(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電源制御部は、前記直流システム電源のCメッセージノイズ、ソフォメトリックノイズ、リップルノイズ、スパイクノイズ及び前記直流システム電源の電圧変動の少なくとも1つを検出し、検出対象のノイズレベルが前記ノイズレベル閾値以上となったことに応じて前記ログを出力する請求項1に記載の電源装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。本発明は、電源装置に関するものである。この電源装置は、電話システムに適用することで特に効果を奏するが、適用可能なシステムは電話システムに限られない。
【0011】
図1に実施の形態1にかかる電話システム1のブロック図を示す。
図1に示すように、実施の形態1にかかる電話システム1は、電源装置10、構内交換機20、電話端末TM1、TM2、システム温度センサSENを有する。システム温度センサSENは、電話システム1の筐体内温度(以下、周囲温度と称す)を示す温度情報TSENを出力する。
【0012】
電源装置10は、外部の商用系統電源から供給される交流電源から直流システム電源に変換する。以下の説明では、直流システム電源の電圧を直流出力電圧VOUTと表記する。電源装置10は、電源回路11、電源制御部12、絶縁回路13を有する。
【0013】
電源回路11は、電源制御部12が生成するPWM信号に基づきスイッチング素子をスイッチングして、外部から与えられる交流電源から前記直流システム電源を出力する。電源制御部12は、直流システム電源の電圧(直流出力電圧VOUT)と予め設定された目標電圧との差に応じたデューティー比を有するPWM信号を出力する。また、電源制御部12は、直流システム電源のノイズレベルが予め設定したノイズレベル閾値以上になったことに応じて、交流電源の状況を示すログを出力する。このログは、構内交換機20に送信される、若しくは、電源制御部12内のメモリに記憶される。電源制御部12は、例えば、プログラムに応じて各種演算及び制御を行うMPU(Micro Processor Unit)が用いられる。絶縁回路13は、電源回路11の電圧観測点OVS及び電流観測点OCSと、電源制御部12の入力端子との間を絶縁しながら、各観測点から得られる電圧に応じた信号レベルの信号を出力する。各観測点で観測される電圧が、電源制御部12の入力レンジよりも大きくなる場合、絶縁回路13を設けることが特に有効である。なお、電源装置10については、その詳細を後述する。
【0014】
構内交換機20は、電話端末TM1、TM2と局線との接続制御を行う。構内交換機20は、直流システム電源に基づき動作する。構内交換機20は、システム制御部21、メモリ22、リアルタイムクロック生成部23、インタフェース回路24を有する。
【0015】
システム制御部21は、電話端末TM1と局線との接続制御を行う。システム制御部21は、例えば、プログラムに応じて各種演算及び制御を行うMPU(Micro Processor Unit)が用いられる。メモリ22は、システム制御部21が動作するためのプログラム、及び電源装置10で生成されたログを格納する。このメモリ22は、電源装置10に備えられたメモリよりも容量が大きいものとする。リアルタイムクロック生成部23は、システム制御部21に与えるリアルタイムクロック信号を生成する。このリアルタイムクロック信号は、システム制御部21において時間の計測に用いられる。
【0016】
電話端末TM1、TM2は例えば、固定電話である。電話端末TM1、TM2は、構内交換機20のインタフェース回路24と接続される。この電話端末TM1、TM2には、着信情報等の各種情報が表示される表示部(例えば、LCD(Liquid Crystal Display))及び端末制御部を有する。端末制御部は、例えば、プログラムに応じて各種演算及び制御を行うMPU(Micro Processor Unit)が用いられる。
【0017】
続いて、電源装置10の詳細について説明する。そこで、
図2に実施の形態1にかかる電源装置10の詳細なブロック図を示す。
図2に示すように、実施の形態2にかかる電源装置10の電源回路11は、整流平滑回路31、駆動回路32、トランス33、整流平滑回路34、スイッチング素子(例えば、駆動トランジスタTr)電流検出抵抗Rs1、抵抗R1、R2を有する。
【0018】
整流平滑回路31は、交流電源から与えられる交流入力電圧を整流して直流電圧を生成する。駆動回路32は、電源制御部12から与えられるPWM信号に応じて駆動信号を生成して駆動トランジスタTrをスイッチングする。
【0019】
