【実施例】
【0066】
(実施例1)
ケトンで官能化された大豆油ポリオール
ポリ−ケトン官能性オリゴマーを、温度計、オーバーヘッドスターラーおよび窒素ガス導入口を備えた4ツ口フラスコ中で、以下の構成要素の品目1〜3を混合して調製した。窒素雰囲気(nitrogen blanket)下で撹拌しながら反応混合物の温度を110℃〜114℃に上げ、この温度で1時間保持した。次いで温度を121〜125℃に上げ、この温度で4時間、または酸価が<1.0(mg KOH/g)になるまで保持した。最終物質は、エメラルドグリーン色および70℃で約1,800cpsの粘度、0.98mg KOH/gの酸価を有する透明なものであった。
【数1】
(実施例2)
ケトン/アクリレートで官能化された大豆油ポリオール
【0067】
ポリ(ケトン/アクリレート)官能性オリゴマーを、温度計、オーバーヘッドスターラーおよび乾燥空気導入口を備えた4ツ口フラスコ中で、以下の構成要素の品目1〜5を混合して調製した。窒素雰囲気下で撹拌しながら、反応混合物の温度を110℃〜114℃に上げ、この温度で1時間保持した。次いで温度を121〜125℃に上げ、この温度で少なくとも2時間、または酸価が<1.0(mg KOH/g)になるまで保持した。最終物質は、エメラルドグリーン色および70℃で約1,730cpsの粘度、0.7mg KOH/gの酸価を有する透明なものであった。
【数2】
(実施例3)
ケトンで官能化された大豆油ポリオール
【0068】
ポリ−ケトン官能性オリゴマーを、温度計、オーバーヘッドスターラーおよび窒素ガス導入口を備えた4ツ口フラスコ中で、以下の構成要素の品目1〜3を混合して調製した。窒素雰囲気下で撹拌しながら、反応混合物の温度を110℃〜114℃に上げ、この温度で1時間保持した。次いで温度を121〜125℃に上げ、この温度で2時間、または酸価が<1.0(mg KOH/g)になるまで保持した。最終物質は、淡い琥珀色および70℃で約1,450cpsの粘度、0.8mg KOH/gの酸価を有する透明なものであった。
【数3】
(実施例4)
ポリ−ケトン−メタクリレート官能性大豆油ポリオール:
【0069】
ポリ−ケトン官能性オリゴマーを、温度計、オーバーヘッドスターラーおよび乾燥空気導入口を備えた4ツ口フラスコ中で、以下の構成要素の品目1〜5を混合して調製した。窒素雰囲気下で撹拌しながら、反応混合物の温度を110℃〜114℃に上げ、この温度で1時間保持した。次いで温度を121〜125℃に上げ、この温度で2時間、または酸価が<1.0(mg/g)になるまで保持した。最終物質は、琥珀色および70℃で約1,510cpsの粘度、0.9mg/gの酸価を有する透明なものであった。
【数4】
(実施例5)
ケトン/アクリレートで官能化された大豆油ポリオール
【0070】
ポリ(ケトン/アクリレート)官能性オリゴマーを、温度計、オーバーヘッドスターラーおよび乾燥空気導入口を備えた4ツ口フラスコ中で、以下の構成要素の品目1〜7を混合して調製した。窒素雰囲気下で撹拌しながら、反応混合物の温度を110℃〜114℃に上げ、この温度で1時間保持した。次いで温度を121℃〜125℃に上げ、この温度で2時間、または酸価が<1.0(mg KOH/g)になるまで保持した。最終物質は、琥珀色および70℃で約1,670cpsの粘度、0.9mg KOH/gの酸価を有する透明なものであった。
【数5】
(実施例6)
大豆油ビニルコポリマー分散物
【0071】
プレポリマーを、固体無水マレイン酸がポリオール中に均質化される(溶融する)まで70℃で加熱して、無水マレイン酸を用いて、実施例1(品目1)で調製したポリオールを最初に均質化することによって調製した。この時点で、TEA、MMA、スチレンおよびBHT(品目2〜6)を加え、混合物を70℃で20分間保持する。次いで、混合物を室温に冷却し、さらに45分間にわたって反応を続行させた。これにより、プレポリマーがMMAおよびスチレンの中に希釈されているため、室温(約22℃)で中程度の粘度の暗い琥珀色のプレポリマーが得られた。
【数6】
【0072】
得られたプレポリマー(70.9部)を約22℃で、アンモニア(0.5部、28%水溶液)を含む、約20℃〜22℃の初期温度を有する水に分散させて、不透明または乳白色の外観を有するより大きい粒子サイズの分散物を得た。この時点でアンモニアを徐々に加えると、粒子サイズを大幅に小さくして低い粘度で暗い琥珀色を有する半透明状態となるように調節する助けとなった。次いで、34.2部のスチレンおよび2.0部のジビニルベンゼン(DVB80)を加え、分散物中に均質化させた。得られた分散物を、分散物中に混合された0.2部の1%Fe−EDTAおよび2.4部の3.5%t−ブチル過酸化水素を加え、続いて、20℃の初期温度で3.0部の2.0%エリソルビン酸を徐々に加えることによってフリーラジカル重合させた。これは、20℃〜44℃での発熱によって明らかなように、ビニル官能性モノマーのかなり遅い/のろのろした重合をもたらした。ビニル重合を、少量の追加のt−ブチル過酸化水素およびエリソルビン酸を用いて追いかけ、ポリマーへのビニルモノマーの転換を完了させる助けとなるように熱を施した。続いて、アジピン酸ジヒドラジドを分散物に加えて、ヒドラジドとポリマー上のケトンの縮合によって、自己架橋する潜在性を有するコーティングを得た。その効果は、乾燥コーティングについての著しい硬度の増大ならびに非常に良好な耐損傷性および耐ブラックヒールマーク性(mar and black heel mark resistance)で観察された。最終分散物は、45.7%の固形分レベルで沈殿物が少なく、pH7.2で102cps(25℃で)の粘度、40.5nmの粒子サイズを有していた。
(実施例7)
大豆油ビニルコポリマー分散物
【0073】
プレポリマーを、固体無水マレイン酸がポリオール中に均質化される(溶融する)まで70℃で加熱して、無水マレイン酸を用いて、実施例2(品目1)で調製したポリオールを最初に均質化することによって調製した。この時点で、TEAおよびMMA(品目2および3)を加え、混合物を70℃で20分間保持する。次いで、混合物を室温に冷却し、さらに45分間にわたって反応を続行させた。これにより、プレポリマーがMMAに希釈されているため、室温(約22℃)で比較的低い粘度の暗い琥珀色を有するプレポリマーが得られた。
【数7】
【0074】
