特許第6209235号(P6209235)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6209235複数の隣接する量子化パラメータから量子化パラメータ予測子を決定する方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6209235
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】複数の隣接する量子化パラメータから量子化パラメータ予測子を決定する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 19/70 20140101AFI20170925BHJP
   H04N 19/126 20140101ALI20170925BHJP
   H04N 19/157 20140101ALI20170925BHJP
   H04N 19/176 20140101ALI20170925BHJP
【FI】
   H04N19/70
   H04N19/126
   H04N19/157
   H04N19/176
【請求項の数】2
【外国語出願】
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-45330(P2016-45330)
(22)【出願日】2016年3月9日
(62)【分割の表示】特願2013-514328(P2013-514328)の分割
【原出願日】2011年6月8日
(65)【公開番号】特開2016-136760(P2016-136760A)
(43)【公開日】2016年7月28日
【審査請求日】2016年3月18日
(31)【優先権主張番号】61/353,365
(32)【優先日】2010年6月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501263810
【氏名又は名称】トムソン ライセンシング
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing
(74)【代理人】
【識別番号】100134094
【弁理士】
【氏名又は名称】倉持 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100123629
【弁理士】
【氏名又は名称】吹田 礼子
(72)【発明者】
【氏名】ルウ,シヤオアン
(72)【発明者】
【氏名】ソレ,ジヨエル
(72)【発明者】
【氏名】イン,ペン
(72)【発明者】
【氏名】シユイ,チエン
(72)【発明者】
【氏名】ジエン,ユンフエイ
【審査官】 岩井 健二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−262004(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/152518(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/140211(WO,A2)
【文献】 国際公開第2011/064926(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/049396(WO,A2)
【文献】 国際公開第2010/039728(WO,A2)
【文献】 国際公開第2009/158113(WO,A2)
【文献】 国際公開第2009/105732(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/126135(WO,A1)
【文献】 Marta Karczewicz et al.,Rate Distortion Optimized Quantization,Joint Video Team (JVT) of ISO/IEC MPEG & ITU-T VCEG (ISO/IEC JTC1/SC29/WG11 and ITU-T SG16 Q.6),27th Meeting: Geneva, CH,2008年 4月,JVT-AA026,pp.1-5
【文献】 Yu-Wen Huang et al.,A Technical Description of MediaTek's Proposal to the JCT-VC CfP,Joint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC) of ITU-T SG16 WP3 and ISO/IEC JTC1/SC29/WG11,1st Meeting: Dresden, DE,2010年 4月,JCTVC-A109_r2,pp.1-15
【文献】 Marta Karczewicz et al.,Video coding technology proposal by Qualcomm Inc.,Joint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC) of ITU-T SG16 WP3 and ISO/IEC JTC1/SC29/WG11,1st Meeting: Dresden, DE,2010年 4月,JCTVC-A121,pp.1-13
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 19/00 − 19/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピクチャの少なくとも一部分において画像データに適用すべき現在の量子化パラメータの代わりに量子化パラメータ予測子を使用する前記画像データのための符号器であって、前記量子化パラメータ予測子は、前に符号化された隣接部分から得られる複数の量子化パラメータにより形成される、前記符号器を有し、
前記符号器は、前記現在の量子化パラメータと前記量子化パラメータ予測子との差分を、対応する復号器にシグナリングし、
前記量子化パラメータ予測子は、現在符号化されている部分の左側にある前に符号化された隣接部分、および現在符号化されている部分の上側にある前に符号化された隣接部分が利用可能であるときに、これらの隣接部分の量子化パラメータの平均値により形成され
前記隣接部分の少なくとも一方が利用可能でないときに、前記量子化パラメータ予測子は、現在のスライスの量子化パラメータに基づいて形成される、装置。
【請求項2】
ピクチャの少なくとも一部分についての画像データに適用すべき現在の量子化パラメータの代わりに量子化パラメータ予測子を使用して前記画像データを符号化するステップであって、前記量子化パラメータ予測子は、前に符号化された隣接部分から得られる複数の量子化パラメータにより形成される、前記ステップと、
前記現在の量子化パラメータと前記量子化パラメータ予測子との差分を符号化するステップと、
前記差分を対応する復号器にシグナリングするステップと、
前記量子化パラメータ予測子を、現在符号化されている部分の左側にある前に符号化された隣接部分、および現在符号化されている部分の上側にある前に符号化された隣接部分の量子化パラメータの平均値を、これらの隣接部分が利用可能であるときに算出することによって形成するステップと、を含み、
前記隣接部分の少なくとも一方が利用可能でないときに、前記量子化パラメータ予測子は、現在のスライスの量子化パラメータに基づいて形成される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願のクロスリファレンス)
本出願は、2010年6月10日に出願された米国仮出願第61/353365号の利益を主張するものであり、当該米国仮出願の全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本原理は、概して、ビデオ符号化及びビデオ復号に関し、更に詳しくは、複数の隣接する量子化パラメータから量子化パラメータ予測子を決定する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
