(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
誘電体で被覆されており、かつ略半円筒状凹曲面を有する帯電電極と、該帯電電極と対向配置された吐出用ノズルとを有し、該帯電電極と該吐出用ノズルとの間に静電誘導によって電界を生じさせた状態下に、該吐出用ノズルの先端より吐出させた紡糸液から繊維を形成するようにした溶融電界紡糸装置であって、
前記吐出用ノズルは、前記紡糸液の吐出方向が、前記帯電電極の凹曲面に向かうように配置されており、
前記帯電電極を構成する略半円筒の中心軸に沿ってエアーが噴出するように、搬送用エアーの噴射部を設置した、溶融電界紡糸装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1には、本発明の溶融電界紡糸装置の概略斜視図が示されている。同図に示すとおり、溶融電界紡糸装置10は、帯電電極20、及びノズル先端部30を有する吐出用ノズルを備えている。紡糸装置10は更に搬送用エアーの噴射部40を備えている。紡糸装置10においては、帯電電極20とノズル先端部30との間に静電誘導によって電界を生じさせた状態下に、ノズル先端部30の先端より吐出させた紡糸液から繊維を形成するようにしている。
【0015】
図2(a)は、
図1における帯電電極20のみを抜き出して示している。帯電電極20は、略半円筒の内面を構成する凹曲面21を有している。略半円筒とは、(イ)横断面が真円である円筒の略半部、及び(ロ)真円と見なせる程度に真円度が高い楕円円筒の略半部の双方を包含する。(ロ)の真円と見なせる程度に真円度が高い楕円とは、例えば短軸長/長軸長が0.86以上、1未満である楕円のことである。また、略半部とは、(イ)
図2(b)に示すとおり、円筒又は楕円円筒の中心軸Cを通る平面Pで該円筒又は該楕円円筒を二分したときの半部、又は(ロ)
図3(a)及び(b)に示すとおり、円筒又は楕円円筒の中心軸Cを通り、中心軸Cと直交する直線L上であって、かつ中心軸Cに近接する位置Dを通る、中心軸Cと平行で直線Lと垂直に交わる平面Pで該円筒又は該楕円円筒を二分したときの半部の双方を包含する。位置Dが中心軸Cに近接する程度は、
図3(a)及び(b)において平面P上に位置する電極上の点の中で最も直線Lに近い点をQとしたとき (a)の場合では、QCDのなす角は、60°以上、特に70°以上であることが好ましい。これよりも小さいと帯電電極20から溶融樹脂押出しユニット部50の筐体51に放電することがある。またQCDのなす角は90°未満であることが好ましい。例えばQCDのなす角は、60°以上90°未満であることが好ましく、70°以上90°未満であることが更に好ましい。(b)の場合では、QCDのなす角は、60°以上、特に70°以上であることが好ましい。またQCDのなす角は90°未満であることが好ましい。これよりも小さいと帯電電極20に電圧を印加したときに生じる電場が一点に集中せず、ノズル先端部30から吐出される紡糸液である樹脂溶融液の帯電量を効率的に増加させないことがある。例えばQCDのなす角は、60°以上90°未満であることが好ましく、70°以上90°未満であることが更に好ましい。
【0016】
凹曲面21は、そのいずれの位置においても曲面になっている。ここで言う曲面とは、(イ)平面部を全く有していない曲面のことであるか、又は(ロ)平面部を有する複数のセグメントを繋ぎ合わせて全体として凹曲面21と見なせる形状となっていることのいずれかを言う。(ロ)の場合は、例えば縦及び横の長さが0.5〜300mm程度の矩形となっている、同一の又は異なる大きさの平面部を有するセグメントを繋ぎ合わせて凹曲面21を形成することが好ましい。
【0017】
凹曲面21は、
図2中、長手方向Xに沿って延びている。凹曲面21の長手方向Xに沿う両端部は開口している。長手方向Xに沿う凹曲面21の長さを21Lとしたとき、長さ21Lは凹曲面21の深さ21Dよりも十分に大きくなっている。例えば長さ21Lは、深さ21Dの 1倍以上であることが好ましい。また長さ21Lは、深さ21Dの4倍以下、特に3倍以下であることが好ましい。例えば長さ21Lは、深さ21Dの1倍以上4倍以下であることが好ましく、1倍以上3倍以下であることが更に好ましい。凹曲面21の寸法をこのように設定することで、吐出された樹脂溶融液を十分に帯電させることができる。なお深さ21Dは凹曲面21の半径に等しい。
【0018】
