特許第6209574号(P6209574)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6209574
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】カップ部を有する衣類
(51)【国際特許分類】
   A41C 3/10 20060101AFI20170925BHJP
   A41C 3/14 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   A41C3/10 A
   A41C3/14 A
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-206962(P2015-206962)
(22)【出願日】2015年10月21日
(65)【公開番号】特開2016-216875(P2016-216875A)
(43)【公開日】2016年12月22日
【審査請求日】2016年2月2日
(31)【優先権主張番号】特願2015-100622(P2015-100622)
(32)【優先日】2015年5月18日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】515132526
【氏名又は名称】王 鳳霞
(73)【特許権者】
【識別番号】515132537
【氏名又は名称】デスモンド ブレナン
(74)【代理人】
【識別番号】110002055
【氏名又は名称】特許業務法人JAZY国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王 鳳霞
(72)【発明者】
【氏名】デスモンド ブレナン
【審査官】 笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3188201(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3068682(JP,U)
【文献】 特開2003−286602(JP,A)
【文献】 特開平11−247006(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3054415(JP,U)
【文献】 実開昭52−047942(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41C 1/00 〜 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カップ部を有する衣類において、
一対のカップ部と、
上記カップ部の脇側に設けられたバック部と、
上記カップ部に収容されるように装着されるエアーパッドと、を備え、
上記エアーパッドは、バストを脇側及び下側から持ち上げる第1膨張部と、バストの上部のボリュームを補う第2膨張部と、を左右それぞれに有し、上記第1膨張部及び第2膨張部に空気を送るためのポンプを有し、
前記第1膨張部と前記第2膨張部の境界には、膨張が抑えられた境界部が設けられており、前記境界部は、着用時にバストトップが当接する領域に設けられていること
を特徴とするカップ部を有する衣類。
【請求項2】
上記カップ部の下辺に沿った形状の斜辺を有し上記カップ部を支持するカップ支持部を更に有すること
を特徴とする請求項1に記載のカップ部を有する衣類。
【請求項3】
上記カップ支持部にはボタンが設けられており、上記エアーパッドにはボタンが設けられており、上記エアーパッドのボタンを上記カップ支持部のボタンに嵌合することで上記エアーパッドが上記カップ支持部に対して装着されること
を特徴とする請求項2に記載のカップ部を有する衣類。
【請求項4】
上記エアーパッドは、下縁に位置合わせ部を備えており、
上記エアーパッドの上記カップ支持部への装着時には、上記位置合わせ部の少なくとも一部が上記カップ支持部に当接し、上記エアーパッドが上記カップ部に収容されるように位置合わせがなされること
を特徴とする請求項3に記載のカップ部を有する衣類。
【請求項5】
上記エアーパッドにおいて、上記ポンプには、右側の上記第1膨張部及び上記第2膨張部に連通した第1パイプと、左側の上記第1膨張部及び上記第2膨張部に連通した第2パイプとが設けられていること
