(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。
【0008】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係るVリブドベルトBを示す。実施形態1に係るVリブドベルトBは、例えば、自動車のエンジンルーム内に設けられる補機駆動ベルト伝動装置等の動力伝達部材として用いられるエンドレスのものである。実施形態1に係るVリブドベルトBは、例えば、ベルト周長が700〜3000mm、ベルト幅が10〜36mm、及びベルト厚さが4.0〜5.0mmである。
【0009】
実施形態1に係るVリブドベルトBは、ベルト外周側の背面ゴム層11と中間の接着ゴム層12とベルト内周側の圧縮ゴム層13との三重層に構成されたVリブドベルト本体10を備えており、接着ゴム層12には、ベルト幅方向にピッチを有する螺旋を形成するように配された心線14が埋設されている。
【0010】
背面ゴム層11は、断面横長矩形の帯状に構成されており、厚さが例えば0.4〜0.8mmである。背面ゴム層11の表面、つまり、VリブドベルトBの外周面は、平プーリとの間で生じる音を抑制する観点から、織布の布目が転写された形態に形成されていることが好ましい。背面ゴム層11は、ゴム成分に種々の配合剤が配合されて混練された未架橋ゴム組成物を加熱及び加圧して架橋剤により架橋させたゴム組成物で形成されている。
【0011】
背面ゴム層11を形成するゴム組成物のゴム成分はエチレン−α−オレフィンエラストマーである。エチレン−α−オレフィンエラストマーとしては、例えば、エチレン−プロピレン−ジエン−ターポリマー(EPDM、以下「EPDM」と称する。)、エチレン−プロピレンコポリマー(EPM)、エチレン−ブテンコポリマー(EBM)、エチレン−オクテンコポリマー(EOM)等が挙げられる。これらのうちEPDMが好ましい。ゴム成分は、単一種で構成されていてもよく、また、複数種がブレンドされて構成されていてもよい。
【0012】
エチレン−α−オレフィンエラストマーのムーニー粘度ML
1+4(100℃)は、好ましくは20以上、より好ましくは30以上、さらに好ましくは40以上であり、また、好ましくは90以下、より好ましくは70以下、さらに好ましくは60以下である。
【0013】
エチレン−α−オレフィンエラストマーのエチレン含量は、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは55質量%以上であり、また、好ましくは70質量%以下、より好ましくは65質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下である。
【0014】
エチレン−α−オレフィンエラストマーのジエン含量は、好ましくは2.0質量%以上、より好ましくは3.0質量%以上であり、また、好ましくは12.0質量%以下、より好ましくは10.0質量%以下、さらに好ましくは8.0質量%以下である。
【0015】
配合剤としては、カーボンブラックなどの補強材、軟化剤、不飽和カルボン酸金属塩、加硫促進助剤、架橋剤、加硫促進剤、及び短繊維等が挙げられる。
【0016】
補強材としては、カーボンブラックでは、例えば、チャネルブラック;SAF、ISAF、N−339、HAF、N−351、MAF、FEF、SRF、GPF、ECF、N−234などのファーネスブラック;FT、MTなどのサーマルブラック;アセチレンブラックが挙げられる。補強剤としてはシリカも挙げられる。これらのうちFEFカーボンブラックを含むことが好ましい。補強剤は、単一種で構成されていてもよく、また、複数種で構成されていてもよい。補強材の配合量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは7.0質量部以上、さらに好ましくは9.0質量部以上であり、また、好ましくは25質量部以下、より好ましくは20質量部以下、さらに好ましくは15質量部以下である。
【0017】
軟化剤としては、例えば、石油系軟化剤(パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル)、パラフィンワックスなどの鉱物油系軟化剤、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落下生油、木ろう、ロジン、パインオイルなどの植物油系軟化剤が挙げられる。これらのうちパラフィン系プロセスオイルが好ましい。軟化剤は、単一種で構成されていてもよく、また、複数種で構成されていてもよい。軟化剤の配合量は、ゴム成分100質量部に対して例えば2〜30質量部である。
【0018】
