特許第6209609号(P6209609)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6209609
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】動翼
(51)【国際特許分類】
   F01D 5/20 20060101AFI20170925BHJP
   F01D 5/18 20060101ALI20170925BHJP
   F01D 11/10 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   F01D5/20
   F01D5/18
   F01D11/10
【請求項の数】16
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-525576(P2015-525576)
(86)(22)【出願日】2013年8月1日
(65)【公表番号】特表2015-524895(P2015-524895A)
(43)【公表日】2015年8月27日
(86)【国際出願番号】US2013053134
(87)【国際公開番号】WO2014022618
(87)【国際公開日】20140206
【審査請求日】2016年7月19日
(31)【優先権主張番号】13/566,202
(32)【優先日】2012年8月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】レイシー,ベンジャミン・ポール
(72)【発明者】
【氏名】グッド,ランドール・リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ブレゼク,ブライアン・ジーン
【審査官】 山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−195704(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0182074(US,A1)
【文献】 米国特許第07704045(US,B1)
【文献】 米国特許第07980820(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 5/20
F01D 5/18
F01D 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼タービンエンジンのタービン(106)用動翼(115)であって、前記動翼(115)が、外側周囲を画定する正圧側壁(128)および負圧側壁(130)、ならびに半径方向外側端部を画定する先端部分(138)を含む翼形部(124)を備え、前記先端部分(138)が、先端空洞(155)を画定するレール(150)を含み、前記翼形部(124)が、運転中に前記翼形部(124)を通って冷却材を循環させるように構成された内部冷却通路(156)を含み、前記動翼(115)が、
前記レール(150)のスロット付部分と、
前記翼形部(124)の前記正圧側壁(128)および前記負圧側壁(130)の少なくとも1つの内部に配置される少なくとも1つのフィルム冷却出口(149)と
を備え、前記フィルム冷却出口(149)が、前記先端部分(138)に隣接し、前記レール(150)の前記スロット付部分の近傍にある位置を備え、
前記内部冷却通路(156)が、前記動翼(115)の根元で冷却材供給源との結合部から延在し、
前記フィルム冷却出口(149)が、前記内部冷却通路(156)と流体連通して配置されるポートを備え、
先端キャップ(148)が前記先端空洞(155)のフロアを形成し、前記レール(150)が前記先端キャップ(148)から半径方向に延在し、
前記フィルム冷却出口(149)が前記スロット(170)の内周側に、かつ近傍に配置され、
前記正圧側壁(128)および前記負圧側壁(130)が、翼形部前縁(132)および翼形部後縁(134)で接合し、前記正圧側壁(128)および前記負圧側壁(130)が、前記根元から前記スキーラ先端まで延在し、その中に前記内部冷却通路(156)を画定し、
前記レール(150)が、正圧側レール(152)および負圧側レール(153)を含み、
前記正圧側レール(152)が、前縁レールおよび後縁レールで前記負圧側レール(153)に結合し、前記正圧側レール(152)が前記正圧側壁(128)の半径方向外側縁部の形状に概ね位置合わせするように、前記正圧側レール(152)が前記前縁レールから前記後縁レールまで延在し、
前記負圧側レール(153)が前記負圧側壁(130)の半径方向外側縁部の形状に概ね位置合わせするように、前記負圧側レール(153)が前記前縁レールから前記後縁レールまで延在し、
前記レール(150)が、内側に面し、前記先端空洞(155)を画定する内側レール面(157)と、外側に面する外側レール面(159)とを含み、
前記レール(150)が、外周方向に面する外周レール面(161)を含み、
前記スロット(170)が、前記レール(150)の前記厚さを通って切断された通路を備え、
前記スロット(170)の前記通路が、前記外側レール面(159)上に形成された開口から前記内側レール面(157)上に形成された開口まで延在し、
前記スロット(170)の前記通路が、前記スロット(170)の内周縁部(171)から前記外周レール面(161)を通って形成された開口まで延在し、
前記レール(150)の前記スロット付部分が、複数の規則的に離隔配置されたスロッ
ト(170)を備え、
前記複数のスロット(170)が、前記正圧側上に平行に配置され
前記複数の溝(172)および前記複数のスロット(170)が、前記下流方向に向かって傾斜し、前記下流方向が前記タービン(106)を通る作動流体の流れ方向に関連し、
各前記フィルム冷却出口(149)が、前記複数の溝(172)および前記複数のスロット(170)の前記傾斜に概ね相当する方向に冷却材を吐出するように構成される、動翼(115)。
