特許第6209216号(P6209216)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6209216機械加工サイクル時間の短縮及び工具摩耗の低減のための縦溝付きのスプロケット/コグのボア
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6209216
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】機械加工サイクル時間の短縮及び工具摩耗の低減のための縦溝付きのスプロケット/コグのボア
(51)【国際特許分類】
   F16H 55/30 20060101AFI20170925BHJP
   F16H 55/36 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   F16H55/30 A
   F16H55/36 A
【請求項の数】15
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-537718(P2015-537718)
(86)(22)【出願日】2013年10月2日
(65)【公表番号】特表2015-533406(P2015-533406A)
(43)【公表日】2015年11月24日
(86)【国際出願番号】US2013062951
(87)【国際公開番号】WO2014062374
(87)【国際公開日】20140424
【審査請求日】2016年6月6日
(31)【優先権主張番号】61/715,615
(32)【優先日】2012年10月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500124378
【氏名又は名称】ボーグワーナー インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100093861
【弁理士】
【氏名又は名称】大賀 眞司
(74)【代理人】
【識別番号】100129218
【弁理士】
【氏名又は名称】百本 宏之
(72)【発明者】
【氏名】シャウン・ジェイ・ブラックマー
【審査官】 岡本 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−061494(JP,A)
【文献】 特開2000−240748(JP,A)
【文献】 特開2007−218339(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 55/30
F16H 55/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端状ループの動力伝達システムの回転部材(10)であって、
中央開口(18)を画定する内側円周面(16)を有するハブ(12)を備え、
前記ハブ(12)は、
軸方向に延びる複数の縦溝(14)と、
シャフトにセンタリングして接続するための、前記中央開口の低減された円周面領域(16a)と、
を有し、
前記複数の縦溝(14)は、前記円周面領域(16a)を画定するために、前記中央開口(18)の前記内側円周面(16)の半径方向内側に突出してなる回転部材(10)。
【請求項2】
前記中央開口(18)の前記低減された円周面領域(16a)に沿って形成された中断される機械加工切削部をさらに備える請求項1に記載の回転部材(10)。
【請求項3】
前記中央開口(18)の前記低減された円周面領域(16a)に沿って形成された前記中断される機械加工切削部により、冷却液フラッシングの増大、前記ハブの仕上げ機械加工サイクル時間の短縮、及びボアカッタの負荷及び摩耗の低減が提供される請求項2に記載の回転部材(10)。
【請求項4】
前記中央開口(18)の前記低減された円周面領域(16a)に沿った中断される仕上げ機械加工切削の後に、前記ハブ(12)をシャフトにセンタリングして支持するための前記複数の縦溝(14)をさらに備える請求項1に記載の回転部材(10)。
【請求項5】
シャフトに接続するためのハブ(12)を有する回転部材(10)を製造するための方法であって、
前記ハブ(12)を通して延びる中央開口(18)を画定する内側円周面(16)を有する前記ハブ(12)を形成するステップと、
前記ハブ(12)を通して中央ボア(18a)を機械加工するための低減された円周面領域(16a)を画定するために、半径方向内側に突出しかつ軸方向に延びる複数の縦溝(14)を前記中央開口(18)の前記内側円周面(16)に形成するステップと、
