(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1回動部材及び前記第2回動部材が、それぞれ、前記スライダを移動させるべく、前記第1回動部材及び前記第2回動部材の回動運動を直線運動に変換する操作用突起を有し、
前記第1回動部材及び前記第2回動部材の各々の操作用突起が、前記ケース内の底部に設けられるとともに、
前記第1回動軸及び前記第2回動軸が、それぞれ、前記ケース内の天井部に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の多方向入力装置。
前記操作部材の支点部が、前記嵌合部の内部への嵌合時に、前記嵌合部の内側とその全域にわたって接するように配置されていることを特徴とする請求項7に記載の多方向入力装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、操作部材に連動する回動部材の剛性の向上を図ることができる多方向入力装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、
ケースと
、
前記ケースの内部から外部に突出する傾倒可能な操作部材と、
第1回動軸を有し、前記操作部材の傾倒動作に応じて前記第1回動軸回りに回動するように前記ケースの内部に保持された第1回動部材と、
前記第1回動軸の軸方向と直交する方向に延在する第2回動軸を有し、前記操作部材の傾倒動作に応じて前記第2回動軸回りに回動するように前記ケースの内部に保持された第2回動部材と、
前記第1回動部材及び第2回動部材の回動動作をそれぞれ検出可能に構成された第1検出装置及び第2検出装置と、
前記操作部材の原点復帰を行うための復帰部材とを備える多方向入力装置であって、
前記操作部材は、
前記ケースの内部に上方から挿入された軸部と、前記軸部の挿入端部に連結された支点部とを有し、
前記第1回動部材は、
前記第1回動軸と一体回動可能に連結され、前記操作部材の支点部を下方から内部に嵌合可能に形成された凹状の嵌合部を有し、この嵌合部の内側に、前記支点部と前記第2回動軸の軸方向に係合可能に形成された係合面と、前記第1回動部材に対する前記支点部の前記第2回動軸の軸方向回りの回動を許容するガイド面とを含み、
前記第2回動部材は、
前記第2回動軸の軸方向に延びる長孔を含み、前記操作部材の支点部を前記嵌合部と協働して上下から挟むように、前記軸部を前記長孔にその長手方向に移動可能に通しつつ前記支点部を上方から被覆する係合部であって、前記第2回動軸と一体回動可能に連結され、前記軸部と前記第1回動軸の軸方向に係合可能に構成された係合部を有している
多方向入力装置において、
前記操作部材の支点部は、その外面に、前記第2回動軸と垂直の平坦面から構成された係合面を有し、
前記第1回動部材の嵌合部の係合面が、前記操作部材の支点部の係合面と対向する平坦面から構成されているものである。
【0008】
この構成によれば、前記操作部材を傾倒操作すれば、その傾倒動作に応じて前記第1回動部材及び前記第2回動部材を互いに独立して回動させることが可能となる。例えば、前記操作部材を前記第2回動軸の軸方向に傾倒操作した場合、前記操作部材の支点部と前記第1回動部材の嵌合部とを係合させて、前記操作部材に連動するように前記第1回動部材を前記第1回動軸回りに回動させることができる。この場合、前記操作部材は、前記軸部を前記長孔に沿って移動させることになるので、前記第2回動部材は回動しない。また、前記操作部材を前記第1回動軸の軸方向に傾倒操作した場合、前記操作部材の軸部と前記第2回動部材の係合部とを係合させて、前記操作部材に連動するように前記第2回動部材を前記第2回動軸回りに回動させることができる。この場合、前記操作部材は、前記支点部を前記嵌合部と相対回動させることになるので、第1回動部材は回動しない。したがって、前記第1検出装置及び前記第2検出装置により前記第1回動部材及び第2回動部材の回動動作をそれぞれ検出して、前記操作部材の傾倒量を検知できる。
【0009】
また、前記操作部材の原点復帰が行われている場合であっても、前記操作部材の支点部が前記第1回動部材における前記嵌合部の内部に嵌合された状態で、この支点部を前記嵌合部の係合面に前記第2回動軸の軸方向に係合させることができるので、前記操作部材の前記軸部回りの回転を規制できる。しかも、その係合を行うために前記支点部を前記嵌合部の内部に嵌合する構造をとるので、前記第1回動部材に前記操作部材との係合用貫通孔を設ける必要が生じず、前記第1回動部材の剛性の向上を図ることができる。その結果、前記多方向入力装置の製品強度を高め、例えば、前記操作部材の捻り回転を確実に防止できる。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の多方向入力装置において、
前記操作部材の支点部及び前記第2回動部材の係合部のいずれか一方が凹部を備え、いずれか他方が凸部を備えて、
前記凹部と前記凸部とを引っ掛けることにより、前記係合部が前記支点部の上方への移動を規制するように構成されているもので
あって、
前記操作部材の支点部は、その外面に、前記第1回動軸の軸方向へ凸となる円弧状の曲面から構成された膨出面を更に含み、
前記第1回動部材の嵌合部のガイド面が、前記操作部材の支点部の膨出面に沿って前記第1回動軸の軸方向へ凹となる円弧状の曲面から構成され、
前記操作部材の支点部に備える前記凹部又は前記凸部が、前記支点部の膨出面上に設けられているものである。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の多方向入力装置において、
前記ケースに上下方向に移動可能に収容されたプッシャと、前記プッシャを上方へ付勢するスナップ式の接点部材とを有し、前記操作部
