(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6209354
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】スタンドでの航空機駐機に関連して航空機を特定する方法
(51)【国際特許分類】
B64F 1/305 20060101AFI20170925BHJP
【FI】
B64F1/305
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-94327(P2013-94327)
(22)【出願日】2013年4月26日
(65)【公開番号】特開2013-230810(P2013-230810A)
(43)【公開日】2013年11月14日
【審査請求日】2016年4月25日
(31)【優先権主張番号】1250430-4
(32)【優先日】2012年4月30日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】513105867
【氏名又は名称】エフエムティー インターナショナル トレード アクティエボラーグ
【氏名又は名称原語表記】FMT INTERNATIONAL TRADE AB
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 恵
(72)【発明者】
【氏名】ペール サランダー
【審査官】
畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2009/0217468(US,A1)
【文献】
特開2008−146450(JP,A)
【文献】
特表平10−505562(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64F 1/305
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員用ブリッジ(1)又は荷積み用ブリッジを航空機のドアへ接続可能とするために、ゲート又はスタンドでの前記航空機の駐機に関連して航空機を特定する方法であって、
前記航空機と固定位置との間の距離の非接触計測を用いて、前記航空機は、所定位置に位置決め及び停止され、
前記距離は、前記航空機のパイロットの前に、空港ビルディング(7)上に取り付けられたディスプレイ(6)上に指示され、
前記ディスプレイ(6)に、前記航空機の停止点に関連した前記航空機(5)の位置を前記パイロットに示させると共に、現在の航空機タイプを示させ、
前記距離計測及びディスプレイは、前記空港に属するコンピュータシステム(20)により又は手動で駆動され、及び
アンテナ(16)に、前記航空機(5)により送信される情報(17)を受信させる方法にして、
前記航空機(5)により送信される前記情報(17)から、少なくとも、前記航空機の識別番号と、前記航空機の経度座標及び緯度座標が抽出され、
抽出された前記航空機(5)の前記識別番号に対する、航空機のタイプ及びバージョンに関する情報が、航空機の前記識別番号が格納されるデータベースから取得され、
前記情報は、前記ディスプレイ(6)のため、管制システム(18)に転送され、
前記管制システム(18)に、航空機が駐機すべきスタンドで、前記ディスプレイ(6)を制御させると共に、前記ディスプレイ上に、航空機のタイプ及びバージョンを指示させ、
前記ディスプレイ(6)の前で航空機(5)が検出されたとき、前記アンテナから受信される前記経度座標及び緯度座標の情報は、前記スタンド内で有効な座標と比較され、
これらが一致したとき、前記管制システム(18)に、前記識別番号に対応する前記航空機(5)が前記停止点に移動することを許容させる
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
自動従属性監視放送(ADS−B:Automatic Dependent Surveillance Broadcast)システムに基づいて、前記アンテナ(16)に、前記航空機(5)から送信される情報を受信させる
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記航空機が前記停止点で停止したとき、前記乗員用ブリッジ(1)に属する制御ユニット(15)に、前記航空機の前記ドアに接続する位置に前記乗員用ブリッジを位置づけるよう制御させる
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
現在のフライト番号が、前記航空機から送信される情報から抽出される