【請求項2】
前記フィルム冷却出口(149)に隣接する位置から前記レール(150)の前記スロット付部分に向かって延在する溝(172)を更に備え、前記先端部分(138)が、スキーラ先端を備える、請求項1に記載の動翼(115)。
【請求項3】
前記正圧側壁(128)および前記負圧側壁(130)の1つの上の前記スロット(170)のちょうど内周側に形成されたシェルフ(175)を更に備え、
前記フィルム冷却出口(149)が、前記シェルフ(175)上に配置され、そこから放出される冷却材が略半径方向を含むように配向される、請求項1または2に記載の動翼(115)。
【請求項4】
前記フィルム冷却出口(149)から前記スロット(170)まで延在する溝(172)を備える、請求項1乃至3のいずれかに記載の動翼(115)。
【請求項5】
前記先端キャップ(148)が、軸方向および円周方向に延在して、前記負圧側壁(130)の前記半径方向外側縁部を前記正圧側壁(128)の前記半径方向外側縁部に接続し、
前記レール(150)が前記先端キャップ(148)の周囲に配置される、請求項1乃至4のいずれかに記載の動翼(115)。
【請求項6】
前記複数のスロット(170)が、前記負圧側上に平行に配置される、請求項1乃至5のいずれかに記載の動翼(115)。
【請求項7】
前記少なくとも1つのフィルム冷却出口(149)が、複数のフィルム冷却出口(149)を備え、前記複数のスロット(170)のそれぞれに対して、対応する少なくとも1つのフィルム冷却出口(149)が存在し、
各前記対応するフィルム冷却出口(149)が、前記フィルム冷却出口(149)が対応する前記スロット(170)の内周側、かつ近傍の位置を備える、請求項1乃至6のいずれかに記載の動翼(115)。
【請求項8】
各1対の対応するフィルム冷却出口(149)、およびスロット(170)が、その間に延びる溝(172)を含み、前記溝(172)が前記フィルム冷却出口(149)から前記スロット(170)まで排出される冷却材の流れを導くように構成されている、請求項7に記載の動翼(115)。
【請求項9】
各前記複数の溝(172)が、前記動翼(115)の外側面に沿って延在する細長い凹部を備え、各前記複数の溝(172)が、前記フィルム冷却出口(149)を前記スロット(170)の前記内周縁部(171)に接続する、請求項8に記載の動翼(115)。
【請求項10】
前記少なくとも1つのフィルム冷却出口(149)が、複数のフィルム冷却出口(149)を備え、
前記複数のスロット(170)のそれぞれに対して、対応する少なくとも1つのフィルム冷却出口(149)が存在し、各前記対応するフィルム冷却出口(149)が、前記フィルム冷却出口(149)が対応する前記スロット(170)の前記内周縁部(171)の中に一体化される、請求項1乃至9のいずれかに記載の動翼(115)。
【請求項11】
前記少なくとも1つのフィルム冷却出口(149)が、複数のフィルム冷却出口(149)を備え、前記複数のスロット(170)のそれぞれに対して、対応する少なくとも1つのフィルム冷却出口(149)が存在し、各前記2つの対応するフィルム冷却出口(149)が、各前記2つのフィルム冷却出口(149)が対応する前記スロット(170)の内周側、かつ近傍の位置を備える、請求項1乃至10のいずれかに記載の動翼(115)。
【請求項12】
前記レール(150)の半径方向の高さが、前記先端キャップ(148)の前記半径方向の位置から前記レール(150)の前記外周面の前記半径方向の位置までの距離を含み、
前記スロット(170)の半径方向の高さが、前記スロット(170)の前記内周縁部(171)の前記半径方向の位置から前記レール(150)の前記外周面の前記半径方向の位置までの距離を含み、
各前記複数のスロット(170)の前記半径方向の高さが、前記レール(150)の前記半径方向の高さの少なくとも0.5である、請求項1乃至11のいずれかに記載の動翼(115)。
【請求項13】
燃焼タービンエンジンのタービン(106)用動翼(115)であって、前記動翼(115)が、外側周囲を画定する正圧側壁(128)および負圧側壁(130)、ならびに半径方向外側端部を画定する先端部分(138)を備え、前記先端部分(138)が、先端空洞(155)を画定するレール(150)を含み、前記翼形部(124)が、運転中に前記翼形部(124)を通って冷却材を循環させるように構成された内部冷却通路(156)を含み、前記動翼(115)が、
前記レール(150)のスロット付部分であって、その上に離隔配置された複数のスロット(170)を含む前記レール(150)のスロット付部分と、
前記翼形部(124)の前記正圧側壁(128)および前記負圧側壁(130)の少なくとも1つの内部に配置される複数のフィルム冷却出口(149)と
を備え、各前記複数のフィルム冷却出口(149)が、前記先端部分(138)に隣接し、前記レール(150)の前記スロット付部分の近傍にある位置を備え、各前記複数のフィルム冷却出口(149)が、前記内側冷却通路(156)と流体連通し、
複数の溝(172)が、前記レール(150)の前記スロット付部分と前記複数のフィルム冷却出口(149)との間に形成され、
各前記複数の溝(172)が、前記複数のフィルム冷却出口(149)の1つの位置またはちょうど外周側から、前記複数のスロット(170)の1つの内周縁部(171)の位置またはちょうど内周側まで略半径方向外側方向に延在するように、前記複数のスロット(170)、前記複数のフィルム冷却出口(149)および前記複数の溝(172)が構成され、
各前記複数の溝(172)および各前記複数のスロット(170)が、半径方向に整列する基準線に関して傾斜しており、
前記複数の溝(172)および前記複数のスロット(170)が、前記下流方向に向かって傾斜し、前記下流方向が前記タービン(106)を通る作動流体の流れ方向に関連し、
