特許第6209515号(P6209515)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6209515ガス拡散電極用基材、ガス拡散電極、膜−電極接合体及び固体高分子形燃料電池
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  • 特許6209515-ガス拡散電極用基材、ガス拡散電極、膜−電極接合体及び固体高分子形燃料電池 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6209515
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】ガス拡散電極用基材、ガス拡散電極、膜−電極接合体及び固体高分子形燃料電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/86 20060101AFI20170925BHJP
   H01M 8/10 20160101ALI20170925BHJP
   H01M 8/02 20160101ALI20170925BHJP
【FI】
   H01M4/86 M
   H01M4/86 B
   H01M8/10
   H01M8/02 E
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-524886(P2014-524886)
(86)(22)【出願日】2013年7月12日
(86)【国際出願番号】JP2013069083
(87)【国際公開番号】WO2014010715
(87)【国際公開日】20140116
【審査請求日】2016年4月22日
(31)【優先権主張番号】特願2012-158122(P2012-158122)
(32)【優先日】2012年7月13日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000229542
【氏名又は名称】日本バイリーン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090251
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 憲一
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健次郎
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 達規
(72)【発明者】
【氏名】若元 佑太
(72)【発明者】
【氏名】多羅尾 隆
【審査官】 ▲高▼橋 真由
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−204114(JP,A)
【文献】 特開2013−101771(JP,A)
【文献】 特開2012−199225(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/86
H01M 8/02
H01M 8/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機樹脂の少なくとも内部に導電性粒子を含有する導電性繊維のみを含有する不織布(厚みが1μm以下であるものを除く)を備えているガス拡散電極用基材。
【請求項2】
請求項1に記載のガス拡散電極用基材に触媒が担持されているガス拡散電極。
【請求項3】
請求項1に記載のガス拡散電極用基材を備えている膜−電極接合体。
【請求項4】
請求項1に記載のガス拡散電極用基材を備えている固体高分子形燃料電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ガス拡散電極用基材、ガス拡散電極、膜−電極接合体及び固体高分子形燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な形で利用されているエネルギーについては、石油資源の枯渇に対する懸念から、代替燃料の模索や省資源が重要な課題となっている。その中にあって、種々の燃料を化学エネルギーに変換し、電力として取り出す燃料電池について、活発な開発が続けられている。
【0003】
燃料電池は、例えば『燃料電池に関する技術動向調査』(以下、非特許文献1)の第5頁に開示されるように、使用される電解質の種類によって、りん酸形燃料電池(PAFC)、溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)、固体酸化形燃料電池(SOFC)、固体高分子形燃料電池(PEFC)の4つに分類される。これら各種の燃料電池は、その電解質に応じて作動温度範囲に制約が有り、PEFCでは100℃以下の低温領域、PAFCでは180〜210℃の中温領域、MCFCでは600℃以上、SOFCは1000℃近くの高温領域で動作することが知られている。このうち、低温領域での出力が可能である一般的なPEFCは、燃料となる水素ガスと酸素ガス(若しくは空気)との化合反応に伴って生じる電力を取り出すが、比較的小型の装置構成で効率的な電力を取り出すことができる点で、実用化が急がれている。
