(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
検査のために複数の二次電池を充放電するための充放電検査装置であって、電源と、それぞれが複数の二次電池を収容可能であり、前記電源から各二次電池に給電するための複数の接触子を含む複数の電池検査ユニットと、を備える充放電検査装置と、
前記充放電検査装置を清掃するための清掃ユニットであって、前記複数の接触子の少なくとも1つに接触するための少なくとも1つの清掃部材を備える清掃ユニットと、
前記清掃ユニットを、前記電池検査ユニットの外部から前記電池検査ユニット内に搬送するための搬送装置であって、前記少なくとも1つの清掃部材を前記複数の接触子の少なくとも1つに接触可能とする搬送位置に位置決めするための搬送装置と、を備え、
内部に前記清掃ユニットが搬送された電池検査ユニットとは別の電池検査ユニットにおいて二次電池の検査が行われている状態で、当該清掃ユニットが搬送された電池検査ユニットが清掃されることを特徴とする充放電検査システム。
前記清掃ユニットは、その全体が前記電池検査ユニットの立方体状の内部空間に収容可能な寸法に形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の充放電検査システム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0014】
(実施の形態)
本実施の形態に係る充放電検査システムの概要は以下の通りである。
充放電検査システムは、検査のために複数の二次電池を充放電する充放電検査装置を備える。充放電検査装置は、1つまたは複数の電池検査ユニットと、電池検査ユニットへの給電のための電源部とを含む。個々の電池検査ユニットは、各々が対応する個々の二次電池の計測または給電をするための複数のプローブと、これらプローブと二次電池との接続を確立しまたは遮断するよう両者を相対的に前進または後退させる移動機構とを有する。そして、個々の電池検査ユニットは、配列された複数の二次電池を受け入れ一括して検査する。
【0015】
ここで、上述のプローブには、酸化膜などが異物として付着している場合がある。異物が付着していると、プローブと二次電池との間の接触抵抗が増大し、正確な計測結果が得られないことがある。そこで、本実施の形態に係る充放電検査システムは、更に、充放電検査装置を清掃する清掃ユニットと、清掃ユニットを充放電検査装置に搬送する搬送装置とを備える。清掃ユニットは、搬送装置により、その収納場所から任意の電池検査ユニットへと搬送され、更にその電池検査ユニット内の所定の位置に位置決めされる。続いて、清掃ユニットは、電池検査ユニットの移動機構により、プローブに対し相対的に前進するよう移動する。清掃ユニットには複数の清掃部材が設けられており、この清掃部材がプローブに近接し、ついには接触する。清掃部材は粘着性を有しており、プローブと接触したときに、プローブから異物を引きはがす。こうして、プローブに付着した異物が低減される。
【0016】
図1は、本実施の形態に係る充放電検査装置10を模式的に示す図である。充放電検査装置10は、検査対象の二次電池を充電し、あるいは放電することにより、二次電池の電気的特性が仕様を満たしているかを検査する。
【0017】
充放電検査装置10は、電源装置11と、検査ユニット12と、データ処理ユニット16とを含む。なお以下では電池検査ユニット12を簡単のため検査ユニット12とも称する。電源装置11と検査ユニット12とはそれぞれ別個の装置として構成されており、接続ケーブルで接続される。電源装置11と検査ユニット12とは例えば隣接または近接して設置されてもよい。あるいは電源装置11は検査ユニット12から離れて設置されてもよい。接続ケーブルには電力線と制御線とが含まれる。
図1において、各要素を接続する実線は電力線を示し、破線は通信制御線を示す。
【0018】
電源装置11は、電源回生コンバータ13と、複数の定電圧電源14と、コントローラ15とを含む。電源回生コンバータ13、定電圧電源14、およびコントローラ15は、電源装置エンクロージャー(図示せず)に収容されている。電源装置エンクロージャーは、例えばラックやフレーム構造を有し、電源回生コンバータ13、定電圧電源14、およびコントローラ15を収容する直方体状の内部空間を画定する。