材の押下を検出し得る押下スイッチを備え、
前記操作部材が、前記第1回動部材を下動させるように押下可能に構成され、
前記押下スイッチが、前記操作部材の押下に伴い下動する前記第1回動部材により前記プッシャを前記接点部材の付勢力に抗して下動させ、このプッシャにより前記接点部材を押すように構成されているものである。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の多方向入力装置において、
前記第1検出装置及び前記第2検出装置が、それぞれ、
前記操作部材の傾倒操作に基づく前記第1回動部材及び前記第2回動部材の回動に伴って前記ケース内の基板上を直進運動する直進式のスライダと、
前記基板上に形成された抵抗回路と、前記スライダのうちこれが前記基板と対向する対向面に取付けられ且つ前記抵抗回路上を摺接する接触子とからなるスライド型の可変抵抗器とを用いて構成されているものである。
【0013】
請求項5に係る発明は、請求項4に記載の多方向入力装置において、
前記第1回動部材及び前記第2回動部材が、それぞれ、前記スライダを移動させるべく、前記第1回動部材及び前記第2回動部材の回動運動を直線運動に変換する操作用突起を有し、
前記第1回動部材及び前記第2回動部材の各々の操作用突起が、前記ケース内の底部に設けられるとともに、
前記第1回動軸及び前記第2回動軸が、それぞれ、前記ケース内の天井部に配置されているものである。
【0014】
請求項6に係る発明は、請求項4に記載の多方向入力装置において、
前記操作部材が、前記第1回動部材を下動させるように押下可能に構成され、
前記第1回動部材が、
前記スライダを移動させるべく、前記第1回動部材の回動運動を直線運動に変換する操作用突起を有し、
前記スライダが、
前記操作用突起と前記スライダの移動方向に係合するように、前記操作用突起を上下方向に移動可能に収容する凹部を有しているものである。
【0015】
請求項7に係る発明は、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の多方向入力装置において、
前記第1回動部材が、
前記嵌合部の内側に、前記操作部材の支点部を下方から支持するように当該支点部と接触可能に形成された支持面を更に含み、
前記操作部材の支点部が、
前記嵌合部の内側のうち、前記係合面、前記ガイド面及び前記支持面の各々に接するように、前記嵌合部の内部に嵌合されているものである。
【0016】
このような構成によれば、前記操作部材の支点部が前記第1回動部材の嵌合部の内部に嵌合された場合に、前記支点部を、前記ガイド面及び前記係合面に当てて支えるとともに、当該支点部の下方に位置する前記支持面に当てて支持することが可能となる。したがって、前記多方向入力装置を装着した機器が落下した等の理由で、前記操作部材に前記軸部を挟んで支点部と反対側から軸方向に衝撃が加わった際に、前記操作部材から前記支点部を介して前記嵌合部へ伝わる衝撃を効果的に緩和できる。よって、前記第1回動部材の耐衝撃性能を向上させることができる。
【0017】
請求項8に係る発明は、請求項7に記載の多方向入力装置において、
前記操作部材の支点部が、前記嵌合部の内部への嵌合時に、前記嵌合部の内側とその全域にわたって接するように配置されているものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、操作部材に連動する回動部材の剛性の向上を図ることができる多方向入力装置を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
まず、本発明の第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0021】
図1に、本発明の第1実施形態に係る多方向入力装置1の前方斜視図を示す。
図2に、
図1のI−I矢視断面図を示す。
図3に、
図1のI−II矢視断面図を示す。
図4に、前記多方向入力装置1からケース2を取り除いた場合の前方斜視図を示す。なお、前記多方向入力装置1においては、
図1中、矢印Xの方向を上方向とし、矢印Yの方向を左方向とし、矢印Zの方向を前方向とする。
【0022】
本実施形態に係る前記多方向入力装置1は、ゲーム機用コントローラ等の各種の電子機器に使用され得るものである。
図1、
図2、
図3、
図4に示すように、前記多方向入力装置1は、前記ケース2と、操作部材3と、第1回動部材4と、第2回動部材5と、第1検出装置6と、第2検出装置7と、復帰部材8とを備えている。
【0023】
前記ケース2は、前記第1回動部材4及び前記第2回動部材5のほか、基板10(例えば、周知のプリント基板)等を収容可能なものである。本実施形態において、前記ケース2は、下ケース11と、上ケース12とを有し、前記下ケース11と前記上ケース12とが組み合わされることにより角箱形状を呈するように形成されている。
【0024】
前記下ケース11は、底板部14と、左右の側壁部15・16とを備え、正面視で凹字状に形成されている(
図3参照)。前記底板部14は、矩形板状に形成されている。前記左右の側壁部15・16は、それぞれ前記底板部14の周縁のうちの左辺部及び右辺部から立設され且つ前後方向に延設されて、互いに対向するように配置されている。
【0025】
前記左右の側壁部15・16うちの左側壁部15の上端部には、一対の左爪部18が前後両端付近から右方に向かって突出するように設けられている。前記左右の側壁部15・16のうちの右側壁部16の上端部には、一対の右爪部19が前後両端付近から右方に向かって突出するように設けられている。
【0026】
前記上ケース12は、天板部21と、前記天板部21の周囲を囲む側壁部22とを備え、下方に開口する角箱形のキャップ状に形成されている。そして、前記上ケース12は、前記下ケース11の底板部14を被覆するように配置されるとともに、前記下ケース11の左右の側壁部15・16間に嵌め込まれて保持され得るようなっている。
