特許第6209684号(P6209684)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6209684
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】状況に応じた音声チューニング
(51)【国際特許分類】
   H04S 7/00 20060101AFI20170925BHJP
   H04R 3/12 20060101ALI20170925BHJP
   G10K 15/00 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   H04S7/00 320
   H04R3/12
   G10K15/00 M
【請求項の数】19
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-543688(P2016-543688)
(86)(22)【出願日】2014年12月23日
(65)【公表番号】特表2017-509186(P2017-509186A)
(43)【公表日】2017年3月30日
(86)【国際出願番号】US2014072039
(87)【国際公開番号】WO2015103019
(87)【国際公開日】20150709
【審査請求日】2016年6月29日
(31)【優先権主張番号】14/146,158
(32)【優先日】2014年1月2日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592051453
【氏名又は名称】ハーマン インターナショナル インダストリーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ハンピホリ, バッラバ バサント
(72)【発明者】
【氏名】ガナパテイ, ギリシャ
【審査官】 岩田 淳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−167875(JP,A)
【文献】 特開2001−037000(JP,A)
【文献】 特開2006−196941(JP,A)
【文献】 特開2000−197199(JP,A)
【文献】 特開2005−236791(JP,A)
【文献】 特開2001−309498(JP,A)
【文献】 特開2003−274482(JP,A)
【文献】 特開2007−001507(JP,A)
【文献】 特開2010−034755(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 9/00−11/06
16/00−17/02
G10K 15/00−15/12
H04R 1/20− 1/40
3/00− 3/14
H04S 1/00− 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両環境内の少なくとも1つの聴取位置に合わせて音響的に最適化した音場を選択する方法であって、前記音場は、第1ラウドスピーカと、少なくとも1つの第2ラウドスピーカと、を含むラウドスピーカグループによりチューニングプロファイルに関連する音声設定に従って生成され、前記方法は、
1次チューニングプロファイルをオーディオシステム入力に応じて選択することであって、前記1次チューニングプロファイルが第1音声設定集合を含む、ことと、
1つよりも多くの聴取位置に合わせて最適化した第1音場を生成するために、主音声信号を前記ラウドスピーカグループに前記1次チューニングプロファイルに従って送信することであって、前記主音声信号は、前記1次チューニングプロファイルに関連する前記第1音声設定集合に従って処理される、ことと、
副音声信号を表わす入力を受信することと、
前記1つよりも多くの聴取位置のうちの1つに合わせて最適化した第2音場を生成するために、前記副音声信号が前記主音声信号よりも高い優先度を有する場合に、前記副音声信号を前記ラウドスピーカグループに2次チューニングプロファイルに従って送信することであって、前記副音声信号は、前記2次チューニングプロファイルに関連する2次音声設定集合に従って処理される、ことと、を含み、前記2次チューニングプロファイルは、少なくとも前記副音声信号のコンテンツに応じて選択され、前記2次音声設定集合は前記第1音声設定集合とは異なる、方法。
【請求項2】
前記副音声信号を送信している間の前記ラウドスピーカグループへの前記主音声信号の送信を中断することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記主音声信号を、前記副音声信号を前記ラウドスピーカグループに送信している状態で減衰させることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記主音声信号は娯楽音声信号である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
