特許第6209487号(P6209487)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6209487
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】加圧管補修具及び加圧管補修方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 55/18 20060101AFI20170925BHJP
   F16L 55/07 20060101ALI20170925BHJP
   B23B 41/08 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   F16L55/18 B
   F16L55/07 A
   B23B41/08
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-100959(P2014-100959)
(22)【出願日】2014年5月14日
(65)【公開番号】特開2015-218760(P2015-218760A)
(43)【公開日】2015年12月7日
【審査請求日】2016年6月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】593143142
【氏名又は名称】株式会社昇和産業
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】特許業務法人平田国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100071526
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 忠雄
(72)【発明者】
【氏名】三戸 常次
【審査官】 柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】 特公昭39−579(JP,B1)
【文献】 特開昭62−215193(JP,A)
【文献】 特開2004−69059(JP,A)
【文献】 特開2005−297128(JP,A)
【文献】 特開平6−315809(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 55/18
F16L 55/07
F16L 55/00
B23B 41/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧管に固定された基板を穿孔する加圧管補修具において、
前記加圧管から外方に向けて延伸して取り付けられるとともにフランジ部を有する中空の延長管と、
前記フランジ部に取り付けられ同心の中空部が形成される開閉ボールバルヴと、
前記開閉ボールバルヴの外側フランジ部に取り付けられ同心の中空部が形成される第二の延長管と、
前記第二の延長管を固定部に設置する据え付け台と、
前記加圧管から外方に向けて延伸して取り付けられる前記延長管の中空部でガイドされつつ前記基板に当接して配置され先端の円周面に沿って穿孔メタルビットを有する円筒管と、
前記第二の延長管の前記中空部でガイドされつつ前記円筒管に連接される延長用の円筒管と、
最上部に接続される円筒管を駆動するモータと、
前記モータを上下方向へ移動自在に保持するとともに前記据え付け台に固定されるガイドポストと、
前記円筒管内で前記基板と一体に取り付けられたシャフトと、
前記シャフトを上下作動自在に支持し前記円筒管内に支持される軸受と、
前記シャフトの一部に形成されるユニバーサルジョイントと、
前記シャフトの上端に固定されるとともに前記軸受との間に介在し伸張力を付与されるばねと、を備え、
前記モータの駆動により前記の各円筒管を回動して前記穿孔メタルビットにより前記基板を切削し、前記ばねにより切削した前記基板の一部を上方へ引き上げるように構成したことを特徴とする加圧管補修具。
【請求項2】
加圧管に固定された基板を穿孔する加圧管補修具において、
前記加圧管から外方に向けて延伸して前記基板に取り付けられ、中空部を有する延長管と、
前記延長管に接続された排出管と、
前記延長管の中空部でガイドされつつ前記基板に当接して配置され先端の円周面に沿って穿孔メタルビットを有する円筒管と、
前記円筒管を駆動するモータと、を備え、
前記モータの駆動により前記円筒管を回動して前記穿孔メタルビットにより前記基板を切削切除して前記加圧管内の加圧体を前記排出管により排出するように構成したことを特徴とする加圧管補修具。
【請求項3】
加圧管に固定された基板を穿孔する加圧管補修具を用いた加圧管補修方法において、
