(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、タクシーが利用されるシーンは様々であって乗車する利用者も様々である。したがって、タクシー運転手(ドライバ)には顧客対応能力が高度に要求され、タクシー会社も如何に差別化を図り、顧客満足度を高め常連客を増やしていくかが経営的にも重要となっている。
【0003】
ここで、利用者が、たまたまであったとしても、二日連続で同じタクシー会社を利用した場合に、もしドライバが「昨日に引きつづき、ご利用ありがとうございます」等と言うことができれば、タクシー会社に抱く印象は良く、次の利用にも繋がっていくと考えられる。
【0004】
しかしながら、これは、電話予約が入った際に二日連続であるとオペレータが気付き、タクシー無線でドライバに指示した場合にのみ可能な応対である。大抵は同じタクシー会社であってもドライバも異なるので、このような細やかな気遣いは現実的には期待できない。
【0005】
また、会社などでタクシーを頼む場合は、電話予約する人が同じでも、利用者が二日連続同じであることはそうそうはない。すなわち、実際の利用者が二日連続して乗車しているかは現実的にドライバが知ることができない。
【0006】
また、たとえば、ある道を通ると不機嫌となる利用者も存在し、このような情報もドライバが事前に知るような手立てはない。
【0007】
この他、夜の利用の場合、利用者が車中で寝てしまうこともあり、目的地周辺で迷ったり、起こして細かく聞き出そうとすると不機嫌であったりと、トラブルやクレームの原因ともなる。特に、目的地の名称が類似しており、本人の言い間違いであってもドライバの聞き間違いとされてしまい、タクシー会社の信用問題ともなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記に鑑みてなされたものであって、ドライバに依存せず、利用すれば利用するほど利用者の満足度が高まるタクシー会社を構築可能となるシステムまたはプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の利用者情報表示システムは、タクシー会社に導入される利用者情報表示システムであって、当該タクシー会社のタクシー内に、タクシー利用者の所持するカードからカード情報を読み取るカード情報読取手段と、カード情報読取手段により読み取られたカード情報に基づいて、当該カードの利用者を特定する利用者特定手段と、少なくとも利用者の氏名と住所または居所と電話番号と乗車履歴と特記事項との項目から構成される利用者情報が格納された利用者情報格納手段と、利用者情報格納手段から、利用者特定手段により特定された利用者に係る利用者情報を抽出する利用者情報抽出手段と、利用者情報抽出手段により抽出された利用者情報を表示する表示手段と、を具備し
、タクシー会社はサーバ装置を備え、当該サーバ装置は、サーバ装置側にて管理される利用者情報であるマスター情報を格納したマスター情報格納手段と、新たな乗降履歴を利用者毎に入力する乗降履歴入力手段と、乗降履歴入力手段により入力された乗降履歴をマスター情報に追加して最新のマスター情報に更新するマスター情報更新手段と、を具備し、更に、利用者情報格納手段に格納されている利用者情報を、マスター情報更新手段により更新されたマスター情報に置換して新たな利用者情報とする利用者情報置換手段と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
すなわち、請求項1に係る発明は、電話予約した者であるか否かに関係なく、実際の利用者個々人を特定して、乗車履歴や特記事項といった各種情報である利用者情報に基づき、ドライバが細やかな気遣いをすることが可能となる。この利用者情報は、そのタクシー会社の全ドライバの共有情報とすることができ、これにより、ドライバに依存せず、利用すれば利用するほど利用者の満足度が高まるタクシー会社を構築できる。
また、タクシー会社で利用者情報を統一して全ドライバの共有情報とすることができ、これにより、顧客満足度を会社全体で高め常連客を増やしていくことが可能となる。
【0012】
カードは、カードに記録されている情報に基づき利用者が特定できるのであれば特に限定されず、各種の交通系ICカード(Suica、PASMO、ICOCA、PiTaPa、PASPYなど)や、クレジットカードを挙げることができる。
利用者情報は、他の項目が含まれていても当然よく、たとえば、利用者の所有する車の車種、ナンバー、駐車場における駐車向きなどの項目を挙げることができる。タクシー代行の際に有用な情報である。
乗車履歴は、乗車場所、乗車日時、降車場所を基本項目として、他の情報たとえば天気、イベント情報、同乗人数を追加することもできる。
