(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施形態1)
実施形態1について、図面を用いて詳細に説明する。
図1は、実施形態1に係るキャスクの縦断面図であり、
図2は、実施形態1に係るキャスクの平断面図である。
【0017】
放射性物質収納容器としてのキャスク11は、胴部12と蓋部13とバスケット14とを有する。胴部12は、筒状の部材であり、胴本体21の一方、つまり、上部に開口部22が形成され、他方、つまり、下部に底部(閉塞部)23が形成された円筒形状をなしており、内部に放射性物質(例えば、使用済燃料集合体)を収納可能となっている。すなわち、胴本体21は、内部にキャビティ24が設けられ、このキャビティ24は、その内面がバスケット14の外周形状に合わせた形状となっている。バスケット14は、複数の放射性物質(図示略)を個々に収納するセルを複数有している。バスケット14は、
図1に示すようにバスケット本体14Aを有する。バスケット本体14Aは、互いに平行かつ所定間隔で配置されるセルとしての放射性物質収納部14Bが上下方向で連続して形成されている。上下方向とは、キャスク11において胴本体21の円筒形状の軸方向Xに沿う方向であり、胴本体21の上下方向に相当する。そして、胴本体21は、下部に底部23が溶接により結合又は一体成形されており、この胴本体21及び底部23は、γ線遮蔽機能を有する炭素鋼製の鍛造品となっている。胴本体21及び底部23は、炭素鋼の代わりにステンレス鋼を用いることもできる。また、胴本体21及び底部23は、球状黒鉛鋳鉄又は炭素鋼鋳鋼などの鋳造品を用いることもできる。
【0018】
胴部12は、胴本体21の外周側に所定の距離だけ離れて外筒25が配設されている。外筒25は、例えば炭素鋼などによって製造される。
図2に示されるように、胴本体21の外周面と外筒25の内周面との間には、伝熱フィン40が、周方向に所定の間隔で複数設けられている。そして、胴部12は、胴本体21と外筒25との空間部に、水素を多く含有する高分子材料であって中性子遮蔽機能を有するボロン又はボロン化合物を含有したレジン(中性子遮蔽体)26が、図示しないパイプ等を介して流動状態で注入され、固化されている。伝熱フィン40の詳細については後述する。
【0019】
胴部12は、底部23の下側に複数の連結板27により所定の隙間を空けて底板28が連結されていてもよく、この連結板27と底板28との空間部にレジン(中性子遮蔽体)29が設けられている。また、胴部12は、側面にトラニオン30が固定されている。なお、連結板27を設けないこともある。
【0020】
胴部12における胴本体21の開口部22を閉塞する蓋部13は、一次蓋部31と二次蓋部32によって構成されている。一次蓋部31は、γ線を遮蔽するステンレス鋼または炭素鋼で製造された円盤形状の部材である。また、二次蓋部32も、ステンレス鋼製または炭素鋼製で製造された円盤形状の部材であるが、その内部にレジン(中性子遮蔽体)33が封入されている。この一次蓋部31および二次蓋部32は、ステンレス鋼製または炭素鋼製のボルト(図示略)により胴本体21の上端部に着脱自在に取付けられている。この場合、一次蓋部31および二次蓋部32と胴本体21との間に、それぞれ図示しない金属ガスケットが介装され、内部の密封性を確保している。なお、レジン33は、一次蓋部31に設けられていてもよく、一次蓋部31にのみ設けられていてもよい。また、蓋部13の周囲には、レジンを封入した補助遮蔽体34が設けられる場合もある。次に、伝熱フィン40について説明する。
【0021】
図3は、実施形態1に係るキャスクの要部断面図である。伝熱フィン40は、熱伝導性が高く、胴本体21及び外筒25よりも熱膨張率が高い材料によって製造される板状の部材である。例えば、伝熱フィン40は、銅などによって製造される。
