特許第6209186号(P6209186)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6209186
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20170925BHJP
【FI】
   A63F5/04 516F
【請求項の数】5
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2015-144212(P2015-144212)
(22)【出願日】2015年7月21日
(65)【公開番号】特開2017-23352(P2017-23352A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2016年12月22日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390026620
【氏名又は名称】山佐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 貴史
(72)【発明者】
【氏名】森田 毅
【審査官】 森田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−133039(JP,A)
【文献】 特開2014−155664(JP,A)
【文献】 特開2012−120570(JP,A)
【文献】 特開2012−016433(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の遊技状態を所定の契機で移行しながら遊技が実行され、
遊技の結果に応じて遊技者に対し所定の価値を付与する遊技機において、
遊技状態として、
通常状態と、前記通常状態より有利な有利状態と、前記通常状態から移行可能でかつ前記有利状態に移行可能な前兆状態と、があり、
複数の遊技状態の間で遊技状態の移行を制御するための移行制御手段と、
特定の遊技状態における前記価値をカウントするためのカウント手段と、
前記カウント手段によるカウント値を初期値に設定する、及び遊技状態の移行契機となる値であって、前記カウント値の目標となる値である目標値を設定する値設定手段と、
前記カウント手段によりカウントされた前記カウント値と、前記値設定手段により設定された前記目標値の一致を判定する値判定手段と、を備え、
遊技状態が前記前兆状態に移行した場合、前記値設定手段は前記カウント値を前記初期値に設定するとともに、前記目標値を設定し、
前記前兆状態において、前記値判定手段により前記カウント値が前記目標値と一致したと判定された場合、前記移行制御手段は遊技状態を前記有利状態に移行させ、
前記前兆状態において、前記値判定手段により前記カウント値が前記目標値を超えたと判定された場合、前記移行制御手段は遊技状態を移行させずに、前記値設定手段は前記カウント値を前記初期値に再設定する及び/又は前記目標値を再設定することを特徴とする遊技機。
【請求項2】
複数の遊技状態を所定の契機で移行しながら遊技が実行され、
遊技の結果に応じて遊技者に対し所定の価値を付与する遊技機において、
遊技状態として、
通常状態と、前記通常状態より有利な有利状態と、があり、
複数の遊技状態の間で遊技状態の移行を制御するための移行制御手段と、
特定の遊技状態における前記価値をカウントするためのカウント手段と、
前記カウント手段によるカウント値を初期値に設定する、及び遊技状態の移行契機となる値であって、前記カウント値の目標となる値である目標値を設定する値設定手段と、
前記カウント手段によりカウントされた前記カウント値と、前記値設定手段により設定された前記目標値の一致を判定する値判定手段と、を備え、
遊技状態が前記有利状態に移行した場合、前記値設定手段は前記カウント値を前記初期値に設定するとともに、前記目標値を設定し、
前記有利状態において、前記値判定手段により前記カウント値が前記目標値と一致したと判定された場合、前記移行制御手段は有利状態を終了させ、
前記有利状態において、前記値判定手段により前記カウント値が前記目標値を超えたと判定された場合、前記移行制御手段は前記有利状態を終了させずに、前記値設定手段は前記カウント値を前記初期値に再設定する及び/又は前記目標値を再設定することを特徴とする遊技機。
【請求項3】
複数の遊技状態を所定の契機で移行しながら遊技が実行され、
遊技の結果に応じて遊技者に対し所定の価値を付与する遊技機において、
遊技状態として、
通常状態と、前記通常状態より有利な有利状態と、前記通常状態から移行可能でかつ前記有利状態に高確率で移行可能な特別状態と、があり、
複数の遊技状態の間で遊技状態の移行を制御するための移行制御手段と、
特定の遊技状態における前記価値をカウントするためのカウント手段と、
前記カウント手段によるカウント値を初期値に設定する、及び遊技状態の移行契機となる値であって、前記カウント値の目標となる値である目標値を設定する値設定手段と、
前記カウント手段によりカウントされた前記カウント値と、前記値設定手段により設定された前記目標値の一致を判定する値判定手段と、を備え、
遊技状態が前記特別状態に移行した場合、前記値設定手段は前記カウント値を前記初期値に設定するとともに、及び前記目標値を設定し、
前記特別状態において、前記値判定手段により前記カウント値が前記目標値と一致したと判定された場合、前記移行制御手段は前記特別状態を終了させ、
前記特別状態において、前記値判定手段により前記カウント値が前記目標値を超えたと判定された場合、前記移行制御手段は前記特別状態を終了させずに、前記値設定手段は前記カウント値を前記初期値に再設定する及び/又は前記目標値を再設定することを特徴とする遊技機。
【請求項4】
前記値設定手段は、抽選により前記目標値を設定することを特徴とする請求項1、2又は3記載の遊技機。
【請求項5】
前記値設定手段は、カウント値を抽選により決定した前記初期値に設定することを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技媒体や遊技ポイント等のカウント値が所定の値と一致した場合に、遊技状態を移行可能とした遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
アシストタイム(AT)やアシストリプレイタイム(ART)などの遊技者に有利な遊技状態を備えた遊技機において、遊技状態の終了契機をメダルの獲得枚数で管理するものが知られている。例えば、特許文献1には、ART状態におけるメダルの総獲得枚数が、予め設定された枚数を超えると遊技状態が終了する遊技機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願2014-133039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のような遊技機では、獲得したメダルの枚数や獲得可能な残り枚数が液晶画面等により遊技者に報知されるため、遊技者は遊技状態が移行するまでの時期が予測できてしまい、遊技が単調になるなどの問題が生じていた。
一方、特許文献1の遊技機は、ATにおけるメダルの獲得枚数が、ATの終了枚数と完全一致してAT終了した場合にATが延長されるものでもあるが、延長されたATにおいても終了時期が予測できることに変わりはない。
【0005】
そこで、上記の問題に鑑み、遊技媒体や遊技ポイントなどの獲得数とAT終了条件となる獲得可能数とが一致している場合に遊技状態を移行させ、不一致の場合には移行させないことにより、特定の遊技状態における遊技ゲーム数に幅を持たせることが可能な遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る遊技機は、複数の遊技状態を所定の契機で移行しながら遊技が実行され、遊技の結果に応じて遊技者に対し所定の価値を付与する遊技機において、遊技状態として、通常状態と、前記通常状態より有利な有利状態と、前記通常状態から移行可能でかつ前記有利状態に移行可能な前兆状態と、があり、複数の遊技状態の間で遊技状態の移行を制御するための移行制御手段270と、特定の遊技状態における前記価値をカウントするためのカウント手段280と、前記カウント手段280によるカウント値を初期値に設定する、及び遊技状態の移行契機となる値であって、前記カウント値の目標となる値である目標値を設定する値設定手段290と、前記カウント手段280によりカウントされた前記カウント値と、前記値設定手段290により設定された前記目標値の一致を判定する値判定手段300と、を備えている。
【0007】
本発明における「価値」とは、遊技媒体としてのメダルや、有利な遊技状態への移行に使用される遊技ポイントが挙げられる。また、「有利状態」としては、再遊技役(リプレイ役)への当選確率が上昇するリプレイタイム(RT)、当選役の正解の押し順などを報知するアシストタイム(AT)、及びRTとATとを組み合わせたアシストリプレイタイム(ART)が挙げられる。
【0008】
そして、遊技状態が前記前兆状態に移行した場合、前記値設定手段290は前記カウント値を前記初期値に設定するとともに、前記目標値を設定し、前記前兆状態において、前記値判定手段300により前記カウント値が前記目標値と一致したと判定された場合、前記移行制御手段270は遊技状態を前記有利状態に移行させ、前記前兆状態において、前記値判定手段300により前記カウント値が前記目標値を超えたと判定された場合、前記移行制御手段270は遊技状態を移行させずに、前記値設定手段290は前記カウント値を前記初期値に再設定する及び/又は前記目標値を再設定することを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、有利状態に移行する前の前兆状態における遊技ゲーム数に幅を持たせることが可能であり、当該遊技状態から有利状態が開始されるまでの間の遊技をより楽しませることが可能となる。
特に、従来のように一律にゲーム数や獲得遊技媒体数だけを考慮した前兆状態とは異なり、遊技状態の移行が役抽選の結果に左右されるため、いつ移行するのか分からないという予測不能性や、複数回の遊技結果が遊技状態の移行に反映されることで新たな遊技性を持たせることが可能となる。
【0010】
本発明の遊技機に係る別態様としては、複数の遊技状態を所定の契機で移行しながら遊技が実行され、遊技の結果に応じて遊技者に対し所定の価値を付与する遊技機において、遊技状態として、通常状態と、前記通常状態より有利な有利状態と、があり、複数の遊技状態の間で遊技状態の移行を制御するための移行制御手段270と、特定の遊技状態における前記価値をカウントするためのカウント手段280と、前記カウント手段280によるカウント値を初期値に設定する、及び遊技状態の移行契機となる値であって、前記カウント値の目標となる値である目標値を設定する値設定手段290と、前記カウント手段280によりカウントされた前記カウント値と、前記値設定手段290により設定された前記目標値の一致を判定する値判定手段300と、を備えている。
【0011】
そして、遊技状態が前記有利状態に移行した場合、前記値設定手段290は前記カウント値を前記初期値に設定するとともに、前記目標値を設定し、前記有利状態において、前記値判定手段300により前記カウント値が前記目標値と一致したと判定された場合、前記移行制御手段270は有利状態を終了させ、前記有利状態において、前記値判定手段300により前記カウント値が前記目標値を超えたと判定された場合、前記移行制御手段270は前記有利状態を終了させずに、前記値設定手段290は前記カウント値を前記初期値に再設定する及び/又は前記目標値を再設定することを特徴とする。
