特許第6209579号(P6209579)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6209579補助化療薬品とされる医薬組成物その用途
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6209579
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】補助化療薬品とされる医薬組成物その用途
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/07 20060101AFI20170925BHJP
   A61K 31/282 20060101ALI20170925BHJP
   A61K 31/7068 20060101ALI20170925BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20170925BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20170925BHJP
   A61K 31/575 20060101ALI20170925BHJP
   A61K 31/704 20060101ALI20170925BHJP
   A61K 31/36 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   A61K36/07
   A61K31/282
   A61K31/7068
   A61P35/00
   A61P43/00 121
   A61K31/575
   A61K31/704
   A61K31/36
【請求項の数】19
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-218691(P2015-218691)
(22)【出願日】2015年11月6日
(65)【公開番号】特開2016-102111(P2016-102111A)
(43)【公開日】2016年6月2日
【審査請求日】2015年11月9日
(31)【優先権主張番号】103141511
(32)【優先日】2014年11月28日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】515309689
【氏名又は名称】恩揚生物科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(72)【発明者】
【氏名】翁豐嶽
(72)【発明者】
【氏名】劉文煌
(72)【発明者】
【氏名】郭建良
(72)【発明者】
【氏名】林佳祺
【審査官】 石井 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0089627(US,A1)
【文献】 特開2004−091780(JP,A)
【文献】 Journal of Ethnopharmacology,2008年,Vol.118,No.3,pp.387-395
【文献】 Arch Toxicol,2009年,Vol.83,No.2,pp.121-129
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/00−36/9068
A61K 31/282
A61K 31/36
A61K 31/575
A61K 31/704
A61K 31/7068
A61P 35/00
A61P 43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化療薬品の副作用を改善するための医薬組成物の製造方法におけるベニクスノキタケ子実体抽出物の使用であって、
前記医薬組成物は前記化療薬品と併用され、
前記化療薬品の前記副作用は、抜け毛症状、筋肉の融解及び萎縮、消化器病変、腎炎、或いは腎損傷を含み、
前記化療薬品が、シスプラチン(cisplatin)又はゲムシタビン(gemcitabine)であり、
前記筋肉の融解及び萎縮の改善は、筋肉重量を増加させ、ミオスタチン(myostatin)の発現を抑制し、インスリン様成長因子(IGF−1)の発現を促進し、あるいは、前記筋肉におけるプロテアソーム酵素の活性を抑制することであり、前記プロテアソーム酵素は、キモトリプシン(chymotrypsin)、トリプシン(trypsin)又はカスパーゼ(caspase)であり、
前記消化器病変の改善は、腸絨毛破壊及び胃部潰瘍を緩和し、あるいは、化療後の小腸における酵素発現を増加させ、前記小腸における前記酵素は、ロイシンアミノペプチダーゼ(LAP)、リパーゼ(LIP)又はアミラーゼ(amylase)であり、
前記腎炎の改善は、腎炎指数の低減を含み、前記腎炎指数は、クレアチニン(creatinine)、尿素窒素(BUN)又は血清アルブミン(serum albumin)であり、
前記腎損傷の改善は、血液炎症因子の増大を抑制し、前記血液炎症因子は、IL−6、IL−1β又はTNF−αである、ことを特徴とする、使用。
【請求項2】
前記ベニクスノキタケ子実体抽出物は、マウス動物モードにおいて、有効薬用量が、56〜225ミリグラム/キログラム(mg/kg)である、ことを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記ベニクスノキタケ子実体抽出物の成分には、アントシンK(antcin K)、アントシンC(antcin C)、又はアントシンH(antcin H)が含まれる、ことを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項4】
前記ベニクスノキタケ子実体抽出物の成分には、デヒドロスルフレン酸(dehydrosulphurenic acid)又はデヒドロエブリコ酸(Dehydroeburicoic acid)が含まれる、ことを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項5】
