【文献】
Govindarao Sathyamoorthi, et.al,Fluorescent Tricyclic Beta-Azavinamidine-BF2 Complexes,Heteroatom Chemistry,VCH Publishers, Inc.,1993年,第4巻,第6号,第603-608頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ポリオール成分は、少なくとも2官能性のポリエーテル、ポリエステルまたは第1級OH基を有するポリエーテル-ポリエステルブロックコポリエステルであることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載のフォトポリマー組成物。
【発明を実施するための形態】
【0015】
したがって、本発明は、ポリオール成分、ポリイソシアネート成分、書き込みモノマーおよび光開始剤を含むフォトポリマー組成物であって、光開始剤が一般式(I):
【化1】
(I)
〔式中、
Aは、NまたはC−R
Aを表し、ここでR
Aは水素または場合により置換された芳香族、脂肪族もしくは芳香脂肪族基を表し、
Eは、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、スカンジウムおよびイットリウムから選択される元素由来であり、2つのハロゲン基または酸素および硫黄から選択される1つの基を用いて置換された基を表し、
R
1、R
2、R
3は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、場合によりフッ素化されたアルコキシまたは場合により置換された芳香族、脂肪族もしくは芳香脂肪族基を表す〕
の染料を含むことを特徴とする、フォトポリマー組成物を提供する。
【0016】
本発明によって用いられる一般式(I)の染料は、イオン性染料の不利な点を有しない中性染料である。驚くべきことに、特定の一般式(I)の染料を用いることにより、明るいホログラムを優れた方法で露光することができるフォトポリマー組成物を得ることが可能となることも明らかとなった。従来技術において、特には、イオン性染料と種々の用途に適当な光開始剤としてみなされるのは、反対に帯電した共開始剤との組み合わせであり、さらには、中性染料の全シリーズはホログラフィック用途における光開始剤系に全く適当でないため、これはなおさら驚くべきことである。したがって、特に、特定の一般式(I)の染料が上記の要件を満たし、最初の段階においてホログラフィック露光性フォトポリマーの製造を可能とすることが驚きである。
【0017】
一般式(I)の染料は、次のメソメリー限定式:
【化2】
によって表すことができるその構造式において種々の結合シナリオを有し得る。
【0018】
式(I)の染料の水膨潤率は、好ましくは≦5%、より好ましくは≦3%、非常に好ましくは<2%である。たとえあったとしても、式(I)の染料はわずかな水しか吸収しないことがさらにより好ましい。
【0019】
水膨潤率は、式(F-1):
W = (m
f/m
t−1)*100% (F-1)
〔式中、m
fは水飽和後の染料の質量であり、m
tは乾燥染料の質量である〕から明らかである。m
tは、例えば減圧で昇温下において、特定量の染料を一定の質量まで乾燥することによって確認される。m
fは、一定重量まで特定量の染料を所定の湿度での空気中に放置することによって決定される。
【0020】
AがC−R
Aを表す場合、R
Aは、好ましくは場合により置換された芳香族または脂肪族基を含み、一方で場合により置換された芳香族または脂肪族基はヘテロ芳香族またはヘテロ脂肪族基であってもよい。
【0021】
脂肪族基R
Aは、好ましくはC
1〜C
20-アルキル基、より好ましくはC
1〜C
6-アルキル基であり得る。C
1〜C
6-アルキル基は、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、ネオペンチル、1-エチルプロピル、シクロヘキシル、シクロペンチル、n-ヘキシル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、1-エチルブチル、2-エチルブチル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,2,2-トリメチルプロピル、1-エチル-1-メチルプロピル、1-エチル-2-メチルプロピルまたは1-エチル-2-メチルプロピルを表し、C
1〜C
18-アルキル基は例えばさらにn-ヘプチルおよびn-オクチル、ピナシル、アダマンチル、異性体メンチル、n-ノニル、n-デシル、n-ドデシル、n-トリデシル、n-テトラデシル、n-ヘキサデシル、n-オクタデシルまたはステアリルを表す。ヘテロ脂肪族基R
Aは、好ましくはポリエーテル部、好ましくは8個以下の繰り返し単位を有する長鎖エチレンオキシドまたはプロピレンオキシド部である。1〜20個の炭素原子のエステルまたはウレタンを用いてもよく、ここで特に1〜2個のエステルおよび/またはウレタン基を有するものである。
【0022】
芳香族基R
Aは、さらに好ましくは4〜24個の骨格炭素原子を有する芳香族基であり得、ここでそれぞれ、1環あたり0、1,2または3個の骨格炭素原子が窒素、硫黄または酸素の群から選択されるヘテロ原子によって置換されてよいが、好ましくは6〜24個の骨格炭素原子を有する炭素環式芳香族基に対してである。
【0023】
C
6〜C
24-アリール基の例は、フェニル、o-、p-、m-トリル、ナフチル、フェナントレニル、アントラセニルまたはフルオレニルであり、1環あたり0、1、2または3個の骨格炭素原子が窒素、硫黄または酸素の群から選択されるヘテロ原子によって置換されてよいが、分子全体において少なくとも1つの骨格炭素原子が窒素、硫黄または酸素の群から選択されるヘテロ原子によって置換され得るヘテロ芳香族C
4〜C
24-アリール基の例は、例えばピリジル、ピリジルN-オキシド、ピリミジル、ピリダジニル、ピラジニル、チエニル、フリル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリルまたはイソオキサゾリル、インドリジニル、インドリル、ベンゾ[b]チエニル(benzo[b]thienyl)、ベンゾ[b]フリル(benzo[b]furyl)、インダゾリル、キノリル、イソキノリル、ナフチリジニル、キナゾリニル、ベンゾフラニルまたはジベンゾフラニルである。
【0024】
染料は、好ましくは一般式(I)中のAが好ましくはNを表す染料である。
【0025】
染料は、好ましくは一般式(I)中のEが置換されたホウ素由来基、より好ましくはハロゲン2置換のホウ素由来基を表す染料である。
【0026】
染料は、好ましくは、一般式(I)中のR
1、R
2およびR
3が、それぞれ独立して水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、場合によりフッ素化されたアルコキシ、またはハロゲンおよび/またはN-、O-またはS含有基によって場合により置換された芳香族、脂肪族または芳香脂肪族基を表し、好ましくはそれぞれ独立して水素または場合によりハロゲン-、ヒドロキシ-またはアルコキシ-置換された芳香族、脂肪族または芳香脂肪族基を表し、より好ましくはそれぞれ独立して水素または場合によりハロゲン-、ヒドロキシ-またはアルコキシ-置換された芳香族基を表し、非常に好ましくはそれぞれ独立して水素または場合によりハロゲン置換された芳香族基を表す染料である。
【0027】
適当な置換された芳香族基は、例えばおよび好ましくは、1環あたり0、1、2または3個の骨格炭素原子が窒素、硫黄または酸素の群から選択されたヘテロ原子によって置換されてよい4〜24個の骨格炭素原子を有する芳香族基であり得る。しかし、好ましくは、適当な置換された芳香族基は、6〜24個の骨格炭素原子を有する炭素環式芳香族基である。C
6〜C
24-アリール基の例は、フェニル、o-、p-、m-トリル、キシレン、ナフチル、フェナントレニル、アントラセニルまたはフルオレニルであり、1環あたり0,1、2または3個の骨格炭素原子が窒素、硫黄または酸素の群から選択されるヘテロ原子によって置換されてよいが、分子全体において少なくとも1つの骨格炭素原子が窒素、硫黄または酸素の群から選択されるヘテロ原子によって置換され得るヘテロ芳香族C
4〜C
24-アリール基の例は、例えばピリジル、ピリジルN-オキシド、ピリミジル、ピリダジニル、ピラジニル、チエニル、フリル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリルまたはイソオキサゾリル、インドリジニル、インドリル、ベンゾ[b]チエニル(benzo[b]thienyl)、ベンゾ[b]フリル(benzo[b]furyl)、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、インダゾリル、キノリル、イソキノリル、ナフチリジニル、キナゾリニル、ベンゾフラニルまたはジベンゾフラニルである。
【0028】
アルコキシは例えば、R
Aに対して列挙されたアルキル基に対応するアルコキシ基を表す。
【0029】
しかし、適当な置換された芳香族基がフェニルであることが特に好ましい。式(I)の染料は、AがNを表し、Eが置換されたホウ素由来基、好ましくはハロゲン2置換のホウ素由来基を表し、R
1、R
2およびR
3がそれぞれ独立して水素または場合によりハロゲン-、ヒドロキシ-またはアルコキシ-置換された芳香族、脂肪族または芳香脂肪族基を表し、より好ましくはそれぞれ独立して水素または場合によりハロゲン-、ヒドロキシ-またはアルコキシ-置換された芳香族基を表し、非常に好ましくはそれぞれ独立して水素または場合によりハロゲン置換された芳香族基を表す式(I)の染料であることが特に好ましい。
【0030】
AがNを表し、Eがハロゲン2置換のホウ素由来基を表し、R
1、R
2およびR
3はそれぞれ独立して水素または場合によりハロゲン-、ヒドロキシ-またはアルコキシ-置換された芳香族、脂肪族または芳香脂肪族基を表し、より好ましくはそれぞれ独立して水素または場合によりハロゲン-、ヒドロキシ-またはアルコキシ-置換された芳香族基を表し、非常に好ましくはそれぞれ独立して水素または場合によりハロゲン置換された芳香族基を表す式(I)の染料が、非常に好ましい。
【0031】
ホウ素由来基Eに有用なハロゲン置換基としては、例えばフッ素、塩素、臭素またはヨウ素置換基が挙げられ、好ましくはフッ素または塩素置換基が挙げられる。フッ素置換基が特に好ましい。
【0032】
芳香族基R
1、R
2およびR
3に有用なハロゲン置換基としては、例えばフッ素、塩素、臭素またはヨウ素置換基が挙げられ、好ましくはフッ素、塩素または臭素置換基が挙げられる。フッ素または臭素置換基が特に好ましい。
【0033】
本発明の好ましい実施態様において、一般式(I)は、水素を表すR
2基ならびにそれぞれ独立して場合によりハロゲン-、ヒドロキシ-またはアルコキシ-置換された、好ましくは場合によりハロゲン置換された、芳香族基を表すR