各前記フィルム冷却出口(149)が、前記複数の溝(172)および前記複数のスロット(170)の前記傾斜に概ね相当する方向に冷却材を吐出するように構成される、動翼(115)。
【請求項14】
燃焼タービンエンジンのタービン(106)用動翼(115)であって、前記動翼(115)が、外側周囲を画定する正圧側壁(128)および負圧側壁(130)、ならびに半径方向外側端部を画定する先端部分(138)を備え、前記先端部分(138)が、先端空洞(155)を画定するレール(150)を含み、前記翼形部(124)が、運転中に前記翼形部(124)を通って冷却材を循環させるように構成された内部冷却通路(156)を含み、前記動翼(115)が、
前記レール(150)のスロット付部分であって、その上に離隔配置された複数のスロット(170)を含む前記レール(150)のスロット付部分と、
前記翼形部(124)の前記正圧側壁(128)および前記負圧側壁(130)の少なくとも1つの内部に配置される複数のフィルム冷却出口(149)と
を備え、各前記複数のフィルム冷却出口(149)が、前記先端部分(138)に隣接し、前記レール(150)の前記スロット付部分の近傍にある位置を備え、各前記複数のフィルム冷却出口(149)が、前記内側冷却通路(156)と流体連通し、
複数の溝(172)が、前記レール(150)の前記スロット付部分と前記複数のフィルム冷却出口(149)との間に形成され、
各前記複数の溝(172)が、前記複数のフィルム冷却出口(149)の1つの位置またはちょうど外周側から、前記複数のスロット(170)の1つの内周縁部(171)の位置またはちょうど内周側まで略半径方向外側方向に延在するように、前記複数のスロット(170)、前記複数のフィルム冷却出口(149)および前記複数の溝(172)が構成され、
前記溝(172)が前記半径方向に延在するにつれて、各前記複数の溝(172)が可変の幅を備え、
前記スロット(170)が前記半径方向に延在するにつれて、各前記複数のスロット(170)が可変の幅を備え、
前記複数の溝(172)および前記複数のスロット(170)が、前記下流方向に向かって傾斜し、前記下流方向が前記タービン(106)を通る作動流体の流れ方向に関連し、
各前記フィルム冷却出口(149)が、前記複数の溝(172)および前記複数のスロット(170)の前記傾斜に概ね相当する方向に冷却材を吐出するように構成される、動翼(115)。
【請求項15】
各前記複数のフィルム冷却出口(149)が、前記溝(172)の内周縁部の中に組み込まれ、
前記溝(172)が、前記複数のスロット(170)の1つの前記内周縁部(171)に接続する、請求項13または14に記載の動翼(115)。
【請求項16】
各前記複数の溝(172)および各前記複数のスロット(170)が、概ね一定の幅を含む矩形形状を備える、請求項13乃至15のいずれかに記載の動翼(115)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体的に、ガスタービンの動翼の先端を冷却するための装置およびシステムに関する。限定しないが、より詳細には、本出願は、冷却性能を向上させる動翼先端レールの構成に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンエンジンでは、圧縮機内で空気が加圧され、燃焼器内で燃料を燃焼するために使用されて、高温の燃焼ガス流を生成すると、そのようなガスが1つまたは複数のタービンを通って下流に流れて、その結果、そこからエネルギーを抽出することができるとよく知られている。そのようなタービンによって、一般的に、円周方向に離隔配置された動翼の列が、支持ロータディスクから半径方向外側に延在する。通常、各ブレードは、ロータディスク内の対応するダブテールのスロット内に翼を組み付けまたは取り外すことを可能にするダブテール、ならびにダブテールから半径方向外側に延在する翼形部を備える。
【0003】
翼形部は、対応する前縁と後縁との間に軸方向に、かつ根元と先端との間に半径方向に延在する、全体的に凹形の正圧側および全体的に凸型の負圧側を有する。タービン翼の間を下流に流れる燃焼ガスがその間から漏出することを最小にするために、翼先端が半径方向外側のタービンシュラウドに接近して離隔配置されることが理解されよう。エンジンの最大効率は、漏出が防止されるように、先端隙間または間隙を最小にすることによって得られるが、しかし、動翼とタービンシュラウドとの間の異なる熱的膨張、機械的膨張、および収縮率、ならびに運転中にシュラウドに対して過剰に先端が擦れるという望ましくない状況を避けるという動機付けによって、この手法はいくらか制限される。
【0004】
タービン翼が高温燃焼ガスの中に浸されるので、有用な部品寿命を保証するために効率的冷却が必要となる。通常、翼の翼形部は中空であり、圧縮機に流体連通して配置され、その結果、圧縮機から抽出される圧縮空気の部分が翼形部を冷却する際に使用するために受け取られる。動翼の特定領域内の翼形部冷却は、極めて複雑であり、様々な形態の内部冷却導管、ならびに冷却空気を排出するために翼形部の外側壁を通る冷却出口を使用して利用され得る。それでもやはり、翼形部先端は、タービンシュラウドに直接隣接して配置され、先端間隙を通って流れる高温燃焼ガスによって加熱されるので、翼形部先端を冷却するのが困難である。したがって、翼の翼形部内部に導かれる空気の一部が、通常、その冷却のために先端を通って排出される。
【0005】
従来の翼先端設計は、漏出を防止し、冷却効果を向上させるように意図されるいくつかの異なる幾何形状および構成を含む。代表的な特許には、Buttsらによる米国特許第5,261,789号、Bunkerによる米国特許第6,179,556号、Mayerらによる米国特許第6,190,129号、およびLeeによる米国特許第6,059,530号が含まれる。しかし、従来の翼先端冷却設計、特に「スキーラ先端」設計を有する設計は、圧縮機バイパス空気の非効率な使用を含む特定の欠点を有し、それによってプラントの効率が低下する。その結果、この領域に導かれる冷却材の全体的効果を向上させる、改良されたタービン翼先端設計が非常に所望されるであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平09−195704号公報