前記ベニクスノキタケ子実体抽出物の成分には、アントシンB(antcin B)又はアントシンA(antcin A)が含まれる、ことを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項6】
前記ベニクスノキタケ子実体抽出物の成分には、4,7−ジメトキシ−5− メチル−1,3−ベンゾジオキソール(4,7−dimethoxy−5−methyl− 1,3−benzodioxole、DMB)が含まれる、ことを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項7】
前記医薬組成物は、カプレ、カプセル、滴丸、乳剤、沖劑、水性分散液或いはディスパージョンの経口投与剤である、ことを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項8】
前記ベニクスノキタケ子実体抽出物は、ベニクスノキタケ子実体を、80〜100℃の熱い水に、1〜3時間浸入し、保管液を分離した後、低い極性溶剤で抽出すること、の手順により、上記ベニクスノキタケ子実体抽出物が得られ、前記低い極性溶剤は、ベンジン、n‐ヘキサン、酢酸エチル、アセトン、エタノール及びその組合せを含む群から選ばれる、ことを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項9】
前記ベニクスノキタケ子実体抽出物の有効薬量は、ヒトにおいて、5.06〜18.75ミリグラム/キログラム(mg/kg)である、ことを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項10】
癌の症状を改善するための医薬組成物の製造方法におけるベニクスノキタケ子実体抽出物の使用であって、前記癌の症状は、筋肉の融解及び萎縮、消化器病変、腎炎、或いは腎損傷を含み、
前記筋肉の融解及び萎縮の改善は、筋肉重量を増加させ、ミオスタチン(myostatin)の発現を抑制し、とインスリン様成長因子(IGF−1)の発現を促進し、あるいは、前記筋肉におけるプロテアソーム酵素の活性を抑制することであり、前記プロテアソーム酵素は、キモトリプシン(chymotrypsin)、トリプシン(trypsin)又はカスパーゼ(caspase)であり、
前記消化器病変の改善は、腸絨毛破壊及び胃部潰瘍を緩和し、あるいは、化療後の小腸における酵素発現を増加させ、前記小腸における前記酵素は、ロイシンアミノペプチダーゼ(LAP)、リパーゼ(LIP)又はアミラーゼ(amylase)であり、
前記腎炎の改善は、腎炎指数の低減を含み、前記腎炎指数は、クレアチニン(creatinine)、尿素窒素(BUN)又は血清アルブミン(serum albumin)であり、
前記腎損傷の改善は、血液炎症因子の増大を抑制し、前記血液炎症因子は、IL−6、IL−1β又はTNF−αである、ことを特徴とする使用。
【請求項11】
前記癌症は、肺癌である、ことを特徴とする請求項10に記載の使用。
【請求項12】
前記ベニクスノキタケ子実体抽出物の有効薬量は、マウス動物モードにおいて、56〜225ミリグラム/キログラム(mg/kg)である、ことを特徴とする請求項10に記載の使用。
【請求項13】
前記ベニクスノキタケ子実体抽出物の成分には、アントシンK(antcin K)、アントシンC(antcin C)又はアントシンH(antcin H)が含まれる、ことを特徴とする請求項10に記載の使用。
【請求項14】
前記ベニクスノキタケ子実体抽出物の成分には、デヒドロスルフレン酸(dehydrosulphurenic acid)又はデヒドロエブリコ酸(Dehydroeburicoic acid)が含まれる、ことを特徴とする請求項10に記載の使用。
【請求項15】
前記ベニクスノキタケ子実体抽出物の成分には、アントシンB(antcin B)又はアントシンA(antcin A)が含まれる、ことを特徴とする請求項10に記載の使用。
【請求項16】
前記ベニクスノキタケ子実体抽出物の成分には、4,7−ジメトキシ−5− メチル−1,3−ベンゾジオキソール(4,7−dimethoxy−5−methyl− 1,3−benzodioxole、DMB)が含まれる、ことを特徴とする請求項10に記載の使用。
【請求項17】
前記医薬組成物は、カプレ、カプセル、滴丸、乳剤、沖劑、水性分散液或いはディスパージョンの経口投与剤である、ことを特徴とする請求項10に記載の使用。
【請求項18】
前記ベニクスノキタケ子実体抽出物は、ベニクスノキタケ子実体を、80〜100℃の熱い水に、1〜3時間浸入し、保管液を分離した後、低い極性溶剤で抽出すること、の手順により、上記ベニクスノキタケ子実体抽出物が得られ、前記低い極性溶剤は、ベンジン、n‐ヘキサン、酢酸エチル、アセトン、エタノール及びその組合せを含む群から選ばれる、ことを特徴とする請求項10に記載の使用。
【請求項19】
前記ベニクスノキタケ子実体抽出物の有効薬量は、ヒトにおいて、5.06〜18.75ミリグラム/キログラム(mg/kg)である、ことを特徴とする請求項10に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベニクスノキタケ抽出物とその応用に関し、特に、補助化療薬品とされる医薬組成物とその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