を特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のカップ部を有する衣類。
【請求項6】
上記第1パイプ及び第2パイプは、弾力性のある部材で構成されていること
を特徴とする請求項5に記載のカップ部を有する衣類。
【請求項7】
カップ部を有する衣類において、
一対のカップ部と、
上記カップ部の脇側に設けられたバック部と、
上記カップ部に収容されるように装着されるエアーパッドと、を備え、
上記エアーパッドは、バストを脇側及び下側から持ち上げる第1膨張部と、バストの上部のボリュームを補う第2膨張部と、を左右それぞれに有し、
上記左の第1膨張部又は第2膨張部に、上記左の第1膨張部及び第2膨張部に空気を送るための第1のポンプを配設し、上記右の第1膨張部又は第2膨張部に、上記右の第1膨張部及び第2膨張部に空気を送るための第2のポンプを配設し、
前記第1膨張部と前記第2膨張部の境界には、膨張が抑えられた境界部が設けられており、前記境界部は、着用時にバストトップが当接する領域に設けられている
カップ部を有する衣類。
【請求項8】
カップ部を有する衣類において、
一対のカップ部と、
上記カップ部の脇側に設けられたバック部と、
上記カップ部に収容されるように装着されるエアーパッドと、を備え、
上記エアーパッドは、バストを脇側及び下側から持ち上げる第1膨張部と、バストの上部のボリュームを補う第2膨張部と、を左右それぞれに有し、
上記左右の第1膨張部又は上記左右の第2膨張部のいずれかには、上記左右の第1膨張部及び第2膨張部に空気を送るポンプを配設し、
前記第1膨張部と前記第2膨張部の境界には、膨張が抑えられた境界部が設けられており、前記境界部は、着用時にバストトップが当接する領域に設けられている
カップ部を有する衣類。
【請求項9】
上記衣類がブラジャーであること
を特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のカップ部を有する衣類。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カップ部を有する衣類に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ブラジャー等のカップ部を有する衣類は、バストを安定的にサポートし造形性を高めるものとして、女性に広く使用されている。このようなブラジャーでは、カップ部に例えばウレタンフォーム等からなる成型体を内包させ、サポート性、造形性を高めているのが一般的である。そして、今日では、この成型体に代えて、エアーパッド等を採用してバスト形状を補整して、バストを豊かに見せる工夫がなされている。
【0003】
そして、この種の技術としては、例えば特許文献1により、ブラジャーの乳房部内側面に、バストの高さを調整するためのエアーパッドが内設されたブラジャーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平5−14106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば、特許文献1に記載されたブラジャーでは、左右の乳房部のそれぞれに給気用のポンプが装着されており、各エアーパッドへの給気は各ポンプにより別操作で行わなければならなかった。さらに、乳房部にポンプが装着されていることから、操作も難しく、装着者に不快感を与えるおそれがあった。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、操作性及び装着感も良好で、バストの造形性を高めることが可能な、カップ部を有する衣類を提供することを目的とする。
【0007】
さらに、1つの操作で左右のエアーパッドに同時に空気を注入することができ、エアーパッドの脹らみ量の調整の際には一方のエアーパッドの空気のみを排気して調整することもできる、カップ部を有する衣類を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような課題を解決するため、本発明の第1の態様に係るカップ部を有する衣類は、カップ部を有する衣類において、一対のカップ部と、上記カップ部の脇側に設けられたバック部と、上記カップ部に収容されるように装着されるエアーパッドと、を備え、上記エアーパッドは、バストを脇側及び下側から持ち上げる第1膨張部と、バストの上部のボリュームを補う第2膨張部と、を左右それぞれに有し、上記第1膨張部及び第2膨張部に空気を送るためのポンプを有し、前記第1膨張部と前記第2膨張部の境界には、膨張が抑えられた境界部が設けられており、前記境界部は、着用時にバストトップが当接する領域に設けられていることを特徴としている。
