特許第6209536号(P6209536)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6209536物質を検出する装置、システムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6209536
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】物質を検出する装置、システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/17 20060101AFI20170925BHJP
   G02B 26/12 20060101ALI20170925BHJP
   G01N 21/84 20060101ALI20170925BHJP
   G01N 21/27 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   G01N21/17 A
   G02B26/12
   G01N21/84 E
   G01N21/27 B
【請求項の数】18
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-553271(P2014-553271)
(86)(22)【出願日】2013年1月24日
(65)【公表番号】特表2015-509194(P2015-509194A)
(43)【公表日】2015年3月26日
(86)【国際出願番号】NO2013000001
(87)【国際公開番号】WO2013115650
(87)【国際公開日】20130808
【審査請求日】2016年1月8日
(31)【優先権主張番号】20120074
(32)【優先日】2012年1月24日
(33)【優先権主張国】NO
(73)【特許権者】
【識別番号】513070417
【氏名又は名称】トムラ ソーティング エーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ディルク・バルタザール
(72)【発明者】
【氏名】オーレ・オンスラッド
【審査官】 佐々木 龍
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−540397(JP,A)
【文献】 特表2011−506066(JP,A)
【文献】 特開2009−092481(JP,A)
【文献】 特開平08−062123(JP,A)
【文献】 特開2005−241336(JP,A)
【文献】 米国特許第06509537(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00−21/01
G01N 21/17−21/61
G01N 21/84−21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物質(12)を検出する装置(10)であって:
第1の光ビーム(16a)を発するように設けられている第1の光源(14a)と;
第2の光ビーム(16b)を発するように設けられている第2の光源(14b)と
回転または傾斜平面内において移動するように構成され、集束する第1および第2の光ビームの方向を検出対象の物質に向けて変えるように設けられている走査要素(20)と
物質によって反射された光(38)を、該走査要素を介して受光するように設けられている検出器(26)と、
を備え、該装置は、第1および第2の光ビーム(16a、16b)が走査要素(20)に向かって集束するように配置されており、さらに前記回転または傾斜平面に対して垂直である平面P内に第1の光ビーム(16a)および第2の光ビーム(16b)を発するように構成されている、
ことを特徴とする上記装置。
【請求項2】
第1の光源と走査要素の間の光路に配置されている第1の鏡(18a)と、第2の光源と走査要素の間の光路に配置されている第2の鏡(18b)とをさらに備え、ここで、該第1の鏡は、第1の光ビームの方向を変えるように設けられており、該第2の鏡は、第1および第2の光ビームが走査要素に向かって集束するように第2の光ビームの方向を変えるように設けられている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
第1の光源と第1の鏡の間の距離は、第2の光源と第2の鏡の間の距離とは異なる、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
検出器は、第1の光ビームと第2の光ビームの間を移動する反射光を受光するように配置される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