【0027】
前記天板部21の周縁のうちの左辺部には、前記左側壁部15に設けられた前記一対の左爪部18とそれぞれ係合可能に形成された一対の係合凹部24が設けられている。前記天板部21に周縁のうちの右辺部には、前記右側壁部16に設けられた前記一対の右爪部19とそれぞれ係合可能に形成された一対の係合凹部25が設けられている。
【0028】
こうして、前記ケース2は、前記上ケース12を前記下ケース11に上方から被せて組み合わせる際に、前記下ケース11側の前記一対の左爪部18及び前記一対の右爪部19をそれぞれ対応する前記上ケース12側の前記係合凹部24・25に係合させて、前記下ケース11と前記上ケース12とを固定できるようになっている。
【0029】
本実施形態においては、さらに、複数の爪部26・27が前記上ケース12の側壁部22に設けられるとともに、その各爪部26・27に係合可能な係合孔28・29が前記下ケース11の左右の側壁部15・16にそれぞれ設けられ、これらの係合により前記下ケース11と前記上ケース12とを更に強固に固定できるようになっている。
【0030】
また、前記上ケース12は、挿通孔30を前記天板部21の略中央部に備えており、この挿通孔30に前記操作部材3を挿通できるように構成されている。前記挿通孔30は、当該挿通孔30に挿通された前記操作部材3の動作を阻害しないような所定の直径を有する丸孔からなり、上下方向に開口するように形成されるとともに、弾性カバーにより被覆されている。
【0031】
図5に、前記操作部材3、前記第1回動部材4、及び、前記第2回動部材5を組み合せた状態を表す後方斜視図を示す。
図6に、前記操作部材3の正面図を示す。
図7に、前記操作部材3の右側面図を示す。
図8に、前記操作部材3の底面図を示す。
【0032】
前記操作部材3は、前記ケース2の内部から外部に突出され、その突出状態で傾倒可能に構成されている。
図5、
図6、
図7、
図8にも示すように、前記操作部材3は、前記ケース2の内部に挿入された軸部31と、前記軸部31の挿入端部(下端部)に連結された支点部32を有している。本実施形態において、前記操作部材3は、絶縁樹脂製のものであり、頭部33を更に有している。
【0033】
前記軸部31は、前記上ケース12に対して相対移動可能に配置されている。詳しくは、前記軸部31は、前記挿通孔30よりも小さい直径を有する丸棒状に形成されている。そして、前記軸部31は、長手方向を上下方向として、前記挿通孔30の中心位置(初期基準位置)とその径方向外側の所定位置との間で変位可能なように、前記挿通孔30に挿通されている。
【0034】
前記軸部31は、また、略平坦面(略鉛直面)から構成された左係合面34と、略平坦面(略鉛直面)から構成された右係合面35とを有している。前記左係合面34は、前記軸部31の左側下部が切り欠かれることにより左方に面するように形成されている。前記右係合面35は、前記軸部31の右側下部が切り欠かれることにより右方に面するように形成されている。
【0035】
前記支点部32は、前記操作部材3の傾倒時にその傾倒動作の支点となる部分であり、前記軸部31よりも大きな前後幅を有している。前記支点部32の外面は、前方へ凸となる円弧状の曲面から構成された前膨出面36と、後方へ凸となる円弧状の曲面から構成された後膨出面37とを含み、側面視で下方へ凸となる半球状を呈するように形成されている(
図7参照)。
【0036】
前記支点部32の外面は、また、略平坦面(略鉛直面)から構成された左係合面38と、略平坦面(略鉛直面)から構成された右係合面39とを有している。前記左係合面38は、前記軸部31の左係合面34と略同一平面上に位置するように連続的に形成されている。前記右係合面39は、前記軸部31の右係合面35と略同一平面上に位置するように連続的に形成されている。
【0037】
図9に、前記第1回動部材4の正面図を示す。
図10に、前記第1回動部材4の背面図を示す。
図11に、前記第1回動部材4の右側面図を示す。
図12に、前記第1回動部材4の右側面断面図を示す。
図13に、前記第1回動部材4の平面図を示す。
【0038】
図9、
図10、
図11、
図12、
図13にも示すように、前記第1回動部材4は、軸方向を前後方向とする第1回動軸41を有し、前記操作部材3の傾倒動作に応じて前記第1回動軸41回りに回動するように前記ケース2の内部に保持されている。また、前記第1回動部材4は、前記第1回動軸41と一体回動可能に連結された凹状の嵌合部42を有している。
【0039】
前記嵌合部42は、前記操作部材3の支点部32を下方から嵌合可能なものであり、当該嵌合部42の内側に、前記第1回動部材4に対する前記支点部32の前記第2回動軸の軸方向回りの回動を許容する前後のガイド面45・46と、前記支点部32と前記第2回動軸の軸方向に係合可能に形成された左右の係合面48・49とを含んでいる。
【0040】
本実施形態において、前記第1回動部材4は、絶縁樹脂製のものであり、前記下ケース11の底板部14(前記基板10)の上方に配置されている。前記第1回動軸41は、その軸方向を前後方向として配置されており、前軸部41A及び後軸部41Bから構成されている。前記前軸部41A及び前記後軸部41Bは、それぞれ、丸棒状に形成されている。
【0041】
前記前軸部41A及び前記後軸部41Bは、各々の軸方向を略水平方向として前記嵌合部42を前後から挟むように同軸上に配置されており、前記上ケース12に対して回動自在に設けられている。そして、前記前軸部41A及び前記後軸部41Bは、それぞれの軸方向一端部で前記嵌合部42と一体回動可能に連結されている。
【0042】