ベニクスノキタケ(牛樟茸とも称され、Antrodia cinnamomea)は、台湾に特有とするキノコ類であり、台湾の中高海抜(400〜2000メートル)の山岳部にある特有の牛樟木に成長し、原住民が、昔から、その肝臓保護や酔い止め等の用途に利用される珍貴キノコ類と認められる。1995年までの研究結果によれば、ベニクスノキタケ子実体には、抗炎症や免疫力や体力の向上、抗ウイルス、酸化防止、抗癌及び肝臓保護等の多種類効果が得られ、また、多数の文献によれば、直接に、動物モード(in vivo)で、抗癌研究を行い、肝癌や肺癌、大腸癌及卵巣癌等に対して、明白的に、ベニクスノキタケ子実体エタノール抽出物に、抗癌効果があることと、明らかになる。しかしながら、牛樟師部を、取得することが難しいため、子実体の原料コストが高くなり、また、安定的に、大量供給することができなくて、雑菌や重金属汚染等の恐れがあって、薬品開発とする誘因がないため、台湾の特有ベニクスノキタケを、植物新薬として、開発することが、なかなか、進まない。そのため、大量的に且つ安定的に、雑菌や重金属の汚染無しの高品質なベニクスノキタケ子実体原料を、量産できる技術の開発は、至急の課題になる。
【0003】
正常の体組織は、糖質やタンパク質及び脂肪が、エネルギーの源泉とされて、必要とするが、癌細胞/組織の生長は、快速的で、単一に、葡萄糖を、熱量の源泉とするため、癌細胞の生長に、大量な葡萄糖が消費され、上記のことにより、癌症病者体内において、大量的に、タンパク質や脂肪が、葡萄糖に変換されて、癌細胞の生長に必要とするエネルギーとして供給される。また、癌組織は、人体内のタンパク質の生合成に影響し、筋肉組織が、降解されて流失するため、病者の味覚や臭覚及び食欲が、大幅に低下される。その結果、大部分の癌病者に、厳重栄養不良が発生して、器官機能障害や免疫機能低下の病症が現れる。
【0004】
肺癌は、罹病率と死亡率がもっとも高い癌の一つである。主として、「小細胞肺癌」(発生率が、約16.8%である)と「非小細胞肺癌」(発生率が、約80.4%である)の二種類がある。肺癌を治療するには、普通、手術治療や放射線治療及び薬品治療(化療やターゲット薬品が含まれる)等を行い、また、化療薬は、医師が肺癌を治療する時の主な選択の一つであり、現在、第一線の治療薬品は、ゲムシタビン(gemcitabine)とシスプラチン(cisplatin)であり、第一線の化療組合せによる効果が、平均的に、半年以上を維持でき、その後、腫瘤が抑えなければ、第二線の化療薬品(単一薬品)を利用し、例えば、注射型のジェムザールやタキソール、或いは口服や静脈注射のビノレルビン等があって、ともに、肺癌病者が選択できる第二線用薬である。化療法は、一応、癌細胞を殺せるが、正常細胞も、選択無しに殺され、これにより、病者の免疫や造血系に、厳重な障害を与えるため、良い細胞と悪い細胞が、“ともに、殺され”、また、化療は、一般の増殖速い正常細胞に対して、例えば、口腔や胃腸道の表層上皮、骨髓の造血細胞及び髪の毛を生成する毛嚢細胞等に影響し、そのため、倦怠やむかつき、嘔吐、血細胞低減、毛抜け、口腔潰瘍及び疼痛等の厳重副作用がある。
【0005】
化療副作用の発生により、癌症病者の体が不快になり、癌症病者がその治療過程を続いて完成することにも、影響し、そのため、化療を行うと同時に、補助治療を合わせれば、化療過程において、癌症病者の化療による体不快が、低減や改善され、これにより、スムーズに、治療過程全体を行う。近年、西薬を主として開発することが、難航になり、その一部に、臨床使用上、厳重な副作用が発生するため、天然植物薬を主とする研究開発へ移転する。補助治療としてベニクスノキタケを移用して、化療による不快を改善するものは、マウスのシスプラチンによって発生した肝毒性の緩和やマウスの炎症性腸病と腸癌の悪病質の緩和及び、乳癌用薬補助等の研究報導によって、ベニクスノキタケの補助化療薬品としての減毒効果が証明された。
【0006】
本発明者は、上記欠点を解消するため、慎重に研究し、また、学理を活用して、有効に上記欠点を解消でき、設計が合理である本発明を提案する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の主な目的は、ベニクスノキタケ子実体抽出物を、化療薬品シスプラチンやゲムシタビンの補助として、癌症を治療する効果が向上され、有効的に、化学治療癌症後の抜け毛や筋肉の融解と萎縮、腸胃道と腎臓炎症の障害等の副作用を低減できる、補助化療薬品とされる医薬組成物とその用途を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成できる補助化療薬品の医薬組成物であり、有効薬用量のベニクスノキタケ子実体抽出物と、薬学的に許容しうる担体と、が含有され、ベニクスノキタケ子実体抽出物が、化療薬品を補助して、癌症を治療し、癌症副作用を改善し、上記化療薬品が、シスプラチンやゲムシタビンである。
【0009】
本発明に係るベニクスノキタケ子実体抽出物の主な成分には、構造式(I)を有するアントシンK(antcin K)やアントシンC(antcin C)、アントシンH(antcin H)及びその化学誘導体が、含まれ、
【0010】
【化1】
その中、
R1が、−OHや=O或いは−O−グリコシル基(単糖や二糖或いは多糖類である)やC1−3エステル基であり、
R2が、−Hや−OH或いは−O−グリコシル基(単糖や二糖或いは多糖類である)やC1−3エステル基であり、
R3が、−OHや=O或いは−O−グリコシル基(単糖や二糖或いは多糖類である)やC1−3エステル基であり、
R4が、−Hや−OH或いは−O−グリコシル基(単糖や二糖或いは多糖類である)やC1−3エステル基であり、
R5が、C1−3カルボキシ基やC1−3エステル基である。
【0011】
また、ベニクスノキタケ子実体抽出物の成分には、構造式(II)を有するデヒドロスルフレン酸(dehydrosulphurenic acid)やデヒドロエブリコ酸(Dehydroeburicoic acid)及びその化学誘導体が、含まれ、
【0012】
【化2】
その中、
R1が、−Hや−OH或いは−O−グリコシル基(単糖や二糖或いは多糖類である)やC1−3エステル基であり、
R2が、−OHや−O−グリコシル基(単糖や二糖或いは多糖類である)やC1−3エステル基であり、