1およびR
3基を有する。基R
1またはR
3が、ハロゲン-、ヒドロキシ-またはアルコキシ-置換された、好ましくはハロゲン置換された、芳香族基および非置換の芳香族基を含むそれぞれ他の基を表すことが、ここでは好ましい。R
1およびR
3基全てが非置換の芳香族基を表すことがさらに好ましい。
【0034】
例示的な一般式(I)の染料は、式(I)と同様に、メソメリー限定式も表す式(I-a)〜(I-c):
【化3】
(I-a)
【化4】
(I-b)
【化5】
(I-c)
の染料である。
【0035】
式(I)の染料に使用により、調製するフォトポリマー組成物における染料の溶解性の改善のために、共溶媒、特に双極性非プロトン性共溶媒、例えばDMSO、NMPまたはNEP等がさらに可能となる。これにより、一般に残余物なく除去するのが難しいかかる共溶媒のホログラフィック媒体における残余物を避けられる。次にオフガス化する共溶媒残余物が、その後に生じる収縮による露光ホログラムの質に著しく影響し得、そのため書き込みホログラムの格子空間に変わり得、または接着特性に悪影響を有し得る点で、これは有利である。
【0036】
したがって、共溶媒を含有しない本発明のフォトポリマー組成物を用いることが有利であり、好ましくあり得る。
【0037】
適当な光開始剤は、化学線によって活性化可能であり、対応する基の重合を誘起することができる一般的な化合物である。光開始剤は、単分子系開始剤(タイプI)および2分子系開始剤(タイプII)に区別することができる。これらはさらに、その化学特性により、フリーラジカル、アニオン性、カチオン性または混合タイプの重合用の光開始剤に区別される;従来技術はこれに関して広い。
【0038】
フリーラジカル光重合用のタイプIの光開始剤(ノリッシュタイプI)は、単分子結合の開裂による照射においてフリーラジカルを生成する。
【0039】
タイプIの光開始剤の例は、トリアジン類、例えばトリス(トリクロロメチル)トリアジン等、オキシム類、ベンゾインエーテル類、ベンジルケタール類、α-α-ジアルコキシアセトフェノン、フェニルグリオキシル酸エステル類、ビスイミダゾール類、アロイルホスフィンオキシド類、例えば2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、スルホニウムおよびヨードニウム塩である。
【0040】
フリーラジカル重合用のタイプIIの光開始剤(ノリッシュタイプII)は、照射において2分子反応を行い、ここでは、光開始剤が励起状態において第2の分子、共開始剤と反応し、電子またはプロトン移動または直接水素引抜きによって重合誘起性フリーラジカルを生成する。
【0041】
タイプIIの光開始剤の例は、第3級アミンと組み合わせた、キノン類、例えばカンファキノン等、芳香族ケト化合物、例えば第3級アミンと組み合わせたベンゾフェノン、アルキルベンゾフェノン、ハロゲン化ベンゾフェノン、4,4'-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、アントロン、メチルp-(ジメチルアミノ)ベンゾエート、チオキサントン、ケトクマリン、α-アミノアルキルフェノン、α-ヒドロキシアルキルフェノンおよびカチオン性染料、例えばメチレンブルーである。
【0042】
タイプIおよびタイプIIの光開始剤は、UVおよび単波可視領域に対して用いられ、一方、主にタイプIIの光開始剤は、比較的長波可視スペクトルに対して用いられる。
【0043】
アンモニウムアルキルアリールボレートおよび1以上の染料の混合物からなるEP 0 223 587 Aに記載されている光開始剤系は、フリーラジカル重合用のタイプIIの光開始剤として有用でもある。適当なアンモニウムアルキルアリールボレートの例は、テトラブチルアンモニウムトリフェニルヘキシルボレート、テトラブチルアンモニウムトリフェニルブチルボレート、テトラブチルアンモニウムトリナフチルヘキシルボレート、テトラブチルアンモニウムトリス(4-tert-ブチル)フェニルブチルボレート、テトラブチルアンモニウムトリス(3-フルオロフェニル)ヘキシルボレート、テトラメチルアンモニウムトリフェニルベンジルボレート、テトラ(n-ヘキシル)アンモニウム(sec-ブチル)トリフェニルボレート、1-メチル-3-オクチルイミダゾリウムジペンチルジフェニルボレートおよびテトラブチルアンモニウムトリス(3-クロロ-4-メチルフェニル)ヘキシルボレートである(Cunninghamら、RadTech'98 North America UV/EB Conference Proceedings、Chicago、Apr. 19-22、1998年)。
【0044】
アニオン重合に用いられる光開始剤は、一般にタイプI系であり、第1列遷移金属錯体由来である。ここで挙げることができる例は、クロム塩、例えばtrans-Cr(NH
3)
2(NCS)
4-(Kutalら、Macromolecules 1991年、24、6872)またはフェロセニル化合物(Yamaguchiら、Macromolecules 2000年、33、1152)である。
【0045】
アニオン重合に対する更なる選択肢は、染料、例えばクリスタルバイオレットロイコニトリルまたはマラカイトグリーンロイコニトリルの使用であり、これらは、光分解を通してシアノアクリレートを重合することができる(Neckersら、Macromolecules、2000年、33、7761)。その発色団は、生じるポリマーに組み込まれ、これらを本質的に着色する。
【0046】
カチオン重合に有用な光開始剤は、3つの種から必須になる:アリールジアゾニウム塩、オニオム塩(ここで具体的に:ヨードニウム、スルホニウムおよびセレノニウム塩)および有機金属化合物。フェニルジアゾニウム塩は、水素共与体の存在下だけでなくその不存在下において、重合を開始するカチオンを照射において生成することができる。全体の系の効率は、ジアゾニウム化合物に対して用いられる対イオンの性質によって決定される。好ましくは、あまり反応性でないが非常に高価なSbF
6-、AsF
6-またはPF
6-が挙げられる。これらの化合物は、露光後に放出される窒素が表面の質を下げるため(ピンホール)、一般に薄膜塗布に使用するのにあまり適当でない(Liら、Polymeric Materials Science and Engineering、2001年、84、139)。
【0047】
オニオム塩、特にスルホニウムおよびヨードニウム塩は、非常に幅広く使用され、幅広い形状で市販もされている。これらの化合物の光化学は、持続した研究の目的である。励起におけるヨードニウム塩は、まずホモリシス分解し、それにより1つのフリーラジカル、および水素引抜きによってプロトンを最終的に放出し、カチオン重合を開始するカチオンに遷移する1つのフリーラジカルカチオンを生成する(Dektarら、J. Org. Chem. 1990, 55, 639;J. Org. Chem.、1991年、56. 1838)。このメカニズムにより、ヨードニウム塩を同じくフリーラジカル光重合に使用することが可能となる。対イオンの選択は、ここではなおも非常に重要である。好ましくは、同じくSbF
6-、AsF
6-またはPF
6-を用いることが挙げられる。この構造種は、他の点に関して、芳香族における置換の選択について非常に自由であり、適当なシントンの利用によって必須に決定される。スルホニウム塩は、ノリッシュタイプIIのメカニズムによって分解する化合物である(Crivelloら、Macromolecules、2000年、33、825)。対イオンの選択は、スルホニウム塩において極めて重要でもあるが、これは、ポリマーの硬化速度において実質的に影響されるためである。最も良好な結果は、一般にSbF
6-塩において達成される。
【0048】
ヨードニウムおよびスルホニウム塩の固有吸収が<300nmであるため、これらの化合物は、近UVまたは短波可視光を用いた光重合に対して適宜に感光性であるはずである。これは、より長波長で吸収する芳香族、例えばアントラセンおよび由来物(Guら、Am. Chem. Soc. Polymer Preprints、2000年、41(2)、1266)またはフェノチアジンおよび/またはその由来物(Huaら、Macromolecules 2001年、34、2488-2494)を用いて達成される。
【0049】
これらの増感剤の混合物または他の光開始剤を用いることが有利であり得る。用いる照射源に応じて、光開始剤種および濃度を、当業者に既知の方法で適合させるべきである。更なる詳細は、例えばP. K. T. Oldring(編集)、Chemistry & Technology of UV & EB Formations For Coatings、Inks & Paints、第3巻、1991年、SITA Technology、London、第61〜328頁に記載されている。
【0050】
好ましい光開始剤は、テトラブチルアンモニウムテトラヘキシルボレート、テトラブチルアンモニウムトリフェニルヘキシルボレート、テトラブチルアンモニウムトリフェニルブチルボレート、テトラブチルアンモニウムトリス(3-フルオロフェニル)ヘキシルボレート([191726-69-9]、CGI 7460、BASF SE、Basle、スイス製の製品)およびテトラブチルアンモニウムトリス(3-クロロ-4-メチルフェニル)ヘキシルボレート([1147315-11-4]、CGI 909、BASF SE、Basle、スイス製の製品)と式(I)の染料との混合物である。
【0051】
ポリイソシアネート成分a)として、平均して1分子当たり2以上のNCO基を含む、当業者にそれ自体既知の任意の化合物、またはその混合物を用いることができる。これは、芳香族、芳香脂肪族、脂肪族または脂環族に基づくものであってよい。モノイソシアネートおよび/または不飽和基含有ポリイソシアネートを少量用いることもできる。
【0052】
適当な例は、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,8-ジイソシアナト-4-(イソシアナトメチル)オクタン、2,2,4-および/または2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、異性体ビス(4,4'-イソシアナトシクロヘキシル)メタンおよび任意の異性体含有量を有するその混合物、イソシアナトメチル-1,8-オクタンジイソシアネート、1,4-シクロヘキシレンジイソシアネート、異性体シクロヘキサンジメチレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-および/または2,6-トリレンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、2,4'-または4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネートおよび/またはトリフェニルメタン4,4',4''-トリイソシアネートである。
【0053】
