特許第6209491号(P6209491)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6209491
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】通信機器
(51)【国際特許分類】
   G06F 13/10 20060101AFI20170925BHJP
   G06F 13/14 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   G06F13/10 330B
   G06F13/14 330B
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-116210(P2014-116210)
(22)【出願日】2014年6月4日
(65)【公開番号】特開2015-230565(P2015-230565A)
(43)【公開日】2015年12月21日
【審査請求日】2016年10月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプス電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 昌弘
(74)【代理人】
【識別番号】100085453
【弁理士】
【氏名又は名称】野▲崎▼ 照夫
(74)【代理人】
【識別番号】100135183
【弁理士】
【氏名又は名称】大窪 克之
(74)【代理人】
【識別番号】100120204
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 巌
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 司郎
【審査官】 田名網 忠雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−131876(JP,A)
【文献】 特開2005−217916(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0005045(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0179144(US,A1)
【文献】 特開平11−259605(JP,A)
【文献】 特開2013−206181(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/00
G06F 13/10−13/14
H04L 12/28
H04L 12/44−12/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の異なる通信方式のデータを処理可能な通信機器であって、
複数の異なる通信方式の信号の送受信をそれぞれ行う複数の送受信回路と、
前記通信方式に依存しない所定の共通形式のデータを処理する共通データ処理手段と、
前記複数の送受信回路の各々で送受信される信号が示すデータと、前記共通形式のデータとの間の変換処理を行う共通変換手段と、
前記送受信回路で受信された信号が示すデータを前記共通変換手段で前記共通形式に変換したデータを基に、前記送受信回路が受信した信号の通信方式を特定する通信方式特定手段と、
前記特定された通信方式の信号が示すデータを前記共通変換手段で変換して得られた前記共通形式のデータを選択して前記共通データ処理手段に提供する通信方式選択手段と
を有する通信機器。
【請求項2】
前記通信方式特定手段は、前記特定した通信方式以外の通信方式の信号を送受信する前記送受信回路の動作を停止する
請求項1に記載の通信機器。
【請求項3】
前記複数の送受信回路の各々に対応して設けられ、前記送受信回路を制御し、前記送受信回路及び前記共通変換手段との間でデータの受け渡しを行う回路制御手段
をさらに有する
請求項1または請求項2に記載の通信機器。
【請求項4】
複数の送受信回路の各々に対応した複数の前記共通変換手段と、
複数の送受信回路の各々に対応した複数の前記回路制御手段と
を有し、
前記通信方式特定手段は、前記特定した通信方式以外の通信方式の信号を送受信する前記送受信回路、当該送受信回路に対応した前記共通変換手段及び前記回路制御手段の動作を停止する
請求項3に記載の通信機器。
【請求項5】
前記回路制御手段、前記共通変換手段、前記通信方式特定手段、前記通信方式選択手段及び前記共通データ処理手段は、ソフトウェアで実現さている
請求項または請求項に記載の通信機器。
【請求項6】
前記共通データ処理手段が処理したデータの送信、あるいは前記共通データ処理手段で処理されるデータの受信を行う無線通信回路
