特許 6209503 送風装置

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】6209503

(24)【登録日】2017年9月15日

(45)【発行日】2017年10月4日

(54)【発明の名称】送風装置

(51)【国際特許分類】

   F24F 13/065 20060101AFI20170925BHJP

【ＦＩ】

   F24F13/065

【請求項の数】8

【全頁数】16

(21)【出願番号】特願2014-231918(P2014-231918)

(22)【出願日】2014年11月14日

(65)【公開番号】特開2016-95092(P2016-95092A)

(43)【公開日】2016年5月26日

【審査請求日】2016年11月7日

(73)【特許権者】

【識別番号】000002473

【氏名又は名称】象印マホービン株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100100158

【弁理士】

【氏名又は名称】鮫島 睦

(74)【代理人】

【識別番号】100081422

【弁理士】

【氏名又は名称】田中 光雄

(74)【代理人】

【識別番号】100111039

【弁理士】

【氏名又は名称】前堀 義之

(72)【発明者】

【氏名】奥村 雅一

(72)【発明者】

【氏名】米原 真輔

(72)【発明者】

【氏名】前田 達也

【審査官】 金丸 治之

(56)【参考文献】

【文献】 特開２０１４−２０７０７（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開２０１０−２６５８３４（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開２０１２−２１７０１（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開平４−３７０３９６（ＪＰ，Ａ）

【文献】 中国特許出願公開第１０２２６１７２７（ＣＮ，Ａ）

(58)【調査した分野】（Int.Cl.，ＤＢ名）

Ｆ２４Ｆ １３／０６５

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

吸込口及び送風手段を有する本体部と、
前記送風手段により前記吸込口から吸引された空気を吹き出す吹出口を有し、前記本体部の上方に隙間を持って配置され、前記本体部に対して回転する回転部と
を備え、
前記本体部と前記回転部のうちの一方は、第１の受面を備え、
前記本体部と前記回転部のうちの他方は、付勢手段により弾性的に付勢されて前記第１の受面に当接する第１の当接部と、前記第１の当接部よりも前記第１の受面から離れた位置にある止め部とを備え、
前記本体部と前記回転部のうちの一方が他方に向けて所定の力よりも大きい押圧力で押圧されると、前記第１の当接部は、前記付勢手段による付勢力に抗して変位し、前記止め部が前記第１の受面に当接する、送風装置。

【請求項2】

前記止め部は、前記第１の受面と当接する際に面接触する当り面を備える、請求項１に記載の送風装置。

【請求項3】

前記第１の当接部は、前記第１の受面の上を転動する第１の転動体の一部である、請求項１又は請求項２に記載の送風装置。

【請求項4】

前記第１の転動体を転動可能に保持し、前記付勢手段によって前記第１の受面に向けて付勢されている保持ケーシングをさらに備える、請求項３に記載の送風装置。

【請求項5】

前記第１の当接部は、前記付勢手段と一体であり、前記付勢手段の一端を構成している、請求項１又は２に記載の送風装置。

【請求項6】

前記第１の当接部及び前記付勢手段は前記回転部に配置され、前記第１の受面は前記本体部に配置されている、請求項１から５のいずれか１項に記載の送風装置。

【請求項7】

前記回転部は貫通孔を有し、
前記貫通孔内に、前記回転部との間に隙間を持って少なくとも部分的に配置された固定頂部をさらに備え、
前記貫通孔の内側と前記固定頂部の外側のうちの一方は、第２の受面を備え、
前記貫通孔の内側と前記固定頂部の外側のうちの他方は、前記第２の受面に当接する第２の当接部を備える、請求項１から６のいずれか１項に記載の送風装置。

【請求項8】

前記第２の当接部は、前記第２の受面の上を転動する第２の転動体の一部である、請求項７に記載の送風装置。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、送風装置に関する。送風装置とは、吸込口から空気を吸引し、何らかの処理を加え又は加圧以外の処理を加えることなく、吹出口から空気を吹き出す装置をいう。例えば、送風装置には、除湿機、加湿器、空気調和機、サーキュレータ、冷風機、温風機、及び扇風機等が該当する。