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタンドでの航空機のドッキング(docking)に関連して航空機を特定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの空港は、ターミナルビルディングから航空機へと接続され、これを介して乗員が航空機へ/から乗降する乗員用ブリッジを有する。これらの乗員用ブリッジには複数の異なるタイプがあるが、一つのタイプは、いわゆる移動テレスコープブリッジ(Mobile Telescopic Bridge (MTB))であり、多数の伸縮部品(telescopic parts)から成り、最外側の部分は、独立駆動されるホイールを備えるバギー(bogie)により支持される。このバギーを用いて、乗員用ブリッジは、空港の駐機場(airport apron tarmac)で、航空機へ/から操縦される(maneuvered)。乗員用ブリッジのターミナルビルディングへの接続点において、垂直軸周囲を旋回可能であって、地上に堅固に設置された支柱で支持されるロタンダ(rotunda)がある。乗員用ブリッジの最外側の部分には、乗員用ブリッジの最外側の伸縮構成要素に対して回転可能なキャビンがある。このキャビンは、航空機のドアへ接続されるよう配置される部分である。
【0003】
他のタイプは、キャビンに接続される外側の伸縮可能部分を備える固定取り付けブリッジであり、その内部部分は固定支持部材に接続される。
航空機を乗員用ブリッジにドッキングする際、ドッキングシステムから航空機への距離を、距離計測装置を備えて、非接触で計測することが知られている。通常、このドッキングシステムは、ターミナルビルディングに取り付けられる。さらに、航空機がこれに沿って停止点に向かって移動しようとする中心線に関して、航空機の位置を、パイロットに示すことが知られており、ここで上記キャビンは、航空機ドアに接続される。これらの装置は、ドッキングシステムに属する装置内に位置し、ディスプレイを備える。
このディスプレイは、中心線の延長に或いは独立した建造物上に、ターミナルビルディングの壁面までの一定距離で位置付けられる。
【0004】
距離計測は、パイロットに停止点を示すために使用される。この停止点は、異なる航空機に対して個別であってよく、従って使用される距離計測装置から多様な距離に位置してよい。停止点位置が例えばターミナルビルディングに近すぎて示されたことの結果として、例えば航空機の翼の一つが乗員ブリッジや他の物体に衝突することによる事故を回避するため、こうしたドッキングシステムは、ドッキングしようとする航空機がいかなるタイプ及びバージョンであるかを知り、またこれにより、とりわけ距離計測装置と航空機の特定部分との間の距離をも知るものと推定される。すなわち、例えば翼の位置決めは、ある種の航空機の多様なバージョンに亘り異なってよい。
【0005】
現代、距離測定に最も多く使用される技術は、距離計測レーザー(distance measuring lasers)である。
パイロットに中心線に関する航空機の位置を示すのに非常に共通の方法は、スウェーデン特許第8105509−7号に開示されるディスプレイが道標インディケータ(leading mark indicator)を備えるものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
航空機がその停止位置に停止した後、乗員用ブリッジのキャビンは、航空機ドアに接続されようとする。
スウェーデン特許第503 306号に、乗員用ブリッジを航空機に自動的に接続する方法が記載されている。
接続が完全に自動的に行われようとする場合、航空機のタイプ及びバージョンが確立され(established)なければならない。航空機機体に沿ったドアの配置は、同じタイプの航空機の異なるバージョンに亘って変わり得る。
【0007】
航空機のタイプ及びバージョンに関するデータは、管理又は中央コンピュータシステムへ入力され、通常、正確であると推定される。しかしながら、例えばデータシステムFIDS(Flight Information and Display System)などの中央コンピュータシステム内、及び/又は、例えばApron管理システムなどのローカルコンピュータシステム内のこうしたデータは、到着する航空機を駐機しようとするスタンドに割り当てるため使用されるものであるが、常に正確であるわけではない。
ある場合には、航空機のタイプ及びバージョンが管理システムへの接続なしにローカルに示され、こうした理由でデータの不正確な入力のリスクが現れる。