前記ハブ(12)を通して中央ボア(18a)を画定するために前記中央開口(18)の前記内側円周面(16)に前記複数の縦溝(14)を機械加工するステップと、
を含む方法。
【請求項6】
前記中央開口(18)の前記低減された円周面領域(16a)に沿った中断される切削により、仕上げ機械加工サイクル時間を短縮しかつボアカッタの負荷及び摩耗を低減しつつ、冷却液フラッシングの増大を提供するステップをさらに含む請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記中央開口(18)の前記低減された円周面領域(16a)に沿った中断される仕上げ機械加工切削の後に、前記複数の縦溝(14)から前記ハブ(12)をシャフトにセンタリングして支持するステップをさらに含む請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記ハブ(12)を通して延びる中央開口(18)を画定する内側円周面(16)を有する前記ハブ(12)と、前記中央開口(18)の前記内側円周面(16)に形成された複数の縦溝(14)とをさらに備える請求項5に記載の方法によって形成された回転部材(10)。
【請求項9】
前記ハブ(12)を通して中央ボア(18a)を機械加工するための低減された円周面領域(16a)を画定する前記複数の縦溝(14)をさらに備える請求項8に記載の方法によって形成された回転部材(10)。
【請求項10】
前記中央開口(18)の前記低減された円周面領域(16a)に沿って形成された中断される機械加工切削部をさらに備える請求項8に記載の回転部材(10)。
【請求項11】
前記中央開口(18)の前記低減された円周面領域(16a)に沿った中断される仕上げ機械加工切削の後に、前記ハブ(12)をシャフトにセンタリングして支持するための前記複数の縦溝(14)をさらに備える請求項8に記載の回転部材(10)。
【請求項12】
半径方向内側に突出しかつ前記ハブ(12)を通して軸方向に延びる前記複数の縦溝(14)をさらに備える請求項8に記載の方法によって形成された回転部材(10)。
【請求項13】
前記中央開口(18)の前記低減された円周面領域(16a)に沿って形成された前記中断される機械加工切削部により、冷却液フラッシングの増大が提供される請求項12に記載の回転部材(10)。
【請求項14】
前記中央開口(18)の前記低減された円周面領域(16a)に沿った前記中断される機械加工切削部により、前記ハブ(12)の仕上げ機械加工サイクル時間の短縮が提供される請求項12に記載の回転部材(10)。
【請求項15】
前記中央開口(18)の前記低減された円周面領域(16a)に沿った前記中断される機械加工切削部により、ボアカッタの負荷の低減及び摩耗の低減が提供される請求項12に記載の回転部材(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縦溝付き回転部材、例えば、スプロケット、ギヤ、プーリ、又は械械加工したボアを有するコグに関し、この場合、回転部材の縦溝付きの表面により、引き続く仕上げ作業で除去されるべき材料が低減される。
【背景技術】
【0002】
圧縮、鍛造、成型、及び型押し製造技術によってスプロケット、ギヤ、プーリ、又はコグのような回転部材を提供することが一般に公知である。これらの公知の回転部材の製造技術は、シャフトと接触するための精密な表面を提供するために、仕上げ作業を必要とする未加工のボアを提供する。仕上げ作業は、回転部材に設けられるべきボアの内周全体に沿って機械加工を必要とし、このことは、非常に時間を浪費する機械加工作業であり、製造装置に切削工具要素の負荷及び摩耗の増大をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
スプロケット、ギヤ、プーリ、又はコグのような回転部材にボアを形成する機械加工中に、製造装置に対する負荷を低減することが望ましいであろう。回転部材内でボアを形成する仕上げ機械加工作業中に、冷却液フラッシングを増大させることが望ましいであろう。ボアを形成する機械加工作業の機械加工サイクル時間を短縮することが望ましいであろう。回転部材にボアを形成しつつ、切削工具の摩耗を低減することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