【0004】
図1は、従来知られているPEFCの基本構成を示す、燃料電池の要部断面の模式図である。図中、材質として実質的に同一の構成若しくは機能を有する構成成分には、同一のハッチングを付して示してある。PEFCは、図1に示すような、燃料極(ガス拡散電極)17a、固体高分子膜19及び空気極(ガス拡散電極)17cからなる膜−電極接合体(MEA)を、1対のバイポーラプレート11a、11cで挟んだセル単位を複数積層した構造からなる。前記燃料極17aはプロトンと電子とに分解する触媒層15aと、触媒層15aに燃料ガスを供給するガス拡散層13aとからなり、前記触媒層15aとガス拡散層13aとの間には水分管理層14aが形成されており、他方、空気極17cはプロトン、電子及び酸素含有ガスとを反応させる触媒層15cと、触媒層15cに酸素含有ガスを供給するガス拡散層13cとからなり、前記触媒層15cとガス拡散層13cとの間には水分管理層14cが形成されている。
【0005】
前記バイポーラプレート11aは燃料ガスを供給できる溝を有するため、このバイポーラプレート11aの溝を通して燃料ガスを供給すると、燃料ガスはガス拡散層13aを拡散し、水分管理層14aを透過して触媒層15aに供給される。供給された燃料ガスはプロトンと電子とに分解され、プロトンは固体高分子膜19を移動し、触媒層15cに到達する。他方、電子は図示しない外部回路を通り、空気極17cへと移動する。一方、バイポーラプレート11cは酸素含有ガスを供給できる溝を有するため、このバイポーラプレート11cの溝を通して酸素含有ガスを供給すると、酸素含有ガスはガス拡散層13cを拡散し、水分管理層14cを透過して触媒層15cに供給される。供給された酸素含有ガスは固体高分子膜19を移動したプロトン及び外部回路を通って移動した電子と反応し、水を生成する。この生成した水は水分管理層14cを通って、燃料電池外へ排出される。また、燃料極においては、空気極から逆拡散してきた水が水分管理層14aを通って、燃料電池外へ排出される。
【0006】
このようなガス拡散層13a及び水分管理層14a、又はガス拡散層13c及び水分管理層14cに必要な機能としては、低加湿条件下では固体高分子膜19を湿潤に保つための保湿性、高加湿条件下では燃料電池内に水が溜まり、フラッディングが起こるのを防ぐための排水性などがある。このようなガス拡散層13a及び水分管理層14a、又はガス拡散層13c及び水分管理層14cは、従来、カーボンペーパー等の導電性多孔質基材に、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂を含浸、又はカーボン粉末とフッ素系樹脂とを混合したペーストを塗布することによって、フッ素系樹脂が存在、又はカーボン粉末及びフッ素系樹脂が存在する水分管理層14a、14cを形成するとともに、これらが存在しない領域をガス拡散層13a、13cとしていた。しかしながら、このようにして形成した水分管理層14a、14cは、フッ素系樹脂、又はカーボン粉末及びフッ素系樹脂を導電性多孔質基材に塗布しているとはいえ、導電性多孔質基材としてカーボンペーパー等を使用しており、このカーボンペーパーを構成するカーボン繊維は剛性が高いため、水分管理層14a、14c及び触媒層15a、15cを突き抜けてしまい、固体高分子膜を損傷し、短絡してしまう場合があった。
【0007】
本願出願人も、「ガラス繊維にアクリル樹脂及び/又は酢酸ビニル樹脂を含むバインダを付着せしめたガラス不織布からなるガス拡散電極用基材に、カーボンブラックと、ポリテトラフルオロエチレン樹脂又はポリフッ化ビニリデン樹脂とを含む導電性ペーストを被着焼成したガス拡散電極」(特許文献1)を提案したが、従来のカーボンペーパーと同様に、ガラス繊維は剛性が高いため、水分管理層14a、14c及び触媒層15a、15cを突き抜けてしまい、固体高分子膜を損傷し、短絡してしまう場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−204945号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】『燃料電池に関する技術動向調査』(特許庁技術調査課編,平成13年5月31日,<URL>http://www.jpo.go.jp/shiryou/index.htm)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明はこのような状況下でなされたものであり、固体高分子膜を損傷することのないガス拡散電極用基材、ガス拡散電極、膜−電極接合体及び固体高分子形燃料電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、