【0019】
電源回生コンバータ13は、外部電源(図示せず)と定電圧電源14とを中継する。外部電源は例えば、工業用に供給される交流電源等の商用電源である。電源回生コンバータ13は、検査ユニット12において検査される電池を充電するときには外部電源からの受電回路として機能し、電池の放電をするときには外部電源に電力を戻すよう機能する。電源回生コンバータ13は、複数の定電圧電源14に共通の電源回生コンバータとして設けられている。
【0020】
定電圧電源14は、外部電源から電源回生コンバータ13を介して供給された電力を調整して出力する。図示の例では5個の定電圧電源14が設けられており、各定電圧電源14が電源回生コンバータ13に接続されている。定電圧電源14はそれぞれ複数のチャンネルを有し、各チャンネルに個々の昇降圧コンバータ28が接続される。定電圧電源14は、電池の検査仕様に適合する電圧および電流よりも高い電圧および電流を昇降圧コンバータ28に提供する。定電圧電源14は例えばDC−DCコンバータであり、好ましくは絶縁双方向DC−DCコンバータである。
【0021】
コントローラ15は、充放電検査装置10を制御する。すなわちコントローラ15は、検査ユニット12、電源回生コンバータ13および定電圧電源14を制御するよう構成されている。コントローラ15は、上位の制御装置または管理サーバ等によって管理されていてもよい。この管理サーバによって、後述の搬送装置が管理されていてもよい。
【0022】
検査ユニット12は、複数の昇降圧ユニット17と、複数の計測回路34とを含む。昇降圧ユニット17は、複数の昇降圧コンバータ28と、これらの昇降圧コンバータ28を制御するための制御回路29を備える。昇降圧ユニット17の各々は、電力ケーブル24により定電圧電源14に接続され、通信ケーブル25によりコントローラ15に接続されている。昇降圧コンバータ28は、定電圧電源14から電力ケーブル24を通じて与えられた入力を、検査仕様に適合する電圧および電流に調整する。昇降圧コンバータ28の出力は検査対象となる二次電池40に与えられる。なお以下では二次電池40を簡単のため電池40とも称する。
【0023】
計測回路34は電池40の状態を計測する。計測回路34は例えば温度計測回路、電圧計測回路、および電流計測回路の少なくとも1つを含み、電池40の温度、電圧、電流の少なくとも1つを計測する。測定結果はコントローラ15へと送信され、さらにデータ処理ユニット16へと送られる。測定結果は、検査ユニット12に設けられたリモートI/O等の公知の通信ユニットによりコントローラ15へと中継されてもよい。
【0024】
検査ユニット12には、合計すると、一括して検査可能な電池40の数に等しい数の昇降圧コンバータ28が設けられている。すなわち、電池40ごとに1つの昇降圧コンバータ28が対応づけられており、電池40と同数の昇降圧コンバータ28が設けられている。また同様にして、電池40ごとに計測回路34が設けられている。
【0025】
データ処理ユニット16は、検査ユニット12で得られた電池の電圧、電流、温度等の測定データをコントローラ15を介して収集し記憶する。データ処理ユニット16は、収集されたデータを処理し、付随するディスプレイやプリンタ等の出力手段により出力する。データ処理ユニット16は例えば公知のパソコンである。コントローラ15とデータ処理ユニット16とは、例えばLAN等の公知の方法で接続される。
【0026】
図2から
図5は、充放電検査装置10の検査ユニット12の要部を模式的に示す図である。充放電検査装置10は複数の検査ユニット12を有するが、
図2から
図5ではその1つを示している。
図2および
図3はそれぞれ、検査のために電池40が搬入(または検査後に搬出)されるときの正面図および側面図である。
図2において、破線は、パレット52(後述)およびそこに搭載された電池40が搬入されたときの位置を示している。
図4および
図5はそれぞれ、検査中の様子を示す正面図および側面図である。説明の便宜上、図示のようにXYZ直交座標系を定める。すなわち、電池40の配列方向をX方向、鉛直方向をY方向、両者に直交する方向をZ方向とする。
【0027】
図2から
図5に示されるように、検査ユニット12は、筐体22と、検査ステージ42と、プローブユニット46と、クロスフローファン50と、移行機構(不図示)と、を含む。