前記嵌合部42は、下方へ凸となる中空半球状体で構成されており、上方に開口する嵌合穴44を備えている。前記嵌合穴44は、前記操作部材3の支点部32における前記前後の膨出面36・37、及び、前記左右の係合面38・39に沿った形状を有する内面を有し、前記支点部32を略隙間なく嵌め込むことができるように形成されている。
【0043】
すなわち、前記嵌合穴44の内面は、前方へ凹となる円弧状の曲面から構成された前記前ガイド面45と、後方へ凹となる円弧状の曲面から構成された前記後ガイド面46とを含み、側面視で下方へ凹となる半球状を呈するように形成されている(
図12参照)。なお、その底部分には下膨出面47が設けられて、前記嵌合部42の底部が肉厚化されている。
【0044】
前記嵌合穴44の内面は、また、略平坦面(略鉛直面)から構成された前記左係合面48と、略平坦面(略鉛直面)から構成された前記右係合面49とを含んでいる。前記左係合面48は、前記支点部32の左係合面38と係合可能に形成されている。前記右係合面49は、前記支点部32の右係合面39と係合可能に形成されている。
【0045】
さらに、前記第1回動部材4は、左係合部51と右係合部52とを有している。前記左係合部51及び右係合部52は、それぞれ前記嵌合部42から上方へ突出するように設けられ、前記支点部32が前記嵌合穴44に嵌め込まれて前記嵌合部42に嵌合されたとき、前記操作部材3を左右から挟むことができるように構成されている。
【0046】
詳しくは、前記左係合部51は、前記嵌合部42の左側上面に立設されており、略平坦面(略鉛直面)から構成された左係合面53を備えている。前記左係合面53は、前記左係合部51において右方に面するように配置されており、前記嵌合部42における前記左係合面48と略同一平面上に位置するように連続的に形成されている。
【0047】
前記右係合部52は、前記嵌合部42の右側上面に立設されており、略平坦面(略鉛直面)から構成された右係合面54を備えている。前記右係合面54は、前記右係合部52において左方に面するように配置されており、前記嵌合部42における前記右係合面49と略同一平面上に位置するように連続的に形成されている。
【0048】
ここで、前記左係合部51及び前記右係合部52は、前記嵌合部42から略同一の高さ位置(上下位置)まで上方へ突出されている。そして、前記左右の係合部51・52の各突出端部(前記左右の係合面53・54の各上端部)が、前記第1回動部材4と前記第2回動部材5とが組み合わされた際に前記第2回動部材5の上端部と同程度の高さ位置となるように設けられている。
【0049】
また、前記第1回動部材4は、前支持部56と後支持部57とを有している。前記前支持部56及び前記後支持部57は、それぞれ、略平坦面(略水平面)から構成された下面を備え、その下面が互いに略同一の高さ位置であって前記前軸部41A及び前記後軸部41Bに対して略同一の高さ位置又は下方に位置するように前記嵌合部42の前後両側に配置されている。
【0050】
詳しくは、前記前支持部56は、前記嵌合部42の上部から前記前軸部41Aに沿って前方へ突出するように設けられて、前記前軸部41Aの左右両側に配置されている。前記後支持部56は、前記嵌合部42の上部から前記後軸部41Bに沿って後方へ突出するように設けられて、前記後軸部41Bの左右両側に配置されている。
【0051】
また、前記第1回動部材4は、第1延出部58を有している。前記第1延出部58は、前記後軸部41Bの軸方向他端部(後端部)から下方へ延出するように設けられている。前記第1延出部58は、背面視で扇形状に形成され、その円弧部分に相当する下端部が前記基板10と接触しないように前記後軸部41Bと一体回動可能に固定されている。
【0052】
前記第1延出部58の下端部には、第1操作用突起59が備えられている。前記第1操作用突起59は、前記後軸部41B(前記第1回動部材4)の回動運動を直線運動に変換するためのものであり、前記第1延出部58が前記後軸部41Bと一体回動するとき、左右方向に変位し得る。前記第1操作用突起59は、前記第1延出部58の円弧部分に沿う円弧状に形成されている。
【0053】
図14に、前記第2回動部材5の正面図を示す。
図15に、前記第2回動部材5の左側面図を示す。
図16に、前記第2回動部材5の右側面図を示す。
図17に、前記第2回動部材5の底面図右側面断面図を示す。
【0054】
図14、
図15、
図16、
図17にも示すように、前記第2回動部材5は、前記第1回動軸41と直交する方向に延在する第2回動軸62を有し、前記操作部材3の傾倒動作に応じて前記第2回動軸62回りに回動するように前記ケース2の内部に保持されている。前記第2回動部材5は、前記第2回動軸62と一体回動可能に連結された係合部63を有している。
【0055】
前記係合部63は、前記第2回動軸62の軸方向に延びる長孔64を含み、前記操作部材3の支点部32を前記第1回動部材4の嵌合部42と協働して上下から挟むように、前記軸部31を前記長孔64にその長手方向に移動可能に通しつつ前記支点部32を上方から被覆するように設けられ、また、前記操作部材3の軸部31と前記第1回動軸41の軸方向に係合可能に構成されている。
【0056】
本実施形態において、前記第2回動部材5は、絶縁樹脂製のものであり、前記第1回動部材4に上方から組み合されている。前記第2回動軸62は、その軸方向を左右方向として配置されており、左軸部62A及び右軸部62Bから構成されている。前記左軸部62A及び前記右軸部62Bは、それぞれ、丸棒状に形成されている。
【0057】
前記左軸部62A及び前記右軸部62Bは、各々の軸方向を略水平方向として前記係合部63を左右から挟むように同軸上に配置されており、前記上ケース12に対して回動自在に設けられている。そして、前記左軸部62A及び前記右軸部62B(前記第2回動軸62)は、それぞれの軸方向一端部で前記係合部63と一体回動可能に連結されている。
