプール軸10が挿通された状態となっている。
【0024】
前記内側部材30は、スプール軸10(スプールメタル10b)との間で複数の軸受(単数でも良い)10cを介在させるスプール軸支持部35を備えている。スプール軸支持部35は、前記環状壁部32と一体的に塊状になって構成されていても良いが、本実施形態では、スプール軸方向に沿って円筒状に延出しており、これにより、スプール軸支持部35の径方向外側に凹部36が形成された状態となっている。また、内側部材30は、軸受10cにより回転可能に支持されており、これにより、スプール3は、スプール軸10(スプールメタル10b)に対して回転可能に支持されている。
【0025】
前記内側部材30の環状壁部32の内面には、中央にスプール軸10(スプールメタル10b)を挿通させる円板状の閉塞蓋37が取着されており、前記凹部36を閉塞すると共に、その前方側にドラグ装置40が配設される環状凹所38を形成している。また、環状壁部32の前端側には、径方向外方を屈曲させて前端リング24(度当てとして機能する)に当て付いて内側部材30の位置決めを果たす当て付け部30bが一体形成されている。
【0026】
さらに、環状壁部32の下方側には、外側部材20と内側部材を一体化する接合部Aが形成されている。この接合部Aは、前記外側部材20の環状螺合部に形成されている雌螺子部21cと螺合する雄螺子部39として構成されている。
【0027】
前記環状凹所38に配設されるドラグ装置40は、スプール3が釣糸放出方向に回転した際、スプール軸10(スプールメタル10b)との間で摩擦力を発生させ、スプールの回転に制動力を付与するものであり、その構成については特に限定されることはないが、前記閉塞蓋37に当て付けられるようにライニングワッシャ及びドラグワッシャを平設した制動部材41と、これらに対して軸方向に沿って押圧力を作用する押圧部材42と、この押圧部材42に対する押圧力を調整するドラグ調整ノブ(操作部材)43と、を備えている。すなわち、ドラグ調整ノブ43を左右いずれかに回すことで、制動部材41に対する押圧力を調整して、釣糸引出時のスプール3の回転に対して所望のドラグ力を発生させる機能を備えている。
【0028】
上記したように、外側部材20に対して内側部材30を軸方向に挿入することで両部材は一体化され、これによりスプール3が構成される。本実施形態では、内側部材30を軸方向に挿入し、接合部Aで両者を螺合することで両者は一体化される。また、この際、軸方向2か所に形成された度当て(度当て21e、前端リング24)に当て付け部30a,30bが当て付くことで両者の位置決めがなされる。すなわち、両部材は螺合結合されることで強固な固定構造が得られるようになり、かつ、度当てによって両部材の軸方向の位置決めが成されるため、外側部材20と内側部材30がガタ付くようなことのない一体構造が得られる。
【0029】
そして、上記したスプール構造では、釣糸巻回胴部21の内面に連結部21aを形成して低比重の内側部材30を接合させたことで、内側部材30は、釣糸巻回胴部21の内面との間で環状の空隙Sを有する状態で接合されるようになる。すなわち、連結部21aを釣糸巻回胴部の範囲内に径方向内側に向けて突出形成したことにより、内側部材30を厚肉化することなく釣糸の負荷が最も掛かる釣糸巻回胴部領域を効果的に補強することができるとともに、空隙Sが形成されたことで、スプール全体として強度を維持しつつ軽量化を図ることが可能となる。また、内側部材30を厚肉化する必要が無いため、ドラグ装置40が設置される環状凹所38のスペースを大きくすることができ、これにより、スプールを大型化する必要が無くなって、小型、軽量化を図ることが可能となる。
【0030】
また、内側部材30には、上記したように、ドラグ装置40が設置される環状凹所38の下方に凹部36を形成したため、スプール全体として、強度を維持しつつ更なる軽量化を図ることが可能となる。さらに、本実施形態では、外側部材20と内側部材の30との接合を、釣糸巻回胴部の範囲内で螺合することで行っているため、両者を結合するに際して別途、螺子等の結合部材を用いる必要が無く、これにより組み込みが容易となり、かつ部品点数を削減することも可能となる。
【0031】
次に、本発明の別の実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態では、
図2に示した第1の実施形態と同様な構成については、同一の参照符号を付し、詳細な説明については省略する。
【0032】
図3は、スプールの第2の実施形態を示す図である。
本実施形態の連結部21a´は、釣糸巻回胴部21の内面の下方側を厚肉化する(径方向内側に向けて膨出する)ことで構成されている。この連結部21a´の内面側は、接合部Aとなっており、上記した実施形態と同様、雌螺子部21c及び雄螺子部39による螺合結合方式となっている。
【0033】
このような構成では、
図2に示すスプールよりも釣糸巻回胴部21を糸巻容量の多い深溝タイプのスプールにすることができるとともに、外側部材20を変更するだけで浅溝タイプのスプールから深溝タイプのスプールにすることができるため、両者の間で内側部材30の共有化が図れるようになり、コストを低減することが可能となる。また、
図3に示す構成では、深溝タイプにしたことで、釣糸巻回胴部21の内面と内側部材30(環状壁部32)との間に、
図2に示す空隙Sよりも小さい隙間S´が形成されることとなるが、本発明では、この隙間の大きさについては限定されることはない。すなわち、
図3に示す構成よりも、より深溝タイプのスプールとするのであれば、釣糸巻回胴部21の内面に連結部を形成することなく、直接、内側部材30の環状壁部32を接合させても良い。このような構成でも、内側部材30に、上述したような凹部36を形成しておくことで、スプールの強度を維持しつつ軽量化を図ることが可能となる。
【0034】
図4は、スプールの第3の実施形態を示す図である。
本実施形態では、連結部21a´´を釣糸巻回胴部21の内面の上方側(前端側)に形成している。すなわち、釣糸巻回胴部21の上方側で接合部Aを構成しており、この部分で、上記した実施形態と同様、雌螺子部21c及び雄螺子部39による螺合結合方式としている。このように、連結部21a´´を形成する位置については、釣糸巻回胴部の範囲内であれば適宜、変形することが可能である。
【0035】
また、本実施形態では、釣糸巻回胴部21の下方側(後端側)の内面に径方向に突出するフランジ状の度当て21eを形成している。この度当て21eは、補強機能も備えており、形状については適宜変形することができ、その軸方向厚さについても適宜変形することが可能である。
【0036】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されることはなく、種々変形することが可能である。
上記した実施形態では、外側部材20と内側部材30の接合を、別途、結合部材が必要とされない螺合方式としたが、そのような接合方式に限定されることはなく、例えば両者を圧入によって接合する方式にしても良い。また、外側部材20において、両部材20,30の位置決めを果たす度当て21eについては形成しない構成であっても良く、内側部材30については、外側部材20よりも低比重のものであれば、両者の構成材料については限定されることはない。さらに、スカート部の構成など、スプールの全体的な形状について適宜変形しても良く、図に示した構成に限定されることはない。
【符号の説明】
【0037】
1 リール本体
3 スプール
20 外側部材
21 釣糸巻回胴部
21a,21a´,21a´´ 連結部
22 スカート部
30 内側部材
36 凹部
38 環状凹所
40 ドラグ装置
A 接合部
S,S´ 環状の空隙