【0009】
ここで、上記カップ部の下辺に沿った形状の斜辺を有し上記カップ部を支持するカップ支持部を更に有してもよい。また、上記カップ支持部にはボタンが設けられており、上記エアーパッドにはボタンが設けられており、上記エアーパッドのボタンを上記カップ支持部のボタンに嵌合することで上記エアーパッドが上記カップ支持部に対して装着されることとしてもよい。さらに、上記エアーパッドは、下縁に位置合わせ部を備えており、上記エアーパッドの上記カップ支持部への装着時には、上記位置合わせ部の少なくとも一部が上記カップ支持部に当接し、上記エアーパッドが上記カップ部に収容されるように位置合わせがなされることとしてもよい。
【0010】
さらに、上記エアーパッドにおいて、上記ポンプには、右側の第1膨張部及び第2膨張部に連通した第1パイプと左側の第1膨張部及び第2膨張部に連通した第2パイプとが設けられてもよい。そして、上記第1パイプ及び第2パイプは、弾力性のある部材で構成されてもよい。
【0011】
そして、本発明の第2の態様に係るカップ部を有する衣類は、カップ部を有する衣類において、一対のカップ部と、上記カップ部の脇側に設けられたバック部と、上記カップ部に収容されるように装着されるエアーパッドと、を備え、上記エアーパッドは、バストを脇側及び下側から持ち上げる第1膨張部と、バストの上部のボリュームを補う第2膨張部と、を左右それぞれに有し、上記左の第1膨張部又は第2膨張部に、上記左の第1膨張部及び第2膨張部に空気を送るための第1のポンプを配設し、上記右の第1膨張部又は第2膨張部に、上記右の第1膨張部及び第2膨張部に空気を送るための第2のポンプを配設し、前記第1膨張部と前記第2膨張部の境界には、膨張が抑えられた境界部が設けられており、前記境界部は、着用時にバストトップが当接する領域に設けられている。
【0012】
さらに、本発明の第3の態様に係るカップ部を有する衣類は、カップ部を有する衣類において、一対のカップ部と、上記カップ部の脇側に設けられたバック部と、上記カップ部に収容されるように装着されるエアーパッドと、を備え、上記エアーパッドは、バストを脇側及び下側から持ち上げる第1膨張部と、バストの上部のボリュームを補う第2膨張部と、を左右それぞれに有し、上記左右の第1膨張部又は上記左右の第2膨張部のいずれかには、上記左右の第1膨張部及び第2膨張部に空気を送るポンプを配設し、前記第1膨張部と前記第2膨張部の境界には、膨張が抑えられた境界部が設けられており、前記境界部は、着用時にバストトップが当接する領域に設けられている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、操作性及び装着感も良好で、バストの造形性を高めることが可能なカップ部を有する衣類を提供することができる。
【0014】
さらに、1つの操作で左右のエアーパッドに同時に空気を注入することができ、パットの脹らみ量の調整の際には一方のエアーパッドの空気のみを排気して調整することもできるカップ部を有する衣類を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】(a)は本発明の第1実施態に係るブラジャーの構成図であり、(b)はエアーパッドを前面から見た様子を示す構成図である。
図2】本発明の第1実施形態に係るブラジャーからエアーパッドを外した様子を示す図である。
図3】(a)は本発明の第1実施形態に係るブラジャーのエアーパッドに空気を注入する前の様子を示す図であり、(b)はエアーパッドに空気を注入した後の様子を示す図である。
図4】本発明の第2実施形態に係るブラジャーの構成図である。
図5】本発明の第3実施形態に係るブラジャーの構成図である。
図6】本発明の第4実施形態に係るブラジャーの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について、カップ部を有する衣類の一例としてブラジャーを例に挙げて説明する。
【0017】
<第1実施形態>
先ず、本発明の第1実施形態について説明する。
【0018】