検出器が第1の鏡と第2の鏡の間に配置されるか、または鏡要素(40)が、反射光の方向を変えて検出器に向けるために第1の鏡と第2の鏡の間に配置される、請求項2〜4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
物質を移送するための移送手段(30)が下に設けられている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
移送手段は:コンベヤ・ベルト(30)と;シュートと、自由落下経路とのうちの少なくとも1つを含む、請求項に記載の装置。
【請求項8】
取り付け板をさらに備え、ここで、少なくとも走査要素が該取り付け板(42)に取り付けられており、該取り付け板は、移送手段の法線に対して2〜15°、好ましくは約10°の角度(A)で配置される、請求項またはに記載の装置。
【請求項9】
第1の光ビームと第2の光ビームが移送手段上の物質上で実質的に重なり合っているように配置される、請求項6〜8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
第1の光源と第1の鏡の間に配置されている第1のレンズ(44a)と、第2の光源と第2の鏡の間に配置されている第2のレンズ(44b)とをさらに備え、ここで、該第1のレンズおよび該第2のレンズのうちの少なくとも1つは、光源と該レンズの間の距離を調節するために移動可能である、請求項2〜のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
少なくとも走査要素を収容し、走査要素の下に窓(58)がある底壁を有するハウジング(60)をさらに備え、ここで、少なくとも1つの基準要素は前記窓の隣に配置される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記基準要素は:
2つの実質的に白色の基準領域(62a、b)および中心の三角鏡(64)を含む白色基準(52)と;
黒色または暗色基準領域と;
周囲光を集めるためのレンズを有する、底壁のアパーチャと
のうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
走査要素は回転多面鏡および傾斜鏡のうちの1つである、請求項1〜12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
第1および第2の光源は点光源であり、装置は、物質を照明するように設けられている少なくとも1つの線光源をさらに備える、請求項1〜13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
第1および第2の光ビームは、第1および第2の鏡によって方向を変えられる前に平行または実質的に平行であり、第1および第2の光源ならびに第1および第2の鏡は、走査要素の回転平面または傾斜平面に垂直な平面Pに配置されており、第1および第2の鏡の一方は、前記平面Pで第1の光ビームの方向を90°未満変えるように設けられ、第1および第2の鏡の他方は、前記平面Pで第2の光ビームの方向を90°超変えるように設けられており、反射光の方向を変えて検出器に向けるように設けられている検出器または鏡要素は、前記平面P内で第1の鏡と第2の鏡の間に配置される、請求項2〜14のいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の2つの装置の検出領域(70a、b)が部分的に重なり合うように並べて配置された該2つの装置を含むシステム。
【請求項17】
2つの装置の動作は、検出領域の重なった部分(72)が両装置によって同時に照明されないように同期されている、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
物質(12)を検出する方法であって、
第1の光ビーム(16a)を発すること;
第2の光ビーム(16b)を発すること;
第1の光ビーム(16a)および第2の光ビーム(16b)を、第1および第2の光ビームが走査要素(20)に向かって集束するように方向づけるまたは方向を変えること、ここで前記走査要素が、回転または傾斜平面内において移動するように構成され
第1の光ビーム(16a)および第2の光ビーム(16b)を、前記回転または傾斜平面に対して垂直である平面P内に発するようにさせること
集束する第1および第2の光ビームの方向を走査要素によって検出対象の物質に向けて変えること;ならびに
物質によって反射された光を、走査要素を介して受光すること