1次チューニングプロファイルをオーディオシステム入力に応じて選択することは、前記1次チューニングプロファイルの選択を表わすユーザ入力を受信することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記2次チューニングプロファイルが更に、前記副音声信号のコンテンツソースに応じて選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記副音声信号は、ナビゲーションシステムから受信する催促ナビゲーションである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記副音声信号は、車両システムコントローラから受信する車両システム警告信号である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記副音声信号は、交通情報システムから受信する交通警告である、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記副音声信号は、接続先モバイル機器から受信するテキストメッセージまたは電子メールメッセージに対応するテキスト−スピーチ信号である、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
車両環境内の少なくとも1つの聴取位置に合わせて音響的に最適化した音場を提供する音声チューニングプロファイルを選択するシステムであって、前記音場は、第1ラウドスピーカと、少なくとも1つの第2ラウドスピーカと、を含むラウドスピーカグループにより前記音声チューニングプロファイルに従って生成され、前記システムは、
音声信号を複数の音源から送信するように構成される信号源ユニットであって、前記音声信号が、主音声信号と、少なくとも1つの副音声信号と、を含む、信号源ユニットと、
信号処理ユニットと、を備え、前記信号処理ユニットは、
前記主音声信号を前記信号源ユニットから受信して、1つよりも多くの聴取位置に合わせて最適化した第1音場を生成するために、前記主音声信号を前記ラウドスピーカグループに1次チューニングプロファイルに従って送信することと、
前記副音声信号が前記主音声信号よりも高い優先度を有する場合に、前記副音声信号を前記信号源ユニットから受信し、2次チューニングプロファイルを前記副音声信号のコンテンツに応じて選択し、前記1つよりも多くの聴取位置のうちの1つに合わせて最適化した第2音場を生成するために、前記副音声信号を前記ラウドスピーカグループに前記2次チューニングプロファイルに従って送信することと
を実行するように構成され、
前記信号処理ユニットは、前記1次チューニングプロファイルに関連する第1音声設定集合、及び前記2次チューニングプロファイルに関連する第2音声設定集合を少なくとも含むメモリユニットを含み、前記第2音声設定集合は前記第1音声設定集合とは異なる、システム。
【請求項12】
前記信号処理ユニットは、アンプと一体に構成される、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記信号処理ユニットは更に、音声後処理モジュールを含み、前記音声後処理モジュールは、前記第1音声設定集合を前記主音声信号に適用し、前記第2音声設定集合を前記副音声信号に適用する、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記主音声信号は、前記副音声信号を送信している間に一時的に中断される、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記主音声信号は、前記副音声信号を送信している間に減衰させる、請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
前記主音声信号は娯楽音声信号である、請求項11に記載のシステム。
【請求項17】
前記副音声信号は、車両用警告信号または車両用催促信号である、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記副音声信号は、接続先モバイル機器から受信するテキストメッセージまたは電子メールメッセージに対応するテキスト−スピーチ信号である、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
音声データ信号を信号源ユニットから受信するように構成されるストリーミングインターフェースであって、前記音声データ信号が複数の音源から流れる、ストリーミングインターフェースと、
前記信号源ユニットからの前記音声データ信号に対応する音声コマンド信号を受信するように構成されるコマンドインターフェースであって、前記音声コマンド信号が音声チューニングプロファイルコマンドを含む、コマンドインターフェースと、
複数の音声チューニングプロファイルを格納するように構成されるメモリユニットであって、各音声チューニングプロファイルが、車両環境内の少なくとも1つの聴取位置に合わせて音響的に最適化した音場を生成する音声設定を含み、前記メモリユニットが、1次チューニングプロファイルに関連する第1音声設定集合、及び2次チューニングプロファイルに関連する第2音声設定集合を少なくとも有し、前記第2音声設定集合が前記第1音声設定集合とは異なる、メモリユニットと、