殆どのビデオ応用分野では、一組の所与のビット・レート制約条件に対して、最高限度の知覚品質が要求される。例えば、テレビ電話システムのような低ビット・レートの応用分野では、ビデオ符号器が、視覚的により目立ち、従って、より重要な関心領域(region of interest)に於ける強度の可視アーティファクトを除去することによって、より高い品質を提供し得る。他方、高ビット・レートの応用分野では、画像内の全ての箇所で視覚的に無損失の品質が期待され、ビデオ符号器もトランスペアレントな(利用者が損失等に気付くことなく利用できる)品質を実現すべきである。高ビット・レートの応用分野に於いてトランスペアレントな視覚的品質を得る際の1つの課題は、ディテールを保持することであり、特に、平滑領域(smooth regions)では、ディテールの損失が、人間の視覚系のテクスチャ・マスキング特性によって、非平滑領域(non−smooth regions)よりも目立つ。
【0004】
利用可能なビット・レートを増大することは、客観的、及び、主観的な品質を改善することに対する最も端的なアプローチの1つである。ビット・レートが与えられると、符号器は、自己のビット割り当てモジュールにより、最も視覚的な品質改善が得られ得る箇所に利用可能なビットを費やす。デジタル・ビデオ・ディスク(DVD)オーサリングのような非リアル・タイムの応用分野では、ビデオ符号器によって、ある期間に亘って困難を伴って符号化されるコンテンツと容易に符号化されるコンテンツとの両方について、一定の品質でビデオを製作する可変ビット・レート(VBR:Variable Bit Rate)策定が容易になる。このような応用分野では、利用可能なビットが、相異なる各ビデオ・セグメントに適切に配分されて、一定の品質が得られる。これとは対照的に、固定ビット・レート(CBR:Constant Bit Rate)システムでは、符号化が難しいにも拘わらず、同数のビットを1つ以上の画像の期間に割り当てて、ビデオ・コンテンツによって変化する視覚的品質を得ている。可変ビット・レート符号化システムと固定ビット・レート符号化システムとの両者とも、符号器が、画像内の知覚モデルに従って、ビットを割り当てることが出来る。人間の知覚の1つの特性はテクスチャ・マスキングであり、それ故、人間の目は、テクスチャード(ざらつきのある)領域よりも平滑領域に於いて、品質の損失に対して敏感になる。この特性を利用して、平滑領域に割り当てられるビットの数を増やして、より高い視覚的品質を得ることが出来る。
【0005】
ビデオ符号器に於ける量子化処理が、符号化ビット数と品質を制御する。通常、量子化パラメータ(QP)を調節することによって、品質を調節する。量子化パラメータには、量子化ステップ・サイズ、丸めオフセット(rounding offset)、及び、スケーリング・マトリクスが含まれ得る。国際標準化機構/国際電気標準会議(ISO /IEC)ムービング・ピクチャー・エクスパーツ・グループ4(MPEG−4)第10部アドバンスド・ビデオ・コーディング(AVC)規格/国際電気通信連合電気通信部門(ITU−T)H.264勧告(以下、「MPEG4AVC規格」という)に於いて、量子化パラメータ値は、スライス・レベル、或いは、マクロブロック(MB)レベルで調節できる。符号器は、量子化パラメータを調節して、その調節を復号器に通知するフレキシビリティを有している。量子化パラメータのシグナリングには、オーバヘッド・コストが必要である。
【0006】
MPEG−4AVC規格に於けるQP符号化
MPEG−4AVC規格に於けるシンタックスによって、量子化パラメータは、スライス毎に、及び、マクロブロック(MB)毎に、異なることが可能になる。量子化パラメータの値は、整数であり、0から51の範囲内にある。各々のスライスについての初期値は、シンタックス要素pic_init_qp_minus26から導き出される。初期値は、slice_qp_deltaの非ゼロ値(ゼロ以外の値)が符号化される時にスライス・レイヤに於いて修正され、更に、マクロブロック・レイヤに於いてmb_qp_deltaの非ゼロ値が符号化される時に修正される。
【0007】
数学的には、スライスについての初期の量子化パラメータは、次のように計算される。
SliceQPY = 26 + pic_init_qp_minus26 + slice_qp_delta, (1)
【0008】
マクロブロック・レイヤに於いて、QPの値は、次のように導き出される。
QPY = QPY,PREV + mb_qp_delta, (2)
ここで、QPY,PREVは、現在のスライスに於いての復号順序で前のマクロブロックの量子化パラメータである。
【0009】
第1の従来技術方式に於ける量子化パラメータの符号化
第1の従来技術のアプローチに於いて(更に詳しく後述する第2の従来技術のアプローチに於いても同様に)、16×16画素より大きい動きパーティション(区画割り)が実施される。この第1の従来技術のアプローチを一例とすれば、既存のMPEG−4AVC規格のパーティショニング(区画割り)のサイズに加えて、64×64、64×32、32×64、32×32、32×16及び16×32のサイズの各マクロブロックが使用される。2つの新たなシンタックス要素mb64_delta_qpとmb32_delta_qpが導入されて、大きいブロックについての量子化パラメータが符号化される。
【0010】
第1の従来技術のアプローチでは、ルミナンス量子化器のステップ・サイズは、次のように変更できる。1つの64×64ブロックが4つの個別の32×32ブロックに区画割りされる場合、各々の32×32ブロックは、それ自身の量子化パラメータを有することが出来る。更に、1つの32×32ブロックが4つの個別の16×16ブロックに区画割りされる場合、各々の16×16ブロックも、それ自身の量子化パラメータを有することが出来る。この情報は、delta_qpのシンタックスを使用して復号器に通知される。64×64ブロックについて、mb64_typeがP8×8でない(即ち、更なる区画割りを意味しない)場合、現在のブロックの左上側のブロックに関して、mb64_delta_qpが符号化されて、ルミナンス量子化器のステップ・サイズに於ける相対的な変更が通知される。当該ブロックは、64×64、32×32、或いは、16×16のサイズを有することが出来る。mb64_qp_deltaの復号値は、[−26、25]の範囲に限定される。mb64_qp_deltaの値は、ブロック(P_SkipとB_Skipブロック・タイプを含む)について存在していない場合、0に等しいと推測される。現在のブロックについてのルミナンス量子化の値QPYは、次のように導き出される。
QPY = (QPY,PREV + mb64_qp_delta + 52) % 52, (3)
ここで、QPY,PREVは、現在のスライスに於ける復号順序で前の64×64ブロックのルミナンスQPである。スライス内の最初の64×64ブロックについては、QPY,PREVは、スライス・ヘッダ内の送信されたスライス量子化パラメータに等しく設定される。
【0011】
mb64_typeがP8×8である(即ち、64×64ブロックが4つの32×32ブロックに区画割りされることを意味する)場合、各々の32×32ブロックについて、同じ処理が繰り返される。即ち、mb32_typeがP8×8でない(即ち、更なる区画割りを意味しない)場合、mb32_delta_qpが符号化される。mb32_typeがP8×8である場合、各々の16×16マクロブロックについてのdelta_qpが、MPEG−4AVC規格に於ける復号器に送られる。尚、delta_qpは、64×64、或いは、32×32のブロック・サイズで通知されると、動きパーティションの全てのブロックに適用できる。
【0012】
第2の従来技術のアプローチに於ける量子化パラメータの符号化
