(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6209532
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】PET検出器のためのタイルの取り付け
(51)【国際特許分類】
G01T 1/161 20060101AFI20170925BHJP
A61B 6/00 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
G01T1/161 A
A61B6/00 300X
【請求項の数】15
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-549579(P2014-549579)
(86)(22)【出願日】2012年12月17日
(65)【公表番号】特表2015-509188(P2015-509188A)
(43)【公表日】2015年3月26日
(86)【国際出願番号】IB2012057365
(87)【国際公開番号】WO2013098699
(87)【国際公開日】20130704
【審査請求日】2015年12月14日
(31)【優先権主張番号】61/580,444
(32)【優先日】2011年12月27日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/598,369
(32)【優先日】2012年2月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(74)【代理人】
【識別番号】100141117
【弁理士】
【氏名又は名称】川村 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】リィウ,ジンリン
【審査官】
伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−337646(JP,A)
【文献】
特表2006−503285(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0011950(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/161
A61B 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイルであって、
放射線事象を受けたことに応じて信号を生成する放射線検出器の配列と、
関連電子機器と、
前記タイルを冷却・取り付け構造に取り付け且つ前記冷却・取り付け構造と熱的に連通し、且つ、前記冷却・取り付け構造に関して前記タイルの取り付け面を位置決めするマウントと、を有し、
前記タイルは、同様の複数のタイルと共に配列を形成し、
前記放射線検出器及び前記関連電子機器は、前記マウントに取り付けられている、
タイル。
【請求項2】
タイルであって、
放射線事象を受けたことに応じて信号を生成する放射線検出器の配列と、
関連電子機器と、
前記タイルを冷却・取り付け構造に取り付け且つ前記冷却・取り付け構造と熱的に連通し、且つ、前記冷却・取り付け構造に関して前記タイルの取り付け面を位置決めするマウントと、を有し、
前記放射線検出器及び前記関連電子機器は、前記マウントに取り付けられ、
前記冷却・取り付け構造と接触する前記タイルの表面に配置される脚又はスペーサ、及び、前記タイルを前記冷却・取り付け構造に取り付けるために前記冷却・取り付け構造に設けられた取り付け用ピンを受け入れるように構成される穴、のうちの少なくとも1つをさらに含む、
タイル。
【請求項3】
前記マウントは、前記冷却・取り付け構造における穴を通って延びるように構成される複数のピンを含む、
請求項1又は2に記載のタイル。
【請求項4】
前記マウントは、前記冷却・取り付け構造の相補面と熱的に接触するように構成される平坦な接触面を定める、
請求項1乃至3の何れか一項に記載のタイル。
【請求項5】
前記タイルの取り付け面に配置され或いはその奥まったところに置かれる電気的コネクタをさらに含む、
請求項1乃至4の何れか一項に記載のタイル。
【請求項6】
前記放射線検出器は、シリコン光電子増倍管に光学的に接続されるシンチレーション結晶、及び、固体放射線検出器のうちの一方を含む、
請求項1乃至5の何れか一項に記載のタイル。