音声後処理モジュールと、を備え、前記音声後処理モジュールは、前記音声データ信号及び対応する音声コマンド信号を受信し、音声チューニングプロファイルを前記複数の音声チューニングプロファイルから、前記音声チューニングプロファイルコマンドに応じて取り出し、前記音声データ信号を、前記音声チューニングプロファイルに関連する前記音声設定に従って処理し、前記処理後の音声データ信号を、第1ラウドスピーカと、少なくとも1つの第2ラウドスピーカと、を含むラウドスピーカグループに送信して、前記音声チューニングプロファイルに関連する音響的に最適化した音場を、前記音声データ信号のコンテンツに応じて生成するように構成され
前記ラウドスピーカグループへの前記処理後の音声データ信号の送信は、
1つよりも多くの聴取位置に合わせて最適化した第1音場を生成するために、主音声信号を前記ラウドスピーカグループに前記1次チューニングプロファイルに従って送信することと、
前記1つよりも多くの聴取位置のうちの1つに合わせて最適化した第2音場を生成するために、副音声信号が前記主音声信号よりも高い優先度を有する場合に、前記副音声信号を前記ラウドスピーカグループに前記2次チューニングプロファイルに従って送信することと
を含む、音声信号処理増幅器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、音声チューニングプロファイルを音声信号のコンテンツまたはソースに応じて選択するシステム、装置、及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の内部の聴取環境は、非常に多くの複雑さを伴って、音声再生の品質低下を招いている。車両聴取環境内へのラウドスピーカの設置は、最適には行なわれていない場合が多い。車両聴取環境は、非常に密閉された環境であり、ラウドスピーカは、聴者に極めて近接して配置される。ラウドスピーカは、様々な周波数応答範囲を持つ傾向にある。各ラウドスピーカを聴者までの同じ距離の位置に、聴者が前部座席及び後部座席に座っているかどうかを考慮に入れ、かつこれらの聴者が車両ドアに近接していることを考慮に入れて配置することは難しい。更に、車内は、基本的に不規則な形状であり、かつ音声を吸収するか、または反射して、特定の周波数を抑圧して他の周波数を増幅してしまうような材料が装填されている。これらの複雑さ、及び他の複雑さを解消するために、カーオーディオシステムを調整して、車両聴取環境内の音響室を最適化する場合が多い。カー音声チューニングでは、オーディオの周波数特性を、イコライザ、クロスオーバー、及び/またはサウンドプロセッサを使用して操作することにより、音響的に最適化した音場を実現する。車両製造業者は普通、カーステレオを、運転者の座席である場合が殆どである特定の座席位置に合うようにチューニングして、他の座席位置の聴者が完全なオーディオ体験を楽しむことができないようにしている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示の1つ以上の実施形態は、車両環境内の少なくとも1つの聴取位置に合わせて音響的に最適化した音場を選択する方法に関するものである。音場は、ラウドスピーカグループにより、チューニングプロファイルに関連する音声設定に従って生成される。ラウドスピーカグループは、第1ラウドスピーカと、少なくとも1つの第2ラウドスピーカと、を含むことができる。方法は、1次チューニングプロファイルをオーディオシステム入力に応じて選択することと、主音声信号をラウドスピーカグループに1次チューニングプロファイルに従って送信することと、を含むことができる。方法は更に、副音声信号を表わす入力を受信することと、副音声信号が主音声信号よりも高い優先度を有する場合に、副音声信号をラウドスピーカグループに2次チューニングプロファイルに従って送信することと、を含むことができる。2次チューニングプロファイルは、少なくとも副音声信号のコンテンツに応じて選択され得る。
【0004】
ラウドスピーカグループへの主音声信号の送信は、副音声信号を送信している間に中断することができる。別の構成として、主音声信号は、副音声信号をラウドスピーカグループに送信している状態で減衰させることができる。主音声信号は娯楽音声信号とすることができる。更に、1次チューニングプロファイルは、ユーザから受信する選択入力に応じて選択することができる。
【0005】
2次チューニングプロファイルは更に、副音声信号のコンテンツソースに応じて選択される。更に、副音声信号は、ナビゲーションシステムから受信する催促ナビゲーション、車両システムコントローラから受信する車両システム警告信号、交通情報システムから受信する交通警告、または接続先モバイル機器から受信するテキストメッセージまたは電子メールメッセージに対応するテキスト−スピーチ信号とすることができる。
【0006】