トランス33は、一次側コイルと二次側コイルとを有する。そして、一次側コイルの一端は、整流平滑回路31の正出力端子に接続される。一次側コイルの他端は、駆動トランジスタTrを介して整流平滑回路31の負出力端子に接続される。なお、駆動トランジスタTrは、NMOSトランジスタである。この駆動トランジスタTrは、ゲートに駆動回路32が出力する駆動信号が与えられ、ソースが整流平滑回路31の負出力端子に接続され、ドレインがトランス33の一次側コイルの他端に接続される。
【0020】
トランス33の二次側コイルは、一端が整流平滑回路34の正入力端子に接続され、他端が整流平滑回路34の負入力端子(例えば接地ノード)に接続される。整流平滑回路34は、トランス33の二次側コイルに生じたパルス信号を整流して直流電圧を出力する。整流平滑回路34が出力する直流電圧は、直流システム電源となる。直流システム電源の電圧は、電源回路11の直流出力電圧VOUTである。
【0021】
また、整流平滑回路34の正出力端子には電源ノードが接続され、整流平滑回路34の負出力端子には接地ノードが接続される。そして、電源ノードと接地ノードとの間には抵抗R1、R2が直列に接続される。抵抗R1と抵抗R2とが接続されるノードは、電圧観測点OVSとなる。また、接地ノードには電流検出抵抗Rs1が挿入される。そして、電流検出抵抗Rs1の整流平滑回路34側の端子は、電流観測点OCSとなる。
【0022】
電源制御部12は、AD変換回路41、演算部42、PWMタイマ43、メモリ44、リアルタイムクロック生成部45を有する。
【0023】
AD変換回路41は、絶縁回路13を介して得た電流観測点OCSの電圧値と電圧観測点OVSの電圧値に対応するデジタル値を出力する。また、電源装置10では、交流電源から与えられる交流入力電圧の電圧レベルを示す交流入力電圧値に対応するデジタル値を出力する。また、AD変換回路41は、システム温度センサSENが出力する温度情報TSENに対応するデジタル値を出力する。
【0024】
演算部42は、直流システム電源として生成される直流出力電圧VOUTと予め設定された目標電圧値との差がゼロに近づくようにPWMタイマ43の設定値を更新する。また、演算部42は、電圧観測点OVSの電圧値に対してフーリエ変換、ウェーブレット変換等の処理を施し、さらに変換後の値に対してデジタルフィルタ処理を施す。これにより、演算部42は、電圧観測点OVSの電圧値のCメッセージノイズ、ソフォメトリックノイズ、リップルノイズ、スパイクノイズ及び電圧変動の少なくとも1つを観測する。そして、演算部42は、観測した電圧値の変動を監視することで電源装置10の直流出力電圧VOUTの異常状態を監視して、直流出力電圧VOUTに異常が検出された場合に、異常検出時点でのログを出力する。このログには、交流入力電圧の電圧値、直流出力電圧VOUTの電圧値、出力電流の電流値、異常発生時間、アラームの種類等の情報が含まれる。このログの詳細については、後述する。なお、実施の形態1にかかる電話システム1では、直流出力電圧VOUTの異常検出時点でのログに加えて、定期的なログも出力する。
【0025】
PWMタイマ43は、演算部42から与えられた設定値に応じたデューティー比のPWM信号を出力する。また、PWMタイマ43は、図示しないシステムクロック生成部が出力するシステムクロック信号に基づきPWM信号の周波数を決定する。
【0026】
メモリ44は、演算部42の動作を決定するプログラム及び演算部42が出力したログが格納される。また、メモリ44は、演算部42が演算途中で生成する中間データ等の各種情報を格納する。
【0027】
リアルタイムクロック生成部45は、リアルタイムクロック信号を生成する。このリアルタイムクロック信号は、演算部42において時間の取得に利用される。なお、リアルタイムクロック信号は、構内交換機20のリアルタイムクロック生成部23が生成するリアルタイムクロック信号を利用することもできる。この場合、電源制御部12のリアルタイムクロック生成部45は不要になる。
【0028】
続いて、実施の形態1にかかる電話システム1の動作について説明する。電話システム1は、電源装置10が生成し、構内交換機20の動作に用いられる直流出力電圧VOUTに想定された範囲を超える異常状態が発生した場合に、交流電源の状態を含むログを出力することに特徴の1つを有する。そこで、電話システム1の動作の説明として、電話システム1において生成されるログについて説明する。電源装置10が生成するログの形式には、様々な種類が考えられるが、ここでは3つの例を挙げて当該ログについて説明する。
【0029】
図3に実施の形態1にかかる電源装置10が生成するログの第1の例を示す。
図3に示すように、第1の例では、10秒毎に交流入力電圧等の情報を取得する。このとき、