【請求項7】
冷却・取り付け構造、及び、複数の請求項1乃至6の何れか一項に記載のタイルを有する放射線検出器モジュール。
【請求項8】
冷却・取り付け構造、及び、タイルを有する放射線検出器モジュールであって、
前記タイルは、放射線事象を受けたことに応じて信号を生成する放射線検出器の配列と、関連電子機器と、前記タイルを前記冷却・取り付け構造に取り付け且つ前記冷却・取り付け構造と熱的に連通し、且つ、前記冷却・取り付け構造に関して前記タイルの取り付け面を位置決めするマウントと、を有し、
前記放射線検出器及び前記関連電子機器は、前記マウントに取り付けられ、
前記冷却・取り付け構造は、前記タイルの電気的コネクタに対するアクセスを提供する開口部を定める、
放射線検出器モジュール。
【請求項9】
前記タイルと前記冷却・取り付け構造との間に配置される熱ペースト又は素子をさらに含む、
請求項7又は8に記載の放射線検出器モジュール。
【請求項10】
環状支持構造、及び、複数の請求項7乃至9の何れか一項に記載の放射線検出器モジュールを有するPETスキャナ。
【請求項11】
環状支持構造、及び、放射線検出器モジュールを有するPETスキャナであって、
前記放射線検出器モジュールは、冷却・取り付け構造、及び、タイルを有し、
前記タイルは、放射線事象を受けたことに応じて信号を生成する放射線検出器の配列と、関連電子機器と、前記タイルを前記冷却・取り付け構造に取り付け且つ前記冷却・取り付け構造と熱的に連通し、且つ、前記冷却・取り付け構造に関して前記タイルの取り付け面を位置決めするマウントと、を有し、
前記放射線検出器及び前記関連電子機器は、前記マウントに取り付けられ、
前記環状支持構造は、
複数の前記放射線検出器モジュールが取り付けられる一対のリングを含み、
複数の前記タイルと前記リングの一方との間の空間におけるスペーサアセンブリをさらに含み、
前記冷却・取り付け構造が、取り付けられた前記タイルの数よりも多くの電気的コネクタ用開口部とタイル取り付け用ピンを受け入れる穴を定め、
前記リングは、前記タイルが斜めの放射線を受けるのを阻止する、
PETスキャナ。
【請求項12】
前記スペーサアセンブリは、
前記放射線検出器モジュールに隣接する可動シールドリング、
支持リング、及び、
前記可動シールドリングと前記支持リングとの間に配置されるスペーサ、を含む、
請求項11に記載のPETスキャナ。
【請求項13】
複数のタイルのそれぞれを冷却・取り付け構造に取り付けること、及び、
前記冷却・取り付け構造を環状支持構造に位置決めし且つ取り付けること、を有する、
放射線検出器の配列を取り付ける方法であって、
前記タイルは、放射線事象を受けたことに応じて信号を生成する放射線検出器の配列と、関連電子機器と、前記タイルを前記冷却・取り付け構造に取り付け且つ前記冷却・取り付け構造と熱的に連通し、且つ、前記冷却・取り付け構造に関して前記タイルの取り付け面を位置決めするマウントと、を有し、
前記放射線検出器及び前記関連電子機器は、前記マウントに取り付けられている、
方法。
【請求項14】
取り付けることは、
前記環状支持構造から前記冷却・取り付け構造を取り外すこと、及び、
修理、調整、又は交換のために前記冷却・取り付け構造から複数の前記タイルのうちの1つのタイルを取り外すこと、を含む、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
新品の、交換品の、或いは追加のタイルを取り付けること、及び、
前記冷却・取り付け構造を前記環状支持構造に再び取り付けること、をさらに含む、
請求項13又は14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、診断用画像化システム及び方法に関する。それは、二次的な画像化モダリティを有する陽電子放出型断層撮影(PET)システム又は単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)システムへの特定の応用を見いだす。二次的な画像化モダリティの例は、コンピュータ断層撮影(CT)、磁気共鳴(MR)画像化、及びSPECTを含む。また、下記は、スタンドアロンPET又はSPECTスキャナへの応用を見いだす。
【背景技術】
【0002】
