(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光レセプタクル本体は、前記複数の第1光学面で入射した光を前記複数の第2光学面に向かって反射させるか、前記複数の第2光学面で入射した光を前記複数の第1光学面に向かって反射させるための反射面をさらに有する、請求項1に記載の光モジュール。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
(光モジュールの構成)
図1A,Bは、本発明の一実施の形態に係る光モジュール100の構成を示す図である。
図1Aは、光モジュール100の平面図であり、
図1Bは、
図1Aに示されるA−A線の断面図である。なお、
図1Bでは、光レセプタクル130内の光路を示すために光レセプタクル130の断面へのハッチングを省略している。
【0014】
図1A,Bに示されるように、光モジュール100は、基板112および発光素子114を含む基板実装型の光電変換装置110と、光伝送体121を保持するフェルール120と、光レセプタクル本体131および2つの支持部132を有し、発光素子114と光伝送体121の端面とを光学的に接続させる光レセプタクル130と、光電変換装置110の基板112に対してフェルール120および光レセプタクル130を固定するための貫通孔140と、貫通孔140に充填された接着剤150と、を有する。光モジュール100では、光電変換装置110(基板112)上に光レセプタクル130が接着剤150により固定(接着)されるとともに、光レセプタクル130に光伝送体121を保持したフェルール120が接着剤の硬化物150により固定される。これにより、光モジュール100は、発光素子114および光伝送体121が光学的に接続された状態で使用される。
【0015】
光電変換装置110は、基板112および複数の発光素子114を有する。基板112は、板状の部材である。基板112上には、複数の発光素子114が配列されている。また、基板112には、フェルール120および光レセプタクル130が接着剤により固定(接着)される。基板112上における発光素子114の配列態様は、特に限定されない。本実施の形態では、発光素子114は、基板112の表面に対して垂直方向にレーザー光を出射するように、基板112上に一列に配置されている。発光素子114は、例えば垂直共振器面発光レーザー(VCSEL)である。
【0016】
図2A〜Dは、フェルール120の構成を示す図である。
図2Aは、フェルール120の平面図であり、
図2Bは、正面図であり、
図2Cは、背面図であり、
図2Dは、右側面図である。
図2Aおよび
図2Dでは、一点鎖線で光伝送体121を示している。
【0017】
図2A〜Dに示されるように、フェルール120は、複数の光伝送体121を保持する。フェルール120は、所定の厚みを有する略矩形の部材であり、光レセプタクル130の背面側(光レセプタクル本体131の背面)に固定されている。フェルール120は、挿入口122、凹部123、2つの第1切り欠き溝124および2つの第2切り欠き溝125を有する。フェルール120は、例えば、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂やPPSTなどの熱可塑性樹脂を用いて射出成形(必要に応じてトランスファー成形)により成形されうる。
【0018】
挿入口122には、光伝送体121が挿入される。挿入口122の形状は、光レセプタクル130から出射される光を受光できるように光伝送体121を保持することができれば、特に限定されない。挿入口122は、貫通孔であってもよいし、有底の凹部であってもよい。本実施の形態では、挿入口122は、フェルール120の正面および背面に開口した、基板112の表面と平行な貫通孔である。また、挿入口122の数および配列態様も特に限定されない。本実施の形態では、挿入口122は、一列に光伝送体121の数(12個)と同じ数配置されている。
【0019】
凹部123は、光レセプタクル130に対してフェルール120を位置決めする。凹部123の形状は、光レセプタクル130に配置された突起136と相補的な形状である。また、凹部123の数は、突起136の数と同じである。本実施の形態では、凹部123は、配列された挿入口122を両端から挟むように、2つ配置されている。
【0020】
2つの第1切り欠き溝124は、支持部132の先端部側の両側面に配置されている。第1切り欠き溝124は、フェルール120を側面視した場合、挿入口122の軸方向に直交する方向に沿って配置されている(
図2D参照)。第1切り欠き溝124の基板112の表面と平行な断面の形状は、1/2円(半円)である。第1切り欠き溝124は、光モジュール100において、後述の第3切り欠き溝137と対向するように配置される。第1切り欠き溝124は、光モジュール100において、第3切り欠き溝137とともに第1貫通孔141を構成する。
【0021】
