特許第6209197号(P6209197)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6209197
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】真の万年暦デバイス
(51)【国際特許分類】
   G04B 19/253 20060101AFI20170925BHJP
【FI】
   G04B19/253 E
【請求項の数】19
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-235457(P2015-235457)
(22)【出願日】2015年12月2日
(65)【公開番号】特開2016-126004(P2016-126004A)
(43)【公開日】2016年7月11日
【審査請求日】2015年12月2日
(31)【優先権主張番号】14200380.5
(32)【優先日】2014年12月29日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504341564
【氏名又は名称】モントレー ブレゲ・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】エリック・ゲラー
【審査官】 菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭51−150365(JP,A)
【文献】 特開2007−218914(JP,A)
【文献】 米国特許第2170408(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 19/253
G09D 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計時器の万年暦デバイス(100)のための暦機構(700)であって、前記暦機構(700)は、当月の期間を表示するように構成され、月カム(9)を含み、前記月カム(9)の周縁部(90)は、当月の期間に関する情報を与えるために、前記万年暦デバイス(100)のフィーラ・スピンドル(301)に接近可能であり、前記月カム(9)を含む前記暦機構(700)は、月ごとに前記情報を更新するように構成された暦機構(700)において、前記月カム(9)の周縁部(90)は、各年の2月28日であるとの仮定のもと一般化して形成されること、並びに前記暦機構(700)は、前記月カム(9)の外部に閏年機構(900)を含み、前記閏年機構(900)は、4年ごとの2月に、前記月カム(9)の前記周縁部(90)と前記フィーラ・スピンドル(301)との間に第1の修正器フィンガ(901)を径方向に挿入するように構成して、前記フィーラ・スピンドル(301)に現在の2月は、28日ではなく29日となることを知らせることを特徴とする、暦機構(700)。
【請求項2】
前記閏年機構(900)は、4年レバー(92)を制御する4年カム(91)を含み、前記4年レバー(92)の動きは、直接又は間接的に前記第1の修正器フィンガ(901)に永続的に伝達することを特徴とする、請求項1に記載の暦機構(700)。
【請求項3】
前記4年レバー(92)は、前記第1の修正器フィンガ(901)を保持することを特徴とする、請求項2に記載の暦機構(700)。
【請求項4】
前記4年レバー(92)は、前記4年カム(91)の反対側に第1の歯付き区分(922)を含む引上げ部品であり、前記第1の歯付き区分(922)は、アーム(923)内に構成した第2の歯付き区分(922)と噛み合い、前記アーム(923)は、前記第1の修正器フィンガ(901)を保持することを特徴とする、請求項2に記載の暦機構(700)。
【請求項5】
前記月カム(9)は、前記アーム(923)の前記第2の歯付き区分(922)と同軸であることを特徴とする、請求項4に記載の暦機構(700)。
【請求項6】
前記月カム(9)の月ごとの動きは、適切な伝達速度で前記4年カム(91)に伝達することを特徴とする、請求項2に記載の暦機構(700)。
【請求項7】
前記4年カム(91)は、平坦であること、並びに前記4年レバー(92)は、前記フィーラ・スピンドル(301)と共に協働させるために、前記月カム(9)の平面に平行な平面内を移動可能であり、前記月カム(9)と並置し、前記フィーラ・スピンドル(301)の幅は、互いに並置した前記4年レバー(92)及び前記月カム(9)の合計厚さよりも大きいか又は前記合計厚さに等しいことを特徴とする、請求項2に記載の暦機構(700)。