【0022】
図2及び
図3に示されるように、胴本体21の外周部には、第1の溝部51が周方向に所定の間隔で複数設けられている。詳しくは後述するが、伝熱フィン40は、第1の溝部51に取付けられる。第1の溝部51は、軸方向Xに沿って延在し、軸方向Xに対する軸直角方向に対して傾斜して設けられている。すなわち、第1の溝部51は、胴本体21の放射方向Aに対して傾斜して設けられている。放射方向Aとは、中心軸Oから胴本体21の径方向外側に向かう方向である。第1の溝部51は、底部53と両側部54とを有する。第1の溝部51は、底部53と両側部54とを有するコの字形状であるが、これに限られない。第1の溝部51は、伝熱フィン40を取り付けることができれば、例えばU字やV字の形状等、任意の形状であってよい。
【0023】
外筒25の内周部には、第2の溝部52が周方向に所定の間隔で複数設けられている。詳しくは後述するが、伝熱フィン40は、第2の溝部52に取付けられる。第2の溝部52は、軸方向Xに沿って延在し、軸方向Xに対する軸直角方向に対して傾斜して設けられている。すなわち、第2の溝部52は、胴本体21の放射方向Aに対して傾斜して設けられている。第2の溝部52は、底部55と両側部56とを有する。第2の溝部52は、底部55と両側部56とを有するコの字形状であるが、これに限られない。第2の溝部52は、伝熱フィン40を取り付けることができれば、例えばU字又はV字の形状等、任意の形状であってよい。
【0024】
第1の溝部51の中心軸Bと第2の溝部52の中心軸Cとは、それぞれ一致する(公差含む)ように設けられていてもよい。中心軸Bと中心軸Cとが一致することにより、第1の溝部51と第2の溝部52とのガタを小さくすることができ、板状部材である伝熱フィン40を容易に取り付けることができる。
【0025】
伝熱フィン40は、面内方向Yにおける一方の端部である第1の端部41と、他方の端部である第2の端部42とを有する。第1の端部41は、第1の溝部51に嵌合され、第2の端部42は、第2の溝部52に嵌合される。なお、面内方向Yとは、伝熱フィン40の表面47に沿った方向である。また、面内方向Yは、第1の溝部51と第2の溝部52を結ぶ方向である。従って、面内方向Yは、胴本体21の軸方向Xに対する軸直角方向に対して傾斜した方向である。言い換えれば、面内方向Yは、胴本体21の放射方向Aに対して傾斜した方向である。第1の端部41と第1の溝部51と、第2の端部42と第2の溝部52とは、互いに移動可能に嵌合されている。第1の端部41と第1の溝部51と、及び第2の端部42と第2の溝部52とは、例えばすきま嵌めによって取付けられる。詳しくは後述するが、伝熱フィン40は、第1の溝部51及び第2の溝部52に対して、面内方向Yに変形可能である。
【0026】
放射性物質が胴本体21の内部に収納された場合、放射性物質の崩壊熱が胴本体21に伝熱される。胴本体21の熱は、第1の溝部51及び第1の端部41を介して伝熱フィン40に伝熱される。伝熱フィン40に伝熱された熱は、第2の端部42及び第2の溝部52を介して外筒25に伝熱し、外部に放熱される。この伝熱により、胴本体21と伝熱フィン40と外筒25とは、熱膨張する。
【0027】
胴本体21は、熱膨張した場合、径が広がる方向に膨張する。従って、底部53は、中心軸Bに沿って胴本体21の外周に向かって移動する。また、両側部54は、互いの幅が大きくなる。同様に、外筒25は、熱膨張した場合、径が広がる方向に膨張する。従って、底部55は、中心軸Cに沿って胴本体21の外周に向かって移動する。両側部56は、互いの幅が大きくなる。伝熱フィン40は、熱膨張した場合、面内方向Y及び面内方向Yに垂直な方向である面直方向Zに向かって膨張する。従って、第1の端部41の端面43は、面内方向Yに沿って胴本体21の中心に向かって移動する。また、第1の端部41の両側面44は、互いの幅が大きくなる。同様に、第2の端部42の端面45は、面内方向Yに沿って胴本体21の外周に向かって移動する。また、第2の端部42の両側面46は、互いの幅が大きくなる。言い換えれば、伝熱フィン40は、熱膨張により、第1の溝部51及び第2の溝部52に対して、面内方向Y及び面直方向Zに変形可能である。