2つの第2切り欠き溝125は、光レセプタクル本体131側(支持部132の基端部側)の側面の両端部に配置されている。第2切り欠き溝125は、フェルール120を側面視した場合、挿入口122の軸方向に直交する方向に沿って配置されている(
図2D参照)。第2切り欠き溝125の基板112の表面と平行な断面の形状は、1/4円(扇形)である。第2切り欠き溝125は、光モジュール100において、後述の第4切り欠き溝138と対向するように配置される。第2切り欠き溝125は、光モジュール100において、第4切り欠き溝138とともに第2貫通孔142を構成する。
【0022】
光伝送体121は、光レセプタクル130から出射される光を受光する。光伝送体121の端部は、フェルール120に保持される。これにより、光伝送体121は、光レセプタクル130から出射される光を受光可能な位置に配置される。光伝送体121の数および配列態様は、特に限定されない。本実施の形態では、光伝送体121は、光レセプタクル130から出射された光を受光するように、基板112の表面と平行に、一列に12個配置されている。光伝送体121の種類は、特に限定されず、光ファイバー、光導波路などが含まれる。本実施の形態では、光伝送体121は、光ファイバーである。光ファイバーは、シングルモード方式であってもよいし、マルチモード方式であってもよい。
【0023】
図3は、一実施の形態に係る光レセプタクル130の構成を示す図である。
図3Aは、光レセプタクルの平面図であり、
図3Bは、底面図であり、
図3Cは、正面図であり、
図3Dは、背面図であり、
図3Eは、右側面図である。
【0024】
図3A〜Eに示されるように、光レセプタクル130は、平面視したときに角型のU字(コ字)形状の部材である。光レセプタクル130は、光レセプタクル本体131および2つの支持部132を有する。光レセプタクル本体131および支持部132は、第2光学面135から出射される光の光軸と平行な面を対称面として面対称の形状である。
【0025】
光レセプタクル本体131は、透光性を有し、発光素子114から出射された光を入射し、光伝送体121の端面に向けて出射する。光レセプタクル本体131は、略直方体の形状である。光レセプタクル本体131は、複数の第1光学面(入射面)133、第3光学面(反射面)134、複数の第2光学面(出射面)135および2つの突起136を有する。光レセプタクル本体131は、光通信に用いられる波長の光に対して透光性を有する材料を用いて形成される。そのような材料の例には、ポリエーテルイミド(PEI)や環状オレフィン樹脂などの透明な樹脂が含まれる。また、光レセプタクル本体131は、例えば射出成形により製造されうる。
【0026】
第1光学面133は、発光素子114から出射されたレーザー光を屈折させて光レセプタクル本体131の内部に入射させる入射面である。第1光学面133の数および配列態様は、特に限定されない。複数の第1光学面133は、1列に配列されていてもよいし、2列以上に配列されていてもよい。本実施の形態では、第1光学面133は、光レセプタクル本体131の底面側に、発光素子114とそれぞれ対向するように一列に12個配列されている。第1光学面133の形状は、特に限定されない。本実施の形態では、第1光学面133の形状は、発光素子114向かって凸状の凸レンズ面である。また、第1光学面133の平面視形状は、円形である。第1光学面133の中心軸は、発光素子114の発光面(および基板112の表面)に対して垂直であることが好ましい。また。第1光学面133の中心軸は、発光素子114から出射されたレーザー光の光軸と一致することが好ましい。第1光学面133(入射面)で入射した光は、第3光学面134(反射面)に向かって進行する。
【0027】
第3光学面134は、第1光学面133で入射した光を第2光学面135に向けて反射させる反射面である。第3光学面134は、光レセプタクル本体131の底面から天面に向かうにつれて、光伝送体121に近づくように傾斜している。発光素子114から出射される光軸に対する第3光学面134の傾斜角度は、特に限定されない。本実施の形態では、第3光学面134の傾斜角度は、第1光学面133で入射した光の光軸に対して45°である。第3光学面134の形状は、特に限定されない。本実施の形態では、第3光学面134の形状は、平面である。第3光学面134には、第1光学面133で入射した光が、臨界角より大きな入射角で入射する。第3光学面134は、入射した光を第2光学面135に向かって全反射させる。すなわち、第3光学面134(反射面)では、所定の光束径の光が入射して、所定の光束径の光が第2光学面135(出射面)に向かって出射する。
【0028】
第2光学面135は、第3光学面134で全反射した光を光伝送体121の端面に向けて出射させる出射面である。第2光学面135の数および配列態様は、特に限定されない。複数の第2光学面135は、1列に配列されていてもよいし、2列以上に配列されていてもよい。本実施の形態では、第2光学面135は、光レセプタクル本体131の背面に、光伝送体121の端面とそれぞれ対向するように一列に12個配置されている。第2光学面135の形状は、特に限定されない。本実施の形態では、第2光学面135の形状は、光伝送体121の端面に向かって凸状の凸レンズ面である。これにより、第3光学面134で反射した所定の光束径の光を光伝送体121の端面に効率良く接続させることができる。第2光学面135の中心軸は、光伝送体121の端面の中心軸と一致していることが好ましい。