【0012】
この態様によれば、有利状態における遊技ゲーム数に幅を持たせることが可能であり、当該有利状態の遊技をより楽しませることが可能となる。
特に、従来のように一律にゲーム数や獲得遊技媒体数だけを考慮した有利状態とは異なり、遊技状態の移行が役抽選の結果に左右されるため、いつ終了するのか分からないという予測不能性や、複数回の遊技結果が遊技状態の移行に反映されることで新たな遊技性を持たせることが可能となる。
【0013】
本発明の遊技機に係る更なる別態様としては、複数の遊技状態を所定の契機で移行しながら遊技が実行され、遊技の結果に応じて遊技者に対し所定の価値を付与する遊技機において、遊技状態として、通常状態と、前記通常状態より有利な有利状態と、前記通常状態から移行可能でかつ前記有利状態に高確率で移行可能な特別状態と、があり、複数の遊技状態の間で遊技状態の移行を制御するための移行制御手段270と、特定の遊技状態における前記価値をカウントするためのカウント手段280と、前記カウント手段280によるカウント値を初期値に設定する、及び遊技状態の移行契機となる値であって、前記カウント値の目標となる値である目標値を設定する値設定手段290と、前記カウント手段280によりカウントされた前記カウント値と、前記値設定手段290により設定された前記目標値の一致を判定する値判定手段300と、を備えている。
【0014】
ここで、「特別状態」とは、高確率でアシストタイム(AT)やアシストリプレイタイム(ART)への移行抽選が行われるチャンスゾーン(自力解除ゾーン)が挙げられる。
そして、遊技状態が前記特別状態に移行した場合、前記値設定手段290は前記カウント値を前記初期値に設定するとともに、及び前記目標値を設定し、前記特別状態において、前記値判定手段300により前記カウント値が前記目標値と一致したと判定された場合、前記移行制御手段270は前記特別状態を終了させ、前記特別状態において、前記値判定手段300により前記カウント値が前記目標値を超えたと判定された場合、前記移行制御手段270は前記特別状態を終了させずに、前記値設定手段290は前記カウント値を前記初期値に再設定する及び/又は前記目標値を再設定することを特徴とする。
【0015】
この態様によれば、有利状態に高確率で移行可能な特別状態における遊技ゲーム数に幅を持たせることが可能であり、当該特別状態の遊技をより楽しませることが可能となる。
特に、従来のように一律にゲーム数や獲得遊技媒体数だけを考慮した特別状態とは異なり、遊技状態の移行が役抽選の結果に左右されるため、いつ終了するのか分からないという予測不能性や、複数回の遊技結果が遊技状態の移行に反映されることで新たな遊技性を持たせることが可能となる。
【0016】
上記の遊技機はさらに、前記値設定手段290は、抽選により前記目標値を設定することを可能としている。
また、上記の遊技機はさらに、前記値設定手段290は、カウント値を抽選により決定した前記初期値に設定することを可能としている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1の実施の形態であって、遊技機の概略正面図である。
図2】本発明の第1の実施の形態であって、図柄の配列を説明するための説明図である。
図3】本発明の第1の実施の形態であって、遊技機の入力、制御及び出力を示すブロック図である。
図4】本発明の第1の実施の形態であって、図3の遊技制御手段の詳細を説明するための概略ブロック図である。
図5】本発明の第1の実施の形態であって、ボーナス役の図柄組合せ等を示す図である。
図6】本発明の第1の実施の形態であって、再遊技役(リプレイ役)の図柄組合せ等を示す図である。
図7】本発明の第1の実施の形態であって、小役(チェリー役)の図柄組合せ等を示す図である。
図8】本発明の第1の実施の形態であって、小役(スイカ役)の図柄組合せ等を示す図である。
図9】本発明の第1の実施の形態であって、小役(ベル役)の図柄組合せ等を示す図である。
図10】本発明の第1の実施の形態であって、重複当選領域(同時当選役)とグループとを示す図である。
図11】本発明の第1の実施の形態であって、図3のメイン制御手段における遊技の進行を示す図である。
図12】本発明の第1の実施の形態であって、遊技状態の移行を示す図である。
図13】本発明の第1の実施の形態であって、カウント値を用いた移行制御の例を示す図である。
図14】本発明の第1の実施の形態であって、メイン制御手段における遊技の流れを説明するためのフローチャートである。
図15】本発明の第1の実施の形態であって、移行制御の流れを説明するためのフローチャートである。
図16】本発明の第2の実施の形態の変形例1であって、移行制御の流れを説明するためのフローチャートである。
図17】本発明の第2の実施の形態の変形例1であって、移行制御の流れを説明するためのフローチャートである。
図18】本発明の第2の実施の形態の変形例2であって、カウント値を用いた移行制御の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1の実施の形態)
本明細書では、各説明箇所において、方向についての定義等が示されていない場合には、遊技機10の方を向いて位置している遊技者から見て、遊技機10から遊技者の手前側に向かう方向を「前」方向とし、その逆方向を「後」方向とする。また、同様に、「左」や「右」等の左右方向も、遊技者から見た場合の左方向や、右方向を意味する。同様に、各部材の説明においても、方向についての定義等が示されていない場合には、各部材を、遊技機10の所定位置に固定した状態における遊技者から見た方向を意味する。
【0019】
(遊技機10)
本実施の形態に係る遊技機10としてのスロットマシンを、以下、図1を参照しながら説明する。本実施の形態に係る遊技機10としてのスロットマシンは、前方向に向かって開口する正面開口を有する四角箱状の筐体12と、この筐体12の正面開口を開閉自在に覆う前扉14とを備えている。
【0020】
(回転リール62)
前扉14の上部には、薄板樹脂からなる上パネル20を備えている。この上パネル20の略中央には、3個の回転リール62(正面から向かって左側の左回転リール64、中央の中回転リール66、右側の右回転リール68)の円周上の図柄61を見ることができる透過可能な図柄表示窓部16が形成されている。この図柄表示窓部16は、3個すべての回転リール62の回転が停止した際には、縦3列横3行に配置した合計9個の図柄61を遊技者に見せるように形成されている。この図柄表示窓部16は、回転リール62の正面側に設けられて、回転リール62の回転が停止した際、後述する有効ライン86上に停止している複数の図柄61を視認するためのものである。回転リール62は、複数の図柄61を、図柄表示窓部16を介して変動表示可能なものである。
【0021】
(リールユニット60)
前記図柄表示窓部16の後方向(奥方向)には、3個の駆動モータ(図示せず)と、この各駆動モータによってそれぞれ回転させられる合計3個の前記回転リール62と、前記駆動モータ及び前記回転リール62を保持するユニットホルダ(図示せず)とを有するリールユニット60が配置されている。
【0022】
(演出装置70)
前記前扉14には、遊技者に役抽選の当選等の種々の情報を音や光や映像等で報知させる演出装置70が形成されている。この演出装置70は、前扉14に配置されているものであって、スピーカー72と、表示装置84と、演出用ランプ78とを備えている。なお、回転リール62は、通常、遊技進行のために用いられるが、遊技の進行を停止している状態において、通常の回転動作とは異なる挙動による演出(いわゆるリール演出)を示すことにより演出装置70の一種としても使用される。
【0023】
(スピーカー72)
前記スピーカー72は、前扉14の上部左右に配置された上部スピーカー74と、前扉14の下部左右に配置された下部スピーカー76とを備えている。
(表示装置84)
前記表示装置84は、その画面に種々の映像を表示するための表示デバイスであり、動画を含んだ映像の表示を行うための液晶表示装置を有する演出ユニットを構成するものである。
【0024】
(演出用ランプ78)
前記演出用ランプ78は、前扉14の上部に配置された上部ランプ80と、前扉14の下部の左右に配置された下部ランプ82とを備えている。
【0025】
(操作部30)
前記前扉14の下部には下パネル22が設けられている。そして、前扉14には下パネル22の上に位置して前扉14の前方向へ向けて突出する操作部30を備えている。
本実施の形態に係る遊技機10には、遊技開始の条件として後述するメダル投入口38からあらかじめメダルを投入して、最大50枚までクレジットメダルとして内部に貯留可能なクレジット機能(投入枚数を電子データとして電子的に記憶し管理する機能)を有している。なお、このクレジットメダルとして貯留可能な最大枚数である50枚を最大クレジットメダル数とする。
【0026】
(ストップスイッチ50)
前記メダル投入口38の下には、クレジット機能によりクレジットしたメダルのすべてを払い出すための精算スイッチ36が設けられている。この精算スイッチ36の左側には、操作により対応する回転リール62の回転を停止させるため、3個の回転リール62のそれぞれに対応する3個のストップスイッチ50が設けられている。このストップスイッチ50は、左回転リール64を停止させるための左ストップスイッチLと、中回転リール66を停止させるための中ストップスイッチCと、右回転リール68を停止させるための右ストップスイッチRとを有している。すなわち、これらのストップスイッチ50は、複数の回転リール62それぞれに対応して設けられ、複数の回転リール62の図柄61の変動表示の開始後、遊技者の操作により回転リール62の図柄61の変動表示を個別に停止させるためのものである。
【0027】
(スタートスイッチ40)
このストップスイッチ50の左側には、メダルの投入又は後述するマックスベットスイッチ34の操作を条件に回転リール62の回転を開始させるためのスタートスイッチ40が設けられている。すなわち、このスタートスイッチ40は、遊技者の操作により回転リール62の図柄61の変動表示を開始させるためのものである。
【0028】
(マックスベットスイッチ34)
このスタートスイッチ40の上には、クレジットしたメダル数から最大投入枚数(具体的には3枚)に達するまで投入可能なメダル数を減じて3枚のメダル投入に代えるマックスベットスイッチ34が設けられている。
なお、マックスベットスイッチ34に加えて、又はマックスベットスイッチ34に代えて、クレジットしたメダル数を1枚減じて1枚のメダル投入に代えるシングルベットスイッチを設けてもよい。
【0029】
(貯留払出手段24等)
前記前扉14の下部の後方向(奥方向)には、いわゆるホッパーユニットであって、メダルを貯留することができるとともに、メダルを払い出すことができる貯留払出手段24(図3参照)と、電源投入又は電源遮断のための操作が可能な電源スイッチを有すると共に各部品に電力を供給するための電源装置(図示せず)とが配置されている。
【0030】
(メダル払出口28等)