得られたプレポリマー(89部)を約22℃で、アンモニア(0.5部、28%水溶液)を含む、約20℃〜22℃の初期温度を有する水に分散させて、低い粘度で暗い琥珀色の透明な外観を有する小粒子サイズの分散物を得た。得られた分散物に、42.8部のスチレンを加え、分散物中に均質化させた。得られた分散物を、分散物中に混合された0.2部の1%Fe−EDTAおよび2.0部の3.5%t−ブチル過酸化水素を加え、続いて、20℃の初期温度で2.6部の2.0%エリソルビン酸を徐々に加えることによってフリーラジカル重合させた。これは、20℃〜34℃での発熱によって明らかなように、ビニル官能性モノマーのかなり遅い/のろのろした重合をもたらし、その時点で、増大した粘度により、20部の水の添加が必要となった。ビニル重合を、少量の追加のt−ブチル過酸化水素およびエリソルビン酸を用いて追いかけ、ポリマーへのビニルモノマーの転換を完了させる助けとなるように熱を施した。続いて、4.5部のアジピン酸ジヒドラジドを分散物に加えて、ヒドラジドとポリマー上のケトンの縮合によって、自己架橋する潜在性を有するポリマーを得た。その効果は、乾燥コーティングについての著しい硬度の増大ならびに非常に良好な耐損傷性および耐ブラックヒールマーク性で観察された。最終分散物は42.0%の固形分レベルで沈殿物が少なく、pH7.6で69cps(25℃で)の粘度、40.7nmの粒子サイズを有していた。
(実施例8)
大豆油ビニルコポリマー分散物
【0075】
プレポリマーを、固体無水マレイン酸がポリオール中に均質化される(溶融する)まで70℃で加熱して、無水マレイン酸を用いて、実施例2(品目1)で調製したポリオールを最初に均質化することによって調製した。この時点で、TEAおよびMMA(品目2および3)を加え、混合物を70℃で20分間保持する。次いで、混合物を室温に冷却し、さらに45分間にわたって反応を続行させた。これにより、プレポリマーがMMAに希釈されているため、室温(約22℃)で中程度の粘度の暗い琥珀色のプレポリマーが得られた。
【数8】
【0076】
得られたプレポリマー(85部)を約22℃で、アンモニア(0.5部、28%水溶液)を含む、約20℃〜22℃の初期温度を有する水に分散させて、不透明または乳白色の外観を有するより大きい粒子サイズの分散物を得た。このとき、アンモニアを徐々に加えると、粒子サイズを大幅に小さくして低い粘度で暗い琥珀色を有する半透明状態となるように調節する助けとなった。次いで、40.9部のスチレンおよび3.0部のジビニルベンゼン(DVB80)を加え、分散物中に均質化させた。得られた分散物に、分散物中に混合された0.2部の1%Fe−EDTAおよび2.4部の3.5%t−ブチル過酸化水素を加え、続いて、20℃の初期温度で3.0部の2.0%エリソルビン酸を徐々に加えることによってフリーラジカル重合させた。これは、20℃〜39℃で観察される発熱を伴った、ビニル官能性モノマーのかなり遅い重合をもたらした。その時点で、増大した粘度により、30部の水の添加が必要となった。ビニル重合が進行するにしたがって、分散物の透明度の増大で観察されるように、その粒子サイズは小さくなった。ビニル重合を、少量の追加のt−ブチル過酸化水素およびエリソルビン酸を用いて追いかけ、ポリマーへのビニルモノマーの転換を完了させる助けとなるように熱を施した。続いて、5.8部のアジピン酸ジヒドラジドを分散物に加えて、ヒドラジドとポリマー上のケトンの縮合によって、自己架橋する潜在性を有するポリマーを得た。その効果は、乾燥コーティングについての著しい硬度の増大ならびに非常に良好な耐損傷性および耐ブラックヒールマーク性で観察された。最終分散物は、38.0%の固形分レベルで沈殿物が少なく、pH8.9で133cps(25℃で)の粘度、43.0nmの粒子サイズを有していた。
(実施例9)
大豆油ビニルコポリマー分散物
【0077】
プレポリマーを、固体無水マレイン酸がポリオール中に均質化される(溶融する)まで70℃で加熱して、無水マレイン酸を用いて、実施例2(品目1)で調製したポリオールを最初に均質化することによって調製した。この時点で、TEAおよびMMA(品目2および3)を加え、混合物を70℃で20分間保持する。次いで、混合物を室温に冷却し、さらに45分間にわたって反応を続行させた。これにより、プレポリマーがMMAに希釈されているため、室温(約22℃)で中程度の粘度の暗い琥珀色のプレポリマーが得られた。
【数9】
【0078】
得られたプレポリマー(85部)を約21℃で、アンモニア(0.5部、28%水溶液)を含む、約20℃の初期温度を有する水に分散させて、不透明または乳白色の外観を有するより大きい粒子サイズの分散物を得た。このとき、アンモニアを徐々に加えると、粒子サイズを大幅に小さくして低い粘度で暗い琥珀色を有する半透明状態となるように調節する助けとなった。次いで、40.9部のスチレン、3.0部のジビニルベンゼン(DVB80)および1.2部のジアセトンアクリルアミド(20%水溶液として)を加え、分散物中に均質化させた。得られた分散物に、分散物中に混合された0.2部の1%Fe−EDTAおよび2.4部の3.5%t−ブチル過酸化水素を加え、続いて、20℃の初期温度で3.0部の2.0%エリソルビン酸を徐々に加えることによってフリーラジカル重合させた。これは、20℃〜41℃で観察される発熱を伴った、ビニル官能性モノマーのかなり遅い重合をもたらした。
【0079】
ビニル重合が進行するにしたがって、観察される分散物の透明度の増大によって確認されるように、その粒子サイズは小さくなった。ビニル重合を、少量の追加のt−ブチル過酸化水素およびエリソルビン酸を用いて追いかけ、ポリマーへのビニルモノマーの転換を完了させる助けとなるように熱を施した。続いて、6.4部のアジピン酸ジヒドラジドを分散物に加えて、ヒドラジドとポリマー上のケトンの縮合によって、自己架橋する潜在性を有するポリマーを得た。その効果は、乾燥コーティングについての著しい硬度の増大ならびに非常に良好な耐損傷性および耐ブラックヒールマーク性で観察された。最終分散物は、42.5%の固形分レベルで沈殿物が少なく、pH7.3で88cps(25℃で)の粘度、39.8nmの粒子サイズを有していた。
(実施例10)
大豆油ビニルコポリマー分散物
【0080】
プレポリマーを、固体無水マレイン酸がポリオール中に均質化される(溶融する)まで70℃で加熱して、無水マレイン酸を用いて、実施例2(品目1)で調製したポリオールを最初に均質化することによって調製した。この時点で、TEAおよびMMA(品目2および3)を加え、混合物を70℃で20分間保持する。次いで、混合物を室温に冷却し、さらに45分間にわたって反応を続行させた。これにより、プレポリマーがMMAに希釈されているため、室温(約22℃)で中程度の粘度の暗い琥珀色のプレポリマーが得られた。
【数10】
【0081】