本発明は、上記の双方の課題を解決するためなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様によれば、以下が提供される。乗員用ブリッジ(1)又は荷積み用ブリッジを航空機のドアへ接続可能とするために、ゲート又はスタンドでの前記航空機の駐機に関連して航空機を特定する方法であって、前記航空機と固定位置との間の距離の非接触計測を用いて、前記航空機は、所定位置に位置決め及び停止され、前記距離は、前記航空機のパイロットの前に、例えば空港ビルディング(7)上に取り付けられたディスプレイ(6)上に指示され、前記ディスプレイ(6)に、前記航空機の停止点に関連した前記航空機(5)の位置を前記パイロットに示させると共に、現在の航空機タイプを示させ、前記距離計測及びディスプレイは、前記空港に属するコンピュータシステム(20)により又は手動で駆動され、及びアンテナ(16)に、前記航空機(5)により送信される情報(17)を受信させ、ここで、 前記情報(17)から、少なくとも、前記航空機の識別番号と、前記航空機の経度座標及び緯度座標が抽出され、特定の識別番号に対する、航空機のタイプ及びバージョンに関する情報が、航空機の前記識別番号が格納されるデータベースから取得され、前記情報は、前記ディスプレイ(6)のため、管制システム(18)に転送され、前記管制システム(18)に、航空機が駐機すべきスタンドで、前記ディスプレイ(6)を制御させると共に、前記ディスプレイ上に、航空機のタイプ及びバージョンを示させることを特徴とする方法。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】航空機と乗員用ブリッジとの概略平面図である。
【
図2】ドッキングする(docking)航空機のパイロットに情報を示すことを意図するディスプレイを示す図である。
【
図3】ドッキングする航空機のパイロットに情報を示すことを意図するディスプレイを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明が、より詳細に、部分的に添付図面と共に説明される。
本発明は、割り当てられたスタンドでの航空機の駐機に関連して、また乗員用ブリッジ1又は荷積み用ブリッジの、空港のスタンドでの航空機5のドア3,4への起こり得る接続に関連して、航空機を特定する方法である。
【0011】
航空機と固定点との間の距離の非接触型計測の公知の手法を使用して、航空機は、所定の位置に位置付けられて停止される。ここで、航空機のパイロットの前に、例えば空港ビルディング7上に取り付けられたディスプレイ6に、距離が示される。このディスプレイ6は、航空機の停止位置に関連して航空機5の位置をパイロットに示し、また現在の航空機のタイプ及びバージョンを示す。距離計測装置13及び上記ディスプレイ6は、空港に属するコンピュータシステムにより、或いは手動で、従来の方法で駆動される。さらに、乗員用ブリッジ1は、とりわけ乗員用ブリッジの移動を制御するよう配設される制御ユニット15を有する。
【0012】
距離計測に関して、これは通常IRレーザーシステムを使用して行われるが、カメラもまた使用され得る。このレーザーは、ディスプレイ6に関連して配設される。このレーザーは、水平面及び垂直面で段階的に異なる角度で計測パルスを発射し、これにより所定の測定値(measurement volume)を検知するよう配設され得る。この発射(emission)は、レーザーパルスが方向づけられる1又は複数の可動ミラーを備えるレーザーにより行われる。
【0013】
同様のレーザー技術を使用して航空機への計測を行う公知のシステムは、1つのソフトウエアを備え、これを使用して、到着する航空機へ向かって計測がされることが検証され得る。
航空機が到着しようとするとき、計測は、地上の複数の異なる高さゾーンで行われる。こうしたビームが反射した際、航空機が検出されたとみなされる。
しかしながら、上記の非接触型距離計測はまた、上記の中心線に関連して航空機の位置を計測することもなし得る。これは、配設された走査レーザーにより垂直に及び水平に、換言すれば二次元で走査することによりなし得る。
【0014】
図2において、上記の従来のディスプレイ6が概略的に示される。
図2及び
図3において、レーザーは、符号13として図示され、ウインドウ21から、レーザービームが発射及び受信される。符号8は、スウェーデン特許第8105509−1号による道標インディケータを参照し、これはモアレ技術(moire technology)上に構築されたものである。中心線に航空機が位置した際、パイロットは、道標インディケータ8上に垂直黒線9を見る。こうした公知のディスプレイ6はまた、テキストフィールド10を備え、このテキストフィールド10に、とりわけ現在のスタントに到着が予想される航空機のタイプ及びバージョンが提示される。さらに、こうしたディスプレイ6は、パイロットにアナログ方式でいかに速く停止点に接近しているかを示す1又は複数の発光カラム11、12を備える。
【0015】
こうした距離計測装置及びディスプレイは、空港に関して中心にある中央コンピュータシステムに接続され得、このシステム内に、とりわけ航空機のタイプ及びバージョンに関する情報、及びどこに航空機が駐機するかに関する情報が存在する。
パイロットがディスプレイ6に示される航空機のタイプ及びバージョンを受容した場合、上記のとおり、パイロットは、ディスプレイ6により指示される、航空機が駐機する停止点に、航空機をさらに前方に駆動する。パイロットがディスプレイ6により示される航空機タイプ及び/又はその航空機タイプの航空機バージョンが正確でないと理解する場合には、パイロットは、即時に航空機を停止しなければならない。