前記前扉14の下部には、所定の場合に貯留払出手段24からメダルが払い出されるメダル払出口28が形成されている。このメダル払出口28の下方には、メダル払出口28から払い出されたメダルを貯留するため、上方に向かって開口する皿状のメダル受け皿26が形成されている。なお、クレジットされているメダル数が最大クレジットメダル数である50枚未満の場合は、50枚に到達するまで、獲得したメダルはメダル払出口28から払い出されずにクレジットメダルの枚数に加算される。
【0031】
(遊技の流れの説明)
本実施の形態に係る遊技機10は、マックスベットスイッチ34の操作又はメダル投入により所定枚数のメダルを投入することにより遊技の開始を可能とするものである。そして、スタートスイッチ40の押下操作により、回転リール62の回転を開始させて遊技が開始されるとともに、後述するメイン制御手段200の各遊技に対応した抽選テーブルを用いて役抽選が行われる。そして、当該遊技機10は、各回転リール62に対応するストップスイッチ50の操作タイミング及び役抽選の結果に基づいて、回転リール62の回転を役抽選の結果に適合するように停止させる。当該遊技機10は、停止時の図柄61の組合せによって、当選した役を構成する図柄61の組合せが所定の有効なライン(所定の役の図柄61の組合せが当該ライン上に揃ったときに所定の利益が付与されるラインのことであり、以下、有効ライン86とする。)上に停止した場合に、入賞等となり、所定枚数のメダルを払い出す等の所定の利益を遊技者に付与する。これにより、1回の遊技が終了するものである。
【0032】
なお、後述する小役の「入賞」等は有効ライン86上に役に対応した図柄61の組合せが揃うことを意味する。本実施の形態の有効ライン86は、左回転リール64の中段と中回転リール66の中段と右回転リール68の中段とを結んだ1本のみからなるものである。
【0033】
(図柄61)
図2に示すように、左回転リール64、中回転リール66及び右回転リール68の表面には、「R7(赤7)」、「B7(青7)」、「BR」、「BL」、「C1(チェリー)」、「WM(スイカ)」「R1(リプレイ1)」、「R2(リプレイ2)」、「B1(ベル1)」、「B2(ベル2)」の複数の種々の図柄61が形成されている。
これらの図柄61は、それぞれの絵柄がプリントされたテープを回転リール62の外周表面に貼付することで形成されている。なお、図2の図柄61の番号(コマ番号)は、回転リール62の外周表面に物理的に付されているものではなく、仮想的な番号であって、各図柄61の停止を制御するためのプログラムで特定の図柄61を指定するためのものである。
【0034】
(制御装置100)
図3に示すように、遊技機10の内部には、遊技機10の全体の動作を制御するための制御装置100が形成されている。この制御装置100は、遊技を進行させて遊技状態を制御するメイン制御手段200と、このメイン制御手段200からの情報(コマンド)を受けて、遊技の進行に応じた演出を制御し、主に遊技内容に関する情報を遊技者に報知する演出を行うための制御を行うサブ制御手段400とを備えている。
【0035】
なお、メイン制御手段200とサブ制御手段400との間は、メイン制御手段200への不正操作を防止するために、メイン制御手段200からサブ制御手段400への一方向の通信により行われ、サブ制御手段400からメイン制御手段200への逆方向の通信は行われていない(すなわち双方向の通信ではない)。メイン制御手段200は、マックスベットスイッチ34、精算スイッチ36、スタートスイッチ40、ストップスイッチ50の入力を受け付け、役抽選を行い、リールユニット60及び貯留払出手段24の作動を制御する。サブ制御手段400は、メイン制御手段200から信号を入力し、表示装置84等の演出装置70の作動を制御する。サブ制御手段400の出力側には、演出装置70としてのスピーカー72、表示装置84、演出用ランプ78の各パーツが接続されている。
【0036】
なお、特に図示していないが、メイン制御手段200を有するメイン基板と、サブ制御手段400を有するサブ基板とは、それぞれ専用の基板ケースの内部に収納されている。具体的には、メイン制御手段200は、メイン基板ケースの内部に収納され、サブ制御手段400は、サブ基板ケースの内部に収納されている。そして、メイン基板ケースは、筐体12内部の奥側の上部に固定され、サブ基板ケースは、筐体12内部の正面から向かって左側に固定されている。
【0037】
メイン制御手段200及びサブ制御手段400は、CPU、ROM、RAM、I/Oポート(図示せず)を備えたマイクロコンピュータにより構成される。CPUは、タイマ割込などの割込機能を持ち、ROMに記憶されたプログラムを実行して、種々の処理を行う。ROMは、CPUが実行するプログラムや各種テーブル等の固定的なデータを記憶し、RAMは、CPUがプログラムを実行する際の一時的な記憶領域、例えば遊技機10の状態を記憶するための記憶領域や、役抽選の抽選結果を記憶するための記憶領域として使用される。
【0038】
本実施の形態に係る遊技機10では、通常に行われるノーマル遊技、普通遊技が設けられている。また、このノーマル遊技、普通遊技よりも再遊技役(リプレイ役)の当選の確率が高く(或いは低く)設定されているリプレイタイム(RT)遊技が設けられている。さらに、メイン制御手段200では、ボーナス移行役に入賞することにより実行されるボーナス遊技が設けられている(図11参照)。これらの遊技は、メイン制御手段200により制御される。
【0039】
また、遊技状態としてストップスイッチ50の押し順や当選した役の図柄61等を報知することによって役に係る図柄61の組み合わせを有効ライン86上に揃って停止させるためのアシストをするアシストタイム(AT)状態が設けられている。
アシストタイム(AT)状態は、図12に示すように、通常状態(非アシストタイム(AT)状態)よりも遊技者に有利な遊技となるように形成されている。
【0040】
AT状態は、所定の開始条件を達成したときに開始可能であり、所定の終了条件を達成したときに終了可能に形成されている。具体的には、AT状態は、役抽選の抽選結果、所定の移行役に当選した場合や、後述するAT抽選手段260により所定の移行抽選に当選した場合に開始可能であり、所定の条件を満たすことにより終了可能なものである。なお、これらの開始条件や終了条件に限定されるものではなく、他の内容の条件に設定してもよいものである。
【0041】
(メイン制御手段200)
メイン制御手段200は、役抽選手段210、リール制御手段220、払出制御手段240、遊技制御手段250、AT抽選手段260、移行制御手段270、カウント手段280、値設定手段290、値判定手段300、送信手段310の各手段を有する。各手段の詳細については後述する。なお、AT抽選手段260、移行制御手段270、カウント手段280、値設定手段290、値判定手段300は、メイン制御手段200ではなく、サブ制御手段400が有しても良いし、又、メイン制御手段200とサブ制御手段400との両方に分けて有するようにしても良い。
【0042】
以上の構成をもって、メイン制御手段200は、役の抽選を行い、回転リール62の回転及び停止を制御し、回転リール62がすべて停止したときに停止図柄61の判定を行い、遊技の進行を行う手段として機能することとなる。
メイン制御手段200は、遊技を制御するためのものであって、遊技を進行させるためのものである。以下、本実施の形態における遊技について説明する。
【0043】
規定の賭け数(3枚)が設定されると、1本の有効ライン86(図1参照)が設定される。なお、本実施の形態に係る遊技機10は、規定の賭け数として3が設定されている。賭け数を設定する方法には、メダル投入口38からメダルを投入する方法と、マックスベットスイッチ34を操作することによってクレジットメダルを賭け数として設定する方法とがある。そして、規定の賭け数(3枚)が設定されていることを条件に、スタートスイッチ40を操作すると、賭け数が確定し、役抽選手段210により、複数の役のいずれかに当選したか又はハズレかの抽選(役抽選)が行われる。また、役抽選とほぼ同時に、前回の遊技での回転リール62の回転開始時から所定の時間(本実施の形態では、4.1秒)が経過しているか否かが判定され、所定の時間が経過すると、3個すべての回転リール62の回転が開始する。
【0044】
本実施の形態では、役として、大別すると、ベル役、弱チェリー役、強チェリー役、スイカ役などの小役(メダルの払い出しを伴う役や、遊技状態の移行の契機となる役)、再遊技役(遊技者所有のメダルを使用することなく次回の遊技を開始可能とする役、いわゆるリプレイ役)、移行役(遊技状態の移行を伴う役)が設けられている。
回転リール62の回転開始後、所定の条件(本実施の形態では、回転リール62を加速する処理を実行した後、所定のセンサにより回転リール62の回転位置が基準位置であることを検出すること)が成立すると、ストップスイッチ50の操作が可能な状態(停止操作可能状態)となる。
【0045】
その後に、3個のストップスイッチ50のうち1個を操作すると、当該ストップスイッチ50に対応した回転リール62の回転が停止する。そして、3個すべてのストップスイッチ50の操作を終えると、3個すべての回転リール62の回転が停止する。
このとき、有効ライン86上に所定の図柄61の組合せが揃うと、当該図柄61の組合せに対応した処理が行われる。本実施の形態に係る遊技機10は、有効ライン86上に予め定められた図柄61の組合せが揃うと遊技者に利益が付与されるように形成されている。例えば小役に対応した図柄61の組合せが有効ライン86上に揃うと、小役に対応した枚数のメダルが遊技者に対して付与される。
【0046】
役抽選の当選確率は、複数段階、本実施の形態では、6段階(設定1〜設定6)設定されており、設定1が最も低く、設定6が最も高くなるように設定されている。
また、有効ライン86上に再遊技役(リプレイ役)に対応する図柄61の組合せが揃うと、メダルの払い出しはないものの、次回の遊技において遊技者所有のメダルを使用することなく賭け数が自動的に設定され遊技を行うことができる。
【0047】
(役抽選手段210)
役抽選手段210は、当選役を決定する役抽選を実行するものである。すなわち、役抽選手段210は、メイン制御手段200が備える手段であり、スタートスイッチ40の操作を契機に、複数の役のいずれかに当選か又はハズレかの抽選(役抽選)を行うためのものである。役抽選手段210は、役に当選したか否かを決定するための抽選テーブルを、主な分類としてノーマル遊技用、普通遊技用、RT遊技用、内部当選中遊技用、ボーナス遊技用のそれぞれに対応して複数備えており、メイン制御手段200のROM上に記憶されている。役抽選手段210は、予め定めた抽選データと、所定範囲の整数値を繰り返してカウントするループカウンタを有する所定の乱数発生手段(乱数発生回路)が発生した乱数のうちから抽出した乱数とを比較して、当選か否かを判定する。なお、役抽選手段210による処理は、後述するステップ102(図14参照)において行われる。
【0048】
(リール制御手段220)
リール制御手段220は、メイン制御手段200が備える手段であり、各回転リール62の回転を停止させるためのものである。リール制御手段220は、役抽選手段210の抽選結果と、各ストップスイッチ50が操作されたときの対応する回転リール62の回転位置とに基づいて、各回転リール62の回転を停止させる。なお、リール制御手段220は、必要に応じて各ストップスイッチ50が停止操作されるときの順番(押し順)が所定の条件に適合しているか否かも停止させる条件にする場合がある。リール制御手段220による処理は、後述するステップ106(図14参照)において行われる。