ウレタン、ウレア、カルボジイミド、アシルウレア、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、オキサジアジントリオン、ウレトジオンおよび/またはイミノオキサジアジンジオン構造を有するモノマージ-またはトリイソシアネートの由来物を使用することが同じく可能である。
【0054】
好ましくは、脂肪族および/または脂環族ジ-またはトリイソシアネートに基づくポリイソシアネートを使用することが挙げられる。
【0055】
成分a)のポリイソシアネートがジ-またはオリゴマー化脂肪族および/または脂環族ジ-またはトリイソシアネートを含むことが特に好ましい。
【0056】
非常に特に好ましくは、HDI、1,8-ジイソシアナト-4-(イソシアナトメチル)オクタンまたはその混合物に基づくイソシアヌレート、ウレトジオンおよび/またはイミノオキサジアジンジオンが挙げられる。
【0057】
同じく成分a)として有用であるのは、ウレタン、アロファネート、ビウレットおよび/またはアミド基を有するNCO官能性プレポリマーである。成分a)のプレポリマーは、周知の従来の方法において、適当な化学量論量で触媒および溶媒の存在下または不存在下においてモノマー、オリゴマーまたはポリイソシアネートa1)とイソシアネート反応性化合物a2)とを反応させることによって得られる。
【0058】
有用なポリイソシアネートa1)としては、当業者にそれ自体既知の全ての脂肪族、脂環族、芳香族または芳香脂肪族ジ-およびトリイソシアネートが挙げられ、ホスゲン化またはホスゲン不含有の方法によってそれが得られるかどうかは重要ではない。さらに、ウレタン、ウレア、カルボジイミド、アシルウレア、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、オキサジアジントリオン、ウレトジオンまたはイミノオキサジアジンジオン構造を、それぞれ個々にまたは互いの中で任意の所望の混合物として有するモノマージ-および/またはトリイソシアネートの周知の従来の高分子量派生生成物を用いることもできる。
【0059】
成分a1)として有用な適当なモノマージ-またはトリイソシアネートの例は、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、トリメチル-ヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、1,8-ジイソシアナト-4-(イソシアナトメチル)オクタン、イソシアナトメチル-1,8-オクタンジイソシアネート(TIN)、2,4-および/または2,6-トルエンジイソシアネートである。
【0060】
プレポリマーを構成するためのイソシアネート反応性化合物a2)は、好ましくはOH官能性化合物である。これは、成分b)に対して以下で記載されるOH官能性化合物に類似する。
【0061】
プレポリマー調製のためのアミンの使用も可能である。例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、プロピレンジアミン、ジアミノシクロヘキサン、ジアミノベンゼン、ジアミノビスフェニル、2官能性ポリアミン、例えばJeffamine(登録商標)10000g/モル以下の数平均モル質量を有するアミン末端化ポリマー等および互いとのその任意の所望の混合物が適当である。
【0062】
ビウレット基を含むプレポリマーの調製のために、イソシアネートを過剰にアミンと反応させ、ビウレット基が生成する。上記の種の全てのオリゴマーまたはポリマーの、第1級または第2級の、2官能性アミンは、上記のジ-、トリ-およびポリイソシアネートとの反応に対する場合において、アミンとして適当である。
【0063】
好ましいプレポリマーは、脂肪族イソシアネート官能性化合物および200〜10000g/モルの数平均モル質量を有するオリゴマーまたはポリマーイソシアネート反応性化合物から得られるウレタン、アロファネートまたはビウレットである;特に好ましくは、脂肪族イソシアネート官能性化合物および500〜8500g/モルの数平均モル質量を有するオリゴマーまたはポリマーポリオールまたはポリアミンから得られるウレタン、アロファネートまたはビウレットが挙げられる。非常に特に好ましくは、HDIまたはTMDIおよび1000〜8200g/モルの数平均モル質量を有する2官能性ポリエーテルポリオールから生成されるアロファネートが挙げられる。
【0064】
上記のプレポリマーは、好ましくは1重量%未満、特に好ましくは0.5重量%未満、非常に特に好ましくは0.2重量%未満の遊離モノマーイソシアネートの残存含有量を有する。
【0065】
上記のプレポリマーに加えて、ポリイソシアネート成分はもちろん、更なるイソシアネート成分を部分的に含み得る。芳香族、芳香脂肪族、脂肪族および脂環族ジ-、トリ-またはポリイソシアネートはこの目的のために適当である。かかるジ-、トリ-またはポリイソシアネートの混合物を使用することもできる。適当なジ-、トリ-またはポリイソシアネートの例は、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,8-ジイソシアナト-4-(イソシアナトメチル)オクタン、2,2,4-および/または2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、異性体ビス(4,4'-イソシアナトシクロヘキシル)メタンおよび任意の所望の異性体含有量を有するその混合物、イソシアナトメチル-1,8-オクタンジイソシアネート、1,4-シクロヘキシレンジイソシアネート、異性体シクロヘキサンジメチレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-および/または2,6-トリレンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、2,4'-または4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタン4,4',4''-トリイソシアネートまたはウレタン、ウレア、カルボジイミド、アシルウレア、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、オキサジアジントリオン、ウレトジオンまたはイミノオキサジアジンジオン構造を有するその由来物およびその混合物である。適当な方法によって過剰のジイソシアネートを含有しないオリゴマー化および/または誘導体化ジイソシアネートに基づくポリイソシアネートが特に好ましく、特にヘキサメチレンジイソシアネートのものである。HDIのオリゴマーイソシアヌレート、ウレトジオンおよびイミノオキサジアジンジオンおよびその混合物が特に好ましい。
【0066】
場合により、ポリイソシアネート成分a)が部分的にイソシアネートを含んでもよく、これは、部分的にイソシアネート反応性エチレン性不飽和化合物と反応される。α,β-不飽和カルボン酸由来物、例えばアクリレート、メタクリレート、マレエート、フマレート、マレイミド、アクリルアミド、およびビニルエーテル、プロペニルエーテル、アリルエーテル、およびジシクロペンタジエニル単位を含み、イソシアネートに対して反応性の少なくとも1つの基を有する化合物が、ここではイソシアネート反応性エチレン性不飽和化合物として好ましく用いられる;これらは、特に好ましくは少なくとも1つのイソシアネート反応性基を有するアクリレートおよびメタクリレートである。適当なヒドロキシ官能性アクリレートまたはメタクリレートは、例えば多価アルコール、例えばトリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、エトキシ化、プロポキシ化またはアルコキシ化トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールおよびその工業的混合物の2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリ(ε-カプロラクトン)モノ(メタ)アクリレート、例えばTone(登録商標)M100(Dow、USA)等、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシ官能性モノ-、ジ-またはテトラ(メタ)アクリレート等の化合物である。さらに、アクリレートおよび/またはメタクリレート基を含むイソシアネート反応性オリゴマーまたはポリマー不飽和化合物の単独または上記のモノマー化合物との組み合わせが適当である。イソシアネート成分a)に基づく、部分的にイソシアネート反応性エチレン性不飽和化合物と反応されるイソシアネートの比率は、0〜99%、好ましくは0〜50%、特に好ましくは0〜25%、非常に特に好ましくは0〜15%である。
【0067】
上記のポリイソシアネート成分a)が、完全または部分的に、コーティング技術から当業者に既知のブロッキング剤と完全または部分的に反応させたイソシアネートを含んでもよい。ブロッキング剤の例として次のものを挙げることができる:アルコール、ラクタム、オキシム、マロン酸エステル、アルキルアセトアセテート、トリアゾール、フェノール、イミダゾール、ピラゾールおよびアミン、例えばブタノンオキシム、ジイソプロピルアミン、1,2,4-トリアゾール、ジメチル1,2,4-トリアゾール、イミダゾール、ジエチルマロネート、エチルアセトアセテート、アセトンオキシム、3,5-ジメチルピラゾール、ε-カプロラクタム、N-tert-ブチルベンジルアミン、シクロペンタノンカルボキシエチルエステルまたはこれらブロッキング剤の任意の所望の混合物。
【0068】
ポリイソシアネート成分が脂肪族ポリイソシアネートまたは脂肪族プレポリマーであること、好ましくは脂肪族ポリイソシアネートまたは第1級NCO基を有するプレポリマーであることが特に好ましい。
【0069】
全ての多官能性の、1分子当たり平均で少なくとも1.5個のイソシアネート反応性基を有するイソシアネート反応性化合物をポリオール成分b)として用いることができる。
【0070】
本発明に関して、イソシアネート反応性基は、好ましくはヒドロキシル、アミノまたはチオ基であり、ヒドロキシ化合物が特に好ましい。
【0071】
適当な多官能性の、イソシアネート反応性化合物は、例えばポリエステル-、ポリエーテル-、ポリカーボネート-、ポリ(メタ)アクリレート-および/またはポリウレタンポリオールである。
【0072】
適当なポリエステルポリオールは、例えば、脂肪族、脂環族または芳香族ジ-またはポリカルボン酸またはその無水物と≧2のOH官能価を有する多価アルコールとから既知の方法において得られるような、直鎖状ポリエステルジオールまたは分岐状ポリエステルポリオールである。
【0073】
かかるジ-またはポリカルボン酸または無水物の例は、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、o-フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸またはトリメリット酸および酸無水物、例えばo-フタル、トリメリット酸またはコハク酸無水物または互いとのその任意の所望の混合物である。