図1(a)には本発明の第1実施形態に係るブラジャーを肌面(装着面)側から見た様子を示し、図1(b)にはブラジャーに対して着脱自在なエアーパッドを前面部側から見た様子を示し、図2にはエアーパッドを外した状態のブラジャーを肌面(装着面)側から見た様子を示し、説明する。
【0019】
図1(a)に示されるように、ブラジャー1は、緩やかに膨らんだ形状の一対のカップ部2を備えている。カップ部2の下縁には、カップ支持部3が設けられている。カップ支持部3は、所定の厚みを有しており、更に内側の斜辺はカップ部2の下縁の形状に合致した形状となっている。このカップ支持部3の下側から脇側にかけてはベース部4が設けられている。ベース部4の両脇側には、一対のバック部5が接続されている。ここでは不図示であるが、バック部5の端部には連結部が設けられており、一対のバック部5は、端部同士が背面にて連結部により係止される。この連結部としては、ホック、グリッパ、ボタン、紐、面ファスナー等を種々のものを採用することができる。
【0020】
カップ部2は、例えばウレタン素材で構成されているので、非着用状態においても上記緩やかに膨らんだ形状を維持することができる。
【0021】
また、ブラジャー1は肩ストラップ6を備えている。肩ストラップ6は、一端がカップ部2の上辺部に係止具7を介して接続されており、他端がバック部5の上辺部に不図示の係止具を介して接続されている。係止具7としては、エイト環、Z環等を採用することができる。肩ストラップ6には、係止具7の近傍に長さ調整具8が設けられている。この長さ調整具8としては、エイト環、円環等を採用することができる。肩ストラップ6は、紐又は布テープであってよいが、これらに限定されない。
【0022】
ブラジャー1は、カップ部2の上に位置するように配置される着脱自在なエアーパッド9を備えている。エアーパッド9は、バストを脇側及び下方から支えてバストアップされたシルエットを実現する第1膨張部9aと、バストアップされたバストの上部の脹らみを補う第2膨張部9bとを備えている。
【0023】
第1膨張部9aは、ブラジャー1の下縁から脇側に向かい合う側の縁形状がカップ部2の下辺部の形状に合致した緩やかな曲線形状となっている。また、第1膨張部9aは、ブラジャー1の中央に向かい合う側の縁形状が、第2膨張部9bの脹らんだ形状に合致するように窪んだ形状となっている。第2膨張部9bは、第1膨張部9aに向かい合う側の縁形状が膨らんだ形状となっており、ブラジャー1の中央に向かい合う側の縁形状が緩やかな曲線形状となっている。
【0024】
第1膨張部9aと第2膨張部9bとの境界には、膨張が抑えられた境界部9cが設けられている。但し、第1膨張部9aと第2膨張部9bとは内部で連通している。さらに、エアーパッド9では、ブラジャー1の下縁から脇側に向かい合う側の縁に所定幅の位置合わせ部9dが設けられている。エアーパッド9をブラジャー1に装着したときに、この位置合わせ部9dをカップ支持部3に当接させることで、第1膨張部9a及び第2膨張部9bがカップ部2の肌面側に収まるように位置合わせされる。
【0025】
位置合わせ部9dには、中央付近に2か所のドットボタン(凸部)12a,12bが設けられている。このドットボタン12a,12bが、図2に示されるようにカップ支持部3に設けられたドットボタン(凹部)14a,14bに嵌めこまれることで、エアーパッド9がブラジャー1に対して装着される。
【0026】
エアーパッド9の中央にはポンプ10が埋め込まれており、ポンプ10の配設位置の上方には空気排気口11と空気吸入口13が設けられている。ポンプ10を押圧すると、空気吸入口13から吸入された空気が第1膨張部9a及び第2膨張部9bに送られ、第1膨張部9a及び第2膨張部9bが膨張する。
【0027】
ポンプ10には左右に空気通過口10a,10bが設けられており、ポンプ10の押圧操作に基づいて、ポンプ内部に蓄えられた空気が空気通過口10a,10bを通過して第1膨張部9a及び第2膨張部9bへと導かれる。
【0028】
一方、空気排気口11を押圧して開放した状態で第1膨張部9a及び第2膨張部9bを押し込むと、内部に蓄えられた空気が空気排気口11から外部に排出され、第1膨張部9a及び第2膨張部9bが萎む。この排気の際にも、空気通過口10a,10bを介して空気排気口11へと内部の空気が導かれる。
【0029】