をさらに有する請求項1〜5のいずれかに記載の通信機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる複数の通信方式のデータを処理可能な通信機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、Bluetooth(登録商標) / WLAN (Wireless LAN)等の無線通信モジュールでは、無線通信モジュールが組み込まれる機器に搭載されたホストCPUの制約やシステム構成に応じて要求される通信方式が異なる。
従来では、複数の異なる通信方式に対応した通信モジュールをそれぞれ個別に設計・製造している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−258494号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したように、通信方式毎に異なる通信モジュールを製造すると、需要と供給とが一致せず、過剰在庫や在庫切れとなることが多いという問題がある。
ところで、特許文献1には、ホストCPUが複数の方式のデータ通信を試みて、その結果を基に、デバイスの初期化処理を行い、推定されるデータ通信に適合したデバイスを選択して処理を行うシステムが開示されている。
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1に開示されたシステムでは、データ通信のインタフェースを切り換えるものではなく、ホストCPUの処理を切り換えるものである。すなわち、データ通信の方式に応じて、ホストCPUの処理(機能)自体が異なる。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、異なる複数の通信方式に対応可能であり、いずれの通信方式のデータを処理する場合も同一の機能を実現できる通信装置を提供することにある。
また、本発明は、異なる複数の通信方式に対応可能であり、省電力化を図ることができる通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した従来技術の問題点を解決し、上述した目的を達成するために、本発明の通信機器は、複数の異なる通信方式のデータを処理可能な通信機器であって、複数の異なる通信方式の信号の送受信をそれぞれ行う複数の送受信回路と、前記通信方式に依存しない所定の共通形式のデータを処理する共通データ処理手段と、前記複数の送受信回路の各々で送受信される信号が示すデータと、前記共通形式のデータとの間の変換処理を行う共通変換手段と、前記送受信回路で受信された信号が示すデータを前記共通変換手段で前記共通形式に変換したデータを基に、前記送受信回路が受信した信号の通信方式を特定する通信方式特定手段と、前記特定された通信方式の信号が示すデータを前記共通変換手段で変換して得られた前記共通形式のデータを選択して前記共通データ処理手段に提供する通信方式選択手段とを有する。
【0008】
この構成によれば、複数の送受信回路により、異なる複数の通信方式の送受信が可能である。また、共通変換手段における変換処理により、いずれの通信方式の送受信を行う場合でも、共通データ処理手段における処理を同じにできる。また、異なる複数の通信方式で通信を行う可能性がある場合でも、一つの通信機器で対応することができる。これにより、通信方式毎に異なる通信機器を製造する必要がなく、過剰在庫や在庫切れとなることを回避できる。
【0009】
好適には、本発明の通信機器の前記通信方式特定手段は、前記特定した通信方式以外の通信方式の信号を送受信する前記送受信回路の動作を停止する。
この構成によれば、実際に送受信を行わない通信方式に対応した送受信回路の動作による電力消費をなくし、省電力化を図れる。
【0010】
好適には、本発明の通信機器は、前記複数の送受信回路の各々に対応して設けられ、前記送受信回路を制御し、前記送受信回路及び前記共通変換手段との間でデータの受け渡しを行う回路制御手段をさらに有する。
この構成によれば、回路制御手段によって、送受信回路の動作を制御することができる。
【0011】
好適には、本発明の通信機器は、複数の送受信回路の各々に対応した複数の前記共通変換手段と、複数の送受信回路の各々に対応した複数の前記回路制御手段とを有し、前記通信方式特定手段は、前記特定した通信方式以外の通信方式の信号を送受信する前記送受信回路、当該送受信回路に対応した前記共通変換手段及び前記回路制御手段の動作を停止する。
この構成によれば、実際に送受信を行わない通信方式に対応した前記送受信回路、前記共通変換手段及び前記回路制御手段の動作による電力消費をなくし、省電力化を図れる。