【0028】
検査対象である電池40は、直方体形状を有しその上面に2つの電極41有する。また、電池40は、パレット52に保持された状態で検査ユニット12に搬入され検査され搬出される。ここでは、5個の電池40が所定の間隔でパレット52に並べられている。より具体的には、5個の電池40は、側面同士が対向した状態で水平方向(X方向)に一列に並べられている。なお電池40の形状はこれに限られず、例えば円筒形状を有してもよい。また、電池40の配列もこれに限られず、例えば2列以上に並べられてもよい。また、電極の配置および数も図示の形態に限られない。
【0029】
筐体22は、検査ステージ42、プローブユニット46、およびクロスフローファン50を収容する。筐体22は、内部空間を外部空間から閉鎖し、収容物が外部から見えないように保持する。もちろん、筐体22は、収容物が外部に開放され外部から視認可能な構造であってもよい。筐体22のパレット搬送装置60側の側壁には電池40の搬出入用のドア54が設けられている。筐体22内において、上方にプローブユニット46が配置され、その鉛直方向下方に検査ステージ42が配置される。両者の間には電池配列空間48が形成される。検査ステージ42の下側には、電池40の温度調整をするためのクロスフローファン50が取り付けられる。
【0030】
検査ステージ42は、検査対象となる複数の電池40を載置し支持するための支持テーブルである。本実施の形態では検査ステージ42は電池40を直接支持する代わりに、電池40を搭載したパレット52を支持することにより電池40を支持する。
【0031】
パレット52および電池40は、パレット搬送装置60により検査ユニット12に搬入または搬出される。パレット搬送装置60は、YZ面内で位置決めされる支持部と、その支持部をYZ面内で移動するための移動機構と、パレット52を搭載した状態で支持部からX方向に伸縮可能に構成されているアーム部と、を備え、X方向、Y方向、およびZ方向のそれぞれにパレット52を直線的に搬送する。
【0032】
パレット搬送装置60は検査ユニット12の外側のドア54に隣接する位置にパレット52を搬送し、アーム部をX方向に伸ばすことでドア54を通じてパレット52を検査ステージ42へと搬入する。パレット搬送装置60は各電池40が対応するプローブ44(後述)の直下に位置するようパレット52を検査ステージ42に載置する。
【0033】
プローブユニット46は、複数のプローブ44と、支持プレート45とを含む。プローブ44は、各電池40の電極41に接触して各電池40に電力を与える。複数のプローブ44は、複数の電池40の配列に対応する配列で設けられている。複数のプローブ44の配列に対応する配列で、複数の電池40が配置されているともいえる。プローブ44の数および配置間隔と電極41の数および配置間隔とは一致している。図示の例では2つの電極41を有する5個の電池が互いに側面を対向させて一列に並べられており、これに対応して5対のプローブ44が配列されている。なお、電池40の温度等その他の特性を測定するためのプローブが設けられていてもよい。
【0034】
各プローブ44は支持プレート45により支持されている。支持プレート45は検査ステージ42に対向して設けられており、各プローブ44はこの支持プレート45から検査ステージ42に向けて突き出している。支持プレート45の検査ステージ42とは反対側には、上述の計測回路34や昇降圧ユニット17等を含む各種電装品56を収容するための収容空間49が確保されている(
図3、5参照)。なお電装品56は検査ユニット12の筐体22の上面に露出して設けられていてもよい。X方向に関してドア54と反対側から、検査ユニット12を電源装置11に接続する電力ケーブル24および通信ケーブル25が引き出されている。
【0035】
検査ユニット12の移動機構は、電池40にプローブ44を接離させるよう検査ステージ42とプローブユニット46とを相対的に移動させる。本実施の形態では、プローブユニット46は位置が固定され、検査ステージ42が移動機構によって上下方向(Y方向)に移動する。検査ステージ42の移動によってパレット52とともに電池40が移動され、電池40の電極41とプローブ44とが接離される。検査ステージ42とともに、または検査ステージ42に代えて、プローブユニット46が移動可能とされてもよい。このようにして複数の電池40と複数のプローブ44とが相対的に前進または後退可能とされ、プローブ44に対する電池40の相対前進によって各プローブ44が対応する電池40に接続されるよう構成される。なお、移動機構は公知の技術を用いて構成されればよい。