[1]有機樹脂の少なくとも内部に導電性粒子を含有する導電性繊維を含有する不織布を備えているガス拡散電極用基材、
[2]前記[1]に記載のガス拡散電極用基材に触媒が担持されているガス拡散電極、
[3]前記[1]に記載のガス拡散電極用基材を備えている膜−電極接合体、
[4]前記[1]に記載のガス拡散電極用基材を備えている固体高分子形燃料電池
に関する。
【発明の効果】
【0012】
前記[1]の本発明の「ガス拡散電極用基材」は、ガス拡散電極用基材を構成する不織布が有機樹脂の少なくとも内部に導電性粒子を含有する導電性繊維を含有しており、この導電性繊維は有機樹脂を含んでいることによって柔軟であるため、導電性繊維が固体高分子膜を損傷し、短絡するということがない。
【0013】
前記[2]の本発明の「ガス拡散電極」は、前記ガス拡散電極用基材に触媒が担持されているため、短絡しにくく、発電性能の優れる燃料電池を作製することのできるガス拡散電極である。
【0014】
前記[3]の本発明の「膜−電極接合体」は、前記ガス拡散電極用基材を備えているため、短絡しにくく、発電性能の優れる燃料電池を作製することのできる膜−電極接合体である。
【0015】
前記[4]の本発明の「固体高分子形燃料電池」は、前記ガス拡散電極用基材を備えているため、短絡しにくく、発電性能の優れる燃料電池である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】固体高分子形燃料電池の概略構成を示す模式断面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明のガス拡散電極用基材(以下、単に「電極基材」と表記することがある)は、有機樹脂の少なくとも内部に導電性粒子を含有する導電性繊維を含有する不織布を備えている。この不織布の導電性繊維は、有機樹脂を含んでいることによって柔軟であるため、導電性繊維が固体高分子膜を損傷し、短絡するということがない。なお、本発明の「有機樹脂」に、ダイヤモンド、グラファイト、無定形炭素は含まれない。
【0018】
この導電性繊維を構成する有機樹脂は、疎水性有機樹脂であっても、親水性有機樹脂であっても良く、特に限定するものではない。前者の疎水性有機樹脂であると、フッ素系樹脂等の疎水性樹脂を含浸しなくても優れた水の透過性を示し、優れた排水性を示す。他方で、親水性有機樹脂であると、水分を保持することができるため、固体高分子膜を湿潤に保つことができ、十分な発電性能を発揮できる固体高分子形燃料電池を作製することができる。特に、親水性有機樹脂のみからなると、低湿度環境下においても、水分を保持し、固体高分子膜を湿潤に保つことができるため、十分な発電性能を発揮できる固体高分子形燃料電池を作製することができる。
【0019】
この「疎水性有機樹脂」とは、水との接触角が90°以上の有機樹脂であり、その例として、フッ素系樹脂、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、フッ化ビニリデン・テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、及び前記樹脂を構成する各種モノマーの共重合体;ポリオレフィン系樹脂、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP);ポリエステル系樹脂、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)を挙げることができる。また、これらの樹脂は単独で用いることもできるし、2種類以上混合して使用することもできる。これらの中でも特に、フッ素系樹脂は耐熱性、耐薬品性、疎水性が強いため、好適に用いることができる。
【0020】
他方、「親水性有機樹脂」とは、水との接触角が90°未満の有機樹脂であり、その例として、セルロース、例えば、レーヨン;ポリアミド系樹脂、例えば、ナイロン6、ナイロン66;ポリアクリロニトリル;酸化アクリル;ポリビニルアルコール系樹脂;アクリル系樹脂、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸;親水性基(アミド基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、スルホン酸基等)を有する樹脂、例えば、親水性ポリウレタン、ポリビニルピロリドンを挙げることができる。また、これらの樹脂は単独で用いることもできるし、2種類以上混合して使用することもできる。これらの中でもポリアクリロニトリルは耐熱性に優れ、また、固体高分子膜の膨潤によっても潰れにくいため好適である。なお、本発明においては、前記疎水性有機樹脂と親水性有機樹脂とが混合又は複合していることもできる。