【0012】
好適には、本発明の通信機器の前記回路制御手段、前記共通変換手段、前記通信方式特定手段、前記通信方式選択手段及び前記共通データ処理手段は、ソフトウェアで実現さている。 この構成によれば、前記共通変換手段、前記通信方式特定手段、前記通信方式選択手段及び前記共通データ処理手段をソフトウェアで実現することで、柔軟な機能設定が可能となる。
【0013】
好適には、本発明の通信機器は、前記共通データ処理手段が処理したデータの送信、あるいは前記共通データ処理手段で処理されるデータの受信を行う無線通信回路をさらに有する。
この構成によれば、無線通信機能を実現できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、異なる複数の通信方式に対応可能であり、いずれの通信方式のデータを処理する場合も同一の機能を実現できる通信装置を提供することができる。
また、本発明によれば、異なる複数の通信方式に対応可能であり、省電力化を図ることができる通信装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本実施形態の通信機器の利用形態を説明するための図である。
図2図2は、図1に示す通信機器の機能ブロック図である。
図3図3は、図1に示す通信機器の動作例を説明するためのフローチャートである。
図4図4は、図1に示す通信機器の動作例を説明するための図3の続きのフローチャートである。
図5図5は、通信機器の動作例を説明するための図4の続きのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態に係る通信機器を説明する。
図1は、本実施形態の通信機器1の利用形態を説明するための図である。
図1に示すように、本実施形態の通信機器1は、HF通話、及び、ネットワーク通信等の特定の機能を実現し、ホストCPU3から制御される。
本実施形態では、通信機器1は、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)/USB(Universal Serial Bus)/SDIO(Secure Digital Input/Output)等の汎用の通信方式を用いて行う。
この汎用の通信方式は、ホストCPU3の制約、及び、システム構成により要求が異なる場合があり、その要求に合わせて切り替えて使用される。
通信機器1は、例えば、Bluetooth(登録商標) / WLANモジュールである。
【0017】
通信機器1は、ホストCPU3との通信方式を自動検出可能とする。
通信機器1は、起動時に選択可能な通信方式を全て有効にする。そして、取り決めた形式のデータ列を最初に受信した通信方式を、以降のホストCPU3との通信方式として特定する。また、通信機器1は、通信方式が特定された後は、他の通信方式を無効とする。
【0018】
図2は、図1に示す通信機器1の機能ブロック図である。
図2に示すように、通信機器1は、例えば、UART送受信回路21、SDIO送受信回路23、USB送受信回路25、UART回路制御ブロック31、SDIO回路制御ブロック33、USB回路制御ブロック35、共通変換ブロック41,43,45、通信方式選択ブロック51、共通データ処理ブロック53、通信方式特定ブロック55及びRF回路57を有する。
【0019】
図2において、UART送受信回路21、SDIO送受信回路23及びUSB送受信回路25及びRF回路57は、ハードウェアによって実現される。
また、UART回路制御ブロック31、SDIO回路制御ブロック33、USB回路制御ブロック35、共通変換ブロック41,43,45、通信方式選択ブロック51、共通データ処理ブロック53及び通信方式特定ブロック55は、ソフトウェア、すなわちCPU等の処理回路でプログラムを実行することで実現される。
【0020】
UART送受信回路21は、ホストCPU3との間でUART方式の信号の入出力に関し、電気的な規格に基づいた動作を行うハードウェアである。UART送受信回路21は、ホストCPU3と送受信を行うデータをUART送受信レジスに格納する。
UART送受信回路21は、UART回路制御ブロック31がUART送受信レジスタにデータを書き込むと、当該データをホストCPU3に自動的に送信する。
【0021】
SDIO送受信回路23は、ホストCPU3との間でSDIO方式の信号の入出力に関し、電気的な規格に基づいた動作を行うハードウェアである。SDIO送受信回路23は、ホストCPU3と送受信を行うデータをSDIO送受信レジスに格納する。