本開示の1つ以上の更に別の実施形態は、車両環境内の少なくとも1つの聴取位置に合わせて音響的に最適化した音場を実現する音声チューニングプロファイルを選択するシステムに関するものである。音場は、第1ラウドスピーカと、少なくとも1つの第2ラウドスピーカと、を含むラウドスピーカグループにより音声チューニングプロファイルに従って生成され得る。システムは、音声信号を複数の音源から送信するように構成される信号源ユニットを含むことができる。音声信号は、主音声信号と、少なくとも1つの副音声信号と、を含むことができる。システムは更に、信号処理ユニットを含むことができ、信号処理ユニットは、主音声信号を信号源ユニットから受信して、主音声信号をラウドスピーカグループに1次チューニングプロファイルに従って送信するように構成される。信号処理ユニットは更に、副音声信号が主音声信号よりも高い優先度を有する場合に、副音声信号を信号源ユニットから受信するように構成することができる。信号処理ユニットは更に、2次チューニングプロファイルを副音声信号のコンテンツに応じて選択し、副音声信号をラウドスピーカグループに2次チューニングプロファイルに従って送信するように構成することができる。
【0007】
信号処理ユニットは、アンプと一体に構成することができる。 信号処理ユニットは更に、1次チューニングプロファイルに関連する第1音声設定集合、及び2次チューニングプロファイルに関連する第2音声設定集合を少なくとも有するメモリユニットを含むことができる。第2音声設定集合は第1音声設定集合とは異なる。信号処理ユニットは更に、音声後処理モジュールを含むことができ、音声後処理モジュールは、第1音声設定集合を主音声信号に適用し、第2音声設定集合を副音声信号に適用する。
【0008】
主音声信号は、副音声信号を送信している間に一時的に中断することができる。別の構成として、主音声信号は、副音声信号を送信している間に減衰させることができる。主音声信号は娯楽音声信号とすることができる。更に、副音声信号は、車両用警告信号または車両用催促信号とすることができる。副音声信号は更に、接続先モバイル機器から受信するテキストメッセージまたは電子メールメッセージに対応するテキスト−スピーチ信号とすることができる。
【0009】
本開示の1つ以上の更に別の実施形態は、音声信号処理増幅器に関するものである。音声信号処理増幅器は、音声データ信号を信号源ユニットから受信するように構成されるストリーミングインターフェースを含むことができる。音声信号は複数の音源から流れ得る。音声信号処理増幅器は更に、信号源ユニットからの音声データ信号に対応する音声コマンド信号を受信するように構成されるコマンドインターフェースを含むことができる。音声コマンド信号は音声チューニングプロファイルコマンドを含むことができる。音声信号処理増幅器は更に、複数の音声チューニングプロファイルを格納するように構成されるメモリユニットを含むことができる。各音声チューニングプロファイルは、車両環境内の少なくとも1つの聴取位置に合わせて音響的に最適化した音場を生成する音声設定を含むことができる。
【0010】
更に、音声信号処理増幅器は、音声後処理モジュールを含むことができ、音声後処理モジュールは、音声データ信号及び対応する音声コマンド信号を受信し、音声チューニングプロファイルを複数の音声チューニングプロファイルから、音声チューニングプロファイルコマンドに応じて取り出すように構成される。音声後処理モジュールは更に、音声データ信号を、音声チューニングプロファイルに関連する音声設定に従って処理し、そして処理後の音声データ信号をラウドスピーカグループに送信するように構成することができる。ラウドスピーカグループは、第1ラウドスピーカと、少なくとも1つの第2ラウドスピーカと、を含むことができる。処理後の音声データ信号をラウドスピーカグループに送信することにより、音声チューニングプロファイルに関連する音響的に最適化した音場を、音声データ信号のコンテンツに応じて生成することができる。
例えば、本願発明は、以下の項目を提供する。
(項目1)
車両環境内の少なくとも1つの聴取位置に合わせて音響的に最適化した音場を選択する方法であって、前記音場は、第1ラウドスピーカと、少なくとも1つの第2ラウドスピーカと、を含むラウドスピーカグループによりチューニングプロファイルに関連する音声設定に従って生成され、前記方法は、
1次チューニングプロファイルをオーディオシステム入力に応じて選択することと、
主音声信号を前記ラウドスピーカグループに前記1次チューニングプロファイルに従って送信することと、
副音声信号を表わす入力を受信することと、
前記副音声信号が前記主音声信号よりも高い優先度を有する場合に、前記副音声信号を前記ラウドスピーカグループに2次チューニングプロファイルに従って送信することと、を含み、前記2次チューニングプロファイルは、少なくとも前記副音声信号のコンテンツに応じて選択される、方法。
(項目2)