得られたプレポリマー(85部)を約21℃で、アンモニア(3部、28%水溶液)を含む、約20℃の初期温度を有する水に分散させて、不透明または乳白色の外観を有するより大きい粒子サイズの分散物を得た。このとき、アンモニアを徐々に加えると、粒子サイズを大幅に小さくして低い粘度で暗い琥珀色を有する半透明状態となるように調節する助けとなった。次いで、42.4部のスチレンおよび3.4部のジビニルベンゼン(DVB80)を加え、分散物中に均質化させた。得られた分散物に、分散物中に混合された0.2部の1%Fe−EDTAおよび2.4部の3.5%t−ブチル過酸化水素を加え、続いて、20℃の初期温度で3.0部の2.0%エリソルビン酸を徐々に加えることによってフリーラジカル重合させた。これは、20℃〜34℃での発熱によって明らかなように、ビニル官能性モノマーのかなり遅い開始および重合をもたらし、その時点で、増大した粘度により、40部の水の添加が必要となった。ビニル重合を、少量の追加のt−ブチル過酸化水素およびエリソルビン酸を用いて追いかけ、ポリマーへのビニルモノマーの転換を完了させる助けとなるように熱を施した。続いて、アジピン酸ジヒドラジドを分散物に加えて、ヒドラジドとポリマー上のケトンの縮合によって、自己架橋する潜在性を有するポリマーを得た。その効果は、乾燥コーティングについての著しい硬度の増大ならびに非常に良好な耐損傷性および耐ブラックヒールマーク性で観察された。最終分散物は小粒子サイズから中程度の粒子サイズであり、39.6%の固形分レベルで沈殿物が少なく、pH7.5で73cps(25℃で)の粘度、52.1nmの粒子サイズを有していた。
(実施例11)
大豆油ビニルコポリマー分散物
【0082】
プレポリマーを、固体無水マレイン酸がポリオール中に均質化される(溶融する)まで70℃で加熱して、無水マレイン酸を用いて、実施例2(品目1)で調製したポリオールを最初に均質化することによって調製した。この時点で、TEAおよびMMA(品目2および3)を加え、混合物を70℃で20分間保持する。次いで、混合物を室温に冷却し、さらに45分間にわたって反応を続行させた。これにより、プレポリマーがMMAに希釈されているため、室温(約22℃)で中程度の粘度の暗い琥珀色のプレポリマーが得られた。
【数11】
【0083】
得られたプレポリマー(85部)を約21℃で、アンモニア(3部、28%水溶液)を含む、約20℃の初期温度を有する水に分散させて、不透明または乳白色の外観を有するより大きい粒子サイズの分散物を得た。このとき、アンモニアを徐々に加えると、粒子サイズを大幅に小さくして低い粘度で暗い琥珀色を有する半透明状態となるように調節する助けとなった。次いで、21.9部のスチレンおよび2.6部のジビニルベンゼン(DVB80)を加え、続いて42.5部の水を加えた。次いでこれらの構成要素を約45分間均質化した。得られた分散物を、分散物中に混合された0.2部の1%Fe−EDTAおよび4.2部の3.5%t−ブチル過酸化水素を加え、続いて、20℃の初期温度で5.3部の2.0%エリソルビン酸を徐々に加えることによってフリーラジカル重合させた。これは、19℃〜23℃での発熱によって明らかなように、加えられた全エリソルビン酸の約30%で、ビニル官能性モノマーのかなり遅い開始および重合をもたらした。分散物に熱を施して39℃の温度にし、残りのエリソルビン酸を約30分間かけて徐々に加えた。ビニル重合を、少量の追加のt−ブチル過酸化水素およびエリソルビン酸を用いて追いかけ、ポリマーへのビニルモノマーの転換を完了させる助けとなるように熱を施した。続いて、アジピン酸ジヒドラジドを分散物に加えて、ヒドラジドとポリマー上のケトンの縮合によって、自己架橋する潜在性を有するポリマーを得た。その効果は、乾燥コーティングについての著しい硬度の増大ならびに非常に良好な耐損傷性および耐ブラックヒールマーク性で観察された。最終分散物は小粒子サイズから中程度の粒子サイズであり、34.6%の固形分レベルで沈殿物が少なく、pH8.1で33cps(25℃で)の粘度、44.7nmの粒子サイズを有していた。
(実施例12)
大豆油ビニルコポリマー分散物
【0084】
プレポリマーを、固体無水マレイン酸がポリオール中に均質化される(溶融する)まで70℃で加熱して、無水マレイン酸を用いて、実施例3(品目1)で調製したポリオールを最初に均質化することによって調製した。この時点で、TEAおよびMMA(品目2および3)を加え、混合物を70℃で180分間保持する。次いで、混合物を、水に分散させるために約50℃に冷却した。この時点で、FTIRスペクトルにおいて1779および1849cm
−1でなんら有意なピークを示さないことから明らかなように、全部ではないが、無水物の大部分は消費されていた。しかし、いくらかの無水物ピークが、エステル基についてのものなどの他の吸収ピークの下に埋もれている可能性がある。これは、約50℃の分散物温度で低い粘度の暗い琥珀色を有するプレポリマーをもたらした。
【数12】
【0085】
得られたプレポリマー(その91部)を約50℃で、0.7部の水酸化カリウムおよびアンモニア(0.9部、28%水溶液)を含む約20℃の初期温度を有する150部の水に分散させて、半透明な外観を有する小粒子サイズの分散物を得た。次いで、38.7部のスチレン、2.8部のブチルアクリレートおよび2.8部のヘキサンジオールジアクリレートを加え、分散物中に均質化させた。得られた分散物を、分散物中に混合された0.03部の1%Fe−EDTAおよび3.5部の3.5%t−ブチル過酸化水素を加え、続いて、20℃の初期温度で5.0部の2.0%エリソルビン酸を徐々に加えることによってフリーラジカル重合させた。これは、21℃〜49℃で観察される発熱を伴った、ビニル官能性モノマーの開始および重合をもたらした。ビニル重合を、少量の追加のt−ブチル過酸化水素およびエリソルビン酸を用いて追いかけ、ポリマーへのビニルモノマーの転換を完了させる助けとなるように熱を施した。続いて、5.0部のアジピン酸ジヒドラジドを分散物に加えて、ヒドラジドとポリマー上のケトンの縮合によって、自己架橋する潜在性を有するポリマーを得た。その効果は、乾燥コーティングについての著しい硬度の増大ならびに非常に良好な耐損傷性および耐ブラックヒールマーク性で観察された。最終分散物は、43.1%の固形分レベルで沈殿物が少なく、pH7.1で185cps(25℃で)の粘度、46.8nmの粒子サイズを有していた。
(実施例13)
大豆油ビニルコポリマー分散物
【0086】
プレポリマーを、固体無水マレイン酸がポリオール中に均質化される(溶融する)まで70℃で加熱して、無水マレイン酸を用いて、実施例4(品目1)で調製したポリオールを最初に均質化することによって調製した。この時点で、TEAおよびMMA(品目2および3)を加え、混合物を70℃で90分間保持する。次いで、混合物を、水に分散させるために約50℃に冷却した。この時点で、FTIRスペクトルにおいて1779および1849cm
−1でなんら有意なピークを示さないことから明らかなように、全部ではないが、無水物の大部分は消費されていた。しかし、いくらかの無水物ピークが、エステル基に関連するものなどの他の吸収ピークの下に埋もれている可能性がある。これは、約50℃の分散物温度で低い粘度の暗い琥珀色を有するプレポリマーをもたらした。