【0058】
ここで、前記左軸部62A及び前記右軸部62Bは、前記第1回動部材4の第1回動軸41、即ち前記前軸部41A及び前記後軸部41Bと略同一平面上に配置され、前記前軸部41A及び前記後軸部41Bとは独立して回動できるように設けられている。
【0059】
前記係合部63は、前記軸部31の一部及び前記第1回動部材4の左右の係合部51・52等を収容可能なものであり、上方へ凸となる中空半球状体で構成されている。そして、前記長孔64が、前記係合部63の上部において、頂部付近を通過するように左右方向に延設されるとともに、上下方向に開口するように設けられている。
【0060】
前記長孔64の長手幅(左右幅)は、前記軸部31及びこれを左右から挟む前記第1回動部材4の左右の係合部51・52を通過させ且つ左右方向への移動を許容すべく、これらの左右幅を足し合わせたものよりも大きく設定されている。一方、前記長孔64の短手方向幅(前後幅)は、前記軸部31の前後幅と同程度に設定されている。
【0061】
こうして、前記係合部63においては、前記長孔64の内面のうちの前面65及び後面66が、それぞれ、前記軸部31が前記長孔64に通されたときに当該軸部31と前後方向に係合する係合面として機能するとともに、前記長孔64の長手方向(左右方向)に移動する前記軸部31を案内するガイド面として機能するようになっている。
【0062】
また、前記係合部63は、前切欠部67と後切欠部68とを有している。前記前切欠部67は、前記第1回動部材4と前記第2回動部材5とが組み合わされた場合に前記係合部63が前記第1回動部材4(前記前軸部41A及び前記前支持部56)と干渉しないように、前記係合部63の前部下側が切り欠かれることにより、下向きに開口する凹状に形成されている。
【0063】
前記後切欠部68は、前記第1回動部材4と前記第2回動部材5とが組み合わされた場合に前記係合部63が前記第1回動部材4(前記後軸部41B及び前記後支持部57)と干渉しないように、前記係合部63の前部下側が切り欠かれることにより、下向きに開口する凹状に形成されている。こうして、前記第2回動軸62が、前記第1回動軸41と略同一平面上に配置可能とされている。
【0064】
そのうえ、本実施形態において、前記係合部63は、前記操作部材3に組み合されたとき、前記前切欠部67の底面側でその下方に位置する前記操作部材3の支点部32の前上部に上方から当たるとともに、前記後切欠部68の底面側でその下方に位置する前記支点部32の後上部に上方から当たって、前記支点部32を上方から押さえることができるようになっている。
【0065】
本実施形態において、前記係合部63は、前凹部69と後凹部70とを有している。前記前凹部69は、前記支点部32の前膨出面36上に設けられた前凸部71と係合可能なように、前記前切欠部67の底面に形成されている。前記後凹部69は、前記支点部32の後膨出面37上に設けられた後凸部72に係合可能なように、前記後切欠部68の底面に形成されている。
【0066】
そのため、前記係合部63が前記嵌合部42に嵌合された前記支点部32を上方から被覆する際、前記前凹部69が前記支点部32の前凸部71に引っ掛けられるとともに、前記後凹部70が前記支点部32の後凸部72に引っ掛けられる。したがって、前記係合部63により前記支点部32を係止保持して、前記操作部材3の上方への移動を規制し、前記操作部材3の抜けを防止できる。
【0067】
なお、前記前凹部69及び前記後凹部70は、それぞれ前記前凸部71及び前記後凸部72に対応するように上方へ凹となる円弧状の曲面から構成された内面を有し、前記前凸部71及び前記後凸部72に引っ掛けられた後、前記操作部材3の左右方向への傾倒操作に伴い回動する前記支点部32をガイドし得るようになっている。
【0068】
また、前記第2回動部材5は、左支持部73と右支持部74とを有している。前記左支持部73及び前記右支持部74は、それぞれ、略平坦面(略水平面)から構成された下面を有し、その下面が互いに略同一の高さ位置であって前記左軸部62A及び前記右軸部62Bに対して略同一の高さ位置又は下方に位置するように前記係合部63の左右両側に配置されている。
【0069】
詳しくは、前記左支持部73は、前記係合部63の下部から前記左軸部62Aに沿って左方へ突出するように設けられて、前記左軸部62Aの前後両側に配置されている。前記右支持部74は、前記係合部63の下部から前記右軸部62Bに沿って左方へ突出するように設けられて、前記右軸部62Bの前後両側に配置されている。
【0070】
ここで、前記左支持部73及び前記右支持部74は、前記第1回動部材4と前記第2回動部材5とが組み合わされたとき、各々の下面が前記第1回動部材4における前記前支持部56及び前記後支持部57の各々の下面と略同一平面上に位置するように設けられている。
【0071】
さらに、前記第2回動部材5は、左第2延出部75と右第2延出部76とを有している。前記左第2延出部75は、前記左軸部62Aの軸方向他端部(左端部)から下方へ延設されている。前記左第2延出部75は、側面視で扇形状に形成され、その円弧部分に相当する下端部が前記基板10と接触しないように前記左軸部62Aと一体回動可能に固定されている。
【0072】
前記左第2延出部75の下端部には、第2操作用突起77が備えられている。前記第2操作用突起77は、前記左軸部62A(前記第2回動部材5)の回動運動を直線運動に変換するためのものであり、前記左第2延出部75が前記左軸部62Aと一体回動するとき、前後方向に変位し得る。前記第2操作用突起77は、前記左第2延出部75の円弧部分に沿う円弧状に形成されている。
【0073】