【0074】
適当なアルコールの例は、エタンジオール、ジ-、トリ-またはテトラエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ジ-、トリ-またはテトラプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,2-ジメチル1,3-プロパンジオール、1,4-ジヒドロキシシクロヘキサン、1,4-ジメチロールシクロヘキサン、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、トリメチロールプロパン、グリセロールまたは互いとの任意の所望のその混合物である。
【0075】
ポリエステルポリオールは、ヒマシ油等の天然の原材料に基づいてもよい。ポリエステルポリオールは、好ましくはラクトンまたはラクトン混合物、例えばブチロラクトン、ε-カプロラクトンおよび/またはメチル-ε-カプロラクトンと、ヒドロキシ官能性化合物、例えば上記の種の≧2のOH官能価を有する多価アルコール等との付加反応に得ることができるような、ラクトンのホモ-またはコポリマーに基づいてもよい。
【0076】
かかるポリエステルポリオールは、好ましくは400〜4000g/モル、特に好ましくは500〜2000g/モルの数平均モル質量を有する。そのOH官能価は、好ましくは1.5〜3.5、特に好ましくは1.8〜3.0である。
【0077】
適当なポリカーボネートポリオールは、有機カーボネートまたはホスゲンとジオールまたはジオール混合物との反応によって、それ自体既知の方法において得ることができる。
【0078】
適当な有機カーボネートは、ジメチル、ジエチルおよびジフェニルカーボネートである。
【0079】
適当なジオールまたは混合物は、ポリエステル部に関して上述した≧2のOH官能価を有する多価アルコール、好ましくは1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオールおよび/または3-メチルペンタンジオールを含み、またはポリエステルポリオールは、ポリカーボネートポリオールに変換されてよい。
【0080】
かかるポリカーボネートポリオールは、好ましくは400〜4000g/モル、特に好ましくは500〜2000g/モルの数平均モル質量を有する。これらのポリオールのOH官能価は、好ましくは1.8〜3.2、特に好ましくは1.9〜3.0である。
【0081】
適当なポリエーテルポリオールは、OH-またはNH-官能性スターター分子を用いた環状エーテルの重付加物であり、前記重付加物は場合によりブロック構造を有する。
【0082】
適当な環状エーテルは、例えばスチレンオキシド、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、ブチレンオキシド、エピクロロヒドリンおよび任意の所望のその混合物である。
【0083】
用いることができるスターターは、ポリエステルポリオールに関して上述した≧2のOH官能価を有する多価アルコールおよび第1級または第2級アミンおよびアミノアルコールである。
【0084】
好ましいポリエーテルポリオールは、プロピレンオキシドまたはさらなる1-アルキレンオキシドとプロピレンオキシドに基づくランダムもしくはブロックコポリマーに専ら基づく、上記の種のものであり、1-アルキレンオキシドの比率は、80重量%以下である。プロピレンオキシドホモポリマーおよびオキシエチレン、オキシプロピレンおよび/またはオキシブチレン単位を有するランダムまたはブロックコポリマーが特に好ましく、全オキシエチレン、オキシプロピレンおよびオキシブチレン単位の全量に基づくオキシプロピレン単位の比率は、少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも45重量%を構成する。ここで、オキシプロピレンおよびオキシブチレンは、すべて個々の直鎖状および分岐状C3-およびC4-異性体を含む。
【0085】
かかるポリエーテルポリオールは、好ましくは250〜10000g/モル、特に好ましくは500〜8500g/モル、非常に特に好ましくは600〜4500g/モルの数平均モル質量を有する。OH官能価は好ましくは1.5〜4.0、特に好ましくは1.8〜3.1である。
【0086】
多官能性のイソシアネート反応性化合物を含むポリオール成分b)に対する適当な成分としては、低分子量、すなわち500g/モル以下の分子量を有する脂肪族、芳香脂肪族または脂環族の2、3または多官能性アルコールも挙げられ、これらは短鎖であり、すなわち2〜20個の炭素原子を含む。
【0087】
これらは、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2-エチル-2-ブチルプロパンジオール、トリメチルペンタンジオール、位置異性体ジエチルオクタンジオール、1,3-ブチレングリコール、シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、(2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン)、2,2-ジメチル-3-ヒドロキシプロピル2,2-ジメチル-3-ヒドロキシプロピオネートであり得る。適当なトリオールの例は、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンまたはグリセロールである。適当な多官能性アルコールは、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールまたはソルビトールである。
【0088】
ポリオール成分が、第1級OH基を有する、2官能性ポリエーテル、ポリエステルまたはポリエーテル-ポリエステルブロックコポリエステルまたはポリエーテル-ポリエステルブロックコポリマーであることが特に好ましい。
【0089】
更なる好ましい実施態様において、書き込みモノマーは1以上の1官能性および/または多官能性書き込みモノマーを含み、これは特に1および多官能性アクリレート書き込みモノマーであり得る。書き込みモノマーが少なくとも1官能性および多官能性ウレタン(メタ)アクリレートを含むことが特に好ましい。
【0090】
アクリレート書き込みモノマーは、より具体的には、一般式(II):
【化6】
(II)
〔式中、それぞれの場合、nは≧1およびn≦4であり、R
4、R
5は互いに独立して水素、直鎖状、分岐状、環状または複素環式の非置換または場合によりヘテロ原子置換された有機基である〕の化合物であり得る。R
5が水素またはメチルであり、および/またはR
4が直鎖状、分岐状、環状または複素環式の非置換または場合によりヘテロ原子置換された有機基であることが特に好ましい。
【0091】
更なる不飽和化合物、例えばα,β-不飽和カルボン酸由来物、例えばアクリレート、メタクリレート、マレエート、フマレート、マレイミド、アクリルアミド、またビニルエーテル、プロペニルエーテル、アリルエーテルおよびジシクロペンタジエニル含有化合物およびオレフィン性不飽和化合物、例えばスチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、オレフィン、例えば1-オクテンおよび/または1-デセン、ビニルエステル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、メタクリル酸、アクリル酸を添加することが同様に可能である。しかし、好ましくはアクリレートおよびメタクリレートが挙げられる。
【0092】
一般に、アクリル酸およびメタクリル酸のエステルがアクリレートおよびメタクリレートとしてそれぞれ指定される。用いることができるアクリレートおよびメタクリレートの例は、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、エトキシエチルアクリレート、エトキシエチルメタクリレート、n-ブチルアクリレート、n-ブチルメタクリレート、tert-ブチルアクリレート、tert-ブチルメタクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシエチルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、p-クロロフェニルアクリレート、p-クロロフェニルメタクリレート、p-ブロモフェニルアクリレート、p-ブロモフェニルメタクリレート、2,4,6-トリクロロフェニルアクリレート、2,4,6-トリクロロフェニルメタクリレート、2,4,6-トリブロモフェニルアクリレート、2,4,6-トリブロモフェニルメタクリレート、ペンタクロロフェニルアクリレート、ペンタクロロフェニルメタクリレート、ペンタブロモフェニルアクリレート、ペンタブロモフェニルメタクリレート、ペンタブロモベンジルアクリレート、ペンタブロモベンジルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、フェノキエトキシエチルアクリレート、フェノキエトキシエチルメタクリレート、フェノキチオエチルアクリレート、フェノキチオエチルメタクリレート、2-ナフチルアクリレート、2-ナフチルメタクリレート、1,4-ビス(2-チオナフチル)-2-ブチルアクリレート、1,4-ビス(2-チオナフチル)-2-ブチルメタクリレート、プロパン-2,2-ジイルビス[(2,6-ジブロモ-4,1-フェニレン)オキシ(2-{[3,3,3-トリス(4-クロロフェニル)-プロパノイル]オキシ}プロパン-3,1-ジイル)オキシエタン-2,1-ジイル]ジアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、テトラブロモビスフェノールAジアクリレート、テトラブロモビスフェノールAジメタクリレートおよびそのエトキシ化類似化合物、N-カルバゾイルアクリレートであり、用いることができるアクリレートおよびメタクリレートの選択を挙げるだけである。
【0093】
当然ながら、更なるウレタンアクリレートを用いることもできる。ウレタンアクリレートは、少なくとも1つのウレタン結合をさらに有する少なくとも1つのアクリル酸エステル基を有する化合物を意味すると理解される。かかる化合物は、ヒドロキシ官能性アクリル酸エステルとイソシアネート官能性化合物との反応によって得られることが知られている。
【0094】