【発明の概要】
【0007】
したがって、本発明は、燃焼タービンエンジンのタービン用動翼を説明する。動翼が、外側周囲を画定する正圧側壁および負圧側壁、ならびに半径方向外側端部を画定する先端部分を備えることができる。先端部分が、先端空洞を画定するレールを含むことができる。翼形部が、運転中に翼形部を通って冷却材を循環させるように構成された内部冷却通路を含むことができる。動翼が、レールのスロット付部分と、翼形部の正圧側壁および負圧側壁の少なくとも1つの内部に配置される少なくとも1つのフィルム冷却出口とを更に含むことができる。フィルム冷却出口が、先端部分に隣接し、レールのスロット付部分の近傍にある位置を備えることができる。
【0008】
本発明は、燃焼タービンエンジンのタービン用動翼を更に説明する。動翼が、外側周囲を画定する正圧側壁および負圧側壁、ならびに半径方向外側端部を画定する先端部分を備えることができる。先端部分が、先端空洞を画定するレールを含むことができ、翼形部が、運転中に翼形部を通って冷却材を循環させるように構成された内部冷却通路を含む。動翼が、レールのスロット付部分であって、その上に離隔配置された複数のスロットを含むレールのスロット付部分と、翼形部の正圧側壁および/または負圧側壁の内部に配置される複数のフィルム冷却出口とを備え、各複数のフィルム冷却出口が、先端部分に隣接し、レールのスロット付部分の近傍にある位置を備えることができ、複数の溝が、レールのスロット付部分と複数のフィルム冷却出口との間に形成される。各複数の溝が、複数のフィルム冷却出口の1つの位置またはちょうど外周側から、複数のスロットの1つの内周縁部の位置またはちょうど内周側まで略半径方向外側方向に延在するように、複数のスロット、複数のフィルム冷却出口および複数の溝が構成され得る。
【0009】
図面および添付の特許請求の範囲と併せて考察される場合、好適な実施形態の以下の詳細な説明を再考すれば、本出願のこれら、および他の形態が明らかになるであろう。
【0010】
本発明として見なされる主題は、本明細書の結論部で特許請求の範囲の中で詳細に指摘し、明確に特許請求する。本発明の前述および他の形態、ならびに利点は、添付の図面と併せて考察される以下の説明から明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】燃焼タービンエンジンの概略図である。
図2】ロータ、タービン翼、および静止シュラウドを含む例示的な動翼組立体の斜視図である。
図3】翼形部に沿って、翼先端キャップを通る冷却出口を含むスキーラ先端を有するタービン動翼の斜視図である。
図4】本発明に係るスキーラ先端を有し、冷却配置を組み込むタービン動翼の斜視図である。
図5図4のスキーラ先端の線5−5に沿った横断面図である。
図6】本発明に係るスキーラ先端を有し、別の冷却配置を組み込むタービン動翼の斜視図である。
図7】本発明に係る別の冷却配置を組み込むスキーラ先端レールの斜視図である。
図8】本発明に係る別の冷却配置を組み込むスキーラ先端レールの斜視図である。
図9】本発明に係る別の冷却配置を組み込むスキーラ先端レールの斜視図である。
図10】本発明に係る別の冷却配置を組み込むスキーラ先端レールの斜視図である。
図11】本発明に係る別の冷却配置を組み込むスキーラ先端レールの斜視図である。
図12】本発明に係る別の冷却配置を組み込むスキーラ先端レールの斜視図である。
図13】本発明に係る別の冷却配置を組み込むスキーラ先端レールの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
詳細な説明は、図面を参照して実施例として、利点および形態と共に、本発明の実施形態を説明する。
【0013】
図1は、ガスタービンシステム100などのターボ機械システムの実施形態の概略図である。システム100は、圧縮機102、燃焼器104、タービン106、シャフト108および燃料ノズル110を含む。一実施形態では、システム100は、複数の圧縮機102、燃焼器104、タービン106、シャフト108および燃料ノズル110を含むことができる。圧縮機102およびタービン106は、シャフト108によって連結されている。シャフト108は、単一のシャフト、またはシャフト108を形成するために一体に連結された複数のシャフトセグメントであることができる。
【0014】
一態様では、燃焼器104は、エンジンを運転するために、天然ガスまたは水素リッチ合成ガスなどの液体および/またはガス燃料を使用する。例えば、燃料ノズル110は、空気供給源および燃料供給源112と流体連通する。燃料ノズル110は、混合気を生成し、混合気を燃焼器104の中に排出し、それによって高温圧縮排気ガスを生成する燃焼を発生させる。燃焼器104は、高温圧縮ガスをトランジションピースを通ってタービンノズル(または「第1段ノズル」)内に導き、バケットおよびノズルの他の段はタービン106を回転させる。タービン106の回転によって、シャフト108が回転し、それによって、空気が圧縮機102の中に流れるにつれて、その空気を圧縮する。一実施形態では、限定しないが、シュラウド、隔壁、ノズル、バケットおよびトランジションピースを含む高温ガス通路構成要素が、タービン106内に配置され、その構成要素を横切る高温ガス流が、タービン部品のクリープ、酸化、摩耗および熱疲労を引き起こす。高温ガス通路構成要素の温度を制御することによって、構成要素内の損傷状態を低減することができる。タービンシステム100内の燃成温度の上昇に伴って、ガスタービンの効率が向上する。燃成温度が上昇するにつれて、高温ガス通路構成要素は、使用寿命を満たすために適切に冷却される必要がある。高温ガス通路近傍の領域を冷却するために改善された配置を有する構成要素、およびそのような構成要素を作製するための方法が、図2から図12を参照して以下に詳細に考察される。以下の考察は、主にガスタービンに焦点を合わせるが、考察する概念は、ガスタービンに限定されない。