不飽和カルボン酸金属塩は、少なくとも1つのカルボキシル基を有する不飽和カルボン酸と金属との塩である。不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸などのモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などのジカルボン酸等が挙げられる。金属としては、例えば、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、バリウム、チタン、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、アルミニウム、錫、鉛等が挙げられる。これらの組合せのうちアクリル酸亜鉛及び/又はジメタクリル酸亜鉛を含むことが好ましい。軟化剤は、単一種で構成されていてもよく、また、複数種で構成されていてもよい。
【0019】
不飽和カルボン酸の金属に対するモル比(不飽和カルボン酸のモル数/金属のモル数)は好ましくは2mol/1molである。不飽和カルボン酸金属塩の配合量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは30質量部以上、より好ましくは40質量部以上、さらに好ましくは50質量部以上であり、また、好ましくは70質量部以下、より好ましくは65質量部以下、さらに好ましくは60質量部以下である。
【0020】
不飽和カルボン酸金属塩とカーボンブラックとを合わせた配合量の和は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは35質量部以上、より好ましくは45質量部以上、さらに好ましくは55質量部以上であり、また、好ましくは95質量部以下、より好ましくは85質量部以下、さらに好ましくは75質量部以下である。
【0021】
不飽和カルボン酸金属塩のカーボンブラックに対する配合量の比(不飽和カルボン酸金属塩/カーボンブラック)は、好ましくは1.2/1〜14/1、より好ましくは2/1〜10/1、さらに好ましくは3/1〜9/1である。
【0022】
加硫促進助剤としては、例えば、酸化マグネシウムや酸化亜鉛(亜鉛華)などの金属酸化物、金属炭酸塩、ステアリン酸などの脂肪酸及びその誘導体等が挙げられる。これらのうち酸化亜鉛及びステアリン酸が好ましい。加硫促進助剤は、単一種で構成されていてもよく、また、複数種で構成されていてもよい。加硫促進助剤の配合量は、ゴム成分100質量部に対して例えば0.5〜8質量部である。
【0023】
架橋剤としては、例えば、硫黄、有機過酸化物が挙げられる。架橋剤として、硫黄を用いたものでもよく、また、有機過酸化物を用いたものでもよく、さらには、それらの両方を併用したものでもよいが、有機過酸化物が好ましい。架橋剤の配合量は、硫黄の場合、ゴム成分100質量部に対して例えば0.5〜4.0質量部であり、有機過酸化物の場合、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5〜15質量部、より好ましくは8〜12質量部である。
【0024】
加硫促進剤としては、例えば、グァニジン系、アルデヒド−アミン系、アルデヒド−アンモニア系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チオ尿素系、チウラム系、ジチオカルバメート系、ザンテート系、及びこれらの混合促進剤等が挙げられる。これらのうちスルフェンアミド系、チウラム系、及びジチオカルバメート系が好ましい。加硫促進剤は、単一種で構成されていてもよく、また、複数種で構成されていてもよい。加硫促進剤の配合量は、ゴム成分100質量部に対して例えば0.5〜4.0質量部である。
【0025】
短繊維としては、例えば、ナイロン短繊維、ビニロン短繊維、アラミド短繊維、ポリエステル短繊維、綿短繊維が挙げられる。短繊維は、長繊維を長さ方向に沿って所定長に切断して製造される。短繊維は、例えば、レゾルシン・ホルマリン・ラテックス水溶液(以下「RFL水溶液」という。)等に浸漬した後に加熱する接着処理が施されたものであってもよい。短繊維は、例えば、長さが0.2〜5.0mm、繊維径が10〜50μmである。短繊維は、ベルト長さ方向或いはベルト幅方向に配向していてもよく、また、無配向であってもよい。短繊維の配合量は、ゴム成分100質量部に対して例えば0.1〜30質量部である。
【0026】
背面ゴム層11を形成するゴム組成物は、ベルト長さ方向における動的粘弾性特性が以下の通りになるように配合設計されている。
【0027】
すなわち、温度25℃及び動歪3.0%での貯蔵弾性率E’(以下「E’(3.0%)」という。)、温度25℃及び動歪3.0%での損失正接tanδ(以下「tanδ(3.0%)」という。)、及び温度25℃及び動歪1.0%での貯蔵弾性率E’(以下「E’(1.0%)」という。) について、
(tanδ(3.0%)/E’(3.0%))×1000≦3.0MPa
−1であり、