【0049】
(払出制御手段240)
払出制御手段240は、遊技の結果に基づいて、メダル払い出し等の所定の処理を行うためのものである。払出制御手段240は、リール制御手段220による回転リール62の停止制御の結果、メダルの払い出しがあると判定するとホッパーユニット24の払出動作を制御して、入賞した役に応じた枚数のメダルを遊技者に対して払い出す。
【0050】
(遊技制御手段250)
遊技制御手段250は、遊技状態を制御するものである。
具体的には、遊技制御手段250は、図4に示すように、大別すると、一般遊技制御手段251、内部当選中遊技制御手段255及びボーナス遊技制御手段256の各手段を有する。
【0051】
(一般遊技制御手段251)
一般遊技制御手段251は、「一般遊技」の進行を制御するものである。ここで、「一般遊技」は、図11を用いて後述するが、「ノーマル遊技」、「普通遊技」及び「RT遊技」を含む。
具体的には、一般遊技制御手段251は、ノーマル遊技制御手段252、普通遊技制御手段253及びRT制御手段254を備える。
【0052】
(ノーマル遊技制御手段252)
ノーマル遊技制御手段252は、「ノーマル遊技」(非RT)を制御するものである。
ここで、「非RT」は、「RT」の非作動状態を意味する。「RT」は、いわゆる「リプレイタイム」の略語であり、「RT」に移行すると、再遊技に当選する抽選確率、すなわち再遊技確率が高くなる。「RT」は、「RT1」〜「RT3」の3種類があり、「RT2」が最も高確率で、次に「RT3」が高く、「RT1」が最も低く設定されている。
【0053】
(普通遊技制御手段253)
普通遊技制御手段253は、「普通遊技」(RT1)を制御するものである。「ノーマル遊技」(非RT)から「普通遊技」(RT1)に移行すると、「RT」が作動する。このときの「RT1」は、「RT2」より再遊技役の当選確率が低く設定されている。
【0054】
(RT制御手段254)
RT制御手段254は、「RT遊技」(RT2)を制御するものである。
「RT遊技」は、いわゆる「リプレイタイム」とよばれ、再遊技役の当選確率が「普通遊技」(RT1)よりも高確率に設定され、「高確率状態」(RT2)にある。
【0055】
(内部当選中遊技制御手段255)
内部当選中遊技制御手段255は、「内部当選中遊技」(RT3)を制御するものである。
「内部当選中遊技」(RT3)へは、ボーナス移行役に当選することにより移行する。
「一般遊技」から「内部当選中遊技」に移行すると、「RT」は「RT3」状態になる。このときの「RT3」は、「RT1」より再遊技役の当選確率が高く設定されており、又、「RT遊技」から「内部当選中遊技」に移行すると、このときの「RT3」は、「RT2」より再遊技役の当選確率が低く設定されている。
【0056】
(ボーナス遊技制御手段256)
ボーナス遊技制御手段256は、「ボーナス遊技」を制御するものである。
「ボーナス遊技」は、「内部当選中遊技」にボーナス移行役の図柄を揃えることで移行し、いわゆるビッグボーナス(BB)とレギュラーボーナス(RB)が連続作動し、所定の枚数、本実施の形態では、「BB」の場合は204枚、「RB」の場合は48枚を超えるメダルの払い出しで終了し、「ノーマル遊技」に移行する。
【0057】
(AT抽選手段260)
AT抽選手段260は、所定の役に当選したことを契機に遊技状態を有利状態であるAT状態に移行させるか否かの決定を行うものである。具体的には、AT抽選手段260は、AT状態への移行契機となる抽選(AT抽選)を行い、当該抽選に当選することでAT状態への移行を決定する。
【0058】
「AT状態」は、いわゆる「アシストタイム」ともよばれ、当該「AT状態」に移行すると、当選した小役の押し順が報知される遊技(AT)が開始され、報知された押し順に従ってストップスイッチ50を操作することで、当選した小役の図柄の組み合わせを停止表示させることができる。このため、成立した小役に対応する所定枚数のメダルが払い出される。また、本実施の形態では、「AT状態」はメイン制御手段200側で制御され、このとき、メイン制御手段200側のRT制御手段254で制御される「RT遊技」(RT2)に移行すると、「ART」状態となる。「ART」状態は、「RT遊技」(再遊技確率の高確率状態)で、かつ「AT状態」の遊技状態をいう。AT状態(ART状態)の開始及び終了は後述する移行制御手段270によって制御される。
【0059】
(移行制御手段270)
移行制御手段270は、図12に示す複数の遊技状態の開始及び終了、並びに複数の遊技状態の間で遊技状態の移行を制御するためのものである。
なお、本実施の形態では「AT状態」を始めとする各遊技状態を、メイン制御手段200側に配置した移行制御手段270により制御したが、これに限定されず、各遊技状態をサブ制御手段400側で制御させても良い。
【0060】
(カウント手段280)
カウント手段280は、特定の遊技状態におけるメダル枚数を管理するためのものである。具体的に、カウント手段280は、遊技の結果、払い出されるメダルの枚数をカウントする枚数カウンタを備えている。本実施の形態におけるカウント手段280は、ART前兆状態において、払出制御手段240によりメダルの払い出しがあると判定された場合、払い出されるメダルの枚数を枚数カウンタに加算する。例えば、枚数カウンタのカウント値が初期値の「0」の場合に、配当(メダル払出枚数)9枚の押し順ベル役に入賞した場合は、カウント値は「9」となる。カウント値が「9」の状態でさらに配当4枚のスイカ役に入賞した場合は、カウント値に「4」が加算されて「13」となる。カウント値が「13」の状態でさらに配当1枚の弱チェリー役に入賞した場合は、カウント値に「1」が加算されて「14」となる。
【0061】
また、後述する値設定手段290によりカウント値が目標値を超えたと判定された場合は、カウント値は初期値に再設定される。ここで、「カウント値が目標値を超えた」とは、加算されたカウント値が目標値を上回ることをいう。本実施の形態では、目標値が「10」に設定されている場合にカウント値が「10」を超えた場合には、カウント値は「0」に再設定される。
【0062】
(値設定手段290)
値設定手段290は、カウント手段280によるカウント値を初期値に設定する、及び遊技状態の移行契機となる値であって、前記カウント値の目標となる値である目標値を設定するものである。本実施の形態の値設定手段290は、移行制御手段270により遊技状態がART前兆状態に移行した場合にカウント値を初期値に設定するとともに、目標値を設定する。具体的には、ART前兆状態に移行した際にカウント値を初期値である「0」に設定し、目標値を「10」に設定する。
【0063】
一方、後述する値判定手段300によりカウント値が目標値を超えたと判定された場合は、カウント値を初期値「0」に再設定するとともに、再度目標値を設定する。ここで、「カウント値が目標値を超えた」とは、上述のとおりである。前述のとおり、本実施の形態では、ART前兆状態移行時に目標値として「10」が設定されているが、ART前兆状態の遊技の結果カウント値が「10」を上回った場合には、カウント値を初期値「0」に再設定するとともに、カウント値の目標値として「10」が再設定される。なお、目標値の再設定の値は「10」に限らず、例えば「8」や「12」などの値にすることができる。また、初期値についても「0」に限らず、「2」や「5」などの値にすることができる。これらの初期値や目標値は抽選により決定してもよい。
【0064】
(値判定手段300)
値判定手段300は、カウント手段280によりカウントされたカウント値と、値設定手段290により設定された目標値との一致を判定(一致判定)するものである。本実施の形態においては、値判定手段300による一致判定の結果を受けて、移行制御手段270が遊技状態を有利状態としてのAT状態に移行させたり、値設定手段290が目標値を再設定したりする。
【0065】
(送信手段310)
送信手段310は、サブ制御手段400へ信号を送信するためのものである。
(サブ制御手段400)
サブ制御手段400は、図3に示すように、受信手段410、通常演出制御手段420、AT演出制御手段430及びボーナス演出制御手段440の各手段を有する。各手段の詳細については後述する。なお、AT演出制御手段430は、サブ制御手段400ではなく、メイン制御手段200が有しても良い。
以上の構成をもって、サブ制御手段400は、メイン制御手段200からの信号を受けて、遊技の進行に伴う演出を行うものである。
【0066】
具体的には、サブ制御手段400は、演出用ランプ78を駆動するためのLED駆動回路(図示せず)に対してLEDの点灯や消灯を規定するデータを出力したり、スピーカー72から音を出力するための音声出力回路(図示せず)に対して出力する音声を規定するデータを出力したり、表示装置84を駆動するための液晶制御基板(図示せず)に対して出力する映像データを規定するデータを出力したりする。
【0067】
(受信手段410)
受信手段410は、送信手段310からの信号を受信するものである。
(通常演出制御手段420)
通常演出制御手段420は、図12に示す通常状態の演出を制御するものである。
ここで、通常状態とは、AT状態、通常ボーナス状態及び特殊ボーナス状態以外の状態をいう。
【0068】
(AT演出制御手段430)
AT演出制御手段430は、所定の遊技区間の間、通常状態より遊技者に有利なAT状態の演出を制御するものである。具体的にAT演出制御手段430は、AT抽選手段260によるAT抽選に当選すると遊技状態を有利遊技状態としてのAT状態(ART状態)に移行させる。そして、AT演出制御手段430は、AT状態(ART状態)において、メイン制御手段200からストップスイッチ50の押し順を報知させるコマンドを受信した場合に当該ストップスイッチ50の押し順を報知させる演出等を実行する。そして、所定の遊技区間を消化すると遊技状態は、通常状態に移行する。
【0069】
(ボーナス演出制御手段440)
ボーナス演出制御手段440は、図12に示す通常ボーナス状態及び特殊ボーナス状態の演出を制御するものである。ボーナス演出制御手段440は、メイン制御手段200における遊技のボーナス遊技(図11参照)への移行に伴い、移行前の遊技状態が通常状態の場合は通常ボーナス状態に移行し、移行前の遊技状態がAT状態の場合は特殊ボーナス状態に移行する。メイン制御手段200においてボーナス遊技が終了すると、それに伴い遊技状態は、移行前の状態(通常ボーナス状態又は特殊ボーナス状態)に戻る。
【0070】
(役の図柄組み合わせについて)
つぎに、図5乃至図10を用いて、役抽選手段210により抽選される役について説明する。
なお、役抽選手段210により抽選される役は図5乃至図10に示すものに限定されない。
図5に示すように、ボーナス移行役として、第1BB乃至第4BBのBB役と、第1RBと第2RBとのRB役がある。例えば、BB役の第1BBの場合は、その図柄組合せが、左回転リール64、中回転リール66、右回転リール68の順(以下同様)に「R7、R7、R7」であり、配当(メダル払出枚数)は0枚となっている。また、RB役の第1RBの場合は、その図柄組み合わせが「R7、R7、BAR」であり、配当(メダル払出枚数)は0枚となっている。