【0015】
更に説明を続ける前に、現行の出願の本発明を明確に伝えるために、特定の機械的構成要素またはタービンエンジンの部品に言及し、説明する用語を選択することが必要となる場合があることに留意されたい。可能な場合はいつでも、当産業で使用される用語は、その通義と矛盾しない態様で選択され、採用されるであろう。しかし、この用語は広義の意味を与えられるべきであり、本明細書で意図される意味、および添付の特許請求の範囲が限定されるように狭義に解釈するべきではないということを意図する。当業者は、特定の構成要素がいくつかの異なる名称で呼ばれることが多いことを理解するであろう。加えて、本明細書で単一の部品として説明され得るものが、いくつかの構成要素部品を含み、別の文脈で、いくつかの構成要素部品として参照される場合があり、または本明細書で多数の構成要素部品を含むと説明され得るものが、いくつかの場合、単一部品に作り上げられ、単一部品として呼ばれる場合がある。そういうわけで、本明細書に記載する本発明の範囲を理解する上で、提供された用語および説明だけに注意を払うばかりではなく、構成要素の構造、構成、機能および/または使用法にも注意を払うべきである。
【0016】
加えて、いくつかの説明的用語を本明細書で使用することができる。これらの用語の意味は、以下の定義を含むものである。「動翼(rotor blade)」という用語は、追加の特定をせずに、圧縮機118またはタービン106のいずれかの回転翼への参照であり、それらは、圧縮機動翼120およびタービン動翼115の両方を含む。「静翼(stator blade)」という用語は、追加の特定をせずに、圧縮機118またはタービン106のいずれかの静翼への参照であり、それらは、圧縮機静翼122およびタービン静翼128の両方を含む。「翼(blades)」という用語は、本明細書ではどちらかのタイプの翼を呼ぶために使用される。したがって、追加の特定をせずに、「翼」という用語は、圧縮機動翼120、圧縮機静翼122、タービン動翼115、およびタービン静翼128を含むすべてのタイプのタービンエンジン翼を含む。更に、本明細書で使用する場合、「下流」および「上流」は、タービンを通る作動流体の流れに関する方向を示す用語である。そういうわけで、「下流」という用語は、流れの方向を意味し、「上流」という用語は、タービンを通る流れの反対の方向を意味する。これらの用語に関連して、「後方」および/または「後縁」という用語は、下流方向、下流端部、および/または説明する構成要素の下流端部の方向を指示する。更に、「前方」および/または「前縁」という用語は、上流方向、上流端部、および/または説明する構成要素の上流端部の方向を指示する。「半径方向」という用語は、軸線に対して垂直な動きまたは位置を指示する。軸線に関して、異なる半径方向の位置にある部品を説明する必要があることが多い。この場合、第1の構成要素が第2の構成要素よりも軸線により接近して位置する場合、本明細書では第1の構成要素が、第2の構成要素の「内周側」または「半径方向内側」であると述べることができる。一方、第1の構成要素が第2の構成要素よりも軸線から離れて位置する場合、本明細書では第1の構成要素が、第2の構成要素の「外周側」または「半径方向外側」であると述べることができる。「軸方向」という用語は、軸線に対して平行な動きまたは位置を指示する。更に、「円周方向」という用語は、軸線を中心とする動きまたは位置を指示する。
【0017】
図2は、例示的な高温ガス通路構成要素である、タービン動翼115の斜視図であり、タービン動翼115は、ガスタービンまたは燃焼エンジンのタービン内に配置されている。高温燃焼ガス116を燃焼器から受け取るために、タービンは燃焼器から直接下流に取り付けられていることが理解されよう。軸方向の中心軸線を中心として軸対称であるタービンは、ロータディスク117、およびロータディスク117から半径方向の軸線に沿って半径方向外側に延在する、複数の円周方向に離隔配置されたタービン動翼(その1つだけが図示されている)を含む。環状タービンシュラウド140は、静止固定子ケーシング(図示せず)に適切に結合され、運転中に燃焼ガスの漏出を制限する相対的に小さい間隙または隙間がその間に残るように、動翼115を取り囲む。
【0018】
各動翼115は、ロータディスク117の周囲の中の対応するダブテールスロット内に取り付けるように構成されている軸方向のダブテールなど、一般に、任意の従来の形状を有することができる根元またはダブテール122を含む。中空の翼形部124は、ダブテール122に一体に結合され、軸方向に、またはダブテール122から長手方向外側に延在する。動翼115は、燃焼ガス116のための半径方向内側流路の部分を画定するために、翼形部124とダブテール122との接合点に配置される一体型プラットフォーム126を更に含む。動翼115は、任意の従来の態様で形成可能であり、通常は一体型ケーシングであることが理解されよう。好適には、翼形部124が、対向する前縁132と後縁134との間に軸方向に延在する、略凹形正圧側壁128、および円周方向または横方向に反対側の略凸型負圧側壁130を含む。側壁128および130は、プラットフォーム126から、半径方向外側先端部分または翼先端138まで半径方向にも延在する。
【0019】