凹曲面21の長さ21Lは、15mm以上であることが好ましい。また長さ21Lは300mm以下、特に120mm以下であることが好ましい。例えば凹曲面21の長さ21Lは、15mm以上300mm以下であることが好ましく、15mm以上120mm以下であることが更に好ましい。一方、凹曲面21の深さ21Dは、深さ21Dに対する長さ21Lの比が上述の範囲であることを条件として、15mm以上であることが好ましく、また75mm以下、特に 40mm以下であることが好ましい。例えば凹曲面21の深さ21Dは、15mm以上75mm以下であることが好ましく、15mm以上40mm以下であることが更に好ましい。
【0019】
帯電電極20が凹曲面21を有することで、該帯電電極20に電圧を印加したときに生じる電場が一点に集中するようになる。一点に集中した電場は、ノズル先端部30から吐出される紡糸液である樹脂溶融液の帯電量を効率的に増加させる。したがって、従来の方法で製造されていた繊維と同じ太さの繊維を製造する場合、従来の方法よりも樹脂溶融液の吐出量を増加させることができる。この理由は、帯電量の増加に起因して、(i)吐出された樹脂溶融液の帯電電極20への引力が強くなり繊維が細化しやすくなること、及び(ii)吐出された樹脂溶融液から生じた繊維どうしの電気的反発が大きくなり繊維が細化しやすくなることによるものである。吐出量の増加は、繊維の生産量の増加につながる。
【0020】
凹曲面21は、平面部22a,22bと連接している。平面部22a,22bは、凹曲面21の長手方向Xに対して直交するY方向に沿って、該凹曲面21を挟んで上下に位置している。2つの平面部22a,22bは同一平面上にある。しかし場合によっては、2つの平面部22a,22bが同一平面上に位置していなくてもよい。また2つの平面部22a,22bのうちのいずれか一方又は双方が平面でなくてもよい。
【0021】
凹曲面21を含む帯電電極20は、導電性材料、例えば金属から構成されている。この導電性材料は略半円筒形状を持ち、略半円筒形状の内面の部分は帯電電極20の形状と相似の形状である。そして、この導電性材料はその表面が誘電体で被覆されている。導電性材料を誘電体で被覆することで、ノズル先端部30から吐出された樹脂溶融液の帯電量を増加させ得ることが本発明者らの検討結果判明した。この観点から、誘電体は、少なくとも凹面部21の全域を被覆していることが好ましい。特に、帯電電極20のうち、ノズル先端部30と対向する部位の全域が誘電体によって被覆されていることが好ましい。
【0022】
帯電電極20においては、その外面が前記の誘電体で構成されており、該誘電体よりも外側には何らの材料も存在していないことが好ましい。すなわち、帯電電極20においては、その最外面に誘電体が露出しており、該誘電体が該最外面を構成していることが好ましい。
【0023】
誘電体としては、絶縁材料であるマイカ、アルミナ、ジルコニア、チタン酸バリウム等のセラミック材料や、ベークライト(フェノール樹脂)、ナイロン(ポリアミド)、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリ四フッ化エチレン、ポリフェニレンサルファイド等の樹脂系材料が挙げられる。これらのうち、アルミナ、ベークライト、ナイロン、塩化ビニル樹脂の中から選ばれる少なくとも1種以上の絶縁材料を用いることが好ましく、特にナイロンを用いることが好ましい。ナイロンとしては、6ナイロンや66ナイロンなどの各種のポリアミドを用いることができる。またナイロンとして市販品を用いることもできる。そのような市販品としては、例えばMCナイロン(登録商標)が挙げられる。
【0024】
誘電体には帯電防止剤を含有させることができる。帯電防止剤を含有させることによって、帯電した樹脂溶融液や繊維等が誘電体に付着したとき、該誘電体の帯電を低減することができる。帯電防止剤としては公知の市販品を使用することができ、例えばペレクトロン(三洋化成工業(株))、エレクトロストリッパー(花王(株))、エレクトロマスター(花王(株))、リケマール(理研ビタミン(株))、リケマスター(理研ビタミン(株))などを用いることができる。
【0025】
誘電体は凹曲面21を均一な厚みで被覆していることが好ましい。誘電体の厚みは、0.8mm以上、特に8mm以上であることが好ましい。これよりも薄いと、樹脂溶融液の帯電量を高められない場合がある。誘電体の厚みの上限値は、20mm以下、特に15mm以下であることが好ましい。これよりも厚いと、繊維状になった樹脂溶融液が誘電体に付着しやすくなる。例えば誘電体の厚みは0.8mm以上20mm以下、特に8mm以上15mm以下とすることが好ましい。
【0026】
なお、
図2(a)に示す実施形態では、帯電電極20は、その凹曲面21の長手方向Xが水平方向と一致するように設置されているが、これに代えて凹曲面21の長手方向Xが鉛直方向と一致するように帯電電極20を設置してもよい。
【0027】