且つE’(1.0%)/E’(3.0%)≦1.30である。
【0028】
(tanδ(3.0%)/E’(3.0%))×1000は、好ましくは2.9MPa
−1以下、より好ましくは2.7MPa
−1以下、さらに好ましくは2.5MPa
−1以下である。(tanδ(3.0%)/E’(3.0%))×1000は、好ましくは0.1MPa
−1以上である。
【0029】
E’(1.0%)/E’(3.0%)は、好ましくは1.3以下、より好ましくは1.28以下、さらに好ましくは1.25以下である。E’(1.0%)/E’(3.0%)は、好ましくは0.90以上である。
【0030】
動的粘弾性特性は、JIS K6394に基づいて得られる。具体的には、動的粘弾性測定装置に短冊状の試験片の上下をチャッキングし、その試験片に、初期試験片長、つまり、チャック間距離を基準として、付与予定の動歪よりも20%大きい静歪(動歪3.0%の場合には3.6%、動歪1.0%の場合には1.2%)を与え、そして、25℃の温度雰囲気下において、周波数10Hzで所定の動歪を付与して貯蔵弾性率E’及び損失弾性率E”を測定すると共に、それらの比の損失正接tanδを算出する。
【0031】
ところで、外周面を構成する背面側の部分がゴム組成物で形成された従来のVリブドベルトでは、外周面が平プーリに接触するように巻き掛けられるレイアウトで用いられた場合、ゴムの摩耗粉が発生して平プーリに粘着するということがある。そして、かかる平プーリへのゴムの粘着は異音発生等の原因となる。また、内周面を構成する部分がゴム組成物で形成された平ベルトでも、同様に平プーリにゴムが粘着することがある。
【0032】
しかしながら、この実施形態1に係るVリブドベルトBによれば、外周面が接触するように平プーリに巻き掛けられて用いられた場合でも、平プーリに接触する外周面を構成する背面ゴム層11がエチレン−α−オレフィンエラストマーをゴム成分とするゴム組成物で形成されており、そのゴム組成物の動的粘弾性特性が、上記の通り、平プーリに巻き掛けられた際に生じる歪領域におけるヒステリシスロスが低く、また、歪変化による貯蔵弾性率E’の低下が小さいことにより、平プーリへのゴムの粘着を抑制することができる。
【0033】
接着ゴム層12は、断面横長矩形の帯状に構成されており、厚さが例えば1.0〜2.5mmである。圧縮ゴム層13は、複数のVリブ15がベルト内周側に垂下するように設けられている。複数のVリブ15は、各々がベルト長さ方向に延びる断面略逆三角形の突条に形成されていると共に、ベルト幅方向に並設されている。各Vリブ15は、例えば、リブ高さが2.0〜3.0mm、基端間の幅が1.0〜3.6mmである。また、リブ数は、例えば、3〜6個である(
図1では、リブ数が6)。
【0034】
接着ゴム層12及び圧縮ゴム層13は、ゴム成分に種々の配合剤が配合されて混練された未架橋ゴム組成物を加熱及び加圧して架橋剤により架橋させたゴム組成物で形成されている。
【0035】
接着ゴム層12及び圧縮ゴム層13を形成するゴム組成物のゴム成分としては、例えば、エチレン−α−オレフィンエラストマー、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)、水素添加アクリロニトリルゴム(H−NBR)等が挙げられる。接着ゴム層12及び圧縮ゴム層13のゴム成分は背面ゴム層11のゴム成分と同一のエチレン−α−オレフィンエラストマーであることが好ましい。
【0036】
配合剤としては、背面ゴム層11と同様、例えば、カーボンブラックなどの補強材、軟化剤、不飽和カルボン酸金属塩、加硫促進助剤、架橋剤、加硫促進剤、及び短繊維等が挙げられる。なお、圧縮ゴム層13を形成するゴム組成物に短繊維が配合されている場合、短繊維がベルト幅方向に配向し且つ表面から突出した構成であることが好ましい。また、圧縮ゴム層13を形成するゴム組成物に短繊維が配合されていない場合、圧縮ゴム層13のVリブ15の表面に短繊維が植毛された構成であってもよい。
【0037】
背面ゴム層11、接着ゴム層12、及び圧縮ゴム層13は、別配合のゴム組成物で形成されていてもよく、また、同じ配合のゴム組成物で形成されていてもよい。
【0038】
心線14は、ポリエステル繊維(PET)、ポリエチレンナフタレート繊維(PEN)、アラミド繊維、ビニロン繊維等の撚り糸で構成されている。心線14は、Vリブドベルト本体10に対する接着性を付与するために、成形加工前にRFL水溶液に浸漬した後に加熱する接着処理及び/又はゴム糊に浸漬した後に乾燥させる接着処理が施されている。
【0039】
実施形態1に係るVリブドベルトBは、公知の製造方法によって製造することができるが、背面ゴム層11を形成するためのゴム組成物に不飽和カルボン酸金属塩を配合する方法は、ゴム組成物の混練時に不飽和カルボン酸金属塩の状態で配合してもよく、また、不飽和カルボン酸と金属の酸化物、水酸化物、或いは炭酸塩とを別々に配合して混練時に反応させてもよい。