固体PET検出器は、通常、検出器スタックを形成するために、プリント回路基板(PCB)上の検出器ダイオードの配列(アレイ)に結合されるシンチレータ結晶で作られる。タイルとも呼ばれるこの検出器スタックは、その後、複数のスタックを保持するより大きなPCBに接続される。いくつかの設計では、検出器スタックは固いコネクタを用いてより大きなPCBにつながり、そして、タイルスタックは、より大きなPCBと検出器のフレームとの間にクランプで固定される。この構成は、冷却のための空間がほとんどなく、冷却システムの設計を困難にする。また、タイルをそれに関連する電子機器にクランプで固定することは、それらコネクタの公差が累積してPET検出器の位置に影響を与え得るので、それらスタックの位置合わせ及び正確な配置を困難にする。さらに、その設計は、サービスを提供することが困難となり、信頼できないものとなり得る。検出器はしばしば2×2のタイルより多いタイルを有する構成(例えば、4×5、4×6、又は4×7)で取り付けられ、検出器の側部の全てにアクセスできるとは限らないためである。4×7の構成では、アクセス可能な側部を持たない10個のタイルが存在する。露出した側部を持たない検出器の取り外しは、取り外し対象の検出器の縁に工具又は指を置くためにその検出器に隣接する検出器に損傷を与える場合がある。露出した側部を一つだけ有する検出器を取り外す場合、その検出器は、1つの側部にのみ力を適用させることでトルクが適用される場合があり、回路又は検出器結晶の湾曲及び潜在的な損傷を引き起こす場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本願は、タイル取り付け構造に関するこれらの問題に取り組むことを提案する。スタックの設置面積内に形成されるタイルマウントは、スタックを位置決めし且つ保持するための複数のピンを有する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
タイルが開示され、そのタイルは、放射線事象を受けたことに応じて信号を生成する放射線検出器の配列(アレイ)と、関連する電子機器と、タイルを支持構造に取り付けてその支持構造と熱的に連通し、且つ、その支持構造に関してタイルの取り付け面を位置決めするマウントとを有する。そのタイルは、その支持構造における開口部を通じて延びるように構成される複数のピンを含んでいてもよい。それら複数のピンのいくつかはねじ山が付けられていてもよい。そのタイルマウントは、支持構造の相補面と熱的に接触するように構成される平坦な接触面を定めてもよい。また、支持構造と接触するタイルの表面は、脚又はスペーサを有していてもよい。タイルは、タイルを取り付け構造に取り付けるためのピンを受け入れる穴を有していてもよい。タイルは、タイルの取り付け面に配置され或いはその取り付け面の奥まったところに置かれる電気的コネクタを有していてもよい。放射線検出器は、シリコン光電子増倍管、及び、固体放射線検出器に光学的に接続されるシンチレーション結晶のうちの一方であってもよい。放射線検出器モジュールは、複数のタイルと冷却・(及び)取り付け構造を有していてもよい。そのモジュールは、タイルをその冷却・取り付け構造に取り付けるピンを受け入れる複数の穴を含んでいてもよい。冷却・取り付け構造は、タイルの取り付け面が取り付けられる相補的な取り付け面を定めてもよい。タイルと冷却・取り付け構造との間には、熱ペースト又は熱素子があってもよい。冷却・取り付け構造は、タイルの電気的コネクタへのアクセスをもたらす開口部を定めてもよい。冷却・取り付け構造は、取り付けられたタイルの数よりも多くの電気的コネクタのための開口部及び取り付け用ピンのための穴を有していてもよい。
【0005】
複数のモジュールは、PETスキャナの環状支持構造に取り付けられてもよい。環状支持構造は、複数のモジュールが取り付けられる一対のリングを含んでいてもよい。冷却・取り付け構造は、タイルの数よりも多くの電気的コネクタ用開口部と取り付け用ピンを受け入れる穴とを定める冷却プレートを有していてもよく、タイルが斜めの放射線を受けるのを阻止する検出器リングの1つとタイルとの間の空間にスペーサアセンブリをさらに含んでいてもよい。スペーサアセンブリは、検出器モジュールに隣接する可動シールドリングと、支持リングと、可動シールドリングと支持リングの間に配置されるスペーサとを含んでいてもよい。
【0006】