図4には、上述した帯電電極20とともに用いられるノズル先端部30を備えた溶融樹脂押出しユニット部50が示されている。溶融樹脂押出しユニット部50は筐体51を有している。筐体51は内部にシリンダ(図示せず)を備えている。該シリンダ内にはスクリュー(図示せず)が挿入されている。シリンダとスクリューは、樹脂を溶融混練して押し出すための押出機の構造となっている。筐体51内にはヒーターが備えられており、該ヒーターによってシリンダの壁面が加熱されるようになっている。スクリューの一端は、筐体51に付設されているか、又は筐体51の外に別途に設置された駆動源(図示せず)に接続されており、該駆動源の回転によって軸周りに一方向に回転可能になっている。筐体51にはホッパー(図示せず)が付設されており、該ホッパー内には繊維の原料となる樹脂が充填されるようになっている。ホッパーはシリンダと連通している。ホッパー内に充填された原料樹脂のペレットは、スクリューの回転に連れて徐々にシリンダ内に供給される。シリンダ内に供給された原料樹脂のペレットは、シリンダの内壁とスクリューとの間で熱及び圧力を受けて次第に溶融しながら、スクリューの回転軸方向に向けて前進する。筐体51は、この熱及び圧力に耐え得る材料から構成されており、一般に金属製である。つまり導電性の材料から構成されている。
【0028】
筐体51におけるスクリューの回転軸の先端には、筐体51の一部としてのノズルベース53が取り付けられている。ノズルベース53は筐体51のシリンダと連通している。シリンダ内で溶融混練された原料樹脂は、シリンダ内を前進し、ノズルベース53へ送られる。ノズルベース53の内部には、溶融した原料樹脂が流通する流路(図示せず)が形成されている。筐体51と同様にノズルベース53にも熱及び圧力が加わることから、ノズルベース53はこれらに耐え得る材料である金属製であることが好適である。ノズルベース53は例えばボルトによって筐体51に固定されている。
【0029】
ノズルベース53にはノズル先端部30が取り付けられる。ノズル先端部30は、溶融した原料樹脂を装置外へ吐出するために用いられる。この目的のため、ノズル先端部30は、熱及び圧力に耐え得る材料から構成されており、一般に金属製である。つまり導電性の材料から構成されている。ノズル先端部30は、例えばボルトによってノズルベース53に固定されている。
【0030】
溶融樹脂押出しユニット部50は、筐体51とノズル先端部30とが電気的に絶縁した構造になっていることが好ましい。こうすることで、樹脂溶融液の帯電量を増加させる目的でノズル先端部30と帯電電極20との間に高電圧を印加しても放電が発生しづらく、安定的に溶融エレクトロスピニング法を実施することができるという利点が生じる。筐体51とノズル先端部30とを電気的に絶縁するためには、例えば筐体51とノズル先端部30との間にノズル先端部30を固定することが可能で、熱及び圧力に耐え得る絶縁材料からなる部材32を介在させておけばよい。
【0031】
図5及び
図6には、本実施形態の溶融電界紡糸装置10における各部材の配置状態が示されている。これらの図に示すとおり、ノズル先端部30は帯電電極20と対向配置されている。具体的には、ノズル先端部30は、紡糸液である樹脂溶融液の吐出方向が、帯電電極20の凹曲面21に向かうように配置されている。
図5及び
図6では、樹脂溶融液の吐出方向と、凹曲面21の長手方向Xとが直交するようにノズル先端部30が配置されている。尤も、樹脂溶融液の吐出方向と、凹曲面21の長手方向Xとは直交していることを要せず、両者が所定の角度をもって交差するようにノズル先端部30が配置されていればよい。
【0032】
図5及び
図6に示すとおり、搬送用エアーの噴射部40は細長いノズル形状をしている。噴射部40は、帯電電極20を構成する略半円筒の中心軸に沿って、すなわち長手方向Xに沿って搬送用エアーが噴出するように配置されている。この場合、搬送用エアーの噴出方向は、略半円筒の中心軸と平行であることが望ましいが、完全に平行であることは要しない。例えば搬送用エアーの噴出方向が、略半円筒の中心軸に対して右方向又は左方向に45度以内で傾斜するように噴射部40を設置することは許容される。
【0033】
図5に示すとおり、ノズル先端部30の延びる方向、すなわち
図5中、Z方向に沿ってみたとき、噴射部40は、エアーの噴出口41が、ノズル先端部30の延長線上に位置するように配置されることが好ましい。また、噴射部40は、エアーの噴出口41の全部又は一部が、凹曲面21で画成される空間S内に位置するように配置されることが好ましい。このように噴射部40を配置することで、溶融電界紡糸法によって生じた繊維が凹曲面21に意図せず付着することを効果的に抑制することができる。
【0034】