前記副音声信号を送信している間の前記ラウドスピーカグループへの前記主音声信号の送信を中断することを更に含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記主音声信号を、前記副音声信号を前記ラウドスピーカグループに送信している状態で減衰させることを更に含む、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記主音声信号は娯楽音声信号である、項目1に記載の方法。
(項目5)
1次チューニングプロファイルをオーディオシステム入力に応じて選択することは、前記1次チューニングプロファイルの選択を表わすユーザ入力を受信することを含む、項目1に記載の方法。
(項目6)
前記2次チューニングプロファイルが更に、前記副音声信号のコンテンツソースに応じて選択される、項目1に記載の方法。
(項目7)
前記副音声信号は、ナビゲーションシステムから受信する催促ナビゲーションである、項目1に記載の方法。
(項目8)
前記副音声信号は、車両システムコントローラから受信する車両システム警告信号である、項目7に記載の方法。
(項目9)
前記副音声信号は、交通情報システムから受信する交通警告である、項目7に記載の方法。
(項目10)
前記副音声信号は、接続先モバイル機器から受信するテキストメッセージまたは電子メールメッセージに対応するテキスト−スピーチ信号である、項目7に記載の方法。
(項目11)
車両環境内の少なくとも1つの聴取位置に合わせて音響的に最適化した音場を実現する音声チューニングプロファイルを選択するシステムであって、前記音場は、第1ラウドスピーカと、少なくとも1つの第2ラウドスピーカと、を含むラウドスピーカグループにより前記音声チューニングプロファイルに従って生成され、前記システムは、
音声信号を複数の音源から送信するように構成される信号源ユニットであって、前記音声信号が、主音声信号と、少なくとも1つの副音声信号と、を含む、前記信号源ユニットと、
信号処理ユニットと、を備え、前記信号処理ユニットは、
前記主音声信号を前記信号源ユニットから受信して、前記主音声信号を前記ラウドスピーカグループに1次チューニングプロファイルに従って送信し、そして
前記副音声信号が前記主音声信号よりも高い優先度を有する場合に、前記副音声信号を前記信号源ユニットから受信し、2次チューニングプロファイルを前記副音声信号のコンテンツに応じて選択し、前記副音声信号を前記ラウドスピーカグループに前記2次チューニングプロファイルに従って送信するように構成される、システム。
(項目12)
前記信号処理ユニットは、アンプと一体に構成される、項目11に記載のシステム。
(項目13)
前記信号処理ユニットは、前記1次チューニングプロファイルに関連する第1音声設定集合と、前記2次チューニングプロファイルに関連する第2音声設定集合と、を少なくとも有するメモリユニットを含み、前記第2音声設定集合は前記第1音声設定集合とは異なる、項目11に記載のシステム。
(項目14)
前記信号処理ユニットは更に、音声後処理モジュールを含み、前記音声後処理モジュールは、前記第1音声設定集合を前記主音声信号に適用し、前記第2音声設定集合を前記副音声信号に適用する、項目13に記載のシステム。
(項目15)
前記主音声信号は、前記副音声信号を送信している間に一時的に中断される、項目11に記載のシステム。
(項目16)
前記主音声信号は、前記副音声信号を送信している間に減衰させる、項目11に記載のシステム。
(項目17)
前記主音声信号は娯楽音声信号である、項目11に記載のシステム。
(項目18)
前記副音声信号は、車両用警告信号または車両用催促信号である、項目17に記載のシステム。
(項目19)
前記副音声信号は、接続先モバイル機器から受信するテキストメッセージまたは電子メールメッセージに対応するテキスト−スピーチ信号である、項目17に記載のシステム。
(項目20)
音声データ信号を信号源ユニットから受信するように構成されるストリーミングインターフェースであって、前記音声信号が複数の音源から流れる、前記ストリーミングインターフェースと、
前記信号源ユニットからの前記音声信号に対応する音声コマンド信号を受信するように構成されるコマンドインターフェースであって、前記音声コマンド信号が音声チューニングプロファイルコマンドを含む、前記コマンドインターフェースと、
複数の音声チューニングプロファイルを格納するように構成されるメモリユニットであって、各音声チューニングプロファイルが、車両環境内の少なくとも1つの聴取位置に合わせて音響的に最適化した音場を生成する音声設定を含む、前記メモリユニットと、
音声後処理モジュールと、を備え、前記音声後処理モジュールは、前記音声データ信号及び対応する音声コマンド信号を受信し、音声チューニングプロファイルを前記複数の音声チューニングプロファイルから、前記音声チューニングプロファイルコマンドに応じて取り出し、前記音声データ信号を、前記音声チューニングプロファイルに関連する前記音声設定に従って処理し、そして前記処理後の音声データ信号を、第1ラウドスピーカと、少なくとも1つの第2ラウドスピーカと、を含むラウドスピーカグループに送信して、前記音声チューニングプロファイルに関連する音響的に最適化した音場を、前記音声データ信号のコンテンツに応じて生成するように構成される、音声信号処理増幅器。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の1つ以上の実施形態によるオーディオシステムの例示的な簡易ブロック図である。