【数13】
【0087】
得られたプレポリマー(その93.8部)を約50℃で、0.7部の水酸化カリウムおよびアンモニア(0.5部、28%水溶液)を含む約20℃の初期温度を有する150部の水に分散させて、半透明な外観を有する小粒子サイズの分散物を得た。次いで、39.6部のスチレン、2.8部のブチルアクリレートおよび2.0部のジビニルベンゼン(DVB80)を加え、分散物中に均質化させた。これは、不透明な外観を有する分散物によって明らかなように、粒子サイズの大幅な増大をもたらした。得られた分散物を、分散物中に混合された0.03部の1%Fe−EDTAおよび3.5部の3.5%t−ブチル過酸化水素を加え、続いて、20℃の初期温度で5.0部の2.0%エリソルビン酸を徐々に加えることによってフリーラジカル重合させた。これは、20℃〜36℃で観察される発熱を伴った、ビニル官能性モノマーの開始および重合をもたらした。ビニル重合が進行するにしたがって、粒子サイズは低下し、粘度が上昇することが分かった。ビニル重合を、少量の追加のt−ブチル過酸化水素およびエリソルビン酸を用いて追いかけ、ポリマーへのビニルモノマーの転換を完了させる助けとなるように熱を施した。続いて、5.1部のアジピン酸ジヒドラジドを分散物に加えて、ヒドラジドとポリマー上のケトンの縮合によって、自己架橋する潜在性を有するポリマーを得た。その効果は、乾燥コーティングについての著しい硬度の増大ならびに非常に良好な耐損傷性および耐ブラックヒールマーク性で観察された。最終分散物は、46.3%の固形分レベルで沈殿物が少なく、pH6.9で260cps(25℃で)の粘度、63.3nmの粒子サイズを有していた。
(実施例14)
大豆油ビニルコポリマー分散物
【0088】
実施例5(品目1)で調製したポリオールからのプレポリマーを、反応器中で、以下の表の品目1〜5を一緒に混合し、70℃〜72℃で300分間加熱することによって無水フタル酸と反応させた。この時点で、プレポリマーは均一であるように見え、FTIRスペクトルにおいて1779および1849cm
−1でなんら有意な無水物ピークを示さないことから明らかなように、無水物のすべてが反応したようである。しかし、いくらかの無水物ピークが、エステル基に関連するものなどの他の吸収ピークの下に埋もれている可能性がある。いずれにしろ、これは、約50℃の分散物温度で比較的低い粘度の暗い琥珀色を有するプレポリマーをもたらした。
【数14】
【0089】
得られたプレポリマー(その93.8部)を約50℃で、0.5部の水酸化ナトリウムおよび0.66部のDextrol OC−40(TEAで中和した)を含む約20℃の初期温度を有する150部の水に分散させて、少量のアンモニア(約28%水溶液)を添加してpHを6.9超に上げた後、中程度の粒子サイズの分散物を得た。次いで、42.8部のスチレン、2.8部のブチルアクリレートおよび2.8部のジビニルベンゼン(DVB80)を加え、分散物中に均質化させた。これは、不透明な外観を有する分散物によって明らかなように、粒子サイズの大幅な増大をもたらした。得られた分散物を、分散物中に混合された0.1部の1%Fe−EDTAおよび3.0部の3.5%t−ブチル過酸化水素を加え、続いて、35℃の初期温度で4.0部の2.0%エリソルビン酸を徐々に加えることによってフリーラジカル重合させた。これは、35℃〜41℃で観察される発熱を伴った、ビニル官能性モノマーの開始および遅い重合をもたらした。ビニル成分の重合によって分散物は増粘した。19.1部の水を加えて粘度を調節した。ビニル重合を、少量の追加のt−ブチル過酸化水素およびエリソルビン酸を用いて追いかけ、ポリマーへのビニルモノマーの転換を完了させる助けとなるように熱を施した。追加的な30.5gの水を加えて粘度を低下させた。続いて、3.4部のアジピン酸ジヒドラジドを分散物に加えて、ヒドラジドとポリマー上のケトンの縮合によって、自己架橋する潜在性を有するポリマーを得た。最終分散物は、42.5%の固形分レベルで沈殿物が少なく、pH7.5で440cps(25℃で)の粘度、207.5nmの粒子サイズを有していた。
(実施例15)
ケトン/アクリレートで官能化された大豆油ポリオール
【0090】
ポリ(ケトン/アクリレート)官能性オリゴマーを、温度計、オーバーヘッドスターラーおよび乾燥空気導入口を備えた4ツ口フラスコ中で、以下の構成要素の品目1〜5を混合して調製した。窒素雰囲気下で撹拌しながら、反応混合物の温度を110℃〜114℃に上げ、この温度で1時間保持した。次いで温度を121℃〜125℃に上げ、この温度で2時間、または酸価が<1.0(mg KOH/g)になるまで保持した。最終物質は、琥珀色および70℃で約1,540cpsの粘度、0.7mg KOH/gの酸価を有する透明なものであった。
【数15】
(実施例16)
大豆油ビニルコポリマー分散物
【0091】
プレポリマーを、少なくとも固体無水コハク酸がポリオール中に均質化される(溶融する)まで120℃で加熱して、無水コハク酸を用いて、実施例15(品目1)で調製した大豆油ポリオールを最初に均質化することによって調製した。混合物を120℃で2時間保持し、その時点でこの物質のFTIRをチェックし、1779および1849cm
−1での有意なピークによって明らかなように、高い含量の無水物を含んでいることが分かった。したがって、希釈剤としてのMMAおよび触媒としてのTEA(続いて酸中和剤/イオン化剤(ionizer))を加えてヒドロキシルとの効果的な無水物反応を可能にするために、無水コハク酸が120℃〜より低温(<90℃)で均質化したら直ちに反応混合物を冷却することが望ましいと考えられた。それに応じて反応混合物を82℃〜84℃に冷却し、この時点で、MMAおよびTEA(品目2および3)を加え、混合物を82℃〜84℃で30分間保持した。FTIRスペクトルにおいて1779および1849cm
−1でなんら有意なピークを示さないことから明らかなように、全部ではないが、無水物の大部分はこの時点で消費されていた。しかし、いくらかの無水物ピークが、エステル基に関連するものなどの他の吸収ピークの下に埋もれている可能性がある。続いて、混合物を、水に分散させるために約50℃に冷却した。これは、より淡い琥珀色および約50℃の分散物温度で低い粘度を有するプレポリマーをもたらした。
【数16】
【0092】