図6に示すとおり、噴射部40は、エアーの噴出口41が、帯電電極20の凹曲面21が存在する領域に位置することが好ましい。特に噴射部40は、同図に示すとおり、エアーの噴出口41が、ノズル先端部30の延長線に近接する位置に配置されることが、生成した繊維が帯電電極20に付着することを一層効果的に抑制する点から好ましい。ただし、噴射部40が、ノズル先端部30の延長線と交差するほどに帯電電極20の凹曲面21に延出することは望ましくない。この理由は、溶融電界紡糸法によって生じた繊維が噴射部40に付着する可能性が高いからである。
【0035】
噴射部40は、搬送用エアーの噴出口41を含む先端部の噴出部位42が絶縁体で構成されていることが好ましい。絶縁体で構成されているとは、(イ)噴出部位42の全体が絶縁体で構成されていること、及び(ロ)導電性材料から構成される噴出部位42の表面に絶縁体が被覆されていて、該導電性材料が露出されていない状態であることの双方を包含する。(ロ)の場合、噴出部位42は、その外面及びエアーが通過する内面の双方が絶縁体で被覆されていることが好ましい。噴射部の噴出部位42を絶縁体で構成することで、帯電電極20とノズル先端部30との間に高電圧を印加したときに、噴射部40と帯電電極20又はノズル先端部30との間に意図せず放電が発生することを効果的に抑制することができる。絶縁体としては、帯電電極20の表面に配置された誘電体と同様のものを用いることができる。
【0036】
図7には、帯電電極20の凹曲面21と、ノズル先端部30の配置関係が示されている。ノズル先端部30はその先端が、帯電電極20の凹曲面21の焦点T又はその近傍の位置に位置するように配置されることが好ましい。このようにノズル先端部30を配置することで、一点に集中した電場の位置から樹脂溶融液が吐出されるので、該樹脂溶融液を効率的に帯電させることが可能になる。ノズル先端部30の先端31は、凹曲面21の焦点Tの位置に存在することが最も好ましい。ノズル先端部30の先端31が焦点近傍に位置するように配置される場合、樹脂溶融液の帯電を十分効率的に行うためには、ノズル先端部30の先端31は焦点から凹曲面までの距離の1/3程度、焦点Tから離れた近傍に位置することが好ましく、焦点から凹曲面までの距離の1/5程度、焦点Tから離れた近傍に位置することが更に好ましい。凹曲面21の焦点Tとは、凹曲面21を
図7に示す状態で見たときに、該凹曲面21の任意の位置における法線が一箇所で交わる位置のことである。凹曲面21が、真円の半円筒の凹曲面でない場合の焦点Tは、該凹曲面21の任意の位置における複数の法線が一箇所で交わる位置のうち、交わる法線の数が最も多くなる当該位置と定義する。
【0037】
ノズル先端部30から吐出される樹脂溶融液の帯電を一層効率的に行う観点からは、ノズル先端部30の先端31の開口径を30Dとしたとき、30Dと、帯電電極20の長手方向Xに沿う長さ21Lとの比、すなわち30D:21Lを1:50以上に設定することが好ましい。また、30D:21Lは、1:1000 以下、特に1:400以下であることが好ましい。例えば30D:21Lは、1:50以上1:1000以下であることが好ましく、1:50以上1:400以下であることが更に好ましい。ノズル先端部30の先端31の開口が円形でない場合には、先端開口の面積に基づく円相当直径の値を先端開口径の値とする。なお、先端開口径である30Dの値自体は、樹脂溶融液の帯電量に影響を及ぼさないことを本発明者は確認している。
【0038】
次に、以上の構成を有する溶融電界紡糸装置を用いた繊維の製造方法について
図8を参照しながら説明する。本製造方法においては、同図に示すとおり、ノズル先端部30にアースを施し、かつノズル先端部30に対向する位置に設置された帯電電極20に、高電圧発生装置23によって正の電圧を印加しておく。
【0039】
溶融樹脂押出しユニット部50のホッパー54内に充填された原料樹脂のペレットは、筐体51内に設置されたスクリュー(図示せず)を回転させることでシリンダ(図示せず)内に供給される。シリンダ内に供給された原料樹脂のペレットは、シリンダの内壁とスクリューとの間で熱及び圧力を受けて次第に溶融しながら、スクリューの回転軸方向に向けて前進する。そして、ノズル先端部30の先端31から、溶融した樹脂Rが吐出される。吐出された原料樹脂Rは、ノズル先端部30と帯電電極20との間に印加された電圧によって、溶融状態のまま帯電電極20に向けて引き寄せられる。そのときに原料樹脂Rが引き延ばされて極細化する。原料樹脂Rの引き延ばしを効果的に行う観点から、吐出される原料樹脂Rの流動性指数を、ノズル先端部30の出口においてMFR(Melt Flow Rate)10g/min以上、特にMFR100g/min以上に設定することが好ましい。流動性指数(MFR)は、JISK7210−1999に従い、230℃、2.16Kgの荷重下に、穴径2.095mm、長さ8mmのダイを用いて測定される。