前記加圧管から外方に向けて延伸して取り付けられる中空の延長管及び同心の中空部が形成される開閉ボールバルヴ並びに同心の中空部が形成される第二の延長管を固定部に設置する据え付け台に取り付け、前記固定部に取り付けたガイドポストに沿って移動する駆動モータにより、前記延長管の中空部でガイドされつつ前記基板に当接するように配置される円筒管を作動し、先端の円周面に沿って構成される穿孔メタルビットにより前記基板を切削し、前記円筒管内で前記基板と一体に取り付けられたシャフトが、前記円筒管内に支持される軸受とシャフト上端との間に介在する圧縮ばねにより、切削した前記基板の一部を上方へ引き上げるように構成した加圧管補修具を備え、
前記穿孔メタルビットにより前記基板を切削した後に前記円筒管を途中まで引き上げて、前記開閉ボールバルヴを閉鎖した状態で前記円筒管を上方へ引き抜き、上部の延長管に排出管を接続した後に前記開閉ボールバルヴを開いて加圧管内の加圧体を排出することにより、加圧管内の補修が可能となるように構成したことを特徴とする加圧管補修具を用いた加圧管補修方法。
【請求項4】
加圧管に固定された基板を穿孔する加圧管補修具を用いた加圧管補修方法において、
前記加圧管から外方に向けて延伸して前記基板に取り付けられ、中空部を有する延長管と、
前記延長管に接続された排出管と、
前記延長管の中空部でガイドされつつ前記基板に当接して配置され先端の円周面に沿って穿孔メタルビットを有する円筒管と、
前記円筒管を駆動するモータと、を備え、
前記モータの駆動により前記円筒管を回動して前記穿孔メタルビットにより前記基板を切削切除して前記加圧管内の加圧体を前記排出管により排出するように構成した加圧管補修具を用いた加圧管補修方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、敷設された管内において高圧状態に加圧された加圧体を給送するための管内における損傷部の補修に際して、補修作業に先立って管内に存在する加圧体を抜き取るための加圧管補修具及び加圧管補修方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、高圧がかけられた水道や下水或はカン水などの配管あるいは工業用の排管などにおける管内の損傷部を補修するため、高圧がかかる管内の水などを予め抜き取るための補修具や補修方法が提案されており、さらに個々の工事現場では各種の補修具や補修方法が用いられてきた。
【0003】
そして、同一出願人は一つの提案として特開2014−58995号公報において、管内損傷部封止バンドを発明して具体的に内容を開示した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−58995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
即ち、損傷部を有する部分の排水管等の内面を覆ったうえで、確実に排水管等の内面に三枚の損傷部封止バンドおよび打ち込み楔固定するためにそれぞれにねじ穴を形成し、このねじ穴にアンカーボルトを取り付けて締め付けることによって、位置ずれを生じ難くして強固に固定するものである。
【0006】
一方、このような補修作業に先立って高圧加圧体等の抜き取りを行わねばならない。従来用いられてきた高圧加圧体等の抜き取りに関する装置では、予め想定されることに対してはそのような予備対策が取られている。しかしながら、補修および点検が頻繁に求められない大型管等に対しては、そのような抜き取り装備が設定されていないことが多い。
【0007】
そのような装置または給送管に対しては、臨機応変にその時の状況に対処すべく特別に液体等の加圧体の減圧を行うなど抜き取り方法が求められるのであって、本発明はこのような要望に応えて可及的に汎用性のある加圧管補修具及び加圧管補修方法を提案するものである。
【0008】
即ち、予め補修区間内にあるマンホールを利用して、このマンホールを含む管内の上流側と下流側とを閉鎖したうえで、この区間内の高圧がかかる加圧体を抜き取ることによって、その区間における補修作業を安全で効率的に行うようにした加圧管補修具及び加圧管補修方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明によれば, 加圧管に固定された基板を穿孔する加圧管補修具において、前記加圧管から外方に向けて延伸して取り付けられるとともにフランジ部を有する中空の延長管と、前記フランジ部に取り付けられ同心の中空部が形成される開閉ボールバルヴと、前記開閉ボールバルヴの外側フランジ部に取り付けられ同心の中空部が形成される第二の延長管と、前記第二の延長管を固定部に設置する据え付け台と、前記加圧管から外方に向けて延伸して取り付けられる前記延長管の中空部でガイドされつつ前記基板に当接して配置され先端の円周面に沿って穿孔メタルビットを有する円筒管と、前記第二の延長管の前記中空部でガイドされつつ前記円筒管に連接される延長用の円筒管と、最上部に接続される円筒管を駆動するモータと、前記モータを上下方向へ移動自在に保持するとともに前記据え付け台に固定されるガイドポストと、前記円筒管内で前記基板と一体に取り付けられたシャフトと、前記シャフトを上下作動自在に支持し前記円筒管内に支持される軸受と、前記シャフトの一部に形成されるユニバーサルジョイントと、前記シャフトの上端で支持されるとともに前記軸受との間に介在して前記シャフトに伸張力を付与するばねとを備え、前記モータの駆動により前記各円筒管を回動して前記穿孔メタルビットにより前記基板を切削し、切削した前記基板の一部を前記ばねにより上方へ引き上げるように構成したことを特徴とする加圧管補修具を提供できる。