R3が、C1−3カルボキシ基やC1−3エステル基である。
【0013】
また、ベニクスノキタケ子実体抽出物の成分には、構造式(III)を有するアントシンB(antcin B)やアントシンA(antcin A)及びその化学誘導体が、含まれ、
【0014】
【化3】
その中、R1が、−Hや=Oであり、
R2が、C1−3カルボキシ基やC1−3エステル基である。
【0015】
また、ベニクスノキタケ子実体抽出物の成分には、更に、構造式(IV)を有するモノフェノール類化合物(4,7−ジメトキシ−5− メチル−1,3−ベンゾジオキソール、4,7−dimethoxy−5−methyl− 1,3−benzodioxole、DMB)及びその化学誘導体が、含まれ、
【0016】
【化4】
その中、
R1が、−OHや=O或いは−O−グリコシル基(単糖や二糖或いは多糖類である)やC1−3エステル基であり、
R2が、−Hや−OH、=O或いは−O−グリコシル基(単糖や二糖或いは多糖類である)やC1−3エステル基であり、
R3が、−Hや−OH或いは−O−グリコシル基(単糖や二糖或いは多糖類である)やC1−3エステル基であり、
R4が、−Hやメチル基であり、
R5が、−Hや−OH、メチル基或いは−O−グリコシル基(単糖や二糖或いは多糖類である)やC1−3エステル基であり、R6が、−Hやメチル基である。
【0017】
もう一方、本発明も、医薬組成物の用途を提供し、上記医薬組成物に、有効薬用量のベニクスノキタケ子実体抽出物と、薬学的に許容しうる担体とが含有され、その用途は、化療薬品を補助して、癌症を治療し、癌症副作用を改善する。その中、化療薬品は、シスプラチンやゲムシタビンである。より好ましいのは、ベニクスノキタケ子実体抽出物の有効薬用量が、5.06〜18.75ミリグラム/キログラム(mg/kg)である。
【0018】
動物モードの結果によれば、本発明に係るベニクスノキタケ子実体抽出物を合わせた化療薬品(シスプラチンやゲムシタビン)の治療セットにより、明確に、69.4% (p<0.005)までに、肺癌組の肺重量が低減され、単なる化療薬品組の肺重量より、明確に、30.6%(p<0.01)が、低減され、肺腫瘤結節数について、ベニクスノキタケ子実体抽出物を合わせた化療薬品(シスプラチンやゲムシタビン)の治療セットの方は、肺癌組より、55.4%までに、低減され、筋肉の融解や萎縮の改善について、ベニクスノキタケ子実体抽出物を合わせた化療薬品(シスプラチンやゲムシタビン)の治療セットの方は、単独的に化療薬品組の試験鼠の大腿筋肉の筋肉重量と比較すると、42%(p<0.01)が増加され、そして、明白的に、化療薬品(シスプラチンやゲムシタビン)試験鼠の筋肉のプロテアソーム(proteasome)の酵素活性が、抑制され、例えば、キモトリプシン(chymotrypsin)やトリプシン(trypsin)及びカスパーゼ(caspase)等で、それぞれ、28%(p<0.01)や26.1%(p<0.01)及び11.1%である。腸胃道の障害改善には、ベニクスノキタケ子実体抽出物で、大幅に、化療薬品(シスプラチンやゲムシタビン)による腸絨毛破壊や胃部潰瘍等の副作用が改善され、また、明確的に、小腸内のロイシンアミノペプチダーゼ(LAP)やリパーゼ(LIP)及びアミラーゼ(amylase)等の酵素活性が改善され、腎臓炎症や障害の改善には、ベニクスノキタケ子実体抽出物により、有効的に、化療後の腎盂腎炎指数で、例えば、クレアチニン(creatinine)や尿素窒素(BUN)及び血清アルブミン(serum albumin)等が、低減される。
【0019】
そのため、本発明によれば、このベニクスノキタケ子実体抽出物を化療薬品の補助として応用でき、また、異なる医薬組成物を調製でき、癌症の治療効果が向上されて、化療副作用が低減される。
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の特徴や技術内容について、詳しく説明するが、それらの図面等は、参考や説明のためであり、本発明は、それによって制限されることが無い。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係る補助化療薬品とするベニクスノキタケ子実体抽出物の作成方法の手順流れ図
図2】本発明に係るベニクスノキタケ子実体抽出物のHPLC解析スペクトル
図3】本発明に係るベニクスノキタケ子実体抽出物で化療薬品によるマウス体重低下の改善効果
図4】本発明に係るベニクスノキタケ子実体抽出物で化療薬品によるマウス常食量低下の改善効果であり、その中、(a)がNormal組で、(b)がCancer組で、(c)が、CGC組で、(d)がCGCA組で、(e)がCA組である
図5】本発明に係るベニクスノキタケ子実体抽出物で肺癌鼠の肺重量の低減効果であり、その中、(a)が、Normal組で、(b)が、Cancer組で、(c)が、CGC組で、(d)が、CGCA組で、(e)が、CA組である
図6】本発明に係るベニクスノキタケ子実体抽出物で肺癌鼠の肺腫瘤結節数の低減効果であり、その中、(a)が、Normal組で、(b)が、Cancer組で、(c)が、CGC組で、(d)が、CGCA組で、(e)が、CA組である
図7】本発明に係るベニクスノキタケ子実体抽出物で化療薬品による試験鼠の筋肉融解と萎縮の改善効果で、その中、(a)が、Normal組で、(b)が、Cancer組で、(c)が、CGC組で、(d)が、CGCA組で、(e)が、CA組である
図8】本発明に係るベニクスノキタケ子実体抽出物で、化療薬品による試験鼠の筋肉中のプロテアソーム酵素活性の抑制効果
図9a】本発明に係るベニクスノキタケ子実体抽出物でミオスタチン表現の抑制とインスリン様成長因子表現の促進効果で、その中、(a)が、Normal組で、(b)が、Cancer組で、(c)が、CGC組で、(d)が、CGCA組で、(e)が、CA組である