【背景技術】

【0002】

吹出口から風（空気）が吹き出す方向を変化させることができる除湿機や加湿器が従来から提案されている。例えば、この種の加湿器が、特許文献１に開示されている。

【0003】

特許文献１の加湿器は、本体ケース及び本体ケースの上部に配置された風向変更部を有する。風向変更部は、本体ケースに対して回転可能である。また、風向変更部は、その側面に加湿した空気を吹き出すためのスポット用吹出口を有する。

【0004】

しかし、特許文献１の加湿器は、本体ケースに対して風向変更部が回転する際、本体ケース上面を風向変更部が摺動するため、本体ケースと風向変更部との間には摩擦による回転を妨げる抗力が生じている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0005】

【特許文献1】特開２０１４−２０７０７号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0006】

本発明は、回転部の回転抵抗を低減できると共に、装置に対して軸線方向に過大な力が付加された際の破損を防止できる送風装置を提供することを課題とする。

【課題を解決するための手段】

【0007】

本発明は、吸込口及び送風手段を有する本体部と、前記送風手段により前記吸込口から吸引された空気を吹き出す吹出口を有し、前記本体部の上方に隙間を持って配置され、前記本体部に対して回転する回転部とを備え、前記本体部と前記回転部のうちの一方は、第１の受面を備え、前記本体部と前記回転部のうちの他方は、付勢手段により弾性的に付勢されて前記第１の受面に当接する第１の当接部と、前記第１の当接部よりも前記第１の受面から離れた位置にある止め部とを備え、前記本体部と前記回転部のうちの一方が他方に向けて所定の力よりも大きい押圧力で押圧されると、前記第１の当接部は、前記付勢手段による付勢力に抗して変位し、前記止め部が前記第１の受面に当接する、送風装置を提供する。

【0008】

この送風装置によれば、第１の当接部を備えることで回転部の回転抵抗を低減できると共に、装置に対して軸線方向に過大な力が付加された際の第１の当接部の破損を防止できる。具体的には、装置に対して軸線方向に過大な力が付加された際、即ち第１の受面から所定以上の力で第１の当接部が軸線方向に押圧された際、第１の当接部は変位し、第１の受面と止め部が当接する。このため、第１の当接部は所定以上の力を受けることがない。

【0009】

前記止め部は、前記第１の受面と当接する際に面接触する当り面を備えることが好ましい。

【0010】

この送風装置によれば、装置に対して軸線方向に過大な力が付加された際、止め部と第１の受面との接触が面接触であることで、接触時に止め部が第１の受面から受ける力を分散できる。従って、止め部と第１の受面の損傷をそれぞれ防止できる。

【0011】

前記第１の当接部は、前記第１の受面の上を転動する第１の転動体の一部であることが好ましい。

【0012】

第１の当接部が、第１の転動体の一部であることで、回転部の回転抵抗をより低減できる。ここで、第１の転動体は、軸を有する車輪型のものに加え、軸を有さないボール型のものも含む。

【0013】

この送風装置は、前記第１の転動体を転動可能に保持し、前記付勢手段によって前記第１の受面に向けて付勢されている保持ケーシングをさらに備えることが好ましい。

【0014】

この送風装置によれば、保持ケーシングをさらに備えることで、付勢手段が第１の転動体に直接接触することなく付勢できる。第１の転動体は転動するため、付勢手段により接触されると、転動が阻害されるおそれがある。これを防止するため、保持ケーシングを介して第１の転動体を付勢することで第１の転動体は保持ケーシング内で自由に転動できる。

【0015】

前記第１の当接部は、前記付勢手段と一体であり、前記付勢手段の一端を構成していてもよい。

【0016】

回転抵抗を低減する手段として第１の転動体のように転動するものの他、付勢手段の一端が第１の当接部を構成し、第１の当接部が第１の受面上を摺動することによっても回転抵抗を低減できる。

【0017】

前記第１の当接部及び前記付勢手段は前記回転部に配置され、前記第１の受面は前記本体部に配置されていることが好ましい。

【0018】

この送風装置によれば、回転部に第１の当接部及び付勢手段を配置することで、付勢手段による第１の当接部の付勢が容易となる。具体的には、回転部は本体部の上方にあるため、回転部側に第１の当接部及び付勢手段を設けることで、付勢手段は下方へ第１の当接部を付勢する。従って、重力方向と付勢方向が一致しているため、本体部側に第１の当接部及び付勢手段を設けた場合と比べて付勢力を小さくでき、付勢が容易となる。