【0028】
伝熱フィン40は、胴本体21及び外筒25よりも熱膨張係数が大きい。従って、放射性物質の崩壊熱により熱膨張した場合、第1の溝部51と第2の溝部52との間の距離(底部53から底部55までの長さ)よりも、伝熱フィン40の長さ(端面43から端面45までの面内方向Yに沿った長さ)の方が大きくなる。従って、伝熱フィン40は、第1の端部41が第1の溝部51に密着して固定され、第2の端部42が第2の溝部52に密着して固定される。また、第1の溝部51の幅及び第2の溝部52の幅(両側部54及び両側部56の幅)よりも、伝熱フィン40の幅(両側面44及び両側面46の面直方向Zに沿った幅)の方が大きくなってもよい。この場合、伝熱フィン40は、第1の溝部51及び第2の溝部52に、面直方向Zにおいても密着することができる。このように、伝熱フィン40は、熱膨張による変形により、外筒25及び胴本体21に密着する。
【0029】
例えばキャスク11の周囲で火災等があった場合は、キャスク11が外部から熱せられる。この場合、外部の熱が外筒25に伝わる。外筒25の熱は、第2の溝部52及び第2の端部42を介して伝熱フィン40に伝わる。伝熱フィン40に伝わった熱は、第1の端部41及び第1の溝部51を介して胴本体21とその内部とに伝わる。
【0030】
火災等でキャスク11が外部から熱せられた場合、外筒25の温度が伝熱フィン40よりも早く高くなるため、外筒25は、伝熱フィン40よりも先に大きく熱膨張する。従って、第1の溝部51と第2の溝部52との間の距離の方が、伝熱フィン40の長さよりも大きくなる。また、第2の溝部52の幅よりも、伝熱フィン40の幅の方が大きくなる。すなわち、第2の端部42と第2の溝部52との密着は、解除される。この場合において、伝熱フィン40は、熱膨張により、第2の溝部52に対して、面内方向Y及び面直方向Zに変形可能であるといえる。なお、この場合、伝熱フィン40は、胴本体21よりも大きく熱膨張しているため、第1の端部41と第1の溝部51との密着は解除されない。
【0031】
このように、火災等でキャスク11が外部から熱せられた場合、外筒25が外周方向に膨張するため、第2の端部42と第2の溝部52との密着が解除される。第2の端部42と第2の溝部52との密着が解除されると、外筒25と伝熱フィン40との間での熱伝導性が低下する。すなわち、外筒25から伝熱フィン40及び胴本体21内部への伝熱が抑制される。従って、火災等でキャスク11が外部から熱せられた場合に、実施形態1に係るキャスク11は、外部から内部への伝熱を抑制することができる。
【0032】
また、伝熱フィン40は、胴本体21内部に貯蔵した放射性物質の崩壊熱により、第1の溝部51及び第2の溝部52に対して面内方向Yに変形する。伝熱フィン40は、第1の溝部51及び第2の溝部52に密着する。伝熱フィン40と第1の溝部51及び第2の溝部52とが密着すると、伝熱フィン40と胴本体21及び外筒25との間での熱伝導性が向上する。すなわち、伝熱フィン40は、胴本体21からの熱を好適に外筒25へ伝えることができる。従って、実施形態1に係るキャスク11は、内部の放射性物質の熱を好適に外部に放出することができる。
【0033】