【0021】
本発明の導電性繊維はガス拡散電極として使用した場合に、電子移動性に優れているように、有機樹脂の少なくとも内部に導電性粒子を含有している。つまり、有機樹脂の外側表面にのみ導電性粒子が存在する状態にあると、有機樹脂成分が抵抗成分となり、導電性に劣ることになるが、本発明においては、有機樹脂の内部に導電性粒子を含有しているため、導電性に優れている。導電性という観点からは、導電性粒子は有機樹脂から露出しているのが好ましい。なお、「内部に導電性粒子を含有する」とは、有機樹脂内に導電性粒子が完全に埋没している状態だけを意味しているのではなく、導電性粒子の一部が有機樹脂から露出した状態も意味する。このような有機樹脂の少なくとも内部に導電性粒子を含有する導電性繊維は、例えば、有機樹脂と導電性粒子とを含む紡糸液を紡糸することによって製造することができる。
【0022】
この導電性粒子は特に限定するものではないが、例えば、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、金属粒子、金属酸化物粒子などを挙げることができる。これらの中でもカーボンブラックは耐薬品性、導電性及び分散性の点から好適に用いられる。この好適であるカーボンブラックの粒径は特に限定するものではないが、平均一次粒径が5nm〜200nm、より好ましくは10nm〜100nmのものを用いることができる。なお、導電性粒子の平均一次粒径は、脱落しにくく、また、繊維形態を形成しやすいように、後述の導電性繊維の繊維径よりも小さいのが好ましい。
【0023】
このような導電性粒子と有機樹脂との質量比は特に限定するものではないが、10〜90:90〜10であるのが好ましく、20〜80:80〜20であるのがより好ましく、30〜70:70〜30であるのが更に好ましく、40〜70:60〜30であるのが更に好ましい。導電性粒子が10mass%を下回ると導電性が不足しやすく、他方、導電性粒子が90mass%を上回ると繊維形成性が低下する傾向があるためである。
【0024】
なお、導電性に優れているように、導電性粒子は不織布の10〜90mass%を占めているのが好ましく、20〜80mass%を占めているのがより好ましい。
【0025】
本発明の導電性繊維の平均繊維径は特に限定するものではないが、10nm〜10μmであるのが好ましい。平均繊維径が10μmを上回ると、電極基材における繊維同士の接触点が少なく、導電性が不足しやすい傾向があり、他方、10nmを下回ると、繊維内部に導電性粒子を含有しにくい傾向があるためである。なお、導電性繊維の平均繊維径は導電性粒子が脱落しにくいように、導電性粒子の一次粒子径の5倍以上であるのが好ましい。
【0026】
この「平均繊維径」とは、40点における繊維径の算術平均値を意味し、また、「繊維径」とは、顕微鏡写真をもとに計測した値であり、導電性粒子が露出した導電性繊維のみから構成されている場合には、露出した導電性粒子を含めた直径を意味し、導電性粒子が露出した導電性繊維を含有していないか、導電性粒子が露出した導電性繊維を含有していても、導電性粒子が露出していない部分を有する導電性繊維を含んで構成されている場合には、導電性粒子が露出していない部分における直径を意味する。
【0027】
本発明の導電性繊維は電子の移動性に優れているように、また、導電性繊維の端部が少なく、固体高分子膜を損傷しにくいように、連続繊維であるのが好ましい。このような導電性連続繊維は、例えば、静電紡糸法、スパンボンド法、メルトブロー法、或いは特開2009−287138号公報に開示されているような、液吐出部から吐出された紡糸液に対してガスを平行に吐出し、紡糸液に1本の直線状に剪断力を作用させて繊維化する方法、により製造することができる。
【0028】
本発明の電極基材を構成する不織布における導電性繊維の質量含有割合は電子の移動性に優れるように、10%以上であるのが好ましく、50%以上であるのがより好ましく、70%以上であるのが更に好ましく、90%以上であるのが更に好ましく、導電性繊維のみから構成されているのが最も好ましい。なお、導電性繊維以外の繊維として、例えば、疎水性有機繊維、例えば、フッ素繊維、ポリオレフィン繊維;親水性有機繊維、例えば、アクリル繊維、ナイロン繊維(例えば、ナイロン6、ナイロン66など)を含んでいることができる。
【0029】
本発明の電極基材を構成する不織布は導電性繊維以外の繊維を含んでいることができるが、電極基材は導電性に優れているように、電気抵抗率が10Ω・cm以下であるのが好ましく、10Ω・cm以下であるのがより好ましく、10Ω・cm以下であるのが更に好ましい。本発明の「電気抵抗率」は、抵抗率計(三菱化学社製、ロレスタ)を用い、四探針法により測定した値をいう。
【0030】