からなる前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物質を検出する装置に関する。本発明はまた、物質を検出するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(Wollmannら)は、2つのレーザがそれぞれレーザ・ビームを発生させるデバイスを開示している。レーザ・ビームは鏡によって偏向させられ、合わさって共通ビームになる。この目的で、鏡のうちの1つは、その背後に配置されたレーザのレーザ・ビームを通すものである。合わさったレーザ・ビームは、別の鏡にある穴を通過し、回転多面鏡ホイールの多角形平面のうちの1つに衝突する。多面鏡ホイールは、レーザ・ビームを放物面鏡に導き、放物面鏡によって反射されたレーザ・ビームは傾斜鏡に導かれ、走査される物体の表面に当たる。物体表面は受光器に投影される。特許文献1におけるデバイスの欠点は、レーザが単色なことである。
【0003】
特許文献2(Ruymen)は、分類装置内に取り付けることができるデバイスを開示している。このデバイスは、集束した非常に強い光束をそれぞれが発生させる2つの光源を備えている。両光源は、異なる周波数の光を発生させ、選択的に半反射性の鏡(ダイクロイック・ミラー)および通常の鏡によって合わせられてレーザ・ビームの束になる。この光束は、動くプリズム鏡に向けて反射させられる。この鏡の面は反射性であり、本質的に互いに同じ角度に設定されている。さらに、このプリズム鏡は、その中心軸の周りを回転する。そのような面に当たった光束は、分類対象の製品に向けて誘導される。鏡が回転することにより、光束は製品の一続きの部分を横断するように移動する。そうする中で、前記束は、一続きの部分の幅をまたぐ2つの位置の間を毎回同じ方向に移動する。光束は、製品の部分に入ったとき、前記部分によって散乱および/または反射させられる。散乱光は少なくとも部分的に同じ面で捕捉され、前記面を介し、光束とほぼ同じ経路に沿って、散乱光をある角度で2つの検出器に向けて反射するビーム・スプリッタに導かれる。特許文献2におけるデバイスの欠点は、検出と同じ光路が照明され、それによって全反射の問題が生じ得ることである。
【0004】
特許文献3は、材料の表面品質を試験する装置に関し、すずのシートがやはりある方向に動く、「動く」スリット・ビューイングの配置を開示している。正反射角からずらした所望の照明を行い、その動く方向を横切るすずのシートのストリップを照明するために、上下のライト・バンク(線光源)が取り付けられている。ストリップに対するテレビジョン・カメラの視界を制限するために、ストリップの向かいにフードが配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】US6449036
【特許文献2】WO9844335A1
【特許文献3】US3176306
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、物質を検出する改良された装置および方法を提供することである。本発明は、添付の特許請求の範囲の独立項に定義されている。実施形態は、添付の特許請求の範囲の従属項に記載されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、物質を検出する装置であって:第1の光ビームを発するように設けられている第1の光源と;第2の光ビームを発するように設けられている第2の光源とからなる該装置が、第1および第2の光ビームが走査要素に向かって集束するように配置されており;該走査要素が、集束する第1および第2の光ビームの方向を検出対象の物質に向けて変えるように設けられており;物質によって反射された光を、走査要素を介して受光するように設けられている検出器をさらに備える装置が提供される。
【0008】
装置は、第1の光源と走査要素の間の光路に配置されている第1の鏡と、第2の光源と走査要素の間の光路に配置されている第2の鏡とをさらに備えてもよく、ここで、第1の鏡は、第1の光ビームの方向を変えるように設けられており、第2の鏡は、第1および第2の光ビームが走査要素に向かって集束するように第2の光ビームの方向を変えるように設けられている。
【0009】
第1の光源と第1の鏡の間の距離は、第2の光源と第2の鏡の間の距離とは異なってもよい。
【0010】
検出器は、第1の光ビームと第2の光ビームの間を移動する反射光を受光するように配置されてもよい。
【0011】
検出器が第1の鏡と第2の鏡の間に配置されるか、または鏡要素が、反射光の方向を変えて検出器に向けるために第1の鏡と第2の鏡の間に配置されてもよい。
【0012】
物質を移送するための移送手段が装置の下に設けられてもよい。
【0013】
移送手段は:コンベヤ・ベルトと;シュートと、自由落下経路とのうちの少なくとも1つを含む。
【0014】
装置は取り付け板をさらに備えてもよく、ここで、少なくとも走査要素が取り付け板に取り付けられており、取り付け板は、移送手段の法線に対して2〜15°、好ましくは約10°の角度(A)で配置される。