【請求項8】
前記月カム(9)は、それぞれ2月28日を含む年が4年間に及び、かつ直接的に又は1の比率を有する逆転器を介して、前記4年カム(91)を同期回転で駆動することを特徴とする、請求項2に記載の暦機構(700)。
【請求項9】
前記月カム(9)は、1年間のみに及ぶことを特徴とする、請求項1に記載の暦機構(700)。
【請求項10】
前記暦機構(700)は、前記月カム(9)の外部に400年目機構(950)を含み、前記400年目機構(950)は、400年ごとの2月に、前記月カム(9)の前記周縁部(90)と前記フィーラ・スピンドル(301)との間に第2の修正器フィンガ(951)を挿入するように構成して、前記フィーラ・スピンドル(301)に現在の2月は28日ではなく29日となることを知らせることを特徴とする、請求項1に記載の暦機構(700)。
【請求項11】
前記400年機構(950)は、400年カム(915)を含み、前記400年カム(915)は、前記第2の修正器フィンガ(951)を保持する400年レバー(92400)を制御することを特徴とする、請求項10に記載の暦機構(700)。
【請求項12】
前記暦機構(700)は、前記月カム(9)の外部に世紀末機構(980)を含み、前記世紀末機構(980)は、100年ごとの2月に、前記第1の修正器フィンガ(901)が前記月カム(9)の前記周縁部(90)と前記フィーラ・スピンドル(301)との間に挿入されるのを防止することによって、前記閏年機構(900)を分離するように構成することを特徴とする、請求項1に記載の暦機構(700)。
【請求項13】
前記暦機構(700)は、前記月カム(9)の外部に世紀末機構(980)を含み、前記世紀末機構(980)は、100年ごとの2月に、前記第1の修正器フィンガ(901)が前記月カム(9)の前記周縁部(90)と前記フィーラ・スピンドル(301)との間に挿入されるのを防止することによって、前記閏年機構(900)を分離するように構成すること、及び前記世紀末機構(980)は、100年カム(9100)を含み、前記100年カム(9100)は、100年に一度、前記4年レバー(92)が傾くのを防止するように構成した100年レバー(9200)を制御することを特徴とする、請求項2に記載の暦機構(700)。
【請求項14】
前記暦機構(700)は、前記月カム(9)の外部に4000年目機構(990)を含み、前記4000年目機構(990)は、4000年ごとの2月に、前記第1の修正器フィンガ(901)が前記月カム(9)の前記周縁部(90)と前記フィーラ・スピンドル(301)との間に挿入されるのを防止することによって、前記閏年機構(900)を分離するように構成することを特徴とする、請求項9から11のうちいずれか一項に記載の暦機構(700)。
【請求項15】
前記暦機構(700)は、前記月カム(9)の外部に世紀末機構(980)を含み、前記世紀末機構(980)は、100年ごとの2月に、前記第1の修正器フィンガ(901)が前記月カム(9)の前記周縁部(90)と前記フィーラ・スピンドル(301)との間に挿入されるのを防止することによって、前記閏年機構(900)を分離するように構成すること、及び4000年目機構(990)は、4000年カム(4000)を含み、前記4000年カム(4000)は、4000年に一度、前記4年レバー(92)が傾くのを防止するように構成した4000年レバー(92000)を制御することを特徴とする、請求項2に記載の暦機構(700)。
【請求項16】
請求項1に記載の暦機構(700)、及び当月の期間を測定するフィーラ・スピンドル(301)を含む日数計算器機構(300)、及び月末修正機構(600)を含む計時器のための万年暦デバイス(100)であって、前記フィーラ・スピンドル(301)は、前記月カム(9)の前記周縁部(90)から月の期間に関する情報を得る、万年暦デバイス(100)において、前記日数計算器機構(300)は、現在の月日を決定し、日付表示を制御し、当月への各変更時に前記月カム(9)の動きを制御して、前記暦機構(700)、及び前記月カム(9)が駆動する前記閏年機構(900)を更新することを特徴とする、万年暦デバイス(100)。
【請求項17】
前記万年暦デバイスは、修正器機構(500)を含み、前記修正器機構(500)は、ユーザが制御のためにアクセス可能な制御手段を備え、現在の表示に対して、一方で前記閏年機構(900)を更新し、もう一方で前記月カム(9)を更新することを特徴とする、請求項16に記載の万年暦デバイス(100)。
【請求項18】