【0019】

前記回転部は貫通孔を有し、前記貫通孔内に、前記回転部との間に隙間を持って少なくとも部分的に配置された固定頂部をさらに備え、前記貫通孔の内側と前記固定頂部のうちの一方は、第２の受面を備え、前記貫通孔の内側と前記固定頂部のうちの他方は、前記第２の受面に当接する第２の当接部を備えることが好ましい。

【0020】

この送風装置によれば、第２の当接部を備えることで回転部の回転抵抗を低減できる。また、回転部の水平方向（軸線と交差する方向）の可動範囲を第２の転動体と第２の受面が当接することにより規制できる。

【0021】

前記第２の当接部は、前記第２の受面の上を転動する第２の転動体の一部であることが好ましい。

【0022】

第２の当接部が、第２の転動体の一部であることで、回転部の回転抵抗をより低減できる。ここで、第２の転動体は、軸を有する車輪型のものに加え、軸を有さないボール型のものも含む。

【発明の効果】

【0023】

本発明によれば、回転部を有する送風装置において、回転部の回転抵抗を低減できると共に、装置に対して軸線方向に過大な力が付加された際の破損を防止できる。

【図面の簡単な説明】

【0024】

【図1】本発明の第１実施形態に係る除湿機の斜視図。

【図2】図１の除湿機の分解斜視図。

【図3A】図２の本体を正面側から見た斜視図。

【図3B】図２の本体を背面側から見た斜視図。

【図4】第１実施形態に係る除湿機の概念的な断面図。

【図5】除湿機のシステム図。

【図6】図２のヘッド部の分解斜視図。

【図7】回転本体部とヘッドベースを下側から見た斜視図。

【図8】回転本体部とコロユニットの分解斜視図。

【図9A】取付部を示す回転本体部の斜視図。

【図9B】図９Ａの部分拡大図。

【図10A】可動前の第１のコロを示すコロユニット及び取付部の断面図。

【図10B】可動後の第１のコロを示すコロユニット及び取付部の断面図。

【図11A】第２のコロを示す回転本体部の斜視図。

【図11B】図１１Ａの部分拡大図。

【図12A】第２実施形態に係る可動前の第１のコロを示すコロユニット及び取付部の断面図。

【図12B】第２実施形態に係る可動後の第１のコロを示すコロユニット及び取付部の断面図。

【図13A】第３実施形態に係る可動前の板ばねを示すコロユニット及び取付部の断面図。

【図13B】第３実施形態に係る可動後の板ばねを示すコロユニット及び取付部の断面図。

【図14】第４実施形態に係る除湿機の概念的な断面図。

【発明を実施するための形態】

【0025】

以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語（例えば、「上」、「下」、「側」、「端」を含む用語）を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が限定されるものではない。また、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物、あるいは、その用途を制限することを意図するものではない。

【0026】

図１から図３Ｂは本発明の実施形態に係る除湿機１を示す。図４は除湿機１の概念的な断面図である。図５は除湿機１のシステム図である。

【0027】

（全体構成）
図１及び図２を参照すると、除湿機１は、円柱形状の外観を有し、本体（本体部）１００と、本体１００の上部に配置されたヘッド部６００と、本体１００の下部に配置された貯水部７００とを備える。除湿機１は、本体１００の吸込口１１２から吸引した外部（例えば除湿対象の室内）の空気（処理空気）を、本体１００内で除湿ロータ２００による水分吸着により除湿する。除湿された処理空気は、ヘッド部６００の吹出口６４２から外部へ吐出される。除湿ロータ２００に吸着された水分は、本体１００内の閉経路を循環する空気（再生空気）により回収され、貯水部７００の貯水タンク７２０内に貯留される。

【0028】

ヘッド部６００は、本体１００の軸線Ｌを中心として回転可能な送風部６４０を備える。送風部６４０は、図１に示す位置を基準（基準位置）として、収容ケース（固定頂部）６８０回りを略±１８０度の範囲で周方向Ａに往復（首振り）回転できる。送風部６４０の吹出口６４２には可動式のルーバー６６０が配置されている。ルーバー６６０は、上下方向Ｂの設定範囲で揺動可能である。