特記事項は、「○○通りを通ると不機嫌」、「すぐ寝る」、「景気の話をよくする」「安全運転をお願いされる」といった例を挙げることができる。
なお、利用者情報と利用者を特定する情報(ID)とは紐付けされていることはいうまでもない。
【0013】
乗降履歴の入力方法は、サーバ装置に対してキーボード等を用いて手入力する態様の他、タブレット装置と無線通信して自動抽出・自動入力する態様であっても良い。このとき、GPS情報に基づき乗降位置を自動入力するようにしても良い。
マスター情報更新手段は、対象を乗降履歴だけでなく、特記事項の追加など、利用者情報のあらゆる情報を更新するようにしてもよい。
利用者情報置換手段は、サーバ装置側に備わる態様に限定されず、タブレット装置側に備わっていても良い。
【0014】
請求項2に記載の利用者情報表示システムは、請求項1に記載の利用者情報表示システムにおいて、タブレット端末とタブレット端末に接続されるカードリーダとがタクシー内に備わり、カード情報読取手段はカードリーダに、利用者特定手段、利用者情報格納手段、利用者情報抽出手段、および、表示手段はタブレット端末に、それぞれ実装されたことを特徴とする。
【0015】
すなわち、請求項2に係る発明は、汎用製品を用いてドライバによる操作性および視認性良くサービスを提供できる。
【0016】
カードリーダについては、様々なカード、たとえば、接触系にも非接触系にも対応できるようにしておく。タブレット1台について、カードリーダは必ずしも1台に限らず、複数接続する態様であってもよい。なお、接続は有線接続であっても無線接続であってもよい。
【0017】
請求項3に記載の利用者情報表示システムは、請求項1または2に記載の利用者情報表示システムにおいて、カード情報読取手段は、タクシー運転手の所持するカードからもカード情報を読み取り可能であって、利用者情報格納手段に格納された利用者情報へのアクセスを可能とするに際し、カード情報読取手段により読み取られたカードがタクシー運転手の所持するカードであることを条件とするアクセス制限手段を具備したことを特徴とする。
【0018】
すなわち、請求項3に係る発明は、個人情報が流出しないようにセキュリティを高めたサービスを提供できる。
【0019】
アクセスに際しては、利用者のカードを読み取る前にその都度ドライバのカードを読み取る態様であっても良いし、一時間おきにドライバのカードの読み取りを要求する態様であってもよく、特に限定されない。
【0020】
請求項4に記載の利用者情報表示システムは、請求項1
、2または3に記載の利用者情報表示システムにおいて、カード情報読取手段により読み取られたカード情報に基づいて、当該カードの利用者を新規の利用者として識別する新規識別手段と、新規識別手段により新規と識別された利用者に係る利用者情報を入力する利用者情報入力手段と、を具備したことを特徴とする。
【0021】
すなわち、請求項4に係る発明は、新たな顧客を含めて、マスター情報を作成できる。
【0022】
請求項5に記載の利用者表示プログラムは、タクシー会社のタクシー内に配置するタブレット端末とこれに接続されるカードリーダ
、および、タクシー会社に備わるサーバ装置につき、カードリーダを、タクシー利用者の所持するカードからカード情報を読み取るカード情報読取手段、として、タブレット端末を、カード情報読取手段により読み取られたカード情報に基づいて、当該カードの利用者を特定する利用者特定手段、少なくとも利用者の氏名と住所または居所と電話番号と乗車履歴と特記事項の項目から構成される利用者情報が格納された利用者情報格納手段、利用者情報格納手段から、利用者特定手段により特定された利用者に係る利用者情報を抽出する利用者情報抽出手段、および、利用者情報抽出手段により抽出された利用者情報を表示する表示手段、として
、サーバ装置を、サーバ装置側の利用者情報であるマスター情報を格納したマスター情報格納手段、新たな乗降履歴を利用者毎に入力する乗降履歴入力手段、および、乗降履歴入力手段により入力された乗降履歴をマスター情報に追加して最新のマスター情報に更新するマスター情報更新手段、として機能させ、更に、サーバ装置またはタブレット端末を、利用者情報格納手段に格納されている利用者情報を、マスター情報更新手段により更新されたマスター情報に置換して新たな利用者情報とする利用者情報置換手段、として機能させることを特徴とする。
【0023】
すなわち、請求項6に係る発明は、ソフトウェアとして、ドライバに依存せず、利用すれば利用するほど利用者の満足度が高まるタクシー会社を構築可能なシステムを提供可能となる。