図2】本開示の1つ以上の実施形態による信号処理ユニットの例示的な簡易ブロック図である。
図3】本開示の1つ以上の実施形態による車両の例示的な音声チューニングプロファイルを示している。
図4】本開示の1つ以上の実施形態による車両の別の例示的な音声チューニングプロファイルを示している。
図5】本開示の1つ以上の実施形態による車両環境内の少なくとも1つの聴取位置に合わせて音響的に最適化した音場を選択する方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の詳細な説明では、本明細書の一部を構成する添付の図面を参照する。これらの図面では、同様の記号は通常、文脈から明らかに異なる意味に解されぬ限りにおいて、同様の構成要素を指している。詳細な説明、図面、及び特許請求の範囲に記載されている例示的な実施形態は、本発明を限定するものと解釈されてはならない。他の実施形態を利用することもでき、他の変更を、本明細書において提示される主題の趣旨または範囲から逸脱しない限り加えることができる。本明細書において概略説明され、かつこれらの図に例示される本開示の種々の態様は、多種多様な異なる構成で配置する、置き換える、組み合わせる、設計することができ、これらの構成の全てが、明示的に想到され、かつ本開示の一部を構成することを容易に理解できるであろう。
【0013】
図1は、マルチメディアコンテンツを車両環境で配信する例示的なオーディオシステム100を示している。オーディオシステム100は、信号源ユニット102と、信号処理ユニット104と、複数のラウドスピーカ106と、を含むことができる。複数のラウドスピーカ106は、第1ラウドスピーカと、少なくとも1つの第2ラウドスピーカと、を含むことができる。説明を分かり易くするために、図1に示す例示的なオーディオシステムは、5.1チャネルサラウンドサウンドを可能にするように構成される。従って、複数のラウドスピーカ106は、前方左側ラウドスピーカ106a、前方右側ラウドスピーカ106b、前方中心ラウドスピーカ106c、後方左側ラウドスピーカ106d、後方右側ラウドスピーカ106e、及びサブウーファー106fを含むことができる。しかしながら、本開示の1つ以上の実施形態は、4.0チャネル、7.1チャネルなどのような任意の数のマルチチャネル音声設定を使用して実現することができる。
【0014】
複数のラウドスピーカ106は、1つ以上のラウドスピーカグループ106を含むことができ、各ラウドスピーカグループは、車両客室内の少なくとも1つの聴取位置に割り当てられて音場を生成する。信号源ユニット102は、音声信号を各ラウドスピーカに、該当する音声チャネルを用いて供給することができる。信号処理ユニット104は、複数の音声後処理機能を実行することができ、これらの音声後処理機能は、ラウドスピーカ106に給電する少なくとも1つの音声チャネル108に適用することができる。このような音声後処理機能では、スピーカ遅延を設定する、グラフィックパラメトリックオーディオ等化を行なう、音域(例えば、低音域、中音域、または高音域)を制御する、音声をバランスさせる、音声を減衰させる、個々の音声チャネル音量を制御する、個々の音声チャネルを消音する、または消音解除する、音声ミキシングするなどの処理を行なうことができる。音声後処理機能について上に挙げた一連の例は、全てを網羅している訳ではなく、信号処理ユニット104の機能のほんの一部を表わしている。信号処理ユニット104は、具体的には記載されていない更に別の音声後処理機能を、本開示の範囲から逸脱しない限り実行することができる。
【0015】
図1に示すように、信号源ユニット102は信号処理ユニット104と通信することができる。例えば、信号源ユニット102は、音声データ信号110を信号処理ユニット104に配信することができる。信号処理ユニット104は、複数の音声後処理機能のうちの1つ以上の音声後処理機能を音声データ信号110に対して実行または適用して、複数の処理後音声信号112を取得することができる。次に、信号処理ユニット104は、複数の処理後音声信号112のうちの1つ以上の処理後音声信号をラウドスピーカグループ106に、これらのラウドスピーカのそれぞれの音声チャネル108を介して配信することができる。音声データ信号110に適用されるデジタル信号処理は、それぞれの音声チャネル108の間で異なるようにして、特定の音場を、少なくとも1つの聴取位置に合わせて音響的に最適化することができる。従って、信号源ユニット102及び信号処理ユニット104は、音声コマンド信号114を授受することもできる。音声コマンド信号は、信号源ユニット102から信号処理ユニット104への制御コマンドだけでなく、信号処理ユニット104から信号源ユニット102へのフィードバック信号を含むことができる。
【0016】
