特許第6209674号(P6209674)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6209674磁気抵抗技術に基づいて磁気パターンの表面磁界を検出する磁気ヘッド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6209674
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】磁気抵抗技術に基づいて磁気パターンの表面磁界を検出する磁気ヘッド
(51)【国際特許分類】
   G01R 33/09 20060101AFI20170925BHJP
   G07D 7/04 20160101ALI20170925BHJP
   G11B 5/39 20060101ALI20170925BHJP
   H01L 43/08 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   G01R33/06 R
   G07D7/04
   G11B5/39
   H01L43/08 Z
【請求項の数】8
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-507980(P2016-507980)
(86)(22)【出願日】2014年3月17日
(65)【公表番号】特表2016-518599(P2016-518599A)
(43)【公表日】2016年6月23日
(86)【国際出願番号】CN2014000280
(87)【国際公開番号】WO2014169698
(87)【国際公開日】20141023
【審査請求日】2015年12月8日
(31)【優先権主張番号】201310131459.0
(32)【優先日】2013年4月16日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515286623
【氏名又は名称】ウーシー レアー テクノロジー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100149032
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 敏明
(72)【発明者】
【氏名】バイ,ジェンミン
【審査官】 續山 浩二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−317218(JP,A)
【文献】 特開平10−019601(JP,A)
【文献】 特開2005−030872(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0233277(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第102576477(CN,A)
【文献】 特開平08−249602(JP,A)
【文献】 特開2012−122983(JP,A)
【文献】 特開2012−128683(JP,A)
【文献】 特開2000−018967(JP,A)
【文献】 特表平08−508105(JP,A)
【文献】 米国特許第05477143(US,A)
【文献】 特開平06−180305(JP,A)
【文献】 特開2007−226674(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 33/09
G07D 7/04
G11B 5/39
H01L 43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム、及びフレームに設けられるPCB板を含む、磁気抵抗技術に基づいて磁気パターンの表面磁界を検査する磁気ヘッドであって:
前記磁気パターンを磁化するための、前記磁気ヘッド表面に平行となる磁界を発生させる、2つの永久磁石を、又は1つの永久磁石と1つの軟磁性材料体とを含む、水平励磁構造;及び
前記水平励磁構造の2つの永久磁石の間、又は1つの永久磁石と1つの軟磁性材料体との間の中間距離に位置する、前記磁気パターンの表面漏洩磁界の垂直成分の分布状況を検出するための、磁気抵抗MR素子による磁界検出部;