一般に、翼先端138は、正圧側壁128および負圧側壁130の半径方向外側縁部の上方に配置される先端キャップ148を含む。先端キャップ148は、通常、翼形部124の正圧側壁128と負圧側壁130との間に画定される内部冷却通路(以下に更に考察するように、本明細書で「内部冷却通路156」と呼ばれる)に接する。圧縮機から抽出された圧縮空気などの冷却材は、運転中に内部冷却通路を通って循環することができる。先端キャップ148は、通常、運転中に冷却材を吐出し、翼先端138の表面上にフィルム冷却を促進する複数のフィルム冷却出口149を含む。先端キャップ148は、動翼115に一体化されることができ、または図示のように、翼が鋳造される後に、一部分が定位置に溶接/ロウ付けされることが可能である。
【0020】
漏出流の低減など、特定の性能利点によって、翼先端138は取り囲む先端レールまたはレール150を含むことが多い。このタイプの翼先端は、一般に「スキーラ先端」と呼ばれ、または別法として、「スキーラポケット」または「スキーラ空洞」を有する翼先端と呼ばれる。正圧側壁128および負圧側壁130に一致して、レール150は、それぞれ正圧側レール152および負圧側レール153を含むと説明することができる。一般に、正圧側レール152は、先端キャップ148から半径方向外側に延在し(すなわち、先端キャップ148に対して約90°の角度、またはそれに近い角度を形成する)、翼形部124の前縁132(レールの場合、「前縁レール」と呼ぶことができる)から後縁134(レールの場合、「後縁レール」と呼ぶことができる)まで延在する。図示のように、正圧側レール152の通路は、正圧側壁128の半径方向外側縁部に隣接し、またはその近傍に(すなわち、正圧側レール152が正圧側壁128の半径方向外側縁部に整列するように、先端キャップ148に、またはその周囲近傍に)ある。同様に、図示のように、負圧側レール153は、先端キャップ148から半径方向外側に突出し(すなわち、先端キャップ148と約90°の角度を形成する)、レールの前縁レールから後縁レールまで延在する。負圧側レール153の通路は、負圧側壁130の半径方向外側縁部に隣接し、またはその近傍に(すなわち、負圧側レール153が負圧側壁130の半径方向外側縁部に整列するように、先端キャップ148に、またはその周囲近傍に)ある。正圧側レール152および負圧側レール153の両方が、内側に先端空洞155を画定する内側レール面157、およびレール150の対向する側部上にあり、したがって先端空洞155の外側に、先端空洞155から離れて面する外側レール面159を有すると説明することができる。半径方向外側端部で、レール150は、外側方向に面する外周レール面161を有すると説明することができる。
【0021】
本発明が使用されるスキーラ先端は、前述の特徴とはいくらか異なる可能性があるということを当業者は理解するであろう。例えば、レール150は、正圧側壁128および/または負圧側壁130の半径方向外側縁部の形状に必ずしも正確に従わない場合がある。すなわち、本発明が使用され得る別のタイプの先端では、先端キャップ148の外側周囲から離れて先端レール150を移動することができる。加えて、先端レール150は、先端空洞を完全に囲まない場合があり、特定の場合、その中に、特に翼先端138の後縁レール134の方に配置されたレールの部分内に形成された大きい間隙を含むことができる。いくつかの場合、レール150は、先端138の正圧側または負圧側から取り外されることが可能である。別法として、1つまたは複数のレールが、正圧側レール152と負圧側レール153との間に配置可能である。
【0022】
先端レール150は、図示のように一般に、先端ポケットまたは空洞155が先端部分138の中に画定されるように、先端キャップ148の周囲を囲むように構成される。正圧側レール152および/または負圧側レール153の高さおよび幅(したがって、空洞155の深さ)は、タービン組立体全体の最良の性能および寸法に依存して変化させることができる。先端キャップ148が空洞155のフロア(すなわち、空洞の半径方向内側の境界)を形成し、先端レール150が空洞155の側壁を形成すること、および先端空洞155が半径方向外側面を通して開いた状態であり、半径方向外側面は、タービンエンジン内に一旦取り付けられると、そこから半径方向にわずかにずれている静止シュラウド140(図2参照)に接近して隣接することが理解されよう。
【0023】
図3に示すように、複数のフィルム冷却出口149が、翼先端138および翼形部124の面上に配置され得る。通常、フィルム冷却出口149は、翼形部124の正圧側壁128ならびに先端キャップ148を通って設けられる。いくつかの設計は、正圧側先端領域を冷却材で充満させる努力により、利用可能な限定された空間内にできるだけ多くのフィルム出口149を使用する。正圧側壁128上に配置された出口に関して、冷却材の吐出後、次いで冷却材がスキーラ先端のレール150の上方へ、先端空洞155の中に達して、その中に冷却を提供し、次いで先端138の負圧側面上方に達して、この領域に冷却を提供することが所望される。この目的に向かって、フィルム出口149が半径方向外側へ配向される。更に、フィルム冷却出口149を翼形部124の面に対して傾斜させることができる。この傾斜した冷却材の導入によって、ある程度混合を制限することができる。それでもやはり、実際には、冷却流が主流の動的高温ガスと混合するので、冷却流の複雑な性質によって、翼先端138を冷却することがやはり非常に困難である。
【0024】
高温空気流(全体に矢印163によって図示する)は、翼形部124の上方に流れ、翼形部124の外面上に推進力を及ぼし、次々にタービンを駆動し、動力を生成する。冷却流(全体に矢印164によって図示する)は、フィルム出口149を出て、高温空気流163によって、翼形部124の後縁134の方へ、先端空洞155から離れて押し流される。通常、これによって混合効果が生じ、冷却空気の一部分が捕捉され、混合ガスと混合され、一部分は先端空洞155の中に入り、一部分が軸方向に翼形部に沿って後縁134まで到達する。これには、この領域を冷却するために過剰な冷却空気の使用が必要になり、それによって、説明の通りにプラントの効率が低下することにつながる。