したがって、一例としてかつ限定なしに、スプロケット、ギヤ、プーリ、又はコグのような回転部材は、引き続く仕上げ作業で除去されるべき材料を低減する目的で、一例としてかつ限定なしに、圧縮、鍛造、成型、又は型押しによって製造された内側に縦溝付きの中央開口を有することができる。半径方向内側に延びる縦溝に沿った中断される切削(interrupted cut)により、製造装置に対する負荷も低減しつつ、冷却液フラッシングの増大が提供される。内側に延びる縦溝は、機械加工ストックを低減するために使用されるが、シャフトに対する回転部材のセンタリングをなお提供する。縦溝付きボアは、接続されたシャフトに接触することができ、シャフトの位置を適切に維持する程度に十分な表面接触を提供することができる。縦溝は浅くすることも深くすることもできる。浅い縦溝が設けられる場合、縦溝は、仕上げ作業で排除することができる。一例としてかつ限定なしに、スプロケット、ギヤ、プーリ、又はコグのような回転部材は、タイミングシステム、オルタネータプーリ、パワーステアリングプーリ、及びタイミングシステムのコグ又は同様のシステムに使用することができる。
【0005】
簡単な構造では、回転部材は、シャフトに接続するためのハブを有する。ハブは、それを通して延びる中央開口を画定する内側面、及び中央開口の内側面に形成された複数の縦溝を有する。
【0006】
一例としてかつ限定なしに、無端状ループの動力伝達システムの回転部材は、シャフトにセンタリングして接続するためのハブを含むことができる。ハブは、それを通して延びる中央開口を画定する内側面と、中央開口の内側面に形成された半径方向内側に突出しかつ軸方向に延びる複数の縦溝とを有することができ、これらの縦溝は、ハブを通して中央ボアを機械加工するための低減された円周面領域を画定する。
【0007】
シャフトに接続するためのハブを有する回転部材を製造するための方法が開示される。本方法は、ハブを通して延びる中央開口を画定する内側面を有するハブを形成するステップと、ハブを通して中央ボアを機械加工するための低減された円周面領域を画定するために、半径方向内側に突出しかつ軸方向に延びる複数の縦溝を中央開口の内側面に形成するステップと、ハブを通して中央ボアを画定するために、開口の内側面に複数の縦溝を機械加工するステップとを含むことができる。
【0008】
本発明の他の用途は、本発明を実施するために考慮された最善の様式の以下の説明を添付図面と関連して読むと、当業者には明らかになるであろう。
【0009】
本明細書の説明は添付図面を参照し、この場合、同様の参照番号は複数の図面を通して同様の部分を指す。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】半径方向内側にかつ軸方向に延びる複数の縦溝を有する内側開口を有する回転部材の概略図である。
図2】半径方向内側にかつ軸方向に延びる縦溝の拡大詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に図1を参照すると、一例としてかつ限定なしに、無端状ループの動力伝達システム用の本明細書でスプロケット、ギヤ、プーリ又はコグと称されることもあるハブ12を有する回転部材10が示されている。ハブ12は、本明細書で隆起した縦溝と称されることもある半径方向内側にかつ軸方向に延びる複数の縦溝14を含み、これらの複数の縦溝は、中央開口18の内側円周面16に沿って形成され、かつ回転部材10のハブ12を通して軸方向に延びる。隆起した縦溝14は、仕上げ機械加工作業中に除去されるべき材料ストック量を低減し、一方で、シャフト(図示せず)上でスプロケット10をセンタリングするための機械加工後に仕上げ面を提供する。
【0012】
無端状ループの動力伝達システムの回転部材10は、シャフト(図示せず)にセンタリングして接続するためのハブ12を含む。ハブ12は、それを通して延びる中央開口18を画定する内側円周面16を有し、複数の縦溝14が中央開口18の内側円周面16にある。複数の縦溝14は、半径方向内側に突出しかつハブ12を通して軸方向に延びる。複数の縦溝14は、ハブ12を通して中央ボア18aを機械加工するための低減された円周面領域16aを画定する。
【0013】