【0071】
図6に示すように、再遊技役(リプレイ)として、第1通常リプレイ乃至第12通常リプレイの通常リプレイ、第1昇格リプレイ乃至第24昇格リプレイの昇格リプレイ、第1転落リプレイ乃至第16転落リプレイの転落リプレイ、第1チャンスリプレイ乃至第8チャンスリプレイのチャンスリプレイがある。再遊技役の図柄組み合わせとしては、例えば、第1通常リプレイの場合は「R1、R1、R1」、第1昇格リプレイの場合は「R1、R1、B1」、第1転落リプレイの場合は「R1、R1、R7」、第1チャンスリプレイの場合は「B1、BL、WM」となっている。再遊技役の配当(メダル払出枚数)は、無し(ただし次の遊技がメダル投入無しで遊技開始可能)となっている。
【0072】
図7に示すように、小役の一つであるチェリー役として、第1弱チェリー乃至第3弱チェリーの弱チェリー、第1強チェリー乃至第16強チェリーの強チェリーがある。チェリー役の図柄組み合わせとしては、例えば、第1弱チェリーの場合は「BR、C1、C1」であり、第1強チェリーの場合は「BR、C1、R1」となっている。チェリー役の配当(メダル払出枚数)は、1枚となっている。
【0073】
図8に示すように、小役の一つであるスイカ役として、第1スイカ乃至第5スイカがある。スイカ役の図柄組み合わせとしては、例えば、第1スイカの場合は「WM、WM、WM」となっている。スイカ役の配当は4枚となっている。
【0074】
図9に示すように、小役の一つであるベル役として、第1押し順ベルA乃至第2押し順ベルAの押し順ベルA(LCR正解ベル)、第1押し順ベルB乃至第4押し順ベルBの押し順ベルB(LRC正解ベル)、第1押し順ベルC乃至第4押し順ベルCの押し順ベルC(CLR正解ベル)や、第1押し順ベルDの押し順ベルD(CRL正解ベル)、第1押し順ベルE乃至第2押し順ベルEの押し順ベルE(RLC正解ベル)、第1押し順ベルF乃至第4押し順ベルFの押し順ベルF(RCL正解ベル)などがある。ベル役の図柄組み合わせとしては、例えば、第1押し順ベルAの場合は「R1、C1、WM」、第1押し順ベルBの場合は「R1、B1、R1」となっている。ベル役の配当は、9枚となっている。
【0075】
ここで、LCR正解ベル、LRC正解ベル、CLR正解ベル、CRL正解ベル、RLC正解ベル、RCL正解ベルは、3個のストップスイッチ50のうち、左ストップスイッチL、中ストップスイッチC、右ストップスイッチRが、名称の順番、例えば、LCR正解ベルの場合は、左ストップスイッチL、中ストップスイッチC、右ストップスイッチRの順番に操作された場合に入賞となる役である。なお、他の押し順でストップスイッチ50が操作された場合は、ハズレか押し順ベル、転落リプレイが停止表示される。
【0076】
図10に示すように、役抽選の結果として、通常リプレイ(第1通常リプレイ乃至第12通常リプレイ)、昇格リプレイ(第1昇格リプレイ乃至第24昇格リプレイ)が同時に当選(重複して当選)するRP1や、通常リプレイ(第1通常リプレイ乃至第12通常リプレイ)、昇格リプレイ(第1昇格リプレイ乃至第24昇格リプレイ)、第1チャンスリプレイが同時に当選するRP2などが設けられている。
【0077】
(メイン制御手段200における遊技の移行)
つぎに、図11を用いて、メイン制御手段200において実行される遊技について説明する。
メイン制御手段200により管理される遊技には、図11に示すように、大別すると、「一般遊技」と、「内部当選中遊技」(RT3)と、「ボーナス遊技」とがある。「RT」は、いわゆる「リプレイタイム」の略語であり、「RT」に移行すると、再遊技役に当選する抽選確率、すなわち再遊技確率が高くなる。「RT」は、「RT1」〜「RT3」の3種類があり、「RT2」が最も高確率で、残る「RT1」と「RT3」とは、「RT2」より再遊技確率が低く、ほぼ等しく設定されている。
【0078】
「一般遊技」は、一般遊技制御手段251により制御され、「ノーマル遊技」(非RT)と、「普通遊技」(RT1)と、「RT遊技」(RT2)とがある。「ノーマル遊技」、「一般遊技」、「RT遊技」に移行するにつれて、再遊技役に当選する抽選確率、すなわち再遊技確率が高くなる。
「ノーマル遊技」は、ノーマル遊技制御手段252により管理され、「ボーナス遊技」の終了後に移行する遊技である。
【0079】
「普通遊技」は、普通遊技制御手段253により管理され、いわゆる「RT1移行図柄」の成立時に「ノーマル遊技」から移行する。
ここで、図11の「ノーマル遊技」の場合、図12の「AT状態」になることはないため、「押し順ベル」に当選しても、押し順が報知されず、「押し順ベル」が入賞せず、ベルこぼし目(転落リプレイ:RT1図柄)が停止表示され、「普通遊技」に移行することになる。
なお、「ボーナス遊技」から、「ノーマル遊技」に移行した場合は、「押し順ベル」に当選した場合も、一時的或いは意図的に押し順が報知されず、「押し順ベル」が入賞せず、ベルこぼし目(転落リプレイ:RT1図柄)が停止表示され、「普通遊技」に移行することになる。
【0080】
「RT遊技」は、RT制御手段254により管理され、いわゆる「RT2移行図柄」の成立時に移行する再遊技確率の高確率状態である。
すなわち、図11の「RT遊技」の場合には、図12の「AT状態」に移行可能であるため、押し順が報知されるが、ATの終了条件(本実施の形態では、所定ゲーム数を消化した場合)が成立すると非ATになる。そのため、「押し順ベル」などに当選しても、押し順が報知されず、「押し順ベル」が入賞せず、ベルこぼし目(転落リプレイ:RT1図柄)が停止表示され、「普通遊技」に移行する。
【0081】
「内部当選中遊技」は、内部当選中遊技制御手段255により管理され、「ノーマル遊技」「普通遊技」及び「RT遊技」中に、ボーナス移行役に当選すると、移行する。
「ボーナス遊技」は、ボーナス遊技制御手段256により管理され、「内部当選中遊技」中に「ボーナス図柄」を揃えることで移行する。
「ボーナス遊技」には、「RBB1」と、「RBB2」とがある。ここで、「RBB1」はいわゆる「BB」が連続作動し、所定の枚数、例えば204を超えるメダルの払い出しで終了する。また、「RBB2」はいわゆる「RB」が連続作動し、所定の枚数、例えば48を超えるメダルの払い出しで終了する。上述のとおり、「ボーナス遊技」が終了すると「ノーマル遊技」に移行することになる。
【0082】
図12を用いた遊技状態の説明)
図12に本実施の形態に設けられた遊技状態を示す。これらの遊技状態は移行制御手段270により制御されるものである。遊技状態は、大別すると「通常状態」と、「AT状態」、「通常ボーナス状態」、「特殊ボーナス状態」とがある。
【0083】
(通常状態)
「通常状態」の遊技状態としては、「通常一般状態」、「チャンス状態」、「ART前兆状態」とがある。
(通常一般状態)
「通常一般状態」は、「通常状態」のうち、「チャンス状態」及び「ART前兆状態」等の特殊な状態を除いた状態である。
「通常一般状態」では、AT抽選手段260による「AT状態」への移行抽選(AT抽選)が行われている。
【0084】
(チャンス状態)
「チャンス状態」は、「AT状態」への移行抽選(AT抽選)の当選確率が「通常一般状態」よりも高く設定された状態である。この「チャンス状態」は、「通常一般状態」において弱チェリー役、強チェリー役、スイカ役などの、いわゆるレア役に当選した際に行われる移行抽選に当選することで移行する。
「チャンス状態」では、「通常一般状態」からの移行した際に行われるゲーム数抽選で決定されたゲーム数を消化する。そして、「チャンス状態」において実行されるAT抽選に当選すると、当該状態のゲーム数を消化した後、「ART前兆状態」に移行する。一方、AT抽選に不当選の場合には、「通常一般状態」に戻る。
なお、この「チャンス状態」が、本発明における特別状態に相当する。
【0085】
(ART前兆状態)
「ART前兆状態」は、「通常状態」より遊技者に有利な「ART状態」への移行の「前兆」となる遊技が実行される状態である。この「ART前兆状態」には、「ART状態」への移行が確定しているいわゆる「本前兆」と、移行が未確定で「通常状態」に戻る、いわゆる「ガセ前兆」の2種類がある。「ガセ前兆」の場合には所定ゲーム数を消化した後、「通常一般状態」へ戻る。一方、「本前兆」の場合には、値判定手段300による一致判定の結果、カウント手段280によりカウントされたカウント値と、値設定手段290により設定された目標値とが一致した場合に「ART準備状態」に移行する。この一致判定及び遊技状態の移行についての詳細は後述する。
なお、この「ART前兆状態」が、本発明における前兆状態に相当する。
【0086】
(AT状態)
「AT状態」は、「通常遊技」より遊技者に有利な遊技である。当該「AT状態」に移行すると、当選した小役の押し順が報知される遊技(AT)が開始され、報知された押し順に従ってストップスイッチ50を操作することで、当選した小役の図柄の組み合わせを停止表示させることができる。このため、成立した小役に対応する所定枚数のメダルが払い出される。
【0087】
「AT状態」の遊技状態としては、「ART準備状態」、「ART状態」とがある。
「ART準備状態」は、メイン制御手段200における遊技が、図11の普通遊技(RT1)である場合の「AT状態」であり、RT遊技(RT2)への移行図柄、例えば「昇格リプレイ」に当選した場合には、当該「昇格リプレイ」に対応したストップスイッチ50の押し順が報知される。そして、当該報知に従ってストップスイッチ50が操作された場合には、「ART状態」に移行する。
【0088】
(ART状態)
「ART状態」の遊技状態としては、「ART通常状態」、「上乗せ特化状態」とがある。
「ART状態」は、「通常状態」より遊技者に有利な遊技である。当該「ART状態」に移行すると、当選した小役の押し順が報知される遊技であるATと、RT2とが開始され、報知された押し順に従ってストップスイッチ50を操作することで、当選した小役の図柄の組み合わせを停止表示させることができる。このため、成立した小役に対応する所定枚数のメダルが払い出される。
【0089】
「ART状態」は、本実施の形態では、所定の払い出し枚数に達することで終了し、「通常状態」へ戻る。
なお、ART状態の終了時にART状態を継続するか否かのAT継続抽選を行うことにしてもよい。この場合、AT継続抽選に当選しなかった場合は、ART(AT+RT)のうち、ATが終了しているため、ストップスイッチ50の押し順の報知が終了され、これに伴い、ベルこぼし目(転落リプレイ:RT1図柄)を表示した場合に、「通常状態」へ戻る。すなわち、ベルこぼし目(転落リプレイ:RT1図柄)は、左第一停止が不正解のベル役(例えばCLR正解ベル)に当選し、押し順が「不正解」(ストップスイッチ50を左第一停止で操作)の場合に停止表示される図柄61である。ATが終了しているため押し順の報知が行われず、遊技者はストップスイッチ50を左第一停止で操作するため、ベル役に当選してもベルこぼし目(転落リプレイ:RT1図柄)が停止表示され、「通常状態」に移行する。
【0090】
(ART通常状態)
「ART通常状態」は、「ART状態」のうち、後述する「上乗せ特化状態」以外の状態である。
「ART通常状態」では、メダルの払い出し枚数が所定の枚数(基本150枚)に達した場合に終了する。
【0091】