得られたプレポリマー(その89.6部)を約50℃で、1.5gの30%ラウリル硫酸ナトリウムを含む約20℃の初期温度を有する150部の水に分散させて、最初に大きい粒子サイズの分散物を得た。アンモニア(約28%水溶液)を添加すると粒子サイズは著しく小さくなって、最終的にはpH約7.6で小粒子サイズがもたらされた。得られた分散物に、19部のスチレン、2.8部のブチルアクリレートおよび1.3部のジビニルベンゼン(DVB80)を加え、少なくとも30分間分散物中に均質化させた。これは、不透明な外観を有する分散物によって明らかなように、粒子サイズの大幅な増大をもたらした。得られた分散物に、分散物中に混合された0.2部の1%Fe−EDTAおよび2.0部の3.5%t−ブチル過酸化水素を加え、続いて、19℃の初期温度で2.8部の2.0%エリソルビン酸を徐々に加えることによってフリーラジカル重合させた。これは、19℃〜30℃で観察される発熱を伴った、ビニル官能性モノマーの開始および遅い重合をもたらした。ビニル成分の重合によって、粒子サイズが低下し、半透明分散物となるのが観察された。ビニル重合を、少量の追加のt−ブチル過酸化水素およびエリソルビン酸を用いて追いかけた。続いて、2.9部のアジピン酸ジヒドラジドを分散物に加えて、ヒドラジドとポリマー上のケトンの縮合によって、自己架橋する潜在性を有するポリマーを得た。最終分散物は、39.6%の固形分レベルで沈殿物が少なく、pH7.7で55cps(25℃で)の粘度、68.0nmの粒子サイズを有していた。
(実施例17)
大豆油ビニルコポリマー分散物
【0093】
プレポリマーを、固体無水マレイン酸がポリオール中に均質化される(溶融する)まで70℃で加熱して、無水マレイン酸を用いて、実施例3(品目1)で調製したポリオールを最初に均質化することによって調製した。この時点で、TEAおよびMMA(品目2および3)を加え、混合物を70℃で180分間保持した。次いで、混合物を、水に分散させるために約50℃に冷却した。この時点で、FTIRスペクトルにおいて1779および1849cm
−1でなんら有意なピークを示さないことから明らかなように、全部ではないが、無水物の大部分は消費されていた。しかし、いくらかの無水物ピークが、エステル基についてのものなどの他の吸収ピークの下に埋もれている可能性がある。いずれにしろ、これは、約50℃の分散物温度で低い粘度の暗い琥珀色を有するプレポリマーをもたらした。
【数17】
【0094】
次いで、93.5部の得られたプレポリマーを約50℃で、0.7部の水酸化カリウムおよびアンモニア(0.9部、28%水溶液)を含む約20℃の初期温度を有する150部の水に分散させて、半透明な外観を有する小粒子サイズの分散物を得た。次いで、39.5部のスチレン、2.8部のブチルアクリレートおよび1.8部のジビニルベンゼンを加え、分散物中に均質化させた。次いで、得られた分散物を、分散物中に混合された0.03部の1%Fe−EDTAおよび3.5部の3.5%t−ブチル過酸化水素を加え、続いて、20℃の初期温度で5.0部の2.0%エリソルビン酸を徐々に加えることによってフリーラジカル重合させた。これは、21℃〜49℃で観察される発熱を伴った、ビニル官能性モノマーの開始および重合をもたらした。ビニル重合を、少量の追加のt−ブチル過酸化水素およびエリソルビン酸を用いて追いかけ、ポリマーへのビニルモノマーの転換を完了させる助けとなるように熱を施した。続いて、5.0部のアジピン酸ジヒドラジドを分散物に加えて、ヒドラジドとポリマー上のケトンの縮合によって、自己架橋する潜在性を有するポリマーを得た。その効果は、乾燥コーティングについての著しい硬度の増大ならびに非常に良好な耐損傷性および耐ブラックヒールマーク性で観察された。最終分散物は、43.5%の固形分レベルで沈殿物が少なく、pH7.2で53cps(25℃で)の粘度、52.6nmの粒子サイズを有していた。
(実施例18)
大豆油ビニルコポリマー分散物
【0095】
プレポリマーを、固体無水マレイン酸がポリオール中に均質化される(溶融する)まで70℃で加熱して、無水マレイン酸を用いて、実施例3(品目1)で調製したポリオールを最初に均質化することによって調製した。この時点で、TEAおよびMMA(品目2および3)を加え、混合物を70℃で180分間保持した。次いで、混合物を、水に分散させるために約50℃に冷却した。この時点で、FTIRスペクトルにおいて1779および1849cm
−1でなんら有意なピークを示さないことから明らかなように、全部ではないが、無水物の大部分は消費されていた。しかし、いくらかの無水物ピークが、エステル基についてのものなどの他の吸収ピークの下に埋もれている可能性がある。これは、約50℃の分散物温度で低い粘度の暗い琥珀色を有するプレポリマーをもたらした。
【数18】
【0096】
次いで、93.2部の得られたプレポリマーを約50℃で、0.7部の水酸化カリウムおよびアンモニア(0.9部、28%水溶液)を含む約20℃の初期温度を有する150部の水に分散させて、半透明な外観を有する小粒子サイズの分散物を得た。次いで、32.5部のスチレン、2.9部のブチルアクリレート、8.0部のアクリロニトリルおよび2.1部のジビニルベンゼンを加え、分散物中に均質化させた。得られた分散物を、分散物中に混合された0.03部の1%Fe−EDTAおよび3.5部の3.5%t−ブチル過酸化水素を加え、続いて、20℃の初期温度で5.0部の2.0%エリソルビン酸を徐々に加えることによってフリーラジカル重合させた。これは、21℃〜49℃で観察される発熱を伴った、ビニル官能性モノマーの開始および重合をもたらした。ビニル重合を、少量の追加のt−ブチル過酸化水素およびエリソルビン酸を用いて追いかけ、ポリマーへのビニルモノマーの転換を完了させる助けとなるように熱を施した。続いて、5.1部のアジピン酸ジヒドラジドを分散物に加えて、ヒドラジドとポリマー上のケトンの縮合によって、自己架橋する潜在性を有するポリマーを得た。その効果は、乾燥コーティングについての著しい硬度の増大ならびに非常に良好な耐損傷性および耐ブラックヒールマーク性で観察された。最終分散物は、44.7%の固形分レベルで沈殿物が少なく、pH6.8で95cps(25℃で)の粘度、58.5nmの粒子サイズを有していた。
(実施例19)
大豆油ビニルコポリマー分散物
【0097】
プレポリマーを、固体無水マレイン酸がポリオール中に均質化される(溶融する)まで70℃で加熱して、無水マレイン酸を用いて、実施例3(品目1)で調製したポリオールを最初に均質化することによって調製した。この時点で、TEAおよびMMA(品目2および3)を加え、混合物を70℃で180分間保持する。次いで、混合物を、水に分散させるために約50℃に冷却した。この時点で、FTIRスペクトルにおいて1779および1849cm
−1でなんら有意なピークを示さないことから明らかなように、全部ではないが、無水物の大部分は消費されていた。しかし、いくらかの無水物ピークが、エステル基についてのものなどの他の吸収ピークの下に埋もれている可能性がある。これは、約50℃の分散物温度で低い粘度の暗い琥珀色を有するプレポリマーをもたらした。
【数19】
【0098】
