特許第6209410号(P6209410)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ケーブイケーの特許一覧

<>
  • 特許6209410-カラー及び配管補助具 図000002
  • 特許6209410-カラー及び配管補助具 図000003
  • 特許6209410-カラー及び配管補助具 図000004
  • 特許6209410-カラー及び配管補助具 図000005
  • 特許6209410-カラー及び配管補助具 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6209410
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】カラー及び配管補助具
(51)【国際特許分類】
   F16L 5/00 20060101AFI20170925BHJP
   F16B 7/18 20060101ALI20170925BHJP
   E03C 1/02 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   F16L5/00 K
   F16B7/18 A
   E03C1/02
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-198713(P2013-198713)
(22)【出願日】2013年9月25日
(65)【公開番号】特開2015-64066(P2015-64066A)
(43)【公開日】2015年4月9日
【審査請求日】2016年3月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000242378
【氏名又は名称】株式会社ケーブイケー
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】藤城 達也
【審査官】 礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−219981(JP,A)
【文献】 実開昭61−052784(JP,U)
【文献】 特許第4713910(JP,B2)
【文献】 特開2001−207492(JP,A)
【文献】 特開平09−060068(JP,A)
【文献】 特開2011−058619(JP,A)
【文献】 特開2006−307962(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0084937(US,A1)
【文献】 実開平06−038774(JP,U)
【文献】 特開2004−308772(JP,A)
【文献】 特開2008−039047(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 5/00 − 5/14
E03C 1/00 − 1/10
F16B 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルの貫通孔に嵌合されるカラーにおいて、
パイプ材を受けるための受け部が設けられた環状のフランジと、前記貫通孔の内周面に対向し、前記フランジの位置を規制する規制部とを備え、
前記規制部をフランジの軸心を中心として異なった円周上に設けられた複数の規制突起によって構成し、最内周位置の規制突起を除く他の位置の規制突起を最内周位置の規制突起よりも切除が容易な形状にし
前記フランジにおける前記他の位置の規制突起のまわりの表面部を、前記最内周位置の規制突起のまわりの表面部より凹ませたカラー。
【請求項2】
前記フランジにネジ挿通孔を設けた請求項1に記載のカラー。
【請求項3】
前記受け部を環状の雄ネジによって構成した請求項1または2に記載のカラー。
【請求項4】
前記最内周位置の規制突起を規制板によって形成するとともに、他の位置の規制突起を規制板よりも断面積が小さな規制ピンによって形成した請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載のカラー。
【請求項5】
前記フランジにおける規制ピンのまわりの表面部を、規制板のまわりの表面部より凹ませた請求項4に記載のカラー。
【請求項6】
請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載のカラーと、そのカラーの受け部に支持され、前記パイプ材を支持するための支持部を有する筒状のアダプタとを備えた配管補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば床板等のパネルに形成された貫通孔を通して通水管を配管する場合等において、止水栓を支持したり、通水管を外周側から保護したりするパイプ材を受けるために、パネルの貫通孔に嵌合されるカラー、及びそのカラーを備えた配管補助具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のカラーを備えた配管構造としては、例えば特許文献1に開示された構成が提案されている。この従来構成においては、床板に形成された貫通孔にカラーが嵌合されている。カラー上にはパイプ材が立設され、そのパイプ材の上端には止水栓が支持されている。カラー及びパイプ材の中心部には通水管が挿通され、その通水管の上端部が止水栓に接続されている。