第2の従来技術のアプローチに於いて、大きいブロックは、符号化単位の概念によってサポートされる。第2の従来技術のアプローチに於いて、符号化単位(CU)は、正方形の形状を有する基本単位として定義されている。これは、MPEG−4AVC規格に於けるマクロブロックとサブマクロブロックに類似した役割を持っているが、主な違いは、符号化単位は様々なサイズを有することが出来、そのサイズに対応する区別がないことである。フレーム・ベースのループ・フィルタリング以外の全ての処理が、イントラ/インター予測、変換、量子化とエントロピ符号化を含めて、符号化単位毎に行なわれる。2つの特別な用語、即ち、最大符号化単位(LCU)と最小符号化単位(SCU)が定められている。利便性の高い実施については、LCUサイズとSCUサイズが、2の累乗であり、且つ、8以上である値に限定される。
【0013】
ピクチャが非重複のLCUから成ると仮定している。符号化単位が正方形の形状に限定されている為、LCU内での符号化単位構造は、ピクチャに適合させた再帰的ツリー表現で表すことが出来る。即ち、符号化単位は、最大符号化単位サイズと、符号化単位が属する最大符号化単位に於ける階層的な深度とによって特徴づけられる。
【0014】
第2の従来技術のアプローチでは、符号化単位と共に、予測モードについての基本単位、即ち、予測単位(PU)が導入されている。尚、予測単位は最後の深度の符号化単位についてのみ定められ、そのサイズは符号化単位のサイズに限定される。従来規格と同様に、2つの相異なる用語、即ち、予測タイプと予測単位分割(prediction unit splitting)が、予測方法を規定するために定められる。予測タイプは、予測方法の性質を概略的に表現するスキップ、イントラ及びインターの各意味のうちの1つである。次に、予測タイプに従って、可能な予測単位分割が定められる。符号化単位サイズが2N×2Nの場合、イントラについての予測単位には、2つの相異なる可能な分割、即ち、2N×2N(即ち、分割なし)とN×N(即ち、4分の1分割)とがある。インターについての予測単位には、8つの相異なる可能な分割、即ち、4つの対称的分割(2N×2N、2N×N、N×2N、N×N)と4つの非対称的分割(2N×nU、2N×nD、nL×2N、nR×2N)とがある。
【0015】
符号化単位と予測単位とに加えて、変換と量子化とについての変換単位(TU)が、別に定められている。尚、変換単位のサイズは予測単位のサイズよりも大きいこともあり、これは以前のビデオ規格と異なっているが、変換単位は符号化単位のサイズを超えないこともある。しかしながら、変換単位のサイズは任意ではなく、一旦、予測単位構造がある符号化単位について定められると、可能な変換単位分割は2つだけになる。その結果、当該符号化単位に於ける変換単位のサイズは、transform_unit_size_flagによって特定される。transform_unit_size_flagが0に設定される場合、変換単位のサイズは、その変換単位が属する符号化単位のサイズと同じになる。それ以外の場合、変換単位のサイズは、予測単位の分割に従って、N×N、或いは、N/2×N/2として設定される。
【0016】
大きい変換に対する量子化係数と逆量子化係数についての基本原理は、MPEG−4AVC規格に使用される基本原理、即ち、デッド・ゾーンを有するスカラ量子化器に使用される基本原理と同じである。全く同じ量子化パラメータ範囲と、それに対応する量子化ステップが、提案されたコーデックに於いて使用されている。その提案によれば、各々の符号化単位について、量子化パラメータの変更が可能である。現在のブロックについてのルミナンス量子化の値QPYは、次のように導き出される。
QPY = SliceQPY + qp_delta, (4)
ここで、SliceQPYは、当該スライスについての量子化パラメータであり、qp_deltaは、現在の符号化単位についての量子化パラメータと当該スライスとの差分である。同一の量子化パラメータが、符号化単位全体に適用される。
【0017】
代表的なQP符号化プロセス―1つのQPから得られるQP予測子
図1を参照すると、ビデオ符号器に於ける従来の量子化パラメータ符号化プロセスの全体が、参照番号100によって示されている。方法100は、制御を機能ブロック110に移す開始ブロック105を含んでいる。機能ブロック110は、スライスについての量子化パラメータ(QP)をSliceQPYに設定して、SliceQPYをQP予測子として記憶し、制御をループ・リミット・ブロック115に移す。ループ・リミット・ブロック115は、1から符号化単位数(#)までの範囲を有する変数iを使用してループを開始し、制御を機能ブロック120に移す。機能ブロック120は、各々の符号化単位についてのQPをQPCUに設定し、制御を機能ブロック125に移す。機能ブロック125は、delta_QP = QPCU − SliceQPYを符号化し、制御を機能ブロック130に移す。機能ブロック130は、符号化単位iを符号化し、制御をループ・リミット・ブロック135に移す。ループ・リミット・ブロック135は、符号化単位についてのループを終了し、制御を終了ブロックに199に移す。
【0018】
このように、方法100では、1つのQP、即ち、スライスQP(SliceQPY)が、符号化すべきQPについての予測子として使用される。機能ブロック120に関して、符号化単位についてのQPは、そのコンテンツ及び/又は前の符号化結果に基づいて調節される。例えば、平滑符号化単位は、QPを下げて、知覚品質を改善する。もう1つの例では、前の符号化単位が、割り当てられたビットよりも多くのビットを使用している場合、現在の符号化単位は、QPを増やして、元々割り当てられたものよりも少ないビットを使用する。この例に於ける現在の符号化単位(QPCU)とQP予測子SliceQPYとの差分が、(機能ブロック125によって)符号化される。
【0019】
図2を参照すると、ビデオ復号器に於ける従来の量子化パラメータ復号プロセスの全体が、参照番号200によって示されている。方法200は、制御を機能ブロック210に移す開始ブロック205を含んでいる。機能ブロック210は、SliceQPYを復号し、SliceQPYをQP予測子として記憶し、制御をループ・リミット・ブロックに215に移す。ループ・リミット・ブロック215は、1から符号化単位数(#)までの範囲を有する変数iを使用してループを開始し、制御を機能ブロック220に移す。機能ブロック220は、delta_QPを復号して、制御を機能ブロック225に移す。機能ブロック225は、各々の符号化単位についてのQPをQPCU = SliceQPY + delta_QPに設定し、制御を機能ブロック230に移す。機能ブロック230は、符号化単位iを復号して、制御をループ・リミット・ブロック235に移す。ループ・リミット・ブロック235は、符号化単位についてのループを終了し、制御を終了ブロック299に移す。機能ブロック230に関して、これによって、符号化単位は再構成される。
【発明の概要】
【0020】
本原理は、従来技術の上述の、及び、その他の欠点と不利な点に取り組み、複数の隣接する量子化パラメータから量子化パラメータ予測子を決定する方法及び装置に関するものである。
【0021】
本原理の一態様に従って、装置が提供される。この装置は、ピクチャの少なくとも一部分についての画像データに適用すべき現在の量子化パラメータの代わりに量子化パラメータ予測子を使用して画像映像データを符号化する符号器を有する。量子化パラメータ予測子は、前に符号化された隣接部分から得られる複数の量子化パラメータを使用して決定される。現在の量子化パラメータと量子化パラメータ予測子との差分が符号化されて、対応する復号器にシグナリングされる。
【0022】
本原理の他の態様に従って、ビデオ符号器における方法が提供される。この方法は、ピクチャの少なくとも一部分についての画像データに適用すべき現在の量子化パラメータの代わりに量子化パラメータ予測子を使用して画像データを符号化するステップを含む。量子化パラメータ予測子は、前に符号化された隣接部分から得られる複数の量子化パラメータを使用して決定される。この方法は、現在の量子化パラメータと量子化パラメータ予測子との差分を符号化して、対応する復号器にシグナリングするステップを更に含む。
【0023】