【0010】
また、請求項2に記載の発明によれば、加圧管に固定された基板を穿孔する加圧管補修具において、前記加圧管から外方に向けて延伸して前記基板に取り付けられ、中空部を有する延長管と、前記延長管に接続された排出管と、前記延長管の中空部でガイドされつつ前記基板に当接して配置され先端の円周面に沿って穿孔メタルビットを有する円筒管と、前記円筒管を駆動するモータと、を備え、前記モータの駆動により前記円筒管を回動して前記穿孔メタルビットにより前記基板を切削切除して前記加圧管内の加圧体を排出するように構成したことを特徴とする加圧管補修具を提供できる。
【0011】
さらに、請求項3に記載の発明によれば、加圧管に固定された基板を穿孔する加圧管補修具を用いた加圧管補修方法において、前記加圧管から外方に向けて延伸して取り付けられる中空の延長管及び同心の中空部が形成される開閉ボールバルヴ並びに同心の中空部が形成される第二の延長管を固定部に設置する据え付け台に取り付け、前記固定部に取り付けたガイドポストに沿って移動する駆動モータにより、前記延長管の中空部でガイドされつつ前記基板に当接するように配置される円筒管を作動し、先端の円周面に沿って構成される穿孔メタルビットにより前記基板を切削し、前記円筒管内で前記基板と一体に取り付けられたシャフトが、前記円筒管内に支持される軸受とシャフト上端との間に介在する圧縮ばねにより、切削した前記基板の一部を上方へ引き上げるように構成した加圧管補修具を備え、前記穿孔メタルビットにより前記基板を切削した後に前記円筒管を途中まで引き上げて、前記開閉ボールバルヴを閉鎖した状態で前記円筒管を上方へ引き抜き、上部の延長管に排出管を接続した後に前記開閉ボールバルヴを開いて加圧管内の加圧体を排出することにより、加圧管内の補修が可能となるように構成した加圧管補修方法を提供できる。
【0012】
さらに、請求項4に記載の発明によれば、加圧管に固定された基板を穿孔する加圧管補修具を用いた加圧管補修方法において、前記加圧管から外方に向けて延伸して前記基板に取り付けられ、中空部を有する延長管と、前記延長管に接続された排出管と、前記延長管の中空部でガイドされつつ前記基板に当接して配置され先端の円周面に沿って穿孔メタルビットを有する円筒管と、前記円筒管を駆動するモータと、を備え、前記モータの駆動により前記円筒管を回動して前記穿孔メタルビットにより前記基板を切削切除して前記加圧管内の加圧体を排出するように構成した加圧管補修具を用いた加圧管補修方法を提供できる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、加圧管に固定された基板を穿孔する加圧管補修具において、モータの駆動により各円筒管を回動して穿孔メタルビットにより前記基板を切削し、切削した前記基板の一部をばねにより上方へ引き上げるように構成したことを特徴とする加圧管補修具を提供できる。
【0014】
このような構成によって、加圧された流体等を給送する管内の補修に際して、補修作業に先立って管内の加圧された流体等を抜き取り、安全に管内損傷部の補修が可能になる加圧管補修具を提供できる。
【0015】
また、請求項2に記載の発明によれば、モータの駆動により円筒管を回動して穿孔メタルビットにより基板を切削切除して加圧管内の加圧体を排出するように構成したから、極めて簡単な構成によって所期の目的を達成できる加圧管補修具を提供できる。
【0016】
さらに、請求項3に記載の発明によれば、加圧管に固定された基板を穿孔する加圧管補修具を用いた加圧管補修方法において、穿孔メタルビットにより前記基板を切削した後に前記円筒管を途中まで引き上げた後、開閉ボールバルヴを閉鎖した状態で円筒管を上方へ引き抜き、上部の延長管に排出管を接続した後に前記開閉ボールバルヴを開いて加圧管内の加圧体を排出することにより、加圧管内の補修が可能となる加圧管補修方法を提供できる。
【0017】
さらに、請求項4に記載の発明によれば、モータの駆動により円筒管を回動して穿孔メタルビットにより基板を切削切除して加圧管内の加圧体を排出するように構成したから、極めて簡単な構成の加圧管補修具を用いて所期の目的を達成できる加圧管補修方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】この発明の実施の一形態による全体構成を示す断面図である。