なお、本発明の電極基材を構成する不織布は接着剤を使用することによって結合し、形態を維持させても良いが、導電性に優れるように、導電性繊維を構成する有機樹脂の結合によって形態を維持しているのが好ましい。この好適である有機樹脂の結合として、例えば、繊維同士の絡合、溶媒による可塑化による結合、又は熱による融着による結合を挙げることができる。
【0031】
本発明の電極基材を構成する不織布の目付は特に限定するものではないが、排水性、ガス拡散性、取り扱い性及び生産性の点から0.5〜200g/mであるのが好ましく、0.5〜100g/mであるのがより好ましく、0.5〜50g/mであるのが更に好ましい。また、厚さも特に限定するものではないが、1〜1000μmであるのが好ましく、1〜500μmであるのがより好ましく、1〜300μmであるのが更に好ましい。
【0032】
本発明における「目付」は、10cm角に切断した試料の質量を測定し、1mの大きさの質量に換算した値をいい、「厚さ」はシックネスゲージ((株)ミツトヨ製:コードNo.547−401:測定力3.5N以下)を用いて測定した値をいう。
【0033】
本発明の電極基材を構成する不織布は多孔性であることから、面方向においても、排水性およびガス拡散性に優れ、発電性能の高い燃料電池を作製することができるものであるが、この多孔性は空隙率にして20%以上の多孔性を有するのが好ましい。好ましくは空隙率が30%以上の多孔性を有し、より好ましくは空隙率が50%以上の多孔性を有する。なお、空隙率の上限は特に限定するものではないが、形態安定性の点から99%以下である。また、空隙率P(単位:%)は次の式から得られる値をいう。
P=100−(Fr1+Fr2+・・+Frn)
ここで、Frnは不織布を構成する成分nの充填率(単位:%)を示し、次の式から得られる値をいう。
Frn=(M×Prn/T×SGn)×100
ここで、Mは不織布の目付(単位:g/cm)、Tは不織布の厚さ(cm)、Prnは不織布における成分n(例えば、有機樹脂、導電性粒子)の存在質量比率、SGnは成分nの比重(単位:g/cm)をそれぞれ意味する。
【0034】
本発明の電極基材は、前述のような不織布を備えているが、不織布は多孔性であるため、不織布の空隙に何も充填されていない場合には、面方向においても、排水性およびガス拡散性に優れている。
【0035】
なお、不織布の表面及び/又は空隙に、フッ素系樹脂及び/又はカーボンを含んでいる場合には、前者のフッ素系樹脂を含有していることによって、燃料ガスや内部で発生する水分の供給若しくは排出を高めることができ、後者のカーボンを含有していることによって、導電性を高めることができる。
【0036】
このフッ素系樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、フッ化ビニリデン・テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、及び前記樹脂を構成する各種モノマーの共重合体、などを挙げることができる。また、カーボンとしては、例えば、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバーなどを挙げることができる。
【0037】
本発明の電極基材は、例えば次のようにして製造することができる。
【0038】
まず、有機樹脂と導電性粒子とを混合した紡糸液を用いて紡糸して、導電性繊維を形成し、この導電性繊維を直接捕集し、集積することによって、繊維ウエブを形成する。この繊維ウエブ自体が適度に絡合していることによって、取り扱える程度の強度があれば、そのまま繊維ウエブを不織布として使用できるし、強度を付与又は向上させるために、溶媒による可塑化、熱による融着、接着剤による接着等により結合し、不織布とすることもできる。なお、導電性繊維を直接捕集し、集積して形成した繊維ウエブを構成する繊維は連続した長繊維であるのが好ましい。連続した長繊維であることによって、導電性及び強度の点で優れているだけでなく、繊維の端部が少なく、固体高分子膜を損傷しにくいためである。
【0039】
なお、繊維ウエブの形成方法としては、例えば、静電紡糸法、スパンボンド法、メルトブロー法、或いは特開2009−287138号公報に開示されているような、液吐出部から吐出された紡糸液に対してガスを平行に吐出し、紡糸液に1本の直線状に剪断力を作用させて繊維化する方法、を挙げることができる。これらの中でも静電紡糸法又は特開2009−287138号公報に開示の方法によれば、繊維径の小さい導電性繊維を紡糸できることから、薄い不織布を製造することができ、結果として燃料電池の抵抗を下げることができ、また、燃料電池の体積を小さくすることができるため好適である。なお、静電紡糸法又は特開2009−287138号公報に開示の方法のように、溶媒に有機樹脂を溶解させた溶液に導電性粒子を混合する場合、溶媒として、紡糸時に揮散しにくいものを使用し、繊維ウエブ又は不織布を形成した後に、溶媒置換により紡糸溶媒を除去すると、導電性繊維同士が可塑化結合した状態になりやすく、結果として導電性の高い不織布を製造することができ、また、電極基材が緻密になり、燃料電池内での接触抵抗が低くなりやすいため好適である。