【0015】
装置は、第1の光ビームと第2の光ビームが移送手段上の物質上で実質的に重なり合っているように配置されてもよい。
【0016】
装置は、第1の光源と第1の鏡の間に配置されている第1のレンズと、第2の光源と第2の鏡の間に配置されている第2のレンズとをさらに備えてもよく、ここで、第1のレンズおよび第2のレンズのうちの少なくとも1つは、光源とレンズの間の距離を調節するために移動可能である。
【0017】
装置は、少なくとも走査要素を収容し、走査要素の下に窓がある底壁を有するハウジングをさらに備えてもよく、ここで、少なくとも1つの基準要素は前記窓の隣に配置される。
【0018】
前記基準要素は:2つの(実質的に)白色の基準領域および中心の三角鏡を含む白色基準と;黒色または暗色基準領域と;周囲光を集めるためのレンズを有する、底壁のアパーチャとのうちの少なくとも1つを備えてもよい。
【0019】
走査要素は回転多面鏡および傾斜鏡のうちの1つであってもよい。
【0020】
第1および第2の光源は点光源であってもよく、装置は、物質を照明するように設けられている少なくとも1つの線光源をさらに備える。
【0021】
第1および第2の光ビームは、第1および第2の鏡によって方向を変えられる前に平行または実質的に平行であってもよく、第1および第2の光源ならびに第1および第2の鏡は、走査要素の回転平面または傾斜平面に垂直な平面Pに配置されており、第1および第2の鏡の一方は、前記平面Pで第1の光ビームの方向を90°未満変えるように設けられ、第1および第2の鏡の他方は、前記平面Pで第2の光ビームの方向を90°超変えるように設けられており、反射光の方向を変えて検出器に向けるように設けられている検出器または鏡要素は、前記平面P内で第1の鏡と第2の鏡の間に配置される。
【0022】
本発明の別の態様によれば、上記で定義された2つの装置の検出領域が部分的に重なり合うように並べて配置された2つの装置を備えるシステムが提供される。
【0023】
2つの装置の動作は、検出領域の重なった部分が両装置によって同時に照明されないように同期されてもよい。
【0024】
本発明のさらに別の態様によれば、物質を検出する方法が提供され、この方法は:第1の光ビームを発すること;第2の光ビームを発すること;第1の光ビームおよび第2の光ビームを、第1および第2の光ビームが走査要素に向かって集束するように方向づけるまたは方向を変えること;集束する第1および第2の光ビームの方向を走査要素によって検出対象の物質に向けて変えること;ならびに物質によって反射された光を、走査要素を介して受光することを含む。この態様は、上記の態様と同じかまたは類似の特徴および技術的効果、またその逆の場合を示し得る。
【0025】
次に、本発明の現在好ましい実施形態を示す添付の図面を参照しながら、本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態による装置の概略上面図である。
図2図1の装置の側面図である。
図3図1の装置の正面図である。
図4】本発明の別の実施形態による装置の部分斜視図である。
図5】本装置の概略部分上面図である。
図6】本装置の概略部分側面図である。
図7】本発明による白色基準要素の正面図である。
図8】本装置の概略部分正面図である。
図9】本発明の二重構成を示す図である。
図10】本発明のさらに別の実施形態による装置の概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1〜3は、物質12を検出する装置10を示す。
【0028】
装置10は第1の光源14aおよび第2の光源14bを備える。本明細書で使用される「光」は、人間の目に見える電磁放射線に限定されず、他の波長、特に紫外光および赤外光を含み得ることに留意されたい。
【0029】
たとえば図1に見られるように、第1の光源14aは、第1の光ビーム16aを発するように設けられており、一方で、第2の光源14bは、第1の光ビームに平行な第2の光ビーム16bを発するように設けられている。光源14a、bは、同じタイプであってもよく、また同じ種類の光を発することができる。光源14a、bは、たとえば55Wの電球であってもよいが、他の光源もまた使用され得る。さらに、光源14a、bは、たとえば400〜1800nmの発光を行う広帯域光源であってもよい。さらに、光源14a、bは、US3176306の上下のライト・バンクとは対照的に、点光源であってもよい。
【0030】