図9b】本発明に係るベニクスノキタケ子実体抽出物でミオスタチン表現の抑制とインスリン様成長因子表現の促進効果で、その中、(a)が、Normal組で、(b)が、Cancer組で、(c)が、CGC組で、(d)が、CGCA組で、(e)が、CA組である
図10a】本発明に係るベニクスノキタケ子実体抽出物で癌症化療薬品による血液炎症因子上昇の抑制効果で、その中、(a)が、Normal組で、(b)が、Cancer組で、(c)が、CGC組で、(d)が、CGCA組で、(e)が、CA組である
図10b】本発明に係るベニクスノキタケ子実体抽出物で癌症化療薬品による血液炎症因子上昇の抑制効果で、その中、(a)が、Normal組で、(b)が、Cancer組で、(c)が、CGC組で、(d)が、CGCA組で、(e)が、CA組である
図10c】本発明に係るベニクスノキタケ子実体抽出物で癌症化療薬品による血液炎症因子上昇の抑制効果で、その中、(a)が、Normal組で、(b)が、Cancer組で、(c)が、CGC組で、(d)が、CGCA組で、(e)が、CA組である
図11a】本発明に係るベニクスノキタケ子実体抽出物で癌症化療薬品による小腸中酵素表現の改善効果で、その中、(a)が、Normal組で、(b)が、Cancer組で、(c)が、CGC組で、(d)が、CGCA組で、(e)が、CA組である
図11b】本発明に係るベニクスノキタケ子実体抽出物で癌症化療薬品による小腸中酵素表現の改善効果で、その中、(a)が、Normal組で、(b)が、Cancer組で、(c)が、CGC組で、(d)が、CGCA組で、(e)が、CA組である
図11c】本発明に係るベニクスノキタケ子実体抽出物で癌症化療薬品による小腸中酵素表現の改善効果で、その中、(a)が、Normal組で、(b)が、Cancer組で、(c)が、CGC組で、(d)が、CGCA組で、(e)が、CA組である
図12a】本発明に係るベニクスノキタケ子実体抽出物で癌症化療薬品による腎臓炎症障害の改善効果で、その中、(a)が、Normal組で、(b)が、Cancer組で、(c)が、CGC組で、(d)が、CGCA組で、(e)が、CA組である
図12b】本発明に係るベニクスノキタケ子実体抽出物で癌症化療薬品による腎臓炎症障害の改善効果で、その中、(a)が、Normal組で、(b)が、Cancer組で、(c)が、CGC組で、(d)が、CGCA組で、(e)が、CA組である
図12c】本発明に係るベニクスノキタケ子実体抽出物で癌症化療薬品による腎臓炎症障害の改善効果で、その中、(a)が、Normal組で、(b)が、Cancer組で、(c)が、CGC組で、(d)が、CGCA組で、(e)が、CA組である
図13】異なる薬用量のベニクスノキタケ子実体抽出物を、癌症化療薬品に合わせて、試験鼠の体重に対する影響である
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、複数の実施例で、更に、本発明において、ベニクスノキタケ子実体抽出物を作成することやその動物試験方法及びその流れを説明し、また、本発明の効果や目的を実証する。
【0023】
実施例1:ベニクスノキタケ子実体抽出物の作成方式と高度液体クロマトグラフィー解析
【0024】
1、本発明に係るベニクスノキタケ子実体は、CNS15654草案の規格標準に満たし、キノコ体の直径が、約13センチメートルになり、解剖顕微鏡で、表面を観察すると、明らかに、ベニクスノキタケ子実体の特有多孔化特徴を識別できるし、一枚のキノコ体の乾燥重量が、約6〜15グラムである。
【0025】
2、ベニクスノキタケ子実体抽出物の作成
【0026】
図1を参照しながら、ベニクスノキタケ子実体抽出物の抽出分離工程を説明すると、ベニクスノキタケ子実体の乾燥粉末を取得する手順S10や、一回目の抽出過程において、30倍体積の、80〜100℃の熱い水に、1〜3時間浸入する手順S20、1号濾紙(ADVANTEC(登録商標)#1)で、抽気ろ過した後、保管液を除去する手順S30、二回目の抽出過程において、低い極性溶剤で、8時間で、5倍の95%エタノール溶液を抽出すること、三回繰り返す手順S40、及び抽出液を収集して得られた抽出液を、降圧濃縮乾燥する手順S50を介して、ベニクスノキタケ子実体抽出物が取得される。
【0027】
その中、低い極性溶剤は、ベンジンやn‐ヘキサン、酢酸エチル、アセトン、エタノール及びその組合せからなるグルップから選ばれ、エタノールを例とすると、25〜100重量%のエタノール溶液である。
【0028】
3、高度液体クロマトグラフィー解析
【0029】
高度液体クロマトグラフィー解析器で、ベニクスノキタケ子実体抽出物の成分を解析する。高度液体クロマトグラフィーの条件は、高度液体クロマトグラフィー解析器のポンプが、Spectra SYSTEM P1000で、自動サンプラーが、Spectra SYSTEM AS3000で、検知器が、Surveyor PDA Plusで、高度液体クロマトグラフィー管柱が、Thermo, BDS HYPERSIL C18、4.6 * 250 mmで、流速が、1.0 mL/minで、管柱温度が、室温で、検知波長が、254 nmである。溶媒システムの条件は、下記の表1の通りである。
【0030】
【表1】
【0031】
図2は、本発明に係るベニクスノキタケ子実体抽出物のHPLC解析スペクトルである。その結果によれば、本発明に係るベニクスノキタケ子実体は、原生ベニクスノキタケ子実体に符合した八つの化学指標成分で、アントシンA((R,S)Antcin A)とアントシンB((R,S) Antcin B、Zhankuic acid A)、アントシンC((R,S) Antcin C)、アントシンK((R,S)Antcin K)、アントシンH((R,S)Antcin H)、4,7−ジメトキシ−5− メチル−1,3−ベンゾジオキソール(4,7−dimethoxy−5−methyl− 1,3−benzodioxole、DMB)、デヒドロスルフレン酸(Dehydrosulphurenic acid)及びデヒドロエブリコ酸(Dehydroeburicoic acid)を有する。