【0029】
2つの突起136は、光レセプタクル本体131の背面に配置されている。2つの突起136は、それぞれ凹部123に対応する位置に配置されている。光レセプタクル本体131の2つの突起136に、光伝送体121を保持しているフェルール120の2つの凹部123をそれぞれ嵌合させることで、光レセプタクル本体131に対して光伝送体121を位置決めできる。
【0030】
支持部132は、略直方体であり、光レセプタクル本体131の背面に固定したフェルール120の両側に配置されている。支持部132の基端(正面)は、光レセプタクル本体131の両端部にそれぞれ接続されている。すなわち、支持部132は、第2光学面135から出射される光の光軸と同じ向きに配置されている。支持部132は、光レセプタクル本体131と同じ透光性の材料を用いて形成されてもよいし、光レセプタクル本体131と異なる非透光性の材料で形成されていてもよい。例えば、支持部132は、光レセプタクル130と同じ材料で、射出成形により一体として製造されうる。支持部132は、2つの第3切り欠き溝137および2つの第4切り欠き溝138を有する。
【0031】
第3切り欠き溝137は、支持部132の先端部であって、支持部132のフェルール120側の側面に配置されている。具体的には、第3切り欠き溝137の位置は、第2光学面135から出射される光の光軸方向において、支持部132の先端から第1光学面133の中心までの距離のうち、支持部132の先端から20%の距離までに配置されていることが好ましい。第3切り欠き溝137の第2光学面135から出射される光と同じ方向の断面形状は、特に限定されない。本実施の形態では、第3切り欠き溝137の基板112の表面と平行な断面の形状は、1/2円(半円)である。第3切り欠き溝137は、光モジュール100において、前述の第1切り欠き溝124と対向するように配置される。また、第3切り欠き溝137は、光モジュール100において、第1切り欠き溝124とともに第1貫通孔141を構成する。
【0032】
第4切り欠き溝138は、支持部132のフェルール120側の側面であって、光レセプタクル本体131および支持部132の接続部に配置されている。第4切り欠き溝138の第2光学面135から出射される光の光軸と同じ方向の断面形状は、特に限定されない。本実施の形態では、第4切り欠き溝138の基板112の表面と平行な断面の形状は、3/4円(扇形)である。第4切り欠き溝138は、光モジュール100において、前述の第2切り欠き溝125と対向するように配置される。また、第4切り欠き溝138の内面は、光モジュール100において、第2切り欠き溝125とともに第2貫通孔142を構成する。
【0033】
光モジュール100の説明に戻る。貫通孔140は、フェルール120および光レセプタクル130を基板112に実装(固定)するために、接着剤を貯留される。このため、貫通孔140には、接着剤の硬化物150が充填されている。
図1Aに示されるように、貫通孔140は、2つの第1貫通孔141および2つの第2貫通孔142を有する。光レセプタクル130に対してフェルール120を固定することで、第1切り欠き溝124および第3切り欠き溝137が第1貫通孔141を構成し、第2切り欠き溝125および第4切り欠き溝138が第2貫通孔142を構成する。
【0034】
第1貫通孔141は、フェルール120および支持部132の境界に配置されている。第1貫通孔141の内面は、第1切り欠き溝124の内面および第3切り欠き溝137の内面を有する。第1貫通孔141のフェルール120側の内面が第1切り欠き溝124の内面であり、第1貫通孔141の支持部132側の内面が第3切り欠き溝137の内面である。第1貫通孔141は、支持部132の先端部に配置されている。具体的には、第1貫通孔141は、第2光学面135および複数の光伝送体121の間の光の光軸方向において、支持部132の先端から第1光学面133の中心までの距離D1うち、支持部132の先端から20%の距離D2までに配置されていることが好ましい(
図1A参照)。第1貫通孔141の形状は、特に限定されない。本実施の形態では、第1貫通孔141の形状は、円柱形状である。第1貫通孔141の開口部の大きさは、特に限定されない。第1貫通孔141の開口部の大きさは、光レセプタクル130およびフェルール120の材料や大きさ、充填する接着剤の特性によって、適宜設定すればよい。また、接着剤は、光電変換装置110(基板112)上に光レセプタクル130を変形させないように、接着することができれば特に限定されない。たとえば、接着剤は、第1貫通孔141に充填される充填材や第1貫通孔141にシール材を詰め込むようにしたものであってもよい。また、公知の熱硬化性のエポキシ樹脂接着剤や紫外線硬化性の樹脂接着剤などを用いることもできる。