【0040】
図2は、実施形態1に係るVリブドベルトBを用いた自動車の補機駆動ベルト伝動装置20のプーリレイアウトを示す。この補機駆動ベルト伝動装置20は、VリブドベルトBが4つのリブプーリ及び2つの平プーリの6つのプーリに巻き掛けられて動力を伝達するサーペンタインドライブ方式のものである。
【0041】
この補機駆動ベルト伝動装置20は、最上位置のパワーステアリングプーリ21、そのパワーステアリングプーリ21のやや右斜め下方に配置されたACジェネレータプーリ22、パワーステアリングプーリ21の左斜め下方で且つACジェネレータプーリ22の左斜め上方に配置された平プーリのテンショナプーリ23と、ACジェネレータプーリ22の左斜め下方で且つテンショナプーリ23の直下方に配置された平プーリのウォーターポンププーリ24と、テンショナプーリ23及びウォーターポンププーリ24の左斜め下方に配置されたクランクシャフトプーリ25と、ウォーターポンププーリ24及びクランクシャフトプーリ25の左斜め下方に配置されたエアコンプーリ26とを備える。これらのうち、平プーリであるテンショナプーリ23及びウォーターポンププーリ24以外は全てリブプーリである。これらのリブプーリ及び平プーリは、例えば、金属のプレス加工品や鋳物、ナイロン樹脂、フェノール樹脂などの樹脂成形品で構成されており、また、プーリ径が50〜150mmである。特に、平プーリであるテンショナプーリ23及びウォーターポンププーリ24のプーリ径は80〜120mmである。
【0042】
この補機駆動ベルト伝動装置20では、VリブドベルトBは、Vリブ15側が接触するようにパワーステアリングプーリ21に巻き掛けられ、次いで、外周面が接触するようにテンショナプーリ23に巻き掛けられた後、Vリブ15側が接触するようにクランクシャフトプーリ25及びエアコンプーリ26に順に巻き掛けられ、さらに、外周面が接触するようにウォーターポンププーリ24に巻き掛けられ、そして、Vリブ15側が接触するようにACジェネレータプーリ22に巻き掛けられ、最後にパワーステアリングプーリ21へと戻るように設けられている。
【0043】
以上の構成の補機駆動ベルト伝動装置20では、実施形態1に係るVリブドベルトBのうち背面ゴム層11が、平プーリであるテンショナプーリ23及びウォーターポンププーリ24に接触する外周面を構成するが、その背面ゴム層11がエチレン−α−オレフィンエラストマーをゴム成分とするゴム組成物で形成されており、そのゴム組成物の動的粘弾性特性が、平プーリに巻き掛けられた際に生じる歪領域におけるヒステリシスロスが低く、また、歪変化による貯蔵弾性率E’の低下が小さいことにより、テンショナプーリ23及びウォーターポンププーリ24へのゴムの粘着を抑制することができる。
【0044】
(実施形態2)
図3は、実施形態2に係る平ベルトCを示す。実施形態2に係る平ベルトCは、例えば、工作機等の一般産業用機械の動力伝達部材として用いられるエンドレスのものである。実施形態2に係る平ベルトCは、例えば、ベルト周長が100〜6000mm、ベルト幅が3〜300mm、及びベルト厚さが0.8〜2.0mmである。
【0045】
実施形態2に係る平ベルトCは、ベルト内周側の内側ゴム層31と中間の接着ゴム層32とベルト外周側の外側ゴム層33との三重層に構成されたゴム製の平ベルト本体30を備えており、接着ゴム層32には、ベルト幅方向にピッチを有する螺旋を形成するように配された心線34が埋設されている。
【0046】
内側ゴム層31は、断面横長矩形の帯状に構成されており、厚さが例えば0.8〜2.0mmである。内側ゴム層31は、ゴム成分に種々の配合剤が配合されて混練された未架橋ゴム組成物を加熱及び加圧して架橋剤により架橋させたゴム組成物で形成されており、実施形態1に係るVリブドベルトBの背面ゴム層11を形成するゴム組成物と同一の構成を有する。
【0047】
従って、内側ゴム層31を形成するゴム組成物は、ベルト長さ方向における動的粘弾性特性が、(tanδ(3.0%)/E’(3.0%))×1000≦3.0MPa
−1であり、且つE’(1.0%)/E’(3.0%)≦1.30であるように配合設計されている。
【0048】
この実施形態2に係る平ベルトCによれば、内周面が接触するように平プーリに巻き掛けられた際、平プーリに接触する内周面を構成する内側ゴム層31がエチレン−α−オレフィンエラストマーをゴム成分とするゴム組成物で形成されており、そのゴム組成物の動的粘弾性特性が、上記の通り、平プーリに巻き掛けられた際に生じる歪領域におけるヒステリシスロスが低く、また、歪変化による貯蔵弾性率E’の低下が小さいことにより、平プーリへのゴムの粘着を抑制することができる。
【0049】