なお、ART通常状態の終了条件は、メダルの払い出し枚数に限定されず、所定のゲーム数やセット数、或いは遊技に伴い獲得される遊技ポイント数などであってもよい。また、報知された押し順に複数回従わずにストップスイッチ50を操作した場合や、特殊な役に当選した場合などであっても良い。
【0092】
(上乗せ特化状態)
「上乗せ特化状態」は、「ART状態」のメダルの獲得可能枚数が追加(上乗せ)される状態である。したがって、メダルの獲得可能枚数が上乗せされることにより、ART状態は実質延長することになる。この「上乗せ特化状態」は、「ART通常状態」において実行される上乗せ特化状態への移行抽選に当選した場合に移行する。この上乗せ特化状態への移行抽選は役抽選によるレア役などの当選を契機に実行されるものである。「上乗せ特化状態」では、毎ゲーム上乗せメダル数の獲得抽選が実行され、5〜100枚の範囲内で上乗せメダル数を獲得することができる。そして、上乗せ特化状態の所定ゲーム数を消化すると、再び「ART通常状態」へ戻る。
【0093】
(通常ボーナス状態)
「通常ボーナス状態」は、「通常状態」中に図11に示す「ボーナス遊技」への移行抽選(ボーナス移行役:図5のBB役、RB役)に当選し、当該「ボーナス遊技」へ移行した場合の遊技状態である。移行した「ボーナス遊技」が「RBB1」の場合(BB役当選)は「通常BB状態」、「RBB2」の場合(RB役当選)は「通常RB状態」に移行する。
「RBB1」と「RBB2」とが、所定の枚数の払出で終了することにより、「通常状態」に戻る。
【0094】
(特殊ボーナス状態)
「特殊ボーナス状態」は、「AT状態」、「ART状態」中に図11に示す「ボーナス遊技」への移行抽選(ボーナス移行役:図5のBB役、RB役)に当選し、当該「ボーナス遊技」へ移行した場合の遊技状態である。移行した「ボーナス遊技」が「RBB1」の場合(BB役当選)は「特殊BB状態」、「RBB2」の場合(RB役当選)は「特殊RB状態」に移行する。
「特殊ボーナス状態」に移行した場合は、「AT状態」、「ART状態」は中断し、「RBB1」と「RBB2」とが、所定の枚数の払出で終了することにより、「AT状態」、「ART状態」に戻る。
【0095】
(移行制御の例について)
図13を用いて本実施の形態の一致判定から遊技状態の移行に至る移行制御について説明する。
本実施の形態では、ART前兆状態においてカウント値の一致判定を行う事により当該ART前兆状態からAT状態への移行を管理している。
まず、通常一般状態又はチャンス状態からART前兆状態に移行すると、値設定手段290により、カウント手段280のカウント値が初期値に設定されるとともに、目標値が設定される。ここで、本実施の形態における初期値には「0」が設定され、目標値には「10」が設定される。なお、初期値及び目標値としては任意の値を設定することができる。例えば、メダルの想定払い出し枚数、いわゆる出玉率と関連づけられている設定値に対応させて初期値や目標値を変えることができる。
【0096】
ここで、図13(A)を例にART前兆状態におけるカウント値の変化について説明する。まず、1ゲーム目は再遊技役(リプレイ役)が停止表示されたため、メダルの払い出しがなく、カウント値は0のままである。続いて、2ゲーム目はハズレのため、メダルの払い出しがなく、カウント値は0のままである。続いて、3ゲーム目はチェリー役に入賞し、1枚のメダルの払い出しが決定されるため、カウント値に1が加算され、カウント値は1に更新される。以後同様に、遊技の結果、払い出しが決定されたメダル枚数がカウント値に加算される。図13(A)の例では、6ゲーム目に押し順ベル役の入賞により9枚のメダルの払い出しが決定し、当該6ゲーム目にカウント値が「10」に達した。
【0097】
一方、値判定手段300は、遊技の結果、メダルの払い出しの有無が決定された時点で、カウント値と目標値との値を比較し、カウント値が目標値以上となったか否かの一致判定を行う。上記の例では、6ゲーム目にカウント値と目標値が一致したと判定されたため、移行制御手段270は遊技状態をART前兆状態からAT状態に移行させる。
次に、図13(B)を例にART前兆状態におけるカウント値の変化について説明する。まず、1ゲーム目はスイカ役に入賞し、4枚のメダルの払い出しが決定されるため、カウント値は4に更新される。続いて、2ゲーム目は再遊技役(リプレイ役)が停止表示されたため、メダルの払い出しがなく、カウント値は4のままである。続いて、3ゲーム目はハズレのため、メダルの払い出しがなく、カウント値は4のままである。続いて、4ゲーム目は押し順ベル役に入賞し、9枚のメダルの払い出しが決定されるため、カウント値に9が加算され、13に更新される。ここで、値判定手段300による一致判定の結果、カウント値が目標値「10」を超えたと判定されたため、移行制御手段270は遊技状態をART前兆状態からAT状態に移行させず、カウント値を初期値「0」に再設定するとともに、目標値を「10」に再設定する。なお、本実施の形態において、再設定時の目標値は「10」であり最初の設定時と同じ値であるが、目標値を再設定する際に抽選を実行し、当該抽選により決定された値を新たな目標値として設定してもよい。また、再設定時の目標値が最初の設定時と同じ値であることから、目標値の再設定を行わなくてもよい。
【0098】
5ゲーム以後については、4ゲーム目までと同様に遊技の結果、獲得が決定されたメダル枚数がカウント値に加算される。上記の例では、9ゲーム目にカウント値と目標値が一致したと判定されたため、移行制御手段270は遊技状態をART前兆状態からAT状態に移行させる。
(遊技機10の作動)
図14に示すフローチャートに基づいて、制御装置100が1回の遊技毎に実行する処理について説明する。
【0099】
先ず、ステップ100において、賭け数設定処理が行われる。この賭け数設定処理では、賭け数として規定の賭け数が設定されたか否かが判定されるものである。具体的には、メイン制御手段200により、当該遊技の賭け数として設定されているメダルの枚数が規定の賭け数に達しているか否かの判定が行われる。本実施の形態では、規定の賭け数は3枚である。なお、前回の遊技で再遊技役の図柄61の組み合わせが有効ライン86上に揃った場合には、自動的に賭け数が設定される。規定の賭け数が設定された場合に、次のステップ101に進む。規定の賭け数が設定されていない場合には当該ステップに留まることになる。
【0100】
ステップ101において、メイン制御手段200により、スタートスイッチ40の操作があったか否かの判定が行われる。ここで、スタートスイッチ40の操作があったと判定されると、メイン制御手段200により、賭け数の設定が不可能な状態とされる。また、スタートスイッチ40が操作されると、遊技が開始された旨を示す遊技開始情報がサブ制御手段400に送信される。そして、次のステップ102に進む。一方、スタートスイッチ40の操作がないと判定されると、再度ステップ101となる。
【0101】
ステップ102において、役抽選手段210により、役抽選処理が行われる。また、このとき、役抽選の結果がメイン制御手段200からサブ制御手段400へ送信される。役抽選処理が終了すると、次のステップ103に進む。
ステップ103において、リール制御手段220により、回転リール62の回転変動処理が行われる。ここで、回転リール62が回転を開始する際に役抽選の結果を示す抽選結果情報がサブ制御手段400に送信される。そして、回転リール62が所定の回転速度に達すると、次のステップ104に進む。
【0102】
ステップ104において、メイン制御手段200により、ストップスイッチ50が操作されたか否かが判定される。ストップスイッチ50の操作があったと判定された場合、次のステップ105に進む。一方、ステップ104で、ストップスイッチ50が操作されたと判定されなかった場合、ストップスイッチ50が操作されるまで、ステップ104を繰り返す待機処理が行われる。
【0103】
ステップ105において、リール制御手段220により、操作されたストップスイッチ50に対応する停止テーブルを取得し、対応する回転リール62の回転停止処理が行われる。ストップスイッチ50が操作された際、押し順が設定されている役の重複当選領域に当選している場合には、操作されたストップスイッチ50の押し順が正解であれば、正解の役の図柄61を引き込む停止テーブルが用いられ、操作されたストップスイッチ50の押し順が不正解ならば、不正解の役の図柄61を引き込む停止テーブルが用いられる。
【0104】
なお、左ストップスイッチLが操作されると左回転リール64の停止した図柄61の図柄番号を示す左停止操作情報がサブ制御手段400に送信され、中ストップスイッチCが操作されると中回転リール66の停止した図柄61の図柄番号を示す中停止操作情報がサブ制御手段400に送信され、右ストップスイッチRが操作されると右回転リール68の停止した図柄61の図柄番号を示す右停止操作情報がサブ制御手段400に送信される。そして、回転リール62が停止したら、次のステップ106に進む。
【0105】
ステップ106において、全ての回転リール62が停止したか否かが判定される。全ての回転リール62が停止したと判定された場合、次のステップ107に進む。一方、ステップ106で、全ての回転リール62が停止したと判定されなかった場合、ステップ104へ戻る。ここで、第3番目のストップスイッチ50の停止操作が行われると、メイン制御手段200からサブ制御手段400へ全回転リール62の回転停止情報が送信される。そして、次のステップ107に進む。
【0106】
ステップ107において、停止表示された図柄61の組み合わせに応じた処理が行われる。具体的には、払出制御手段240により、入賞している役に対応した枚数のメダルの払い出し処理が行われる。なお、払い出しが不要な場合には、払出処理は行われない。そして、1回の遊技毎に実行する処理を終了する。
(移行制御のフロー)
図15にART前兆状態において実行される移行制御に係るフローを示す。
ステップ200において、値設定手段290により、カウント手段280のカウント値が初期値に設定されるとともに、目標値が設定される。そして次のステップ201に進む。
【0107】
ステップ201において、メダルの払い出しが決定したか否かが判定される。ここで、メダルの払い出しが決定したと判定された場合は、次のステップ202に進む。一方、メダルの払い出しが決定していないと判定された場合、具体的には回転リール62がまだ回転しており遊技が終了していない場合、遊技は終了しているが、配当のある役に入賞していない場合は、ステップ201を繰り返す。
【0108】
ステップ202において、カウント値の更新が行われる。すなわち、前カウント値にメダルの払い出し枚数に相当する値が代入される。そして次のステップ203に進む。
ステップ203において、値判定手段300による一致判定として、カウント値が目標値以上となっているか否かの判定が行われる。カウント値が目標値以上となっている場合は、次のステップ204に進む。一方、カウント値が目標値以上となっていない、すなわちカウント値が目標値より小さい場合はステップ201に戻る。
【0109】
ステップ204において、値判定手段300による一致判定として、カウント値が目標値と一致しているか否かの判定が行われる。カウント値が目標値と一致していると判定された場合は、次のステップ205に進む。一方、カウント値が目標値と一致していないと判定された場合は、ステップ200に戻る。すなわち、カウント値が目標値を超えてしまった場合にはステップ200に戻り、カウント値を初期値に再設定するとともに目標値を再設定する。