【0016】
誤った航空機タイプ及びバージョンが示されたにもかかわらずパイロットが航空機を駆動し続ける場合、上記の装置が、「STOP」と表示することにより、又は正確な航空機タイプ及びバージョンに変更することにより、これを回避しなければならない。
図3において、ディスプレイ6のテキストフィールドにテキスト「B 747−400」が表示されることが図示される。「B 747」は航空機タイプが「Boeing 747」であることを示し、「400」は、「747」のどのバージョンが意図されるかを示す。バージョンに依存して、ある場合における翼の配置のように、航空機機体上のドアの配置は変わり得る。
【0017】
航空機が停止点に到達したとき、
図2に示されるように、テキストフィールド10に示されるテキスト「STOP」が表示される。
上記のとおり、中央コンピュータシステムで、又は手動選択により指示された航空機のタイプ及びバージョンは、常に到着する航空機のタイプ及びバージョンと一致するとは限らず、これは事故のリスクをもたらす。航空機は、航空機により使用される通信システムに依存して変動する複数のパラメータを備える情報を送信する。しかしながらこの情報は、航空機に固有である航空機識別番号を備え、これを使用することにより、正確な航空機タイプ及びバージョンを、データベースから取得することができる。さらに、この情報は、フライト番号や高度などを備え得る。空港のアンテナ16は、
図4に示されるように、航空機から送信されるこうした情報17を受信する。
【0018】
航空機は、この情報を均一な間隔で送信し得る。さらに、航空機は、空港又は空港管制から送信される要求信号の形式での要求に基づき、この情報を送信するよう構成され得る。
本発明によれば、アンテナにより受信される情報、少なくとも識別番号から、航空機の経度座標及び緯度座標が抽出される。好適には、これらの座標は、GPS(Global Positioning System)を使用して公知の手法で確立される。現在の航空機タイプ及びバージョンに関する情報は、
図4に示されるように、航空機の識別番号を格納するデータベースから取得され、上記管制システム18へ送信される。その後、管制システムは、航空機が駐機しようとするゲート又はスタンドで上記ディスプレイ6を制御して、ディスプレイ上のテキストフィールド10に航空機のタイプ及びバージョンを示す。
【0019】
好適な実施形態によれば、現在のフライト番号が、航空機により送信される情報から抽出され得る。
このモードの手順により、正確な航空機タイプ及びバージョンがディスプレイ上に指示されること、及び距離計測装置が航空機に正確な停止点を指示することが、保証される。
好適には、
図4のアンテナ16は、自動従属性監視放送(ADS−B:Automatic Dependent Surveillance Broadcast)システムに基づいて航空機から送信される情報17を受信する。このシステムに従って、航空機は、無指向性(non-directional)の方法で、この情報を送信する。これにより、上記アンテナ16は、空港内の全ての航空機と通信することを共通にし得る。航空機は、周波数1090MHzで送信する。
【0020】
特に好適な実施形態によれば、航空機が上記ディスプレイの前で検出された場合、上記アンテナからの情報は、上記スタンド内或いは中心線周囲及びこれに沿った狭い領域内で有効な座標と比較され、一致した場合に、ディスプレイ6に属する管制システム18は、航空機が停止点に移動することを許容する。
本実施形態が示唆するところによれば、航空機の識別番号が、航空機の経度座標及び緯度座標を含む情報の一部であるため、特定のゲートにドッキングしようとする航空機が停止点に向かって進んでいることの確認が受信される。
【0021】
好適には、上記の距離計測装置及びディスプレイの制御のため、予想される航空機タイプ及びバージョンに関する情報は、上記中央コンピュータシステム20から取得され得る。
異なる航空機タイプ及びバージョンでの航空機ドアの位置への上記アクセスは、管制システム18に属するメモリに存在してもよく、又は、中央コンピュータシステム20に属するデータベース14から管制システム18により取得されてもよい。
【0022】
航空機が停止点に停止した際に、好適な実施形態によれば、乗員用ブリッジ1に属する制御ユニット15を介して、コンピュータシステムは、乗員用ブリッジを、航空機のドアにこれを接続する位置に方向づける。本発明によれば、航空機がどのタイプ及びバージョンに属するかが、航空機がどこに駐機するかと同様に、確立される(established)ため、このことが非常に高度のセキュリティで達成され得る。
【0023】
上記に、多数の実施形態を説明した。しかしながら、本発明は、無線通信や、協働するデータベース及びコンピュータシステムがどれか、に関して修正され得る。
従って、本発明は、上記の実施形態に限定されることはなく、添付クレームの範囲内で変更され得る。