【文献】
Takayasu Anada,X-Ray Studies of HESS J1809-193 with SUZAKU,Publications of the Astronomical Society of Japan,2010年 2月25日,vol.62, No.1,179〜186頁,URL,http://pasj.oxfordjournals.org/content/62/1/179.full
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
灌流イメージングデータの時系列データセットの同一のボクセルのサブセットに表される2以上の循環サブシステムのそれぞれについて2以上の薬剤ピーク特性時間を判定するよう構成される薬剤ピーク特性時間判定手段と、
前記2以上の薬剤ピーク特性時間のそれぞれについて薬剤ピーク引数を判定するよう構成される薬剤ピーク引数判定手段と、
前記2以上の薬剤ピーク特性時間の薬剤ピーク引数の間の関係を判定するよう構成される薬剤ピーク引数関係判定手段と、
前記判定された関係と前記灌流イメージングデータとに基づき少なくとも1つの灌流マップを生成するよう構成される灌流マップ生成手段であって、前記少なくとも1つの灌流マップは、前記2以上の循環サブシステムの間の関係又は相違の少なくとも1つを視覚的に提示するボリュームイメージデータを含む、灌流マップ生成手段と、
を有する灌流イメージングデータプロセッサ。
2以上の薬剤ピーク特性時間のそれぞれの確率分布を判定するよう構成される確率分布判定手段であって、各確率分布は1つの循環サブシステムに対応する、確率分布判定手段を更に有し、
前記2以上の薬剤ピーク特性時間の1つの確率分布は、前記2以上の薬剤ピーク特性時間の1つの対応するピークが前記循環サブシステムの真のピークである確率を表し、
前記ピーク引数判定手段は、前記同一の循環サブシステムの複数の薬剤ピーク特性時間から選択された1つの薬剤ピーク特性時間に基づき、前記循環サブシステムの1つについて薬剤ピーク引数を判定する、請求項1記載のプロセッサ。
前記ピーク引数判定手段は、ピーク引数を判定するためのアルゴリズムを含む第2モデルに基づき、前記ピーク引数を判定する、請求項1乃至3何れか一項記載のプロセッサ。
前記2以上の循環サブシステムに対応する他の情報がまた、グラフ、ヒストグラム又はテーブルの1以上により視覚的に提示される、請求項12又は13記載のプロセッサ。
プロセッサが、灌流イメージングデータの時系列データセットの同一のボクセルのサブセットに表される2以上の異なる循環サブシステムに対応する2以上の薬剤ピーク特性時間に対応する薬剤ピーク引数の間の関係又は相違の少なくとも1つを、前記同一のボクセルのサブセットに基づき判定するステップと、
前記関係又は相違の少なくとも1つを視覚的に提示するステップと、
を有する方法。
【背景技術】
【0002】
灌流イメージング及び関連する透過性イメージング、ダイナミックコントラストイメージング又はファーストパススキャンという関連する用語は、イメージングのための既知の技術であり、患者の体内の血流に関するパラメータを評価する。灌流イメージングは、体内の物理的構造と組織機能及び生存能力との双方を検出するのに利用可能である。灌流イメージングは、例えば、脳卒中やインフラクト(infract)の結果として脳又は心臓の損傷を有する患者を研究するのに有用である。癌患者は、肝臓、肺、膵臓などの組織、肺、肝臓及び腎臓などの臓器の全体的な臓器機能の疾患を有する。灌流イメージングは、多数のタイプの癌及び腫瘍を定量的に評価するための重要なツールである可能性がある。灌流イメージングは血流特性を基本的に測定するため、複数のイメージングモダリティが、適切な投薬される造影剤と共に利用可能である。例えば、灌流イメージングは、ヨウ素造影剤によるCT、ガドリニウムや酸化鉄造影剤によるMRI、複数タイプの放射性追跡子によるPET及びSPECT、並びにマイクロバブル造影剤による超音波により実行可能である。動物前臨床イメージングでは、蛍光剤により光トモグラフィがまた適用可能である。
【0003】