次いで、93.5部の得られたプレポリマーを約50℃で、0.7部の水酸化カリウムおよびアンモニア(0.9部、28%水溶液)を含む約20℃の初期温度を有する150部の水に分散させて、半透明な外観を有する小粒子サイズの分散物を得た。次いで、35.4部のスチレン、2.8部のブチルアクリレートおよび6.3部のジビニルベンゼンを加え、分散物中に均質化させた。得られた分散物に、分散物中に混合された0.03部の1%Fe−EDTAおよび3.5部の3.5%t−ブチル過酸化水素を加え、続いて、20℃の初期温度で5.0部の2.0%エリソルビン酸を徐々に加えることによってフリーラジカル重合させた。これは、21℃〜49℃で観察される発熱を伴った、ビニル官能性モノマーの開始および重合をもたらした。ビニル重合を、少量の追加のt−ブチル過酸化水素およびエリソルビン酸を用いて追いかけ、ポリマーへのビニルモノマーの転換を完了させる助けとなるように熱を施した。続いて、5.1部のアジピン酸ジヒドラジドを分散物に加えて、ヒドラジドとポリマー上のケトンの縮合によって、自己架橋する潜在性を有するポリマーを得た。その効果は、乾燥コーティングについての著しい硬度の増大ならびに非常に良好な耐損傷性および耐ブラックヒールマーク性で観察された。最終分散物は、40.6%の固形分レベルで沈殿物が少なく、pH7.0で81cps(25℃で)の粘度、67.5nmの粒子サイズを有していた。
【0099】
コーティング配合物
上記分散物のコーティングを、抵抗特性の試験のための木材上およびKonig硬度試験のための鋼製パネル上に作製した。共溶媒または合体剤を全く加えることなく、すべてのコーティングをそのまま使用し、色の変化(color development)の非常に少ない高品質の光沢のあるコーティングを形成させた。試験する前に、すべてのコーティングを室温で1週間硬化させた。コーティングの硬度を、Koenig硬度(振り子式硬度)試験装置の振幅で表す。水および1%Spic and Span(登録商標)スポット試験を、コーティングにその薬品を4時間施し、薬品を除去し、評価前に1時間回復させることによって実施した。5%アンモニアおよび70%IPAスポット試験を、コーティングにその薬品を1時間施し、薬品を除去し、評価前に1時間回復させることによって実施した。次いで曝露領域を、その外観について;0=コーティングの除去、10=コーティングに対する影響なしの0〜10までのスケールでランク付けした。それに応じて、一般に、抵抗特性を改善するために、適切な共溶媒を追加することができる。
【0100】
試験結果を表1に示す。コーティングは、添加合体剤(すなわち、有機溶媒)を加えることなしで、並外れて良好な硬度、耐アルコール性および耐ブラックヒールマーク性(または耐損傷性)を示している。コーティングにおける合体剤としての有機溶媒の使用はVOC(揮発性有機成分)放出を助長する。多くのVOC’sはヒトの健康にとって危険である、または、スモッグの発生を助長するなどのように、環境に悪影響を及ぼす。スポット試験で得られたどの低いスコアの場合も、これはある程度、試験後に残る木材基材の観察された黒ずみに起因するものであった。しかし、5%アンモニアを除いて、この変色は、その後数時間以内に消失した。本発明のコーティングの慣用的な配合物は、コーティング特性のさらなる改善をもたらすはずであると予想される。一般的な水媒介性のアクリル、あるいはさらにポリウレタンは、相当な量の合体溶媒で配合することなしでは、本発明の実施例によって示された硬度特性と抵抗特性の両方を獲得することはできないはずである。
【表1】
【0101】
最後に、本発明のコーティングは、相当量の再生可能な原材料を用いても有用な特性を提供し、改善された持続可能性を提供する。低いVOCと合わせた多量の再生可能内容物は、環境やヒトの健康に対する影響が少ないことと相まって「グリーン」製品に大きく寄与する。さらに、特に得られるその性能に比べて、全般的な原材料コストおよび加工要件は極めて低く、したがって、高い性能/コスト比が得られる。
【0102】
残留ヒドロキシル基が通常プレポリマーおよびその下流製品上に存在するが、残留ヒドロキシル基が望ましくない場合、モノイソシアネート(例えば、フェニルイソシアネート)とのウレタン形成反応またはカルボン酸含有種もしくはその無水物(例えば、無水酢酸)とのエステル形成反応によって、残留ヒドロキシル基の数を最少化するかまたはそれを排除することができることが予想される。
(実施例20)
大豆油−ビニルコポリマー分散物
【0103】
プレポリマーを、固体無水マレイン酸が均質化される(溶融する)まで60〜70℃で加熱して、無水マレイン酸およびMMA(品目1〜3)を用いて、実施例4(品目1)で述べたようなポリオールを最初に均質化することによって調製した。次いでTEA(品目4)を加え、混合物を70℃で90分間保持した。この時点で、FTIRスペクトルにおいて1779および1849cm
−1でなんら有意なピークを示さないことから明らかなように、全部ではないが、無水物の大部分は消費されていた。しかし、いくらかの無水物ピークが、エステル基についてのものなどの他の吸収ピークの下に埋もれている可能性がある。次いで、混合物を25〜30℃に冷却し、品目5を加え、プレポリマー中に均質化した。これは、約25℃のプレポリマー分散物で中程度の粘度の暗い琥珀色を有するプレポリマーをもたらした。
【数20】
得られたプレポリマー(その92.8部)を約25℃で、約20℃の初期温度を有する150部の水に分散させて、半透明な外観を有する小粒子サイズの分散物を得た。得られた分散物に、18.7部のスチレン、11.2部のメチルメタクリレートおよび2.3部のジビニルベンゼン(DVB80)を加え、分散物中に均質化させた。これは、不透明な外観を有する分散物によって明らかなように、粒子サイズの増大をもたらした。得られた分散物を、分散物中に混合された0.03部の1%Fe−EDTAおよび4.0部の3.5%t−ブチル過酸化水素を加え、続いて、20℃の初期温度で5.0部の2.0%エリソルビン酸を徐々に加えることによってフリーラジカル重合させた。これは、20℃〜46℃で観察される発熱を伴った、ビニル官能性モノマーの開始および重合をもたらした。ビニル重合が進行するにしたがって、粒子サイズは低下し、粘度が上昇することが分かった。ビニル重合を、少量の追加のt−ブチル過酸化水素およびエリソルビン酸を用いて追いかけ、ポリマーへのビニルモノマーの転換を完了させる助けとなるように熱を施した。続いて、3.9部のアジピン酸ジヒドラジドを分散物に加えて、ヒドラジドとポリマー上のケトンの縮合によって、自己架橋する潜在性を有するポリマーを得た。その効果は、乾燥コーティングについての著しい硬度の増大ならびに非常に良好な耐損傷性および耐ブラックヒールマーク性で観察された。最終分散物は、40.3%の固形分レベルで沈殿物が少なく、pH7.7で160cps(25℃で)の粘度、47.3nmの粒子サイズを有していた。