また、伝熱フィンと胴本体及び外筒とを取り付ける際に、溶接が行われる場合があるが、次の理由により取付けに対する作業負荷が高くなる場合がある。すなわち、伝熱フィンと胴本体及び外筒とが異材であるため溶接性が低かったり、キャスクが巨大であったりするため、取付けに対する作業負荷が高くなる場合がある。しかし、実施形態1に係るキャスク11は、第1の溝部51及び第2の溝部52に伝熱フィン40を嵌合することにより、伝熱フィン40を胴本体21及び外筒25に取り付けている。そして、伝熱フィン40は、放射性物質の崩壊熱に起因する熱膨張により、第1の溝部51及び第2の溝部52に固定される。従って、実施形態1に係るキャスク11は、伝熱フィン40と胴本体21及び外筒25とを取り付ける際の作業負荷を低減することができる。
【0034】
また、伝熱フィン40は、面内方向Yが、胴本体21の軸方向Xに対する軸直角方向に対して傾斜した方向であって、放射方向Aに対して傾斜した方向に沿って取り付けられている。中性子は、胴本体21の放射方向に放出される。伝熱フィン40を胴本体21の放射方向に対して傾斜して設けることで、レジン26で胴本体21の周囲を漏れなく囲み、レジン26の中性子遮蔽性能を十分に機能させることができる。
【0035】
(実施形態2)
実施形態2について、図面を用いて詳細に説明する。
図4は、実施形態2に係るキャスクの要部断面図である。実施形態2に係るキャスク11aは、伝熱フィン40aと第2の溝部52aとの間に空間60を有する。なお、実施形態1と共通する構成については、説明を省略する。
【0036】
図4に示されるように、外筒25aの内周部には、第2の溝部52aが設けられている。第2の溝部52aは、底部55aと両側部56aとを有する。また、伝熱フィン40aは、面内方向Yにおける一方の端部である第1の端部41aと、他方の端部である第2の端部42aとを有する。第1の端部41aは、第1の溝部51に嵌合され、第2の端部42aは、第2の溝部52aに嵌合される。第2の端部42aは、端面45aと両側面46aとを有する。第2の端部42aと第2の溝部52aとの間、すなわち端面45aと底部55aとの間には、空間60が設けられている。すなわち、端面45aと底部55aとは、最初から所定の距離だけ離れている。
【0037】
火災等でキャスク11aが外部から熱せられた場合、外筒25aの温度が伝熱フィン40aよりも早く高くなるため、外筒25aは、伝熱フィン40aよりも先に大きく熱膨張する。すなわち、伝熱フィン40aは、端面45aと底部55aとの距離を大きくする方向に変形する。端面45aと底部55aとは、最初から所定の距離だけ離れており、さらにその距離が大きくなるため、第2の端部42aと第2の溝部52aとの嵌合は解除される。言い換えれば、火災等でキャスク11aが外部から熱せられた場合、伝熱フィン40aは、第2の溝部52aから外れる。
【0038】
上述のように、第2の端部42aと第2の溝部52aとの間には空間60が設けられているため、火災等でキャスク11aが外部から熱せられた場合、伝熱フィン40aは、第2の溝部52aから外れる。伝熱フィン40aが第2の溝部52aから外れた場合、外筒25aから伝熱フィン40a及び胴本体21内部への伝熱がより好適に抑制される。従って、火災等でキャスク11aが外部から熱せられた場合、実施形態2に係るキャスク11aは、外部から内部への伝熱をより好適に抑制することができる。
【0039】
空間60に、伝熱媒体を設けてもよい。伝熱媒体は、熱伝導率の高い材料によって製造される。伝熱媒体の材料は任意であるが、ペースト状の伝熱媒体を、第2の溝部52a又は第2の端部42aに塗布してもよい。ペースト状の伝熱媒体としては、例えば、熱伝導グリス、伝熱セメント、金属ペースト又はカーボンペースト等が好ましいが、これらに限られない。空間60に伝熱媒体を設けることにより、胴本体21内部に貯蔵した放射性物質の崩壊熱を、より好適に放出することができる。
【0040】
(実施形態3)
次に、実施形態3について、図面を用いて詳細に説明する。
図5は、実施形態3に係るキャスクの要部断面図である。実施形態3に係るキャスク11bは、伝熱フィン40bと第1の溝部51bとが固定されている。実施形態1と共通する構成については、説明を省略する。