ステップ205において、移行制御手段270により、遊技状態がART前兆状態からAT状態、詳しくはART準備状態に移行する。そして、移行制御は終了する。
【0110】
(まとめ)
本実施の形態では、特定の遊技状態におけるメダル枚数を管理するため、カウント手段280に枚数カウンタが設けられており。さらに当該枚数カウンタのカウント値を初期化するための初期値と、遊技状態の移行契機となる値であって、カウント値の目標となる値である目標値が設けられている。そして、遊技においてメダルの払い出しが決定される都度、カウント値が更新され目標値に近づいていく。この際、値判定手段300は一致判定を行い、カウント値と目標値が一致するか否かを判定している。そして、一致判定によりカウント値と目標値が一致する場合は、ART前兆状態からAT状態に移行し、カウント値と目標値が一致せずカウント値が目標値を超えた場合には、ART前兆状態からAT状態に移行しないように形成されている。さらに、遊技状態がART前兆状態から移行しない場合は、値設定手段290により、カウント値を初期値に再設定したり、目標値を再設定したりするため、遊技者は引き続きART前兆状態の遊技を行うことになる。
【0111】
本実施の形態によれば、アシストタイム(AT)やアシストリプレイタイム(ART)等を備えた遊技機において、有利状態に移行する前の前兆状態における遊技ゲーム数に幅を持たせることが可能であり、当該遊技状態から有利状態が開始されるまでの間の遊技をより楽しませることが可能となる。
【0112】
特に、従来のように一律にゲーム数だけを考慮した前兆状態とは異なり、遊技状態の移行が役抽選の結果に左右されるため、いつ移行するのか分からないという予測不能性や、複数回の遊技結果が遊技状態の移行に反映されることで新たな遊技性を持たせることが可能となる。また、初期値や目標値を抽選で決定することにより、遊技状態の移行についてさらに予測し辛くすることができる。
本実施の形態では、カウント値と目標値とが一致しない限り、ART前兆状態から脱することができないため、手持ちのメダルが減少することになる。したがって、カウント値と目標値とが一致する方が遊技者にとって有利といえる。
【0113】
なお、本実施の形態では、メダルの払い出しが決定する度にカウント値が増加するが、これに限らず、メダルの払い出しが決定する度にカウント値が減少するように形成してもよい(第2、第3の実施の形態に同じ)。
また、本実施の形態では、カウント値が目標値を超えた場合に、カウント値を初期値に再設定し、同時に目標値を再設定しているがこれに限らない(第2、第3の実施の形態に同じ)。本実施の形態において、カウント値を初期値に再設定し目標値を再設定しない場合を例示すると、カウント値が目標値として設定した「15」を上回った場合、目標値は「15」のままで、カウント値のみ初期値「0」に再設定すれば、再びカウントを行うことができる。一方、カウント値を初期値に再設定せずに目標値を再設定する場合を例示すると、カウント値が目標値として設定した「15」を上回り「20」となった場合、カウント値を初期値「0」に再設定せずに、目標値を「30」に再設定すれば、カウント値「20」から継続してカウントを行うことができる。
【0114】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、移行制御によりART前兆状態を管理していたが、第2の実施の形態では、AT状態(ART状態)を管理するものである。以下、第1の実施の形態との相違点について説明する。
【0115】
(カウント手段280)
本実施の形態におけるカウント手段280は、ART状態において、払出制御手段240によりメダルの払い出しがあると判定された場合、払い出されるメダルの枚数を枚数カウンタに加算する。例えば、枚数カウンタのカウント値が初期値「0」の場合に、配当(メダル払出枚数)1枚の強チェリー役に入賞した場合は、カウント値は「1」となる。カウント値が「1」の状態でさらに配当4枚のスイカ役に入賞した場合は、カウント値に「4」が加算されて「5」となる。カウント値が「5」の状態でさらに配当9枚の押し順ベル役に入賞した場合は、カウント値に「9」が加算されて「14」となる。
【0116】
また、後述する値設定手段290によりカウント値が目標値を超えたと判定された場合は、カウント値は初期値に再設定される。ここで、「カウント値が目標値を超えた」とは、加算されたカウント値が目標値を上回ることをいう。本実施の形態では、目標値が「10」に設定されている場合にカウント値が「10」を超えた場合には、カウント値は「0」に再設定される。
【0117】
(値設定手段290)
本実施の形態の値設定手段290は、移行制御手段270により遊技状態がART準備状態からART状態に移行した場合にカウント値を初期値に設定するとともに、目標値を設定する。具体的には、ART状態に移行した際にカウント値を初期値である「0」に設定し、目標値を「200」に設定する。
【0118】
一方、後述する値判定手段300によりカウント値が目標値を超えたと判定された場合は、カウント値を初期値「0」に再設定するとともに、再度目標値を設定する。ここで、「カウント値が目標値を超えた」とは、上述のとおりである。前述のとおり、本実施の形態では、ART状態移行時に目標値として「200」が設定されているが、ART状態の遊技の結果カウント値が「200」を上回った場合には、カウント値を初期値「0」に再設定するとともに、カウント値の目標値として「10」が再設定される。なお、目標値の再設定の値は「10」に限らず、例えば「8」や「12」などの値にすることができる。また、初期値についても「0」に限らず、「2」や「5」などの値にすることができる。これらの初期値や目標値は抽選により決定してもよい。
【0119】
(値判定手段300)
本実施の形態においては、値判定手段300による一致判定の結果を受けて、移行制御手段270はART状態を終了させたり、値設定手段290が目標値を再設定したりする。
【0120】
本実施の形態では、カウント値と目標値とが一致しない方が、ART状態が継続されるため、メダルの獲得機会が増えることになる。つまり、カウント値と目標値とが一致しない方が遊技者にとって有利といえる。
本実施の形態においても、遊技者はART状態が継続されるかもしれないという期待感を抱きながら遊技を行うことができる。
【0121】
(変形例1)
本実施の形態では、ART状態において1の目標値を設け、ART状態の移行制御を行っていたが、本実施の形態の変形例1では、ART状態のART通常状態と上乗せ特化状態のそれぞれに目標値を設け、両状態の移行制御を可能とした。
本変形例の値設定手段290は、カウント値を初期値に設定するとともに、2種類の目標値として目標値1及び目標値2を設定することが可能に形成されている。その他の構成については、第2の実施の形態と同様である。
【0122】
(移行制御のフロー)
図16及び図17にART通常状態及び上乗せ特化状態において実行される移行制御に係るフローを示す。
ステップ300において、値設定手段290により、カウント手段280のカウント値が初期値に設定されるとともに、ART通常状態の移行制御用の目標値1が設定される。そして次のステップ301に進む。
【0123】
ステップ301において、メダルの払い出しが決定したか否かが判定される。ここで、メダルの払い出しが決定したと判定された場合は、次のステップ302に進む。一方、メダルの払い出しが決定していないと判定された場合、具体的には回転リール62がまだ回転しており遊技が終了していない場合、遊技は終了しているが、配当のある役に入賞していない場合は、ステップ301を繰り返す。
ステップ302において、カウント値の更新が行われる。すなわち、前カウント値にメダルの払い出し枚数に相当する値が代入される。そして次のステップ303に進む。
【0124】
ステップ303において、値判定手段300による一致判定として、カウント値が目標値1以上となっているか否かの判定が行われる。カウント値が目標値1以上となっている場合は、次のステップ304に進む。一方、カウント値が目標値1以上となっていない、すなわちカウント値が目標値1より小さい場合はステップ301に戻る。
ステップ304において、値判定手段300による一致判定として、カウント値が目標値1と一致しているか否かの判定が行われる。カウント値が目標値1と一致していると判定された場合は、次のステップ305に進む。一方、カウント値が目標値1と一致していないと判定された場合は、ステップ312に進む。
【0125】
ステップ305において、移行制御手段270により、遊技状態がART通常状態から上乗せ特化状態に移行する。そして、次のステップ306(図17)に進む。
ステップ306において、値設定手段290により、カウント手段280のカウント値が初期値に設定されるとともに、上乗せ特化状態の移行制御用の目標値2が設定される。そして次のステップ307に進む。
ステップ307において、メダルの払い出しが決定したか否かが判定される。ここで、メダルの払い出しが決定したと判定された場合は、次のステップ308に進む。一方、メダルの払い出しが決定していないと判定された場合、具体的には回転リール62がまだ回転しており遊技が終了していない場合、遊技は終了しているが、配当のある役に入賞していない場合は、ステップ307を繰り返す。
【0126】
ステップ308において、カウント値の更新が行われる。すなわち、前カウント値にメダルの払い出し枚数に相当する値が代入される。そして次のステップ309に進む。
ステップ309において、値判定手段300による一致判定として、カウント値が目標値2以上となっているか否かの判定が行われる。カウント値が目標値2以上となっている場合は、次のステップ310に進む。一方、カウント値が目標値2以上となっていない、すなわちカウント値が目標値2より小さい場合はステップ307に戻る。
【0127】
ステップ310において、値判定手段300による一致判定として、カウント値が目標値2と一致しているか否かの判定が行われる。カウント値が目標値2と一致していると判定された場合は、次のステップ311に進む。一方、カウント値が目標値2と一致していないと判定された場合は、ステップ306に戻る。
ステップ311において、移行制御手段270により、遊技状態が上乗せ特化状態からART通常状態に移行する。そして、ステップ300に戻る。
一方、ステップ304において、カウント値が目標値と一致していないと判定された場合、ステップ312において、移行制御手段270によりART通常状態が終了、すなわちART状態が終了する。そして、移行制御は終了する。
【0128】
本変形例によれば、複数の目標値を設定することにより、複数の遊技状態の移行制御を行う事ができる。また、一致判定の結果を踏まえた遊技状態に移行態様を変えることにより、多彩な遊技性を実現することが可能となる。例えば、本変形例の場合では、ART通常状態においては、カウント値と目標値1が一致した場合は上乗せ特化状態に移行でき、カウント値と目標値1が不一致の場合はART通常状態が終了する。すなわち、目標値1はカウント値と一致した方が遊技者にとって有利となる。一方、上乗せ特化状態においては、カウント値と目標値2が一致した場合は上乗せ特化状態が終了しART通常状態に戻り、カウント値と目標値1が不一致の場合は上乗せ特化状態を継続する。すなわち、目標値2はカウント値と一致しない方が遊技者にとって有利となる。