【0029】

図４及び図５に示すように、除湿機１は、破線で示す処理空気が流れる経路（処理空気経路）２と、実線で示す再生空気が流れる経路（再生空気経路）３とを備える。除湿ロータ２００は、処理空気経路２及び再生空気経路３に跨がって配置されている。除湿機１は、除湿ロータ２００の一面側（吸込口１１２側）に、再生空気及び除湿ロータ２００を加熱するヒータ（加熱手段）２５０を備える。また、除湿機１は、除湿ロータ２００の一面側に配置された主熱交換器（第１熱交換器）３００と、除湿ロータ２００の他面側に配置された副熱交換器（第２熱交換器）３５０とを備える。さらに、除湿機１は、処理空気を吸引及び吐出するための処理空気ファン（送風手段）４００と、再生空気を循環させるための再生空気ファン４５０とを備える。

【0030】

図１から図３Ｂに示すように、本体１００は、除湿ロータ２００、ヒータ２５０、主熱交換器３００、副熱交換器３５０、処理空気ファン４００、及び再生空気ファン４５０を含む部品を配置するベース１０１を備える。ベース１０１は、下端に位置する平面視円形状の基部１０２と、基部１０２から矩形状をなすように立設した立壁部１０３とを備える。ベース１０１の外周部は、半円筒状である樹脂製の外装パネル１１０Ａ，１１０Ｂにより覆われている。外装パネル１１０Ａ，１１０Ｂは、内面側に金属製の補強パネル１１１Ａ，１１１Ｂを備える。一方の外装パネル１１０Ａには、室内の空気を取り入れるための吸込口１１２が設けられている。吸込口１１２は、上下方向に延びる多数条のスリットからなる。なお、吸込口１１２の内面側には、図示しないフィルタが外装パネル１１０Ａに沿って着脱可能に配置されている。

【0031】

（処理空気経路）
図４及び図５に示すように、処理空気経路２は、吸込口１１２から吹出口６４２までを接続している。処理空気経路２には、吸込口１１２から吹出口６４２に向けて処理空気が流れる方向に沿って順に、主熱交換器３００、除湿ロータ２００、副熱交換器３５０、及び処理空気ファン４００が配置されている。

【0032】

図５に最も明瞭に示すように、処理空気経路２は、第１から第５の部分２ａ〜２ｅを備える。第１部分２ａは、吸込口１１２から主熱交換器３００までを接続している。図４に示すように、第１部分２ａは、吸込口１１２と主熱交換器３００との間に形成された空間からなる。第２部分２ｂは、主熱交換器３００から除湿ロータ２００までを接続している。図４に示すように、第２部分２ｂは、主熱交換器３００と除湿ロータ２００との間に形成された空間からなる。第３部分２ｃは、除湿ロータ２００から副熱交換器３５０までを接続している。図４に示すように、第３部分２ｃは、除湿ロータ２００と副熱交換器３５０との間に形成された空間からなる。第４部分２ｄは、副熱交換器３５０から処理空気ファン４００までを接続している。図４に示すように、第４部分２ｄは、副熱交換器３５０と処理空気ファン４００の吸込口との間に形成された空間からなる。第５部分２ｅは、処理空気ファン４００の吐出口から吹出口６４２までを接続している。図４に示すように、第５部分２ｅは、処理空気ファン４００のファンケース４１０の送出部４１１、及びヘッド部６００の送風案内部６４１を備える。

【0033】

処理空気ファン４００が駆動されると、吸込口１１２から処理空気が吸い込まれる。処理空気は、主熱交換器３００で昇温された後、除湿ロータ２００を通過する際に除湿される。ついで、副熱交換器３５０で更に昇温された後、処理空気ファン４００のファンケース４１０内に流入する。その後、ファンケース４１０の送出部４１１から上向きに送出され、ヘッド部６００の吹出口６４２から室内へ排出される。

【0034】

（再生空気経路）
図４及び図５に示すように、再生空気経路３には、ヒータ２５０を起点として再生空気が流れる方向に従って順に、除湿ロータ２００、副熱交換器３５０、主熱交換器３００、及び再生空気ファン４５０が配置されている。