また、タクシー会社で利用者情報を統一して全ドライバの共有情報とすることができ、これにより、顧客満足度を会社全体で高め常連客を増やしていくことが可能となる。
【0024】
更に、次の手段として機能させるプログラムとすることもできる。
カード情報読取手段は、タクシー運転手の所持するカードからもカード情報を読み取り可能であって、
タブレット端末を、更に、
利用者情報格納手段に格納された利用者情報へのアクセスを可能とするに際し、カード情報読取手段により読み取られたカードがタクシー運転手の所持するカードであることを条件とするアクセス制限手段、
として機能させることを特徴とす
る利用者情報表示プログラム。
また、
サーバ装置またはタブレット端末を、更に、
カード情報読取手段により読み取られたカード情報に基づいて、当該カードの利用者を新規の利用者として識別する新規識別手段、および、新規識別手段により新規として識別された利用者に係る利用者情報を入力する利用者情報入力手段、
として機能させることを特徴とす
る利用者情報表示プログラム。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、ドライバに依存せず、利用すれば利用するほど利用者の満足度が高まるタクシー会社を構築可能となるシステムまたはプログラムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明である利用者情報表示システムの概要を示した概念図である。図示したように、利用者情報表示システム1は、タクシー会社(事務所または詰め所であってもよい)に設置されるサーバ装置10と、各タクシーT内に配備されるタブレット端末20およびカードリーダ30と、を主要な構成としている。
【0028】
図2は、カードリーダ30に利用者が自身のカードをかざしたときにタブレット端末20上に表示される画面構成例を示した図である。図示したように、氏名、電話番号、住所、乗降履歴、「耳が聞こえにくい様子」という特記事項についての情報が表示され、これに基づき、ドライバがその利用者に即した配慮をおこなうことができる。図の例では、たとえば、ドライバが振り返り、利用者の顔をみて、ゆっくり大きな声で会話する配慮が可能となる。
【0029】
図3は、利用者情報表示システム1のハードウェア構成を示した説明図である(なお、サーバ装置10、タブレット端末20、カードリーダ30については、いずれも汎用のPC、タブレット端末、カードリーダを用いることができるので、その外観構成については説明を省略する)。
【0030】
<利用者情報表示システム1:ハードウェア全体像>
利用者情報表示システム1のうち、サーバ装置10は、そのハードウェア構成として、CPU101と、ROM102と、RAM103と、ハードディスク(HD)104と、グラフィックスカード105と、モニタ106と、キーボード(K/B)107と、マウス(MOUSE)108と、LANカード109、を備える。
【0031】
利用者情報表示システム1のうち、タブレット端末20は、そのハードウェア構成として、CPU201と、ROM202と、RAM203と、ストレージ204と、GPUユニット205と、タッチパネル206と、コネクタ接続部207と、GPSユニット208と、無線通信ユニット209、を備える。
【0032】
利用者情報表示システム1のうち、カードリーダ30は、そのハードウェア構成として、リーダユニット301と、通信コード302と、を備える。リーダユニット301は、タクシー利用者の所持するカードからカード情報を読み取る。また、ドライバが所有するカードも読み取る。なお、カード種類は、その利用者を特定できる情報が記録されているのであれば、特に限定されない。
【0033】
<サーバ装置10:ハードウェア詳細>
次に、サーバ装置10のハードウェア構成について詳述する。
CPU101は、OSと共にサーバ装置10全体を制御し、特に、サーバ装置10側で統一的に管理する利用者に関する情報(利用者情報)であるマスター情報の構築、更新、置換管理をおこなう。マスター情報についは後に詳述する。また、CPU101は、ハードディスク104に格納されている作業データをRAM103に一時保存する制御等もおこなう。
【0034】
ROM102は、ブートプログラム等を記憶する。使用の態様によっては、ROM102は、サーバ装置10の制御プログラムを格納しておいてもよい。
RAM103は、CPU101のワークエリアとして使用する。具体的には、ハードディスク104から読み出されたマスター情報の内容やプログラム内容などを一時的に格納する。
【0035】
ハードディスク104は、オペレーティングシステム(OS)、アプリケーションプログラム、マスター情報を記憶する。ハードディスクの構成については後述する。