【0035】
第2貫通孔142は、フェルール120、支持部132および光レセプタクル本体131の境界に配置されている。第2貫通孔142の内面は、第2切り欠き溝125の内面および第4切り欠き溝138の内面を有する。第2貫通孔142のフェルール120側の内面が第2切り欠き溝125の内面であり、第2貫通孔142の支持部132側の内面が第4切り欠き溝138の内面である。第2貫通孔142の形状は。特に限定されない。本実施の形態では、第2貫通孔142の形状は、円柱形状である。第2貫通孔142の開口部の大きさは、特に限定されない。第2貫通孔142の開口部の大きさは、光レセプタクル130およびフェルール120の材料や大きさ、充填する接着剤の特性によって、適宜設定すればよい。また、第2貫通孔142に充填される接着剤としては、第1貫通孔141に充填される接着剤と同じものを用いることができる。
【0036】
フェルール120および光レセプタクル130は、基板112に対して位置決めした後、貫通孔140(2つの第1貫通孔141および2つの第2貫通孔142)に接着剤を充填し、硬化させることにより、基板112に対して固定される。
【0037】
より具体的には、各第1光学面133の中心軸と発光素子114から出射されるレーザー光の光軸が一致するように、基板112に対して光レセプタクル130を位置決めする。次に、各第2光学面135の中心軸と光伝送体121の受光面の中心軸が一致するように、光レセプタクル130に対してフェルール120を位置決めする。そして、第1貫通孔141および第2貫通孔142の内周面の全周ならびに基板112に接するように、第1貫通孔141および第2貫通孔142に接着剤を充填した後、接着剤を硬化させる。たとえば、熱硬化性のエポキシ樹脂接着剤を用いる場合は、接着剤を加熱する。これらの工程により、基板112に対して光レセプタクル130およびフェルール120が固定される。なお、光レセプタクル130にフェルールを位置決めした後に、基板112に対してフェルール120および光レセプタクル130を位置決めしてもよい。
【0038】
図4A,Bは、接着剤の硬化時における光モジュール100(光レセプタクル130およびフェルール120)の変形の方向を示す図である。
図4Aは、貫通孔140を有さず、光レセプタクル130’の外側に接着剤を付けた場合における光モジュール100’の変形の方向を示した模式図である。
図4Bは、本発明に係る光モジュール100の変形の方向を示した模式図である。なお、
図4A,Bでは、光伝送体121を省略している。
【0039】
図4Aの実線矢印に示されるように、貫通孔140を有さない光レセプタクル130’を含む光モジュール100’において、支持部132’の外側の側面において接着剤で固定した場合、支持部132’は、外側(接着剤の硬化物150側)に向かって引っ張られるように変形してしまう。このとき、支持部132’は、光レセプタクル本体131’が基端部に接続されているため、基端側より先端側の方が大きく変形してしまう。また、支持部132’が外側に向かって変形することに伴い、光レセプタクル本体131’がフェルール120’側に凸となるように変形してしまう。
【0040】
一方、
図4Bに示されるように、本実施の形態に係る光モジュール100では、硬化に伴う接着剤の収縮により、接着剤の硬化物150に接しているフェルール120(第1切り欠き溝124の内面;破線矢印参照)および支持部132(第3切り欠き溝137の内面;実線矢印参照)は、第1貫通孔141の中心に向かって引っ張られる。また、
図4Bに示されるように、硬化に伴う接着剤の収縮により、接着剤に接しているフェルール120(第2切り欠き溝125の内面;破線矢印参照)および光レセプタクル本体131および支持部132(第4切り欠き溝138の内面;実線矢印参照)は、第2貫通孔142の中心に向かって引っ張られる。本実施の形態では、接着剤は、貫通孔140の内周面に接している。このため、フェルール120および光レセプタクル130に作用して変形させる、接着剤の収縮に由来する平面方向の力は、互いに相殺される。したがって、フェルール120側への光レセプタクル本体131の変形を抑制することにより、第1光学面133、第2光学面135および第3光学面134の変形が少なくなり、光モジュール100の変形を抑制できることがわかる。
【0041】
(シミュレーション)
次に、フェルール側への光レセプタクル本体の変形について調べた。本発明に係る光モジュール100について、熱硬化性のエポキシ樹脂接着剤で固定した時の(加熱した後の)第1光学面133の移動距離(光レセプタクル130の変形量)についてシミュレーションを行った。加熱による各第1光学面133の平面方向(X軸方向)の移動距離は、有限要素法により解析した。また、比較のため、