【0035】

図５に最も明瞭に示すように、再生空気経路３は、第１から第５の部分３ａ〜３ｅを備える。第１部分３ａは、再生空気ファン４５０の吐出口からヒータ２５０までを接続している。図３Ａ，Ｂ及び図４に示すように、第１部分３ａは、再生空気ファン４５０のファンケース４６０とヒータ２５０のヒータケース２６０の間のダクト部４６２を備える。第２部分３ｂは、ヒータ２５０から除湿ロータ２００までを接続している。図４に示すように、第２部分３ｂは、ヒータケース２６０中のヒータ２５０と除湿ロータ２００との間に形成された空間（隙間）からなる。第３部分３ｃは、除湿ロータ２００から副熱交換器３５０までを接続している。図４に示すように、第３部分３ｃは、副熱交換器３５０の上部ヘッダ３７０の内部空間からなる。第４部分３ｄは、副熱交換器３５０から主熱交換器３００までを接続している。図３Ａ，Ｂ及び図４に示すように、第４部分３ｄは、副熱交換器３５０の下部ヘッダ３８０、ダクト部材５００、及び主熱交換器３００の上部ヘッダ３２０を備える。第５部分３ｅは、主熱交換器３００から再生空気ファン４５０までを接続している。図３Ｂ及び図４に示すように、第５部分３ｅは、主熱交換器３００の下部ヘッダ３３０と再生空気ファン４５０のファンケース４６０の間のダクト部４６１を備える。

【0036】

再生空気ファン４５０が駆動されると、再生空気ファン４５０から送出された再生空気は、ヒータ２５０で加熱される。ついで、再生空気は、除湿ロータ２００を通過する際に、除湿ロータ２００が吸着した水分を回収（吸湿）した後、副熱交換器３５０で冷却される。ついで、ダクト部材５００を通って主熱交換器３００に流入し、再び冷却される。その後、再生空気は、再生空気ファン４５０に戻り、再びヒータ２５０へ送出される。

【0037】

（ヘッド部の詳細）
図６は本実施形態に係るヘッド部６００の分解斜視図である。図４及び図６に示すように、ヘッド部６００は、本体（本体部）１００の上端に固定されたヘッドベース６１０と、ヘッドベース６１０に回転可能に配置された送風部（回転部）６４０と、送風部６４０をヘッドベース６１０との間に挟み込んで配置する収容ケース（固定頂部）６８０とを備える。

【0038】

図６に示すように、ヘッドベース６１０は、金属製のベース本体６２０と、樹脂製のベースカバー６３０とを備え、これらがねじ止めにより固定されている。ベース本体６２０は、実質的な中央に本体１００の送出部４１１に連通する連通口６２１を備える。ベースカバー６３０は、連通口６２１に連通する連通口６３１を備える。ベースカバー６３０には、連通口６３１の内周部から上向きに突出するボス６３２が設けられている。

【0039】

図６に示すように、送風部６４０は、ヘッドベース６１０に載置された回転本体部６５０と、回転本体部６５０を覆う外装カバー６７０とを備え、これらがねじ止めにより固定されている。

【0040】

図６に示すように、回転本体部６５０は平面視円環状であり、連通口６２１，６３１に連通する平面視円形状の流入部（貫通孔）６５１と、流入部６５１から径方向外向きに延びる吹出部６５２とを備える。これら流入部６５１及び吹出部６５２により、平面視Ｕ字形状の送風案内部６４１が形成されている。また、吹出部６５２の外側端の吹出口６４２に、可動式のルーバー６６０が配置されている。ルーバー６６０は、回転本体部６５０上に配置したステッピングモータ（第２駆動手段）６６１により上下方向に揺動される。外装カバー６７０は、連通口６３１の上部に位置する円形状の第１開口部（貫通孔）６７１と、ルーバー６６０を含む吹出口６４２を露出させる第２開口部６７２とを備える。