このために用いることができるイソシアネート官能性化合物の例は、芳香族、芳香脂肪族、脂肪族および脂環族ジ-、トリ-またはポリイソシアネートである。かかるジ-、トリ-またはポリイソシアネートの混合物を用いてもよい。適当なジ-、トリ-またはポリイソシアネートの例は、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,8-ジイソシアナト-4-(イソシアナトメチル)オクタン、2,2,4-および/または2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、異性体ビス(4,4'-イソシアナトシクロヘキシル)メタンおよび任意の所望の異性体含有量を有するその混合物、イソシアナトメチル-1,8-オクタンジイソシアネート、1,4-シクロヘキシレンジイソシアネート、異性体シクロヘキサンジメチレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-および/または2,6-トリレンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、2,4'-または4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、m-メチルチオフェニルイソシアネート、トリフェニルメタン4,4',4''-トリイソシアネートおよびトリス(p-イソシアナトフェニル)チオホスフェートまたはウレタン、ウレア、カルボジイミド、アシルウレア、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、オキサジアジントリオン、ウレトジオンまたはイミノオキサジアジンジオン構造を有するその由来物およびその混合物である。芳香族または芳香脂肪族ジ-、トリ-またはポリイソシアネートが好ましい。
【0095】
ウレタンアクリレートの製造に適当なヒドロキシ官能性アクリレートまたはメタクリレートは、多価アルコール、例えばトリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、エトキシ化、プロポキシ化またはアルコキシ化トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールまたはその工業的混合物の、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリ(ε-カプロラクトン)モノ(メタ)アクリレート、例えばTone(登録商標)M100(Dow、Schwalbach、独国)、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、ヒドロキシ官能性モノ-、ジ-またはテトラアクリレート等の化合物である。2-ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレートおよびポリ(ε-カプロラクトン)モノ(メタ)アクリレートが好ましい。さらに、アクリレートおよび/またはメタクリレート基を含むイソシアネート反応性オリゴマーまたはポリマー不飽和化合物の単独または上記のモノマー化合物との組み合わせが適当である。ヒドロキシル基を含み、20〜300mg KOH/gのOH含有量を有するそれ自体既知のエポキシ(メタ)アクリレートまたはヒドロキシル基を含み、20〜300mg KOH/gのOH含有量を有するポリウレタン(メタ)アクリレートまたは20〜300mg KOH/gのOH含有量を有するアクリレート化ポリアクリレートおよび互いとのその混合物およびヒドロキシル基を含む不飽和ポリエステルとの混合物およびポリエステル(メタ)アクリレートとの混合物またはヒドロキシル基を含む不飽和ポリエステルとポリエステル(メタ)アクリレートとの混合物を同じく用いることができる。
【0096】
好ましくは、トリス(p-イソシアナトフェニル)チオホスフェートおよびm-メチルチオフェニルイソシアネートと、アルコール官能性アクリレート、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートおよびヒドロキシブチル(メタ)アクリレートとの反応から得ることができるウレタンアクリレートが特に挙げられる。
【0097】
特に好ましくは、HDIに基づくイソシアヌレート、ウレトジオン、イミノオキサジアジンジオンおよび/または他のオリゴマーと共に1.8〜3.1の官能価、200〜4000g/モルの数平均モル質量を有するポリエーテルポリオールへの、ブチロラクトン、e-カプロラクトンおよび/またはメチル-ε-カプロラクトンの付加生成物からなるマトリックスポリマーの製造において成分a)およびb)を組み合わせることが挙げられる。非常に特に好ましくは、HDIに基づくオリゴマー、イソシアヌレートおよび/またはイミノオキサジアジンジオンと共に1.9〜2.2の官能価および500〜2000g/モル(特に600〜1400g/モル)の数平均モル質量を有し、その数平均全モル質量は、800〜4500g/モル、特に1000〜3000g/モルの範囲であるポリ(テトラヒドロフラン)へのe-カプロラクトンの付加生成物が挙げられる。
【0098】
更なる好ましい実施態様において、フォトポリマー組成物はさらにウレタンを可塑剤として含み、ここでウレタンはより特には、少なくともフッ素原子で置換され得る。
【0099】
ウレタンは、好ましくは一般式(III):
【化7】
〔式中、mは≧1および≦8であり、R
6、R
7、R
8は独立して水素、直鎖状、分岐状、環状または複素環式の非置換または場合によりヘテロ原子置換された有機基であり、ここで、好ましくはR
6、R
7、R
8の少なくとも1つは少なくともフッ素原子で置換され、より好ましくはR
6は少なくとも1つのフッ素原子を含む有機基である。R
7が、非置換の、または例えばフッ素等のヘテロ原子で場合により置換された直鎖状、分岐状、環状または複素環式の有機基であることが特に好ましい〕を有し得る。
【0100】
本発明は、本発明の、または本発明のフォトポリマー組成物を用いることによって得ることができるフォトポリマー組成物を含むホログラフィック媒体も提供する。本発明は、ホログラフィック媒体を製造するための、本発明のフォトポリマー組成物の使用をさらにまだ提供する。
【0101】
本発明のホログラフィック媒体は、全可視および近UV範囲(300〜800nm)における光学用途のために適当な露光操作を通してホログラムに処理することができる。視覚ホログラムとして、当業者に既知の方法によって記録可能なホログラム全てが挙げられる。この例として、特にインライン(ガボア)ホログラム、軸外(off-axis)ホログラム、フルアパーチャートランスファー(full-aperture transfer)ホログラム、白色光透過ホログラム(「レインボーホログラム」)、デニシュウクホログラム、軸外反射ホログラム、エッジリト(edge-lit)ホログラムおよびホログラフィックステレオグラムが挙げられる。好ましくは、反射ホログラム、デニシュウクホログラム、透過ホログラムが挙げられる。
【0102】
本発明のフォトポリマー組成物を用いて得ることができるホログラムのあり得る光学機能は、レンズ、ミラー、ディフレクター、フィルター、散乱盤、回折素子、ディフューザー、光ファイバー、導波管、プロジェクションディスクおよび/またはマスク等の光学素子の光学機能に対応する。この光学機能の組み合わせを同じくそれぞれ独立して1つのホログラムにおいて組み合わすことができる。これらの光学素子は、ホログラムがどのように露光されるか、およびホログラムの次元が何であるかに従って、周波数選択性を示すことが多い。
【0103】
さらに、本発明のフォトポリマー組成物は、例えば機密文書中の人物像、生体表示に対するホログラフィックイメージまたは表示、または一般に広告、セキュリティタグ、商標保護、ブランド設定、ラベル、デザイン要素、装飾、イラスト、コレクション用カード、イメージ等およびデジタルデータを表示できるイメージに対するイメージまたはイメージ構造を、とりわけ上記の製品と組み合わせて、形成するために用いることもできる。ホログラフィックイメージは、3次元イメージの印象を有し得るが、それを照射する角度、それを照射する光源(動くものを含む)等に応じて、これは、イメージシークエンス、ショートフィルムまたは多くの種々の対象を示すこともできる。これらの種々のあり得るデザインにより、ホログラム、特に体積ホログラムは、上記の用途に魅力的な技術的解法である。
【0104】
したがって、本発明は、インライン、軸外、フルアパーチャートランスファー、白色光透過、デニシュウク、軸外反射またはエッジリトホログラムおよびホログラフィックステレオグラムの記録のための、とくわけ光学素子、イメージまたはイメージ表示の形成のための、本発明のホログラフィック媒体の使用をさらに提供する。
【0105】
本発明はさらに、本発明のフォトポリマー組成物を用いることによるホログラフィック媒体の製造方法も提供する。
【0106】
フォトポリマー組成物は、特にホログラフィック媒体を製造するためフィルムの形状で用いられ得る。キャリアとして、可視スペクトルにおける光を透過性(400〜780nmの波長範囲において85%より高い透過率)である材料層または材料集合体が、その片側または両側に被覆され、必要に応じてカバー層がフォトポリマー層に施される。
【0107】
キャリア用の好ましい材料または材料集合体は、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタラート、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロースアセテート、セルロースハイドレート、セルロースニトレート、シクロオレフィンポリマー、ポリスチレン、ポリエポキシド、ポリスルホン、セルローストリアセテート(CTA)、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルクロリド、ポリビニルブチラルまたはポリジシクロペンタジエンまたはその混合物に基づく。それらは、より好ましくはPC、PETおよびCTAに基づく。材料集合体は、箔ラミネートまたは共押出体であり得る。好ましい材料集合体は、配置A/B、A/B/AまたはA/B/Cの1つによって構成された2層および3層の箔である。特に好ましくは、PC/PET、PET/PC/PETおよびPC/TPUが挙げられる(TPU=熱可塑性ポリウレタン)。
【0108】
上記のプラスチックキャリアの別例として、特に、大面積の正確なイメージング露光のため、例えばホログラフィックリソグラフィのために平面ガラス板を用いてもよい(Holografic interference lithography for integrated optics. IEEE Transactions on Electron Devices(1978)、ED-25(10)、1193-1200、ISSN:0018-9383)。
【0109】
キャリア用の材料または材料集合体は、片側または両側において付着防止剤、帯電防止剤、疎水性または親水性仕上げ剤を有し得る。フォトポリマー層を向く側において、上記の修飾は、破壊なくキャリアからフォトポリマー層を取り除くことを可能にする目的を果たす。フォトポリマー層から離れる方を向くキャリア側の修飾は、例えばロールラミネーターにおける加工に関して、より具体的にはロールトゥーロール(roll-to-roll)加工において、本発明の媒体が特定の機械的要件に適合するのを確かにすることを果たす。
【0110】
以下の実施例は、例を挙げて本発明を説明するのに役立つが、限定はされない。
【実施例】
【0111】
実施例
測定方法:
報告されるOH価は、DIN 53240-2に従って決定された。
【0112】