【0003】
前記カラーには、床板の上面に接合する環状のフランジと、パイプ材を受けるためにフランジの上面に突設された円筒状の受け部と、床板の貫通孔の内周面と対向するようにフランジの下面に突設されて、カラーの位置を決めるための円筒状の規制部とが設けられている。そして、規制部が床板の貫通孔に嵌挿されて、その貫通孔の内周面に対向配置されることにより、貫通孔に対するフランジの位置が規制されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4713910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この種の配管構造では、施工現場において作業者によりホールカッタやドリル等の工具を用いて、床板に貫通孔が形成される。この場合、作業者が用いる工具は、大きさや種類が様々であるため、貫通孔の孔径にバラツキを生じることが多い。しかしながら、前記従来構成の配管構造で用いられるカラーにおいては、フランジの下面に所定外径の円筒状の規制部が突設されているに過ぎないので、この貫通孔の孔径のバラツキに対処することができないという問題があった。
【0006】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、パネルの貫通孔の孔径にバラツキが存在する場合でも、その孔径のバラツキに容易に対処することができるカラー及び配管補助具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、このカラー及び配管補助具は、パネルの貫通孔に嵌合されるカラーにおいて、パイプ材を受けるための受け部が設けられた環状のフランジと、前記貫通孔の内周面に対向し、前記フランジの位置を規制する規制部とを備え、前記規制部をフランジの軸心を中心として異なった円周上に設けられた複数の規制突起によって構成し、最内周位置の規制突起を除く他の位置の規制突起を最内周位置の規制突起よりも切除が容易な形状にし、前記フランジにおける前記他の位置の規制突起のまわりの表面部を、前記最内周位置の規制突起のまわりの表面部より凹ませたことを特徴としている。
【0008】
従って、このカラーにおいては、パネルの貫通孔の孔径にバラツキが存在する場合でも、異なった円周上に設けられた複数の規制突起のうちで、貫通孔の孔径よりも大きな円周上に位置する規制突起を切除することにより、貫通孔の孔径のバラツキに容易に対処することができる。この場合、最内周位置の規制突起を除く他の位置の規制突起が切除の容易な形状になっているため、工具等を用いることなく規制突起の切除を簡単に行うことができる。そして、残された最外周位置の規制突起が貫通孔の内周面に対向配置されることにより、フランジを貫通孔に対して所定位置に好適に装着することができる。
【0009】
また、この配管補助具は、前記のような構成のカラーと、そのカラーの受け部に支持され、前記パイプ材を支持するための支持部を有する筒状のアダプタとを備えたことを特徴としている。
【0010】
従って、この配管補助具においては、径の異なったパイプ材を使用する場合でも、アダプタをパイプ材の径と適合する支持部を備えたものと変更することにより、カラーを共通部品としてそのまま使用することができる。
【発明の効果】
【0011】
前記のカラー及び配管補助具によれば、パネルの貫通孔の孔径にバラツキが存在する場合でも、その孔径のバラツキに容易に対処して所定位置に装着することができるという効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施形態のカラーを用いた配管構造を示す要部断面図。
図2図1のカラーを示す平面図。
図3】同カラーの正面図。
図4】同カラーの底面図。
図5図2の5−5線における拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、カラー及びそれを用いた配管構造の一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、この実施形態の配管構造においては、床板等のパネル11に貫通孔12が形成され、その貫通孔12には配管補助具13が取り付けられている。配管補助具13は、貫通孔12に嵌合されるカラー14と、そのカラー14上に装着された円筒状のアダプタ15とを備えている。アダプタ15の下部には雌ネジ151が形成されるとともに、上部には小径の支持部152が形成されている。アダプタ15の支持部152にはパイプ材16が立設固定され、そのパイプ材16の上端には図示しない止水栓が支持されている。配管補助具13及びパイプ材16の中心部には通水管17が挿通され、その通水管17の上端部が前記止水栓に接続されている。カラー14内には、パッキン18、パッキン受け19及び通水管ホルダ20が配設されている。