計時器機構(800)であって、請求項16に記載の万年暦デバイス(100)を具備する計時器ムーブメント(200)を含み、且つ前記暦機構(700)によって制御する日付表示手段を少なくとも含む表示機構(400)を備える計時器機構(800)。
【請求項19】
請求項18に記載の計時器機構(800)を含む計時器ムーブメント(1000)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計時器の万年暦デバイスのための暦機構に関し、前記暦機構は、当月の期間を表示するように構成し、月カムを含み、月カムの周縁部は、当月の期間に関する情報を得るために、万年暦デバイスのフィーラ・スピンドルに接近可能であり、前記暦機構及び前記月カムは、前記万年暦デバイスによる当月への各変更に基づき月ごとに更新するように構成する。
【0002】
本発明は、1つのそのような暦機構、及び当月の期間を測定するフィーラ・スピンドルを含む日数計算器機構、及び月末修正機構を備える、計時器のための万年暦デバイスにも関し、前記フィーラ・スピンドルは、前記月カムの前記周縁部から当月の期間に関する情報を得る。
【0003】
本発明は、計時器機構にも関し、この計時器機構は、日付変更の瞬間に、そのような万年暦デバイスを作動する機構の日単位の解放を制御するように構成した計時器ムーブメントを含み、且つ前記暦機構によって制御する日付表示手段を少なくとも含む表示機構を備える。
【0004】
本発明は、そのような計時器機構を含む計時器にも関する。
【0005】
本発明は、機械式時計における暦表示機構の分野に関し、より詳細には、万年暦表示機構に関する。
【背景技術】
【0006】
最も従来的な暦計時器は、Francois Lecoultre著、Bienne編、時計学版、「Les montres compliquees(複雑時計の案内書(A Guide to Complicated Watches))」という名称の出版物に具体的に記載されている。
【0007】
いわゆる万年暦デバイスの機能は、当月、より詳細には2月の日数を決定することである。万年機構とは、おおよその概念であり、最も市場で入手可能な機構は、48個の切欠き付き月カム又は12個の位置を有する月カムのいずれかを使用する単純な閏年機構であり、この機構において、2月の位置は、最も一般的なデバイスを挙げると、マルタ・クロス又は同様の要素を備える閏年機構を備える。
【0008】
グレゴリオ暦により加えられる世紀末の年及び400年目の年といった極めて特殊な管理により、これらの適用を極めて希少にしており、世紀末の年は、実際にいくつかの時計で見出されるにすぎず、非常に高度な複雑時計とみなされている。400年目の年及び4000年目の年は、Schwilgueが19世紀に完成させたストラスブール大聖堂の時計を含む天文時計でのみ見られる。
【0009】
万年暦デバイスの設計には、2つの困難:
−関係する暦の種類の特殊性をどのように考慮に入れ、この特殊性を計時器機構の形態にどのように変換するかということ、及び
−そのような機構が停止した場合にどのように更新するかということ
がある。更新は、建物の天文時計の場合のように、計時器を決して停止してはならないほど非常に複雑であることが多い。閏年を4年サイクルで単に管理する、最も基本版の万年グレゴリオ暦の場合でさえ、あらゆる更新は、正確な年及び正確な月に到達させるために最大47回の操作という多数の操作によって達成され、こうした操作は、機構の磨耗をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、その複雑度に関わらず、万年暦デバイスの修正を容易にすることを提案する。
【0011】
構成要素の数の低減を伴う単純な解決策により、世紀末の年、400年目の年又は更には4000年目の年を実際に組み込む、真の万年暦をより容易に作成することが可能にもなる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的で、本発明は、計時器の万年暦デバイスのための暦機構であって、前記暦機構は、当月の期間を表示するように構成し、月カムを含み、月カムの周縁部は、当月の期間に関する情報を得るために、万年暦デバイスのフィーラ・スピンドルに接近可能であり、前記暦機構及び前記月カムは、前記万年暦デバイスによる当月への各変更に基づき月ごとに更新するように構成する、暦機構に関し、前記月カムは、それぞれが仮想の2月28日を含む整数年に一般化すること、並びに前記暦機構は、前記月カムの外部に閏年機構を含み、閏年機構は、4年ごとの2月に、第1の修正器フィンガを前記月カムの周縁部と前記フィーラ・スピンドルとの間に径方向に挿入するように構成して、フィーラ・スピンドルに現在の2月は28日ではなく29日となることを知らせることを特徴とする。