図2図1における本発明の主要部を示す拡大断面図である。
図3図1における本発明のモータ据え付け台の下方からの斜視図である。
図4図3における本発明のモータ据え付け台の上方からの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。図1において、高圧がかけられた水道や下水或はカン水などの配水管あるいは工業用の排水管Pなどには、マンホールHが設けられているのが一般的である。このマンホールHには高圧体の通常圧を測定するために、ボルト・ナットなどの通常手段によって取り付けられた基板1に小型の内圧測定用バルヴ2が取り付けられ、排水管Pの内部と連通している。これらは通常の設備であって、この内圧測定用バルヴ2は通常は閉鎖されており、必要に応じて公知の圧力測定器を取り付けてから開かれ排水管P内の圧力測定が行われる。
【0020】
本発明では、この基板1に延長管3が溶接などによって取り付けられており、さらにこの取り付け部分は管内Pにおける加圧体を管内損傷部補修に際して、補修作業に先立って管内に存在する加圧された加圧体を抜き取るためものであるから、気密性を保持するように取り付けられている。また、基板1は単体である場合や複数枚を積層したものである場合などがある。
【0021】
延長管3の上方にはフランジ部3aが設けられており、ここに開閉ボ−ルバルヴ6が取り付けられる。開閉ボ−ルバルヴ6は延長管3を介して排出される排水管Pからの加圧体の排出を制御する。さらに、開閉ボ−ルバルヴ6の上方フランジ部には中間延長管に続けて第二延長管7が接続される。同様に第三延長管が必要に応じて取り付けられる。また、途中の延長管には必要に応じて、圧力水の抜き取りバルヴなどが取り付けられる。さらに、最上部の延長管は、後述するモータMを取り付けるための据え付け台10に固定される。
【0022】
延長管3、開閉ボールバルヴ6、第二延長管7などの中空部には円筒管13が嵌合しており、適宜複数個に分割して構成されている。そして、先端の円筒管の最前端には穿孔メタルビット13aが取り付けられ、最上部の円筒管はモータMに連結されている。最前端の穿孔メタルビット13aは、基板1の一部を切削して排水管P内から加圧体を外部に排出可能にするものである。
【0023】
また、内圧測定用バルヴ2にはシャフト8が固定されている。シャフト8は、中間部にユニバーサルジョイント4を連結され、円筒管13内に取り付けた軸受5によって適宜支持されつつ、最上部に取り付けたばね9によって上方へ吊り上げられる構成である。即ち、最上部に固定される軸受5にばね9の下端が突き当てられ、ばね9の上端はシャフト8に取り付けた締め付けねじ9aによって保持される。
【0024】
ここで、シャフト8が内圧測定用バルヴ2に取り付けられている反面、軸受5は円筒管13内に固定されているから、ばね9の下端と軸受5との間には作動中に強力な摩擦力が作用することになる。そのために、ばね9の下端と軸受5との間にスラストベアリングが装填されている。また、シャフト8にはユニバーサルジョイント4を連結されているので、穿孔メタルビット13aによる負荷がシャフト8に掛っても折損する恐れが軽減される。
【0025】
延長管3、開閉ボールバルヴ6、第二延長管7などが順次積み重ねられつつ組み上げられ、その過程で中空部に円筒管13が嵌合され適宜複数個に分割して構成され、然もシャフト8が並行して組み付けられ軸受5が円筒管13内に固定されて行く。図3に示すように、最上段の円筒管13を最終的に据え付け台10に取り付ける際には、シールパッキン7aを挟んで第二延長管7のフランジ部がねじによって据え付け台10に固定される。
【0026】
また、図4に示されるように、据え付け台10の上側には、止水用フランジ16が上下二枚のドーナツ状の板16a、16bで構成され、その間にオーリング16cを挟んで組み立てられている。止水用フランジ16のドーナツ状の板16a、16bは、ボルト・ナットによって上下方向に締め付けられ、しかもその間にオーリング16cを挟んでいるから、ボルト・ナットの締め付け具合によってオーリング16cが内径側に迫り出して、このオーリング16cに嵌合する円筒管13が密閉状態を維持するように構成される。
【0027】
このオーリング16cに挟持される最上部の円筒管13は、連結ハンドル15によってモータMに連結される。連結ハンドル15には、詳記しないが穿孔メタルビット13aの冷却水や潤滑剤を注入するための注入口が設置されている。モータMはガイドポスト14に取り付けられており、ガイドポスト14に沿って上下方向にスライド自在に保持されている。また、ガイドポスト14は据え付け台10に固定されたポスト台12に固定されている。
【0028】