【0041】
図5に示されるように、胴本体21bの外周部には、第1の溝部51bが設けられている。第1の溝部51bは、底部53bと両側部54bとを有する。両側部54bは、底部53bと反対側の方向に向かって幅が小さくなっている。すなわち、第1の溝部51bは、軸方向Xから見た断面が、台形形状となっている。第1の溝部51bは、両側部54bの幅の少なくとも一部が、胴本体21bの外周における第1の溝部51bの幅よりも大きくなっていれば、台形形状に限られない。
【0042】
また、伝熱フィン40bは、面内方向Yにおける一方の端部である第1の端部41bと、他方の端部である第2の端部42bとを有する。第2の端部42bは、第2の溝部52に移動可能に嵌合(支持)されている。第1の端部41bは、端面43b及び両側面44bを有する。両側面44bは、端面43bと反対側の方向に向かって幅が小さくなっている。すなわち、第1の端部41bは、軸方向Xから見た断面が、台形形状となっている。第1の端部41bは、両側面44bの幅の少なくとも一部が、伝熱フィン40bの幅よりも大きくなっていれば、台形形状に限られない。
【0043】
第1の端部41bは、第1の溝部51bに取付けられ、互いに固定されている。すなわち、第1の端部41b及び第1の溝部51bは、それぞれ端面43bと反対側の方向及び底部53bと反対側の方向に向かって幅が小さくなっているため、第1の端部41bは、第1の溝部51bに対して、例えば面内方向Yに沿って固定されている。なお、伝熱フィン40bは、胴本体21bに、例えば軸方向Xに沿ってスライドさせながら取り付けられる。このように、第1の端部41bは、第1の溝部51bをキー溝として、互いに固定されている。第1の端部41bと第1の溝部51bとは、面内方向Yに沿って固定されていれば、その形状は任意である。例えば、第1の端部41bと第1の溝部51bとは、鉤状になっていてもよい。また、例えば、第1の端部41bと第1の溝部51bとは、嵌め合い(しまりばめ)によって互いに固定されてもよい。
【0044】
伝熱フィン40bは、第2の溝部52に対して面内方向Yに移動可能である。そのため、火災等でキャスク11bが外部から熱せられた場合、外筒25から伝熱フィン40bへの伝熱が抑制される。従って、実施形態3に係るキャスク11bは、外部から内部への伝熱をより好適に抑制することができる。
【0045】
また、伝熱フィン40bは、第1の溝部51bに対して固定されている。従って、キャスク11bの組み立て時において外筒25を取り付ける際に、伝熱フィン40bをより安定させることができる。そのため、実施形態3に係るキャスク11bは、組み立て時の作業負荷を低減させることができる。また、伝熱フィン40bと第1の溝部51bとは溶接を行わずに固定されている。従って、キャスク11bは、組み立て時の作業負荷を低減させることができる。ただし、伝熱フィン40bと第1の溝部51bとは、溶接により固定されてもよい。
【0046】
なお、実施形態2と同様に、第2の端部42bと第2の溝部52との間に、空間が設けられてもよい。また、第1の端部41bと第1の溝部51bとが移動可能に嵌合され、第2の端部42bと第2の溝部52とが互いに固定されていてもよい。この場合においても、火災等でキャスク11bが外部から熱せられた場合、伝熱フィン40bから胴本体21への伝熱が抑制される。従って、実施形態3に係るキャスク11bは、外部から内部への伝熱をより好適に抑制することができる。この場合、第1の端部41bと第1の溝部51bとの間に空間を設けてもよい。
【0047】
(実施形態4)
次に、実施形態4について、図面を用いて詳細に説明する。