【0036】
クロスフローファン50は電池列ごとに取り付けられている。クロスフローファン50は、電池40の配列方向に沿って配設されている。クロスフローファン50は送風口が電池40に対向して配置されており、
図5に示すように、横方向(Z方向)から空気を吸入して電池40へ向けて上方(Y方向)に送風する。クロスフローファン50の配列方向の長さは電池40の配列の長さに等しいかそれよりも長くされている。こうして各電池の直下にファンを設けることができるので、各電池周囲の空気流れ速度分布を共通にすることができる。なお、1つの電池列に対して複数のクロスフローファン50を電池配列方向に沿って設けてもよい。また、電池列が複数の場合には、1つのクロスフローファン50を複数列の電池で共有していてもよい。クロスフローファンに代えて、例えばファン、サーキュレータ、ブロア等の送風機が電池40の配列方向に沿って配設されていてもよい。
【0037】
検査ステージ42の内部には、クロスフローファン50から送出され各電池40に向かうエアフローを整流するための整流空間が形成されていてもよい。この空間を外部から区画するために、検査ステージ42は、電池40またはパレット52を支持するための電池支持プレートと、クロスフローファン50を取り付けるための取付プレートと、電池支持プレートと取付プレートとを両者の端部同士で接続する側面プレートとを備えてもよい。
【0038】
以上の構成を備える充放電検査装置10においては、まず電池40がパレット52に配列された状態でパレット搬送装置60によって検査ユニット12に搬入される。パレット搬送装置60は、プローブユニット46の各プローブ44の直下に各電池40の電極41が位置するよう検査ステージ42にパレット52を位置決めする(
図2)。検査ステージ42の移動機構によってパレット52および各電池40は鉛直方向上方に移動され、電極41のプローブ44への接触により電極41とプローブ44との電気的接続が確立される(
図4)。こうして検査の準備段階は完了する。
【0039】
コントローラ15の制御のもとで電池40の検査が実行される。検査項目ごとに電圧プロファイルまたは電流プロファイルが予め定められている。こうしたプロファイルに従ってコントローラ15は各電池40の充放電を制御する。それとともに、必要な計測項目についての計測値が取得される。計測値に基づいて検査が実行され、各電池40の例えば良否が判定される。検査が完了すると、搬入とは逆の流れで検査ユニット12からパレット52および電池40が搬出される。続いて、次に検査される電池40がパレット52に搭載されて検査ユニット12に搬入され、同様にして検査が実行される。あるいは次の電池を検査する代わりに、後述の清掃システム100を使用して、充放電検査装置10の清掃プロセスが実行される。
【0040】
次に、本実施の形態に係る清掃システム100を説明する。
図6から
図9は、清掃システム100を模式的に示す図である。
図6から
図9はそれぞれ、
図2から
図5に対応する。清掃システム100は、充放電検査装置10を清掃するための清掃ユニット102と、清掃ユニット102を搬送するための搬送装置104とを含む。
【0041】
清掃ユニット102は接触部108を備える。接触部108は、二次電池40に代えて複数のプローブ44の少なくとも1つに接触するための少なくとも1つの清掃部材106を含む。図示の例では、清掃ユニット102の上部が接触部108として構成されている。接触部108は例えば、清掃部材106を支持するための清掃部材支持プレートである。接触部108を含む清掃ユニット102の全体が検査ユニット12の電池配列空間48に収容可能な寸法に形成されている。
【0042】