灌流イメージング技術は、通常は(タイムフレーム毎に1〜10秒など)連続するスキャン間の数秒の差による3〜30回の繰り返しのスキャンの間など、複数の異なる時点について関心ボリュームの繰り返しのイメージングを必要とする。一般的な灌流技術では、造影剤のボーラス投与が、例えば、自動注入器などによって患者の循環器系に投与され、関心領域からのイメージが関心領域における組織を介した造影剤のボーラス投与の通過をカバーする期間の間に収集される。造影剤の局所的な濃度の経時的変化は(画像データから推測可能な)、生理パラメータを解析するのに利用される。臨床実務では、灌流画像系列が定性的に調べられるか、又は特別な解析アルゴリズムにより定量的に評価されることが一般的である。評価結果は、ある領域について又はボクセル毎に、血流の絶対的な測定結果、血量、平均通過時間、到着時間、透過性表面、ピークまでの時間、ピーク強度、最大傾斜及び他のパラメータを含むものであってもよい。このような血流及び血管新生の引数は、“灌流マップ”という一般的な用語により参照される構造により表すことができる。
【0004】
癌診断における灌流を利用するための特定の関心は、主として血管形成減少に関する。傷を治癒し、傷や損傷後に血流を組織に再開するための血管形成が健全な体において行われている。典型的には、通常の血管増生は、栄養を体組織に提供する目的により進展し、血管の成長と細胞の需要との間の均衡が確立されるように、通常の血管が進化する。癌性組織の進展は当該組織の周辺の過剰な血管形成と関連する。新たに形成された血管はさらに、癌細胞の過剰な増殖を導く可能性がある。従って、異常な血管形成の早期の検出及び処置中のフォローアップが、各種の癌に関連する罹患率及び致死率の低減に重要である。灌流研究はまた、通常は癌組織における血管が通常の血管よりはるかに細胞内空間に漏洩する傾向があるため、重要ファクタとして考えられる腫瘍領域における血管の透過性を測定することを可能にする。
【0005】
癌診断に関して、MRI及びCTは、解剖学的特徴を判断するのに大変効果的である。しかしながら、それらは通常は、腫瘍組織又は隣接組織の機能状態に関する情報(血管形成、組織生存能力、悪性の程度など)をほとんど伝達しない。ある程度の悪性腫瘍はコントラストがエンハンスされたイメージングにより間接的に示唆されるが、コントラストエンハンスメントの程度は腫瘍悪性度の信頼できるインジケータでは決していないことを複数の研究が証明した。PET及びSPECTイメージングは通常は、画像化された組織の機能パラメータを示す。しかしながら、多くのケースでは、この情報は不十分である。例えば、腫瘍学において用いられる一般的なFDG−PET検査はしばしば、癌のステージングや医療的処置に対するそれの反応を正確に通知することはできない。
【0006】
腫瘍の灌流イメージングは、例えば、腫瘍における血量(BV)又は血流(BF)などをイメージングすることによって、腫瘍の成長に関連する血管の増大(血管形成及び新血管新生)を示すのに利用される。BV値は血管分布(vascularity)の悪性度と相関し、高い悪性度(悪性)の腫瘍は低い悪性度(悪性の低い)の腫瘍より高いBV値を有する傾向がある。新血管新生はまた、転移形成を最終的に導く体全体を通じた癌細胞の伝播に影響を与える。固形腫瘍の血管新生レベルは、それの転移の可能性の優れたインジケータであると考えられている。血管分布レベルを測定することによって、灌流イメージングは腫瘍を特徴付けるのに役立つ。それはまた、治療手順(抗血管形成薬/放射線療法/化学療法など)の選択とその成功の予測とに役立ちうる。
【0007】
腫瘍灌流イメージングは、複数の癌タイプ及び異なる臓器の診断に有用である可能性がある。しかしながら、結果の一貫性のある組織、正確な定量化、解析の標準化、臨床手順の最適化、患者の動き、画像アーチファクト、放射線と造影剤との双方の投与の低減などの信頼できる臨床適用を実現するための重大な障害が依然として存在する。さらに、今日のイメージングシステムの技術的能力は、常に十分であるとは限らない。さらに、従来の灌流解析アプローチによると、局所的な血流特性の完全な解析が提供及び可視化されるが、これらのアプローチは、同一の領域における異なる循環サブシステムの間を区別せず、これらの循環サブシステムの間の一意的な関係を示さない。残念ながら、単一の画像ボクセルでさえ複数の循環サブシステムのフローパターンを表すデータを有することが可能であり、互いに干渉し合うことがある。さらに、信号ノイズ及び/又は他の実際の不正確さは特に重大であり、解析をさらに複雑化する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下は、一般に灌流イメージングデータにより表現される2以上の循環サブシステムの間の関係及び/又は相違を決定し、それを示す情報を生成することに関する。循環サブシステムの具体例として、限定することなく、肺循環サブシステム、体循環サブシステム、肝門脈循環サブシステム及び冠動脈循環サブシステムがあげられる。心臓、肺及び肝臓などの臓器によると、2つの循環サブシステムは同一臓器において活動している可能性がある。一般に、臓器では、動脈はより小さな動脈に分かれ、さらに毛細血管を形成するよう分かれ、臓器から出るより大きな血管を形成するよう統合し、静脈を形成するよう結合し、臓器を出て、最終的に大静脈に結合する。