図2に示されるように、カップ支持部3の中央部には、エアーパッド9のポンプ10の形状に合致した第1の凹部15a、空気排気口11の形状に合致した第2の凹部15bが設けられている。従って、エアーパッド9をブラジャー1に装着したときには、ポンプ10の脹らみが第1の凹部15aに収まり、空気排気口11の凸形状が第2の凹部15bに収まるので、エアーバッド9とカップ支持部3との間に大きな隙間は生じない。
【0030】
ここで、図3(a)にはエアーパッド9の膨張前の様子を示し、図3(b)にはエアーパッド9の膨張後の様子を示し、両者を比較して作用効果を説明する。図3(a)に示されるように、エアーパッド9の第1膨張部9a及び第2膨張部9bの膨張前においてはエアーパッド9自体が萎んでいるため、バストアップすることができず、バストの脹らみを補うこともできない。これに対して、図3(b)に示されるように、エアーパット9の第1膨張部9a及び第2膨張部9bの膨張後においては、第1膨張部9aの脹らみによりバストアップを図ることができ、第2膨張部9bの脹らみによりバスト上部の脹らみを補うことが可能となり、美しいバストの造形を実現できる。
【0031】
このような構成によれば、エアーパッド9において、第1の膨張部9aによりバストを脇側から中央に向けて持ち上げ、下側から上方に向けて持ち上げ、全体としてバットアップを図った美しい造形を実現することが可能となる。更に、第2の膨張部9bにより、バストアップされたバストの上部のボリュームを補うことができるので、更に美しい造形を実現することができる。このとき、左右のカップ部2は、エアーパッド9を完全に覆い隠す形状となっているので、エアーパッド9は装着時には外部から見えない状態が維持される。従って、胸部開口のシャツ等を着用した場合でも、エアーパット9の存在を知られることなく、着用することができる。
【0032】
さらに、境界部9cは、着用時にバストトップが当接する可能性の高い領域に設けられているので、着用時にフィット感が良好となる。そして、ポンプ10は、エアーパッド9の中央部に埋め込まれているので、着用した状態でも、ブラジャー1と体の間に指を挿入すれば、第1膨張部9a及び第2膨張部9bの膨張量を調整することができる。
【0033】
なお、肩ストラップ6の引き上げ力によってエアーパッド9とバストとの密着性を更に高め、長時間着崩れ難くすることもできる。但し、肩ストラップ6は、必須の構成要素ではなく、肩ストラップ6が着脱自在とされたストラップレスタイプへの適用も可能であることは勿論である。
【0034】
以上説明したように、この発明の第1実施形態によれば、カップ部を有する衣類において、一対のカップ部2と、カップ部2の脇側に設けられたバック部5と、カップ部2に収容されるように装着されるエアーパッド9とを備え、エアーパッド9は、バストを脇側及び下側から持ち上げる第1膨張部9aと、バストの上部のボリュームを補う第2膨張部9bと、上記第1膨張部9a及び第2膨張部9bに空気を送るためのポンプ10とを有しているカップ部を有する衣類が提供される。従って、エアーパッド9により、効果的にバストアップしたボリュームのある造形を実現することが可能となる。
【0035】
ここで、カップ部2の下辺に沿った形状の斜辺を有しカップ部2を支持するカップ支持部3を更に有してもよい。この場合、カップ部2をカップ支持部3によりしっかりと指示し装着の安定性を高めることが可能となる。
【0036】
また、カップ支持部3にはドットボタン14a,14bが設けられており、エアーパッド9にはドットボタン12a,12bが設けられており、エアーパッド9のドットボタン12a,12bをカップ支持部3のドットボタン14a,14bに嵌合することでエアーパッド9がカップ支持部3に対して装着されることとしてもよい。この場合、簡易な操作でエアーパッド9の着脱を行うことが可能となる。
【0037】
さらに、エアーパッド9は、下縁に位置合わせ部9dを備えており、エアーパッド9のカップ支持部3への装着時には、位置合わせ部9dの少なくとも一部がカップ支持部3に当接し、エアーパッド9がカップ部2に収容されるように位置合わせがなされることとしてもよい。この場合には、エアーパッド9の第1膨張部9a、第2膨張部9bが、カップ部2の肌面側にしっかり収容されるように位置合わせされるので、装着感が良好なものとなり、バストアップの効果も更に高まることになる。
【0038】
<第2実施形態>
次に本発明の第2実施形態について説明する。
【0039】