中断される機械加工切削が、中央ボア18aを形成するために、中央開口18の低減された円周面領域16aに沿って実行される。中央開口18の低減された円周面領域16aに沿って形成された中断される機械加工切削部により、冷却液フラッシングの増大が提供される。中央開口18の低減された円周面領域16aに沿って形成された中断される機械加工切断部により、ハブ12の中央ボア18aの仕上げ機械加工サイクル時間の短縮が提供される。中央開口18の低減された円周面領域16aに沿って形成された中断される機械加工切断部により、ハブの中央ボア18aを形成するために使用されるボアカッタの負荷の低減及び摩耗の低減が提供される。複数の縦溝14は、中断される仕上げ機械加工切削により、ハブ12の中央開口18の低減された円周面領域16aに沿って中央ボア18aが形成された後に、ハブ12をシャフト(図示せず)にセンタリングして支持する。
【0014】
無端状ループの動力伝達システムの回転部材10は、シャフト(図示せず)にセンタリングして接続するためのハブ12を含む。ハブ12は、それを通して延びる中央開口18を有する。ハブ12は、中央開口18の内側円周面16に、半径方向内側に突出しかつ軸方向に延びる複数の縦溝14を有する。複数の縦溝14は、ハブ12を通して中央ボア18aを機械加工するための低減された円周面領域16aを画定する。
【0015】
中断される機械加工切削が、中央開口18の低減された円周面領域16aに沿って実行される。中央開口18の低減された円周面領域16aに沿って実行された中断される機械加工切削により、冷却液フラッシングの増大、ハブの仕上げ機械加工サイクル時間の短縮、及びボアカッタの負荷及び摩耗の低減が提供される。複数の縦溝14は、中断される仕上げ機械加工切削が中央開口18の低減された円周面領域16aに沿って実行された後に、ハブ12をシャフト(図示せず)にセンタリングして支持し、中央ボア18aを画定する。
【0016】
無端状ループの動力伝達システムの回転部材10を製造するための方法も開示される。回転部材10は、シャフト(図示せず)にセンタリングして接続するためのハブ12を含む。本方法は、ハブ12を通して延びる中央開口18を有するハブ12を形成するステップを含む。ハブ12は、中央開口18の内側面に形成された半径方向内側に突出しかつ軸方向に延びる複数の縦溝14を有し、これらの縦溝は、ハブ12を通して中央ボア18aを機械加工するための低減された円周面領域16aを画定する。本方法は、ハブ12を通して中央ボア18aを画定するために中央開口18の内側円周面16に位置する複数の縦溝14を機械加工するステップを含む。
【0017】
本方法は、ハブ12の中央開口18の低減された表面領域16aに沿った中断される切削により、仕上げ機械加工サイクル時間を短縮しかつボアカッタの負荷及び摩耗を低減しつつ、冷却液フラッシングの増大を提供するステップを含むことができる。本方法は、ハブ12の中央開口18の低減された円周面領域16aに沿った中断される仕上げ機械加工切削の後、複数の縦溝14からハブ12をシャフト(図示せず)にセンタリングして支持するステップを含むことができる。
【0018】
開示したハブ構造及び方法は、無端状ループの動力伝達システムの開示した実施形態に加えて他の用途に使用できることを認識すべきである。シャフトにセンタリングして支持するためのハブを有する任意の回転部材は、本明細書に開示したハブ構造及び方法を利用することができる。ハブ12及び複数の縦溝14を含む回転部材10は、一例としてかつ限定なしに、圧縮、鍛造、成型、又は型押しのような任意の公知の適切な製造方法を使用して製造することができる。回転部材10は、スプロケット、ギヤ、プーリ、又はコグとして形成することができる。複数の縦溝14は、ハブ12の中央開口18を通して中央ボア18aを形成するか又は切削しつつ、引き続く仕上げ作業で除去するために、ハブ12の中央開口18の内側円周面16から軸方向かつ半径方向内側に延びる材料を提供する。隣接する縦溝14の間に画定された円周空間14aは、中央ボア18aを形成するハブ12における機械加工作業中に冷却液フラッシングの増大ための開口部を提供する。円周空間14aにより、ハブ12における中央ボア18aの仕上げ機械加工作業中に除去されるべき材料量が低減される。除去されるべき材料量の低減により、機械加工装置に対する負荷が低減され、かつ中央ボア18aの切削工具の摩耗が低減される。
【0019】
現在最も実用的かつ好ましい実施形態であると考えられるものに関連して本発明について説明してきたが、本発明は、開示した実施形態に限定されず、反対に、添付した特許請求の範囲の精神及び範囲内に含まれる様々な修正形態及び均等の構成を網羅するように意図されることを理解すべきであり、その範囲は、法律の下に許容されるようなすべての修正形態及び均等の構造を包含するように最も広義な解釈に準じるべきである。
図1
図2