【0040】
ノズル先端部30の先端31と帯電電極20との間には、両者を結ぶ方向と交差する方向に向けて空気流Aが噴出している。空気流Aは噴射部40から噴出している。ノズル先端部30から吐出された原料樹脂は、帯電電極20に到達する前に空気流Aに搬送され、その飛翔方向が変化する。空気流Aに搬送されることで、原料樹脂は一層引き延ばされて一層極細化する。この目的のために空気流Aとして、加熱された空気を用いることが好ましい。噴出口近傍のエアー温度は、原料樹脂の種類にもよるが、100℃以上、特に200℃以上であることが好ましく、500℃以下、特に400℃以下であることが好ましい。例えば加熱された空気の温度は、100℃以上500℃以下であることが好ましく、200℃以上400℃以下であることが更に好ましい。同様の目的のために、空気流Aを噴出させるときの流量は50L/min以上、特に150L/min以上であることが好ましく、350L/min以下、特に250L/min以下であることが好ましい。例えば空気流Aの流量は、50L/min以上350L/min以下であることが好ましく、150L/min以上250L/min以下であることが更に好ましい。
【0041】
空気流Aに搬送され更に引き延ばされて形成された繊維Fは、捕集シート60上に捕集される。捕集シート60は、例えば長尺帯状のものとすることができる。長尺帯状の捕集シート60は、原反ロール60aから繰り出されて搬送コンベア61に搬送される。搬送コンベア61には高電圧発生装置62が接続されており、該高電圧発生装置62によって搬送コンベア61に高電圧が印加される。搬送コンベア61に高電圧が印加されることで、捕集シート60は正の電荷に帯電される。それによって、繊維Fは搬送コンベア61に引き寄せられてその表面に堆積する。
【0042】
溶融電界紡糸装置10に供給される原料樹脂としては、熱可塑性のものが好適である。例えばポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル繊維、ポリアクリル酸エステルやポリメタクリル酸エステルなどのアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニルやポリスチレンなどのビニル系樹脂などが挙げられる。これらの原料樹脂を筐体51内で溶融混練する場合、該原料樹脂の帯電量を増加させる添加剤を、該原料樹脂中に練り込むことができる。そのような添加剤としては、例えば各種の界面活性剤、などが挙げられる。
【0043】
前記の各種樹脂を原料として製造される繊維は、溶融電界紡糸法を実施する条件に応じて様々な太さのものとすることができる。特に、ナノファイバと呼ばれる極細繊維を製造することができる。ナノファイバとは、その太さを円相当直径で表した場合、一般に10nm以上3000nm以下、特に10nm以上1000nm以下のものである。ナノファイバの太さは、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)観察によって、繊維を10000倍に拡大して観察し、その二次元画像から欠陥(ナノ繊維の塊、ナノ繊維の交差部分、ポリマー液滴)を除いた繊維を任意に10本選び出し、繊維の長手方向に直交する線を引き繊維径を直接読み取ることで測定することができる。
【0044】
図9には本発明の別の実施形態が示されている。同図においては、先に説明した
図1に示す溶融電界紡糸装置10を複数用いている。詳細には、複数の溶融電界紡糸装置10を、噴射部40からの搬送用エアーの噴出方向が同方向となるように配置している。このように複数の溶融電界紡糸装置を配置することで、繊維の生産能力を一層向上させることができる。
【0045】
図9に示す実施形態では、同図中、Y方向に沿って各溶融電界紡糸装置10を配置したが、これに代えて、同図中、Z方向に沿って各溶融電界紡糸装置10を配置してもよい。あるいはY方向及びZ方向の双方に沿って各溶融電界紡糸装置10を配置してもよい。
【0046】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば前記実施形態においては、帯電電極20における凹曲面21はその全域が電極として作用するものであったが、凹曲面21の一部のみが電極として作用するものであってもよい。
【0047】
また、
図8に示す繊維の製造方法においては、ノズル先端部30にアースを施し、帯電電極20に正の高電圧を印加したが、これに代えて、ノズル先端部30にアースを施し、帯電電極20に負の高電圧を印加してもよい。
【0048】
上述した実施形態に関し、本発明は更に以下の溶融電界紡糸装置及びそれを用いた繊維の製造方法を開示する。
<1>