【0041】

収容ケース６８０は、ヘッドベース６１０に送風部６４０を配置後、送風部６４０の第１開口部６７１内に位置するボス６３２にねじ止めすることにより固定されている。収容ケース６８０は、送風部６４０のヘッドベース６１０に対する後述の軸線Ｌ周りの回転は許容するが送風部６４０の軸線Ｌ方向（図において上方）のヘッドベース６１０に対する変位を規制する。収容ケース６８０は、上端開口の収容ケース本体６８１と、収容ケース本体６８１を閉塞するカバーパネル６８２とを備える。収容ケース本体６８１の内部には、図示しない操作基板が配置されている。カバーパネル６８２には、操作基板のスイッチに対応する入力部が形成されている。

【0042】

図７は、回転本体部６５０とヘッドベース６１０を下側から見た斜視図である。図７に示すように、回転本体部６５０は、底面側の全周にわたってギア部６５６を備える。ギア部６５６には、ギア６２４が噛合されている。ギア６２４は、ギア６２５，６２６を介してヘッドベース６１０の下部に配置した電動モータ（第１駆動手段）６２３により駆動される。電動モータ６２３の回転出力がギア６２６，６２５，６２４を介してギア部６５６に伝達され、それによって図１に示す本体１００の軸線Ｌを中心として回転本体部６５０が回転される。

【0043】

図７に示すように、回転本体部６５０の下側には複数の第１のコロ（第１の転動体）６９１が配置されている。本実施形態では、軸線Ｌから径方向に等しい距離に等間隔で３個の第１のコロ６９１が配置されている。本実施形態では３個の第１のコロ６９１を採用したが、４個以上であってもよい。第１のコロ６９１は、コロユニット６９０として回転本体部６５０の取付部６５３の止め部６５５よりも下方へ突出して取り付けられている。

【0044】

図８は、回転本体部６５０とコロユニット６９０の分解斜視図である。図８に示すように、コロユニット６９０は、第１のコロ６９１、係止部６９５を含む保持ケーシング６９２、板ばね（付勢手段）６９３、及び取付板６９４を備える。第１のコロ６９１は、その軸を保持ケーシング６９２に保持され、第１の当接部６９１ａが保持ケーシング６９２の下側から突出した状態で保持ケーシング６９２に部分的に収容されている。保持ケーシング６９２の上方には、板ばね６９３が配置されており、さらに板ばねの上方には取付板６９４が配置されている。取付板６９４は、板ばね６９３を下方へ押圧した状態で回転本体部６５０の取付部６５３にねじ止めされている。板ばね６９３は、取付板６９４により押圧されて保持ケーシング６９２を下方へ付勢している。保持ケーシング６９２は、上側側部の両側に取付部６５３と係止するための係止部６９５が設けられている。また、本実施形態では本発明の付勢手段６９３を板ばね６９３としているが、付勢手段６９３はこれに限定されず、圧縮ばねであってもよい。

【0045】

図９Ａは、取付部６５３を示す回転本体部６５０の斜視図である。図９Ｂは図９Ａの部分拡大図である。図９Ａ，Ｂに示すように、取付部６５３は、保持ケーシング６９２の係止部６９５を保持するための凹部６５４を有する。凹部６５４は、保持ケーシング６９２の係止部６９５に合わせて２つ配置されている。従って、板ばね６９３により下方へ付勢された保持ケーシング６９２は、常に係止部６９５の下面が凹部６５４の上面と当接して配置されている。

【0046】

図１０Ａ，Ｂは、コロユニット６９０及び取付部６５３を第１のコロ６９１の軸方向からみた断面図である。図１０Ａは第１のコロ６９１の通常位置を、図１０Ｂは第１のコロ６９１が下方から力が付加されて上方へ可動した際の位置をそれぞれ示している。図１０Ａに示すように、第１のコロ６９１は、通常時、即ち下方から力が付加されていない場合、取付部６５３の止め部６５５よりも第１の当接部６９１ａが下方へ突出し、第１の当接部６９１ａがベースカバー６３０の上面（第１の受面）６３３と当接した状態である。従って、回転本体部６５０が回転されると、第１のコロ６９１は回転本体部６５０の下方に配置されたベースカバー６３０の上面（第１の受面）６３３上を回転し、回転本体部６５０とベースカバー６３０との間の摩擦抵抗を低減する。図１０Ｂに示すように、例えば、ヘッド部６００の上に重量物を載置するなどして、ベースカバー６３０の上面６３３から第１のコロ６９１の第１の当接部６９１ａに対して上方へ所定以上の押圧力が付加された場合、板ばね６９３が撓むことで、第１のコロ６９１は保持ケーシング６９２と共に上方へ可動する。その結果、第１のコロ６９１は保持ケーシング６９２と共に取付部６５３に収容される。このとき、ベースカバー６３０の上面６３３は、取付部６５３の止め部６５５と当接し、第１のコロ６９１に対しては所定以上の押圧力が付加されない。このようにすることで、第１のコロ６９１の軸折れなどの破損を防止できる。