を更に含むことを特徴とする、磁気抵抗技術に基づいて磁気パターンの表面磁界を検査する磁気ヘッド。
【請求項2】
前記水平励磁構造は、水平磁化する前後2つの永久磁石が磁化方向に沿って前記磁界検出部の前後位置に載置されることを特徴とする、請求項1に記載の磁気抵抗技術に基づいて磁気パターンの表面磁界を検査する磁気ヘッド。
【請求項3】
前記水平励磁構造は、垂直磁化する前後2つの永久磁石が磁化方向の垂直方向に沿って前記磁界検出部の前後の対称位置の各端に載置されることを特徴とする、請求項1に記載の磁気抵抗技術に基づいて磁気パターンの表面磁界を検査する磁気ヘッド。
【請求項4】
前記磁界検出部は、複数の磁気抵抗MR素子からなるホイートストンブリッジ型構造であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の磁気抵抗技術に基づいて磁気パターンの表面磁界を検査する磁気ヘッド。
【請求項5】
前記ホイートストンブリッジ型構造は、ホイートストンフルブリッジ構造又はホイートストンハーフブリッジ構造であることを特徴とする、請求項に記載の磁気抵抗技術に基づいて磁気パターンの表面磁界を検査する磁気ヘッド。
【請求項6】
前記ホイートストンブリッジ型構造がホイートストンフルブリッジ構造である場合、2つの前記磁気抵抗MR素子は磁気ヘッドの表面に近接し、他の2つの前記磁気抵抗MR素子は磁気ヘッドの表面から離れ、前記ホイートストンブリッジ型構造がホイートストンハーフブリッジ構造である場合、1つの前記磁気抵抗MR素子は磁気ヘッドの表面に近接し、他の1つの前記磁気抵抗MR素子は磁気ヘッドの表面から離れることを特徴とする、請求項に記載の磁気抵抗技術に基づいて磁気パターンの表面磁界を検査する磁気ヘッド。
【請求項7】
前記磁気抵抗MR素子の感応方向は、前記磁気ヘッドの表面の垂直方向と一致することを特徴とする、請求項に記載の磁気抵抗技術に基づいて磁気パターンの表面磁界を検査する磁気ヘッド。
【請求項8】
前記磁気抵抗MR素子は、異方性磁気抵抗AMR素子、巨大磁気抵抗GMR素子又はトンネル磁気抵抗TMR素子のうちの少なくとも1種であることを特徴とする、請求項に記載の磁気抵抗技術に基づいて磁気パターンの表面磁界を検査する磁気ヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気抵抗技術に基づいて磁気パターンの表面磁界を検査する磁気ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
紙幣の磁気偽造防止分野において、現在、市場ではオーディオ磁気ヘッド技術、磁気抵抗磁気ヘッド技術、及び巨大磁気抵抗効果技術が主に使用され、手形の偽造防止分野では、オーディオ磁気ヘッドが主に使用されている。
【0003】
オーディオ磁気ヘッド技術は、パーマロイなどの軟磁性材料を使用し、1つの隙間を有する環状構造を製造し、環状構造にコイルを巻きつけるものである。該環状構造のエアギャップが磁気パターンの表面を高速に通過するとき、ファラデーの電磁誘導の法則に基づき、コイル内部に誘導電流が生じる。誘導電流の変化を検出することで、磁気パターンの表面磁界の変化を得るものである。該技術には、以下の主な短所がある。1.硬磁性材料の検出に適した表面漏洩磁界は、軟磁性材料を検出するとき、外部励磁磁界を供する必要がある。ここで該外部励磁磁界は、該磁気ヘッドの感度に大きく影響する。2.マルチ磁気ヘッドを製造する場合、各磁気ヘッドの感度の同一性を保証することが非常に難しく、生産の歩留まり率を低下させ、製品の生産コストを増加させる。3.該磁気ヘッドは、抗外部磁界干渉能力が低いため、複雑な作業環境では、各種の干渉源に対して必要な遮蔽処理を行うことが要求され、続いて製造される応用製品のコストを増加させ、一方で、続いて製造される応用製品の設計難度も高める。4.信号の出力振幅と磁気ヘッドの被検出磁気パターンに対する相対速度とが関連しており、信号の定量分析に対する難度が高くなる。5.一定の磁界が確実に存在するが、空間における磁界の差異が大きくない場合、実測による磁気ヘッドの出力が小さく、磁気情報の検出漏れを発生させる可能性がある。
【0004】