図3に示す例は、下線が引かれたタイミングで、直流出力電圧VOUTのノイズレベルがノイズレベル閾値以上となるため、電源装置10は、ノイズレベルが大きくなった時点の交流入力電圧等の情報を取得してログに記録する。
図3に示す例では、10時20分33秒に交流入力電圧の電圧レベルの低下と、直流出力電流の上昇が記録される。また、
図3に示す例では、10時20分56秒に交流電源の瞬断(交流入力電圧が0Vとなる状態)が記録される。
【0030】
続いて、
図4に実施の形態1にかかる電源装置10が生成するログの第2の例を示す。
図4に示す例は、直流出力電圧VOUTにノイズが大きくなる等の異常が検出された場合、異常が検出された後に通常のログ取得周期よりも短い周期でログを取得する例である。そのため、
図4に示す例では、10時20分24秒で直流出力電圧VOUTの異常が検出された後、直流出力電圧VOUTが異常状態から正常状態に回復する10時20分28秒までの間、1秒間隔でログを生成する。このように、異常状態が発生した後に短い周期でログを取得することで、電源不具合と電話システム1の異常との相関をより明確に把握することができる。
【0031】
続いて、
図5に実施の形態1にかかる電源装置10が生成するログの第3の例を示す。
図5に示す第3の例は、
図3に示した第1の例と同じ電圧異常が発生した場合において、記録する情報を変更したものである。この第3の例では、ログに記録する情報として、直流出力電圧VOUTが異常を示した時点における、交流入力電圧と、発信、着信、捕捉及びアイドル等の電話システム1の利用状況と、が記録される。直流出力電圧等の電気的情報に代えて、電話システム1の利用状況を、交流入力電圧と共に記録することで電話システム1の不具合と交流入力電圧との関係をより明確に把握することができる。
【0032】
また、上記
図3〜
図5に示したログの例では、具体的な数値で電源等の状況を示しているが、電源装置10のメモリ44或いは構内交換機20のメモリ22に記録されているログを取得して、グラフ表示することで、ログを参照することもできる。そこで、
図6に実施の形態1にかかる電源装置で生成されるログの表示例を示す。
【0033】
図6に示す例では、交流入力電圧とシステム温度とを取得対象情報として表示するものである。この
図6に示す例では、交流入力電圧とシステム温度とを時系列にグラフ化している。そして、
図6に示す例では、14時5分23秒付近で交流入力電圧がシステムが正常に動作する正常動作範囲(上限電圧と下限電圧との間の範囲)から外れた電圧値となっている。
【0034】
上記説明より、実施の形態1にかかる電話システム1では、電源装置10が直流出力電圧VOUTのノイズレベル等がノイズレベル閾値を超える等の異常状態となったことを検出し、当該異常状態が検出された時点での交流入力電圧等の情報をログとして出力する。これにより、実施の形態1にかかる電話システム1では、通常のログ取得間隔を長く設定してログの容量を削減しながら、不具合が生じる可能性がある電源異常状態のログを確実に取得することができる。
【0035】
特に、電話システムでは、電源異常に起因して通話ノイズが生じることがある。そのため、実施の形態1にかかる電話システム1のように、電源異常の発生状態に応じて交流入力電圧等のログを取得することで、システム側の不具合に起因して通話ノイズが発生しているのか、外部の交流電源の異常に起因して通話ノイズが発生しているのかの特定が容易になる。
【0036】
また、実施の形態1にかかる電話システム1では、電源装置10の電圧制御にMPU等のプログラムにより動作する演算器を用い、当該演算器により直流出力電圧VOUTの異常を検出する。そのため、電話システム1では、演算器の動作を規定するプログラムにノイズ検出プログラムを組み込むだけで、ハードウェアを追加することなくログ取得の機能を追加することができる。
【0037】
実施の形態2
実施の形態2では、実施の形態1の電源装置10の別の形態について説明する。そこで、
図7に実施の形態2にかかる電源装置50のブロック図を示す。なお、実施の形態2の説明において、実施の形態1で説明した構成要素については、実施の形態1と同じ符号を付して説明を省略する。
【0038】
図7に示すように、電源装置50は、電源装置10の電源回路11を電源回路51に置き換え、電源制御部12を電源制御部52に置き換えたものである。
【0039】
電源回路51は、直流出力電圧VOUTを生成する回路としてPFC回路(力率改善回路:Power Factor Correction回路)を用いるものである。電源回路51は、整流平滑回路61、駆動回路62、駆動トランジスタTr、インダクタL、ダイオードD、コンデンサC、ヒートシンク温度センサTHSEN1、THSEN2、電流検出抵抗Rs1、抵抗R1、R2を有する。