図4には、本発明の第2実施形態に係るブラジャー20の構成を示し説明する。ここでは、図1と同一構成については同一符号を付し重複した説明は省略し、異なる部分を中心に説明を進める。
【0040】
同図に示されるように、このブラジャー20は、ポンプ10を有しているが、左右に設けられた空気通過口10a,10bに、パイプ21a,21bが設けられている点が第1実施形態と異なる。このパイプ21a,21bは、例えばゴム等の伸縮性部材で構成されており、中空の円筒形状となっている。ポンプ10を押圧すると、このパイプ21a,21bより空気が第1膨張部9a、第2膨張部9bへと導かれることになる。そのとき、一方のパイプ21a又は21bを指でつまんだ状態でポンプ10を押圧すると、つままれたパイプ21a又は21bは閉ざされるので、空気が通過せず、そのパイプ側の第1膨張部9a、第2膨張部9bへは空気は導かれないことになる。
【0041】
従って、例えば、左右の一方の第1膨張部9a,第2膨張部9bのみを膨張させて、左右のバランスを図りたい場合などに膨張量の微調整を図ることができ、バストの造形性をより高めることが可能となる。
【0042】
以上説明したように、この発明の第2実施形態によれば、カップ部を有する衣類において、一対のカップ部2と、カップ部2の脇側に設けられたバック部5と、カップ部2に収容されるように装着されるエアーパッド9とを備え、エアーパッド9は、バストを脇側及び下側から持ち上げる第1膨張部9aと、バストの上部のボリュームを補う第2膨張部9bと、を左右それぞれに有し、上記第1膨張部9a及び第2膨張部9bに空気を送るためのポンプ10と、ポンプ10に接続され右側の第1膨張部9a及び第2膨張部9bに連通した第1パイプ21aと左側の第1膨張部9a及び第2膨張部9bに連通した第2パイプ21bと、を有しているカップ部を有する衣類が提供される。従って、第1パイプ21a又は第2パイプ21bのいずれかを指でつまんだ状態でポンプ10を押圧することで、左右の膨張部のいずれかにだけ空気を送ること、或は空気を抜くことが可能となる。ゆえにバストの左右のボリュームのバランスを微調整することが可能となる。尚、この第1パイプ21a及び第2パイプ21bは、弾力性のある部材で構成されてもよい。
【0043】
<第3実施形態>
次に本発明の第3実施形態について説明する。
【0044】
図5には、本発明の第3実施形態に係るブラジャー30の構成を示し説明する。ここでは、図1と同一構成については同一符号を付し重複した説明は省略し、異なる部分を中心に説明を進める。
【0045】
同図に示されるように、このブラジャー30は、ポンプ31,34を有しているが、左右の第1膨張部9aに設けられている点が第1実施形態と異なる。左右の第1膨張部9aは、中央仕切り部9eにより遮断されている。ポンプ31を押圧すると、空気吸入口33より外部の空気がポンプ内に吸入され、左の第1膨張部9a、第2膨張部9bへと導かれる。同様に、ポンプ34を押圧すると、空気吸入口36より外部の空気がポンプ内に吸入され、右の第1膨張部9a、第2膨張部9bへと導かれる。第1膨張部9a、第2膨張部9bの空気を外部に排気するときは、空気排気口32,35を押圧して開かされた排気口から外部に排気する。このように、左右の第1膨張部9aが中央部で遮断されており、左右のそれぞれにポンプ31,34が配設されているので、左右の第1膨張部9a、第2膨張部9bへの空気の吸入、排気を独立して行うことができる。
【0046】
従って、例えば、左右の一方の第1膨張部9a,第2膨張部9bのみを膨張させて、左右のバランスを図りたい場合などに膨張量の微調整を図ることができ、バストの造形性をより高めることが可能となる。
【0047】
以上説明したように、この発明の第3実施形態によれば、カップ部を有する衣類において、一対のカップ部2と、カップ部2の脇側に設けられたバック部5と、カップ部2に収容されるように装着されるエアーパッド9とを備え、エアーパッド9は、バストを脇側及び下側から持ち上げる第1膨張部9aと、バストの上部のボリュームを補う第2膨張部9bと、を左右それぞれに有し、上記左の第1膨張部9aには上記左の第1膨張部9a及び第2膨張部9bに空気を送るための第1のポンプ31が配設され、上記右の第1膨張部9aには上記右の第1膨張部9a及び第2膨張部9bに空気を送るための第2のポンプ34と、を有するカップ部を有する衣類が提供される。従って、左右の膨張部のいずれかにだけ空気を送ること、或は空気を抜くことが可能となる。ゆえにバストの左右のボリュームのバランスを微調整することが可能となる。