【0013】
本発明は、そのような暦機構、及び当月の期間を測定するフィーラ・スピンドルを含む日数計算器機構、及び月末修正機構を含む、計時器のための万年暦デバイスであって、前記フィーラ・スピンドルは、前記月カムの前記周縁部から月の期間に関する情報を得る、万年暦デバイスにも関し、前記日数計算器機構は、現在の月日を決定し、日付表示を制御し、当月への各変更時に前記月カムの動きを制御して、前記暦機構、及び月カムが駆動する前記閏年機構を更新することを特徴とする。
【0014】
本発明は、計時器機構にも関し、計時器機構は、日付変更の瞬間に、そのような万年暦デバイスを作動する機構の日単位の解放を制御するように構成した計時器ムーブメントを含み、且つ前記暦機構によって制御する日付表示手段を少なくとも含む表示機構を備える。
【0015】
本発明は、そのような計時器機構を含む計時器にも関する。
【0016】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面を参照しながら以下の詳細な説明を読めば明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】閏年の管理のための簡略化実施形態において、機構が2月29日に対応する修正を行う位置にある、本発明による万年暦デバイスの概略部分上面図である。
図2】同じ位置にある図1の機構の底面図である。
図3】2月28日に対応する位置にある同じ機構を図2と同様に示す図であり、修正機構を分離している。
図4図2の位置にある同じ機構の方向Dにおける側面図である。
図5】グレゴリオ暦における閏年、世紀末の年、400年目の年及び4000年目の年を管理することを含む複雑な実施形態において、本発明による万年暦デバイスを図4と同様に示す図である。
図6図5の機構の平面図であり、各修正要素は、Aで示す位置(修正が作動していない)及びBで示す位置(修正が作動している)で示す。
図7図1の機構の部分概略斜視図である。
図8】計時器機構を含む計時器、特に時計を示すブロック図であり、計時器機構は、計時器ムーブメント及び1つのそのような万年暦デバイスを含む。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、万年暦デバイスの暦機構のための修正機構を提示する。
【0019】
本発明は、グレゴリオ暦における世紀末の年、400年目の年及び4000年目の年の複雑形態を実際に組み込む真の万年暦デバイスも提示する。
【0020】
本発明は、欧州におけるグレゴリオ暦への好ましい適用において説明する。しかし、年ごとに異なる長さの月を含むあらゆる種類の暦に適用可能である。
【0021】
本明細書は、表示機構全体を例示するものではなく、フィーラ・スピンドルが、現在の周期間隔に関する1つの正確な情報の読出しを移動要素上でどのように可能であるかということに限定して示す。移動要素とは、ここでは月カムであり、現在の間隔とは、当月である。この特定の適用例は非限定的ではなく、当業者は、太陰暦、修正期間を有する暦等、他の暦型にこの特定の適用例をどのように置き換えるのかわかるだろう。フィーラ・スピンドルも特定の適用例であり、あらゆる他の表示制御機構と代えることができる。本発明は、レトログレード、即ちジャンピング・アワー表示であっても、そうではなくてもよいあらゆる暦表示に適用可能である。
【0022】
図示のように、万年暦デバイスは、本質的にカム及びレバーである構成要素を含み、これらの形態は、本明細書では単に例示として示し、計時器内に構成する他の複雑な構成要素によって本質的に規定するものであり、あらゆる干渉を防止する要件によって、実際の機能で必要とされる形態よりも複雑な形態をもたらすことができる。当然、これらの構成要素は、同様の機能を満たす他の構成要素、特に、車、スター・ホイール又は他の要素によって置換え又は補うことができる。
【0023】
本明細書に示す一部の移動要素は、最大数世紀となり得る非常に長い周期を有する。そのような要素の制御は、本明細書では詳述しないが、複雑要素を収容する計時器内で利用可能な空間に本質的に依存するものである。
【0024】
より具体的には、本発明は、計時器の万年暦デバイス100のための暦機構700に関する。
【0025】