したがって、前記多方向入力装置1においては、前記操作部材3、前記第1回動部材4、及び、前記第2回動部材5を前記ケース2の内部で組み合わせた場合に、前記操作部材3を任意の方向に前記支点部32を支点として傾倒操作したとき、前記操作部材3の傾倒動作に応じて前記第1回動部材4及び前記第2回動部材5を互いに独立して回動させることが可能となる。
【0074】
例えば、前記操作部材3を前記第2回動軸62の軸方向(左又は右方向)に傾倒操作した場合、前記操作部材3の支点部32の左又は右の係合面38・39と前記第1回動部材4の嵌合部42の左又は右の係合面48・49を係合させ、ここでは更に前記軸部31の左又は右の係合面34・35と前記左係合部51の左係合面53又は前記右係合部52の右係合面54とを係合させることができる。
【0075】
したがって、前記操作部材3が初期基準位置(中立位置)から傾倒したとき、この操作部材3に連動するように前記第1回動部材4を前記第1回動軸41回りに回動させることができる。この場合、前記操作部材3は、前記軸部31を前記長孔64に沿ってその長手方向(左又は右方向)に移動させるので、前記第2回動部材5は回動しない。
【0076】
また、前記操作部材3を前記第1回動軸41の軸方向(前又は後方向)に傾倒操作した場合、前記長孔64を通る前記操作部材3の軸部31と前記第2回動部材5の係合部63の前面65又は後面66とを係合させることができる。
【0077】
したがって、前記操作部材3が初期基準位置から傾倒したとき、この操作部材3に連動するように前記第2回動部材5を前記第2回動軸62回りに回動させることができる。この場合、前記操作部材3は、前記前後の後膨出面36・37を用いて前記支点部32を前記前後のガイド面45・46に沿って前記嵌合部42と相対回動させることになるので、前記第1回動部材4は回動しない。
【0078】
また、前記多方向入力装置1において、前記第1検出装置6は、前記第1回動部材4の回動動作を検出可能に構成されている。本実施形態において、前記第1検出装置6は、前記操作部材3の左右方向の傾倒量を検知するために前記第1回動部材4の回動動作を検出するものであり、直進式の第1スライダ81と、第1可変抵抗器82とを用いて構成されている。
【0079】
前記第1スライダ81は、前記操作部材3の左右方向の傾倒操作に基づく前記第1回動部材4の回動に伴って前記基板10上を前記第1回動軸41と直交する方向(左右方向)に直進運動するように構成されている。前記第1スライダ81は、前記基板10上に左右方向にスライド移動自在に設けられ、前記第1回動部材4の後方に配置されている。
【0080】
前記第1スライダ81には、下方に開口する第1係合凹部83が設けられている。そして、前記第1スライダ81は、前記第1操作用突起59と左右方向に係合するように当該第1操作用突起59を前記第1係合凹部83に上下方向に移動可能に収容し、前記第1操作用突起59の左右方向の変位により左右方向にスライド移動するようになっている。
【0081】
前記第1可変抵抗器82は、スライド型のものである。前記第1可変抵抗器82は、前記基板10上に形成された第1抵抗回路と、前記第1抵抗回路上を摺動接触する接触子とから構成されている。前記接触子は、前記第1スライダ81のスライド移動に伴い前記第1抵抗回路上を摺動するように、前記第1スライダ81における前記基板10と対向する対向面(下面)に取り付けられている。
【0082】
前記第2検出装置7は、前記第2回動部材5の回動動作を検出可能に構成されている。本実施形態において、前記第2検出装置7は、前記操作部材3の前後方向の傾倒量を検知するために前記第2回動部材5の回動動作を検出するものであり、本実施形態においては、直進式の第2スライダ85と、第2可変抵抗器86とを用いて構成されている。
【0083】
前記第2スライダ85は、前記操作部材3の前後方向の傾倒操作に基づく前記第2回動部材5の回動に伴って前記基板10上を前記第2回動軸62と直交する方向(前後方向)に直進運動するように構成されている。前記第2スライダ85は、前記基板10上に前後方向にスライド移動自在に設けられ、前記第2回動部材5の左方に配置されている。
【0084】
前記第2スライダ85には、下方に開口する第2係合凹部87が設けられている。そして、前記第2スライダ85は、前記第2操作用突起77と前後方向に係合するように当該第2操作用突起77を前記第2係合凹部87に上下方向に移動可能に収容し、前記第2操作用突起77の前後方向の変位により前後方向にスライド移動するようになっている。
【0085】
前記第2可変抵抗器86は、スライド型のものである。前記第2可変抵抗器86は、前記基板10上に形成された第2抵抗回路と、前記第2抵抗回路上を摺動接触する接触子とから構成されている。前記接触子は、前記第2スライダ85のスライド移動に伴い前記第2抵抗回路上を摺動するように、前記第2スライダ85における前記基板10と対向する対向面(下面)に取り付けられている。
【0086】
なお、本発明に係る第1検出装置及び第2検出装置は、それぞれ、本実施形態においては前記第1回動部材4の回動動作及び前記第2回動部材5の回動動作をそれぞれ間接的に検出可能な前記第1検出装置6及び前記第2検出装置7としているが、特に限定するものではなく、例えば、回動動作を直接検出可能なセンサ(光センサや磁気センサ等)としてもよい。
【0087】
前記復帰部材8は、前記操作部材3の原点復帰を行うためのものである。本実施形態において、前記復帰部材8は、前記第1回動部材4及び前記第2回動部材5を初期基準位置(中立位置)に弾性保持することにより、前記操作部材3の傾倒操作及び押下操作の後に原点復帰を可能にするものであり、リング88とスプリング89を有している。
【0088】