また、放射線検出器アレイの取り付け方法も開示される。その方法は、冷却・取り付け構造に複数のタイルのそれぞれを取り付け、そして、その冷却・取り付け構造を環状支持構造に位置決めし且つ取り付けることを含む。また、その取り付けは、環状支持構造から冷却・取り付け構造を取り外すこと、及び、複数のタイルのうちの1つを修理、調整、或いは交換するためにその1つのタイルを支持構造から取り外すことを含んでいてもよい。また、その方法は、新品の、交換品の、或いは追加のタイルを取り付けること、及び、冷却・取り付け構造を環状支持構造に再び取り付けることを含んでいてもよい。
【0007】
また、複数の環状支持リング、それら環状支持リングに取り付けられる複数のモジュール(各モジュールは、冷却・支持プレートを貫く複数の穴を有する冷却・支持プレートアセンブリを含む。)、及び、複数のタイルを有する全体的に環状のPET検出システムが開示される。各タイルは検出器を有し、検出器は、露出した側部のない取り外し対象のタイルのピンをモジュールの個々の穴の外に押し出すことによって、隣接するタイルを取り外すことなく、その取り外し対象のタイルがモジュールから取り外され得るように、それらの穴に受け入れられるピンによって個々のモジュールの冷却・支持プレートアセンブリに取り付けられ且つ支持される。
【0008】
また、全体的に環状のPET検出システムも開示される。そのシステムは、一対の環状支持リングと、それら環状支持リングの第1のものに隣接して配置される第1環状シールドリングと、それら環状支持リングに取り付けられ且つ支持される複数のモジュール(各モジュールは、電気的コネクタ用開口部を定める冷却・支持プレートアセンブリを含む。)と、複数のタイルとを有する。各タイルは、そのタイルの面上に或いはその面に埋め込まれるように検出器及び電気的コネクタを有する。そして、電気的コネクタ用開口部がその電気的コネクタを受け入れられるようにする。各タイルは、個々のモジュールの冷却・支持プレートアセンブリに取り付けられ且つ支持される。また、冷却・支持プレートアセンブリは、取り付けられたタイルの数よりも多くの電気的コネクタ用開口部を定め、1つのグループにおいて個々のモジュールに異なる数のタイルが取り付けられるのを可能にする。そのグループの第1の側は第1環状シールドリングに隣接する。また、そのシステムは、それら環状支持リングの第2のものと複数のタイルとの間に移動可能に取り付けられる可動環状シールドリングを有し、その可動環状シールドリングがそのタイルのグループの第2の側に隣接して位置付けられるようにし、異なる数のタイルを収容するようにその可動環状シールドリングが配置可能となるようにする。
【0009】
1つの利点は、より高精度に検出器を位置決めできる点(より正確な位置合わせ)にある。
【0010】
別の利点は、検出器スタックの簡素化された取り外し又は除去にある。
【0011】
別の利点は、改善された伝熱及び冷却にある。
【0012】
本発明のさらに別の利点は、以下の詳細な説明を読んで理解することで当業者に理解されるであろう。
【0013】
本発明は、様々なコンポーネント及びコンポーネントの配置、並びに、様々なステップ及びステップの配置の形を取り得る。図面は望ましい実施例の説明を目的とするのみであり、本発明を限定するものとして解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】磁気共鳴(MR)スキャナと陽電子放出型断層撮影(PET)スキャナを有するハイブリッドシステムの斜視図を図式的に示す。
【
図3】シンチレーション結晶を見せるためにハウジングが取り外された個々のPET検出器モジュールを示す。
【
図4】光検出器及びシンチレーション結晶が取り付けられた状態のタイルを示す。
【
図6】冷却プレートに取り付けられた複数のタイルを示す側面図である。
【
図7】オプションのタイルが取り付けられるようにする追加の検出器リング幅を準備するための環状スペーサを有する支持リングに取り付けられた付随する冷却・支持構造と共に検出器モジュールを示す部分断面側面図である。
【
図8】タイルを診断用スキャナに取り付ける方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1を参照すると、ハイブリッドPET/MRスキャナ10は、MRスキャナの勾配磁場コイルとRFコイルとの間の隙間に配置される全体的に環状のPET検出システム12を有する。全体的に環状のPET検出システム12及びMRスキャナは、共通の画像化領域16を画像化するように構成される。PET検出システム12は、マグネットハウジング14内で且つMRコンポーネント間にある開口20を通過する取り付け部材18によって独立に支持される。