より具体的には、清掃ユニット102は、搬送装置104のアーム部(後述)により位置決めされる際に検査ユニット12との干渉を避けるよう外形が形成されている。例えば、搬入される際に清掃ユニット102およびアーム部とプローブユニット46および検査ステージ42とが接触または衝突しないよう清掃ユニット102の寸法が規定されている。なお、清掃ユニット102の高さ低すぎると、すなわち清掃ユニット102のY方向の寸法が短かすぎると、検査ユニット12の移動機構によって検査ステージ42を介して上下方向(Y方向)に移動させられたときに、清掃部材106がプローブ44に接触できない。そこで、この点も考慮して清掃ユニット102の寸法を規定する。例えば、清掃ユニット102と清掃部材106とを合わせた高さが、電池40とその電極41とを合わせた高さと等しくなるようにすれば、清掃部材106は確実にプローブ44に接触する。
【0043】
清掃ユニット102は、ここでは、プローブ44と同じ数だけ設けられている。すなわち、清掃ユニット102は
図2から
図5に示したプローブに対応して5対設けられ、プローブ44の配列に適合する配列で配置されている。各清掃部材106は、粘着性を有するゴム材料によってシート状に形成される。
【0044】
搬送装置104は、清掃ユニット102を電池検査ユニット12の内部の所定の搬送位置に外部の収納場所から搬送するための自動搬送装置である。搬送装置104は、YZ面内で位置決めされる支持部と、その支持部をYZ面内で移動するための移動機構と、清掃ユニット102を搭載した状態で支持部からX方向に伸縮し、検査ユニット12に対して進退可能に構成されているアーム部と、を備え、X方向、Y方向、およびZ方向のそれぞれに清掃ユニット102を直線的に搬送する。搬送装置104は、清掃ユニット102を搬送するための専用の搬送装置であってもよいし、搬送装置104は上述のパレット搬送装置60であってもよい。
【0045】
搬送装置104は検査ユニット12の外側でドア54に隣接する位置にまず清掃ユニット102を搬送する。清掃ユニット102の搬送位置は、少なくとも1つの清掃部材106を複数のプローブ44の少なくとも1つに接触可能とする位置である。ここでは、搬送装置104は各清掃部材106が対応するプローブ44の直下に位置するよう清掃ユニット102を検査ステージ42に位置決めする。つまり、ここでの搬送位置は、5対すべての清掃部材106を5対すべてのプローブ44に接触可能とする位置である。こうして清掃ユニット102は搬送装置104から検査ユニット12に受け渡される。搬送装置104が専用の搬送装置である場合には、清掃ユニット102を受け渡した搬送装置104はそのまま待機していてもよい。搬送装置104がパレット搬送装置60である場合には、電池40の搬送のために搬送装置104は移動されてもよい。
【0046】
前述したように、検査ステージ42は移動機構によって上下方向(Y方向)移動する。検査ステージ42の移動によって清掃ユニット102は移動され、清掃ユニット102の清掃部材106とプローブ44とが接離される。このように、プローブ44と清掃部材106とは、二次電池40とプローブ44との相対移動方向と同方向の移動によって接離される。このとき、粘着性を有する清掃部材106によりプローブ44表面に付着した異物が引き剥がされる。なお、プローブ44と清掃部材106とを接触させる回数は1回であっても複数回であってもよい。実験によって最適な回数を定めればよい。また、接触させる時間も実験によって定めればよい。
【0047】
本実施例によると、搬送装置104によって清掃ユニット102を検査ユニット12内部の搬送位置に位置決めすることができる。清掃ユニット102の搬送の自動化を通じて作業者の負担軽減や清掃時間の短縮を図ることができる。プローブユニット46の各プローブ44と清掃ユニット102の各清掃部材106とで互いに位置関係を合わせておき、相対移動および接触により一度にプローブを清掃することができる。清掃処理の自動化を通じて清掃時間の短縮を図ることが可能となる。清掃処理に要する検査装置のダウンタイムが低減され、検査スループットを向上することができる。
【0048】
また、充放電検査装置10は複数の検査ユニット12を備えるため、清掃ユニット102が搬送装置104によって1つの検査ユニット12に受け渡され清掃プロセスを実行しているときに、他の検査ユニット12では電池検査を実行することができる。搬送装置104は清掃ユニット102を検査ユニット12に受け渡すことによりフリーな状態となり(即ち、電池40等の他の物品を搬送可能な状態となり)、搬送装置104を使用して他の検査ユニット12では電池検査を続行することができる。1つの検査ユニット12が清掃中であっても他の検査ユニット12により電池検査を実施または継続することのできる充放電検査システムまたは清掃システムが提供される。なお、他の検査ユニット12では搬送装置104とは別の搬送装置(例えばパレット搬送装置60)を使用して電池検査を実行してもよい。