磁気抵抗磁気ヘッド技術は、InSbなどの磁気抵抗材料を使用し、2つの磁気抵抗、電気抵抗により1つのホイートストンハーフブリッジを組み合わせ、2つの磁気抵抗には、平面において空間上の位置の差があり、2つの磁気抵抗における磁界の相違を検出することにより磁気パターン表面の磁界勾配を検出するものである。該技術には、以下の主な短所がある。1.該技術には、素子の垂直方向に1つのバイアス磁界を追加することで、初めて、磁気抵抗が働くこととなる。同時に、軟磁性パターンを垂直磁化する必要があるが、必要な磁界が一般的に大きい。該磁界の発生は、非常に強い磁性を持つ永久磁石で発生させて磁性の減衰を抑えることが必要であるが、磁性の減衰の必然性のため、磁気抵抗の感度が変化する可能性がある。つまり測定時間の経過により、磁気ヘッドの感度が変化する。2.磁気抵抗素子の感度が低く、一般的に0.2mV/V/Gs〜1mV/V/Gの範囲であるため、弱磁界を測定する場合(紙幣上の軟磁性情報の磁界強度はいずれも一般的に低い)、測定後の、信号処理回路の拡大倍率を非常に高くする必要がある。3.磁気抵抗素子のノイズが大きく、弱磁界の信号を検出するとき、比較的に複雑な周波数ロック拡大技術を必要とし、また検出される磁界信号の周波数はある程度制限される。4.ハーフブリッジ構造を採用し、電源変動及び外部カップリング信号に対する抗干渉能力に限度があるため、複雑な作業環境では、各種の干渉源に対して必要な遮蔽処理を行う必要があり、続いて製造される応用製品のコストを増加させ、一方で続いて製造される応用製品の設計難度を高める。5.マルチ磁気ヘッドのデザインである場合、各磁気ヘッドの感度の同一性を保証することが非常に難しく、生産の歩留まり率を低下させ、製品の生産コストを増加させる。6.グラジオメターの設計を採用し、磁界の垂直成分の空間的勾配のみを識別し、磁界の実際の分布を直感的に測定することができず、一定の磁界が確実に存在するが空間における磁界の差異が大きくない場合には、実測による磁気ヘッドの出力が小さく、磁気情報の検出漏れを発生させる可能性がある。
【0005】
巨大磁気抵抗効果(GMR)技術は、薄膜プロセスにより製造され、感度方向が薄膜面内にあるものである。該技術の磁気ヘッドによる実現には主に2種の方式がある。1つは、基板に2つのGMR電気抵抗を製造し、この2つのGMR電気抵抗の感度方向は一致しても、逆になってもよく、この2つのGMR電気抵抗をホイートストンハーフブリッジの形態に接続する。もう1つは、2つのGMR電気抵抗が載置される平面と、検出される磁気パターンが位置する平面とが平行であると共に、2つのGMR電気抵抗が載置される相対位置は、磁気パターンが進行する方向に平行となってもよく、磁気パターンが進行する方向に垂直となってもよい。この2種の方式は、いずれも磁気パターンの表面漏洩磁気の面内成分の、面内の2つのGMR電気抵抗配列方向における勾配値を検出するものである。該技術の長所は、薄膜プロセスを採用したことにより、容易に製品の生産同一性を保証することである。該技術の短所は以下である。1.勾配検出方式を採用したため、磁界の実際の分布を直接測定することができず、一定の磁界が確実に存在するが空間における磁界の差異が大きくない場合、磁気ヘッドの実際出力が小さく、磁気情報の検出漏れを発生させる可能性がある。2.ハーフブリッジ構造を採用したため、電源変動及び外部カップリング信号に対する抗干渉能力に限度があるため、複雑な作業環境では、各種の干渉源に対して必要な遮蔽処理を行う必要があり、続いて製造される応用製品のコストを増加させ、一方で続いて製造される応用製品の設計難度も高める。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来の技術に存在する欠陥に対して、磁界の垂直成分の実際の大きさを精密に測定することができる、磁気抵抗技術に基づいて軟磁性パターンを検出する磁気ヘッドを提供することを目的とし、これは、磁気パターンの表面漏洩磁気の定量分析の可能性を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を実現するために、以下の技術方案を採用する。磁気抵抗技術に基づいて磁気パターンの表面磁界を検査する磁気ヘッドは、フレーム、及びフレームに設けられるPCB板を含み、磁気ヘッドの表面に平行となる磁界を発生させるための水平励磁構造と、磁気パターンの表面漏洩磁界の垂直成分の分布状況を検出するための、磁気抵抗MR素子による磁界検出部とを更に含む。