【0014】
図1図3に示すように、前記カラー14には、パネル11の上面に位置する環状のフランジ21が設けられている。フランジ21の上面には、前記アダプタ15の雌ネジ151に螺合可能な雄ネジよりなる円環状の受け部22が突出形成されている。フランジ21には、複数(実施形態では3つ)のネジ挿通孔23が等角度間隔をおいて透設されている。そして、パネル11上にパッキン24を介してフランジ21が接合された状態で、これらのネジ挿通孔23を介してパネル11にネジ25が螺入されることにより、フランジ21がパネル11に対して固定されるようになっている。
【0015】
図1及び図3図5に示すように、前記フランジ21の下面には、貫通孔12の内周面に対向して貫通孔12に対するフランジ21の位置を規制するための規制部26が設けられている。この規制部26は、フランジ21の軸心を中心として異なった円周上に設けられた複数種(実施形態では内周位置と外周位置との2種)の板状の規制突起(以下、規制板という)27及びピン状の規制突起(以下、規制ピンという)28によって構成されている。最内周位置の規制板27を除く他の位置の規制突起、つまり外周位置の規制ピン28は最内周位置の規制板27よりも切除が容易な形状となるように構成されている。
【0016】
この実施形態では、内周位置の規制板27が、フランジ21の軸心を中心とした一円周上に沿って等角度間隔をおいて配列された複数(実施形態では3つ)の円弧状の板によって形成されている。これに対して、外周位置の規制ピン28が、内周位置の規制板27における円周と同心でそれより大径の円周上に沿って等角度間隔をおくとともに、内周位置の規制板27に対して交互に位置するように配列された複数(実施形態では3つ)のピンによって形成されている。つまり、外周位置の規制ピン28が内周位置の規制板27に比較して小断面積となっているため、容易に切除できるようになっている。
【0017】
図4及び図5に示すように、前記フランジ21の下面における外周位置の各規制ピン28の突出部のまわりの表面部は、各規制板27のまわりを含む他の表面部より受け部22側に凹んで位置するように構成されている。すなわち、フランジ21の下面における各規制ピン28のまわりの表面部には、底面扇形状の凹部29が形成されている。そして、この凹部29内から規制ピン28が突出されることによって、各規制ピン28の基端部が凹部29以外の部分より図5の上方側に位置するように構成されている。これにより、規制ピン28が基端側に一部を残して切除された場合でも、その規制ピン28の残り部分がフランジ21における裏面より突出することがなく、規制ピン28の残り部分がパネル11の上面と干渉することが防止されるようになっている。
【0018】
次に、前記のように構成されたカラー及び配管補助具を用いて、通水管を配管する場合の作用を説明する。
床面等のパネル11を貫通して通水管17を配管する場合には、作業者は、ホールカッタやドリル等の任意の工具を用いて、パネル11の所定箇所に貫通孔12を形成する。このとき、使用する工具の大きさや種類の相違等によって、貫通孔12の孔径にバラツキが生じ易い。一方、カラー14及びアダプタ15を、雄ネジよりなる受け部22と雌ネジ151との螺合により組み付けて、配管補助具13を予め構成しておく。また、カラー14内にはパッキン18、パッキン受け19及び通水管ホルダ20を組み込む。
【0019】
この状態で、配管補助具13のカラー14をパネル11の貫通孔12に上方から装着するとともに、カラー14のフランジ21とパネル11との間にはパッキン24を介在させる。このとき、貫通孔12の孔径が外周位置の規制ピン28の配列円周径よりも大きい場合には、規制ピン28を切除することなく、そのままの状態で規制ピン28及び内周位置の規制板27よりなる規制部26を貫通孔12内に挿通する。すると、フランジ21の下面がパッキン24を介してパネル11の上面に接合される。それとともに、規制部26によって貫通孔12に対するフランジ21の位置が規制される。
【0020】
一方、前記貫通孔12に対するカラー14の嵌合装着に際して、貫通孔12の孔径が外周位置の規制ピン28の配列円周径よりも小さい場合には、各規制ピン28を基端から折取ったり、切断したりして切除する。この場合、外周位置の規制ピン28が内周位置の規制板27に比較して、断面積が小さい切除の容易な形状になっているため、規制ピン28を簡単に切除することができる。また、各規制ピン28の基端部が凹部29に配置されている。このため、規制ピン28が基端側の一部を残して切除されることがあっても、その規制ピン28の残り部分がフランジ21の下面における表面部より突出しないようにできる。従って、規制ピン28の残り部分がパネル11の上面と干渉するおそれはない。