【0036】
グラフィックスカード105は、モニタ106へ出力すべき画像信号を送出する。グラフィックスカード105は、出力すべき画像信号を格納するVRAMと、処理された画像信号をモニタ106へ出力する画像出力インターフェース(画像出力I/F)も備える。画像出力I/Fは、VRAMに展開されたRGB画像データをモニタ106へ出力する。
【0037】
LANカード109は、サーバ装置10をネットワークNに接続する。ネットワークに接続することにより、タブレット端末20から、追加された乗降履歴を受け取り、また、新規の利用者の登録等が可能となる。この他サーバ装置10はCD−ROMドライブ装置等を搭載することも可能である。
【0038】
ハードディスク104について詳述する。ハードディスク104は、アプリケーション部110とマスター情報DB130とにより構成される。
アプリケーション部110は、サーバ装置10全体を制御するOS111と、マスター情報を管理するマスター情報管理プログラム群112とにより構成される。
【0039】
マスター情報管理プログラム群112は、
タブレット端末20がネットワークNに参加したことを検出するネットワーク監視プログラム121と、
ネットワークNに加わったタブレット端末20から利用者情報を読み取り、利用者情報に追加部分、変更部分があるかを検出する利用者情報検出プログラム122と、
利用者情報に追加部分、変更部分がある場合にマスター情報に反映させる反映プログラム123と、
マスター情報の基本項目に洩れがある場合に当該項目の充足を求める充足プログラム124と、を有する。
【0040】
なお、上記プログラムは、サーバ装置10が果たすマスター情報管理の観点から集約されたプログラム群を説明したものであって、実際のプログラムは多数のコンポーネントやDLLなどにより構成される。後述する機能的構成は、これらのプログラムが単体若しくは複数で、場合によってはマスター情報DB130と協働して各種実現されるものである。
【0041】
次に、マスター情報DB130について説明する。
図4は、マスター情報DBの構成例を示した図である。マスター情報は、その基本項目として、カード情報、利用者氏名、住所または居所、電話番号、乗車履歴、特記事項、の項目から構成される。カード情報は、カードリーダ30により読み取られ、そのカード所有者を特定する情報であり利用者名等と紐付ける情報である(図の例では、カード種別と特定情報として顕している)。特記事項は、ドライバが気付いた、その利用者特有の情報である。
図2に示した例の他、たとえば、「プロ野球○○の結果を聞いてくる」「○○通りを避ける」「高速料金がかかってでも早く目的地に着きたがる」「法定速度以下の安全運転を好む」などの情報である。なお、図示したように、頻繁に更新される乗降履歴については、氏名に紐付けて別途ファイルを設けるようにしている。
【0042】
<タブレット端末20:ハードウェア詳細>
次に、タブレット端末20のハードウェア構成について詳述する。
CPU201は、OSと共にタブレット端末20全体を制御し、特に、カードリーダ30と協働して利用者を特定し、その利用者情報を表示する。利用者情報はサーバ装置10から送られるマスター情報である。前述したように、住所氏名、乗降履歴や特記事項などにより構成されるデータである。また、CPU201は、ストレージ204に格納されている作業データをRAM203に一時保存する制御等もおこなう。
【0043】
ROM202は、ブートプログラム等を記憶する。使用の態様によっては、ROM202は、タブレット端末20の制御プログラムを格納しておいてもよい。
RAM203は、CPU201のワークエリアとして使用する。具体的には、ストレージ204から読み出された利用者情報の内容やプログラム内容などを一時的に格納する。
【0044】
ストレージ204は、本実施の形態ではSSDを採用しておりオペレーティングシステム(OS)、アプリケーションプログラム、利用者情報を記憶する。ストレージの構成については後述する。
【0045】
GPUユニット205は、タッチパネル206へ出力すべき画像信号を送出する。タッチパネル206におけるフリック、ピンチイン/ピンチアウトといった画面動作にしたがった画面処理をおこなう。
タッチパネル206は、約10インチのパネルを採用し、本実施の形態では抵抗膜方式のタッチセンサーが採用されている。静電容量方式等、他の方式であってもよい。
【0046】
コネクタ接続部207は、通信コード302を差し込み、カードリーダ30との間の情報授受の制御をおこなう。この情報は主としてカードリーダ30により読み取られるカード情報(利用者を特定する情報)である。
【0047】