【0040】
なお、導電性繊維を連続繊維として巻き取り、次いで導電性繊維を所望繊維長に切断して短繊維とした後、公知の乾式法又は湿式法により繊維ウエブを形成し、溶媒による可塑化、熱による融着、接着剤による接着等により結合し、不織布とすることもできる。しかしながら、前述の通り、不織布を構成する導電性繊維は連続した繊維であるのが好ましいため、連続した導電性繊維を直接捕集し、集積して形成した繊維ウエブに由来する不織布であるのが好ましい。
【0041】
なお、不織布を構成する有機樹脂が酸化アクリルである場合、アクリル樹脂と導電性粒子とを混合した紡糸液を用いて紡糸して、導電性繊維を形成し、この導電性繊維を含む繊維ウエブを、直接的に又は間接的に形成した後、空気中で温度200〜300℃で加熱することによって、アクリル樹脂を酸化アクリルとして、不織布の導電性を更に高めることもできる。或いは、アクリル樹脂と導電性粒子とを混合した紡糸液を用いて紡糸した導電性繊維を、空気中、温度200〜300℃で加熱することによって、アクリル樹脂を酸化アクリルとした後に、酸化アクリルと導電性粒子からなる導電性繊維を使用して不織布を形成することもできる。
【0042】
なお、導電性繊維を構成する有機樹脂が350℃を超えるような融点を有する耐熱性有機樹脂である場合、不織布をポリテトラフルオロエチレンディスパージョンなどのフッ素系ディスパージョンに浸漬して付与した後、温度300〜350℃で焼結することで、撥水性を高めたガス拡散電極用基材を形成することもできる。
【0043】
本発明のガス拡散電極は、上述の電極基材に触媒が担持されているため、短絡しにくく、発電性能の優れる燃料電池を作製することができる。また、本発明のガス拡散電極は、導電性繊維表面に触媒が担持され、触媒同士の接触による電子伝導だけではなく、導電性繊維による電子伝導パスも形成されているため、電子伝導パスから孤立した触媒が少ない。更に、電極基材は不織布構造の多孔体で、排水性およびガス拡散性に優れることから、三相界面(ガス、触媒、電解質樹脂が会合する反応場)へガスを十分に安定して供給することができる。これらの理由で、効率的に触媒を利用でき、触媒量を少なくできるという効果を奏する。
【0044】
本発明のガス拡散電極は上述のような電極基材を備えていること以外は、従来のガス拡散電極と全く同様の構造を有する。例えば、触媒としては、白金、白金合金、パラジウム、パラジウム合金、チタン、マンガン、マグネシウム、ランタン、バナジウム、ジルコニウム、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、金、ニッケル−ランタン合金、チタン−鉄合金などを挙げることができ、これらから選ばれる1種類以上の触媒を担持していることができる。
【0045】
なお、触媒以外にも、電子伝導体及びプロトン伝導体を含んでいるのが好ましく、電子伝導体として、カーボンブラック等の導電性繊維に含まれている導電性粒子と同様の導電性粒子が好適であり、触媒はこの導電性粒子に担持されていても良い。また、プロトン伝導体として、イオン交換樹脂が好適である。
【0046】
本発明のガス拡散電極は、例えば、次の方法で作製できる。
【0047】
まず、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、エチレングリコールジメチルエーテルなどからなる単一あるいは混合溶媒中に、触媒(例えば、白金などの触媒を担持したカーボン粉末)を加えて混合し、これにイオン交換樹脂溶液を加え、超音波分散等で均一に混合して触媒分散懸濁液とする。そして、前述のような電極基材に、前記触媒分散懸濁液をコーティング、或いは散布し、これを乾燥して、ガス拡散電極を製造することができる。
【0048】
本発明の膜−電極接合体は前述のようなガス拡散電極用基材を備えているため、短絡しにくく、発電性能の優れる燃料電池を作製することのできる膜−電極接合体である。本発明の膜−電極接合体は前述のようなガス拡散電極用基材を備えていること以外は、従来の膜−電極接合体と全く同様であることができる。このような膜−電極接合体は、例えば、一対のガス拡散電極のそれぞれの触媒担持面の間に固体高分子膜を挟み、熱プレスすることによって接合し、製造できる。また、前述のような触媒分散懸濁液を支持体に塗布して触媒層を形成した後、この触媒層を固体高分子膜に転写し、その後、触媒層に前述のようなガス拡散電極用基材を積層し、熱プレスする方法によっても製造できる。
【0049】
なお、固体高分子膜としては、例えば、パーフルオロカーボンスルホン酸系樹脂膜、スルホン化芳香族炭化水素系樹脂膜、アルキルスルホン化芳香族炭化水素系樹脂膜などを用いることができる。
【0050】
