【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するための本発明は、ワークを保持して中心軸を中心に回転させる主軸、工具を保持する刃物台、前記主軸をその前記中心軸に沿った第1軸に沿って進退させる第1軸送り機構、並びに、前記主軸と刃物台とを前記第1軸と直交する第2軸に沿って相対的に移動させる第2軸送り機構を備えた加工機構部と、
前記主軸を前記第1軸に沿って進出させた授受位置において、該主軸との間で前記ワークの授受を行うローディング機構部であって、前記ワークを保持する保持部、並びに、該保持部を前記第1軸と直交する第3軸方向に移動させて、前記授受位置に位置決めする第3軸送り機構を備えたローディング機構部と、
少なくとも前記第1軸送り機構、第2軸送り機構及び第3軸送り機構を数値制御する数値制御装置とを備えて構成され、
前記数値制御装置は、前記主軸とローディング機構部との間で前記ワークの授受を行うための動作であって、前記第1軸送り機構により前記主軸を前記授受位置に向けて移動させる動作と、前記第3軸送り機構により前記保持部を前記授受位置に位置決めする動作とを、少なくとも、その一部を重複して実行させるように構成された工作機械に係る。
【0018】
この工作機械によれば、数値制御装置により第1軸送り機構を数値制御して、主軸を第1軸に沿って進退させるとともに、第2軸送り機構を数値制御して、主軸と刃物台とを第2軸に沿って相対的に移動させることにより、主軸に保持されたワークが、刃物台に保持された工具によって加工される。
【0019】
そして、同じく数値制御装置により第1軸送り機構を数値制御して、主軸を第1軸方向の授受位置に進出させるとともに、当該数値制御装置によって第3軸送り機構を数値制御して、ローディング機構部の保持部を授受位置に移動させ、主軸と保持部との間でワークの授受を行う。
【0020】
その際、数値制御装置は、第1軸送り機構を制御して、主軸を授受位置に向けて移動させる動作と、第3軸送り機構を制御して、保持部を授受位置に位置決めする動作とを、少なくとも、その一部が重複するように実行させる。
【0021】
上述した従来の工作機械では、ローダ装置のローダチャックアームを降下させた後に、ローダチャックを主軸に接近させるようにしており、降下動作と接近動作とが別々に独立して実行されるのに対し、本発明に係る工作機械では、上記のように、主軸の第1軸に沿った移動と、保持部の第3軸に沿った移動とが、一部重複して同時に実行されるので、当該動作時間を短縮することができ、ひいては、当該工作機械を用いた生産コストを低減することができる。
【0022】
本発明において、前記第1軸は水平に設けられ、且つ前記第3軸は垂直に設けられ、
更に、前記ローディング機構部は、前記第3軸に沿って並設された二つの前記保持部を備えるとともに、
前記数値制御装置は、前記第3軸送り機構の動作を制御して、前記保持部の一つを選択的に前記授受位置に位置決めするように構成されていても良い。
【0023】
このように構成されたローディング機構部によれば、一方の保持部に交換用のワークを保持した状態で、まず、第1軸送り機構及び第3軸送り機構により、他方の保持部と主軸との間で授受動作を行わせて、主軸に保持された加工済みのワークを前記他方の保持部に引き渡し、次に、再度、第1軸送り機構及び第3軸送り機構により、前記一方の保持部と主軸との間で授受動作を行わせて、主軸に新たなワークを保持させる。
【0024】
このように、この構成のローディング機構部によれば、主軸に保持された加工済みのワークの取り外しと、新たなワークの主軸への装着とを、より少ない動作によって実行することができるので、主軸に対してワークを着脱する動作時間をより短縮することができ、ひいては、当該工作機械を用いた生産コストをより低減することができる。
【0025】
また、本発明において、前記第1軸は水平に設けられ、且つ前記第3軸は垂直に設けられ、
更に、前記ローディング機構部は、前記第1軸と直交する水平な第4軸に沿って並設された二つの前記保持部を備えるとともに、前記保持部を、前記第4軸に沿って移動させる第4軸送り機構を備えてなり、
前記数値制御装置は、前記第3軸送り機構及び第4軸送り機構の動作を制御して、前記保持部の一つを選択的に前記授受位置に位置決めするように構成されていても良い。
【0026】