【0025】
ここで図4および図5に目を向けると、本発明に一致する冷却配置を組み込むスキーラ先端を有するタービン動翼の図が提供される。図示のように、冷却配置は、レール150内にスロット付領域を含むことができる。スロット付領域は通常複数のスロット170を含むが、スロット付領域は少なくとも1つのスロット170を含む。各スロット170は、スキーラ先端のレール150を通って形成される。一般に、スロット170はレール150の厚さを通って延在する通路である。すなわち、スロット170は、レール150を横切って内側レール面157内に形成される開口まで延びる外側レール面159の中に形成される開口を含む。図示のように、好適な実施形態では、スロット170は、レール150の外周レール面161を通して開いた状態であることができる。すなわち、スロット170は、内周縁部171から外周レール面161に形成された開口まで延在することができる。図4に示すように、好適な実施形態では、スロット170は、スキーラ先端の正圧側レール152上に形成され得る。しかし、図6に示すように、スロット170は、負圧側レール153上にもまた形成可能である。
【0026】
翼形部124内で、正圧側壁128および負圧側壁130が、円周方向および軸方向に、翼形部124の半径方向のほとんどに亘って、または半径方向全長に亘って離隔配置されて、翼形部124を通る内部冷却通路156の少なくとも1つを画定することができることが理解されよう。図5に示すように、内部冷却通路156は、一般に動翼の根元での結合部から翼形部124を通って冷却材を導き、その結果、翼形部124は高温ガス通路に曝されることによって運転中に加熱することはない。通常、冷却材は、いくつかの従来の方法で実施され得る、圧縮機102から抽出された圧縮空気である。内部冷却通路156は任意の数の構成を有することができ、例えば、冷却空気の効果を向上させるために、その中に様々なタービュレータを含む蛇状流路を含み、冷却空気が、先端キャップ148および翼形部面上に図示されているフィルム冷却出口149など、翼形部124に沿って配置された様々な出口を通って排出される。
【0027】
好適な実施形態では、図7により詳細に示されるように、各スロット170は、1つまたは複数の近傍のフィルム冷却出口からスロット170の中に吐出される冷却空気を導くように近傍に構成された溝172を有することができる。溝172は、図示のように、翼形部124、外側レール面159、または先端138の特定の構成に依存してその組合せに沿って延在する細長い凹部であることができる。説明のように、フィルム冷却出口149は、翼形部124のこの領域、すなわちスロット170の内周側に配置可能である。各溝172は、フィルム冷却出口149の位置またはそのちょうど外周側からスロット170の内周縁部171の位置またはちょうど内周側まで、半径方向外周に延在するように構成可能である。好適な実施形態では、図7に最も明確に示すように、溝172がフィルム冷却出口149を直接スロット170に結合するように、溝172を配置することができる。そのような場合、溝172は、冷却材をスロット170の方へ導くことができる。すなわち、フィルム冷却出口149およびスロット170の両方によって形成される結合部の間に延びるように、溝172を構成することができる。このように、溝172は、出口149を出る冷却材をスロット170の方へ導くことができ、その結果、吐出された冷却材のほとんどがスロット170に到達する。一旦スロット170に到達すると、冷却材はスロット170を通って先端空洞155の中に流れることができる。このように、冷却材が、非常に正確にフィルム冷却出口149から先端空洞155まで導かれることができ、それによって、翼115の先端領域の冷却を改善することが理解されよう。
【0028】
好適な実施形態が本明細書で考察され、好適には特定の基準に従うことができるが、当業者は、スロット170、溝172を有するスキーラ先端の構成および/または前述の形態他の構成が運転状態に依存して変化することができることを理解するであろう。したがって、いくつかの好適な実施形態が、図8から図12に提供されるスロット付レールのいくつかの斜視図と併せて考察されるが、本発明の要素のすべての可能な組合せが図示されず、詳細に考察されないが、それは現行の目的のためには網羅的すぎるからであるということを当業者は理解するであろう。本明細書で詳細に考察しない場合でも、添付の特許請求の範囲によって定義されるように、互いに包括的ではない要素および他の特徴を組み合わせることができることを理解するべきである。
【0029】
図8および図9に図示するような特定の実施形態では、スロット170は溝172なしで機能することができる。そのような場合、フィルム冷却出口149は、図8に示すようにスロット170のちょうど内周側に配置することができ、または図9に示すようにスロット170の内周縁部171の中に組み込まれることができる。溝172を含むことは特定の実施形態では好ましい可能性があるが、スロット170によって生成される流れのパターンは、増加した量の冷却材を動翼の先端領域に向かって誘導するために適切である可能性がある。
【0030】
図10に示すように、特定の実施形態では、溝172対スロット170の比率は1対1である必要はない。特定の実施形態では、例えば、単一のスロット170のために2つの溝172を設けることができる。他の比率もまた、使用可能である。
【0031】
スロット170および溝172は、矩形の形状である。詳細には、溝172の幅は、フィルム冷却出口149近傍または隣接する上流端部から、スロット170近傍または隣接する下流端部まで一定であることができる。図11に示すように、別の実施形態では、溝172は、スロット170の方へ延在するにつれて幅広くなることができる。同様に、スロット170は、スキーラ先端の外周レール面161の方へ半径方向に延在するにつれて幅広くなることができる。このタイプの構成は、スロット170および/または溝172が、運転中に増加した量の冷却材を捕捉し、導くことを可能にする。性能および製造基準に従う形状に溝172を最適化することができる。例えば、溝172のフロアは図示のように湾曲することができ、または平坦であることができる。