接着ゴム層32及び外側ゴム層33は、断面横長矩形の帯状に構成されており、それぞれ厚さが例えば0.4〜1.5mm及び例えば0.3〜1.0mmである。接着ゴム層32及び外側ゴム層33も、ゴム成分に種々の配合剤が配合されて混練された未架橋ゴム組成物を加熱及び加圧して架橋剤により架橋させたゴム組成物で形成されている。ゴム成分及び配合剤としては、実施形態1に係るVリブドベルトBの接着ゴム層12及び圧縮ゴム層13を形成するゴム組成物と同様のものが挙げられる。実施形態2に係る平ベルトCが、外周面が接触するように平プーリに巻き掛けられて用いられる場合には、平プーリに接触する外周面を構成する外側ゴム層33を形成するゴム組成物は、内側ゴム層31を形成するゴム組成物と同様の動的粘弾性特性を有することが好ましい。
【0050】
内側ゴム層31、接着ゴム層32、及び外側ゴム層33は、別配合のゴム組成物で形成されていてもよく、また、同じ配合のゴム組成物で形成されていてもよい。
【0051】
心線34は、例えば、実施形態1に係るVリブドベルトBの心線14と同様の構成である。
【0052】
実施形態2に係る平ベルトCは、公知の製造方法によって製造することができるが、内側ゴム層31を形成するためのゴム組成物に不飽和カルボン酸金属塩を配合する方法は、ゴム組成物の混練時に不飽和カルボン酸金属塩の状態で配合してもよく、また、不飽和カルボン酸と金属の酸化物、水酸化物、或いは炭酸塩とを別々に配合して混練時に反応させてもよい。
【0053】
図4は、実施形態2に係る平ベルトCを用いたベルト伝動装置40のプーリレイアウトを示す。
【0054】
このベルト伝動装置40は、平ベルトCが駆動プーリ41及び従動プーリ42の一対の平プーリに、内周面が接触するように巻き掛けられて動力を伝達する構成のものである。駆動プーリ41及び従動プーリ42のプーリ径は例えば30〜1500mmである。駆動プーリ41及び従動プーリ42のプーリ径は、同一であってもよく、また、異なっていてもよい。
【0055】
以上の構成のベルト伝動装置40では、実施形態2に係る平ベルトCのうち内側ゴム層31は、平プーリである駆動プーリ41及び従動プーリ42に接触する内周面を構成するが、その内側ゴム層31がエチレン−α−オレフィンエラストマーをゴム成分とするゴム組成物で形成されており、そのゴム組成物の動的粘弾性特性が、平プーリに巻き掛けられた際に生じる歪領域におけるヒステリシスロスが低く、また、歪変化による貯蔵弾性率E’の低下が小さいことにより、テンショナプーリ23及びウォーターポンププーリ24へのゴムの粘着を抑制することができる。
【0056】
(その他の実施形態)
上記実施形態1ではVリブドベルトB及び上記実施形態2では平ベルトCとしたが、特にこれらに限定されるものではなく、その他のVベルトや歯付ベルト等であってもよい。
【実施例】
【0057】
(ゴム組成物)
以下の未架橋のゴム組成物1〜12を作製した。各ゴム組成物の構成は表1にも示す。
【0058】
<ゴム組成物1>
ゴム成分をEPDM1(住友化学社製 商品名:エスプレン301、ムーニー粘度ML
1+4(100℃):55、エチレン含量:62質量%、ジエン含量:3質量%)とし、そのゴム成分100質量部に対して、FEFカーボンブラック(東海カーボン社製商品名:シーストSO)15質量部、軟化剤(日本サン石油社製 商品名:SUNPAR2280)5質量部、ジメタクリル酸亜鉛(CRAY VALLEY社製 商品名:SR634)50質量部、加硫促進助剤のステアリン酸(新日本理化社製 商品名:ステアリン酸50S)1質量部、加硫促進助剤の酸化亜鉛(堺化学工業社製商品名:酸化亜鉛3種)5質量部、架橋剤の有機過酸化物(日本油脂社製 商品名:ペロキシモンF40)10質量部、及びナイロン短繊維(旭化成社製 商品名:レオナ66、繊維長:1mm)5質量部を配合して密閉式混練機で混練したものをカレンダーロールで圧延したシート状の未架橋のゴム組成物1を作製した。ゴム組成物1におけるFEFカーボンブラック及びジメタクリル酸亜鉛の配合量の和はゴム成分100質量部に対して65質量部である。ジメタクリル酸亜鉛のFEFカーボンブラックに対する配合量の比(不飽和カルボン酸金属塩/カーボンブラック)は3.3である。
【0059】
<ゴム組成物2>
ジメタクリル酸亜鉛の配合量をゴム成分100質量部に対して70質量部としたことを除いてゴム組成物1と同様にしてシート状の未架橋のゴム組成物2を作製した。ゴム組成物2におけるFEFカーボンブラック及びジメタクリル酸亜鉛の配合量の和はゴム成分100質量部に対して85質量部である。ジメタクリル酸亜鉛のFEFカーボンブラックに対する配合量の比(不飽和カルボン酸金属塩/カーボンブラック)は4.7である。
【0060】
<ゴム組成物3>