SDIO送受信回路23は、SDIO回路制御ブロック33がSDIO送受信レジスタにデータを書き込むと、当該データをホストCPU3に自動的に送信する。
【0022】
USB送受信回路25は、ホストCPU3との間でUSB方式の信号の入出力に関し、電気的な規格に基づいた動作を行うハードウェアである。USB送受信回路25は、ホストCPU3と送受信を行うデータをUSB送受信レジスに格納する。
USB送受信回路25は、USB回路制御ブロック35がUSB送受信レジスタにデータを書き込むと、当該データをホストCPU3に自動的に送信する。
【0023】
UART回路制御ブロック31、SDIO回路制御ブロック33及びUSB回路制御ブロック35は、通信方式の間でのデータ形式及び通信仕様の相違を吸収するための様々な処理を行う。例えば、転送データの取り扱い、並びに接続管理処理の相違を吸収するための処理を行う。
【0024】
UART回路制御ブロック31は、UART制御ブロック、UART管理ブロック及び専用I/Fを有し、UART送受信回路21及び共通変換ブロック41との間でデータを入出力する。UART回路制御ブロック31は、UART送受信回路21の初期化、ステータスの変更等を行う。
UART方式は必要なデータのみの送受信が可能であるため、UART回路制御ブロック31は、そのための処理を行う。
【0025】
SDIO回路制御ブロック33は、UART制御ブロック、SDIO管理ブロック及び専用I/Fを有し、SDIO送受信回路23及び共通変換ブロック43との間でデータを入出力する。SDIO回路制御ブロック33は、SDIO送受信回路23の初期化、ステータスの変更等を行う。
SDIO方式では、ホストCPU3との通信内容に応じて、ホストCPU3が通信方法を選択して通信を行う。ホストCPU3は、バイト転送とブロック転送とのいずれか一方を選択する。
【0026】
SDIO方式は、ブロック転送を採用した場合に、論理データを参照しないと有効なデータ数が分からないため、ヘッダにデータ長を示すデータが含まれている。有効なデータを取り出す処理は、共通変換ブロック43で行われる。また、SDIO方式では、ホストCPU3がSDIO送受信レジスにアクセスしてデータの受け渡しをする
SDIO方式は、ブロック転送を採用する場合に、送受信時のダミーデータ処理が必要である。SDIO回路制御ブロック33は、可変長のデータを固定長のデータに変換、並びに受信データの論理的な解析を行ってダミーデータを破棄する処理を行う。
【0027】
USB回路制御ブロック35は、USB制御ブロック、USB管理ブロック及び専用I/Fを有し、USB送受信回路25及び共通変換ブロック45との間でデータを入出力する。USB回路制御ブロック35は、USB送受信回路25の初期化、ステータスの変更等を行う。
USB送受信回路25は、周期的にデータ通信を行う。USB送受信レジスタにデータが格納されると、ホストCPU3からの要求に応じて送信される。
【0028】
UART回路制御ブロック31、SDIO回路制御ブロック33及びUSB回路制御ブロック35には、通信方式選択ブロック51及び通信方式特定ブロック55にデータを受け渡すための関数が登録されている。
【0029】
共通変換ブロック41は、UART回路制御ブロック31が扱うデータ形式と、共通データ処理ブロック53が扱う共通形式のデータとの間でデータ変換を行う。
共通データ処理ブロック53が扱う共通形式のデータは、例えば、オペコード(OPECODE)と、データ長(DATA LENGTH)と、データ(DATA)とからなるデータ構造(データ形式)である。
オペコードは2バイトの固定長であり、データ長は2バイトの固定長であり、データは可変長である。
【0030】
オペコードは、初期化、動作開始及び動作停止の3つのコマンドのうち一つのコマンドを示している。
SDIO方式は、ホストCPU3との接続手続きが必要であり、受信要求時に未接続の場合には受信データ無しなどの状態変換が必要であり、それらに対応する変換処理を共通変換ブロック41で行う。すなわち、共通変換ブロック41では、内部処理側には論理的に同じ通信データ、及び手順となるように変換処理を行う。共通変換ブロック41は、通信方式選択ブロック51及び通信方式特定ブロック55との間でデータを受け渡す関数を定義している。
【0031】
共通変換ブロック43は、SDIO回路制御ブロック33が扱うデータ形式と、共通データ処理ブロック53が扱う共通形式のデータとの間でデータ変換を行う。共通変換ブロック43は、SDIO回路制御ブロック33との間で処理を行う点を除いて、上述した共通変換ブロック41と同じである。
【0032】