装置10は、第1の鏡18aおよび第2の鏡18bをさらに備える。第1および第2の鏡18a、bは折り畳み式平面鏡であってもよい。第1の鏡18aは、ある距離をおいて第1の光源14aの正面に配置され、第1の光ビーム16aの方向を変えるように設けられている。第2の鏡18bは、より長い距離をおいて第2の光源14bの正面に配置され、第2の光ビームの方向を変えるように設けられている。具体的には、図1に見られるように、第1の鏡18aは、第1の光ビーム16aの方向をちょうど90°未満変えるように角度が決められており、一方で、第2の鏡18bは、第2の光ビーム16bの方向をちょうど90°超変えるように角度が決められている。
【0031】
装置10は、走査要素またはデバイス、ここでは回転多面鏡20をさらに備える。多面鏡20は複数の反射面22を有する。さらに、多面鏡20は、たとえばモータ(図示せず)によって、その中心軸24の周りを回転するように配置される。多面鏡20は、第1および第2の光ビームを物質12に向けてさらに方向を変えるように設けられている。
【0032】
装置10は、物質12によって反射された光を、回転多面鏡20を介して受光するように設けられている検出器26をさらに備える。検出器26はたとえば分光計であってもよい。検出器26は、第1および第2の光源14a、bならびに鏡18a、bと同じ平面P(x方向およびy方向によって規定される)に配置されてもよく、その平面Pは多面鏡20の回転平面に対して垂直であり、たとえば図2〜3を参照されたい。さらに、検出器26は、x方向から見て鏡18a、bの背後に、またy方向から見て鏡18a、bの間に配置されてもよい。
【0033】
装置10を使用して物質を検出する方法では、第1および第2の平行光ビーム16a、bが、第1および第2の光源14a、bを使用して発生させられる。第1の光ビーム16aは第1の鏡18aによって方向を変えられ、第2の光ビーム16bは第2の鏡18bによって方向を変えられ、それによって、方向を変えられた第1および第2の光ビーム16a、bは回転多面鏡20に向かって集束する。面22のうちの1つに当たった集束する光ビーム16a、bは、移送手段、ここでは検出対象の物質12を載せて移送するコンベヤ30に向けてさらに方向を変えられ、走査される。ビーム16a、bは、面22にぶつかったとき、まだ完全に重なり合ったり集束したりはしないが、鏡18a、bにあったときよりも互いに(y方向に)近づいていることに留意されたい。多面鏡20が回転するため、光ビーム16a、bは、図2に矢印36で示してあるように、コンベヤ30の幅の上で2つの位置32と34の間で、同じ方向にコンベヤ30を繰り返し横断するように移動する。面22のうちの1つを経由したビーム16a、bが物質12に当たったとき、ビーム16a、b(今度は完全に重なり合っている)の光は物質12によって反射される。反射は通常拡散し、参照符号38を付した反射光は同じ面22によって少なくとも部分的に捕捉され、集束している光ビーム16a、bの間を通って検出器26に導かれる。第1の鏡18aと第2の鏡18bがy方向に十分に離れているので、反射光38はそれらの間を通り、検出器26によって受光され得る(図1参照)。
【0034】
したがって、使用中、コンベヤ30上の任意の物質12は2つの光源14a、bからの光によって照明される。光源14a、bのうちの1つが壊れた場合も、装置10は1つの光源のみで依然として動作する。また、光ビーム16a、bが集束しているので、全反射が回避できる。
【0035】
図4の装置10は図1〜3のものに類似しているが、ここでは第1の光源14aと鏡18aの間の距離が、第2の光源14bと鏡18bの間の距離よりも長い。こうして、第1ビーム16aと第2のビーム16bは交差しない。また、鏡要素40が、反射光の方向を変えて検出器26に向けるために第1の鏡18aと第2の鏡18bの間に配置される。こうして、大きな検出器26は光16a、b、38の進路の外にあることになる。
【0036】
図5に見られるように、本装置10は、第1の光源14aと第1の鏡18aの間に配置されている第1のレンズ44aおよび第2の光源14bと第2の鏡18bの間に配置されている第2のレンズ44bをさらに備えてもよい。第1および第2のレンズ44a、bは、双方向矢印によって示してあるように、y方向に移動可能であり、それによって、光源14a、bとそれぞれ対応するレンズ44a、bの間の距離が調節できる。こうして、装置10をセットし、コンベヤ30までの距離に応じて正確に焦点を合わせることができる。第1および第2のレンズ44a、bは、たとえば集束レンズであってもよい。好ましくは、各レンズ44a、bはそれぞれチューブ46a、bの中に配置される。レンズ44a、bが動くための経路を設けるという点以外では、チューブ46a、bは、光源14a、bからの光を平行化するように機能してもよい。
【0037】
さらに図5に(また、図4にも)見られるように、本装置10は、第1および第2の光源14a、bを収容する保全チャンバ(maintenance chamber)48をさらに備えてもよい。保全チャンバ48の内部部分は好ましくは断熱されており、また扉50は熱伝導性であり、熱交換器として機能する。