【0016】
対象者支持部22及び/又はPETガントリ12は、検出された放射線事象及び検出時間を特定するリストモードPETデータセットを生成するために、連続的に或いは段階的に長さ方向に互いに相対的に動かされる。これは、長さ方向すなわちz方向におけるより精細なPET収集サンプリングをもたらすスキャン中の長さ方向の空間的位置の連続したつながりを各検出器がカバーするのを可能にする。また、例えば長さ方向における検出器間隔より小さい、短い長さ方向の増分でのステッピングも考えられる。また、それら検出器は、円周方向に連続的に動かされてもよく、或いは、似たような小ステップで動かされてもよい。
【0017】
PETスキャニングでは、画像化領域16における陽電子消滅事象によって一対のガンマ線が生成されて正反対の方向に進む。ガンマ線が検出器に衝突すると、衝突された検出器エレメントの位置及び衝突時間が記録される。単一群処理ユニットは、時間的に近い事象との対を作っていない単一のガンマ線事象のために、記録されたガンマ線事象を監視する。時間的に近い事象の対は応答線(Lines Of Response: LOR)を定め、それらLORはPET画像に再構成される。
【0018】
図2は、複合型PET/MRスキャナ又はPET単独スキャナからのPET検出システム12を示す。そのスキャナは、環状支持構造32を構成する一対の環状リングの外面に取り付けられた18個のモジュール(それらのうちの3つが30a、30b、及び30cでラベリングされている。)を支持する図示のリングを有する。当然ながら、検出器モジュールのサイズ、並びに、リング及び画像化領域16の直径に応じてより多くの或いはより少ない数のモジュールが提供されてもよい。
【0019】
図3を参照して検出器モジュール30を示す。各検出器モジュール30は、冷却・支持プレートアセンブリ34を含む。複数のシンチレータ結晶アレイ36は複数の光検出器アレイ(
図4において42でラベリングされている。)に光学的に結合され、そしてその検出器アレイはタイルマウントに取り付けられ、そのタイルマウントはさらにその冷却プレートに取り付けられる。
【0020】
図3の幾何学的配置では、‘下’は、スキャナ検査領域16の中心を向く。そのモジュールの最も低い(その検査領域に関して最も内側の)レベルは、アレイを構成するシンチレーション結晶である。シンチレーション結晶アレイは、光検出器アレイを構成するためにフォトダイオードアレイの下に取り付けられ且つフォトダイオードアレイに接続される。光検出器におけるフォトダイオードは、タイルマウント(
図4の44であるが
図3では不可視)に取り付けられる。そして、このタイルマウントは、冷却・支持プレートアセンブリ34に取り付けられる。電気的コネクタ(図示せず。)は、冷却・支持プレートの上に取り付けられる単一群処理ボード33にタイルボードを接続する。これらの電気コネクタは、タイル及び冷却・支持プレート34における整合する開口部39を通過する。一実施例では、それら開口部は、電気コネクタ又は可撓性ケーブルを受け入れるために長方形である。プリント回路基板33は、冷却プレートの上に取り付けられるが、その冷却プレートとは接触しない。プリント回路基板は光検出器ほどには冷却を必要としないためである。冷却プレート34は、それらコネクタが通過する大型開口部(そのうちの3つが39でラベリングされている。)と、タイルを取り付けるための(
図4では46、47、48、及び49でラベリングされている)ピンを受け入れるための複数の取り付け用穴(それらのうちの4つが38でラベリングされている。)を有する。冷却・支持プレートアセンブリ34は、検出器アレイ及びシンチレーション結晶を実質的に一定の冷却温度に維持する。いくつかの実施例では、その冷却プレートは、そのプレートから下に延び且つシンチレータアレイを取り囲む熱伝導性の壁又はスカートを含む。その冷却は、例えば、流体がそのプレート中を循環できるようにするための冷却・支持プレートにある冷却管によってもたらされる。
【0021】