【0008】
更に、前記水平励磁構造は、水平磁化する前後2つの永久磁石が磁化方向に沿って前記磁界検出部の前後位置に載置される。
【0009】
更に、前記水平励磁構造は、垂直磁化する前後2つの永久磁石が磁化方向の垂直方向に沿って前記磁界検出部の前後の対称位置の各端に載置される。
【0010】
更に、前記水平励磁構造は、水平磁化する1つの永久磁石が前記磁界検出部の前端/後端に載置され、他の1つの軟磁性材料体が前記磁界検出部の後端/前端位置に載置される。
【0011】
更に、前記磁界検出部は、複数の磁気抵抗MR素子からなるホイートストンブリッジ型構造である。
【0012】
更に、前記ホイートストンブリッジ型構造は、ホイートストンフルブリッジ構造又はホイートストンハーフブリッジ構造である。
【0013】
更に、前記ホイートストンブリッジ型構造がホイートストンフルブリッジ構造である場合、2つの磁気抵抗MR素子は磁気ヘッドの表面に近接し、他の2つの磁気抵抗MR素子は磁気ヘッドの表面から離れ、前記ホイートストンブリッジ型構造がホイートストンハーフブリッジ構造である場合、1つの磁気抵抗MR素子は磁気ヘッドの表面に近接し、他の1つの磁気抵抗MR素子は磁気ヘッドの表面から離れる。
【0014】
更に、前記磁気抵抗MR素子の感応方向は、磁気ヘッドの表面の垂直方向と一致する。
【0015】
更に、前記磁気抵抗MR素子は、異方性磁気抵抗AMR素子、巨大磁気抵抗GMR素子又はトンネル磁気抵抗TMR素子のうちの少なくとも1種である。
【発明の効果】
【0016】
(1)本発明は、磁気抵抗技術を採用し、極めて高い磁界感度を有し、測定後の信号処理回路による処理が比較的簡単になるようにする。水平励磁方式を採用し、検出する位置に励磁磁界を直接追加することが可能であり、磁気パターンが微視的にはシート状であるため、その磁性磁化容易軸が、水平方向において必要な励磁磁界が小さいため、該磁界の発生に必要な永久磁石が安いフェライト材料であってもよく、生産コストを効果的に低下させると共に、励磁磁界の熱安定性を高める。
【0017】
(2)本発明は、軟磁性材料からなる磁気パターンを効果的に検出することが可能である。水平励磁構造により軟磁性材料を面内磁化し、磁気パターン表面に特定の漏洩磁界を発生させ、垂直方向検出用MR素子からなるホイートストンブリッジ回路構造は、該構造が磁気パターンの表面漏洩磁気の垂直成分の大きさを効果的に検出することができ、磁気パターンの表面漏洩磁界の実情況を実反映するため、軟磁性材料からなる磁気パターンの特徴を効果的に検出することができ、磁気パターンの表面漏洩磁気の定量分析のための可能性を提供する。漏洩磁界が確実に存在するが磁界の面内における空間的勾配が小さい場合、既存磁気ヘッドが検出漏洩を発生させる情況を阻止する。
【0018】
(3)本発明は、ホイートストンフルブリッジ構造を採用し、4つの磁気抵抗の感度方向が同じであるため、非常に優れた抗外部電磁界干渉能力を有する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明の第1種類の励磁構造の模式図である。
図2図2は、本発明の第2種類の励磁構造の模式図である。
図3図3は、本発明の第3種類の励磁構造の模式図である。
図4図4は、本発明のホイートストンブリッジ型構造の模式図である。
図5図5は、本発明におけるホイートストンブリッジ型構造の3種のブリッジ回路の接続模式図である。
図6図6は、本発明の磁界の分布グラフである。
図7図7は、本発明の磁気抵抗MR素子が磁界に位置する分布グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1図3に示すように、磁気抵抗技術に基づいて磁気パターンの表面磁界を検査する磁気ヘッドは、フレーム1、及びフレームに設けられるPCB板5を含み、磁気ヘッドの表面に平行となる磁界を発生させるための水平励磁構造と、磁気パターンの表面漏洩磁界の垂直成分の分布状況を検出するための、磁気抵抗MR素子による磁界検出部とを更に含み、ここで、該磁界は、軟磁性材料からなる磁気パターンを磁化することができ、該磁気パターンが磁化された後、その表面に特定の漏洩磁界分布が生じ、該磁界の数値は、磁気パターンの表面からの距離の増加に従って急激に低下する。