(実施例21)
大豆油−ビニルコポリマー分散物
【0104】
プレポリマーおよび最終分散物を、ビニル重合が完了した後、固体に対して2%の亜硫酸水素ナトリウムを、アンモニアでpH>7.0に中和された25%水溶液として徐々に加えたこと以外は、実施例20で説明したのと同様の仕方で調製した。最終分散物は、38.7%の固形分レベルで沈殿物が少なく、pH8.5で78cps(25℃で)の粘度、44.9nmの粒子サイズを有していた。長期および熱時の貯蔵安定性において、この分散物と実施例20で得られたものとの間に著しい違いがある。本実施例が60℃で1週間および52℃で1ヵ月の貯蔵に合格したのに対して、実施例20は合格せず、60℃で1日足らずで完全なゲル化を示した。
(実施例22)
大豆油−ビニルコポリマー分散物
【0105】
プレポリマーを、固体無水マレイン酸が均質化される(溶融する)まで60〜70℃で加熱して、無水マレイン酸およびMMA(品目1〜3)を用いて、実施例4(品目1)で述べたようなポリオールを最初に均質化することによって調製した。次いでTEA(品目4)を加え、混合物を70℃で90分間保持した。この時点で、FTIRスペクトルにおいて1779および1849cm
−1でなんら有意なピークを示さないことから明らかなように、全部ではないが、無水物の大部分は消費されていた。しかし、いくらかの無水物ピークが、エステル基についてのものなどの他の吸収ピークの下に埋もれている可能性がある。いずれにしろ、次いで、混合物を25〜30℃に冷却し、品目5を加え、プレポリマー中に均質化した。これは、約25℃のプレポリマー分散物温度で中程度の粘度の暗い琥珀色を有するプレポリマーをもたらした。
【数21】
【0106】
得られたプレポリマー(その180部)を約25℃で、約20℃の初期温度を有する297部の水に分散させて、半透明な外観を有する小粒子サイズの分散物を得た。得られた分散物に、37.0部のスチレン、22.2部のメチルメタクリレートおよび4.6部のジビニルベンゼン(DVB80)を加え、分散物中に均質化させた。これは、不透明な外観を有する分散物によって明らかなように、粒子サイズの増大をもたらした。得られた分散物に、分散物中に混合された0.03部の1%Fe−EDTAおよび8.0部の3.5%t−ブチル過酸化水素を加え、続いて、20℃の初期温度で10.0部の2.0%エリソルビン酸を徐々に加えることによってフリーラジカル重合させた。これは、20℃〜41℃で観察される発熱を伴った、ビニル官能性モノマーの開始および重合をもたらした。ビニル重合が進行するにしたがって、粒子サイズは低下し、粘度が上昇することが分かった。ビニル重合を、少量の追加のt−ブチル過酸化水素およびエリソルビン酸を用いて追いかけ、ポリマーへのビニルモノマーの転換を完了させる助けとなるように熱を施した。続いて、7.7部のアジピン酸ジヒドラジドを分散物に加えて、ヒドラジドとポリマー上のケトンの縮合によって、自己架橋する潜在性を有するポリマーを得た。その効果は、乾燥コーティングについての著しい硬度の増大ならびに非常に良好な耐損傷性および耐ブラックヒールマーク性で観察された。最終分散物は、43.0%の固形分レベルで0.3%の沈殿物レベル、pH6.7で180cps(25℃で)の粘度、82.0nmの粒子サイズを有していた。熱時安定性は不良であり、60℃で1日足らずでゲル化が起こった。
(実施例23)
大豆油−ビニルコポリマー分散物
【0107】
プレポリマーを、上記実施例22と同様に、固体無水マレイン酸が均質化される(溶融する)まで60〜70℃で加熱して、無水マレイン酸およびMMA(品目2および3)を用いて、実施例4で説明したようにして調製したポリオール(品目1)を最初に均質化することによって調製した。次いでTEA(品目4)を加え、混合物を70℃で90分間保持した。この時点で、FTIRスペクトルにおいて1779および1849cm
−1でなんら有意なピークを示さないことから明らかなように、全部ではないが、無水物の大部分は消費されていた。しかし、いくらかの無水物ピークが、エステル基についてのものなどの他の吸収ピークの下に埋もれている可能性がある。次いで、水中の亜硫酸ナトリウム溶液(品目5)をプレポリマーに加え、均質化して不透明混合物を得た。これを50℃で1時間保持した。これは、暗い琥珀色および約50℃の温度で低い粘度を有する透明な(もはや不透明でない)プレポリマーをもたらした。
【数22】
【0108】
得られたプレポリマー(その180部)を約50℃で、約20℃の初期温度を有する297部の水に分散させて、半透明な外観を有する小粒子サイズの分散物を得た。得られた分散物に、37.0部のスチレン、22.2部のメチルメタクリレートおよび4.6部のジビニルベンゼン(DVB80)を加え、分散物中に均質化させた。これは、不透明な外観を有する分散物によって明らかなように、粒子サイズの増大をもたらした。得られた分散物に、分散物中に混合された0.03部の1%Fe−EDTAおよび8.0部の3.5%t−ブチル過酸化水素を加え、続いて、20℃の初期温度で10.0部の2.0%エリソルビン酸を徐々に加えることによってフリーラジカル重合させた。これは、20℃〜44℃で観察される発熱を伴った、ビニル官能性モノマーの開始および重合をもたらした。ビニル重合が進行するにしたがって、粒子サイズは低下し、粘度が上昇することが分かった。ビニル重合を、少量の追加のt−ブチル過酸化水素およびエリソルビン酸を用いて追いかけ、ポリマーへのビニルモノマーの転換を完了させる助けとなるように熱を施した。続いて、7.7部のアジピン酸ジヒドラジドを分散物に加えて、ヒドラジドとポリマー上のケトンの縮合によって、自己架橋する潜在性を有するポリマーを得た。その効果は、乾燥コーティングについての著しい硬度の増大ならびに非常に良好な耐損傷性および耐ブラックヒールマーク性で観察された。最終分散物は、43.3%の固形分レベルで<0.1%の無視できる沈殿物レベル、pH6.9で64cps(25℃で)の粘度、57.0nmの粒子サイズを有していた。分散物が60℃で1週間後、粘度またはPSの変化をほとんど示していないことから、熱時安定性は優れていた。実施例22と比較すれば、水に分散させる前にスルフィット(またはビスルフィット)をプレポリマーに添加すると、改善された分散物品質ならびに熱時安定性が得られた。
(実施例24)
大豆油−ビニルコポリマーポリウレタン複合物
【0109】
プレポリマーを、固体無水マレイン酸が均質化される(溶融する)まで60〜70℃で加熱して、無水マレイン酸およびMMA(品目1〜3)を用いて、実施例4(品目1)で説明したようなポリオールを最初に均質化することによって調製した。次いでTEA(品目4)を加え、混合物を70℃で120分間保持した。この時点で、FTIRスペクトルにおいて1779および1849cm