このように構成されたローディング機構部によれば、一方の保持部に交換用のワークを保持した状態で、まず、第4軸送り機構により、二つの保持部を第4軸に沿って移動させて、前記他方の保持部を前記主軸と対向可能な位置に位置決めし、ついで、第1軸送り機構及び第3軸送り機構により、前記他方の保持部と主軸との間で授受動作を行わせて、主軸に保持された加工済みのワークを他方の保持部に引き渡す。
【0027】
次に、再度、第4軸送り機構により、二つの保持部を第4軸に沿って移動させて、前記一方の保持部を前記主軸と対向可能な位置に位置決めし、ついで、第1軸送り機構及び第3軸送り機構により、前記一方の保持部と主軸との間で授受動作を行わせて、主軸に新たなワークを保持させる。
【0028】
斯くして、この構成のローディング機構部によっても、主軸に保持された加工済みのワークの取り外しと、新たなワークの主軸への装着とを、より少ない動作によって実行することができるので、主軸に対してワークを着脱する動作時間をより短縮することができ、ひいては、当該工作機械を用いた生産コストをより低減することができる。
【0029】
本発明において、前記数値制御装置は、単一のCPUを備えて構成され、ワーク授受用の動作プログラムを前記CPUにより処理して、前記加工機構部の第1軸送り機構、及びローディング機構部の第3軸送り機構を同時に数値制御するように構成され
る。
【0030】
このようにすれば、前記加工機構部の第1軸送り機構、及びローディング機構部の第3軸送り機構を同時に数値制御する際に、両動作間でタイミングを合わせる処理などを、無駄時間を極力排除した状態で、迅速に実行することができる。
【0031】
また、本発明において、前記数値制御装置は、ワーク原点を基準にしたワーク座標系の位置指令を含む加工プログラムを実行して、前記第1軸送り機構及び第2軸送り機構を、機械原点を基準にした機械座標系で数値制御する際には、前記ワーク原点と機械原点との差を補償するワークオフセット量を用いて前記第1軸送り機構及び第2軸送り機構を数値制御し、
前記機械座標系の位置指令を含む前記ワーク授受用動作プログラムを実行して、前記第1軸送り機構及び第3軸送り機構を前記機械座標系で数値制御する際には、前記ワークオフセット量を用いないで、前記第1軸送り機構及び第3軸送り機構を数値制御するように構成され
る。
【0032】
一般的に、数値制御装置は、数値制御対象である第1軸送り機構、第2軸送り機構及び第3軸送り機構を制御する際には、機械原点を基準にした機械座標系でそれぞれを数値制御する。一方、加工機構部における加工は、ワーク原点を基準にしたワーク座標系の位置指令を含む加工プログラムを用いて実行される。このため、数値制御装置は、加工プログラムに従って、前記第1軸送り機構及び第2軸送り機構を数値制御する際には、前記ワーク原点と機械原点との差を補償するワークオフセット量を用いて前記第1軸送り機構及び第2軸送り機構を数値制御する。
【0033】
他方、加工機構部の第1軸送り機構及びローディング機構部の第3軸送り機構の動作によって実現される、ローディング機構部の保持部と主軸との間のワーク授受動作は、前記機械座標系の位置指令を含むワーク授受用動作プログラムを用いて実行される。したがって、このワーク授受用動作プログラムを実行して前記第1軸送り機構及び第3軸送り機構を数値制御する際に、前記ワークオフセット量を用いた制御が維持されると、前記主軸と保持部との位置関係を正確に制御することができない。
【0034】
そこで、本発明では、機械座標系の位置指令を含むワーク授受用動作プログラムを実行して、第1軸送り機構及び第3軸送り機構を機械座標系で数値制御する際には、ワークオフセット量を用いないで、第1軸送り機構及び第3軸送り機構を数値制御するようにしている。尚、通常、前記加工プログラムとワーク授受用動作プログラムとは、連続的に繰り返して実行されるため、ワーク授受用動作プログラムを実行する際には、ワークオフセット量を用いない処理を特に実行する必要があるのである。
【0035】
そして、ワークオフセット量を用いない処理を行うための具体的な態様としては、前記数値制御装置が、予め設定されたパラメータに基づいて、前記ワークオフセット量を適用するか否かを決定するように構成され、該パラメータの設定により、前記ワーク授受用動作プログラムの実行時には、前記ワークオフセット量を適用しないように構成された態様を挙げることができる。
【0036】
また、他の態様としては、前記数値制御装置が、プログラム中に含まれる、前記ワークオフセット量を適用するか否かを定義する指令に従って、前記ワークオフセット量を適用するか否かを決定するように構成された態様を挙げることができる。