共通変換ブロック45は、USB回路制御ブロック35が扱うデータ形式と、共通データ処理ブロック53が扱う共通形式のデータとの間でデータ変換を行う。共通変換ブロック45は、USB回路制御ブロック35との間で処理を行う点を除いて、上述した共通変換ブロック41と同じである。
【0033】
通信方式選択ブロック51は、通信確立検出ブロック55によって特定(選択)された通信方式に対応する共通変換ブロック41,43,45からのデータを選択して共通データ処理ブロック53に出力する。
このとき、通信方式選択ブロック51は、一つの共通変換ブロック41,43,45からのデータを共通データ処理ブロック53に出力する。
また、通信方式選択ブロック51は、共通データ処理ブロック53からのデータを、通信確立検出ブロック55によって選択された通信方式に対応した共通変換ブロック41,43,45に出力する。
共通データ処理ブロック53は、通信方式選択ブロック51から入力した通信方式に依存しないデータを基に所定の処理を行い、これをRF回路57に出力する。また、共通データ処理ブロック53は、RF回路57から入力したデータを処理して通信方式選択ブロック51に出力する。
【0034】
通信方式特定ブロック55は、共通変換ブロック41からのデータを基に、UART送受信回路21が所定の認証コード長のデータを受信したか否かを特定する。
そして、通信方式特定ブロック55は、UART送受信回路21が所定の認証コード長のデータを受信したと判断すると、当該データが所定の認証コードと一致するか否かを判断し、一致すると判断した場合にUART方式を選択することを決定し、通信方式特定通知を通信方式選択ブロック51に出力する。
【0035】
通信方式特定ブロック55は、共通変換ブロック43からのデータを基に、SDIO送受信回路23が所定の認証コード長のデータを受信したか否かを特定する。
そして、通信方式特定ブロック55は、SDIO送受信回路23が所定の認証コード長のデータを受信したと判断すると、当該データが所定の認証コードと一致するか否かを判断し、一致すると判断した場合にSDIO方式を選択することを決定し、通信方式特定通知を通信方式選択ブロック51に出力する。
【0036】
通信方式特定ブロック55は、共通変換ブロック45からのデータを基に、USB送受信回路25が所定の認証コード長のデータを受信したか否かを特定する。
そして、通信方式特定ブロック55は、USB送受信回路25が所定の認証コード長のデータを受信したと判断すると、当該データが所定の認証コードと一致するか否かを判断し、一致すると判断した場合にUSB方式を選択することを決定し、通信方式特定通知を通信方式選択ブロック51に出力する。
【0037】
通信方式特定ブロック55は、選択しなかった通信方式に対応する共通変換ブロック41,43,45、UART回路制御ブロック31、SDIO回路制御ブロック33、USB回路制御ブロック35、UART送受信回路21、SDIO送受信回路23及びUSB送受信回路25を非動作状態に切り換える制御を行う。
【0038】
RF回路57は、共通データ処理ブロック53で生成したデータを、Bluetooth(登録商標) / WLAN方式等の無線通信で送信する。また、RF回路57は、共通データ処理ブロック53で処理するデータを上記無線通信で受信する。
【0039】
以下、図1及び図2に示す通信機器1の動作例を説明する。
図3は、通信機器1の動作例を説明するためのフローチャートである。
ステップST1:
通信機器1の電源を投入する。
【0040】
ステップST2:
通信機器1は、各構成要素の初期化を行う。
【0041】
ステップST3:
UART送受信回路21の動作を開始する。
UART送受信回路21は、ホストCPU3からUART方式の信号を受信した場合に、当該信号に電気的な規格に基づいた処理を行い、当該処理によるデータを所定のUART送受信レジスタに書き込む。
UART回路制御ブロック31及び共通変換ブロック41は、上記UART送受信レジスタからデータを読み出し、通信方式の間でのデータ形式及び通信仕様の相違を吸収するための様々な処理を行い、その結果を所定のUART用レジスタに書き込む。例えば、転送データの取り扱い、並びに接続管理処理の相違を吸収するための処理を行う。
【0042】
ステップST4:
SDIO送受信回路23の動作を開始する。
SDIO送受信回路23は、ホストCPU3からSIDO方式の信号を受信した場合に、当該信号に電気的な規格に基づいた処理を行い、当該処理によるデータをSDIO送受信レジスタに書き込む。
SDIO回路制御ブロック33及び共通変換ブロック43は、上記SDIO送受信レジスタからデータを読み出し、通信方式の間でのデータ形式及び通信仕様の相違を吸収するための様々な処理を行い、その結果を所定のSDIO用レジスタに書き込む。