【0032】
実施例2:本発明に係るベニクスノキタケ子実体抽出物の化療薬品(シスプラチンやゲムシタビン)を補助する時の肺癌治療効果が向上される動物試験
【0033】
本試験は、LLC(Lewis Lung Carcinoma)/C57BL/6肺癌動物モードを利用し、試験に用いられた動物が、male C57BL/6miceで、8週間、体重約25グラムである。飼養環境は、12時間の光照週期(AM7:00−PM7:00)で、適当な温度と湿度制御を行い、十分に、飼料と飲水を供給する。使用される癌細胞株は、マウス肺癌細胞LLCであり、培養は、10%heat−inactivated fetal bovine serium(FBS)と100unit/mL Penicillin−Streptomycin(P/S)を含む Dulbecco’s Modified eagle medium(DMEM medium)の環境下で、行う。LLC細胞を、0.05%Trypsin−EDTAに移植する。FBSで、細胞濃度を、2×107cells/mLに希釈し、目当ての濃度の癌細胞が、ソフト針により、0.1mLを、8週間のC57BL/6miceの気管内生体位注射して、気管に沿って、肺内に滑り込ませる(即ち、各マウスに、2×106cellsを移植する)。
【0034】
腫瘤を接種して1週間立つと、マウスを、5匹を1組として、5組に、ランダムに籠に分けて、
1、正常組(コード名:Normal組):正常マウスで、通常生理食塩溶液を供与し、
2、腫瘤組(コード名:Cancer組):癌細胞が接種されたマウスで、通常生理食塩溶液を供与し、
3、腫瘤+化療薬品組(コード名:CGC組):癌細胞が接種されたマウスで、シスプラチンやゲムシタビンの臨床化療薬品が注射され、
4、腫瘤+ベニクスノキタケ子実体抽出物+化療薬品組(コード名:CGCA組):癌細胞が接種されたマウスで、シスプラチンやゲムシタビンの臨床化療薬品が注射され、それとともに、ベニクスノキタケ子実体抽出物を、300mg/kg/dayで、供与し、及び
5、腫瘤+ベニクスノキタケ子実体抽出物(コード名:CA組):ベニクスノキタケ子実体抽出物を、300mg/kg/dayで、供与する。
【0035】
腫瘤を接種誘導してから十日後、被測定薬品の供与を始める。実験の期間、毎日、マウスの生存と生理状況(体重や常食量)を観察する。3週間(或いは4週間、実験設計に基づく)、続いて、投薬して、実験を終了し、動物を犠牲して、各器官を取得して重さを量り、写真を撮って記録し、それから、病理解析を行い、残った各器官を、1.5mL遠心管に移入して、−80℃の冷蔵庫に保管し、後続解析に利用される。試験結果は、図3〜6のようである。
【0036】
体重観察について、図3を参照しながら、試験結果によって、3週間、続いて、ベニクスノキタケ子実体抽出物を供与した後、Normal組の試験鼠の体重平均が、25.43グラムであり、Cancer組の試験鼠の体重は、19.03グラムだけで、Normal組の体重より、約25.2%低減し、CGC組の試験鼠の体重は、最も軽い17.82グラムで、Cancer組の体重よりも、約6.4%低減し、CGCA組の試験鼠の体重は、ベニクスノキタケ子実体抽出物を供与するため、平均的体重が、20.01グラムになり、Cancer組の体重よりも、約5.1%増加し、CA組は、ベニクスノキタケ子実体抽出物を供与するため、平均的体重が、22.21グラムになり、Cancer組の体重よりも、約16.7%増加する。
【0037】
常食量観察について、図4を参照しながら、試験結果によって、Normal組の試験鼠は、毎日常食量が、約3.55±0.24グラムであり、Cancer組の試験鼠は、毎日常食量が、約2.59±0.60グラムであり、Normal組の試験鼠の常食量よりも、約27%低減し、CGC組の試験鼠が、毎日常食量が、僅か2.51±0.76グラムであり、Cancer組の試験鼠の常食量よりも、約3.0%低減し、ベニクスノキタケ子実体抽出物を供与したCGCA組とCA組の常食量は、それぞれ、2.65±0.64グラムと3.02±0.38グラムであり、Cancer組の試験鼠の常食量より、それぞれ、2.3%と16.6%増加し、これにより、化療薬品による試験の常食量低減効果を改善することが、明らかになる。
【0038】
試験鼠の生体位肺癌生長について、外観観察結果によって、CGCA組は、CGC組よりも、肺癌生長を低減する効果が明らかであり、肺重量解析結果によって、図5を参照しながら、Normal組の試験鼠の肺重量が、約0.16±0.01グラムであり、Cancer組の肺重量は、1.11±0.14グラムになって、Normal組の試験鼠の肺重量よりも、約593.8%増加し、CGC組の肺重量は、0.49±0.07グラムで、Cancer組の試験鼠の肺重量よりも、約55.9%低減し、化療薬品+ベニクスノキタケ子実体抽出物のCGCA組の肺重量が、僅か、約0.34±0.05グラムで、Cancer組の試験鼠の肺重量よりも、約69.4%低減し、CGC組とは、差異が大きくなり(p<0.01)、また、ベニクスノキタケ子実体抽出物を供与したCA組は、Cancer組の試験鼠の肺重量が、約42.3%低減し、これにより、肺癌鼠の肺重量の低減効果が明白的である(p<0.005)。
【0039】
図6は、肺癌鼠の肺腫瘤結節数の結果によって、Cancer組の肺癌結節数が、53.4±3.39個になり、ベニクスノキタケ子実体抽出物を供与したCAの肺癌結節数は、38.2±3.48個で、Cancer組の試験鼠の肺結節数よりも、約28.5%低減し、Cancer組とは、明白的に、差異がある(p<0.005)。また、CGCA組の肺癌結節数は、僅か、23.8±3.68個で、Cancer組の試験鼠の肺結節数よりも、約55.4%低減し、それも、単純のCGC組の31.4±4.13個よりも低い。
【0040】
実施例3:ベニクスノキタケ子実体抽出物で化療薬品(シスプラチンやゲムシタビン)による抜け毛の改善効果