【0015】
肺循環サブシステムでは、肺動脈が心臓の右心室から生じて、脱酸素化血液を肺に運び、そこで血液は酸素化される。肺静脈は、心臓の左心房に酸素化血液を返す。体循環サブシステムでは、酸素化血液が心臓の左心室から大動脈にポンプされる。大動脈の分岐は体の組織の大部分に血液を送る。組織細胞は酸素化され、その後に脱酸素化された血液は大静脈を介し心臓に戻る。さらに、毒性のある二酸化炭素が細胞から取り出される。その後、血液は右心室に流れ、そこから肺循環に入る。
【0016】
肝門脈循環サブシステムは、腸、脾臓、膵臓及び胆嚢のために働く。肝臓は、酸素化血液を肝臓に供給する肝動脈(大動脈のブランチ)と、脾臓、胃、膵臓、十二指腸及び結腸からの静脈の統合により形成される肝門静脈との2つの主要なソースから血液を受け取る。肝動脈と肝門静脈とは、血液が肝臓細胞と直接接触とする肝臓洞に入る。脱酸素化血液は、最終的に肝静脈を介し大静脈に流れる。冠動脈循環サブシステムは、心筋に酸素及び栄養素を供給し、二酸化炭素及び他の老廃物を心臓から取り除く。
【0017】
適切な灌流イメージングデータは、CT、MRI、PET、SPECT、US、光トモグラフィ及び/又は他の灌流イメージングデータを含む。説明及び簡単化のため、以下において、CT灌流イメージングデータに関するシステム及び/又は方法が説明される。
図1をまず参照して、CT(Computed Tomography)スキャナなどのイメージングシステム100が示される。イメージングシステム100は、固定ガントリ102と、固定ガントリ102により回転可能に支持される回転ガントリ104とを含む。回転ガントリ104は、検査領域106及びその中のオブジェクト又は被検者の一部の周りを縦軸又はz軸に関して回転する。
【0018】
X線チューブなどの放射線ソース108が、検査領域106の周りの回転ガントリ104により支持されて回転する。放射線ソース108は、検査領域106を移動する全体的にファン、ウェッジ又はコーン状の放射ビームを形成するようコリメートされた放射線を発射する。放射線感知検出装置アレイ110は、検査領域106を移動する放射線ソース108により発射された光子を検出し、検出された放射線を示すプロジェクションデータを生成する。放射線感知検出装置アレイ110は、1次元又は2次元アレイの検出ピクセルを含む。
【0019】
椅子などの被検者サポート112は、検査領域106において被検者108又はオブジェクトを支持し、螺旋状、軸状又は他の所望のスキャニング軌道を実現するため、回転ガントリ104の回転と連動してx、y及びz軸方向に沿って移動可能である。注入器114は、スキャン対象の被検者又はオブジェクトに1以上の造影剤などの物質を注入又は投与するよう構成される。造影剤はさらに又はあるいは、医師などにより手動により投与可能である。造影剤が手動により投与される場合、注入器114は省略可能である。
【0020】
再構成手段116は、プロジェクションデータを再構成し、検査領域106を示す時系列のボリューム画像データを生成する。フィルタバックプロジェクション、統計、繰り返し、スパースサンプリング及び/又は他の再構成アルゴリズムなどの各種再構成アルゴリズムが利用可能である。汎用計算システムが、オペレータコンソールとして利用される。コンソール118に常駐し、プロセッサにより実行されるソフトウェアは、オペレータが灌流手順などのイメージング手順を選択し、スキャニングを開始することを可能にするなどによって、オペレータがシステム100の処理を制御することを可能にする。
【0021】
データレポジトリ120は、システム100により生成されたイメージングデータを格納するのに利用可能である。データレポジトリ120は、PACS(Picture Archiving and Communication System)、RIS(Radiology Information System)、HIS(Hospital Information System)、EMR(Electronic Medical Record)データベース、サーバ、コンピュータ及び/又は他のデータレポジトリの1以上を含むものであってもよい。データレポジトリ120は、システム100(図示されるように)にローカルとすることが可能であるか、又はシステム100からリモートとすることが可能である。