【0021】
そして、図1に示すように、内周位置の規制板27を貫通孔12内に挿通すると、フランジ21の下面がパッキン24を介してパネル11の上面に接合されるとともに、規制板27が貫通孔12の内周面に対向配置されて、貫通孔12に対するフランジ21の位置が規制される。
【0022】
以上の位置規制状態で、フランジ21上の各ネジ挿通孔23を介してパネル11にネジ25を螺入すれば、フランジ21がパネル11に対して固定される。その後、配管補助具13におけるアダプタ15の支持部152上にパイプ材16を立設固定する。さらに、配管補助具13及びパイプ材16に通水管17を挿通するとともに、その通水管17の上端に接続された図示しない止水栓をパイプ材16の上端に支持すれば、通水管17の配管作業が終了する。
【0023】
従って、この実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1) この実施形態のカラーにおいては、環状のフランジ21の下面に、貫通孔12の内周面に対向し、フランジ21の位置を規制する規制部26が備えられている。前記規制部26がフランジ21の軸心を中心として異なった円周上に設けられた複数の規制板27及び規制ピン28によって構成されている。外周位置の規制ピン28が切除の容易な形状となるように構成されている。
【0024】
このため、このカラーにおいては、パネル11の貫通孔12の孔径にバラツキが存在する場合、規制ピン28を残したり、切除したりすることにより、貫通孔12の孔径のバラツキに容易に対処することができる。
【0025】
(2) この実施形態のカラーにおいては、前記フランジ21にネジ挿通孔23が設けられている。このため、フランジ21をパネル11の貫通孔12に対して所定位置に規制した状態で、ネジ挿通孔23を介してパネル11にネジ25を螺合させることにより、フランジ21をパネル11に対して堅固に固定することができる。
【0026】
(3) この実施形態のカラーにおいては、前記受け部22が環状の雄ネジによって構成されている。このため、パイプ材16または配管補助具13のアダプタ15に形成された雌ネジ151を雄ネジよりなる受け部22に螺合させることにより、パイプ材16及びアダプタ15を受け部22に対して容易に装着することができる。また、アダプタ15を上部側の径が異なるものに変更すれば、径の異なるパイプ材16を支持できる。
【0027】
(4) この実施形態のカラーにおいては、前記規制部26が規制板27と規制ピン28とによって形成されている。このため、断面積を変化させるという簡単な形状構成によって、規制板27と規制ピン28との間に切除の容易性の差異を付けることができる。
【0028】
(5) この実施形態のカラーにおいては、規制ピン28がフランジ21の凹部29内に位置している。このため、規制ピン28が基端側に一部を残して切除された場合でも、その規制ピン28の残り部分がフランジ21の下面より突出することがなく、残り部分とパネル11との干渉を避けて、フランジ21をパネル11の上面に良好に接合配置することができる。
【0029】
(6) この実施形態の配管補助具においては、前記のような構成のカラー14と、そのカラー14の受け部22に支持され、前記パイプ材16を支持するための支持部152を有する筒状のアダプタ15とが備えられている。このため、この配管補助具においては、径の異なったパイプ材16を使用する場合でも、アダプタ15をパイプ材16の径と適合する支持部152を備えたものと変更することにより、カラー14を共通部品としてそのまま使用することができる。
【0030】
(変更例)
なお、この実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 外周位置の規制ピン28を2つ以上の複数の異なった円周上に配置すること。
【0031】
・ 内周位置の規制板27の数を1または2にしたり、4以上の複数にしたりすること。規制板27の数が1の場合は、360度の範囲を有することが可能になる。
・ 1円周上の規制ピン28の数を2または4つにすること。
【0032】
・ パネル11とフランジ21との間に介在されるパッキン24をフランジ21の下面に接着等で予め固定すること。
【符号の説明】
【0033】
11…パネル、12…貫通孔、13…配管補助具、14…カラー、15…アダプタ、152…支持部、16…パイプ材、17…通水管、21…フランジ、22…受け部、23…ネジ挿通孔、25…ネジ、26…規制部、27…規制板、28…規制ピン、29…凹部。
図1
図2
図3
図4
図5