本原理の更に他の態様に従って、装置が提供される。この装置は、ピクチャの少なくとも一部分についての画像データに適用すべき現在の量子化パラメータの代わりに量子化パラメータ予測子を使用して画像データを復号する復号器を含む。量子化パラメータ予測子は、前に符号化された隣接部分から得られる複数の量子化パラメータを使用して決定される。現在の量子化パラメータと量子化パラメータ予測子との差分が、復号されて、画像像データの復号に使用される。
【0024】
本原理のまた更に他の態様に従って、ビデオ復号器における方法が提供される。この方法は、ピクチャの少なくとも一部分についての画像データに適用すべき現在の量子化パラメータの代わりに量子化パラメータ予測子を使用して画像データを復号するステップを含む。量子化パラメータ予測子は、前に符号化された隣接部分から得られる複数の量子化パラメータを使用して決定される。この方法は、現在の量子化パラメータと量子化パラメータ予測子との差分を復号して、画像データの復号に使用するステップを更に含む。
【0025】
本原理の上述の、及び、その他の各形態、各特徴、及び、各利点は、添付図面を参照して理解されるべき、以下の各実施例の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本原理は、次の例示的な図に従って、より良く理解されるであろう。
図1】従来技術による、ビデオ符号器に於ける従来の量子化パラメータ符号化プロセスを示す流れ図である。
図2】従来技術による、ビデオ復号器に於ける従来の量子化パラメータ復号プロセスを示す流れ図である。
図3】本原理の一実施形態による、本原理を適用できる例示的なビデオ符号器を示すブロック図である。
図4】本原理の一実施形態による、本原理を適用できる例示的なビデオ復号器を示すブロック図である。
図5】本原理の一実施形態による、ビデオ符号器に於ける例示的な量子化パラメータ符号化プロセスを示す流れ図である。
図6】本原理の一実施形態による、ビデオ復号器に於ける例示的な量子化パラメータ復号プロセスを示す流れ図である。
図7】本原理の一実施形態による、例示的な隣接する符号化単位を示す図である。
図8】本原理の一実施形態による、ビデオ符号器に於ける他の例示的な量子化パラメータ符号化プロセスを示す流れ図である。
図9】本原理の一実施形態による、ビデオ復号器に於ける他の例示的な量子化パラメータ復号プロセスを示す流れ図である。
図10】本原理の一実施形態による、ビデオ符号器に於ける更に他の例示的な量子化パラメータ符号化プロセスを示す流れ図である。
図11】本原理の一実施形態による、ビデオ復号器に於ける更に他の例示的な量子化パラメータ復号プロセスを示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本原理は、複数の隣接する量子化パラメータから量子化パラメータ予測子を決定する方法及び装置に関するものである。
【0028】
本説明は、本原理を例示するものである。従って、当業者であれば、ここに明示的に説明または示されていないが、本原理を具体化し、且つ、その意図と範囲内にある種々の構成を考案できるであろう。
【0029】
ここに列挙する全ての例と条件を表す用語とは、本発明者が、技術の進歩のために提供した本原理と概念とを読み手が理解するための助けとなるべく教授目的のために意図されたものであり、本原理と概念が、そのように具体的に説明された例と条件には限定されないと解釈すべきである。
【0030】
更に、本原理、本原理の態様、本原理の実施形態、並びに、それらの各具体例を列挙した全ての記載は、それらの構造的及び機能的均等物の両方を包含するように意図されている。更に、そのような均等物には、現在周知の均等物と、将来開発される均等物、即ち、構造に関わらず同一機能を果たすように開発された任意の要素とが含まれる。
【0031】
従って、例えば、ここに提示した各ブロック図が本原理を具体化する回路例の概念的な図を表していることが当業者に理解されるであろう。同様に、任意のフロー・チャート、流れ図、状態遷移図、擬似コード等が、コンピュータ可読媒体に実質的に表されて、従って、コンピュータ或いはプロセッサによって(そのようなコンピュータ或いはプロセッサが明示されているか否かに関わらず)実行され得る種々のプロセスを表していることが理解されるであろう。
【0032】
各図に示す種々の要素の各機能は、専用ハードウェアの使用や適切なソフトウェアと共同してソフトウェアを実行できるハードウェアの使用によって、提供できる。各機能がプロセッサによって提供される場合、1つの専用プロセッサ、1つの共用プロセッサ、或いは、複数の個別のプロセッサ(その一部は、共用されてもよい)によって、提供され得る。更に、「プロセッサ」或いは「コントローラ(制御器)」なる用語の明示的な使用は、ソフトウェアを実行できるハードウェアを専ら意味すると解釈すべきではなく、デジタル信号プロセッサ(「DSP」)ハードウェア、ソフトウェアを記憶するリードオンリ・メモリ(「ROM」)、ランダム・アクセス・メモリ(「RAM」)、及び、不揮発性記憶装置を制限なく黙示的に含み得る。
【0033】
その他の従来技術のハードウェア、及び/又は、オーダーメイドのハードウェアも含み得る。同様に、各図に示された任意のスイッチは、単に、概念的なものである。それらの機能は、プログラム論理の動作、専用論理、プログラム論理と専用論理とのインタラクション、或いは、手動によって行うことができ、また、個々の技術は実施者によって選択できることが、詳細な説明から更に具体的に理解できるであろう。
【0034】
特許請求の範囲に於いて、特定の機能を果たす手段として表現された任意の要素は、例えば、a)当該機能を果たす各回路要素の組み合わせ、或いは、b)任意の形態、従って、ファームウェア又はマイクロコード等を含む形態のソフトウェアであり、当該機能を果たす当該ソフトウェアを実行する適切な回路網と組み合わされるソフトウェアを含む機能を果たす任意のものを包含することが意図されている。このような特許請求の範囲によって規定された本原理は、種々の列挙された手段によって提供される機能が特許請求の範囲に記載された態様で組み合わされて統合されることにある。従って、それらの機能を提供できる任意の手段は、ここに記載の手段に等しいと考えられる。
【0035】
本明細書に於いて、本原理の「一実施形態」或いは「実施形態」という表現、及び、その表現の異形は、当該実施形態に関連して説明された特定の特徴、構造、及び、特性等が、本原理の少なくとも一実施形態に含まれていることを意味している。従って、「一実施形態に於いて」或いは「実施形態に於いて」という語句、及び、その語句の異形が記載されている場合は、必ずしも同一の実施形態を意味している訳ではない。
【0036】
例えば、「A/B」、「A及び/又はB」、及び、「AとBの少なくとも1つ」の場合の「/」、「及び/又は」、及び、「・・・の少なくとも1つ」の何れかの使用は、1番目に記載のオプション(A)のみの選択、2番目に記載のオプション(B)のみの選択、或いは、両方のオプション(AとB)の選択を包含することを意図している。更なる例として、「A、B、及び/又は、C」と「A、B、及び、Cの少なくとも1つ」の場合、そのような記載は、1番目に記載のオプション(A)のみの選択、2番目に記載のオプション(B)のみの選択、3番目に記載のオプション(C)のみの選択、1番目と2番目に記載のオプション(AとB)のみの選択、1番目と3番目に記載のオプション(AとC)のみの選択、2番目と3番目に記載のオプション(BとC)のみの選択、或いは、3つのオプション(AとBとC)の選択を包含することを意図している。このことは、当業者に直ちに明らかなように、多数の項目が記載される場合にも拡張できる。
【0037】
また、ここで使用されているように、「ピクチャ」という用語と「画像」という用語とは、互換可能に使用され、静止画、或いは、ビデオ・シーケンスから得られるピクチャを意味する。周知の如く、ピクチャは、フレーム又はフィールドであっても良い。
【0038】