【0021】
該励磁構造は多様な実施態様があってもよい。図1において、前記励磁構造は、水平磁化する前後2つの永久磁石20、21が磁化方向に沿って前記磁界検出部4の前後位置に載置される。
【0022】
図2において、前記励磁構造は、垂直磁化する前後2つの永久磁石20、21が磁化方向の垂直方向に沿って前記磁界検出部4の前後の対称位置の各端に載置される。
【0023】
図3において、前記励磁構造は、水平磁化する1つの永久磁石21が前記磁界検出部4の前端/後端に載置され、他の1つの軟磁性材料体7が前記磁界検出部4の後端/前端位置に載置される。その他、水平方向の励磁磁界を得る方法が多種ある。
【0024】
図4に示すように、磁界検出部は、複数の磁気抵抗MR素子からなるホイートストンブリッジ型構造である。前記磁気抵抗MR素子の感応方向は磁気ヘッドの表面の垂直方向と一致する。前記磁気抵抗MR素子は、異方性磁気抵抗AMR素子、巨大磁気抵抗GMR素子又はトンネル磁気抵抗TMR素子のうちの少なくとも1種である。前記ホイートストンブリッジ型構造がホイートストンフルブリッジ構造である場合、2つの磁気抵抗MR素子は磁気ヘッドの表面に近接し、他の2つの磁気抵抗MR素子は磁気ヘッドの表面から離れ、前記ホイートストンブリッジ型構造がホイートストンハーフブリッジ構造である場合、1つの磁気抵抗MR素子は磁気ヘッドの表面に近接し、他の1つの磁気抵抗MR素子は磁気ヘッドの表面から離れる。
【0025】
図5は具体的な実施態様である。1つの磁気抵抗R1/R2(ハーフブリッジの場合)又は2つの磁気抵抗R1とR2(フルブリッジの場合)が磁気ヘッドの表面に近接し、他の1つの磁気抵抗R3/R4(ハーフブリッジの場合)又は2つの磁気抵抗R3とR4(フルブリッジの場合)が磁気ヘッドの表面から離れる。これら磁気抵抗MR素子は、ホイートストンフルブリッジ又はホイートストンハーフブリッジの構造により接続される(図5のa、b、cの3種類のブリッジ回路の接続方法を参照)。磁気ヘッドの表面に近接する磁気抵抗が感じる磁界振幅が、磁気ヘッドの表面から離れた磁気抵抗が感じる磁界振幅より遥かに大きく、後方の磁界はゼロに近いため、該磁界検出部4は、磁気パターンの表面磁界の垂直成分の実際の分布状況を検出することができる。
【0026】
図6に示すように、磁気抵抗MR素子の電気抵抗は外部磁界の変化曲線に従って2種のタイプがある。1種は、外部磁界が飽和磁界より小さいとき、磁気抵抗MR素子の電気抵抗が外部磁界に従ってリニアに変化する。これを「リニア磁気抵抗MR素子」と称する。他の1種は、外部磁界が飽和磁界より小さいとき、磁気抵抗MR素子の電気抵抗は外部磁界の変化に従って曲線が逆「V」型曲線となる。これを「V型磁気抵抗MR素子」と称する。磁石と磁気抵抗MR素子との相対位置の誤差及び磁石の加工誤差などの要素の影響のため、磁気抵抗MR素子の感度方向において一定の大きさの磁界がある可能性があるが、該磁界はいずれもMR素子の作業域内に制御される。リニア磁気抵抗MR素子は、永久磁石を使用して磁気抵抗MR素子の対称位置に配置され、磁気抵抗MR素子の作業域をゼロ磁界に近接させ(磁界の分布グラフ、図6(a)を参照)、V型磁気抵抗MR素子は、永久磁石の磁気抵抗MR素子の位置に対する非対称性を適切に調整し、磁気抵抗MRの作業域を調整して正磁界域あるいは負磁界域に位置させる(磁界の分布グラフ、図6(b)を参照)。
【0027】
図7には、磁気抵抗MR素子の磁界における2種類の成分の分布が示され、図7aは、リニア磁気MR素子が磁界中に位置する分布情況であり、7bは、V型磁気抵抗MR素子が磁界中に位置する分布情況である。
【0028】
以上に述べた内容は、本発明の好ましい実施態様に過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明の精神及び原則内になされたあらゆる修正、均等置換、改良等は、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7