報告されるNCO値(イソシアネート含有量)は、DIN EN ISO 11909に従って決定された。
【0113】
実施例の水膨潤率を、それぞれまず蓋のないガラス皿中で200mbarの圧力および50℃の温度において5〜10gの染料を一定質量まで関することによって決定した。湿気の不存在下において60分間で室温まで冷却する機会を有した後、真空乾燥キャビネットから取り出した後に、サンプルを秤量した。秤量の前に湿気が存在しないことを確かにするために、ガラス皿を、Parafilm M(登録商標)(Pechiney Plastic Packaging、Chicago、IL 60631、米国、www.parafilm.com)を用いて密封し、その後秤量した。この後、空気中、室温(22℃)および90%の相対湿度で7日間、一定の質量まで置き、秤量した。その後、水膨潤率を、式(F-1):
W = (m
f/m
t−1)*100% (F-1)
〔式中、m
fは水飽和後の染料の質量であり、m
tは乾燥染料の質量である〕
から計算した。
【0114】
反射配置における二光束干渉によるホログラフィック媒体のホログラフィック特性DEおよびΔnの測定
【0115】
図1に記載される実験のホログラフィック構成を、媒体の回折効率(DE)を測定するために用いた。He-Neレーザーのビーム(放射波長633nm)を、空間フィルター(SF)およびコリメーションレンズ(CL)とともに通して平行均質ビームに変換した。シグナルおよび参照ビームの最終断面を、虹彩絞り(I)を通じて調整する。虹彩絞りの開きの直径は0.4cmである。偏光依存性ビームスプリッター(PBS)は、レーザービームを2つのコヒーレント同一偏光ビームに分ける。λ/2板によって、参照ビームの出力を0.5mWに調節し、シグナルビームの出力を0.65mWに調整した。出力は、サンプルを取り出し半導体検出器(D)を用いて決定した。参照ビームの入射角(α
0)は-21.8°であり、シグナルビームの入射角(β
0)は41.8°である。角度は、ビーム方向に垂直であるサンプルから測定される。そのため、
図1によれば、α
0は負号を有し、β
0は正号を有する。サンプル(媒体)の位置において、2つの重複ビームの干渉場は、サンプルに入射する2つのビームの角度2等分線に垂直である明暗縞の格子を形成した(反射ホログラム)。媒体における、格子周期とも言われる縞間隔Λは〜225nmである。(媒体の屈折率は〜1.504であると考えられる)。
【0116】
図1は、λ=633nm(He-Neレーザー)におけるホログラフィック媒体テスター(HMT)の配置を示す:M=ミラー、S=シャッター、SF=空間フィルター、CL=コリメーターレンズ、λ/2=λ/2板、PBS=偏光感性ビームスプリッター、D=検出器、I=虹彩絞り、α
0=-21.8°、β
0=41.8°はサンプル外(媒体外)で測定したコヒーレントビームの入射角である。RD=ターンテーブルの参照方向。
【0117】
ホログラムを、次のように媒体に書き込んだ:
・両シャッター(S)を露光時間tの間、開ける。
・その後、シャッター(S)を閉じ、まだ重合していない書き込みモノマーの拡散のために媒体を5分おいた。
【0118】
次に、書き込まれたホログラムを、次のように読んだ。シグナルビームのシャッターを閉じたままとした。参照ビームのシャッターを開けた。参照ビームの虹彩絞りを、<1mmの直径まで閉じた。これにより、ビームが常に完全に媒体の全回転角(Ω)に対して前に書き込まれたホログラムにおけることが確実となった。この場合、コンピュータ制御下において、ターンテーブルは、0.05°の角度の目盛り幅でΩ
minからΩ
maxまでの角度範囲をカバーした。Ωを、ターンテーブルの参照方向に垂直なサンプルから測定する。ターンテーブルの参照方向は、ホログラムの書き込み中において、参照ビームおよびシグナルビームの入射角が同じ大きさ、すなわちα
0=-31.8°およびβ
0=31.8°である時に起きる。その場合、Ω
recordingは=0°である。そのため、α
0=-21.8°およびβ
0=41.8°に対して、Ω
recordingは10°である。次が、ホログラムの記録(「書き込み」)中における干渉場に一般にあてはまる:
【数1】
【0119】
θ
0は、媒体外の実験室系における半角であり、次がホログラムの記録中においてあてはまる:
【数2】
【0120】
そのため、この場合、θ
0は-31.8°である。近づく各回転角Ωにおいて、ゼロ次元における透過ビームの出力は、対応する検出器Dによって測定され、1次元にける回折ビームの出力は、検出器Dによって測定された。回折効率は、近づく各角度Ωにおいて:
【数3】
の商として得られた。
【0121】
PDは、回折ビームの検出器における出力であり、PTは、透過ビームの検出器における出力である。
【0122】
上記の方法によって、記録されたホログラムのブラッグ曲線(それは回折効率ηを回転角Ωの機能として記載する)を測定し、コンピュータに保存した。さらに、ゼロ次元における透過強度も、回転角Ωに関して記録し、コンピュータに保存した。
【0123】
ホログラムの最大回折効率(DE=η
max)、すなわちそのピーク値を、Ω
reconstructionにおいて決定した。この目的のために、この最大値を決定するために、必要に応じて回折ビームの検出器の位置を換えなければならなかった。
【0124】
ここでフォトポリマー層の屈折率コントラストΔnおよび厚みdを、結合波理論(H. Kogelnik、The Bell System Technical Journal、第48巻、1969年11月、第9号、第2909〜2947頁参照)によって、測定したブラッグ曲線および透過強度の角度変化から決定した。光重合の結果として生じる厚みの収縮により、ホログラムの縞間隔Λ'および縞の配向(勾配[slant])は干渉パターンの縞間隔Λおよびその配向に由来し得ることに留意すべきである。したがって、最大回折効率が達成される、角度α
0'またはターンテーブルΩ
reconstructionの対応する角度はまた、α
0から、または対応するΩ
recordingから、それぞれ外れるであろう。その結果、ブラッグの条件が変わる。この変化は、評価方法において考慮される。評価方法は以下に記載される:記録したホログラムに関係し、干渉パターンに関係しない全ての幾何学量は、破線によって示される量として示される。
【0125】
Kogelnikによれば、反射ホログラムのブラッグ曲線η(Ω)に対して次が当てはまる:
【数4】
ここで:
【数5】
【数6】
【数7】
【0126】
ホログラムを読む際(「再構築」)、その状態は上記のものに類似する:
【数8】
【0127】
ブラッグの条件下、「脱位相(dephasing)」DPは0である。したがって、次があてはまる:
【数9】
【0128】
いまだ未知の角度β'は、厚み収縮のみが起きると想定して、ホログラムの記録中の干渉場のブラッグの条件とホログラムの読み出し中のブラッグの条件との比較から決定することができる。その場合、次が当てはまる:
【数10】
νは格子厚みであり、ξは離調パラメーターであり、ψ'は記録された屈折率格子の配向(勾配[slant])である。α'およびβ'は、ホログラムの記録中における干渉場の角度α
0およびβ
0に対応するが、媒体において測定され、ホログラム(厚み収縮後)の格子に適用できる。nは、フォトポリマーの平均屈折率であり、1.504に設定した。λは、真空におけるレーザー光の波長である。
【0129】
その場合、ξ=0に対する最大回折効率(DE=η
max)は以下のとおりである:
【数11】
【0130】
図1は、角度離調ΔΩに対してプロットした実線として測定した透過出力PT(右y軸)、角度離調ΔΩに対してプロットした実線の丸として測定した回折効率η(左y軸)(検出器の有限サイズによって許される場合)、および破線(左y軸)としてKogelnik理論の適用を示す。
【0131】
図2に示されるように、回折効率の測定データ、理論上のブラッグ曲線および透過強度を、中心の回転角
【数12】
に対してプロットし、これは角度離調ともいわれる。
【0132】
DEは既知であるため、Kogelnikによる理論上のブラッグ曲線の形状は、フォトポリマー層の厚みd'のみによって決定される。DEの測定および理論が常に合うように、DEを通して、与えられた厚みd'に対してΔnを補正する。ここで、理論上のブラッグ曲線の第1の2次極小の角度位置が、透過した強度の第1の2次極大の角度位置に対応し、さらに理論上のブラッグ曲線および透過した強度に対する半値幅(FWHM)が対応するまで、d'を調整する。
【0133】
反射ホログラムがΩスキャンによって再構築において回転する方向、回折光用の検出器が有限の角度範囲しか検出できないため、広いホログラムのブラッグ曲線(小さいd')は、適当な検出器の位置調整によって、Ωスキャンによって完全には残らず、中心領域のみである。したがって、ブラッグ曲線を補完する透過した強度の形状は、膜厚d'を調整するためにさらに用いられる。
【0134】
図2は、角度離調ΔΩに対する、結合波理論によるブラッグ曲線η(破線)、測定した回折効率(実線の丸)および透過出力(黒色実線)のプロットを示す。
【0135】
1つの定式に対して、ホログラムの記録中における入射レーザービームの平均エネルギー量がDE飽和値に到達するのを決定するために、この手順が種々の露光時間t、種々の媒体において複数回繰り返され得た。平均エネルギー量Eは、角度α
0およびβ
0で調整した2成分ビームの出力(P
r=0.50mWを有する参照ビームおよびP
s=0.63mWを有するシグナルビーム)、露光時間tおよび虹彩絞りの直径(0.4cm)から次のように得られる:
【数13】
【0136】
成分ビームの出力は、用いる角度α
0およびβ
0において、同じ出力密度が媒体において到達されるように、調整される。
【0137】
物質:
用いた試薬および溶媒は商業的に取得した。
CGI-909 テトラブチルアンモニウムトリス(3-クロロ-4-メチルフェニル)(ヘキシル)ボレート、[1147315-11-4]は、BASF SE、Basle、スイスによって製造された製品である。
Desmorapid Z ジブチル錫ジラウレート[77-58-7]、Bayer MaterialScience AG、Leverkusen、独国製の製品。
Desmodur(登録商標)N 3900 Bayer MaterialScience AG、Leverkusen、独国製の製品、ヘキサンジイソシアネート系ポリイソシアネート、イミノオキサジアジンジオン比率少なくとも30%、NCO含有量:23.5%。
Fomrez UL 28 ウレタン化触媒、Momentive Performance Chemicals、Wilton、CT、米国の市販品。
【0138】
染料の調製
実施例1:4-ニトロ-1,3-ジフェニルブタン-1-オンの調製:
1Lフラスコ中において、94.7g(0.455モル)のベンジリデンアセトフェノンを600gのメタノールに溶解させ、138.9g(2.275モル)のニトロメタンおよび166.4g(2.275モル)のジエチルアミンと混合し、16時間還流した。溶媒を減圧下において半分蒸発し、沈殿した固体を分離し、減圧下で一定重量まで乾燥して118g(438ミリモル)の4-ニトロ-1,3-ジフェニルブタン-1-オンを得た。