更に、ここで使用されているように、「符号化単位」(CU)という語句は、正方形の形状を有する基本単位を意味する。これは、MPEG−4AVC規格に於けるマクロブロックとサブマクロブロックに類似した役割を持っているが、主な違いは、符号化単位は様々なサイズを有することが出来、そのサイズに対応する区別がないことである。フレーム・ベースのループ・フィルタリング以外の全ての処理が、イントラ/インター予測、変換、量子化とエントロピ符号化を含めて、符号化単位毎に行なわれる。
【0039】
更に、ここで使用されているように、「予測単位」(PU)という語句は、予測モードに於ける基本単位を意味する。尚、PUは最後の深度のCUについてのみ定められ、そのサイズはCUのサイズに限定される。予測に関する全ての情報は、PU毎に通知(シグナリング)される。
【0040】
また、ここで使用されているように、「変換単位」(TU)という語句は、変換についての基本単位を意味する。尚、変換単位のサイズは予測単位のサイズよりも大きいこともあり、これは以前のビデオ規格と異なっているが、変換単位は符号化単位のサイズを超えないこともある。しかしながら、変換単位のサイズは任意ではなく、一旦、予測単位構造が、ある符号化単位について定められると、可能な変換単位分割は2つだけになる。その結果、当該符号化単位に於ける変換単位のサイズは、transform_unit_size_flagによって特定される。transform_unit_size_flagが0(ゼロ)に設定される場合、変換単位のサイズは、その変換単位が属する符号化単位のサイズと同じになる。それ以外の場合、変換単位のサイズは、予測単位の分割に従って、N×N、或いは、N/2×N/2として設定される。
【0041】
更に、ここで使用されているように、「スキップ・モード」という語句は、動き情報が動きベクトル予測子から推測され、且つ、動き情報もテクスチャ情報も送信されない予測モードを意味する。
【0042】
更に、正しく理解されるべき点として、説明を簡単に、且つ、明確にする目的で、第2の従来技術のアプローチによって定められた基本事項から説明を開始して、第2の従来技術のアプローチに対する改良として、新たな変数、原理、シンタックス等を定めることにする。しかしながら、当業者には明らかである点として、本発明に関連してここに開示し説明する原理と概念とは、任意の新たな、或いは、改良された規格、又は、プロプライエタリ・システムにも適用でき、単に第2の従来技術のアプローチに対する改良のみには決して拘束されない。同様に、第1の従来技術のアプローチ、MPEG−4AVC規格、或いは、その他のどのような方式または規格にも拘束されない。
【0043】
図3を参照すると、本原理を適用できる例示的なビデオ符号器の全体が、参照番号300によって示されている。ビデオ符号器300にはフレーム順序付けバッファ310が含まれており、その出力部は結合器385の非反転入力部に信号通信可能に接続されている。結合器385の出力部が、(複数の予測子を使用する)変換器及び量子化器325の第1の入力部に信号通信可能に接続されている。変換器及び量子化器(複数の予測子を使用する)325の出力部が、エントロピ符号器345の第1の入力部と、(複数の予測子を使用する)逆変換器及び逆量子化器350の第1の入力部とに信号通信可能に接続されている。エントロピ符号器345の出力部が、結合器390の第1の非反転入力部に信号通信可能に接続されている。結合器390の出力部が、出力バッファ335の第1の入力部に信号通信可能に接続されている。
【0044】
符号器制御装置305の第1の出力部が、フレーム順序付けバッファ310の第2の入力部と、(複数の予測子を使用する)逆変換器及び逆量子化器350の第2の入力部と、ピクチャ・タイプ決定モジュール315の入力部と、マクロブロック・タイプ(MBタイプ)決定モジュール320の第1の入力部と、イントラ予測モジュール360の第2の入力部と、デブロッキング・フィルタ365の第2の入力部と、動き補償器370の第1の入力部と、動き推定器375の第1の入力部と、参照ピクチャ・バッファ380の第2の入力部とに信号通信可能に接続されている。
【0045】
符号器制御装置305の第2の出力部が、補足拡張情報(SEI:Supplemental Enhancement Information)挿入器330の第1の入力部と、(複数の予測子を使用する)変換器及び量子化器325の第2の入力部と、エントロピ符号器345の第2の入力部と、出力バッファ335の第2の入力部と、シーケンス・パラメータ・セット(SPS:Sequence Parameter Set)及びピクチャ・パラメータ・セット(PPS:Picture Parameter Set)挿入器340の入力部とに信号通信可能に接続されている。
【0046】
SEI挿入器330の出力部が、結合器390の第2の非反転入力部に信号通信可能に接続されている。
【0047】
ピクチャ・タイプ決定モジュール315の第1の出力が、フレーム順序付けバッファ310の第3の入力部に信号通信可能に接続されている。ピクチャ・タイプ決定モジュール315の第2の出力部が、マクロブロック・タイプ決定モジュール320の第2の入力部に信号通信可能に接続されている。
【0048】
シーケンス・パラメータ・セット(SPS)及びピクチャ・パラメータ・セット(PPS)挿入器340の出力部が、結合器390の第3の非反転入力部に信号通信可能に接続されている。
【0049】
(複数の予測子を使用する)逆変換器及び逆量子化器350の出力部が、結合器319の第1の非反転入力部に信号通信可能に接続されている。結合器319の出力部が、イントラ予測モジュール360の第1の入力と、デブロッキング・フィルタ365の第1の入力部とに信号通信可能に接続されている。デブロッキング・フィルタ365の出力部が、参照ピクチャ・バッファ380の第1の入力部に信号通信可能に接続されている。参照ピクチャ・バッファ380の出力部が、動き推定器375の第2の入力部と、動き補償器370の第3の入力部とに信号通信可能に接続されている。動き推定器375の第1の出力部が、動き補償器370の第2の入力部に信号通信可能に接続されている。動き推定器375の第2の出力部が、エントロピ符号器345の第3の入力部に信号通信可能に接続されている。
【0050】
動き補償器370の出力部が、スイッチ397の第1の入力部に信号通信可能に接続されている。イントラ予測モジュール360の出力部が、スイッチ397の第2の入力部に信号通信可能に接続されている。マクロブロック・タイプ決定モジュール320の出力部が、スイッチ397の第3の入力部に信号通信可能に接続されている。スイッチ397の第3の入力によって、スイッチの「データ」入力(制御入力、即ち、第3の入力と対比される)が動き補償器370、或いは、イントラ予測モジュール360によって提供されるべきか否かが決定される。スイッチ397の出力部が、結合器319の第2の非反転入力部と、結合器385の反転入力部とに信号通信可能に接続されている。
【0051】
フレーム順序付けバッファ310の第1の入力部と符号器制御装置305の入力部とが、入力画像を受信するための、符号器100の入力部として利用可能である。更に、補足拡張情報(SEI)挿入器330の第2の入力部が、メタデータを受信するための、符号器300の入力部として利用可能である。出力バッファ335の出力部が、ビットストリームを出力するための、符号器300の出力部として利用可能である。
【0052】
図4を参照すると、本原理を適用できる例示的なビデオ復号器の全体が、参照番号400によって示されている。ビデオ復号器400には、入力バッファ410が含まれており、その出力部がエントロピ復号器445の第1の入力部に信号通信可能に接続されている。エントロピ復号器445の第1の出力部が、(複数の予測子を使用する)逆変換器及び逆量子化器450の第1の入力部に信号通信可能に接続されている。(複数の予測子を使用する)逆変換器及び逆量子化器450の出力部が、結合器425の第2の非反転入力部に信号通信可能に接続されている。結合器425の出力部が、デブロッキング・フィルタ465の第2の入力部と、イントラ予測モジュール460の第1の入力部とに信号通信可能に接続されている。デブロッキング・フィルタ465の第2の出力部が、参照ピクチャ・バッファ480の第1の入力部に信号通信可能に接続されている。参照ピクチャ・バッファ480の出力部が、動き補償器470の第2の入力部に信号通信可能に接続されている。