【0041】
試験方法は、実施例2と同じであり、試験鼠に対して、3週間、続いて、投薬した後、実験を終了し、各組の試験鼠の抜け毛を、観察して写真を撮り、試験結果によって、CGC組は、明白的に、Normal組よりも、抜け毛が発生し、また、CGC組の抜け毛が、厳重的であるが、ベニクスノキタケ子実体抽出物を供与したCGCA組は、CGC組の抜け毛が、明白に改善される。
【0042】
実施例4:ベニクスノキタケ子実体抽出物で癌症化療薬品(シスプラチンやゲムシタビン)による筋肉融解と萎縮の改善効果
【0043】
試験方法は、実施例2と同じである。試験鼠に対して、3週間、続いて、投薬した後、実験を終了し、動物を犠牲して、各組のひ腹筋(Gastrocnemius muscle)とヒラメ筋(Soleus muscle)の重量変化を、統計解析し、また、病理組織を切片染色して、筋肉組織atrophyの改善状況を観察し、そして、筋肉にある主なプロテアソーム(proteasome)で、キモトリプシン(chymotrypsin)やトリプシン(trypsin)及びカスパーゼ(caspase)等の活性変化を解析する。各組の後大腿筋肉の比較結果によって、Cancer組とCGC組は、明白に、Normal組よりも細く小さくなり、ベニクスノキタケ子実体抽出物を供与したCGCA組とCA組は、明白に、大腿筋肉の融解と萎縮が改善される。
【0044】
筋肉の外観と重量解析について、図7を参照しながら、結果によれば、Normal組は、ひ腹筋(Gastrocnemius muscle)とヒラメ筋(Soleus muscle)の重量が、約1.28±0.07グラムであり、CancerとCGC組の重量は、それぞれ、0.6±0.03グラム(Normal組よりも53.1%低減する)と0.57±0.05グラムに低減し(Normal組よりも55.5%低減する)、他の各組より、明らかに萎縮するが、ベニクスノキタケ子実体抽出物を供与したCGCA組とCA組は、その筋肉重量が、それぞれ、0.81±0.11(Cancer組よりも35%増加する)と0.90±0.04グラムになり(Cancer組よりも50%増加する)、明白に、CGC組の筋肉融解と萎縮現象が改善される(p<0.01)。筋肉病理組織切片H&E染色結果によれば、ベニクスノキタケ子実体抽出物を供与したCGCA組とCA組は、明白に、化療薬品による筋肉融解が改善される効果が得られる。図8の試験結果によれば、化療薬品組(CGC組)は、筋肉にあるキモトリプシンやトリプシン等のプロテアソーム酵素活性が、全ての試験組の中において、最も高く、ベニクスノキタケ子実体抽出物を供与したCGC組は、明白に、その活性(p<0.01)を低下でき、また、アポトーシマメカニズムを実行するカスパーゼ酵素活性は、CGC組が最も高く、ベニクスノキタケ子実体抽出物を供与することは、筋肉において、化療薬品によるプロテアソーム酵素活性を低下することに、有利である。その作用メカニズムは、ミオスタチン(myostatin)の抑制とインスリン様成長因子(IGF−1)の促進によって実現されると推測する(図9a〜9b)。
【0045】
実施例5:ベニクスノキタケ子実体抽出物で、癌症化療薬品(シスプラチンやゲムシタビン)による血液炎症因子上昇の抑制効果
【0046】
試験方法は、実施例2と同じである。試験鼠に対して、3週間(或いは4週間、実験設計に基づく)、続いて、投薬して、実験を終了し、動物を犠牲して、血液を取得して、各組の血液のインターロイキン6(IL−6)やインターロイキン1β(IL−1β)及び腫瘍壊死因子α(TNF−α)の変化を解析する。図10a〜10c図の試験結果によれば、各組の血液のIL−6やIL−1β及びTNF−α等の炎症因子の濃度は、CGC組が、最も高く、ベニクスノキタケ子実体抽出物を供与したCGCA組は、明白に、血液中のIL−6やIL−1β及びTNF−α等の炎症因子濃度が低下される(p<0.01)。
【0047】
実施例6:ベニクスノキタケ子実体抽出物で、癌症化療薬品(シスプラチンやゲムシタビン)による腸胃道の障害の改善効果
【0048】
試験方法は、実施例2と同じである。試験鼠に対して、3週間(或いは4週間、実験設計に基づく)、続いて、投薬した後、実験を終了し、動物を犠牲して、小腸絨毛病理切片を作成してH&E染色で、絨毛破壊を観察し、結果として、ベニクスノキタケ子実体抽出物で、大幅に、化療薬品(シスプラチンやゲムシタビン)による腸絨毛破壊や胃部潰瘍等の副作用が改善され、また、明白に、小腸中のロイシンアミノペプチダーゼ(LAP)やリパーゼ(LIP)與アミラーゼ(amylase)等の酵素活性が改善される(図11a〜11c)。
【0049】
実施例7:ベニクスノキタケ子実体抽出物で癌症化療薬品(シスプラチンやゲムシタビン)による腎臓炎症の障害の改善効果
【0050】
試験方法は、実施例2と同じである。試験鼠に対して、3週間(或いは4週間、実験設計に基づく)、続いて、投薬した後、実験を終了し、動物を犠牲して、血液を取得して、各組の血液のクレアチニン(creatinine)や尿素窒素(BUN)及び血清アルブミン(serum albumin)等の濃度を解析し、結果により、ベニクスノキタケ子実体抽出物で、明白に、化療薬品(シスプラチンやゲムシタビン)による試験鼠の血中の腎盂腎炎指数であるクレアチニン(creatinine)や尿素窒素(BUN)及び血清アルブミン(serum albumin)が、低減されることが分かる(図12a〜12c)。
【0051】
実施例8:ベニクスノキタケ子実体抽出物で、化療薬品(シスプラチンやゲムシタビン)を補助して肺癌を治療する薬用量試験
【0052】
本試験は、皮下癌細胞注射モードで、腫瘤生長の悪化を評価する。実験に使用された動物が、8週間のmale C57BL/6miceであり、体重が、約25グラムである。飼養環境は、12時間の光照週期(AM7:00−PM7:00)で、適当な温度と湿度制御を行い、十分に、飼料と飲水を供給する。使用される癌細胞株は、マウス肺癌細胞LLCである。