図6は、実施形態4に係るキャスクの要部断面図である。実施形態4に係るキャスク11cは、互いに移動可能に連結される第1の伝熱フィン61と第2の伝熱フィン62とを有する。なお、実施形態1と共通する構成については、説明を省略する。
【0048】
図6に示されるように、胴本体21cの外周部には、第1の溝部51cが設けられている。第1の溝部51cは、実施形態3に係る第1の溝部51bと同様の形状であり、例えば、軸方向Xから見た断面が台形形状となっている。また、外筒25cの内周部には、第2の溝部52cが設けられている。第2の溝部52cも、実施形態3に係る第1の溝部51bと同様の形状を有し、例えば、軸方向Xから見た断面が台形形状となっている。
【0049】
キャスク11cは、第1の伝熱フィン61と第2の伝熱フィン62とを有する。第1の伝熱フィン61は、面内方向Yに沿った一方が第1の端部41cであり、他方が端部63である。第1の端部41cは、実施形態3に係る第1の端部41bと同様の形状を有し、例えば、軸方向Xから見た断面が台形形状となっている。第1の端部41cは、第1の溝部51cに取付けられて固定されている。
【0050】
第2の伝熱フィン62は、面内方向Yに沿った一方の端部が第2の端部42cであり、他方の端部に溝状の連結部64を有する。第2の端部42cは、実施形態3に係る第1の端部41bと同様の形状を有し、例えば、軸方向Xから見た断面が台形形状となっている。第2の端部42cは、第2の溝部52cに取付けられて固定されている。
【0051】
第1の伝熱フィン61と第2の伝熱フィン62とは、端部63と連結部64とにより、互いに連結されている。より詳しくは、溝状の連結部64に、端部63が互いに移動可能に嵌合されている。従って、第1の伝熱フィン61は、第2の溝部52cに対して面内方向Yに沿って変形可能である。また、第2の伝熱フィン62は、第1の溝部51cに対して面内方向Yに沿って変形可能である。また、胴本体21c内部の放射性物質の崩壊熱により、端部63と連結部64とは、互いに密着する。
【0052】
上述のように、第2の伝熱フィン62は、外筒25cに固定されている。そのため、火災等でキャスク11cが外部から熱せられた場合、第2の伝熱フィン62は、熱膨張した外筒25cと共に、面内方向Yに沿って胴本体21cの外周に向かって移動する。一方、第1の伝熱フィン61は、外筒25cの熱膨張に伴って移動しない。従って、端部63と連結部64との密着が解除される。端部63と連結部64との密着が解除されると、第2の伝熱フィン62から第1の伝熱フィン61への伝熱性能が低下する。従って、実施形態4に係るキャスク11cは、火災等でキャスク11cが外部から熱せられた場合に、外部から内部への伝熱を抑制することができる。さらに、この場合、第2の伝熱フィン62は、第1の伝熱フィン61より温度が高いため、第1の伝熱フィン61より大きく熱膨張する。そのため、連結部64の溝幅は、端部63の幅よりも大きくなる。従って、キャスク11cは、外部から内部への伝熱をより好適に抑制することができる。また、端部63と連結部64との間に空間を設けてもよい。
【0053】
第1の伝熱フィン61は第1の溝部51cに固定され、第2の伝熱フィン62は第2の溝部52cに固定される。従って、キャスク11cの組み立て時において第1の伝熱フィン61及び第2の伝熱フィン62を安定させることができるため、組み立て時の作業負荷を低減することができる。また、第1の伝熱フィン61と第1の溝部51cと、第2の伝熱フィン62と第2の溝部52cとは、溶接されずに固定されている。従って、キャスク11cは、組み立て時の作業負荷を低減することができる。ただし、第1の伝熱フィン61と第1の溝部51cと、第2の伝熱フィン62と第2の溝部52cとは、例えば嵌め合い(しまりばめ)や溶接等により固定されてもよい。
【0054】
なお、連結部64は溝状に限られず、端部63と連結部64とが互いに移動可能に連結されれば、連結部64の形状は任意に選択される。また、連結部は、第1の伝熱フィン61に設けられていてもよい。