【0043】
ステップST5:
USB送受信回路25の動作を開始する。
USB送受信回路25は、ホストCPU3からUSB方式の信号を受信した場合に、当該信号に電気的な規格に基づいた処理を行い、当該処理によるデータをUSB送受信レジスタに書き込む。
USB回路制御ブロック35及び共通変換ブロック45は、上記USB送受信レジスタからデータを読み出し、通信方式の間でのデータ形式及び通信仕様の相違を吸収するための様々な処理を行い、その結果を所定のUSB用レジスタに書き込む。
【0044】
ステップST6:
通信方式特定ブロック55は、UART用レジスタを参照し、UART用レジスタに認証コード長のデータが格納されているか否か(認証コード長のデータを受信したか否か)を判定し、肯定判定の場合にステップST7に進み、否定判定の場合にステップST10に進む。
【0045】
ステップST7:
通信方式特定ブロック55は、UART用レジスタに格納されたデータが所定の認証コードと一致するか否かを判定し、肯定判定の場合にステップST8に進み、否定判定の場合にステップST10に進む。
【0046】
ステップST8:
通信方式特定ブロック55は、UART方式を選択することを決定し、通信方式特定通知を通信方式選択ブロック51に出力する。
これにより、通信方式選択ブロック51は、共通変換ブロック41からのデータを選択して共通データ処理ブロック53に出力する。
【0047】
ステップST9:
通信方式特定ブロック55は、共通変換ブロック43,45、SDIO回路制御ブロック33、USB回路制御ブロック35、SDIO送受信回路23及びUSB送受信回路25を非動作状態に切り換える制御を行う。UART送受信回路21、UART回路制御ブロック31、共通変換ブロック41、通信方式選択ブロック51、共通データ処理ブロック53、通信方式特定ブロック55及びRF回路57は継続して動作状態となる。
【0048】
ステップST10:
通信方式特定ブロック55は、SDIO用レジスタを参照し、SDIO用レジスタに認証コード長のデータが格納されているか否か(認証コード長のデータを受信したか否か)を判定し、肯定判定の場合にステップST11に進み、否定判定の場合にステップST14に進む。
【0049】
ステップST11:
通信方式特定ブロック55は、SDIO用レジスタに格納されたデータが所定の認証コードと一致するか否かを判定し、肯定判定の場合にステップST12に進み、否定判定の場合にステップST14に進む。
【0050】
ステップST12:
通信方式特定ブロック55は、SDIO方式を選択することを決定し、通信方式特定通知を通信方式選択ブロック51に出力する。
これにより、通信方式選択ブロック51は、共通変換ブロック43からのデータを選択して共通データ処理ブロック53に出力する。
【0051】
ステップST13:
通信方式特定ブロック55は、共通変換ブロック41,45、UART回路制御ブロック31、USB回路制御ブロック35、UART送受信回路21及びUSB送受信回路25を非動作状態に切り換える制御を行う。SDIO送受信回路23、SDIO回路制御ブロック33、共通変換ブロック43、通信方式選択ブロック51、共通データ処理ブロック53、通信方式特定ブロック55及びRF回路57は継続して動作状態となる。
【0052】
ステップST14:
通信方式特定ブロック55は、USB用レジスタを参照し、USB用レジスタに認証コード長のデータが格納されているか否か(認証コード長のデータを受信したか否か)を判定し、肯定判定の場合にステップST15に進み、否定判定の場合にステップST6に戻る。
【0053】
ステップST15:
通信方式特定ブロック55は、USB用レジスタに格納されたデータが所定の認証コードと一致するか否かを判定し、肯定判定の場合にステップST16に進み、否定判定の場合にステップST6に戻る。
【0054】
ステップST16:
通信方式特定ブロック55は、USB方式を選択することを決定し、通信方式特定通知を通信方式選択ブロック51に出力する。
これにより、通信方式選択ブロック51は、共通変換ブロック45からのデータを選択して共通データ処理ブロック53に出力する。
【0055】
ステップST17:
通信方式特定ブロック55は、共通変換ブロック41,43、UART回路制御ブロック31、SDIO回路制御ブロック33、UART送受信回路21及びSDIO送受信回路23を非動作状態に切り換える制御を行う。USB送受信回路25、USB回路制御ブロック35、共通変換ブロック45、通信方式選択ブロック51、共通データ処理ブロック53、通信方式特定ブロック55及びRF回路57は継続して動作状態となる。