GPSユニット208は、タブレット端末20の現在位置、すなわち、タクシーTの現在位置を刻々と取得する。なお、単なる緯度、経度の情報でなく、地図データと連動して住所情報も入手できるようにしている。
【0048】
無線通信ユニット209は、ネットワークN中のアクセスポイントを検知し、タブレット端末20を自動的にネットワークNに接続する。ネットワークに接続することにより、タブレット端末20が乗降履歴その他の情報をサーバ装置10へ送信し、また、最新のマスター情報を受け取って利用者情報として格納可能となる。
【0049】
ストレージ204について詳述する。ストレージ204は、アプリケーション部210と記憶部230とにより構成される。
アプリケーション部210は、タブレット端末20全体を制御するOS211と、利用者情報を管理する利用者情報管理プログラム群212とにより構成される。
【0050】
利用者情報管理プログラム群212は、カードリーダ30が読み取ったカード情報に基づき、利用者を特定するまたは新規利用者であることを識別する利用者特定プログラム221と、特定された利用者についての利用者情報を抽出する利用者情報抽出プログラム222と、抽出された利用者情報に基づき、タッチパネル206にレイアウトを整えて表示する表示プログラム223と、GPS情報から現在位置を特定する位置情報管理プログラム224と、ストレージ204へのアクセスの許可、不許可を管理するセキュリティプログラム225と、サーバ装置10からマスター情報をコピーして、既存の利用者情報を置き換えて新たな利用者情報とする置換プログラム226と、有する。
【0051】
なお、上記プログラムは、タブレット端末20が果たす利用者情報管理の観点から集約されたプログラム群を説明したものであって、実際のプログラムは多数のコンポーネントやDLLなどにより構成される。後述する機能的構成は、これらのプログラムが単体若しくは複数で、場合によっては記憶部230と協働して各種実現されるものである。
【0052】
次に、記憶部230について説明する。記憶部230は、利用者情報格納部231と、地図データ格納部232とにより構成される。利用者情報格納部231は、利用者情報を格納し、その基本項目は、カード情報、利用者氏名、住所または居所、電話番号、乗車履歴、特記事項である。この利用者情報は、ドライバが勤務を終了して事務所に戻った際に、サーバ装置10に送信され、また、ドライバが勤務を開始する際(持ち出す際)に、サーバ装置10から最新のマスター情報を受信し、利用者情報を置き換える。
【0053】
地図データ格納部232は、地図データを格納し、GPS情報と連動して、搭乗履歴のうちの乗車場所情報と降車場所情報とを構成する。
【0054】
<利用者情報表示システム1:機能的構成>
次に、利用者情報表示システム1の機能的構成について説明する。
図5は、利用者情報表示システムの機能的構成の一例を示した説明図である。
【0055】
利用者情報表示システム1は、その機能的構成として、カード情報読取部311と、特定部321と、アクセス制限部322と、利用者情報格納部323と、利用者情報抽出部324と、表示部325と、マスター情報格納部331と、乗降履歴入力部332と、マスター情報更新部333と、利用者情報置換部334と、新規識別部と335、利用者情報入力部336と、を有する。なお、利用者情報格納部323は、利用者情報格納部231と実質的に同じであるが、機能的観点からみた場合は323と、ハードウェア的観点からみた場合は231と表すものとする。同様に、マスター情報格納部331は、マスター情報DB130と実質的に同じであるが、機能的観点からみた場合は331と、ハードウェア的観点からみた場合は130と表すものとする。
【0056】
カード情報読取部311は、タクシー利用者の所持するカードからカード情報を読み取る。また、タクシー運転手の所持するカードからもカード情報を読み取る。ここではいずれもICカードであり、種々の規格のICカードを読み取り可能としている。
カード情報読取部311は、リーダユニット301によりその機能を実現することができる。
【0057】
特定部321は、カード情報読取部311により読み取られたカード情報に基づいて、本人を特定する情報(ID)を取得する。これにより、カードの所有者・利用者を一意に特定ないし紐付け可能となる。
特定部321は、記憶部230と、利用者特定プログラム211と、RAMなどによりその機能を実現することができる。
【0058】