【0129】
(変形例2)
第2の実施の形態では、メダルの払い出しが決定する度にカウント値が増加するが、本実施の形態の変形例2では、メダルの払い出しが決定する度にカウント値が減少するように形成した。以下、第2の実施の形態との相違点について説明する。
【0130】
(カウント手段280)
本実施の形態の変形例2におけるカウント手段280は、ART状態において、払出制御手段240によりメダルの払い出しがあると判定された場合、払い出されるメダルの枚数を枚数カウンタのカウント値から減算する。例えば、枚数カウンタのカウント値が初期値「200」の場合に、配当(メダル払出枚数)9枚の押し順ベル役に入賞した場合は、カウント値は配当9枚から「9」が減算されて「191」となる。カウント値が「191」の状態でさらに配当4枚のスイカ役に入賞した場合は、カウント値は「4」が減算されて「187」となる。カウント値が「187」の状態でさらに配当1枚の弱チェリー役に入賞した場合は、カウント値は「1」が減算されて「186」となる。
【0131】
また、後述する値設定手段290によりカウント値が目標値を超えたと判定された場合は、カウント値は初期値に再設定される。ここで、「カウント値が目標値を超えた」とは、減算されたカウント値が目標値を下回ることをいう。本実施の形態では、目標値が「0」に設定されている場合にカウント値が「0」を超えてマイナスになった場合には、カウント値は「200」に再設定される。
【0132】
(値設定手段290)
値設定手段290は、カウント手段280によるカウント値を初期値に設定する、及び遊技状態の移行契機となる値であって、前記カウント値の目標となる値である目標値を設定するものである。本実施の形態の変形例2の値設定手段290は、移行制御手段270により遊技状態がART準備状態からART状態に移行した場合にカウント値を初期値に設定するとともに、目標値を設定する。具体的には、ART状態に移行した際にカウント値を初期値である「200」に設定し、目標値を「0」に設定する。
【0133】
一方、後述する値判定手段300によりカウント値が目標値を超えたと判定された場合は、カウント値を新たな初期値「8」に再設定するとともに、再度目標値を設定する。ここで、「カウント値が目標値を超えた」とは、上述のとおりである。前述のとおり、本実施の形態の変形例2では、ART状態移行時に初期値として「200」が設定されているが、ART状態の遊技の結果カウント値が「0」を下回った場合には、カウント値を新たな初期値「8」に再設定するとともに、カウント値の目標値として「0」が再設定される。なお、新たな初期値の値は「8」に限らず、例えば「5」や「12」などの値にすることができる。また、目標値についても「0」に限らず、「−2」や「5」などの値にすることができる。これらの初期値や目標値は抽選により決定してもよい。
【0134】
(移行制御の例について)
図18を用いて本実施の形態の変形例2の一致判定から遊技状態の移行に至る移行制御について説明する。
本変形では、ART状態においてカウント値の一致判定を行う事により当該ART状態の終了契機を管理している。
まず、ART準備状態からART状態に移行すると、値設定手段290により、カウント手段280のカウント値が初期値に設定されるとともに、目標値が設定される。ここで、本変形例における初期値には「200」が設定され、目標値には「0」が設定される。なお、初期値及び目標値としては任意の値を設定することができる。例えば、メダルの想定払い出し枚数、いわゆる出玉率と関連づけられている設定値に対応させて初期値や目標値を変えることができる。
【0135】
ここで、図18(A)を例にART状態におけるカウント値の変化について説明する。まず、1ゲーム目はハズレでメダルの払い出しがなく、カウント値は0のままである。そして、遊技を続けた結果、81ゲーム目の時点でカウント値が10になっていたとする。続く82ゲーム目においてチェリー役に入賞し、1枚のメダルの払い出しが決定されると、カウント値は9に更新される。続いて、83ゲーム目はハズレのため、メダルの払い出しがなく、カウント値は9のままである。続いて84ゲーム目は押し順ベル役に入賞し、9枚のメダルの払い出しが決定し、当該84ゲーム目にカウント値が「0」に達した。
【0136】
一方、値判定手段300は、遊技の結果、メダルの払い出しの有無が決定された時点で、カウント値と目標値との値を比較し、カウント値が目標値以下になったか否かの一致判定を行う。上記の例では、84ゲーム目にカウント値と目標値が一致したと判定されたため、移行制御手段270はART状態を終了させ、通常状態に移行させる。
【0137】
次に、図18(B)を例にART状態におけるカウント値の変化について説明する。まず、1ゲーム目は再遊技役(リプレイ役)が停止表示されたためメダルの払い出しがなく、カウント値は0のままである。そして、遊技を続けた結果、81ゲーム目の時点でカウント値が10になっていたとする。続いて82ゲーム目は押し順ベル役に入賞し、9枚のメダルの払い出しが決定されるため、カウント値から9が減算され、1に更新される。続いて、83ゲーム目はハズレのため、メダルの払い出しがなく、カウント値は1のままである。続いて84ゲーム目はスイカ役に入賞し、4枚のメダルの払い出しが決定し、当該84ゲーム目にカウント値が「−3」に達した。そして、値判定手段300による一致判定の結果、カウント値が目標値「0」を超えて下回ったと判定されたため、移行制御手段270はART状態を終了させず、カウント値を初期値「8」に再設定するとともに、目標値を「0」に再設定する。なお、本実施の形態において、再設定時の目標値は「0」であり最初の設定時と同じ値であることから、再設定を行わなくてもよい。
【0138】
そして、85ゲーム以後については、84ゲーム目までと同様に遊技の結果、獲得が決定されたメダル枚数がカウント値から減算される。上記の例では、89ゲーム目にカウント値と目標値が一致したと判定されたため、移行制御手段270はART状態を終了させ、通常状態に移行させる。
【0139】
第2の実施の形態の変形例2によれば、カウント手段280において、カウント値が減少するように形成した場合であっても、カウント値が増加する場合と同様に移行制御を行うことができる。特に、アシストタイム(AT)やアシストリプレイタイム(ART)などの有利状態を備えた遊技機において、表示装置84に残り獲得枚数を表示する場合、遊技者はカウント値が減少するのを確認しつつ、有利状態が継続されるかもしれないという期待感を抱きながら遊技を行うことができる。
【0140】
(第3の実施の形態)
第1の実施の形態では、移行制御によりART前兆状態を管理していたが、第3の実施の形態では、チャンス状態(いわゆるチャンスゾーン)を管理するものである。以下、第1及び第2の実施の形態との相違点について説明する。
【0141】
(カウント手段280)
本実施の形態におけるカウント手段280は、チャンス状態において、払出制御手段240によりメダルの払い出しがあると判定された場合、払い出されるメダルの枚数を枚数カウンタに加算するものである。
また、値設定手段290によりカウント値が目標値を超えたと判定された場合は、カウント値は初期値に再設定される。ここで、「カウント値が目標値を超えた」とは、加算されたカウント値が目標値を上回ることをいう。本実施の形態では、目標値が「20」に設定されている場合にカウント値が「20」を超えた場合には、「0」に再設定される。
【0142】
(値設定手段290)
本実施の形態の値設定手段290は、移行制御手段270により遊技状態が通常一般状態からチャンス状態に移行した場合にカウント値の初期値に設定するとともに、目標値を設定する。具体的には、チャンス状態に移行した際にカウント値を初期値である「0」に設定し、目標値を「20」に設定する。
一方、値判定手段300によりカウント値が目標値を超えたと判定された場合は、再度目標値を設定する。ここで、「カウント値が目標値を超えた」とは、上述のとおりである。前述のとおり、本実施の形態では、チャンス状態移行時に目標値として「20」が設定されているが、チャンス状態の遊技の結果カウント値が「20」を上回った場合には、カウント値を初期値「0」に再設定するとともに、カウント値の目標値として「20」が再設定される。なお、再設定する目標値は、「20」に限らず、例えば「10」や「30」などの値にすることができる。また、初期値についても「0」に限らず、「2」や「5」などの値にすることができる。これらの初期値や目標値は抽選により決定してもよい。
【0143】
(値判定手段300)
本実施の形態においては、値判定手段300による一致判定の結果を受けて、移行制御手段270はチャンス状態を終了させ遊技状態を移行させたり、値設定手段290が目標値を再設定したりする。
上述のとおり、「チャンス状態」は、「AT状態」への移行抽選(AT抽選)の当選確率が「通常一般状態」よりも高く設定された状態である。一致判定の結果を受けてチャンス状態が終了する際、具体的にはカウント値と目標値とが一致した際、AT抽選に当選している場合には、遊技状態はチャンス状態からART前兆状態に移行する。一方、AT抽選に不当選の場合には、遊技状態はチャンス状態から通常一般状態に戻る。なお、AT抽選に当選した場合は、一致判定を経ずにチャンス状態からART準備状態に移行するように形成してもよい。
【0144】
本実施の形態では、カウント値と目標値とが一致しない方が、チャンス状態が継続されるため、AT抽選に当選する機会が増えることになる。つまり、カウント値と目標値とが一致しない方が遊技者にとって有利といえる。
本実施の形態においても、遊技者はチャンス状態が継続されるかもしれないという期待感を抱きながら遊技を行うことができる。
【符号の説明】
【0145】
10 遊技機 12 筐体
14 前扉 16 図柄表示窓部
20 上パネル 22 下パネル
24 貯留払出手段 26 メダル受け皿
28 メダル払出口 30 操作部
34 マックスベットスイッチ 36 精算スイッチ
38 メダル投入口 40 スタートスイッチ
50 ストップスイッチ L 左ストップスイッチ
C 中ストップスイッチ R 右ストップスイッチ
60 リールユニット 61 図柄
62 回転リール 64 左回転リール
66 中回転リール 68 右回転リール
70 演出装置 72 スピーカー
74 上部スピーカー 76 下部スピーカー
78 演出用ランプ 80 上部ランプ
82 下部ランプ 84 表示装置
86 有効ライン 100 制御装置
200 メイン制御手段 210 役抽選手段
220 リール制御手段 240 払出制御手段
250 遊技制御手段 251 一般遊技状態
252 ノーマル遊技制御手段 253 普通遊技制御手段
254 RT制御手段 255 内部当選中遊技制御手段
256 ボーナス遊技制御手段 260 AT抽選手段
270 移行制御手段 280 カウント手段
290 値設定手段 300 値判定手段
310 送信手段 400 サブ制御手段
410 受信手段 420 通常演出制御手段
430 AT演出制御手段 331 ポイント表示制御手段
440 ボーナス演出制御手段
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