図4Aに示される、貫通孔140を有さないモジュール100’についても、シミュレーションを行った。シミュレーションのために設定した各パラメータを表1に示す。シミュレーションにおける熱硬化性のエポキシ樹脂接着剤の硬化温度は100℃とし、硬化時間は1時間とした。また、第1貫通孔141は、支持部132の先端から第1光学面133中心までの距離のうち、支持部132の先端から14%までの距離に配置した。なお、光レセプタクルは、対称面に対して面対称の形状であるため、右半分に対してのみシミュレーションを行った。また、第1光学面133は、最も左側の第1光学面133を1番として、各第1光学面133に12番まで番号を付した。したがって、本シミュレーションでは、第7番〜12番の第1光学面133の移動距離についてシミュレーションを行った。
【0043】
図5は、各第1光学面(入射面)の番号と、接着剤の硬化による第1光学面の移動距離との関係を示すグラフである。ここで、「X軸方向」とは、第2光学面の中心軸に沿う方向(
図3A,Bにおける上下方向)を意味する。このグラフにおいて、横軸は、上記した方法により付した第1光学面133の番号である。縦軸は、接着剤の硬化前の第1光学面133の位置からの接着剤の硬化後の第1光学面133の移動距離を示している。黒丸のシンボルは、
図4Aに示される比較例の光モジュール100’を用いた場合のシミュレーション結果を示しており、白丸のシンボルは、
図1に示される本発明に係る光モジュール100を用いたシミュレーション結果を示している。
【0044】
図5に示されるように、貫通孔140を有さない比較例の光モジュール100’では、接着剤の硬化により、第1光学面133がX軸方向に大きく移動したことがわかる。一方、貫通孔140を有する光モジュール100では、第1光学面133の移動が抑制されていることがわかる。なお、第1貫通孔141の中心の位置は、支持部132の先端から第1光学面133中心までの距離のうち、支持部132の先端から20%までの位置であれば、X軸方向の移動距離に大きな差異は見られなかった。
【0045】
(効果)
以上のように、本発明に係る光モジュール100は、支持部132の先端部に配置され、内面が支持部132およびフェルール120に囲まれた2つの第1貫通孔141と、内面が支持部132、フェルール120および光レセプタクル本体131に囲まれた2つの第2貫通孔142とを有する。これにより、フェルール120および光レセプタクル130に作用して変形させる、接着剤の収縮に由来する平面方向の力は、互いに相殺される。よって、本発明に係る光モジュール100は、接着剤を用いて基板112に光レセプタクル130およびフェルール120を固定するときにも、変形を抑制することができる。
【0046】
なお、複数の第1光学面133は、光レセプタクル本体131の正面側に配置され、複数の第2光学面135は、第1光学面133と対向するように光レセプタクル本体131の背面側に配置されていてもよい。この場合、反射面は不要である。また、第1貫通孔141は、支持部132の先端部に配置されている。
【0047】
また、上記実施の形態に係る光モジュール100は、発光素子114から出射されたレーザー光の出力(例えば、強度や光量)を監視してもよい。特に図示しないが、この場合、光モジュール100の光電変換装置110は、基板112と、発光素子114と、基板112に配置された受光素子と、受光素子によって受光されたモニター光の強度や光量に基づいて、発光素子114から出射するレーザー光の出力を制御する制御部とを有する。また、光レセプタクル130は、第1光学面で入射した光を、光伝送体121に向かう信号光と、受光素子に向かうモニター光とに分離する、分離部を有する。
【0048】
また、上記各実施の形態に係る光レセプタクルでは、第1光学面133および第2光学面135が凸レンズ面である場合を示したが、第1光学面133および第2光学面135は平面であってもよい。具体的には、第1光学面133のみが平面であってもよいし、第2光学面135のみが平面であってもよい。第1光学面133が平面に形成されている場合、例えば、第3光学面134は、凹面鏡として機能できるように形成される。また、第1光学面133や第3光学面134などにより、第2光学面135に到達する直前の光が効果的に収束されている場合は、第2光学面135が平面に形成されていてもよい。
【0049】
また、上記各実施の形態に係る光レセプタクルは、受信側の光モジュールにも使用することができる。この場合、受信用の光モジュールは、複数の発光素子114の代わりに光を受光するための複数の受光素子を有する。複数の受光素子は、それぞれ発光素子と同じ位置に配列される。受信用の光モジュールでは、第2光学面135が入射面となり、第1光学面133が出射面となる。光伝送体121の端面から出射された光は、第2光学面135から光レセプタクル内に入射する。そして、光レセプタクルに入射した光は、第3光学面134で反射して第1光学面133から受光素子に向かって出射される。また、反射面を有さない光モジュールでは、光レセプタクルに入射した光は、第1光学面133から受光素子に向かって出射される。