【0040】
整流平滑回路61は、交流電源から与えられる交流入力電圧を整流して直流電圧を出力する。この直流電圧は、整流平滑回路61の正出力端子に接続される電源ノードと、負出力端子に接続される接地ノードと、に出力される。
【0041】
電源ノードには、インダクタLとダイオードDとが直列接続されるように挿入される。そして、インダクタLとダイオードDとの間のノードと接地ノードとの間に駆動トランジスタTrが接続される。駆動トランジスタTrのゲートには駆動回路62から駆動信号が与えられる。駆動回路62は、電源制御部52のPWMタイマ43が出力するPWM信号から駆動信号を生成する。また、電源回路51では、駆動トランジスタTr及びダイオードDにはヒートシンクが設けられている。そして、駆動トランジスタTrに設けられているヒートシンクには、当該ヒートシンクの温度を検出するヒートシンク温度センサTHSEN1が設けられている。ダイオードDに設けられているヒートシンクには、当該ヒートシンクの温度を検出するヒートシンク温度センサTHSEN2が設けられている。そして、ヒートシンク温度センサTHSEN1、THSEN2が検出した温度情報は、電源制御部52のAD変換回路71に与えられる。
【0042】
コンデンサCは、ダイオードDの端子のうち電源回路51の出力側の端子と接地ノードとの間に設けられる。このコンデンサCは、インダクタLと駆動トランジスタTrのスイッチングにより生じたパルス信号を平滑化するものである。
【0043】
また、電源回路51においても、電流検出抵抗Rs1と、抵抗R1、R2とが電源回路11と同様に設けられている。
【0044】
電源制御部52は、電源制御部12のAD変換回路41をAD変換回路71に置き換えたものである。AD変換回路71は、AD変換回路41にヒートシンク温度センサTHSEN1、THSEN2から出力される温度情報をデジタル値に変換する機能をAD変換回路41に追加したものである。
【0045】
PFC回路では、入力される交流入力電圧に大きな変動が生じると駆動トランジスタTrとダイオードDとが加熱することがある。そこで、実施の形態2にかかる電源装置10では、直流出力電圧VOUTのノイズを直接観測することに加えて、ヒートシンク温度センサTHSEN1、THSEN2が出力する温度情報が予め設定した温度を超えた場合にログを出力する。
【0046】
実施の形態2にかかる電源装置50では、直流出力電圧VOUTのノイズ等の変動だけでなく、電圧変換に用いられるスイッチング素子等の温度に応じてログを生成する。これにより、実施の形態2にかかる電源装置50では、実施の形態1にかかる電源装置10よりもより広範囲な要因についてのログを取得し、電話システムの不具合解析の精度を向上させることができる。
【0047】
実施の形態3
実施の形態3では、実施の形態1にかかる電源装置10よりも広範囲な不具合の原因を可能とする電源装置の変形例について説明する。そこで、
図8に実施の形態3にかかる電源装置80のブロック図を示す。なお、実施の形態3の説明において、実施の形態1で説明した構成要素については、実施の形態1と同じ符号を付して説明を省略する。
【0048】
図8に示すように、電源装置80は、実施の形態1にかかる電源装置10の交流電源供給線にXキャパシタXC及び電流検出部82を追加したものである。また、電源装置80では、電流検出部82の追加に伴い、電源制御部12のAD変換回路41に電流検出部82から出力される電流情報をデジタル値に変換する機能を追加したAD変換回路83を含む電源制御部81を有する。
【0049】
XキャパシタXCは、交流電源から供給される交流入力電圧が伝達される2つの配線の間に設けられる。XキャパシタXCは、交流入力電圧に含まれるノイズ成分を除去するためのものである。電流検出部82は、XキャパシタXCに流れる電流を検出して、検出した電流値に対応する電流情報を出力する。なお、電流検出部82は、PCBパターンをコイルとして利用することで形成することができる。
【0050】
ここで、交流電源として矩形波を有する信号を出力する無停電装置が接続されることがある。このような交流電源として矩形波が与えられた場合、XキャパシタXCが破壊される可能性がある。これは、矩形波入力があった場合、XキャパシタXCに流れる電流Icが大きくなり、XキャパシタXCが過剰に発熱して破壊される可能性がある。
【0051】
そこで、実施の形態3にかかる電源装置80では、電流検出部82をXキャパシタXCと直列に設けることで、XキャパシタXCに流れる電流Icを検出する。XキャパシタXCは、時間単位に流れる電流Icが大きくなると、内部抵抗における発熱量が大きくなる。この電流Icと、発熱量との間には(1)式の関係がある。
P[j/s]=Ic2×ESR ・・・ (1)