誘電体で被覆されており、かつ略半円筒状凹曲面を有する帯電電極と、該帯電電極と対向配置された吐出用ノズルとを有し、該帯電電極と該吐出用ノズルとの間に静電誘導によって電界を生じさせた状態下に、該吐出用ノズルの先端より吐出させた紡糸液から繊維を形成するようにした溶融電界紡糸装置であって、
前記吐出用ノズルは、前記紡糸液の吐出方向が、前記帯電電極の凹曲面に向かうように配置されており、
前記帯電電極を構成する略半円筒の中心軸に沿ってエアーが噴出するように、搬送用エアーの噴射部を設置した、溶融電界紡糸装置。
【0049】
<2>
前記帯電電極の凹曲面の焦点又はその近傍の位置に、前記吐出用ノズルの先端が位置するように該吐出用ノズルを配置した前記<1>に記載の溶融電界紡糸装置。
<3>
前記吐出用ノズルの先端開口径と、前記帯電電極の長手方向に沿う長さとの比を1:50以上に設定した前記<1>又は<2>に記載の溶融電界紡糸装置。
<4>
前記吐出用ノズルの先端開口径と、前記帯電電極の長手方向に沿う長さとの比を1:50以上に設定し、1:1000 以下、特に1:400以下に設定し、例えば1:50以上1:1000以下、特に1:50以上1:400以下に設定する前記<1>ないし<3>のいずれか1に記載の溶融電界紡糸装置。
<5>
前記噴射部から100℃以上500℃以下の前記搬送用エアーが噴出するようになっている前記<1>ないし<4>のいずれか1に記載の溶融電界紡糸装置。
【0050】
<6>
前記噴射部の噴出口近傍の搬送用エアーの温度は、100℃以上、特に200℃以上であることが好ましく、500℃以下、特に400℃以下であることが好ましく、例えば100℃以上500℃以下であることが好ましく、200℃以上400℃以下であることが更に好ましい前記<1>ないし<5>のいずれか1に記載の溶融電界紡糸装置。
<7>
前記搬送用エアーの流量は50L/min以上、特に150L/min以上であることが好ましく、350L/min以下、特に250L/min以下であることが好ましく、例えば50L/min以上350L/min以下であることが好ましく、150L/min以上250L/min以下であることが更に好ましい前記<1>ないし<6>のいずれか1に記載の溶融電界紡糸装置。
<8>
前記搬送用エアーの噴出口を含む噴射部における先端部の噴出部位が絶縁体で構成されている前記<1>ないし<7>のいずれか1に記載の溶融電界紡糸装置。
<9>
前記噴射部は、搬送用エアーの噴出口を含む先端部の噴出部位が絶縁体で構成されており、
絶縁体で構成されているとは、(イ)噴出部位の全体が絶縁体で構成されていること、及び(ロ)導電性材料から構成される噴出部位の表面に絶縁体が被覆されていて、該導電性材料が露出されていない状態であることの双方を包含する、
前記<1>ないし<8>のいずれか1に記載の溶融電界紡糸装置。
<10>
前記帯電電極は、略半円筒の内面を構成する凹曲面を有しており、
略半円筒とは、(イ)横断面が真円である円筒の略半部、及び(ロ)真円と見なせる程度に真円度が高い楕円円筒の略半部の双方を包含し、
(ロ)の真円と見なせる程度に真円度が高い楕円とは、例えば短軸長/長軸長が0.86以上、1未満である楕円のことである、前記<1>ないし<9>のいずれか1に記載の溶融電界紡糸装置。
<11>
略半部とは、(イ)円筒又は楕円円筒の中心軸Cを通る平面Pで該円筒又は該楕円円筒を二分したときの半部、又は(ロ)円筒又は楕円円筒の中心軸Cを通る直線L上であって、かつ中心軸Cに近接する位置Dを通る、中心軸Cと垂直な平面Pで該円筒又は該楕円円筒を二分したときの半部の双方を包含する、前記<10>に記載の溶融電界紡糸装置。
【0051】
<12>
前記凹曲面は、そのいずれの位置においても曲面になっており、
曲面とは、(イ)平面部を全く有していない曲面のことであるか、又は(ロ)平面部を有する複数のセグメントを繋ぎ合わせて全体として凹曲面と見なせる形状となっていることのいずれかを言い、
(ロ)の場合は、縦及び横の長さが0.5〜300mm程度の矩形となっている、同一の又は異なる大きさの平面部を有するセグメントを繋ぎ合わせて凹曲面を形成する、前記<1>ないし<11>のいずれか1に記載の溶融電界紡糸装置。
<13>
前記凹曲面は、前記の略半円筒の長手方向Xに沿って延びており、
前記凹曲面の長手方向Xに沿う両端部は開口しており、
長手方向Xに沿う前記凹曲面の長さを21Lとしたとき、長さ21Lは前記凹曲面の深さ21Dよりも十分に大きくなっており、
長さ21Lは、深さ21Dの 1倍以上であることが好ましく、4倍以下、特に3倍以下であることが好ましく、
長さ21Lは、深さ21Dの1倍以上4倍以下であることが好ましく、1倍以上3倍以下であることが更に好ましい前記<10>ないし<12>のいずれか1に記載の溶融電界紡糸装置。