この暦機構700は、当月の期間を表示するように構成し、月カム9を含み、月カム9の周縁部90は、当月の期間に関する情報を得るために万年暦デバイス100のフィーラ・スピンドル301に接近可能である。
【0026】
暦機構700及びその月カム9は、そのような万年暦デバイス100による当月への各変更に基づき月ごとに更新するように構成する。
【0027】
本発明によれば、月カム9は、それぞれが仮想の2月28日を含む整数年に一般化し、暦機構700は、閏年機構900を含む。
【0028】
この閏年機構900は、月カム9の外部にあり、4年ごとの2月に、一方の月カム9の周縁部90と、他方のそのようなフィーラ・スピンドル301との間に第1の修正器フィンガ901を径方向に挿入するように構成し、月カム9に現在の2月が28日ではなく29日となることを知らせる。
【0029】
より具体的には、図に示すように、閏年機構900は、4年レバー92を制御する4年カム91を含む。この4年レバー92の動きは、直接又は間接的に第1の修正器フィンガ901に永続的に伝達される。
【0030】
図1から図6の特定の実施形態では、4年レバー92は、第1の修正器フィンガ901を保持する。
【0031】
図7の特定の実施形態では、4年レバー92は、4年カム91の反対側に第1の歯付き区分922を含む引上げ部品であり、第1の歯付き区分921は、アーム923内に構成した第2の歯付き区分922と噛み合い、このアーム923は、第1の修正器フィンガ901を保持する。より一層具体的には、図7からわかるように、月カム9は、アーム923の第2の歯付き区分922と同軸である。
【0032】
好ましくは、月カム9の月ごとの動きは、適切な伝達速度で4年カム91に伝達される。
【0033】
特定の一実施形態、及び特に図1から図6の特有の実施形態では、4年カム91は、平坦であり、4年レバー92は、フィーラ・スピンドル301と共に協働させるために、月カム9の平面に平行な平面内を移動可能であり、月カム9と並置する。好ましくは、このフィーラ・スピンドル301の幅は、互いに並置した4年レバー92及び月カム9の合計厚さよりも大きいか又はそれに等しい。とはいえ、フィーラ・スピンドル301の幅が4年レバー92及び月カム9両方の上に載るのに十分であるという条件で、動作が引き続き可能であることは理解されよう。図5及び図6は、4年レバー92及び月カム9、更には少なくとも1つの更なる制御手段と同時に協働するように、フィーラ・スピンドル301の幅がより一層大きいより複雑な機構を示す。
【0034】
特定の一実施形態では、月カム9は、それぞれが2月28日を含む4年間に及び、同期回転で直接的に又は1の比率を有する逆転器を介して、4年カム91を駆動する。
【0035】
その簡単さ及び小型さにおいて有利である図示の特定の実施形態では、月カム9は1年間のみに及ぶ。
【0036】
図2図3とを比較すると、図5の4年レバー92の非作動位置Bにおいて、その端部901は、フィーラ・スピンドル301が周縁部90の切欠きの底部に触れるのを防止しない(28日の月に対応する)ことを明らかに示しており、フィーラ・スピンドル301は、次に、必要な日数を飛び越すことによって、対応する修正を行い、適切な表示を生成する。図1の作動位置Aでは、端部901は、フィーラ・スピンドル301の完全な下降を防止し、これにより径方向位置に停止させ(29日の月に対応する)、対応する更新及び表示を開始する。
【0037】
本発明の原理は、2月の期間における特定の有利な適用を見出すことであるが、明らかに、4年カム91を異なる修正器レバー制御部と置き換えることによって、30日若しくは31日の月、又は28日若しくは29日の朔望月、或いはあらゆる他の組合せ若しくは順序の可変期間周期に適用可能であることに留意されたい。
【0038】
図5及び図6は、なお一層正確な万年暦のための暦機構700を示し、「真の」万年暦と称することができる。
【0039】
まず、第1の機構は、2月29日を有する400年目の年を管理する。したがって、暦機構700は、月カム9の外部に400年目機構950を含み、この400年目機構950は、400年ごとの2月に、月カム9の周縁部90とフィーラ・スピンドル301との間に第2の修正器フィンガ951を挿入するように構成して、フィーラ・スピンドル301に現在の2月は28日ではなく29日となることを知らせる。
【0040】
より具体的には、図5及び図6からわかるように、400年目機構950は、400年カム915を含み、400年カム915は、第2の修正器フィンガ951を保持する400年レバー92400を制御する。
【0041】