−1でなんら有意な無水物ピークを示さないことから明らかなように、全部ではないが、無水物の大部分は消費されていた。しかし、いくらかの無水物ピークが、エステル基についてのものなどの他のより大きい吸収ピークの下に埋もれている可能性がある。次いで、混合物を25〜30℃に冷却し、品目5を加え、その組成物中に均質化した。これは、約25℃のプレポリマー分散物温度で中程度の粘度の暗い琥珀色を有するプレポリマーをもたらした。
【数23】
【0110】
得られたプレポリマー(その90部)を約25℃で、約20℃の初期温度を有する139部の水および292.4部のSancure970(42%固形分の比較的硬いポリウレタン分散物)に分散させた。これは、いくぶん濁った外観を有する中程度の粒子サイズの分散物を生成した。得られた分散物に、17.5部のスチレン、13.5部のメチルメタクリレートおよび2.2部のジビニルベンゼン(DVB80)を加え、分散物中に均質化させた。これは、不透明な外観を有する分散物によって明らかなように、粒子サイズの増大をもたらした。得られた分散物を、分散物中に混合された0.03部の1%Fe−EDTAおよび4.0部の3.5%t−ブチル過酸化水素を加え、続いて、20℃の初期温度で5.0部の2.0%エリソルビン酸を徐々に加えることによってフリーラジカル重合させた。これは、20℃〜46℃で観察される発熱を伴った、ビニル官能性モノマーの開始および重合をもたらした。ビニル重合が進行するにしたがって、粒子サイズが低下することが分かった。ビニル重合を、少量の追加のt−ブチル過酸化水素およびエリソルビン酸を用いて追いかけ、ポリマーへのビニルモノマーの転換を完了させる助けとなるように熱を施した。続いて、30.5部の水および3.7部のアジピン酸ジヒドラジドを分散物に加えて、ジヒドラジドとポリマー上のケトン官能基の縮合によって、自己架橋する潜在性を有するポリマーを得た。最終分散物は、41.4%の固形分レベルで沈殿物が少なく、pH7.6で230cps(25℃で)の粘度、76.1nmの粒子サイズを有していた。
(実施例25)
大豆油−ビニルコポリマーポリウレタン複合(またはハイブリッド)分散物のための大豆ベースのプレポリマー
【0111】
プレポリマーを、固体無水マレイン酸が均質化される(溶融する)まで60〜70℃で加熱して、無水マレイン酸およびMMA(品目1〜3)を用いて、実施例4(品目1)で述べたようなポリオールを最初に均質化することによって調製した。次いでTEA(品目4)を加え、混合物を70℃で120分間保持した。この時点で、FTIRスペクトルにおいて1779および1849cm
−1でなんら有意な無水物ピークを示さないことから明らかなように、全部ではないが、無水物の大部分は消費されていた。しかし、いくらかの無水物ピークが、エステル基についてのものなどの他のより大きい吸収ピークの下に埋もれている可能性がある。いずれにしろ、これは、約25℃のプレポリマー分散物温度で中程度の粘度の暗い琥珀色を有するプレポリマーをもたらした。200gの得られたプレポリマーを540gの水に分散させ、続いて、実施例26で説明する分散物の調製において使用した。
【数24】
(実施例26)
大豆油−ビニルコポリマーポリウレタン複合(またはハイブリッド)分散物
【0112】
プレポリマーを、温度計、オーバーヘッドスターラーおよびガス導入口を備えた4ツ口フラスコ中に、60℃の温度で以下の構成要素の品目1〜3を混合して調製した。以下の反応を、反応器のガス導入口を通した乾燥窒素流下で実行した。反応混合物の温度を102℃〜105℃に上げ、この温度で120分間、または少量サンプルの滴定で示されたものが理論NCOに達するまで保持した。次いで品目4を加え、温度を72℃〜75℃に調節し、その時点で品目5を加えた。次いで温度を84〜87℃に調節し、そこで1時間、または少量サンプルの滴定で示されたものが理論NCO%に達するまで保持した。プレポリマーが理論NCOに達したら、プレポリマー温度を57〜60℃に下げ、品目6を加え、プレポリマー中に均質化した。続いて、品目8を加え、57〜60℃分散物中に均質化してプレポリマーを中和(イオン化)し、次いでその後これをすぐ分散させた。
【数25】
【0113】
208.2g部の得られた中和プレポリマーを、トリエチルアミンでpH7.1に調節された、実施例25で説明した200gの大豆ベースのプレポリマーを含む540gの水に分散させた。分散された大豆プレポリマーを含む水の温度は最初約20〜22℃であり、上記ポリウレタンプレポリマーをその中に分散させながら、28℃未満の水/分散物温度に保持した。分散されたプレポリマーを、16.2部のヒドラジン水和物(35%ヒドラジン含量)で延長させた(extended)。ヒドラジン添加5分後、5.7部のエチレンジアミンの25%水溶液を加えて鎖延長を完了させた。これは、分散粒子サイズの大幅な増大をもたらした。約30分間鎖延長させた後、分散物の温度を33〜35℃に調節し、0.1部の1%溶液Fe−EDTA錯体、8.0部の3.5%tert−ブチル過酸化水素水溶液および12.0部の2.0%エリソルビン酸水溶液をトリエチルアミンで中和した。もたらされた発熱は存在するアクリルモノマーの開始および重合を示している。この分散物に、アジピン酸ジヒドラジド(ADH)を加えて、ジイソシアネートとのカルボニル/ケトン官能性ジオール反応によって、ポリウレタンポリマー相中に取り込まれたカルボニル/ケトン基間の自己架橋をさせた。これは、pH7.2で98cps(25℃で)の粘度、156.2nmの粒子サイズを有する、少ない沈殿物を含む38.2%固形分のポリウレタン−大豆−ビニルコポリマー分散物をもたらした。ポリウレタン−大豆−ビニルコポリマー分散物は、追加の合体剤を加えることなく、室温(約21℃)で硬い強靭な耐性のあるコーティングをもたらす。
【0114】
水相中に大豆プレポリマーなしで同様の条件下で分散され、鎖延長されフリーラジカル重合された同じポリウレタンプレポリマーは、pH8.3で918cps(25℃で)の粘度、53.0nmの粒子サイズを有する、少ない沈殿物を有する38.2%固形分のポリウレタン−アクリル分散物を生成した。得られるポリウレタン−アクリル分散物は、合体溶媒の添加なしで、合体されたコーティングを生成することはない(被膜形成のために、>275g/Lの合体溶媒が必要とされる)。
【0115】
本発明を例示するために、特定の代表的な実施形態および詳細を示してきたが、当業者には、本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更および改変をそれに加えることができることは明らかである。