<14>
前記凹曲面の長さ21Lは、15mm以上であることが好ましく、また長さ21Lは300mm以下、特に120mm以下であることが好ましく、
前記凹曲面の長さ21Lは、15mm以上300mm以下であることが好ましく、15mm以上120mm以下であることが更に好ましく、
前記凹曲面の深さ21Dは、深さ21Dに対する長さ21Lの比が上述の範囲であることを条件として、15mm以上であることが好ましく、また75mm以下、特に40mm以下であることが好ましく、
前記凹曲面の深さ21Dは、15mm以上75mm以下であることが好ましく、15mm以上40mm以下であることが更に好ましい前記<13>に記載の溶融電界紡糸装置。
<15>
前記凹曲面を含む前記帯電電極は、導電性材料、例えば金属から構成されており、
前記導電性材料は略半円筒形状を持ち、略半円筒形状の内面の部分は前記帯電電極の形状と相似の形状である、前記<1>ないし<14>のいずれか1に記載の溶融電界紡糸装置。
【0052】
<16>
前記導電性材料はその表面が誘電体で被覆されており、
前記誘電体は、少なくとも前記凹面部の全域を被覆しており、
前記帯電電極のうち、前記ノズル先端部と対向する部位の全域が前記誘電体によって被覆されていることが好ましい、前記<15>に記載の溶融電界紡糸装置。
<17>
前記帯電電極においては、その外面が前記誘電体で構成されており、該誘電体よりも外側には何らの材料も存在しておらず、前記帯電電極においては、その最外面に前記誘電体が露出しており、該誘電体が該最外面を構成している、前記<16>に記載の溶融電界紡糸装置。
<18>
前記誘電体として、絶縁材料であるマイカ、アルミナ、ジルコニア、チタン酸バリウム等のセラミック材料や、ベークライト(フェノール樹脂)、ナイロン(ポリアミド)、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリ四フッ化エチレン、ポリフェニレンサルファイド等の樹脂系材料が用いられ、
アルミナ、ベークライト、ナイロン、塩化ビニル樹脂の中から選ばれる少なくとも1種以上の絶縁材料を用いることが好ましく、特にナイロンを用いることが好ましい、前記<16>又は<17>に記載の溶融電界紡糸装置。
<19>
前記誘電体が前記凹曲面を均一な厚みで被覆しており、
前記誘電体の厚みは、0.8mm以上、特に8mm以上であり、20mm以下、特に15mm以下であり、例えば誘電体の厚みは0.8mm以上20mm以下、特に8mm以上15mm以下である、前記<16>ないし<18>のいずれか1に記載の溶融電界紡糸装置。
<20>
前記吐出用ノズルがノズル先端部を有し、
前記吐出用ノズルが溶融樹脂押出しユニット部に取り付けられており、
前記溶融樹脂押出しユニット部が筐体51を有しており、
前記溶融樹脂押出しユニット部は、前記筐体と前記ノズル先端部とが電気的に絶縁した構造になっている、前記<1>ないし<19>のいずれか1に記載の溶融電界紡糸装置。
<21>
前記吐出用ノズルがノズル先端部を有し、
前記紡糸液の吐出方向と、前記凹曲面の長手方向とが直交するように前記ノズル先端部30が配置されているか、又は
前記紡糸液の吐出方向と、前記凹曲面の長手方向とが所定の角度をもって交差するように前記ノズル先端部が配置されている、前記<1>ないし<20>のいずれか1に記載の溶融電界紡糸装置。
【0053】
<22>
前記搬送用エアーの噴出方向は、略半円筒の中心軸と平行となるか、又は
前記搬送用エアーの噴出方向が、略半円筒の中心軸に対して右方向又は左方向に45度以内で傾斜するように、前記噴射部を設置した、前記<1>ないし<21>のいずれか1に記載の溶融電界紡糸装置。
<23>
前記吐出用ノズルがノズル先端部を有し、
前記ノズル先端部の延びる方向に沿ってみたとき、前記噴射部は、エアーの噴出口が、前記ノズル先端部の延長線上に位置するように配置されており、
前記噴射部は、エアーの噴出口の全部又は一部が、前記凹曲面で画成される空間内に位置するように配置されている、前記<1>ないし<22>のいずれか1に記載の溶融電界紡糸装置。
<24>
前記吐出用ノズルがノズル先端部を有し、
前記噴射部は、エアーの噴出口が、前記帯電電極の凹曲面が存在する領域に位置しており、
好ましくは、前記噴射部は、エアーの噴出口41が、前記ノズル先端部の延長線に近接する位置に配置されている、前記<1>ないし<23>のいずれか1に記載の溶融電界紡糸装置。
<25>
前記吐出用ノズルがノズル先端部を有し、
前記ノズル先端部は、その先端が、前記帯電電極20の凹曲面の焦点又はその近傍の位置に位置するように配置されている、前記<1>ないし<24>のいずれか1に記載の溶融電界紡糸装置。
【0054】
<26>