本発明の固体高分子形燃料電池は前述のようなガス拡散電極用基材を備えているため、短絡しにくく、発電性能の優れる燃料電池である。本発明の燃料電池は前述のようなガス拡散電極用基材を備えていること以外は、従来の燃料電池と全く同様であることができる。例えば、前述のような膜−電極接合体を1対のバイポーラプレートで挟んだセル単位を複数積層した構造からなり、例えば、セル単位を複数積層し、固定して製造できる。
【0051】
なお、バイポーラプレートとしては、導電性が高く、ガスを透過せず、ガス拡散電極にガスを供給できる流路を有するものであれば良く、特に限定するものではないが、例えば、カーボン成形材料、カーボン−樹脂複合材料、金属材料などを用いることができる。
【実施例】
【0052】
以下に、本発明の実施例を記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0053】
<第1紡糸溶液の調製>
ポリアクリロニトリル(重量平均分子量20万)をN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解させた溶液に、導電性粒子としてカーボンブラック[デンカブラック粒状品、電気化学工業(株)製、平均一次粒子径:35nm]を混合し、撹拌した後、更にDMFを加えて希釈し、カーボンブラックを分散させ、カーボンブラックとポリアクリロニトリルの固形質量比が40:60で、固形分濃度が20mass%の第1紡糸溶液を調製した。
【0054】
<第2紡糸溶液の調製>
カーボンブラックとポリアクリロニトリルの固形分質量比が50:50で、固形分濃度が25mass%であること以外は第1紡糸溶液と同様にして、第2紡糸溶液を調製した。
【0055】
<第3紡糸溶液の調製>
カーボンブラックとポリアクリロニトリルの固形分質量比が60:40で、固形分濃度が25mass%であること以外は第1紡糸溶液と同様にして、第3紡糸溶液を調製した。
【0056】
<第4紡糸溶液の調製>
カーボンブラックとポリアクリロニトリルの固形分質量比が30:70で、固形分濃度が25mass%であること以外は第1紡糸溶液と同様にして、第4紡糸溶液を調製した。
【0057】
<第5紡糸溶液の調製>
ポリエーテルスルホンをジメチルアセトアミド(DMAc)に溶解させた溶液に、導電性粒子としてカーボンブラック[デンカブラック粒状品、電気化学工業(株)製、平均一次粒子径:35nm]を混合し、撹拌した後、更にDMAcを加えて希釈し、カーボンブラックを分散させ、カーボンブラックとポリエーテルスルホンの固形質量比が40:60で、固形分濃度が25mass%の第5紡糸溶液を調製した。
【0058】
(実施例1)
<ガス拡散電極用基材の作製>
前記第1紡糸溶液を静電紡糸法により紡糸して得た導電性繊維を、対向電極であるステンレスドラム上に、直接、集積して、連続した導電性繊維のみからなる不織布(ガス拡散電極用基材、目付18g/m、厚さ90μm、空隙率85%、平均繊維径:700nm、電気抵抗率:1.09×10Ω・cm)を作製した。この導電性繊維を構成するカーボンブラックは一部が繊維表面から露出した状態にあり、繊維同士は集積時に結合した状態にあった。なお、静電紡糸条件は次の通りとした。
電極:金属性ノズル(内径:0.33mm)とステンレスドラム
吐出量:1g/時間
ノズル先端とステンレスドラムとの距離:5cm
印加電圧:10kV
温度/湿度:25℃/40%RH
【0059】
(実施例2)
ノズル先端とステンレスドラムとの距離を10cmとしたこと以外は実施例1と同じ静電紡糸法により、前記第2紡糸溶液を紡糸して得た導電性繊維を、対向電極であるステンレスドラム上に、直接、集積して、連続した導電性繊維のみからなる不織布(ガス拡散電極用基材、目付20g/m、厚さ140μm、空隙率92%、平均繊維径:600nm、電気抵抗率:2.3×10Ω・cm)を作製した。この導電性繊維を構成するカーボンブラックは一部が繊維表面から露出した状態にあり、繊維同士は集積時に結合した状態にあった。
【0060】
(実施例3)
第3紡糸溶液を用いたこと以外は実施例2と同様にして、連続した導電性繊維のみからなる不織布(ガス拡散電極用基材、目付20g/m、厚さ140μm、空隙率92%、平均繊維径:450nm、電気抵抗率:2.3×10Ω・cm)を作製した。この導電性繊維を構成するカーボンブラックは一部が繊維表面から露出した状態にあり、繊維同士は集積時に結合した状態にあった。
【0061】
(実施例4)
第4紡糸溶液を用いたこと以外は実施例2と同様にして、連続した導電性繊維のみからなる不織布(ガス拡散電極用基材、目付20g/m、厚さ175μm、空隙率93%、平均繊維径:800nm、電気抵抗率:3.4×10Ω・cm)を作製した。この導電性繊維を構成するカーボンブラックは一部が繊維表面から露出した状態にあり、繊維同士は集積時に結合した状態にあった。
【0062】
(実施例5)