ジメタクリル酸亜鉛の配合量をゴム成分100質量部に対して30質量部としたことを除いてゴム組成物1と同様にしてシート状の未架橋のゴム組成物3を作製した。ゴム組成物3におけるFEFカーボンブラック及びジメタクリル酸亜鉛の配合量の和はゴム成分100質量部に対して45質量部である。ジメタクリル酸亜鉛のFEFカーボンブラックに対する配合量の比(不飽和カルボン酸金属塩/カーボンブラック)は2.0である。
【0061】
<ゴム組成物4>
FEFカーボンブラックの配合量をゴム成分100質量部に対して5質量部としたことを除いてゴム組成物3と同様にしてシート状の未架橋のゴム組成物4を作製した。ゴム組成物4におけるFEFカーボンブラック及びジメタクリル酸亜鉛の配合量の和はゴム成分100質量部に対して35質量部である。ジメタクリル酸亜鉛のFEFカーボンブラックに対する配合量の比(不飽和カルボン酸金属塩/カーボンブラック)は6.0である。
【0062】
<ゴム組成物5>
FEFカーボンブラックの配合量をゴム成分100質量部に対して5質量部としたことを除いてゴム組成物2と同様にしてシート状の未架橋のゴム組成物5を作製した。ゴム組成物5におけるFEFカーボンブラック及びジメタクリル酸亜鉛の配合量の和はゴム成分100質量部に対して75質量部である。ジメタクリル酸亜鉛のFEFカーボンブラックに対する配合量の比(不飽和カルボン酸金属塩/カーボンブラック)は14.0である。
【0063】
<ゴム組成物6>
FEFカーボンブラックの配合量をゴム成分100質量部に対して25質量部としたことを除いてゴム組成物2と同様にしてシート状の未架橋のゴム組成物6を作製した。ゴム組成物6におけるFEFカーボンブラック及びジメタクリル酸亜鉛の配合量の和はゴム成分100質量部に対して95質量部である。ジメタクリル酸亜鉛のFEFカーボンブラックに対する配合量の比(不飽和カルボン酸金属塩/カーボンブラック)は2.8である。
【0064】
<ゴム組成物7>
ジメタクリル酸亜鉛の配合量をゴム成分100質量部に対して40質量部としたことを除いてゴム組成物6と同様にしてシート状の未架橋のゴム組成物7を作製した。ゴム組成物7におけるFEFカーボンブラック及びジメタクリル酸亜鉛の配合量の和はゴム成分100質量部に対して65質量部である。ジメタクリル酸亜鉛のFEFカーボンブラックに対する配合量の比(不飽和カルボン酸金属塩/カーボンブラック)は1.6である。
【0065】
<ゴム組成物8>
ジメタクリル酸亜鉛の配合量をゴム成分100質量部に対して80質量部としたことを除いてゴム組成物1と同様にしてシート状の未架橋のゴム組成物8を作製した。ゴム組成物8におけるFEFカーボンブラック及びジメタクリル酸亜鉛の配合量の和はゴム成分100質量部に対して95質量部である。ジメタクリル酸亜鉛のFEFカーボンブラックに対する配合量の比(不飽和カルボン酸金属塩/カーボンブラック)は5.3である。
【0066】
<ゴム組成物9>
FEFカーボンブラックの配合量をゴム成分100質量部に対して35質量部としたことを除いてゴム組成物2と同様にしてシート状の未架橋のゴム組成物9を作製した。ゴム組成物9におけるFEFカーボンブラック及びジメタクリル酸亜鉛の配合量の和はゴム成分100質量部に対して105質量部である。ジメタクリル酸亜鉛のFEFカーボンブラックに対する配合量の比(不飽和カルボン酸金属塩/カーボンブラック)は2.0である。
【0067】
<ゴム組成物10>
ジメタクリル酸亜鉛の配合量をゴム成分100質量部に対して40質量部としたことを除いてゴム組成物9と同様にしてシート状の未架橋のゴム組成物10を作製した。ゴム組成物10におけるFEFカーボンブラック及びジメタクリル酸亜鉛の配合量の和はゴム成分100質量部に対して75質量部である。ジメタクリル酸亜鉛のFEFカーボンブラックに対する配合量の比(不飽和カルボン酸金属塩/カーボンブラック)は1.1である。
【0068】
<ゴム組成物11>
架橋剤の配合量をゴム成分100質量部に対して6質量部としたことを除いてゴム組成物1と同様にしてシート状の未架橋のゴム組成物11を作製した。ゴム組成物11におけるFEFカーボンブラック及びジメタクリル酸亜鉛の配合量の和はゴム成分100質量部に対して65質量部である。ジメタクリル酸亜鉛のFEFカーボンブラックに対する配合量の比(不飽和カルボン酸金属塩/カーボンブラック)は3.3である。
【0069】
<ゴム組成物12>
ゴム成分をEPDM2(JSR社製 商品名:EP22、ムーニー粘度ML
1+4(100℃):27、エチレン含量:54質量%、ジエン含量:4.5質量%)とし、そのゴム成分100質量部に対して、FEFカーボンブラック(東海カーボン社製商品名:シーストSO)70質量部、軟化剤(日本サン石油社製 商品名:SUNPAR2280)7質量部、加硫促進助剤のステアリン酸(新日本理化社製 商品名:ステアリン酸50S)1質量部、加硫促進助剤の酸化亜鉛(堺化学工業社製商品名:酸化亜鉛3種)5質量部、架橋剤の硫黄(細井化学社製 商品名:オイルサルファ)2質量部、加硫促進剤(大内新興化学工業社製 商品名:ノクセラーMSA、ノクセラーTOT−N、ノクセラーEZ)2.5質量部、及びナイロン短繊維(旭化成社製 商品名:レオナ66、繊維長:1mm)5質量部を配合して密閉式混練機で混練したものをカレンダーロールで圧延したシート状の未架橋のゴム組成物12を作製した。