【0139】
実施例2:N-[(2Z)-3,5-ジフェニル-2H-ピロール-2-イリデン]-3,5-ジフェニル-1H-ピロール-2-アミンの調製
【化8】
【0140】
2Lフラスコ中において、113.4g(7ミリモル)の4-ニトロ-1,3-ジフェニルブタン-1-オンを900gのエタノールに溶解させ、486g(6.31モル)のアンモニウムアセテートと混合し、24時間還流した。反応混合物を冷却し、溶媒を減圧蒸発した。残余物を400gの水および200gのエタノールと撹拌し、沈殿物を分離し、減圧下で乾燥して46g(102ミリモル)のN-[(2Z)-3,5-ジフェニル-2H-ピロール-2-イリデン]-3,5-ジフェニル-1H-ピロール-2-アミンを得た。
【0141】
UV-VISスペクトル:λ
max:592nm、ε
0:54900L・モル
-1・cm
-1
【0142】
実施例3:(2E)-1-(4-ブロモフェニル)-3-フェニルプロプ-2-エン-1-オンの調製
500mLフラスコにおいて、99.4g(0.50モル)の4-ブロモアセトフェノンおよび53.0g(0.5モル)のベンズアルデヒドをまず充填し、50gのメタノールに溶解させた。その混合物を、6.7g(0.025モル)の15%濃度水酸化ナトリウム水溶液を20〜25℃で注意深く滴下しながら混合し、次に3時間撹拌した。反応混合物を、氷酢酸を用いて中和し、濾過し、その固体を減圧下で乾燥して107g(351ミリモル)の(2E)-1-(4-ブロモフェニル)-3-フェニルプロプ-2-エン-1-オンを得た。
【0143】
実施例4:1-(4-ブロモフェニル)-4-ニトロ-3-フェニルブタン-1-オンの調製
1Lフラスコにおいて、46.9g(154ミリモル)の(2E)-1-(4-ブロモフェニル)-3-フェニルプロプ-2-エン-1-オンを、450gのメタノールに溶解させ、46.9g(768ミリモル)のニトロメタンおよび56.2g(768ミリモル)のジエチルアミンと混合し、16時間還流させた。溶媒を減圧下で半分蒸発させ、沈殿固体を分離し、減圧下で一定重量まで乾燥して46g(132ミリモル)の1-(4-ブロモフェニル)-4-ニトロ-3-フェニルブタン-1-オンを得た。
【0144】
実施例5:5-(4-ブロモフェニル)-N-[(2Z)-5-(4-ブロモフェニル)-3-フェニル-2H-ピロール-2-イリデン]-3-フェニル-1H-ピロール-2-アミンの調製
1Lフラスコにおいて、27.8g(79ミリモル)の1-(4-ブロモフェニル)-4-ニトロ-3-フェニルブタン-1-オンを、750gのエタノールに溶解させ、223g(2.89モル)のアンモニウムアセテートと混同し、42時間還流させた。反応混合物を冷却し、生成した沈殿物を分離し、冷却エタノールおよびn-ペンタンを用いて洗浄し、12g(20ミリモル)の5-(4-ブロモフェニル)-N-[(2Z)-5-(4-ブロモフェニル)-3-フェニル-2H-ピロール-2-イリデン]-3-フェニル-1H-ピロール-2-アミンを得た。
【0145】
実施例6:(2E)-1-(4-フルオロフェニル)-3-フェニルプロプ-2-エン-1-オンの調製
500mLフラスコにおいて、110.7g(0.80モル)の4-フルオロアセトフェノンおよび84.9g(0.80モル)のベンズアルデヒドをまず充填し、65gのメタノールに溶解させた。その混合物を、10.7g(0.04モル)の15%濃度水酸化ナトリウム水溶液を20〜25℃で注意深く滴下しながら混合し、次に3時間撹拌した。反応混合物を、氷酢酸を用いて中和し、濾過し、その固体を減圧下で乾燥して146g(644ミリモル)の(2E)-1-(4-ブロモフェニル)-3-フェニルプロプ-2-エン-1-オンを得た。
【0146】
実施例7:1-(4-フルオロフェニル)-4-ニトロ-3-フェニルブタン-1-オンの調製
1Lフラスコにおいて、138.8g(613ミリモル)の(2E)-1-(4-フルオロフェニル)-3-フェニルプロプ-2-エン-1-オンを825gのメタノールに溶解させ、187.0g(3.06モル)のニトロメタンおよび224.1g(3.06モル)のジエチルアミンと混合し、16時間還流させた。溶媒を減圧下で半分蒸発させ、沈殿固体を分離し、減圧下で一定重量まで乾燥して167.7g(583ミリモル)の1-(4-フルオロフェニル)-4-ニトロ-3-フェニルブタン-1-オンを得た。
【0147】
実施例8:5-(4-フルオロフェニル)-N-[(2Z)-5-(4-フルオロへニル)-3-フェニル-2H-ピロール-2-イリデン]-3-フェニル-1H-ピロール-2-アミンの調製
【化9】
2Lフラスコにおいて、129.4g(450ミリモル)の1-(4-フルオロフェニル)-4-ニトロ-3-フェニルブタン-1-オンを975gのエタノールに溶解させ、520g(6.75モル)のアンモニウムアセテートと混合し、3時間還流させた。反応混合物を冷却し、溶媒を減圧下で蒸発させた。残余物を400gの水および200gのエタノールと撹拌し、沈殿物を分離し、減圧下で乾燥して49.6g(102ミリモル)の5-(4-フルオロフェニル)-N-[(2Z)-5-(4-フルオロへニル)-3-フェニル-2H-ピロール-2-イリデン]-3-フェニル-1H-ピロール-2-アミンを得た。
【0148】
UV-VISスペクトル:λ
max:590nm、ε
0:38100L・モル
-1・cm
-1
【0149】
実施例9:(4-フェニル-1,3-チアゾル-2-yl)マロノニトリルの調製
【化10】
100mL3つ口フラスコにおいて、10.0g(56.4ミリモル)の2-オキソ-2-フェニルエチルチオシアネートおよび3.73g(56.4ミリモル)のマロノニトリルを60mLのエタノールに溶解させ、温度が30℃より高く上がらないように徐々に5.14g(50.8ミリモル)のトリエチルアミンと混合した。この後、室温で12時間撹拌した。反応混合物を、50mLの水を用いて希釈し、氷酢酸を用いて酸性化した。沈殿固体を分離し、各回、水:エタノール:氷酢酸の10:10:1混合物10mLを用いて3回洗浄した。固体を乾燥して11.1g(49.1ミリモル)の(4-フェニル-1,3-チアゾル-2-イル)マロノニトリルを得た。
【0150】
実施例10:[N-(3,5-ジフェニル-2H-ピロール-2-イリデン-κN)-3,5-ジフェニル-1H-ピロール-2-アミナト-κN
1](ジフルオロ)ホウ素(式(I-a)の染料)の調製
【化11】
250mLフラスコにおいて、1.69g(3.8ミリモル)の実施例2からのN-[(2Z)-3,5-ジフェニル-2H-ピロール-2-イリデン]-3,5-ジフェニル-1H-ピロール-2-アミンおよび1.76g(2.28ミリモル)のジイソプロピルエチルアミンを7.5gのジクロロメタンに溶解させた。その混合物を、4.05g(28.5ミリモル)のホウ素トリフルオリドジエチルエーテラートを20〜25℃で注意深く滴下しながら混合し、次に24時間撹拌した。反応混合物をさらに100mLのジクロロメタンと混合し、100gの氷水に注いだ。水相を、100mLのジクロロメタンを用いて3回抽出し、濾過し、組み合わせた有機相を、200mLの水を用いて洗浄し、Na
2SO
4を用いて乾燥させた。溶媒を減圧下で蒸発させて1.6g(3.2ミリモル)の式(I-a)の染料を得た。
【0151】
UV-VISスペクトル:λ
max:634nm、ε
0:93200L・モル
-1・cm
-1
【0152】
実施例11:ジフルオロ{5-(4-フルオロフェニル)-N-[5-(4-フルオロフェニル)-3-フェニル-2H-ピロール-2-イリデン-κN]-3-フェニル-1H-ピロール-2-アミナト-κN
1}ホウ素(式(I-b)の染料)の調製
【化12】
1Lフラスコにおいて、35.9g(74.0ミリモル)の実施例8からの5-(4-フルオロフェニル)-N-[(2Z)-5-(4-フルオロへニル)-3-フェニル-2H-ピロール-2-イリデン]-3-フェニル-1H-ピロール-2-アミンおよび34.6g(448ミリモル)のジイソプロピルエチルアミンを、850gのジクロロメタンに溶解させた。その混合物を、79.5g(560ミリモル)のホウ素トリフルオリドジエチルエーテラートを20〜25℃で注意深く滴下しながら混合し、次に48時間撹拌した。沈殿固体を分離し、各回200mLの水を用いて2回洗浄し、乾燥して25.5g(47.7ミリモル)の式(I-b)の染料を得た。
【0153】
UV-VISスペクトル:λ
max:631nm、ε
0:66500L・モル
-1・cm
-1
【0154】
実施例12:{5-(4-ブロモフェニル)-N-[5-(4-ブロモフェニル)-3-フェニル-2H-ピロール-2-イリデン-κN]-3-フェニル-1H-ピロール-2-アミナト-κN
1}(ジフルオロ)ホウ素(式(I-c)の染料)の調製
【化13】
250mLフラスコにおいて、3.07g(5.06ミリモル)の実施例5からの5-(4-ブロモフェニル)-N-[(2Z)-5-(4-ブロモフェニル)-3-フェニル-2H-ピロール-2-イリデン]-3-フェニル-1H-ピロール-2-アミンおよび13.0g(168ミリモル)のジイソプロピルエチルアミンを、150gのジクロロメタンに溶解させた。その混合物を、33.9g(239ミリモル)のホウ素トリフルオリドジエチルエーテラートを20〜25℃で注意深く滴下しながら混合し、24時間撹拌した。反応混合物を、さらに100mLのジクロロメタンと混合し、300gの氷水に注いだ。水相を、100mLのジクロロメタンを用いて3回抽出し、濾過し、組み合わせた有機相を、200mLの水を用いて洗浄し、Na
2SO
4を用いて乾燥させた。溶媒を減圧下で蒸発させて2.4gの式(I-c)の染料を得た。
【0155】
UV-VISスペクトル:λ
max:653nm、ε
0:85000L・モル
-1・cm
-1
【0156】
比較実施例1:メチル(2Z)-2-{(2E)-2-[2-(ジシアノメチレン)-4-フェニル-1,3-チアゾール-5(2H)-イリデン]エチリデン}-1,3,3-トリメチルリドリン-5-カルボキシレート
【化14】
25mLフラスコにおいて、0.700g(3.11ミリモル)の実施例9からの(4-フェニル-1,3-チアゾル-2-イル)マロノニトリルおよび0.806g(3.11ミリモル)のカルボキシメチルフィッシャーベースアルデヒド(A. Tolmachev、E. S. Kozlov、Yu. L. Slomonskii、Zh. Obshch. Khim. 1989年、59、939(英語翻訳第827頁)によって記載されるように調製)を、5mLの無水酢酸に溶解させ、90℃まで3時間加熱した。反応混合物を50mLの氷に注ぎ、混合物を少量のメタノールと混合し、沈殿固体を分離した。その固体を、30mLの水および20mLのメタノールを用いて洗浄し、減圧下で乾燥して1.14g(2.44ミリモル)のメチル(2Z)-2-{(2E)-2-[2-(ジシアノメチレン)-4-フェニル-1,3-チアゾール-5(2H)-イリデン]エチリデン}-1,3,3-トリメチリドリン-5-カルボキシレートを得た。