前記第5紡糸溶液を静電紡糸法により紡糸して得た導電性繊維を、対向電極であるステンレスドラム上に、直接、集積して、連続した導電性繊維のみからなる不織布(ガス拡散電極用基材、目付20g/m、厚さ100μm、空隙率87%、平均繊維径:500nm、電気抵抗率:2.1×10Ω・cm)を作製した。この導電性繊維を構成するカーボンブラックは一部が繊維表面から露出した状態にあり、繊維同士は集積時に結合した状態にあった。なお、静電紡糸条件は次の通りとした。
電極:金属性ノズル(内径:0.33mm)とステンレスドラム
吐出量:1g/時間
ノズル先端とステンレスドラムとの距離:10cm
印加電圧:10kV
温度/湿度:25℃/30%RH
【0063】
(比較例)
ガス拡散電極基材として、カーボンペーパー[TGP−H−030、東レ社製、厚さ:110μm)を用意した。
【0064】
<固体高分子膜への突き刺し性評価>
エチレングリコールジメチルエーテル10.4gに対して、市販の白金担持炭素粒子(石福金属(株)製、炭素に対する白金担持量40質量%)0.8gを加え、超音波処理によって分散させた後、電解質樹脂溶液として、市販の5質量%ナフィオン溶液(米国シグマ・アルドリッチ社製、商品名)4.0gを加え、更に超音波処理により分散させ、更に攪拌機で攪拌して、触媒ペーストを調製した。
【0065】
次いで、この触媒ペーストを25cmの支持体(商品名:ナフロンPTFEテープ、ニチアス(株)製、厚さ0.1mm)に塗布し、熱風乾燥機によって60℃で乾燥し、当該支持体に対する白金担持量が0.4mg/cmの触媒層を作製した。
【0066】
他方、固体高分子膜として、Nafion NRE−212CS(商品名、米国デュポン社製)を用意した。この固体高分子膜の両面に、前記触媒層を夫々転写して積層した後、温度135℃、圧力2.6MPa、時間10分間の条件でホットプレスにより接合し、電極面積25cmの固体高分子膜−触媒層接合体を作製した。
【0067】
作製した高分子膜−触媒層接合体を、実施例1〜5又は比較例のガス拡散電極基材(25cm)で挟持した状態で、更にカーボンプレートで挟み、積層方向に2MPaの圧力で締結し、セル単位を作製した。
【0068】
次いで、このセル単位に対して0.2Vの電圧を印加し、リーク電流を測定した。この結果は表1に示す通りであった。
【0069】
【表1】
【0070】
表1の結果から、本発明のガス拡散電極用基材を用いたセル単位はリーク電流が非常に低く、ガス拡散電極用基材を構成する導電性繊維の突き刺しによる、固体高分子膜への損傷が非常に小さいことがわかった。
【0071】
<発電試験>
前記<固体高分子膜への突き刺し性評価>と同様にして作製した高分子膜−触媒層接合体の両面に、実施例1又は実施例4のガス拡散電極用基材を積層した後、ホットプレスによって、膜−電極接合体(MEA)をそれぞれ作製した。
【0072】
その後、締め付け圧1.5N・mで固体高分子形燃料電池セル『As−510−C25−1H』(商品名、エヌエフ回路設計ブロック(株)製)にそれぞれ組み付け、それぞれの発電性能及びセル抵抗を評価した。この標準セルは、バイポーラプレートを含み、膜−電極接合体(MEA)の評価試験に用いるものである。発電は燃料極側に水素ガス利用率70%、空気極側に空気ガス利用率45%を供給し、セル温度は80℃、バブラー温度80℃のフル加湿条件で、電位−電流曲線を測定した。また、2.0A/cm電流密度時のアノード側とカソード側のバイポーラプレート間の、抵抗値を測定した。この結果は表2に示す通りであった。
【0073】
【表2】
セル抵抗はガス拡散電極用基材の抵抗だけではなく、固体高分子膜、セパレータ、及びその他の電子伝導材料の合計値を示すが、発電をフル加湿下で行ったため、燃料電池で抵抗の多くを占める固体高分子膜の抵抗が低くなる。そのため、セル抵抗はガス拡散電極用基材の違いを反映する。
前記表2から、実施例1のガス拡散電極用基材の方が低いセル抵抗を示している。これは、実施例1における導電性粒子であるカーボンブラック量が40mass%と、実施例4のガス拡散電極用基材よりも多いためであると考えられた。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明の電極基材は固体高分子膜を損傷しないものであるため、固体高分子形燃料電池用途に好適に使用できる。
以上、本発明を特定の態様に沿って説明したが、当業者に自明の変形や改良は本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0075】
11a (燃料極側)バイポーラプレート
11c (空気極側)バイポーラプレート
13a (燃料極側)ガス拡散層
13c (空気極側)ガス拡散層
14a (燃料極側)水分管理層
14c (空気極側)水分管理層
15a (燃料極側)触媒層
15c (空気極側)触媒層
17a 燃料極(ガス拡散電極)
17c 空気極(ガス拡散電極)
19 固体高分子膜
図1