前記吐出用ノズルがノズル先端部を有し、
前記ノズル先端部にアースを施している、前記<1>ないし<25>のいずれか1に記載の溶融電界紡糸装置。
<27>
前記<1>ないし<26>のいずれか1に記載の溶融電界紡糸装置を用いた繊維の製造方法。
<28>
前記溶融電界紡糸装置を複数用い、
各溶融電界紡糸装置を、搬送用エアーの噴出方向が同方向となるように配置した前記<28>に記載の繊維の製造方法。
【実施例】
【0055】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明の範囲はかかる実施例に制限されない。
【0056】
〔実施例1〕
図1に示す溶融電界紡糸装置を用いて溶融電界紡糸を行った。使用した樹脂はポリプロピレンである。ポリプロピレンにはPolyMirae社製のMF650Yを用いた。帯電電極20として、凹曲面21の長手方向Xの長さ21Lが120mmで、半径が35mmであるものを用いた。帯電電極20はステンレス製の基体の表面にMCナイロンからなる誘電体を厚み10mmで被覆したものである。ノズル先端部30の開口径は0.3mmであった。ノズル先端部30の開口端は、凹曲面21の焦点Tに位置させた。ノズル先端部30の開口端と凹曲面21の最深部との間の距離は約35mmであった。噴射部40から噴出する加熱空気は、その噴出方向が、凹曲面21の半円筒の中心軸と平行になるようにした。噴射部40の噴出口41の位置は、ノズル先端部30の延長線上とした。この延長線と噴出口41との距離は20mmに設定した。加熱空気の温度は380℃に設定した。加熱空気の噴出流量は200L/minに設定した。ノズル先端部30をアースに落とし、帯電電極20に5kVの電圧を印加した。この状態下に、250℃に溶融したポリプロピレンを5g/minの吐出速度で吐出させ溶融電界紡糸を行った。このようにして得られた繊維の帯電量を測定したところ−20nC/gであった。帯電量は、春日電機製ファラデーケージKQ1400内に帯電した溶融状態の原料樹脂を捕集し、該ファラデーケージに接続した春日電機製クーロンメーターMK−1002により測定した。
【0057】
〔実施例2〕
実施例1の帯電電極20に5kVの電圧を印加することに代えて、帯電電極20に15kVの電圧を印加した。また筐体51とノズル先端部30との間に絶縁材料からなる部材32を介在させ筐体51とノズル先端部30の絶縁性を大きく高めた。絶縁材料にはアルミナセラミックス(アルミナ99)を用いた。これら以外は実施例1と同様にして溶融電界紡糸を行った。このようにして得られた繊維の帯電量を測定したところ−80nC/gであった。このようにして得られた繊維の走査型電子顕微鏡像を
図10に示す。10サンプルの繊維径を測定してその平均値を算出した結果、平均繊維径は2.7μmであった。
【0058】
〔比較例1〕
実施例1で用いた凹曲面21を有する帯電電極20に代えて、誘電体で被覆されている平板の帯電電極を用いた。平板電極は80mm×80mmの寸法を有する矩形状であり、ステンレス製の金属平板にMCナイロンが厚さ10mmで被覆されている。これ以外は実施例1と同様にして溶融電界紡糸を行った。このようにして得られた繊維の帯電量を測定したところ−10nC/gであった。
【0059】
〔比較例2〕
実施例2で用いた凹曲面21を有する帯電電極20に代えて、比較例1で用いた誘電体で被覆されている平板の帯電電極を用いた。これ以外は実施例2と同様にして溶融電界紡糸を行った。このようにして得られた繊維の帯電量を測定したところ―39nC/gであった。また、このようにして得られた繊維の走査型電子顕微鏡像を
図11に示す。10サンプルの繊維径を測定してその平均値を算出した結果、平均繊維径は4.0μmであった。
【0060】
[評価]
以上の結果をまとめると、以下の表1に示すとおり、実施例1と比較例1では、凹曲面21を有する帯電電極20を用いることにより(実施例1)、誘電体で被覆されている平板の帯電電極を用いる場合(比較例)よりも、吐出された樹脂溶融液の帯電量が増加することが確認された。
実施例2と比較例2では、筐体51とノズル先端部30との間に絶縁材料からなる部材32を介在させることにより絶縁性を高めた状態下で、実施例1及び比較例1よりも高い電圧を加えた。凹曲面21を有する帯電電極20を用いることにより(実施例2)、誘電体で被覆されている平板の帯電電極を用いる場合(比較例2)よりも、吐出された樹脂溶融液の帯電量の増加及び繊維径の減少が確認された。
実施例2では実施例1に対して、筐体51とノズル先端部30との間に絶縁材料からなる部材32を介在させ、絶縁性を高めた状態化で実施例1よりも高い電圧を加えた結果、印加電圧の増加に伴い、吐出された樹脂溶融液の帯電量の増加が確認された。
【0061】
【表1】