【0053】
エントロピ復号器445の第2の出力部が、動き補償器470の第3の入力部と、デブロッキング・フィルタ465の第1の入力部と、イントラ予測器460の第3の入力部とに信号通信可能に接続されている。エントロピ復号器445の第3の出力部が、復号器制御装置405の入力部に信号通信可能に接続されている。復号器制御装置405の第1の出力部が、エントロピ復号器445の第2の入力部に信号通信可能に接続されている。復号器制御装置405の第2の出力部が、(複数の予測子を使用する)逆変換器及び逆量子化器450の第2の入力部に信号通信可能に接続されている。復号器制御装置405の第3の出力部が、デブロッキング・フィルタ465の第3の入力部に信号通信可能に接続されている。復号器制御装置405の第4の出力部が、イントラ予測モジュール460の第2の入力部と、動き補償器470の第1の入力部と、参照ピクチャ・バッファ480の第2の入力部とに信号通信可能に接続されている。
【0054】
動き補償器470の出力部が、スイッチ497の第1の入力部に信号通信可能に接続されている。イントラ予測モジュール460の出力部が、スイッチ497の第2の入力部に信号通信可能に接続されている。スイッチ497の出力部が、結合器425の第1の非反転入力部に信号通信可能に接続されている。
【0055】
入力バッファ410の入力部が、入力ビットストリームを受信するための、復号器400の入力部として利用可能である。デブロッキング・フィルタ465の第1の出力部が、出力画像を出力するための、復号器400の出力部として利用可能である。
【0056】
前述の如く、本原理は、複数の隣接する量子化パラメータから量子化パラメータ予測子を決定する方法及び装置に関するものである。
【0057】
前述の第1と第2の従来技術のアプローチでは、ブロック・レベルでの量子化パラメータの調節が行われ、当該ブロックは、(第1の従来技術のアプローチに於けるように)マクロブロック、即ち大きいブロック、或いは、(第2の従来技術のアプローチに於けるように)符号化単位の場合がある。量子化パラメータ値は、異なる態様で符号化される。MPEG−4AVC規格と第1の従来技術のアプローチとでは、現在のスライスに於ける符号化順序の前のブロックの量子化パラメータが予測子として使用される。第2の従来技術のアプローチでは、スライス量子化パラメータが予測子として使用される。
【0058】
本原理に従って、本発明者等は、隣接する符号化ブロックの複数の量子化パラメータを使用して量子化パラメータ予測子を決定する方法及び装置を提供する。量子化パラメータ予測子の計算は1つの規則によって定められ、その規則は、符号器と復号器の双方に認知されている。従来の手法に比べて本手法の優れた点の1つは、復号器に量子化パラメータを通知するのに必要なオーバヘッドを低減できることである。
【0059】
量子化パラメータは、しばしば、目標ビット・レートに適合するように、或いは、コンテンツに順応するように調節され、それによって視覚的な品質が改善される。これによって、各符号化単位間でQPの変動が生じる。本原理を説明する為に、符号化単位という用語は、ブロック、マクロブロック、スーパーブロック、スーパーマクロブロック、サブマイクロブロック、サブブロック、画像区画、画像幾何学的区画、画像領域、予測単位、及び、変換単位を含むが、これらには限定されない、広義の画像区画及び画像領域を含むことを意図している。QPの差分を通知する際のオーバヘッド・コストを低減する為に、本発明者等は、QP予測子のパフォーマンスを改善する方法及び装置を開示し、説明する。QP予測子は、符号器と復号器の双方で同じ方法を使用して、前に符号化/復号されている符号化単位の隣接ブロックから得られる複数のQPによって形成され、これによって、必要な通知オーバヘッドが低減される。
【0060】
図5を参照すると、ビデオ符号器に於ける例示的な量子化パラメータ符号化プロセスの全体が、参照番号500によって示されている。方法500は、制御をループ・リミット・ブロック510に移す開始ブロック505を含んでいる。ループ・リミット・ブロック510は、1から符号化単位数(#)までの範囲を有する変数iを使用してループを開始し、制御を機能ブロック515に移す。機能ブロック515は、前に符号化された符号化単位の複数のQPを使用してQP予測子(QPPRED)を形成し、制御を機能ブロック520に移す。機能ブロック520は、各々の符号化単位についてのQPをQPCUに設定し、制御を機能ブロック525に移す。機能ブロック525は、delta_QP = QPCU − QPPREDを符号化し、制御を機能ブロック530に移す。機能ブロック530は、符号化単位iを符号化して、制御をループ・リミット・ブロック535に移す。ループ・リミット・ブロック535は、符号化単位についてのループを終了して、制御を終了ブロック599に移す。機能ブロック515に関し、動きベクトル予測について使用される同じ符号化単位を使用して予測子QPPREDを形成できる。例えば、MPEG−4AVC規格に於けるメジアン(中央値)動きベクトルを形成するのに使用される符号化単位、或いは、動きベクトル競合に使用される符号化単位を使用できる。
【0061】
図6を参照すると、ビデオ復号器に於ける例示的な量子化パラメータ復号プロセスの全体が、参照番号600によって示されている。方法600は、制御をループ・リミット・ブロック610に移す開始ブロック605を含んでいる。ループ・リミット・ブロック610は、1から符号化単位数(#)までの範囲を有する変数iを使用してループを開始し、制御を機能ブロック615に移す。機能ブロック615は、前に復号された符号化単位の複数のQPを使用してQP予測子(QPPRED)を形成し、制御を機能ブロック620に移す。機能ブロック620は、delta_QPを復号し、制御を機能ブロック625に移す。機能ブロック625は、各々の符号化単位についてのQPをQPCU = delta_QP + QPPREDに設定し、制御を機能ブロック630に移す。機能ブロック630は、符号化単位iを復号し、制御をループ・リミット・ブロック635に移す。ループ・リミット・ブロック635は、符号化単位についてのループを終了し、制御を終了ブロック699に移す。機能ブロック615に関し、動きベクトル予測について使用される同じ符号化単位を使用して予測子QPPREDを形成できる。例えば、MPEG−4AVC規格に於けるメジアン(中央値)動きベクトルを形成するのに使用される符号化単位、或いは、動きベクトル競合に使用される符号化単位を使用できる。
【0062】
QP予測子(QPPRED)の導出
次に、QP予測子を形成するための手法を開示し、説明する。同期性(synchrony)を得る為に、同一の方法が、符号器と復号器の双方で使用される。
【0063】
関心領域に高い知覚品質を提供することは、全体的な知覚品質に顕著な影響を与える。それ故、QP調節に於ける一般的なガイドラインは、関心領域には、より低いQPを割り当てて知覚品質を向上させ、その他の領域には、より高いQPを割り当ててビット数を低減することである。ピクチャ・コンテンツは連続性が高いので、隣接する符号化単位についての各QPは、互いに相関していることが多い。従来技術に於いては、現在のQPと前に符号化されたブロックのQPとの相関関係が利用される。QPがその他の隣接するブロックから得られるQPに対しても相関し得るので、より多くのQPを考慮に入れることによって、QP予測子を改善できる。図7を参照すると、例示的な隣接する符号化単位の全体が、参照番号700によって示されている。隣接する符号化単位700には、Aによって示されている左隣接符号化単位と、Bによって示されている上段隣接符号化単位と、Cによって示されている上段右隣接符号化単位と、Dによって示されている上段左隣接符号化単位とが含まれている。隣接符号化単位AからDを使用して、Eによって示されている現在の符号化単位についてのQP予測子が形成される。1つの例に於いて、A、B、C及びDの定義は、MPEG−4AVC規格の動きベクトル予測子について使用されるブロックと同じである。QP予測子を得るために、その他の隣接する符号化単位から得られるより多くのQPも含めることが出来る。