【0157】
UV-VISスペクトル:λ
max:636nm、ε
0:105100L・モル
-1・cm
-1
【0158】
表1は、選択された本発明の実施例および比較実施例に対して観察された水膨潤率Wをまとめる。
【表1】
【0159】
実施例14:ホログラフィック特性を決定するための媒体の調製
a)フォトポリマー組成物のための更なる成分の調製:
ポリオール1の調製:
1Lフラスコをまず、0.18gの錫オクトエート、374.8gのε-カプロラクトンおよび374.8gの2官能性ポリテトラヒドロフランポリエーテルポリオール(当量500g/モルOH)を用いて充填し、次に120℃まで加熱し、固体含有量(わずかな非揮発性物)が99.5重量%以上であるまでこの温度を維持した。この後、冷却して蝋状固体としての生成物を得た。
【0160】
ウレタンアクリレート1(書き込みモノマー)の調製:ホスホロチオイルトリス(オキシベンゼン-4,1-ジイルカルナモイルオキシエタン-2,1-ジイル)トリスアクリレート
500mL丸底フラスコにおいて、0.1gの2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、0.05gのジブチル錫ジラウレート(Desmorapid Z、Bayer MaterialScience AG、Leverkusen、独国)および213.07gのエチルアセテート中のトリス(p-イソシアナトフェニル)チオホスフェート27%溶液(Desmodur(登録商標)RFE、Bayer MaterialScience AG、Leverkusen、独国の製品)をまず充填し、60℃まで加熱した。その後、42.37gの2-ヒドロキシエチルアクリレートを滴下し、イソシアネート含有量が0.1%未満に下がるまで、その混合物を60℃でさらに維持した。この後、冷却し、減圧下でエチルアセテートを完全に除去して、部分的結晶性の固体としての生成物を得た。
【0161】
ウレタンアクリレート2(書き込みモノマー)の調製:2-({[3-(メチルスルファニル)フェニル]-カルバモイル}オキシ)エチルプロプ-2-エノエート
100mL丸底フラスコにおいて、0.02gの2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、0.01gのDesmorapid(登録商標)Z、11.7gの3-(メチルチオ)フェニルイソシアネートをまず充填し、60℃に加熱した。その後、8.2gの2-ヒドロキシエチルアクリレートを滴下し、イソシアネート含有量が0.1%未満に下がるまで、その混合物を60℃でさらに維持した。この後、冷却して、無色の液体としての生成物を得た。
【0162】
添加剤1(造影剤)の調製:ビス(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7-ドデカフルオロヘプチル)-(2,2,4-トリメチルヘキサン-1,6-ジイル)ビスカルバメート
50mL丸底フラスコにおいて、0.02gのDesmorapid Zおよび3.6gの2,4,4-トリメチルヘキサン1,6-ジイソシアネート(TMDI)をまず充填し、60℃に加熱した。この後、11.9gの2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7-ドデカフルオロヘプタン-1-オールの滴下添加およびを行い、イソシアネート含有量が0.1%未満に下がるまで、その混合物を60℃でさらに維持した。この後、冷却して無色のオイルとしての生成物を得た。
【0163】
b)ホログラフィック特性の決定のための媒体の調製
実施例媒体I
3.38gのポリオール成分1を、2.00gのウレタンアクリレート1、2.00gのウレタンアクリレート2、1.50gの添加剤1、0.10gのCGI 909(BASF SE、Basle、スイス製の製品)、0.010gの実施例10からの染料および0.35gのN-エチルピロリドンと60℃で混合して透明の溶液を得た。次に、その溶液を30℃に冷却し、0.65gのDesmodur(登録商標)N3900(Bayer MaterialScience AG、Leverkusen、独国製の市販品、ヘキサンジイソシアネートに基づくポリイソシアネート、一部にイミノオキサジアジンジオン少なくとも30%、NCO含有量:23.5%)を添加し、新たなに混合した。最後に、0.01gのFomrez UL 28(ウレタン化触媒、Momentive Performance Chemicals、Wilton、CT、USAの市販品)を添加し、再度簡単に混合した。次に、得られた液体物をガラス板に塗布し、その上を第2のガラス板を覆った。このサンプル試料を、硬化のために室温で12時間放置させた。
【0164】
実施例媒体II
0.010gの実施例10からの染料に代えて0.010gの実施例11からの染料を用いたこと以外は実施例媒体Iを繰り返した。
【0165】
実施例媒体III
0.010gの実施例10からの染料に代えて0.010gの実施例12からの染料を用いた以外は実施例媒体Iを繰り返した。
【0166】
実施例媒体IV
3.68gのポリオール成分1を、2.00gのウレタンアクリレート1、2.00gのウレタンアクリレート2、1.50gの添加剤1、0.10gのCGI 909(BASF SE、Basle、スイス製の製品)、0.010gの実施例11からの染料と60℃で混合して透明の溶液を得た。次に、その溶液を30℃に冷却し、0.70gのDesmodur(登録商標)N3900(Bayer MaterialScience AG、Leverkusen、独国製の市販品、ヘキサンジイソシアネートに基づく、一部にイミノオキサジアジンジオン少なくとも30%、NCO含有量:23.5%)を添加し、再度混合した。最後に、0.01gのFomrez UL 28(ウレタン化触媒、Momentive Performance Chemicals、Wilton、CT、USAの市販品)を添加し、再度簡単に混合した。次に、得られた液体物をガラス板に塗布し、その上を第2のガラス板を覆った。このサンプル試料を、硬化のために室温で12時間放置させた。
【0167】
実施例媒体V
0.010gの実施例10からの染料に代えて0.010gの実施例12からの染料を用いた以外は実施例媒体Iを繰り返した。
【0168】
比較媒体I
3.38gのポリオール成分1を、2.00gのウレタンアクリレート1、2.00gのウレタンアクリレート2、1.50gの添加剤1、0.10gのCGI 909(BASF SE、Basle、スイス製の製品)0.012gの比較実施例1からの染料および0.35gのN-エチルピロリドンと60℃で混合して透明の溶液を得た。次に、この溶液を30℃に冷却し、0.65gのDesmodur(登録商標)N3900(Bayer MaterialScience AG、Leverkusen、独国製の市販品、ヘキサンジイソシアネートに基づくポリイソシアネート、一部にイミノオキサジアジンジオン少なくとも30%、NCO含有量:23.5%)を添加し、再度混合した。最後に、0.01gのFomrez UL 28(ウレタン化触媒、Momentive Performance Chemicals、Wilton、CT、USAの市販品)を添加し、再度簡単に混合した。次に、得られた液体物をガラス板に塗布し、その上を第2のガラス板を覆った。このサンプル試料を、硬化のために室温で12時間放置させた。
【0169】
比較媒体II
3.38gのポリオール成分1を、2.00gのウレタンアクリレート1、2.00gのウレタンアクリレート2、1.50gの添加剤1、0.10gのCGI909(BASF SE、Basle、スイス製の製品)、0.010gの実施例2からの染料および0.35gのN-エチルピロリドンと60℃で混合して透明の溶液を得た。次に、その溶液を30℃に冷却し、0.65gのDesmodur(登録商標)N3900(Bayer MaterialScience AG、Leverkusen、独国製の市販品、ヘキサンジイソシアネートに基づくポリイソシアネート、一部にイミノオキサジアジンジオン少なくとも30%、NCO含有量:23.5%)を添加し、再度混合した。最後に、0.01gのFomrez UL 28(ウレタン化触媒、Momentive Performance Chemicals、Wilton、CT、USAの市販品)を添加し、再度簡単に混合した。次に、得られた液体物をガラス板に塗布し、その上を第2のガラス板を覆った。このサンプル試料を、硬化のために室温で12時間放置させた。
【0170】
比較媒体III
3.38gのポリオール成分1を、2.00gのウレタンアクリレート1、2.00gのウレタンアクリレート2、1.50gの添加剤1、0.10gのCGI 909(BASF SE、Basle、スイス製の製品)、0.010gの実施例8からの染料および0.35gのN-エチルピロリドンと60℃で混合して透明の溶液を得た。次に、その溶液を30℃に冷却し、0.65gのDesmodur(登録商標)N3900(Bayer MaterialScience AG、Leverkusen、独国製の市販品、ヘキサンジイソシアネートに基づくポリイソシアネート、一部にイミノオキサジアジンジオン少なくとも30%、NCO含有量:23.5%)を添加し、再度混合した。最後に、0.01gのFomrez UL 28(ウレタン化触媒、Momentive Performance Chemicals、Wilton、CT、USAの市販品)を添加し、再度簡単に混合した。次に、得られた液体物をガラス板に塗布し、その上を第2のガラス板を覆った。このサンプル試料を、硬化のために室温で12時間放置させた。
【0171】
ホログラフィック試験:
次に、上記のように得られた媒体を、
図1のように測定装置を用いて上記の方法においてそのホログラフィック特性に対してテストした。次の測定結果が放射線量E[mJ/cm
2]においてΔn
satに対して得られた:
【0172】
【表2】
【0173】
実施例媒体I〜Vに対して見出される値は、フォトポリマー組成物において用いられる本発明による式(I)の染料がΔn
satの高い値によりホログラフィック媒体における使用に非常に適当であることを示す。実施例媒体IVおよびVに対する結果は、共溶媒N-エチルピロリドンの省略が、実施例媒体I〜IIIと比較して、Δn
satの値において観測し得る悪化をもたらさないことを示す。一方、比較媒体Iにおいて用いられる比較実施例1からの中性染料は書き込みホログラムに適当でない。比較媒体IIおよびIIIはまた、例えばホウ素由来の架橋配位子の存在によって例示されるように、染料が、架橋配位子Eの存在下、すなわちホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、スカンジウムおよびイットリウムから選択される元素由来の基の存在下において、ホログラフィック媒体における十分な活性を奏するのみであることを示す。これらの特定の架橋配位子がないと、活性の欠如のために、染料を用いてホログラムを製造することができなかった。