【0070】
【表1】
【0071】
(伝動ベルト)
<Vリブドベルト1〜12>
上記ゴム組成物1〜12を用いて背面ゴム層を形成したVリブドベルト1〜12を作製した。
【0072】
接着ゴム層は、EPDMゴム組成物で形成した。圧縮ゴム層は、ナイロン短繊維を配合したEPDMゴム組成物で形成した。心線は、ポリエステル(PET)繊維で形成された撚り糸に、成形加工前に、RFL水溶液に浸漬した後に加熱する接着処理を施したもので構成した。
【0073】
Vリブドベルト1〜12は、ベルト周長が1200mm、ベルト厚さが4.3mm、Vリブ高さが2.0mm、及びリブ数が6個のもの(ベルト幅が21.36mm)であった。
【0074】
<平ベルト1〜12>
上記ゴム組成物1〜12を用いて内側ゴム層を形成した平ベルト1〜12を作製した。
【0075】
接着ゴム層は、別のEPDMゴム組成物で形成した。外側ゴム層は、内側ゴム層と同一のEPDMゴム組成物で形成した。心線は、ポリエステル(PET)繊維で形成された撚り糸に、成形加工前に、RFL水溶液に浸漬した後に加熱する接着処理を施したもので構成した。
【0076】
平ベルト1〜12は、ベルト周長が1200mm、ベルト幅が20mm、及びベルト厚さが2.6mmであった。
【0077】
(試験方法)
<動的粘弾性特性>
ゴム組成物1〜12のそれぞれについて、架橋させたゴムシートを作製し、それから長さ方向がベルト長さ方向に相当するように短冊状の試験片を切り出した。そして、動的粘弾性測定装置(ティー・エイ・インスツルメント社製 型番:RSAIII)を用い、JIS K6394に基づいて、その動的粘弾性特性を測定した。
【0078】
具体的には、試験片に、初期試験片長、つまり、チャック間距離を基準として、付与予定の動歪よりも20%大きい静歪を与え、そして、25℃の温度雰囲気下において、周波数10Hzで所定の動歪を付与して貯蔵弾性率E’及び損失弾性率E”を測定すると共に、それらの比の損失正接tanδを算出した。測定は、静歪を3.6%として動歪を3.0%とした場合と、静歪を1.2%として動歪を1.0%とした場合との2水準行った。
【0079】
<粘着試験>
図5は粘着試験用ベルト走行試験機50を示す。
【0080】
粘着試験用ベルト走行試験機50は、プーリ径138mmの平プーリの駆動プーリ51と、その情報に設けられたプーリ径52.5mmの平プーリの従動プーリ52とを備える。駆動プーリ51が設けられた駆動源は回転変動を生じさせることができるように構成されている。従動プーリ52には120A仕様の発電機が設けられている。また、従動プーリ52には、Vリブドベルト或いは平ベルトに常時一定張力を負荷できるように上下可動に設けられている。
【0081】
そして、Vリブドベルト1〜12のそれぞれについて、背面ゴム層側が内側となるように、従って、Vリブ側が外側になるように裏返し、次いで、VリブドベルトBを背面ゴム層が駆動プーリ51及び従動プーリ52に接触するように巻き掛けて800Nの張力を負荷し、続いて、室温下、駆動プーリ51を2000rpmの回転数で回転させ、また、周波数25Hzで160rpmの回転変動を生じさせた。さらに、従動プーリ52には、発電機での発電量が55Aとなるような回転負荷を与えた。そして、15分ごとに駆動プーリ51及び従動プーリ52におけるゴムの粘着の有無を目視にて確認した。ベルト走行時間を最長90分までとし、それまでの間にゴムの粘着が認められた場合には、その時点でベルト走行を打ち切った。
【0082】
また、平ベルト1〜12のそれぞれについて、平ベルトCを内側ゴム層が駆動プーリ51及び従動プーリ52に接触するように巻き掛け、同様の走行試験を行った。
【0083】
(試験結果)
<動的粘弾性特性>
表2は動的粘弾性特性の試験結果を示す。また、
図6は、(tanδ(3.0%)/E’(3.0%))×1000とE’(1.0%)/E’(3.0%)との関係を示す。
【0084】
【表2】
【0085】
ゴム組成物1では、E’(1.0%)が34.41MPa及びtanδ(1.0%)が0.064、並びにE’(3.0%)が28.22MPa及びtanδ(3.0%)が0.070であり、従って、(tanδ(3.0%)/E’(3.0%))×1000=2.48MPa
−1、及びE’(1.0%)/E’(3.0%)=1.22であった。
【0086】
ゴム組成物2では、E’(1.0%)が46.04MPa及びtanδ(1.0%)が0.078、並びにE’(3.0%)が36.83MPa及びtanδ(3.0%)が0.086であり、従って、(tanδ(3.0%)/E’(3.0%))×1000=2.34MPa