【0064】
QP予測子は、符号器と復号器の双方に認知されている規則に従って、形成される。符号化単位A、B及びCに於けるQPを用いて、次のような若干の例示的な規則を提示する。
・規則1: QPPRED= 中央値(QPA、QPB、QPC
・規則2: QPPRED= 最小値(QPA、QPB、QPC
・規則3: QPPRED= 最大値(QPA、QPB、QPC
・規則4: QPPRED= 平均値(QPA、QPB、QPC
【0065】
符号化単位(A、B、C)が、全てではなく(部分的に)、利用できる場合、それらのQPの代わりにSliceQPYを使用して、或いは、利用可能なQPのみを使用して予測子を形成できる。例えば、符号化単位Aが利用できない場合、規則2は、QPPRED= 最小値(QPB、QPC)になる。他の例では、符号化単位の全てではなく(部分的に)、利用できる場合、欠けているQPの代わりに、他のブロックのQPを使用できる。例えば、ブロックCの代わりにブロックDを使用できる。
【0066】
MPEG−4AVC規格に於ける動きベクトル予測は、隣接する動きベクトルの中央値ベクトルを使用して動きベクトル予測子を生成するという同様の思想を共有している。動きベクトルと動きベクトル予測子との差分が、符号化されて、ビットストリームに入れられて送信される。動きベクトルとQPの双方について予測プロセスを統一するために、一実施形態に於いて、ブロックがインター・モードで符号化される場合、同じ隣接符号化単位を使用して動きベクトルとQPの双方を予測する。
【0067】
VCEGの「key technical area」(KTA)ソフトウェア(KTAソフトウェア バージョンKTA2.6)は、MPEG−4AVC規格の確定後に、ビデオ符号化に於ける新たな進歩を統合するための共通プラットフォームを提供している。動きベクトル競合を使用する提案が、KTAに採用された。動きベクトル競合の手法に於いて、符号化ブロックは、空間的に、或いは、時間的に隣接するブロックの動きベクトルを含む一組の動きベクトル予測子候補を有している。最良の動きベクトル予測子が、レート歪み最適化に基づいて、上記の候補の組から選択される。上記の組が複数の候補を有する場合、上記の組に於ける動きベクトル予測子のインデックスが、復号器に明示的に送信される。動きベクトルとQPの双方について予測プロセスを統一するために、一実施形態に於いて、ブロックがインター・モードで符号化される場合、同じ隣接符号化単位を使用して動きベクトルとQPの双方を予測する。動きベクトル予測子のインデックスが、動きベクトル競合について、既に送信されているので、QP予測子について、追加のオーバヘッドは必要ない。
【0068】
バリエーション1の実施形態−予測単位に於けるQP調節
符号化単位は128×128の大きさであり得る。これは、ピクチャ内では、非常に少ない符号化単位となる。目標ビット・レートを正確に達成するためには、符号化単位相互間のQP変分が大きくなることがある。QP変分を平滑化する1つの解決手段は、QP調節を、符号化単位の代わりに予測単位に適用することである。予測単位がスキップ・モードでない場合、QP差分を送信するだけで良い。
【0069】
図8を参照すると、ビデオ符号器に於ける他の例示的な量子化パラメータ符号化プロセスの全体が、参照番号800によって示されている。尚、理解すべき点として、方法800は予測単位に於けるQP調節を伴う。方法800は、制御をループ・リミット・ブロック810に移す開始ブロック805を含んでいる。ループ・リミット・ブロック810は、1から予測単位数(#)までの範囲を有する変数iを使用してループを開始し、制御を機能ブロック815に移す。機能ブロック815は、前に符号化された予測単位の複数のQPを使用してQP予測子(QPPRED)を形成し、制御を機能ブロック820に移す。機能ブロック820は、各々の予測単位についてのQPをQPPUに設定し、制御を機能ブロック825に移す。機能ブロック825は、delta_QP =QPPU − QPPREDを符号化し、制御を機能ブロック830に移す。機能ブロック830は、予測単位iがスキップ・モードにない場合、予測単位iを符号化して、制御をループ・リミット・ブロック835に移す。ループ・リミット・ブロック835は、予測単位についてのループを終了し、制御を終了ブロック899に移す。機能ブロック815に関し、動きベクトル予測について使用される同じ予測単位を使用して予測子QPPREDを形成できる。例えば、MPEG−4AVC規格に於けるメジアン(中央値)動きベクトルを形成するのに使用される予測単位、或いは、動きベクトル競合に使用される予測単位を使用できる。
【0070】
図9を参照すると、ビデオ復号器に於ける他の例示的な量子化パラメータ復号プロセスの全体が、参照番号900によって示されている。尚、理解すべき点として、方法900は予測単位に於けるQP調節を伴う。方法900は、制御をループ・リミット・ブロック910に移す開始ブロック905を含んでいる。ループ・リミット・ブロック910は、1から予測単位数(#)までの範囲を有する変数iを使用してループを開始し、制御を機能ブロック915に移す。機能ブロック915は、前に復号された予測単位の複数のQPを使用してQP予測子(QPPRED)を形成し、制御を機能ブロック920に移す。機能ブロック920は、delta_QPを復号し、制御を機能ブロック925に移す。機能ブロック925は、各々の予測単位についてのQPをQPPU = delta_QP + QPPREDに設定し、制御を機能ブロック930に移す。機能ブロック930は、予測単位iがスキップ・モードにない場合、予測単位iを復号して、制御をループ・リミット・ブロック935に移す。ループ・リミット・ブロック935は、予測単位についてのループを終了し、制御を終了ブロック999に移す。機能ブロック915に関し、動きベクトル予測について使用される同じ予測単位を使用して予測子QPPREDを形成できる。例えば、MPEG−4AVC規格に於けるメジアン(中央値)動きベクトルを形成するのに使用される予測単位、或いは、動きベクトル競合に使用される予測単位を使用できる。
【0071】
バリエーション2の実施形態−変換単位に於けるQP調節
バリエーション1と同様に、変換単位に於いてQP調節を適用できる。変換単位にゼロ以外の変換係数がある場合、QP差分を送信するだけで良い。
【0072】
図10を参照すると、ビデオ符号器に於ける更に他の例示的な量子化パラメータ符号化プロセスの全体が、参照番号1000によって示されている。尚、理解すべき点として、方法1000は変換単位に於けるQP調節を伴う。方法1000は、制御をループ・リミット・ブロック1010に移す開始ブロック1005を含んでいる。ループ・リミット・ブロック1010は、1から変換単位数(#)までの範囲を有する変数iを使用してループを開始し、制御を機能ブロック1015に移す。機能ブロック1015は、前に符号化された変換単位の複数のQPを使用してQP予測子(QPPRED)を形成し、制御を機能ブロック1020に移す。機能ブロック1020は、各々の変換単位についてのQPをQPTUに設定し、制御を機能ブロック1025に移す。機能ブロック1025は、delta_QP = QPTU − QPPREDを符号化し、制御を機能ブロック1030に移す。機能ブロック1030は、変換単位iが非ゼロの係数を有する場合、変換単位iを符号化し、制御をループ・リミット・ブロック1035に移す。ループ・リミット・ブロック1035は、変換単位についてのループを終了し、制御を終了ブロック1099に移す。機能ブロック1015に関し、動きベクトル予測について使用される同じ変換単位を使用して予測子QPPREDを形成できる。例えば、MPEG−4AVC規格に於けるメジアン(中央値)動きベクトルを形成するのに使用される変換単位、或いは、動きベクトル競合に使用される変換単位を使用できる。
【0073】