【0022】
灌流イメージングデータプロセッサ122は、システム100及び/又はデータレポジトリ120からの灌流イメージングデータなどの灌流イメージングデータを処理するよう構成される。以下でより詳細に説明されるように、灌流イメージングデータプロセッサ122は、灌流イメージングデータにより表現される2以上の循環サブシステムの間の関係及び/又は相違を判断し、それを示す情報を生成する。一例では、生成された情報はより良好な結果を提供し、灌流イメージングデータプロセッサ122が使用されないか、又は省略されるコンフィギュレーションに対する結果を向上させる。当該結果は、腫瘍の検出、腫瘍の特徴付け(血管分布レベル、攻撃性、転移の可能性など)、治療の選択、複数の治療タイプの治療の成功の予測、フォローアップ研究(特に治療のため抗血管形成薬を使用するとき)などを促進するものであってもよい。
【0023】
ディスプレイ124は、少なくとも灌流イメージングデータプロセッサ122により生成された情報を視覚的に提示するよう構成される。
【0024】
灌流イメージングデータプロセッサ122は、物理メモリなどのコンピュータ可読記憶媒体に符号化又は埋め込まれた1以上のコンピュータ可読命令を実行するプロセッサを介し実現可能であることが理解されるべきである。このようなプロセッサは、コンソール118及び/又は他の計算装置の一部とすることが可能である。さらに又は代わりに、プロセッサは、搬送波、信号又は一時的な媒体などの他の非コンピュータ可読記憶媒体により搬送される少なくとも1つのコンピュータ可読命令を実行可能である。
【0025】
図2は、灌流イメージングデータプロセッサ122の一例を概略的に示す。図示された実施例では、灌流イメージングデータプロセッサ122は、システム100、データレポジトリ120及び/又は他の装置から灌流イメージングデータを取得する。
【0026】
ボクセル特定手段202は、取得したイメージングデータにおいて処理すべき1以上のボクセルの1以上のグループを特定するよう構成される。ボクセル特定手段202は、自動的アプローチ及び/又はユーザ入力を用いて、1以上のボクセルの1以上のグループを特定可能である。
【0027】
解析手段204は、薬剤ピーク特性時間判定手段206、確率分布判定手段208又は薬剤ピーク引数判定手段210の1以上を有する。
【0028】
薬剤ピーク特性時間判定手段206は、ボクセルのグループから時間の関数として被検者又はオブジェクトの全体的に管状の構造(血管又は血管のメッシュなど)におけるピーク薬剤摂取時間に対応する薬剤ピーク特性時間を判定するよう構成される。このようなピークは、強度、勾配などに基づき特定されてもよい。複数の薬剤及び/又はピークについて、特性時間は薬剤及び/又はピークの1以上について決定される。
【0029】
確率分布判定手段208は、ピークが“真”のピークである確率を確率分布が示す各薬剤ピーク特性時間について確率分布を判定するよう構成される。例えば、不正確さ、ノイズなどのため、ピークの位置は決定的でないかもしれず、各ピークについて候補となる特性時間のいくつか又は範囲が判定され、それぞれは異なる確率を有する。
【0030】
本実施例では、薬剤ピーク特性時間判定手段206及び/又は確率分布判定手段208は、初期的なモデルを利用して複数のピークを判定する。当該モデルは、ピーク形状、大きさ、制約などを含むものであってもよい。一般に、モデルはイメージ値(又は信号)のベクトルに対する時間及び/又は他の表現について適用可能である。
【0031】
薬剤ピーク特性時間判定手段206及び/又は確率分布判定手段208は、対象となる造影物質がイメージングデータに最初に出現する時間、心臓/大動脈入力関数の推定、投与された薬剤の濃度及びボリュームに関する事前情報などの情報を利用して、ピーク特性時間を判定可能である。
【0032】
薬剤ピーク引数判定手段210は、ピーク特性時間について、ピーク強度、ピーク勾配、ピークの近傍における積分を示す値、大動脈又は大静脈のピーク時間に対するピークまでの時間などの1以上のピーク引数を判定するよう構成される。ピーク引数はまた、例えば、大動脈及び/又は他の情報などにより正規化可能である。