図4を参照し、タイル40を示す。タイル40は、タイルマウント44に取り付けられる光検出器42に光学的に接続されるシンチレーション結晶アレイ36を含む。動作温度に応じて光検出器の性能が変化するため、それを実質的に一定の冷却温度に維持することが重要である。光検出器の頂部(結晶の反対側)が電子コンポーネントを有するため、いくつかの実施例では、その表面が不規則となり得る。冷却プレートに光検出器を直接的に取り付けること、又は、光検出器と冷却プレートとの間の熱パッドを用いて冷却プレートに光検出器を取り付けることでは、電子機器の表面のせいで連続的な熱的接触を提供できない場合がある。光検出器とタイルマウント44との間の間隙は、熱ペースト又は他の熱伝導性の(但し導電性ではない)物質で満たされる。熱ペーストは、光検出器におけるコンポーネントの不規則な表面を埋めることによって、光検出器とタイルマウント44との間の良好な熱的接触を確かなものとする。タイルマウント44の頂部は滑らかであり、タイルマウントの頂部と冷却プレート34との間の良好な熱的接触を促進するが、プレート34とタイルマウント44との間の良好な接触を確保するために熱ペーストの薄い層が用いられてもよい。
【0022】
熱的接触をもたらすことに加え、タイルマウントはまた、画像スキャナの性能にとって重要である光検出器の正確な位置決めをも促進する。ピン46−49は、タイルマウントを機械的に位置決めする。一実施例では、例えば46及び49の2つのピンは滑らかであり、且つ、主に冷却プレート34に関してタイルマウントを位置決めする。例えば47及び48である他の2つのピンは、タイルマウント44から見て冷却プレートの反対側にあるナットを用いてタイルマウントを冷却プレートにしっかりと取り付けるために、ねじ山が付けられていてもよい。有利には、この構成は、ナットを取り外し、且つ、冷却プレートの外にピンを押し出す力を加えることによって中央タイル(例えば、露出した縁がない状態で他のタイルに取り囲まれたタイル)が取り外されるのを可能にし、タイルの側部へのアクセス無しに個々のタイルを押し出すことを可能にする。4つのピンの全てが実質的に同時に押された場合、そのタイルは、取り外されるときにトルクを受けることがなく、電子機器が損傷を受ける可能性を低減させる。冷却プレート34における4つの穴38の全てが滑らかで且つ実質的に同じサイズであってもよく、そのことは、冷却プレートの製造を簡素化する。一実施例では、タイルマウントの頂面と冷却プレートの下面は、タイルの良好な熱移動及び正確な角度位置決めを確保するための相補面を持つように正確に機械加工される。
【0023】
タイルマウントは、コネクタ52のために、その頂面を通る開口部50を有する。各タイルに2以上のコネクタが存在する場合には2以上の開口部が必要とされる。開口部50は、ピン46−49が穴38に入るときにタイルの開口部50が冷却プレートにある開口部(
図3の39)と一致するように、冷却プレートにおける開口部39とほぼ同じサイズ及び形状であり、光検出器アレイをPCBに電気的に接続するために光検出器アレイからのコネクタ52がタイル及び冷却プレートを通過できるようにする。
【0024】
他のピン構成も考えられる。例えば、4つのピン46−49の全てにねじ山が付けられていてもよい。また、4つのピンの全てが滑らかで且つ他の何らかの取り付け機構が用いられてもよい。例えば、ピン46−49は、クレビスピンであってもよい。
図5A−
図5Dを参照し、タイル40の他の3つの実施例54、56、及び58を示す。
図5Bでは、タイルマウント54は、ねじ穴等の穴64を有し、ねじ山付きのピンを受け入れるための穴又はピンを有する冷却プレートに結合される。
図5A及び
図5Bに示すような光検出器プリント回路基板にプレートを取り付ける代わりに、
図5C及び
図5Dに示すように、複数の個別の脚が光検出器プリント回路基板に取り付けられてもよい。
図5Cでは、タイルマウント56は、冷却プレートからのピン又は冷却プレートを通るねじ山付き要素を受け入れる穴又はねじ穴を備える4つの脚66を有する。
図5B及び
図5Cで結合する冷却プレートは双方ともその冷却プレートからのピン又は冷却プレートを貫通するピンを用いる。
図5Cでは、肩部66の高さによって創出される空間を通じて熱を伝えるように、熱パッド又は熱ペーストがタイルの頂面と冷却プレートとの間に配置される。