【0049】
以上、本発明を実施例にもとづいて説明した。本発明は上記実施形態に限定されず、種々の設計変更が可能であり、様々な変形例が可能であること、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは、当業者に理解されるところである。
【0050】
(変形例1)
実施の形態では、清掃ユニット102はプローブ44と同じ数だけ設けられ、プローブ44の配列に適合する配列で配置されている場合について説明したが、これに限られない。例えば、複数の清掃部材106の一部がプローブ44の配列に適合する配列で形成されていてもよい。つまり清掃部材106は、プローブ44よりも多数であってもよい。
【0051】
また、複数のプローブ44に対応する比較的大きな清掃部材106を複数個設けてもよい。もちろん、接触部108全体を覆う、1個の清掃部材106を設けてもよい。これにより、プローブユニット46の設計変更によりプローブ44の数や配置が変更されても、清掃ユニット102の設計変更は不要となる。
【0052】
(変形例2)
実施の形態では、清掃部材106が粘着性を有するゴムシートである場合について説明したが、これに限られない。例えば、清掃ユニット102は、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの樹脂製の毛材や、真鍮、ステンレスなどの金属製の毛材により形成されたブラシであってもよい。この場合、検査ユニット12の移動機構によって、清掃部材106がプローブ44表面を摺動するよう清掃ユニット102を移動させればよい。これにより、プローブ44に付着した異物が引き剥がされる。
【0053】
また例えば、清掃部材106は、アルコールや所定の洗浄剤を染み込ませた、ウレタンなどの樹脂製のスポンジであってもよい。この場合も、移動機構によって、清掃部材106がプローブ44表面を摺動するよう清掃ユニット102を移動させればよい。これにより、プローブ44に付着した異物が拭き取られる。
【0054】
(変形例3)
実施の形態では、検査ユニット12の移動機構によって清掃部材106とプローブ44とを接触させる場合について説明したがこれに限られない。例えば、清掃ユニット102を検査ユニット12へと搬送する搬送装置によって清掃部材106とプローブ44とを接触させてもよい。
【0055】
図10は、変形例に係る清掃システム200を模式的に示す図である。清掃システム200は、充放電検査装置10を清掃するための清掃ユニット102と、清掃ユニット202を搬送するための搬送装置204とを含む。
【0056】
搬送装置204は、検査ユニット12の外側に配置される支持部210と、支持部210からX方向に伸縮し、検査ユニット12に対して進退可能に構成されているアーム部212と、を備える。支持部210は、Y方向およびZ方向に移動可能に構成される。アーム部212は、清掃ユニット102を支持部210から搬送位置へと直線的に移動させて位置決めする。清掃ユニット102はアーム部212に固定または載置されている。
【0057】
搬送装置204は清掃ユニットの収納場所から、検査ユニット12の外側のドア54に隣接する位置に清掃ユニット102を搬送する。搬送装置204はアーム部212を検査ユニット12の電池配列空間48へと伸ばすことにより、清掃ユニット102を検査ユニット12の搬送位置へと移動する。このとき、清掃部材106および清掃ユニット102と、プローブユニット46とが、干渉しないようにする。すなわち、これらの間にいくらか距離をとるように支持部210のY方向位置を定める。
【0058】
搬送装置204は各清掃部材106が対応するプローブ44の直下に位置するようアーム部212および清掃ユニット102を位置決めする。搬送装置204は支持部210を鉛直方向に移動させて、清掃ユニット102の清掃部材106をプローブユニット46のプローブ44に接触させる。これにより、プローブ44表面に付着した異物が引き剥がされる。