以下、このように構成された加圧管補修具を用いて加圧管を補修する際の補修具の作動方法について説明する。基板1に延長管3を取り付け、測定用バルヴ2にシャフト8を取り付ける方法についてはすでに説明した。また、開閉ボールバルヴ6については、円筒管13が挿入されているときには、この種の製品に共通する通常の通り開かれている構造である。
【0029】
そこで、ガイドポスト12の図示位置でモータMが固定されているので、モータMが起動されてハンドルMa操作によってモータMが下降されると、円筒管13が旋回して最前端の穿孔メタルビット13aが基板1の一部を切削して切り抜く。このとき、シャフト8は測定用バルヴ2に固定されているので、軸受5が円筒管13とともに旋回するためその中で保持されている。そして、穿孔メタルビット13aによって基板1の一部が切削されて切り抜かれると、切り抜かれた基板1の一部はシャフト8とともに、ばね9によって上方に引き上げられる。
【0030】
この場合、管内Pにおける加圧体は基板1が切り抜かれたことにより、円筒管13内を上方に向けて充満するが、上述のように止水用フランジ16のオーリング16cが気密性を保持しているのでこれ以上に上方へ抜け出ることはない。その後、さらにガイドポスト14に沿ってモータMが上方へ引き上げられて、先端の穿孔メタルビット13aが開閉ボールバルヴ6を超えたところで、開閉ボールバルヴ6が管内通路を閉じるので、管内Pにおける加圧体は上方へ流出することがない。
【0031】
続いて、円筒管13が引き抜かれて止水用フランジ16に代わって、管内Pにおける加圧体を排出するため別設の排出管が取り付けられ、適宜必要な位置までこのパイプが連結されて設置作業が完了する。そして、開閉ボールバルヴ6が開かれて管内Pにおける加圧体が抜き取られた後に、本来の目的であるその区間における補修作業が行われる。補修作業に先立って、マンホール内の基板1の取り外しが行われ、作業員が管内に出入りできるようにされる。補修作業は同一出願人による特許出願である特開2014−58995号公報に記載された方法により、管内Pの損傷部分について行われる。
【0032】
なお、円筒管13は上述の作業が完了すると、順次分解されシャフト8および軸受5が取り外されて再利用に回される。
【0033】
このように、予め補修区間内にあるマンホールを利用して、この内蓋付きのマンホールを含む管内の上流側と下流側との流入水等を閉鎖したうえで、この区間内の高圧がかかる加圧体を抜き取ることによって、その区間における補修作業を安全で効率的に行うことができる加圧管補修具を提供することができる。なお、管内の上流側にある送付ポンプを止めることによって、それ以降の加圧体の送り出しが停止されれば上流側の閉鎖は必ずしも必要ではない。補修作業が完了すれば、マンホールに蓋がされて新たな基板1が設置される。
【0034】
さらに、本発明の加圧管補修方法によって、当該加圧管補修具を用いて区間における補修作業を行うための加圧管補修方法を提供することができる。
【0035】
なお、上記実施形態において軸受5は溶接等によって円筒管13内に固定されるのが好ましいけれども、円筒方向の位置が規制できれば良いのであって、円筒管13内に設けたノッチなどによって旋回自在に支持する構造であっても良い。
【0036】
また、上記実施形態において開閉ボールバルヴ6は必須の構成要件ではなく、開閉ボールバルヴ6に代えてマンホールよりも上方に分岐排出管を設置し、この分岐排出管を所定の経路に沿って予め接続しておけば、穿孔メタルビット13aによって基板1の一部が切削されて切り抜かれると、管内の加圧体はその分岐排出管から排出させられる。この場合に、円筒管13内に適宜横穴を形成して排出口を予め形成しておくか、円筒管13を止水用フランジ16の位置まで引き上げた時に、分岐排出管へ管内の加圧体をその分岐排出管から排出させるようにしておくことによって所期の目的が達成される。
【0037】
さらに、上記実施形態においてシャフト8についても必須の構成要件ではなく、穿孔メタルビット13aによって基板1の一部が切削されて切り抜かれて管内に脱落させることが許容されるならば、このシャフト8及び軸受5ならびにばね9も不要となる。
【0038】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で適宜実施形態を変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0039】
1・・・基板
2・・・測定用バルヴ
3・・・延長管
4・・・ユニバーサルジョイント
5・・・軸受
6・・・開閉ボ−ルバルヴ
7・・・第二延長管
8・・・シャフト
9・・・ばね
10・・・据え付け台
11・・・短管フランジ
12・・・ポスト台
13・・・円筒管
14・・・ガイドポスト
15・・・連結ハンドル
16・・・止水用フランジ
図1
図2
図3
図4