図5Dでは、タイル40と同様、タイル58は、タイル上にピンを有するが、肩付き脚68を有する。タイル58の肩、及び、タイル56の脚は、光検出器の電子機器のための空間を創出し、タイルが冷却プレートに取り付けられるときにそれらが損傷を受けないようにする。タイル58では、タイル56と同様、熱パッド又は熱ペーストは、その脚の高さのところで、光検出器アレイからの熱を冷却プレートに伝える。
図5C及び
図5Dの実施例では、コネクタは、タイルの頂面から延びる。コネクタは、脚の高さだけ延びてもよく、或いは、冷却プレートにおける開口部まで若しくは開口部を通って延びてもよい。
【0025】
図6は、冷却プレート・支持構造34とその下に取り付けられる(集合的に40とされる)タイル40a−hの側面図を示す(前の図のように、‘下’は検査領域16の中心の方を指す。)。タイル40は、タイルマウント44によって冷却プレート34の下に備え付けられ且つ冷却プレート34に取り付けられる。タイルマウント44はそのピン48及び49によってのみ視認できる。冷却・支持ハウジング34の一部は、スカートを形成するためにプレート部から下に延びるためである。なお、スカート内にはタイルが備え付けられる。冷却プレート34に取り付けられるのはハウジング70である。ハウジング70は、一実施例では、スカートを定め且つ機械的強度をもたらすために側部に沿って厚い。また、放射線受け面にわたって実質的に放射線事象をブロックしないアルミニウム又は他の物質の薄い層を有する。例えば多孔質発泡体である弾性材料(図示せず。)の薄い層は、製作公差を補うために結晶アレイとハウジング70との間に取り付けられてもよい。一実施例では、ハウジング70は、その頂部のところで冷却プレート34に取り付けられ、且つ、4つの側部の全ての下にあり且つ接しているタイル40を覆う。説明のため、ハウジング70は、タイル40を見せるためにその側部において一部を切り取って示されている。
【0026】
タイルマウントは、タイルが容易に取り付けられるのを可能にし、PETスキャナの拡張性を促進する。PETスキャナは、
図7におけるモジュールによって例示される、将来的に追加されるタイルのための空間を有する構成で販売される。前述のように、冷却プレート34はタイル40i−40mを支持するが、冷却プレート34の下には必要に応じて将来のタイルを受け入れるためにタイル40i−40mに隣接する空きスペース72が存在する。この空きスペースは、スペーサ74及び可動シールドリング76を保持する。可動シールドリング76は、タイル40のすぐ近くに配置され、且つ、タイル40の下に僅かに延び、そして、迷放射線が側部から検出器結晶36に入るのを阻止する。そのスペーサの隣にあるタイルの側部に隣接する遮蔽に加え、タイルの外側(そのスペーサの反対側)には別のシールド78が存在する。そのスペーサの外側及びタイルアレイの外側にある一対の支持リング32は、冷却プレート34を介して検出器を支持する。当然ながら、スペーサ74は、複数のスペーサ棒であってもよい。
【0027】
シンチレーション結晶に結合されたシリコン光電子増倍(SiPM)検出器に加え、他のタイプの検出器が考えられる。テルル化カドミウム亜鉛(CZT)又は他の固体検出器が考えられる。光電子増倍管に結合されるシンチレーション結晶アレイも考えられる。検出器又は結晶は画素化されてもよい。アンガーロジックが用いられてもよい。
【0028】
検出器結晶の取り付け方法は、
図8に示すステップを含む。ステップ101では、タイルが支持・冷却構造34に取り付けられる。ステップ102では、支持・冷却構造34が支持リング32に取り付けられる。ステップ103では、タイルを修理/交換するために、或いは、より多くのタイルを追加するために、冷却プレートが取り外される。ステップ105では、タイルが取り外され、そして、修理され、交換され、或いは再調整される。ステップ106では、取り付け対象の追加のタイルのための余地を与えるため、スペーサ76が動かされる。ステップ101に戻り、交換品、修理されたタイル、又は追加のタイルが取り付けられ、そして、ステップ102において、冷却プレートが支持リングに再び取り付けられる。
【0029】
本発明は望ましい実施例を参照して説明された。当然ながら、前述の詳細な説明を読んで理解することで他の人が改良及び変更を思い付くであろう。それらの改良及び変更が添付の請求項又はそれらの均等物の範囲内に入る限りにおいて、本発明がそれらの改良及び変更の全てを含むものとして解釈されることが意図されている。