ここで、Pは発熱量であり、ESRは内部抵抗の抵抗値である。
また、電流Icは(2)式〜(4)式を用いて導出できる。
Ic=ΔQ/Δt ・・・ (2)
Q=CV ・・・ (3)
Ic=(C×ΔV)/Δt ・・・・ (4)
ここで、QはXキャパシタXCの容量値であり、VはXキャパシタXCに印加される電圧であり、tは時間である。(4)式より、電流Icは、時間当たりの交流入力電圧の変動の大きさを求めることで導出できることがわかる。
【0052】
そして、電源制御部81の演算部42において、(1)式及び(4)式に基づきXキャパシタXCの内部抵抗の発熱量を演算する。XキャパシタXCの発熱量が想定した外部入力ノイズレベル閾値(例えば、発熱量閾値)よりも大きくなった場合には、電源装置80は、交流電源に異常が発生したと判断してログを生成する。
【0053】
これにより、実施の形態3にかかる電源装置80は、直流出力電圧VOUTのノイズ等の変動からだけでは判断が難しいXキャパシタXCの故障の原因となる交流電源の異常をログに記録することができる。XキャパシタXCが破壊した場合、交流入力電圧のノイズレベルが大きくなり、当該ノイズに起因して通話ノイズが発生することがある。また、故障の原因となる無停電装置が現場検証時に外されていた場合には、XキャパシタXCの故障の原因特定が困難である問題がある。しかし、実施の形態3にかかる電源装置80によれば、XキャパシタXCに流れる電流Icの大きさからこのような交流電源の異常をログから特定することができる。
【0054】
実施の形態4
実施の形態4では、実施の形態1にかかる電源装置10よりも広範囲な不具合の原因を可能とする電源装置の変形例について説明する。そこで、
図9に実施の形態4にかかる電源装置90のブロック図を示す。なお、実施の形態4の説明において、実施の形態1で説明した構成要素については、実施の形態1と同じ符号を付して説明を省略する。
【0055】
図9に示すように、電源装置90は、実施の形態1にかかる電源装置10の交流電源供給線にサージアブソーバVA及び電流検出部82を追加したものである。また、電源装置90では、電流検出部82の追加に伴い、電源制御部12のAD変換回路41に電流検出部82から出力される電流情報をデジタル値に変換する機能を追加したAD変換回路92を含む電源制御部91を有する。
【0056】
サージアブソーバVAは、バリスタを含む回路である。このバリスタは、交流電源に雷サージ等のサージ電流が発生した場合に、サージ電流を交流電源ラインから引き抜くものである。サージアブソーバVAは、交流電源から供給される交流入力電圧が伝達される2つの配線の間に設けられる。電流検出部82は、サージアブソーバVAに流れる電流を検出して、検出した電流値に対応する電流情報を出力する。なお、電流検出部82は、PCBパターンをコイルとして利用することで形成することができる。
【0057】
通常の雷サージが交流電源に印加された場合、そのサージ電流は短時間に十分に大きさとなる。そのため、通常の雷サージに対しては、サージアブソーバVAは問題なく機能する。しかし、通常の雷サージよりも小さなサージ電流が長時間印加されると、サージアブソーバVAに含まれるバリスタが加熱して皮膜に発煙、発火等の問題が生じる可能性がある。このような問題が生じた場合、サージアブソーバVAが破損して、電源品質に問題が生じる場合がある。しかしながら、このような問題が生じた場合、直流出力電圧VOUTのノイズ等の変動から原因を特定することが難しい。
【0058】
そこで、実施の形態4にかかる電源装置90では、電流検出部82をサージアブソーバVAと直列に設けることで、サージアブソーバVAに流れる電流Icを検出する。そして、当該電流Icの値が外部入力ノイズレベル閾値(例えば、ノイズ電流閾値)異常となり、サージアブソーバVAが破損するおそれがあると判断した場合には、その時点での交流電源等の状況をログとして出力する。
【0059】
これにより、実施の形態4にかかる電源装置90は、直流出力電圧VOUTのノイズ等の変動からだけでは判断が難しいサージアブソーバVAの故障の原因となる交流電源の異常をログに記録することができる。サージアブソーバVAが破壊した場合、交流入力電圧のノイズレベルが大きくなり、当該ノイズに起因して通話ノイズが発生することがある。また、故障の原因となる誘導雷サージは現場検証時には発生していないため、サージアブソーバVAの故障の原因特定が困難である問題がある。しかし、実施の形態4にかかる電源装置90によれば、サージアブソーバVAに流れる電流Icの大きさからこのような交流電源の異常をログから特定することができる。
【0060】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。