図11を参照すると、ビデオ復号器に於ける更に他の例示的な量子化パラメータ復号プロセスの全体が、参照番号1100によって示されている。尚、理解すべき点として、方法1100は変換単位に於けるQP調節を伴う。方法1100は、制御をループ・リミット・ブロック1110に移す開始ブロック1105を含んでいる。ループ・リミット・ブロック1110は、1から変換単位数(#)までの範囲を有する変数iを使用してループを開始し、制御を機能ブロック1115に移す。機能ブロック1115は、前に復号された変換単位の複数のQPを使用してQP予測子(QPPRED)を形成し、制御を機能ブロック1120に移す。機能ブロック1120は、delta_QPを復号し、制御を機能ブロック1125に移す。機能ブロック1125は、各々の変換単位についてのQPをQPTU = delta_QP + QPPREDに設定し、制御を機能ブロック1130に移す。機能ブロック1130は、変換単位iが非ゼロの係数を有する場合、変換単位iを復号して、制御をループ・リミット・ブロック1135に移す。ループ・リミット・ブロック1135は、変換単位についてのループを終了し、制御を終了ブロック1199に移す。機能ブロック1115に関し、動きベクトル予測について使用される同じ変換単位を使用して予測子QPPREDを形成できる。例えば、MPEG−4AVC規格に於けるメジアン(中央値)動きベクトルを形成するのに使用される変換単位、或いは、動きベクトル競合に使用される変換単位を使用できる。
【0074】
シンタックス
一例として変換単位に於けるQP調節を用いて、本原理に適用するシンタックスをどのように策定するかを説明する。シンタックス要素TU_delta_QPを使用して現在の変換単位についてのQPとQP予測子とのQP差分を規定する。QP差分は、予測単位、或いは、符号化単位に於いても規定できる。表1には、本原理の一実施形態に従う、変換単位に於ける例示的なシンタックスが示されている。
【表1】
【0075】
表1に示されているシンタックス要素TU_delta_QPのセマンティックスは、次の通りである。
【0076】
TU_delta_QPは、現在の変換単位(QPTU)についてのQPとQP予測子(QPPRED)とのQP差分の値を規定する。変換単位(QPTU)についてのQPは、QPTU = QPPRED + TU_delta_QPとして導き出される。TU_delta_QPは、変換単位に非ゼロの係数がある(即ち、code_block_flagがゼロでない)場合にのみ、必要となる。
【0077】
本発明に伴う多数の利点/特徴の一部は既に説明したが、次に、その他の一部を説明する。例えば、ある利点/特徴は、ピクチャの少なくとも一部分についての画像データに適用すべき現在の量子化パラメータの代わりに量子化パラメータ予測子を使用して画像データを符号化する符号器であって、量子化パラメータ予測子は、前に符号化された隣接部分から得られる複数の量子化パラメータを使用して決定される、上記符号器を有し、現在の量子化パラメータと量子化パラメータ予測子との差分が符号化され、対応する復号器にシグナリングされる装置である。
【0078】
別の利点/特徴は、量子化パラメータ予測子が、符号器と復号器の双方に認知されている規則に基づいて黙示的に導き出される、上記の符号器を有する装置である。
【0079】
更に別の利点/特徴は、量子化パラメータ予測子が、符号器と復号器の双方に認知されている規則に基づいて黙示的に導き出される、上記の符号器を有する装置であって、規則が、複数の量子化パラメータの中から得られる最小値を有する量子化パラメータ、複数の量子化パラメータの中から得られる最大値を有する量子化パラメータ、複数の量子化パラメータの少なくとも一部の中央値から計算される量子化パラメータ、及び、複数の量子化パラメータの少なくとも一部の平均値から計算される量子化パラメータのうちの少なくとも1つに応じて、量子化パラメータ予測子を決定すること、及び、選択することの少なくとも一方に関するものである、装置である。
【0080】
また更に別の利点/特徴は、量子化パラメータ予測子が、動きベクトル予測について使用されるピクチャの部分と同じピクチャの部分に対応する1つ以上の量子化パラメータから選択され、その1つ以上の量子化パラメータは複数の量子化パラメータに含まれているものである、上記の符号器を有する装置である。
【0081】
また更に別の利点/特徴は、量子化パラメータ予測子が、動きベクトル予測について使用されるピクチャの部分と同じピクチャの部分に対応する1つ以上の量子化パラメータから選択され、その1つ以上の量子化パラメータは複数の量子化パラメータに含まれているものである、上記の符号器を有する装置であって、動きベクトル競合を使用して動きベクトル予測子を決定する、装置である。
【0082】
また更に別の利点/特徴は、画像データが、符号化単位、予測単位、及び、変換単位のうちの1つである、上述の符号器を有する装置である。
【0083】
また更に別の利点/特徴は、画像データが、符号化単位、予測単位、及び、変換単位のうちの1つである、上記の符号器を有する装置であって、画像データが予測単位であり、現在の量子化パラメータと量子化パラメータ予測子との差分が、予測単位が非スキップ・モードにある場合にのみ、符号化されて、対応する復号器に通知される、装置である。
【0084】
また更に別の利点/特徴は、画像データが変換単位であり、現在の量子化パラメータと量子化パラメータ予測子との差分が、変換単位が非ゼロの係数を含む場合にのみ、符号化されて、対応する復号器に通知される、上述の符号器を有する装置である。
【0085】
当業者であれば、ここに記載された開示事項から、本原理の上述の特徴と利点、及び、その他の特徴と利点を容易に把握できるであろう。また、本原理の開示事項が、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、特定用途のプロセッサ、或いは、それらの各組み合わせの種々の形態で実施できることも理解できるであろう。
【0086】
最も望ましくは、本発明の開示事項は、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせとして実施される。更に、そのソフトウェアは、プログラム記憶装置に具体的に組み入れられるアプリケーション・プログラムとして実施できる。そのアプリケーション・プログラムは、任意の適当なアーキテクチャから成るマシンにアップロードされて、実行されてもよい。望ましくは、そのマシンは、1つ以上の中央処理装置(CPU)、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、及び、入力/出力(I/O)インタフェースのようなハードウェアを有するコンピュータ・プラットフォーム上で実施される。このコンピュータ・プラットフォームには、オペレーティング・システムとマイクロ命令コードも含まれてもよい。ここで説明した種々のプロセスと機能は、CPUによって実行され得るマイクロ命令コードの一部、或いは、アプリケーション・プログラムの一部、或いは、それらの任意の組み合わせであってもよい。更に、種々の他の周辺装置、例えば、追加のデータ記憶装置や印刷装置等をコンピュータ・プラットフォームに接続してもよい。
【0087】
更に、添付図面に描写された各システム構成要素及び各方法の一部はソフトウェアで実施されることが望ましいので、各システム構成要素、或いは、各処理機能ブロックの相互間の実際の接続関係は、本原理がプログラムされる様態に従って異なる場合がある。当業者であれば、ここに記載された開示事項から、本原理のこれらの実施形態或いは構成と同様の実施形態或いは構成とを考案できるであろう。
【0088】
また、添付図面を参照して、各実施例を説明したが、本原理は、これらの厳密な実施例に限定される訳ではなく、当業者であれば、本原理の範囲とから逸脱することなく、種々の変更と修正を行うことが出来るであろう。そのような全ての変更と修正は、特許請求の範囲に記載した本原理の範囲内に含まれるものである。
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