【0032】
図12は、本発明に係る別の冷却配置を組み込むスキーラ先端レールの近接斜視図である。図示のように、特定の実施形態では、スロット170および溝172は、半径方向に対して傾斜することができる。スロット170および溝172は、上流方向に傾斜することができ、好適な実施形態では、スロット170および溝172は、下流方向に傾斜することができる。この領域を通る作動流体の所定の流路、下流方向に傾斜したスロット170および溝172によって、スロット170および/または溝172は、吐出された冷却材の流れの方向により効果的に影響を与え、および/または冷却材が作動流体によって後方に駆動されるので、より多くの量の冷却材を先端空洞155の中に導くことができる。別法として、スロット170および溝172の対は、異なる角度の配向を維持することができ、または特定の場合、湾曲することができる。
【0033】
加えて、説明するように、吐出方向と翼形部面との間に小さい角度が形成されるように、フィルム冷却出口149を構成することができる。このことによって、フィルム層の下、または吐出される冷却材によって構成されるフィルムジェットの下に入る高温ガス作動流体の能力を制限することができることが理解されよう。面上の正弦方向のフィルム冷却が、角度をもって吐出されるフィルム冷却よりも効率的であるということは、確立した事実である。好適な実施形態では、フィルム冷却出口149は、冷却材が吐出される溝172および/またはスロット170の方向に一致するような方向性に冷却材を吐出するように構成されている。
【0034】
スロット170の半径方向の深さは変化することができる。レール150の半径方向の高さは、先端キャップ148の半径方向の位置から外周レール面161の半径方向の位置までの距離として説明することができる。同様に、スロット170の半径方向の高さは、図5に図示するように、スロット170の内周縁部171の半径方向の位置から外周レール面161の半径方向の位置までの距離として説明することができる。好適な実施形態では、各スロット170の半径方向の高さは、レール150の半径方向の高さの少なくとも半分(0.5)であることができる。
【0035】
スロット170および溝172は、様々な構成、深さおよび/または形状であることができる。スロット170および溝172は、フィルム冷却を包含し、高温ガスと混合することからフィルム冷却を保護し、一方で領域の冷却の必要がより効率的に満たされるように、好適な経路に沿ってフィルム冷却を導く働きをすることが理解されよう。スロット170および溝172は、フィルム冷却によって覆われる外部面領域を増加させるように働くこともできる。スロット170および溝172は、翼先端に鋳造された形態、または鋳造後に機械加工されることができ、あるいはフィルム出口149自体を形成する工程の一部としてレーザ、水噴射、または放電加工(EDM)穿孔によって更に簡単に形成され得る。説明するように、スロット170および溝172は、一定の断面から成る必要はなく、またフィルム冷却出口149からの距離によって寸法が内側または外側に広がることができ、それによって追加の性能上の利点をもたらすことができる。面内への溝172の深さは変化することができるが、このことはフィルム冷却出口149の寸法によって制限されない。特定の実施形態では、2つ以上の溝172が単一のフィルム冷却出口149から生じることができて、冷却を拡散させることを助け、一方で冷却材が高温ガスと混合することから保護することもできる。
【0036】
図13に示すように、シェルフ175が、スロット170の内周縁近傍に、正圧側壁または負圧側壁上に形成可能である。そのような場合、フィルム冷却出口149はシェルフ175上に配置可能である。この構成によって、半径方向への冷却の吐出が可能になり、それによって、より多くの冷却材が各スロット170内に吸収されることにつながる可能性があることが理解されよう。
【0037】
本発明を限定された数の実施形態だけに関連して詳細に説明したが、本発明はそのような開示する実施形態に限定されないということを容易に理解するべきである。むしろ、本発明は修正されて、任意の数の変形形態、修正形態、代替形態または上記に説明されなかったが本発明の精神および範囲に相応する均等な配置を組み込むことができる。加えて、本発明の様々な実施形態を説明したが、本発明の態様は説明した実施形態のいくつかだけを含むことができることを理解されたい。したがって、本発明は、上記の説明によって限定されると見なすべきではなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0038】
100 システム
102 圧縮機
104 燃焼器
106 タービン
108 シャフト
110 燃料ノズル
112 空気供給源および燃料供給源
115 動翼
116 高温燃焼ガス
117 ロータディスク
118 圧縮機
120 圧縮機動翼
122 ダブテール/圧縮機静翼
124 翼形部
126 プラットフォーム
128 正圧側壁/タービン静翼
130 負圧側壁
132 前縁(レール)
134 後縁(レール)
138 翼先端/先端部分
140 タービンシュラウド
148 先端キャップ
149 フィルム冷却出口
150 レール
152 正圧側レール
153 負圧側レール
155 先端空洞
156 内部冷却通路
157 内側レール面
159 外側レール面
161 外周レール面
163 高温空気流
164 冷却流
170 スロット
171 内周縁部
172 溝
175 シェルフ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13