より高度な複雑形態では、暦機構700は、理論上は閏年であるが2月28日を有する世紀末の年を制御する。この目的で、暦機構700は、月カム9の外部に世紀末機構980を含み、世紀末機構980は、第1の修正器フィンガ901が月カム9の周縁部90とフィーラ・スピンドル301との間に挿入されるのを防止することによって、100年ごとの2月に閏年機構900を分離するように構成する。
【0042】
より詳細には、この世紀末機構980は、100年カム9100を含み、100年カム9100は、100年に一度、4年レバー92が傾くのを防止するように構成した100年レバー9200を制御する。位置Bは、100年ごとに、4年レバー92をその非作動位置Aに強制的に留まらせる。というのは、100年レバー9200が、4年レバー92をその作動位置Bに戻さないようにするためである。
【0043】
一変形形態では、4年レバー92は、格納式停止部材の近傍にヒンジを含み、格納式停止部材の格納動作は、世紀末機構980によって制御し、格納式停止部材が動作すると、4年レバーを折り畳み、分離可能にし、その残りの時間では、前記格納式停止部材は、4年レバー92が折り畳まれるのを防止する停止位置にあり、4年レバー92を展開位置で保持する。
【0044】
特に、非常に長い周期で歯車の減速を制御するために達成がより困難である、より一層高度な複雑形態では、暦機構700は、理論上は閏年であるが2月28日を有する4000年目の年を管理する。
【0045】
より具体的には、この場合、暦機構700は、月カム9の外部に4000年機構990を含み、4000年機構990は、第1の修正器フィンガ901が月カム9の周縁部90とフィーラ・スピンドル301との間に挿入されるのを防止することによって、4000年ごとの2月に閏年機構90を分離するように構成する。
【0046】
より詳細には、4000年機構990は、4000年カム4000を含み、4000年カム4000は、4000年に一度、4年レバー92が傾くのを防止するように構成した4000年レバー92000を制御する。
【0047】
一変形形態では、4年レバー92は、格納式停止部材の近傍にヒンジを含み、格納式停止部材の格納動作は、4000年機構990によって制御し、格納式停止部材が動作すると、4年レバーを折り畳み、分離可能にし、その残りの時間では、前記格納式停止部材は、4年レバー92が折り畳まれるのを防止する停止位置にあり、4年レバー92を展開位置で保持する。
【0048】
本発明は、計時器のための万年暦デバイス100にも関し、この万年暦デバイス100は、1つのそのような暦機構700、及び当月の期間を測定するフィーラ・スピンドル301を含む日数計算器機構300、及び月末修正機構600を含む。フィーラ・スピンドル301は、当月の期間に関する情報を月カム9の周縁部90から得る。
【0049】
本発明によれば、日数計算器機構300は、現在の月日を決定し、日付表示を制御し、当月への各変更時に月カム9の動きを制御して、暦機構700、及び月カム9が駆動する少なくとも閏年機構900を更新する。より具体的には、日数計算器機構300は、場合により、400年機構950の駆動、世紀末機構980の駆動、4000年機構990の駆動も確実にする。
【0050】
この万年暦デバイス100は、好ましくは、修正器機構500を含み、この修正器機構500は、ユーザが制御のためにアクセス可能な制御手段を備え、現在の表示に対して、一方で最大3回の動作で閏年機構900を更新し、もう一方で最大11回の動作で月カム9を更新する。
【0051】
より具体的には、日数計算器機構300は、400年機構950、年末機構980、4000年機構990及び、それらの機構内に構成されるそれぞれのカム915、9100、4000の更新を制御するようにも構成する。
【0052】
本発明は、計時器機構800にも関し、計時器機構800は、日付変更の瞬間に、そのような万年暦デバイス100を作動する機構の日単位の解放を制御するように構成した計時器ムーブメント200を含み、且つ暦機構700によって制御する日付表示手段412を少なくとも含む表示機構400を備える。
【0053】
本発明は、そのような計時器機構800を含む計時器1000にも関する。
【符号の説明】
【0054】
9 月カム
90 周縁部
91 4年カム
92 4年レバー
100 万年暦デバイス
301 フィーラ・スピンドル
700 暦機構
900 閏年機構
950 400年機構
980 世紀末機構
990 4000年機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8