【0033】
ピーク引数関係判定手段212は、2以上の異なるピークの引数の間の関係を判定するよう構成される。これは、限定することなく、経時的に第1ピークと第2ピークとの間の優勢なピーク、HPI(Heptic Portal Index)、重み付けされた動脈灌流などを選択することを含む。
【0034】
灌流マップ生成手段214は、各ボクセル又は領域が関係の値を表すボリュームイメージングデータとして表現可能な灌流関数マップを生成する。ボリュームデータは、例えば、各イメージがz軸及び/又はそれ以外に沿ったスライスに対応する2次元イメージセット(重畳又は分離された)として構成可能である。
【0035】
最適化手段216は、繰り返し又は非繰り返し最適化アプローチを用いて灌流マップを最適化するよう構成される。
【0036】
イメージプロセッサ218は、少なくとも灌流マップを処理し、ディスプレイ124及び/又は他の装置を介し関数マップを視覚的に表示する。例えば、一例では、色相が1つのピーク引数(又は複数の引数の関係)を表現するのに利用可能であり、カラー強度が他の引数又は複数の引数の関係を表すのに利用可能である。任意的には、カラー化されたイメージは、グレイスケールイメージ(解剖情報又は他の情報を表すことが可能である)と半透過的に合成可能である。
【0037】
あるいは、1つの引数又は引数関係関数が、カラースケール(フル強度などにより)又はグレイスケールによって可視化される。他の例では、2以上の引数又は引数関係関数が、分離したイメージにより可視化される(例えば、互いに近接して)。更に又は代わりに、他の情報がグラフ(時間放射能曲線など)、ヒストグラム(より大きなROIにおけるボクセルの統計量など)及び/又は他の視覚的形式により表示可能である。
【0038】
図3は、灌流イメージングデータを評価するための一例となる方法を示す。ここに記載される方法における実行順序は限定的でないことが理解されるべきである。また、他の順序もここでは想定される。さらに、1以上の処理は省略されてもよく、及び/又は1以上の追加的な処理が含まれてもよい。
【0039】
ステップ302において、灌流スキャンからのイメージングデータが取得される。一般に、イメージングデータは、異なる時点に取得されたデータ間の空間位置合わせを含む再構成された時系列ボリュームデータを含む。イメージングデータは、1以上の補正及び/又は他の後処理を介し処理されたものであってもよい。ここで説明される灌流イメージングデータは、CT、MRI、PET、SPECT、US及び/又は他の灌流イメージングデータを含むことが可能であり、イメージングシステム及び/又はデータレポジトリから取得可能である。
【0040】
304において、灌流イメージングデータプロセッサ122は、イメージングデータを評価し、関心のある1以上のボクセル又はボクセルの領域のセットについて、同一の臓器又は組織の領域において活動し表現された2以上の異なる循環サブシステムの所定の特性を判定する。
【0041】
306において、灌流イメージングデータプロセッサ122は、2つの循環サブシステムの判定された特性の間の所定の関係及び/又は相違を判定する。一例では、ノイズ、他の不正確さ及び限定に対する関係及び/又は相違のロウバスト性を改善するため、繰り返し最適化が利用される。例えば、繰り返し最適化は、同時に目的となるマップ状態を改善し(例えば、トータルバリエーション最小化アプローチなどにより)、循環サブシステムの灌流特性が所定のモデル及び制約に適合する確率を最大化してもよい。
【0042】
308において、1以上の(例えば、ボクセル単位の)灌流マップが、関係及び/又は相違に基づき生成される。
【0043】
310において、1以上の灌流マップの少なくとも1つが視覚的に表示される。
【0044】
図4は、灌流イメージングデータを評価するための他の一例となる方法を示す。同様に、ここに説明される方法の処理順序は限定的でないことが理解されるべきである。また、他の順序が想定される。さらに、1以上の処理は省略されてもよく、及び/又は1以上の追加的な処理が含まれてもよい。
【0045】
402において、ボクセルのセット(1以上のグループなど)に対応するイメージングデータのサブセットが、灌流イメージングデータから取得される。これは、灌流イメージングデータのサブセット又は全体の時系列を介し1以上のボクセルのイメージングデータを取得することを含むものであってもよい。これは、手動及び/又は自動化されたアプローチを介して可能である。