【0038】
本装置10は少なくとも1つの基準要素をさらに備えてもよく、図4および図6を参照されたい。少なくとも1つの基準要素が、装置のハウジング60の窓58の隣に、またはそれに隣接して、多面鏡20の下に配置される。この目的で、装置10は、第1および第2の光ビーム16a、bが少なくとも1つの基準要素の上を繰り返し掃引するように設けられている。したがって、多面鏡20が回転する際に、検出器26には走査線ごとに少なくとも1つの基準要素が見え、装置10はそれにしたがって調節または較正されてもよい。少なくとも1つの基準要素は、たとえば、光源の経年変化および欠陥のある光源を示すために使用されてもよい。また、暗色基準および白色基準(下記参照)を使用することによって、温度の較正または補償が必要なくなる。
【0039】
少なくとも1つの基準要素は、図7にも示されているように、白色基準要素52を含み得る。白色基準52は、2つの白色基準領域または白色基準面62a、b、および2つの白い領域62a、bの間に配置されている三角鏡64を含み得る。三角鏡64は正三角形でも二等辺三角形でもよく、底辺から延びる2辺が反射性である。動作時、入射光16a、bは白色領域または白色面62a、bによって反射され、三角鏡64によって元の方向に戻されて、検出器26に向かう。
【0040】
さらに、少なくとも1つの基準要素は、黒色または暗色基準領域54を含み得る。この領域54は、たとえば表面を黒色で着色または被覆してもよい。
【0041】
さらに、少なくとも1つの基準要素は、ハウジング60の底壁に、周囲光を集めるためのレンズ68を有するアパーチャ66を含み得る。こうして、装置10は、たとえば周囲光を反射光38から引くことによって、周辺環境がどの程度の明るさまたは暗さであるかに応じて調節または較正され得る。
【0042】
本装置10は、図8に見られるように、接地板または取り付け板42をさらに備えてもよい。少なくとも多面鏡20が取り付け板42に取り付けられ、好ましくは光源14a、bおよび鏡18a、bも取り付けられる。取り付け板42は、コンベヤ・ベルト30および窓58の前面ガラスの法線に対して2〜15°、好ましくは約10°の角度Aで配置される。こうして、物質12/コンベヤ30および窓58の前面ガラスの両方からの全反射(すなわち入射角は0でない)を避けることができる。
【0043】
さらに、図9に見られるように、いくらか重なり合った検出領域70a、bをもつ2つの装置10が互いに隣り合って配置されてもよい。重なった部分には参照符号72を付してある。2つの装置10を並べて使用することによって、より幅の広いコンベヤ30を効率的に検査できる。さらに、2つの装置10の動作は、検出領域70a、bの重なった部分72が両装置10によって同時に照明されないように同期させてもよい。この目的で、多面鏡を回転させるためにサーボ・モータを使用してもよい。
【0044】
図10の装置10は図1〜3のものに類似しているが、ここでは第1および第2の鏡18a、bが省略されている。その代わり、第1および第2の光源14a、bは、第1および第2の光ビーム16a、bが走査要素20に向かって集束するように向けられている。
【0045】
本装置10および方法は、電磁場(電磁シグネチャ(electromagnetic signature))内で反射を生じさせるものであれば基本的に任意の物質12を検出するために使用され得る。分光計を検出器26として使用することによって、ある物質12が存在するということだけでなく、物質12のタイプまたは材料も検出することが可能である。本装置10および方法の用途には、限定はされないが、さまざまな材料分類およびリサイクルの用途が含まれる。
【0046】
本発明は上記の(1つまたは複数の)実施形態には決して限定されないことが当業者には理解されよう。反対に、多くの改変や変形が添付の特許請求の範囲の範囲内で可能である。
【0047】
たとえば、コンベヤ30は、シュートまたは自由落下経路に置き換えられてもよい。
【0048】
さらに、多面鏡は傾斜鏡に置き換えられてもよい。
【0049】
さらに、装置10は、物質を照明するように設けられている少なくとも1つの線光源をさらに備えてもよい。少なくとも1つの線光源は、移送手段上の第1および第2の光源からの走査ビームと同じ領域を照明するように設けられてもよい。さらに、少なくとも1つの線光源は、装置の範囲を広げるために、第1および第2の光源と比較して異なる波長または波長帯の光を発するように設けられてもよい。いくつかの光源は以下を合わせたものであってもよい:UV(紫外)光、NIR(近赤外)光、MIR(中赤外)光、およびVIS(可視)光。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10