前記リング88は、前記第1回動部材4における前記前後の支持部56・57の下面と、前記第2回動部材5における前記左右の支持部73・74の下面とに面接触可能な略平坦面から構成された上面に備えている。前記リング88は、その面接触が行われるように、前記第1回動部材4の嵌合部42に下方から外嵌されている。
【0089】
前記スプリング89は、前記リング88と前記下ケース11の底板部14(又は、前記底板部14に取り付けられた金属製カバー)との間に圧縮状態で介装され、前記リング88を介して前記第1回動部材4及び前記第2回動部材5を上方に付勢するようになっている。これにより、本実施形態においては、前記操作部材3の押下操作が可能となっている。
【0090】
なお、本発明に係る復帰部材は、本実施形態においては前記スプリング89を有する前記復帰部材8としているが、特に限定するものではなく、例えば、前記第1回動部材4及び前記第2回動部材5の原点復帰を行うために、前記各スライダ81・85を付勢するスプリングを有するものとしてもよい。
【0091】
以上のような構成により、前記多方向入力装置1においては、前述のとおり、前記操作部材3を傾倒操作すれば、その傾倒動作に応じて前記第1回動部材4及び前記第2回動部材5を互いに独立して回動させ得る。よって、前記第1検出装置6及び前記第2検出装置7により前記第1回動部材4及び第2回動部材5の回動動作をそれぞれ検出して、前記操作部材3の傾倒量を検知できる。
【0092】
また、前記操作部材3の原点復帰が行われている場合であっても、前記操作部材3の支点部32が前記第1回動部材4における前記嵌合部42の内部に嵌合された状態で、この支点部32を前記嵌合部42の左係合面48又は右係合面49に前記第2回動軸62の軸方向に係合させることができるので、前記操作部材3の前記軸部31回りの回転を規制できる。
【0093】
しかも、前記操作部材3の支点部32と前記第1回動部材4における前記嵌合部42の左係合面48又は右係合面49との係合を行うために前記支点部32を前記嵌合部42の内部に嵌合する構造をとるので、前記第1回動部材4の剛性の向上を図ることができる。その結果、前記多方向入力装置1の製品強度を高め、例えば、前記操作部材3の捻り回転を確実に防止できる。
【0094】
また、本実施形態においては、前記第2回動部材5における前記前後の凹部69・70と前記操作部材3における前記前後の凸部71・72とがそれぞれ引っ掛けられることにより、前記支点部32の上方への移動が前記第2回動部材5(前記係合部63)により規制されるので、前記操作部材3を前記第2回動部材5(前記ケース2)に対して確実に抜け止めできる。
【0095】
また、本実施形態において、
図4に示すように、前記多方向入力装置1は、押下スイッチ91を備えている。前記押下スイッチ91は、前記第1回動部材4の回動応に応じて上下方向に移動可能なように前記ケース2に収容されたプッシャ92と、前記プッシャ92を上方へ付勢するスナップ式の接点部材93とを有し、前記操作部材3の押下を検出可能に構成されている。
【0096】
前記プッシャ92は、上向きに開口する凹部95を有し、この凹部95でこれに後方から挿入された前記前軸部41Aの軸方向他端部と当接可能に構成されている。前記プッシャ92は、前記操作部材3が押下されずに前記第1回動部材4が初期基準位置にあるとき、前記前軸部41Aと当接しない状態に保たれる。前記プッシャ92の下端面は下方へ凸となるドーム状に形成されている。
【0097】
ここで、前記前軸部41Aは、前記プッシャ92と当接可能な下側部分に、正面視で下方へ凸となるように上側部分より緩やかに湾曲する曲面から構成された当接面96を備え、前記操作部材3の押下に伴い前記第1回動部材4が下動すると、前記当接面96で前記凹部95(その底面)と当接するように前記第1延出部58と共に下動し、さらにその状態のままで下動し得るようになっている。
【0098】
前記接点部材93は、上方へ凸となるドーム状に形成されたスナッププレートから構成されており、前記下ケース11の底板部14の上面に取り付けられた前記基板10上に設置されている。前記接点部材93は、上下方向に関して対向する前記プッシャ92の下端面と接触し、前記プッシャ92を上方へ付勢するようになっている。
【0099】
これにより、前記操作部材3が前記復帰部材8による付勢力に抗して押下操作されると、その押下操作に伴い前記第1回動部材4、即ち前記第1回動軸41(前記前軸部41A)及び前記第1延出部58が押されて下動する。そして、その下動に伴い、まず、前記前軸部41Aの当接面96が前記プッシャ92に当たるとともに、前記第1延出部58の下端部が前記下ケース11の底板部14に当たる。
【0100】
この状態で、前記操作部材3の押下操作が更に進行すると、前記第1回動部材4が、前記プッシャ92と当接した状態にある前記前軸部41Aを下動させるように、前記第1延出部58の下端部付近を支点して若干回動する。したがって、この前軸部41Aが、前記接点部材93の付勢力に抗して前記プッシャ92を下方へ押して下動させる。
【0101】
その結果、前記プッシャ92により前記接点部材93を押すことが可能となり、これにより前記基板10の表面に形成されたスイッチ回路を開放状態から導通状態に切り替えることができる。この際、本実施形態においては、前述のとおり前記第1回動部材4に十分な剛性を得られているので、前記操作部材3の押下操作時に良好なクリック感を得ることができる。
【0102】
そのうえ、本実施形態においては、前記操作部材3の押下操作時に、前記第1回動部材4における前記1操作用突起59も下動させて前記第1検出装置6の第1スライダ81に対して下方に相対移動させることが可能となるので、前記第1スライダ81に負荷がかかることとはない。よって、耐久性の向上を図ることができる。
【0103】
また、本実施形態においては、