【0047】

また、図７及び図１０Ａ，Ｂに示すように、取付部６５３の止め部６５５は平坦な面である。従って、所定以上の押圧力で第１のコロ６９１の第１の当接部６９１ａがベースカバー６３０の上面６３３から上方へ押圧された際に面接触し、取付部６５３の止め部６５５がベースカバー６３０の上面６３３から受ける接触時の負荷を分散できる。従って、取付部６５３とベースカバー６３０の損傷をそれぞれ防止できる。

【0048】

図１１Ａは、回転本体部６５０の斜視図である。図１１Ｂは、図１１Ａの部分拡大図である。図１１Ａ，Ｂに示すように、回転本体部６５０には、流入部６５１の上部に複数の第２のコロ（第２の転動体）６９６が配置されている。本実施形態では、軸線Ｌから等距離に流入部６５１の周囲に等間隔で６つの第２のコロ６９６が配置されている。第２のコロ６９６は、その軸を軸線Ｌと同方向に配置されており、第２の当接部６９６ａを備え、第２の当接部６９６ａがカバーパネル６８２の側面（第２の受面）６８３に当接している。従って、回転本体部６５０が回転されると、第２のコロ６９６は、カバーパネル６８２の側面６８３上を回転し、回転本体部６５０とカバーパネル６８２との間の摩擦抵抗を低減する。また、送風部６４０の水平方向（軸線Ｌと交差する方向）の可動範囲を第２のコロ６９６とカバーパネル６８２の側面６８３とが当接することにより規制できる。

【0049】

（第２実施形態）
図１２Ａ及び図１２Ｂは、第２実施形態に係る可動前後の第１のコロ６９１を示すコロユニット６９０及び取付部６５３の断面図である。本実施形態の除湿機１は、コロユニット６９０及び取付部６５３に関連する部分以外の構成は図１０Ａ及び図１０Ｂの第１実施形態と同様である。従って、図１０Ａ及び図１０Ｂに示した構成と同様の部分については同様の符号を付して説明を省略する。

【0050】

図１２Ａ及び図１２Ｂに示すように、本実施形態の除湿機１は、第１実施形態と異なり、取付部６５３が止め部６５５を備えておらず、回転本体部６５０の下面に下方へ延びる止め部６５５が配置されている。従って、第１のコロ６９１の第１の当接部６９１ａがベースカバー上面６３３から上方へ押圧されると、第１のコロ６９１が上方へ変位し、止め部６５５がベースカバー上面６３３と当接する。従って、所定の力以上の押圧力が第１のコロ６９１の第１の当接部６９１ａには加えられないため、第１のコロ６９１の破損を防止できる。

【0051】

（第３実施形態）
図１３Ａ及び図１３Ｂは、第３実施形態に係る可動前後の第１の当接部６９１ａを示す当接部ユニット（コロユニット）６９０及び取付部６５３の断面図を示している。本実施形態の除湿機１は、当接部ユニット６９０及び取付部６５３に関連する部分以外の構成は図１０Ａ及び図１０Ｂの第１実施形態と同様である。従って、図１０Ａ及び図１０Ｂに示した構成と同様の部分については同様の符号を付して説明を省略する。