−1、及びE’(1.0%)/E’(3.0%)=1.25であった。
【0087】
ゴム組成物3では、E’(1.0%)が22.32MPa及びtanδ(1.0%)が0.048、並びにE’(3.0%)が18.30MPa及びtanδ(3.0%)が0.053であり、従って、(tanδ(3.0%)/E’(3.0%))×1000=2.90MPa
−1、及びE’(1.0%)/E’(3.0%)=1.22であった。
【0088】
ゴム組成物4では、E’(1.0%)が21.01MPa及びtanδ(1.0%)が0.044、並びにE’(3.0%)が17.86MPa及びtanδ(3.0%)が0.048であり、従って、(tanδ(3.0%)/E’(3.0%))×1000=2.69MPa
−1、及びE’(1.0%)/E’(3.0%)=1.18であった。
【0089】
ゴム組成物5では、E’(1.0%)が42.52MPa及びtanδ(1.0%)が0.062、並びにE’(3.0%)が34.87MPa及びtanδ(3.0%)が0.068であり、従って、(tanδ(3.0%)/E’(3.0%))×1000=1.95MPa
−1、及びE’(1.0%)/E’(3.0%)=1.22であった。
【0090】
ゴム組成物6では、E’(1.0%)が47.10MPa及びtanδ(1.0%)が0.091、並びにE’(3.0%)が36.74MPa及びtanδ(3.0%)が0.100であり、従って、(tanδ(3.0%)/E’(3.0%))×1000=2.72MPa
−1、及びE’(1.0%)/E’(3.0%)=1.28であった。
【0091】
ゴム組成物7では、E’(1.0%)が27.45MPa及びtanδ(1.0%)が0.087、並びにE’(3.0%)が21.41MPa及びtanδ(3.0%)が0.096であり、従って、(tanδ(3.0%)/E’(3.0%))×1000=4.48MPa
−1、及びE’(1.0%)/E’(3.0%)=1.28であった。
【0092】
ゴム組成物8では、E’(1.0%)が51.70MPa及びtanδ(1.0%)が0.100、並びにE’(3.0%)が38.52MPa及びtanδ(3.0%)が0.111であり、従って、(tanδ(3.0%)/E’(3.0%))×1000=2.88MPa
−1、及びE’(1.0%)/E’(3.0%)=1.34であった。
【0093】
ゴム組成物9では、E’(1.0%)が48.90MPa及びtanδ(1.0%)が0.148、並びにE’(3.0%)が37.16MPa及びtanδ(3.0%)が0.163であり、従って、(tanδ(3.0%)/E’(3.0%))×1000=4.39MPa
−1、及びE’(1.0%)/E’(3.0%)=1.32であった。
【0094】
ゴム組成物10では、E’(1.0%)が28.12MPa及びtanδ(1.0%)が0.124、並びにE’(3.0%)が21.37MPa及びtanδ(3.0%)が0.136であり、従って、(tanδ(3.0%)/E’(3.0%))×1000=6.36MPa
−1、及びE’(1.0%)/E’(3.0%)=1.32であった。
【0095】
ゴム組成物11では、E’(1.0%)が30.11MPa及びtanδ(1.0%)が0.079、並びにE’(3.0%)が24.39MPa及びtanδ(3.0%)が0.095であり、従って、(tanδ(3.0%)/E’(3.0%))×1000=3.90MPa
−1、及びE’(1.0%)/E’(3.0%)=1.23であった。
【0096】
ゴム組成物12では、E’(1.0%)が30.46MPa及びtanδ(1.0%)が0.204、並びにE’(3.0%)が19.47MPa及びtanδ(3.0%)が0.203であり、従って、(tanδ(3.0%)/E’(3.0%))×1000=10.43MPa
−1、及びE’(1.0%)/E’(3.0%)=1.56であった。
【0097】
<粘着試験>
表3は粘着試験の試験結果を示す。
【0098】
【表3】
【0099】
Vリブドベルト1〜6及び平ベルト1〜6では、いずれも90分の走行後でもゴムの粘着は確認されなかった。
【0100】
Vリブドベルト7では、45分の走行後にゴムの粘着が確認され、平ベルト7では、60分の走行後にゴムの粘着が確認された。Vリブドベルト8及び平ベルト8では、いずれも75分の走行後にゴムの粘着が確認された。Vリブドベルト9及び平ベルト9では、いずれも60分の走行後にゴムの粘着が確認された。Vリブドベルト10及び平ベルト10では、いずれも30分の走行後にゴムの粘着が確認された。Vリブドベルト11では、75分の走行後にゴムの粘着が確認され、平ベルト7では、60分の走行後にゴムの粘着が確認された。Vリブドベルト12及び平ベルト12では、いずれも15分の走行後にゴムの粘着が確認された。