【0046】
404において、任意的には、イメージングデータのサブセットが予め調整される。これは、フィルタリング、ノイズ除去、空間スムージング、時間スムージング、リサンプリング、時系列に沿った空間位置合わせ、動き補正、畳み込み解除、正規化及び/又は他の処理を含むものであってよい。
【0047】
406において、任意的には、造影剤、患者、1以上の以前の調査などに関する情報など、イメージングデータに含まれない他の情報が取得される。このような情報は、投与された造影物質が最初にイメージングデータに出現した時間、投与された造影物質の濃度、被検者又はオブジェクトの重さ、心臓/大動脈入力機能の推定などを含むものであってもよい。
【0048】
408において、薬剤ピークを判定するためのモデルが取得される。当該モデルは、ピーク形状、大きさ、制約、造影物質ピーク特性時間を判定するためのアルゴリズム、造影物質ピーク特性時間の確率分布を判定するためのアルゴリズム、造影物質ピーク引数を判定するためのアルゴリズムなどを含むことが可能である。
【0049】
410において、ボクセルのサブセットについて、薬剤ピーク特性時間、薬剤ピーク特性時間の確率分布及び/又は薬剤ピーク特性時間の薬剤ピーク引数の少なくとも1つが決定される。
【0050】
412において、1以上の灌流マップが、薬剤ピーク特性時間、薬剤ピーク特性時間の確率分布及び/又は薬剤ピーク特性時間の薬剤ピーク引数に基づき生成される。
【0051】
414において、評価すべき他のボクセルセットがある場合、処理402〜412が繰り返される。あるいは、処理402〜412は、関心のある複数の特定されたボクセルセットについて同時にパラレルに実行可能である。
【0052】
416において、1以上の灌流マップの少なくとも1つが、ここに説明されるように視覚的に提供される。
【0053】
図5は、
図4の処理410の一例を示す。ここに説明される方法の処理順序は限定的でないことが理解されるべきである。また、他の順序が想定される。さらに、1以上の処理が省略され、及び/又は1以上の追加的な処理が含まれてもよい。
【0054】
502において、循環サブシステムに対応する血流ピークの1以上の薬剤ピーク特性時間が、当該モデル、イメージングデータのサブセット及びすでに決定された何れかのピーク特性時間に基づき決定される。
【0055】
504において、1以上の決定された薬剤ピーク特性の1以上の確率分布が、当該モデルに基づき生成される。
【0056】
506において、決定された各薬剤ピーク特性時間の引数セットが、当該モデル、1以上の薬剤ピーク特性時間及び確率分布に基づき決定される。これは、特性時間が固定された制約である汎用アルゴリズムに基づきイメージングデータをガンマバリエイトモデルに適合させることを含むものであってもよい。
【0057】
508において、少なくとも1つの他の循環サブシステムについて、処理502〜506が少なくとも1回繰り返される。相互ピーク制約及び/又は一貫性基準セットとの適合性がチェック可能である。
【0058】
510において、停止基準が充足されない場合、処理502〜508が繰り返される。停止基準は、順次的な結果と所定の停止閾値、繰り返し回数、経過時間及び/又は他の停止基準との間の相違に基づくものであってもよい。
【0059】
そうでない場合、512において、薬剤特性時間、確率分布及び/又は引数セットが、
図4の処理412に関して利用される。
【0060】
一変形では、処理506が処理510の後に実行される。
【0061】
図6は、
図4の処理412の一例を示す。ここに説明される方法の処理の順序は限定的でないことが理解されるべきである。また、他の順序が想定される。さらに、1以上の処理が省略され、及び/又は1以上の追加的な処理が含まれてもよい。
【0062】
602において、異なる薬剤ピーク特性時間のそれぞれの薬剤ピーク引数間の少なくとも1つの関係が、時間的に選択された異なる薬剤ピーク特性時間に対応して決定される。
【0063】
604において、各関係について、灌流マップが生成される。
【0064】
606において、灌流マップに関する制約及びコスト関数のモデルが取得される。例えば、マップに関するコスト関数は、マップの空間勾配に関する和及び/又は何れかのバージョンのトータルバリエーション技術を含むことが可能である。
【0065】