【0048】
なお、ポンプ31、34、左右の第2膨張部9bに設けてもよい。
【0049】
<第4実施形態>
次に本発明の第4実施形態について説明する。
【0050】
図6には、本発明の第4実施形態に係るブラジャー40の構成を示し説明する。ここでは、図1と同一構成については同一符号を付し重複した説明は省略し、異なる部分を中心に説明を進める。
【0051】
同図に示されるように、このブラジャー40は、ポンプ41を有しているが、左の第1膨張部9aに設けられている点が第1実施形態と異なる。左右の第1膨張部9aは連通しており、ポンプ41を押圧すると、空気吸入口43より外部の空気がポンプ内に吸入され、左の第1膨張部9a、第2膨張部9bへと導かれ、更に右の第1膨張部9a、第2膨張部9bへと導かれる。左右の第1膨張部9a、第2膨張部9bの空気を外部に排気するときは、空気排気口42を押圧して開かされた排気口から外部に排気する。このように、左右の第1膨張部9aが中央部で連通しており、ポンプ41により、左右の第1膨張部9a、第2膨張部9bへの空気の吸入、排気を行うことができる。
【0052】
従って、例えば、装着者の利腕側の第1膨張部9aにポンプ41を配設すれば、装着者による操作性は向上し、簡易な操作で膨張量の微調整を図ることができ、バストの造形性をより高めることが可能となる。
【0053】
以上説明したように、この発明の第4実施形態によれば、カップ部を有する衣類において、一対のカップ部2と、カップ部2の脇側に設けられたバック部5と、カップ部2に収容されるように装着されるエアーパッド9とを備え、エアーパッド9は、バストを脇側及び下側から持ち上げる第1膨張部9aと、バストの上部のボリュームを補う第2膨張部9bと、を左右それぞれに有し、上記左右の第1膨張部9aのいずれかには、上記左及び右の第1膨張部9a及び第2膨張部9bに空気を送るポンプ41が配設されている、カップ部を有する衣類が提供される。従って、利腕側のポンプ41による簡易な操作により、左右の膨張部のいずれかにだけ空気を送ること、或は空気を抜くことが可能となる。ゆえにバストの左右のボリュームのバランスを微調整することが可能となる。
【0054】
なお、ポンプ41は、左右の第1膨張部9a又は第2膨張部9bのいずれかに設けることができる。
【0055】
以上、本発明の第1乃至第4実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の改良、変更が可能である。
【0056】
例えば、エアーパッドの第1膨張部と第2膨張部の膨張量を、装着者のバストの形状に合わせて調整することも可能である。即ち、例えば特にバストアップを図りたい装着者に対しては第1膨張部の膨張量を多くするなど、オーダーメード、カスタムメードが可能となる。
【0057】
また、第1乃至第4実施形態に係るブラジャーは、ベース部4を介して左右のカップ部2が連結されると共に、ベース部4とバック部5とが連結される例を挙げたが、これに限定されず、ベース部4を備えない所謂眼鏡タイプとしてもよい。その場合には、バック部5がカップ支持部3又はカップ部2に直接連結されることになり、左右のカップ部同士を連結する連結部材を別途設けることになる。
【0058】
また、第1乃至第4実施形態では、ブラジャーを例に挙げて説明したが、本発明はブラスリップ、ブラキャミソール、スリーインワン、ボディスーツ、レオタード、水着、ブラドレス等のカップ部を有する衣類にも適用されることは勿論である。
【符号の説明】
【0059】
1 ブラジャー
2 カップ部
3 カップ支持部
4 ベース部
5 バック部
6 肩ストラップ
7 係止具
8 長さ調整具
9 エアーパッド
9a 第1膨張部
9b 第2膨張部
9c 境界部
9d 位置合わせ部
10 ポンプ
10a,10b 空気通過口
11 空気排気口
12a,12b ドットボタン(凸部)
13 空気吸入口
14a,14b ドットボタン(凹部)
15a 第1の凹部
15b 第2の凹部
20 ブラジャー
21a,21b パイプ
30 ブラジャー
31、34 ポンプ
32、35 空気排気口
33、36 空気吸入口
40プラジャー
41 ポンプ
42 空気排気口
43 空気吸入口
図1
図2
図3
図4
図5
図6