【0055】
(実施形態5)
次に、実施形態5について、図面を用いて詳細に説明する。
図7は、実施形態5に係るキャスクの要部断面図である。実施形態5に係るキャスク11dは、連結部材66を有する点で、実施形態1に係るキャスク11と異なる。なお、実施形態1と共通する構成については、説明を省略する。
【0056】
図7に示されるように、胴本体21dの外周部には、第1の溝部51dが設けられている。第1の溝部51dは、実施形態3に係る第1の溝部51bと同様の形状であり、例えば、軸方向Xから見た断面が台形形状となっている。また、外筒25dの内周部には、第2の溝部52dが設けられている。第2の溝部52dも、実施形態3に係る第1の溝部51bと同様の形状を有し、例えば、軸方向Xから見た断面が台形形状となっている。
【0057】
キャスク11dは、伝熱フィン40dと連結部材66とを有する。伝熱フィン40dは、面内方向Yにおける一方の端部である第1の端部41dと、他方の端部である第2の端部42dとを有する。第1の端部41dは、実施形態3に係る第1の端部41bと同様の形状を有し、例えば、軸方向Xから見た断面が台形形状となっている。第2の端部42dは、例えば溝状の形状となっている。
【0058】
連結部材66は、所定の温度以上になった場合に溶融する材料によって製造される。連結部材66は、胴本体21d、外筒25d及び伝熱フィン40dよりも融点が低い材料であり、かつ、胴本体21d内部に収納された放射性物質の崩壊熱によっては溶融しない材料によって製造される。連結部材66は、例えば、鉛やスズ等によって製造される。連結部材66は、面内方向Yにおける一方の端部に端部67を有し、他方の端部に固定部68を有する。固定部68は、実施形態3に係る第1の端部41bと同様の形状を有し、例えば、軸方向Xから見た断面が台形形状となっている。
【0059】
第1の端部41dは、第1の溝部51dに取付けられ、固定されている。第1の端部41dと第1の溝部51dとは、例えば嵌め合い(しまりばめ)や溶接等によって固定されてもよい。なお、第1の端部41dと第1の溝部51dとは、移動可能に嵌合されていてもよい。
【0060】
第2の端部42dと端部67とは、互いに移動可能に嵌合されている。また、固定部68は、第2の溝部52dに取付けられ、固定されている。すなわち、第2の端部42dは、連結部材66を介して、第2の溝部52dに移動可能に嵌合されている。ここでは第2の端部42dは溝形状であるが、端部67の方を溝形状としてもよい。また、固定部68と第2の溝部52dとは、例えば互いに嵌め合い(しまりばめ)により固定されていてもよい。
【0061】
火災等でキャスク11dが外部から熱せられた場合、外筒25dに固定されている連結部材66は、溶融する。そのため、連結部材66を介して第2の溝部52dに嵌合されていた伝熱フィン40dは、第2の溝部52dから取り外される。従って、実施形態5に係るキャスク11dは、火災等でキャスク11dが外部から熱せられた場合、連結部材66が溶融することにより、外部から内部への伝熱をより好適に抑制することができる。
【0062】
連結部材66は、第1の溝部51dに固定されていてもよい。この場合においても、火災等でキャスク11dが外部から熱せられた場合、外筒25d及び伝熱フィン40dを介して、連結部材66に外部からの熱が伝わり、連結部材66は溶融する。
【0063】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態の内容によりこれらの実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態等の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。