608において、任意的には、特性時間に関する相互制約及び/又はコスト関数が取得される。例えば、特性時間に関する制約は、特性時間の選択を最適化するための試み中、2つの時間の間の時間差が特定の時間範囲ないであるべきであるという定義を含むことが可能である。
【0066】
610において、薬剤ピーク特性時間は、所定の制約又はコスト関数を受ける複数の関係関数マップイメージ状態を同時に改善し、処理606及び/又は608のモデルに基づき選択された特性時間のトータル確率を増加させるよう変更される。これは、2以上の従属関数のグローバルな最小化の間で妥協可能なものを含む、勾配降下、遺伝的アルゴリズム又は他の最適化技術の1以上を介し実現可能である。
【0067】
612において、停止基準が充足されない場合、処理602〜612が繰り返される。停止基準は、順次的な結果と所定の停止閾値、繰り返し回数、経過時間及び/又は他の停止基準との間の相違に基づくものであってもよい。
【0068】
停止基準が充足された場合、614において、
図4の処理414が実行される。
【0069】
ここに説明される方法は、1以上のプロセッサに各種処理及び/又は他の機能及び/又は処理を実行させる物理メモリなどのコンピュータ可読記憶媒体に符号化又は実現される1以上のコンピュータ可読命令を実行する1以上のプロセッサを介し実現されてもよい。更に又は代わりに、1以上のプロセッサは、信号又は搬送波などの一時的な媒体により搬送される命令を実行可能である。
【0070】
以下において、複数の循環サブシステムに関して非限定的な具体例が提供される。説明及び簡単化のため、以下は、2つの薬剤ピーク特性時間と2つの引数との関係に関して説明される。しかしながら、以下はより多く又はより少ない薬剤ピーク特性時間とより多く又はより少ない引数との関係及び/又は1以上の他の変数に格納可能であることが理解されるべきである。
【0071】
各ボクセルの各TAC(Time−Attenuation−Curve)について、1)入力データ及び規定されたモデルに従って第1の初期特性時間t
0A及び第2の初期特性時間t
0Bを決定する。2)確率分布P(t
0A),P(t
0B)を決定する。3)灌流引数及びそれらの関係関数F
1(t
A,t
B),F
2(t
A,t
B)を決定する。4)t
A,t
B、それらの確率及びそれら相互の制約(モデルにより定義)の全ての組み合わせから、各灌流関係関数P(F
1),P(F
2)と各関係関数相互の組み合わせP(F
1,F
2)とについて確率を計算する。確率分布は、原則的に非正規的形状(例えば、非釣り鐘状、非対称、不連続など)を有してもよい。
【0072】
その後、グローバルな最小値の引数が、トータルバリエーションアプローチに基づき決定される。このような引数の具体例がARGUMENT1に示される。
【0073】
【数1】
ただし、k
1,k
2は重み付け係数であり、iはボリュームにおける全てのボクセルに対するインデックスランであり、
【0074】
【数2】
はFの勾配を表し、rは実数の指数であり(r=1,2,3.25など)、λ
1,λ
2は各関係関数マップにおける各ボクセルのフィデリティウェイトである。
【0075】
ARGUMENT1では、各関係関数マップ(すなわち、各灌流マップ)について2つの項があり、一方はトータルバリエーション項(Fの勾配を有する)であり、他方はフィデリティ項である。各項は全てのマップボクセル上の和を含み、2D又は3Dに適用されてもよい。繰り返しの最適化処理は、式全体が最小化されるように、F
1,F
2の最終的なマップを求めるべきである。フィデリティウェイト、λ
1,λ
2は、EQUATION1に従って最小化プロセスの各繰り返しステップにおいて変更されてもよい。
【0076】
【数3】
ただし、h
1,h
2は、決定された範囲においてリニアである関数であり、一定のバイアス又はサチュレーション範囲を有してもよく、mは繰り返しインデックスであり、q
1,q
2はF
1とF
2との間のカップリング係数(レシオ)である。λがより大きい場合、それの初期値に対して中間的なFの値をシフトするための“圧力”があり、λがより小さい場合、ローカルマップ勾配を最小化するため、それの値を変更するためのより大きな自由度がある。
【0077】
上記はさらに、
図7の具体例に関して説明される。
図7において、ボクセルTAC S