【0056】
ステップST18:
通信方式特定ブロック55は、通信方式特定通知を共通データ処理ブロック53に出力する。
これより、共通データ処理ブロック53は、通信方式選択ブロック51から入力した選択された通信方式のデータを処理する。ここで、前述したように共通データ処理ブロック53における処理は通信方式に依存しない。
【0057】
ステップST19:
通信方式特定ブロック55は、通信方式選択ブロック51を介して、認証確認コードをホストCPU3に送信する。認証確認コードは、全て0の4バイトデータである。
このとき、UART送受信回路21、SDIO送受信回路23、UART回路制御ブロック31、SDIO回路制御ブロック33、USB回路制御ブロック35、共通変換ブロック41,43,45のうち、選択された通信方式に対応する回路及びブロックを介して、通信方式特定通知がホストCPU3に送信される。
【0058】
ステップST20:
ホストCPU3と共通データ処理ブロック53との間でデータ通信が行われる。当該通信において、認証コードが接続を保護するセキュリティキーのように使用される。
また、共通データ処理ブロック53が生成したデータが、RF回路57を介して無線方式で送信される。また、RF回路57が無線方式で受信したデータを用いて共通データ処理ブロック53が処理を行う。
【0059】
以上説明したように、通信機器1によれば、通信機器1が異なる複数の通信方式のホストCPU3と通信を行う可能性がある場合でも、一つの機器で対応することができる。これにより、通信方式毎に異なる通信機器1を製造する必要がなく、過剰在庫や在庫切れとなることを回避できる。
【0060】
通信機器1によれば、異なる複数の通信方式のデータを処理可能であり、いずれの通信方式のデータを共通データ処理ブロック53で処理する場合においても、同一の処理が行われ、同一の機能を実現できる。
【0061】
通信機器1によれば、出荷後に複数の通信方式のうちいずれの通信方式を採用するホストCPU3が用いられた場合でも、共通データ処理ブロック53における処理が同じであるため、通信機器1の出荷前の共通データ処理ブロック53について同じ検査を行うことができる。
【0062】
通信機器1によれば、共通変換ブロック43,45、UART回路制御ブロック31SDIO回路制御ブロック33、USB回路制御ブロック35、UART送受信回路21、SDIO送受信回路23及びUSB送受信回路25のうち、選択した通信方式に対応するブロック及び回路を動作状態とし、選択してない通信方式に対応するブロック及び回路を非動作状態とする。これにより、不要な回路及びブロックの動作を停止し、省電力化を図れる。
【0063】
また、通信機器1によれば、UART回路制御ブロック31、SDIO回路制御ブロック33、USB回路制御ブロック35、共通変換ブロック41,43,45、通信方式選択ブロック51、共通データ処理ブロック53及び通信方式特定ブロック55をソフトウェアで実現したことで、機能変更等に柔軟に対応できる。
【0064】
本発明は上述した実施形態には限定されない。
すなわち、当業者は、本発明の技術的範囲またはその均等の範囲内において、上述した実施形態の構成要素に関し、様々な変更、コンビネーション、サブコンビネーション、並びに代替を行ってもよい。
【0065】
上述した実施形態では、複数の異なる通信方式として、UART、USB及びSDIOを例示したが、これらは一例であり、複数の異なる通信方式であれば特に限定されない。
また、上述した実施形態では、UART送受信回路21、SDIO送受信回路23、UART回路制御ブロック31、SDIO回路制御ブロック33、USB回路制御ブロック35、共通変換ブロック41,43,45、通信方式選択ブロック51、共通データ処理ブロック53及び通信方式特定ブロック55をソフトウェアで実現する場合を例示したが、これらのうち少なくとも一部をハードウェアで実現してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0066】
異なる複数の通信方式のデータを処理可能な通信機器に関するものである。
【符号の説明】
【0067】
1…通信機器、3…ホストCPU,21…UART送受信回路、23…SDIO送受信回路、25…USB送受信回路、31…UART回路制御ブロック、33…SDIO回路制御ブロック、35…USB回路制御ブロック、41,43,45…共通変換ブロック、51…通信方式選択ブロック、53…共通データ処理ブロック、55…通信方式特定ブロック、57…RF回路
図1
図2
図3
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図5