図2に示すように、前記第1操作用突起59が前記ケース2内の底部に配置されるとともに、前記第1回動軸41が前記ケース2内の天井部に配置されている。そして、前記第1回動部材4が前記第1回動軸41回りに回動することで前記第1操作用突起59が左右方向に変位するようになっている。
【0104】
これにより、前記第1検出装置6に関して、前記第1操作用突起59の回転半径を極力大きくとって、前記第1スライダ81の左右方向(水平方向)の移動可能量を増加させることができる。したがって、前記第1検出装置6における分解能を向上させることができる。
【0105】
さらに、前記第2回動部材5における前記第2操作用突起77が前記ケース2内の底部に配置されるとともに、前記第2回動軸62が前記ケース2内の天井部に配置されている。そして、前記第2回動部材5が前記第2回動軸62回りに回動することで前記第2操作用突起77が前後方向に変位するようになっている。
【0106】
これにより、前記第2検出装置7に関して、前記第2操作用突起77の回転半径を極力大きくとって、前記第2スライダ85の前後方向(水平方向)の移動可能量を増加させることができる。したがって、前記第2検出装置7における分解能を向上させることができる。
【0107】
次に、本発明の第2実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0108】
図18に、本発明の第2実施形態に係る多方向入力装置101の前方斜視図を示す。
図19に、
図18のIII−III矢視断面図を示す。
図20に、
図18のIV−IV矢視断面図を示す。
【0109】
前記多方向入力装置101は、
図18、
図19、
図20に示すように、操作部材3の支点部32を第1回動部材4の嵌合部42の内部に挿入嵌合する嵌合構造に関して、第1実施形態に係る前記多方向入力装置1と主として相違する。なお、第1実施形態と実質的に同一の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0110】
図21に、前記多方向入力装置101における前記操作部材3の正面図を示す。
図22に、前記操作部材3の右側面図を示す。
図23に、前記操作部材3の底面図を示す。
図24に、前記多方向入力装置101における前記第1回動部材4の正面断面図を示す。
図25に、前記第1回動部材4の右側面断面図を示す。
【0111】
図21、
図22、
図23、
図24、
図25にも示すように、前記多方向入力装置101においては、前記第1回動部材4が、前記嵌合部42の内側に、前後のガイド面45・46と左右の係合面48・49とを含むとともに、前記操作部材3の支点部32を下方から支持するように当該支点部32と接触可能に形成された支持面105を含んでいる。
【0112】
そして、前記操作部材3の支点部32が、前記第1回動部材4の嵌合部42の内側のうち、前記前後のガイド面45・46、前記左右の係合面48・49、及び、前記支持面105の各々に接するように、前記嵌合部42の内部に嵌合されている。つまり、本実施形態においては、前記支点部32の下端部108が、前記第1回動部材4の嵌合部42の底部で支持可能とされている。
【0113】
詳しくは、前記第1回動部材4において、
図25に示すように、前記嵌合部42が下方へ凸となる中空半球状体で構成されて、上方に開口する嵌合穴44が前記嵌合部42に備えられている。そして、前記嵌合穴44の内面(前記嵌合部42の内側)に、前記前後のガイド面45・46、前記左右の係合面48・49、及び、前記支持面105が設けられている。
【0114】
前記支持面105は、前記嵌合穴44の内面の底部分に配置されている。すなわち、前記支持面105は、側面視で下方へ凹となる半球状を呈するように形成された前記嵌合穴44の内面のうち下側頂点部付近に配置され、前記支点部32が前記嵌合穴44の内部に嵌合された場合に当該支点部32の下端部108と対向するように設けられている。
【0115】
また、前記操作部材3において、前記支点部32の下端部108が、前記嵌合部42の内部への前記支点部32の嵌合時に前記嵌合部42の支持面105と接触可能な接触面110を備えている。この接触面110は、本実施形態においては、前記支持面105に対応するように下方へ凸となる円弧状の曲面から構成された下膨出面からなる。
【0116】
このような構成により、前記操作部材3の支点部32が前記第1回動部材4の嵌合部42の内部に嵌合された場合に、前記支点部32を、その側方周囲に位置する前記前後のガイド面45・46及び前記左右の係合面48・49に当てて支えるとともに、当該支点部32の下方に位置する前記支持面105に当てて支持することが可能となる。
【0117】
したがって、前記多方向入力装置101を装着した機器が落下した等の理由で、前記操作部材3に軸部31を挟んで前記支点部32と反対側(頭部33)側から軸方向に衝撃が加わった際に、前記操作部材3から前記支点部32を介して前記第1回動部材4の嵌合部42へ伝わる衝撃を効果的に緩和できる。よって、前記第1回動部材4の耐衝撃性能を向上させることができる。
【0118】
特に、本実施形態においては、前記操作部材3の支点部32が、嵌合時に前記嵌合部42の内側とその全域にわたって接するように配置されている。詳しくは、前記支点部32が、前記嵌合穴44を埋めるように前記嵌合部42の内部に嵌合されて、前記嵌合穴44の略内面全体(概ね底部分から開口周縁部まで広がる領域)と接触するように配置されている。
【0119】
したがって、前記支点部32を、概ね前記嵌合部42の内側全部(前記前後のガイド面45・46、前記左右の係合面48・49及び前記支持面105を含む領域)に当てる構成をとることが可能となり、前記支点部32から前記嵌合部42へ伝わる衝撃をより効果的に緩和できる。よって、前記第1回動部材4の耐衝撃性能の向上を図ることができる。