【0052】

図１３Ａ及び図１３Ｂに示すように、本実施形態の除湿機１は、第１実施形態及び第２実施形態と異なり、第１のコロ６９１及び保持ケーシング６９２を備えていない。具体的には、付勢手段６９３の一端が第１の当接部６９１ａを構成し、第１の当接部６９１ａがベースカバー上面６３３の上を摺動する。従って、付勢手段６９３の一端である第１の当接部６９１ａがベースカバー上面６３３から所定の力以上の押圧力で上方へ押圧されると、第１の当接部６９１ａが上方へ変位し、止め部６５５がベースカバー上面６３３と当接する。従って、所定の力以上の押圧力が第１の当接部６９１ａには加えられないため、第１の当接部６９１ａの破損を防止できる。また、第２のコロ６９６についてもこれと同様に、転動体型に限らず、第２の当接部６９６ａがカバーパネル側面６８３を摺動する構成としてもよい。

【0053】

（第４実施形態）
図１４は、第４実施形態に係る除湿機１の概念的な断面図を示している。本実施形態の除湿機１は、ヘッド部６００の一部分以外の構成は図４の第１実施形態と同様である。従って、図４に示した構成と同様の部分については同様の符号を付して説明を省略する。

【0054】

図１４に示すように、本実施形態の除湿機１は、第１〜第３実施形態と異なり、ヘッドベース６１０及び収容ケース６８０を備えていない。このため、本発明の回転部を構成する送風部６４０は、本実施形態では本体１００の上に配置され、本体１００に対して回転可能である。また、ヘッドベース６１０は、例えば本体１００の上面に一体に成形されていてもよい。このようにすることで、本実施形態では第１実施形態と比べ、部品数を減らし簡易な構成で除湿機１を実現できる。

【0055】

なお、本実施形態の除湿機１は、例えば室内を乾燥させることを目的とした室内空気を除湿対象とする他、衣類の乾燥を目的とした衣類の水分を除湿対象とするものや、これらの両方の目的を達成するものが含まれる。

【0056】

また、除湿機を例に本発明を説明したが、本発明は、加湿器、空気調和機、サーキュレータ、冷風機、温風機、及び扇風機のような除湿機以外の送風装置にも適用できる。

【符号の説明】

【0057】

１…除湿機（送風装置）
２…処理空気経路
２ａ〜２ｅ…処理空気経路の部分
３…再生空気経路
３ａ〜３ｅ…再生空気経路の部分
１００…本体（本体部）
１０１…ベース
１０２…基部
１０３…立壁部
１１０Ａ，１１０Ｂ…外装パネル
１１１Ａ，１１１Ｂ…補強パネル
１１２…吸込口
２００…除湿ロータ
２５０…ヒータ
２６０…ヒータケース
３００…主熱交換器
３２０…上部ヘッダ
３３０…下部ヘッダ
３５０…副熱交換器
３７０…上部ヘッダ
３８０…下部ヘッダ
４００…処理空気ファン（送風手段）
４１０…ファンケース
４１１…送出部
４５０…再生空気ファン
４６０…ファンケース
４６１…第１ダクト部
４６２…第２ダクト部
５００…ダクト部材
６００…ヘッド部
６１０…ヘッドベース
６２０…ベース本体
６２１，６３１…連通口
６２３…モータ（第１駆動手段）
６２４，６２５，６２６…ギア
６３０…ベースカバー
６３２…ボス
６３３…ベースカバー上面（第１の受面）
６４０…送風部（回転部）
６４１…送風案内部
６４２…吹出口
６５０…回転本体部
６５１…流入部（貫通孔）
６５２…吹出部
６５３…取付部
６５４…凹部
６５５…止め部
６５６…ギア部
６６１…モータ（第２駆動手段）
６６０…ルーバー
６７０…外装カバー
６７１…第１開口部（貫通孔）
６７２…第２開口部
６８０…収容ケース（固定頂部）
６８１…収容ケース本体
６８２…カバーパネル
６８３…カバーパネル側面（第２の受面）
６９０…コロユニット（当接部ユニット）
６９１…第１のコロ（第１の転動体）
６９１ａ…当接部（第１の当接部）
６９２…保持ケーシング
６９３…板ばね（付勢手段）
６９４…取付板
６９５…係止部
６９６…第２のコロ（第２の転動体）
６９６ａ…当接部（第２の当接部）
７００…貯水部
７２０…貯水タンク

【図1】

【図2】

【図3A】

【図3B】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9A】

【図9B】

【図10A】

【図10B】

【図11A】

【図11B】

【図12A】

【図12B】

【図13A】

【図13B】

【図14】