measuredは、単一のピークフローを表すと仮定されるレスポンスを示す。一例となるデータはノイズを含み、シャープなピークを示すものでない。特定のモデルによると、TTP(Time To Peak)及び最大ピーク値(Emax)が決定されるべきである。しかしながら、モデルは、TTPが選択された時間範囲におけるグローバルな最大値として、最大勾配までの時間と最大エンハンスメント値によって最も良く決定されることを規定してもよい。2つの定義は、理論的なTAC S
modelの理想的なケースにおいて一致してもよい。
【0078】
測定されたTACでは、初期的なTTPは時間Aにより決定され、最大エンハンスメントは時間Bにより決定される。想定される単一のピークの特性時間は、確率P(t
0)により規定されてもよい。例えば、P(t
0)から直接的に各関数P(TTP)及びP(Emax)について独立した確率分布を計算可能である。また、相互確率分布P(TTP,Emax)を決定することも可能である。例えば、データがモデルから乖離している場合、ノイズ又はアーチファクトのためでなく、サンプルの実際の複雑な行動のため、t及びSの測定された組み合わせのみが利用される(それぞれは特定の確率を有するが、他の理論的な組み合わせはゼロの確率を有する)。
【0079】
一般に、モデルからの乖離の一部はノイズ又はアーチファクトによるものであり、他のものは真の異なる物理的動作によるものである。最適化処理について、2つの関数の間のカップリングの要求されるレベル(パラメータq
1,q
2による)が予め決定できる。原則的に、ノイズ及びアーチファクトが相対的に大きい場合、カップリングレシオは低減できる(より小さなqなど)。しかしながら、ノイズが最小であるが、真の動作はシンプルなモデルより複雑である場合、TTPとEmaxとの間のカップリングは増加しうる(qの増加など)。
【0080】
図8は、最適化処理の一例を図示する。この図では、F
Vは関心ボリュームについて計算された1つのピーク引数関係関数マップを表す。F
Vは2つのピークに関連する引数の関数である。説明の簡単化のため、当該範囲内の2つの近傍ボクセルA及びBがハイライトされる。各ボクセルはそれぞれ、時間アクティビティ曲線信号S
A,S
Bを有する(すなわち、時間の関数としての信号又はイメージ値)。
【0081】
最適化アルゴリズムは、第1ステップにおいて(所定のモデルなどに基づく)、2つの関連するピークを表す特性時間を計算する。各特性時間について、アルゴリズムは、不確実性を提供するよう確率分布Pを計算する。本例では、ボクセルAの特性時間最大確率はそれぞれ、第1及び第2ピークについてt
0A1及びt
0A2の周りにある。
【0082】
アルゴリズムは、各ピークについて所定の引数、すなわち、arg
1(t
0A1)及びarg
2(t
0A2)又はそれ以上を計算する。例えば、要求される引数は、t
0A1及びt
0A2の近傍の最大勾配であってもよい。各ボクセルについて、2つ(又は原則的にはそれ以上)の引数の間の関係関数F
Vが計算される。例えば、関数は、arg
2/(arg
1+arg
2)により規定されてもよい。コスト関数が、ボクセル単位マップ全体について計算される。例えば、コスト関数は、近傍のボクセル間のバリエーションの大きさに比例してもよい。
【0083】
最適化アルゴリズムは、最適化繰り返し処理中、(全てのボクセル又はその一部について)2つのピークの仮に選択された特性時間を変更し、マップコスト関数の値を最小化すると同時に、ピーク確率を増加(最大化)することを試みる。アルゴリズムは、2つの要求(マップコスト関数を最小化し、特性時間確率を最大化すること)の間の最良の妥協点を見つけようとする。
【0084】
本例では、特性時間t
A1,t
A2は、t
0A1,t
0A2の代わりに進捗した繰り返しステップにおいて選択される。この場合、P
A1及びP
A2に関する対応する確率はより低いが、この結果、F
VAとF
VBとの差分が最初より小さい場合、F
Vに関するコスト関数はまたより小さくなる(すなわち、より良好になる)。図では、t
0B1,t
0B2は変更されていなかったが、もちろん一般にはそれらもまた変更可能である。
【0085】
一変形では、血流ピークは特性時間よりも多い複数の変数により規定できる。更なる他のバージョンでは、ピーク引数自体は、特性時間の定義を必要とすることなく最適化処理のために利用可能な直接的な計算された確率と関連付け可能である。
【0086】
本発明が、好適な実施例を参照して説明された。上述した詳細な説明を参照及び理解した他者に修正及び変更が想到しうる。本発明は添付した請求項又はそれの均等の範囲内に属する限り、このような全ての修正及び変更を含むものとして解釈されることが意図される。