アクセス制限部322は、利用者情報格納部323に格納された利用者情報へのアクセスを可能とするに際し、カード情報読取部311により読み取られたカードがドライバの所持するカードであることを条件とする。すなわち、携帯性の高いタブレット端末20が盗難された場合であっても、ドライバのカードがなければ個人情報でえある利用者情報にアクセスできないようにしてセキュリティを高めている。
アクセス制限部322は、記憶部230と、リーダユニット301と、OS211と、セキュリティプログラム225などによりその機能を実現することができる。
【0059】
利用者情報抽出部324は、利用者情報格納部323から、特定部321により特定された利用者に係る利用者情報を抽出する。
利用者情報抽出部324は、記憶部230と、利用者情報抽出プログラム222と、RAM203などによりその機能を実現することができる。
【0060】
表示部325は、利用者情報抽出部324により抽出された利用者情報を表示する。表示例は
図2に示したように乗車履歴や特記事項がみやすいようにレイアウトし直される。
表示部325は、タッチパネル206と、GPUユニット205と、表示プログラム223などによりその機能を実現することができる。
【0061】
乗降履歴入力部332は、マスター情報に反映させるべく新たな乗降履歴(差分の乗降履歴)を利用者毎に入力する。本実施の形態では、GPS情報が連動し、利用者の乗降日時と乗降場所が組となってタブレット端末20毎に独立して利用者情報に順次追加される。乗降履歴入力部332は、それぞれのタブレット端末20から逐次差分の乗降履歴を抽出し、サーバ装置10へと渡していく。
乗降履歴入力部332は、記憶部230と、位置情報管理プログラム224と、GPSユニット208と、OS210と、無線通信ユニット209と、LANカード109などによりその機能を実現することができる。仕様の態様によっては記憶部230と、位置情報管理プログラム224と、GPSユニット208と、キーボード107によりその機能を実現することができる。
【0062】
マスター情報更新部333は、乗降履歴入力部332により入力された乗降履歴をマスター情報に追加して最新のマスター情報に更新する。これは、ドライバがタブレット端末20をたずさえて事務所に戻ったとき、自動的にネットワークNに接続され、逐次乗降履歴等がマスター情報に反映されることを意味する。
マスター情報更新部333は、ネットワーク監視プログラム121と、利用者情報検出プログラム122と、反映プログラム123と、マスター情報DB130とOS111などによりその機能を実現することができる。
【0063】
利用者情報置換部334は、利用者情報格納部231に格納されている利用者情報を、マスター情報更新部333により更新されたマスター情報に置換して新たな利用者情報とする。ドライバが始業する際に事務所から持ち出すタブレット端末20の利用者情報を最新の状態にする。すなわち、利用者情報置換部334は、前回(前日)の持ち出し以降に他のタブレット端末20から集積されたマスター情報を取り込み、情報を最新のものとする。
利用者情報置換部334は、マスター情報DB130と、OS111と、LANカード109と、無線通信ユニット209と、置換プログラム226と、OS211などによりその機能を実現することができる。
【0064】
新規識別部335は、カード情報読取部311により読み取られたカード情報に基づいて、当該カードの利用者を新規の利用者として識別する。利用者情報に該当する利用者がいないことを以て新規であると識別できる。
新規識別部335は、記憶部230と、利用者特定プログラム211と、RAMなどによりその機能を実現することができる。
【0065】
利用者情報入力部336は、新規識別部335により新規として識別された利用者に係る利用者情報を入力する。本実施の形態では、新たな利用者については、カードをカードリーダ30に差し込んでもらい、そのカードのID等の情報のみを抽出する。そして利用者には乗車中に別途住所氏名等を用紙に記入してもらい、勤務が終わったときにそのドライバまたは事務所員に用紙にある情報を手入力して利用者情報を構築する。ドライバの注意力をそがないためである。
図6は、利用者を特定する情報(ID)のみが存在し、氏名等の記録がない利用者情報を検出した場合に、サーバ装置10のモニタ106に表示される画面構成例である。この画面にしたがって必要箇所を満たし、十全なマスター情報を構築する。
利用者情報入力部336は、マスター情報DB130と、キーボード107と、利用者情報検出プログラム122と、充足プログラム124などによりその機能を実現することができる。
【0066】
以上説明したように、利用者情報表示システム1によれば、会社として利用者情報を一元管理して常に最新の状態に保ち、乗降履歴や特記事項をドライバで共有して利用者に対して細やかな配慮をおこなうことが可能となる。