【0053】
鼠肺癌細胞株(LLC)は、10% heat−inactivated fetal bovine serium(FBS)、100 unit/ml Penicillin−Streptomycin(P/S)を含有する Dulbecco’s Modified eagle medium(DMEM medium)環境に培養され、また、細胞が、5%CO2、37℃と90%湿度の恒温の二酸化炭素の培養箱に培養され、細胞密度が、2×105〜1×106(八から九分)に維持される。固定的に、二日から三日おきに、新鮮な培養基を交換する。
【0054】
LLC細胞を、0.05% Trypsin−EDTAに移植する。FBSで、細胞濃度を、1×107cells/mLに希釈し、目当ての濃度の細胞が、インシュリン針で、0.1mLの癌細胞を、8週間のC57BL/6miceの右背側の皮下に皮下注射する(即ち、各マウスに1×106cellsを移植する)。
【0055】
腫瘤を移植して、1週間立つと、マウスを、5匹を1組として、5組に、ランダムに籠に分けて、
1、腫瘤組(コード名:Cancer組):癌細胞が接種され、
2、腫瘤+化療薬品組(コード名:CGC組):癌細胞が接種されて、シスプラチンやゲムシタビンの臨床化療薬品を注射し、
3、腫瘤+ベニクスノキタケ子実体抽出物+化療薬品組(コード名:CGCA300組):癌細胞が接種されて、シスプラチンやゲムシタビンの臨床化療薬品を注射し、それに合わせて、300mg/kg/dayのベニクスノキタケ子実体抽出物を供与し、
4、腫瘤+ベニクスノキタケ子実体抽出物+化療薬品組(コード名:CGCA150組):癌細胞が接種されて、シスプラチンやゲムシタビンの臨床化療薬品を注射し、それに合わせて、150mg/kg/dayのベニクスノキタケ子実体抽出物を供与し、
5、腫瘤+ベニクスノキタケ子実体抽出物+化療薬品組(コード名:CGCA75組):癌細胞が接種されて、シスプラチンやゲムシタビンの臨床化療薬品を注射し、それに合わせて、75mg/kg/dayのベニクスノキタケ子実体抽出物を供与する。
【0056】
腫瘤を種植誘導してから十日後、被測定薬品の供与を始める。三日毎に、腫瘤の生長を観察して、腫瘤の大きさ(体積)を測定し、腫瘤大きさの計算式は、0.53x長さx幅2である。2週間、投薬した後、薬品の供与を停止し、翌日、鼠を犠牲して、実験過程において、腫瘤の大きさや抜け毛、体重改善及び摂食量等を観察して評価する。情報の表示方法は、mean±SEMであり、SigmaPlotで、データーの処理や解析及び図の描きを行う。
【0057】
体重と抜け毛の観察によれば、図13を参照しながら、結果として、試験終了後、Cancer組の試験鼠の体重が、26.2グラムになり、化療薬品組(CGC組)の試験鼠の体重が、僅か、18.3グラム(Cancer組より、体重が30%低減する)であり、また、異なる薬用量のベニクスノキタケ子実体抽出物が供与されたCGCA75組とCGCA150組及びCGCA300組の試験鼠の体重が、それぞれ、21.7と21.9及び22.1グラムであり、CGC組の体重より、それぞれ、18.6%と19.6%及び20.8%増加する。結果として、75mg/kgのベニクスノキタケ子実体抽出物を使用すれば、明白に、化療薬品(シスプラチンやゲムシタビン)による体重低減現象を改善できる。各組の試験鼠の抜け毛を観察すると、結果として、ベニクスノキタケ子実体抽出物の使用薬用量が75mg/kg以上であれば、明白に、化療薬品(シスプラチンやゲムシタビン)による試験鼠の毛色がやや灰色や抜け毛現象を改善できる。
【0058】
試験鼠の肺癌生長の低減については、外観観察結果として、Cancer組の腫瘤が、最も厳重になり、CGC組とは、その差異が、極めて明白になり(p<0.001)、また、CGCA150組とCGCA300組は、CGC組とも、明白な差異が現れ(p<0.001)、結果として、ベニクスノキタケ子実体抽出物により、化療薬品(シスプラチンやゲムシタビン)の肺癌に対する治療効果が向上される。
【0059】
上記実施例によれば、本発明に係るベニクスノキタケ子実体抽出物は、有効に化療薬品(例えば、シスプラチンやゲムシタビン)に補助して、肺癌抑制効果が向上され、また、化学治療による抜け毛や筋肉融解と萎縮、及び腸胃道と腎臓炎症の障害等を改善でき、更に、各種類の薬剤形態の医薬組成物に作成することができて、化療薬品の治療補助として利用できる。
【0060】
上記の医薬組成物は、少なくとも、有効薬用量のベニクスノキタケ子実体抽出物と薬学的に許容しうる担体と、が含有され、カプレやカプセル、滴丸、乳剤、沖劑、水性分散液、ディスパージョン或いは他の溶液の経口投与剤作成されることができ、また、化療薬品を補助して癌症を治療することや癌症副作用の改善に応用できる。また、本発明の実施例によれば、ベニクスノキタケ子実体抽出物の使用薬用量が、75〜300ミリグラム/キログラム(mg/kg)の範囲内にあり、含水率が約25%であることを顧慮すれば、マウス動物モードでは、有効薬用量が、56〜225mg/kgであることが好ましい。
【0061】
以上のように、本発明に係る補助化療薬品とされる医薬組成物とその用途は、確実に、化療薬品に合わせて癌症病者に投薬あると、治療効果が向上されて、化療副作用が低下され、未來の臨床癌症治療に、実質上、有利である。
【0062】
そのため、本発明は、より進歩的かつより実用的で、法に従って特許出願する。
【0063】
以上は、ただ、本発明のより良い実施例であり、本発明は、それによって制限されることが無く、本発明に係わる発明請求の範囲や明細書の内容に基づいて行った等価の変更や修正は、全てが、本発明の発明請求の範囲内に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9a
図9b
図10a
図10b
図10c
図11a
図11b
図11c
図12a
図12b
図12c
図13