制御コマンドで信号処理ユニット104に指示して、これらの音声後処理機能のうちの1つ以上の音声後処理機能を、対応する音声データ信号110に適用させることができる。制御コマンドは、チャネルごとに適用される信号処理パラメータを含むことができる。別の構成として、信号処理ユニット104は、複数の音声チューニングプロファイルをメモリに保持することができる。各音声チューニングプロファイルは、音声データ信号110に対して信号処理ユニット104が適用することになる音声設定を含むことができる。このように、音声コマンド信号114は、信号処理ユニット104に指示する制御コマンドを含むことができ、この制御コマンドに従って、音声チューニングプロファイルを、対応する音声データ信号110に適用する。制御コマンドは、音声チューニングプロファイル識別子とすることができる、または制御コマンドは、信号処理ユニット104が、いずれの音声チューニングプロファイル設定をメモリから取り出すかについて認識することができるような音声コンテンツ識別子または音源識別子とすることができる。次に、処理後音声信号112は、これらの処理後音声信号のそれぞれの音声チャネル108を介して、対応するラウドスピーカグループ106に配信されることにより、車両環境内の少なくとも1つの聴取位置に合わせて音響的に最適化した音場を、選択した音声チューニングプロファイルに応じて生成することができる。
【0017】
図1には別体として図示されているが、信号処理ユニット104は、信号源ユニット102と一体に構成することができる、または信号源ユニット102の内部に設けることができる。更に、信号処理ユニット104は、アンプとすることにより、またはアンプと一体に構成することにより、音声信号処理増幅器とすることができる。同様に、このようなアンプは、信号源ユニット102に対して内部に、または外部に設けることができる。一体型装置または別体装置であるかどうかに関係なく、信号源ユニット102及び信号処理ユニット104は、インフォテインメントシステム(infotainment system)116と総称することができる。
【0018】
本開示の1つ以上の実施形態によれば、信号源ユニット102は、インフォテインメントヘッドユニットとすることができ、このインフォテインメントヘッドユニットは、音声/動画再生サービス、ナビゲーションサービス、及びテレマティックスサービスを提供するように構成される。これを目的として、インフォテインメントシステム116は、AM/FM、デジタル無線または衛星無線、コンパクトディスク(CD)再生またはデジタルビデオディスク(DVD)再生、マルチメディアアクセサリ、後部座席娯楽、カメラ搭載、ブルートゥース(登録商標)接続、及び電気通信接続のような機能を含むことができる。信号源ユニット102は、図1にアンテナ118として集合的に表現されている複数のアンテナを含むことができる。複数のアンテナ118は、種々の無線アンテナ(例えば、AMアンテナ、FMアンテナ、衛星アンテナなど)、ブルートゥース(登録商標)アンテナ、全地球測位システム(GPS)アンテナだけでなく、種々のテレマティックスサービスを行なう他の車載通信アンテナなどを含むことができる。GPS利用ナビゲーションの他に、他のテレマティックス通信として、内蔵型ハンズフリー携帯電話、車両無線安全通信、緊急警告システム、モバイルインターネット、交通レポート及び天候レポートなどを挙げることができる。
【0019】
更に、信号源ユニット102は、ユーザアクセスを可能にして、利用可能な種々の機能を選択して制御するヒューマン−マシンインターフェース(HMI)120を含むことができる。信号源ユニットのHMI120は、複数の入力ボタン、ノブなど(図示せず)を含むことができる。HMI120は更に、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)(図示せず)を含むことができる。GUIは、ユーザがタッチスクリーンに触れて入力するタッチスクリーン方式を採用することができる。1つ以上のモバイル機器122は、信号源ユニット102に有線で、ユニバーサルシリアルバス(USB)、付属機器、または他の専用ポートを介して接続することができる。別の構成として、モバイル機器122は、信号源ユニット102にワイヤレス接続することができる、例えばモバイル機器122をブルートゥース(登録商標)を介して信号源ユニット102とペアリング接続することができる。従って、本開示では、接続先モバイル機器と総称される場合、この接続とは、信号源ユニット102との有線接続及び無線接続の両方の接続を指すことができる。
【0020】
信号源ユニット102として記載されているが、信号源ユニットという用語は、全ての音声コンテンツが必ず、信号源ユニット102の内部から流れることを意味するものと解釈されてはならない。そうではなく、信号源ユニット102は、原始音声コンテンツを、接続先モバイル機器122のような外部ソースまたは外部機器から受信することができる。更に、信号源ユニット102は、情報を外部交通情報システム、または天候情報システム、GPS衛星など(図示せず)から受信すると、音声データ信号110を配信することができる。従って、本明細書において使用されるように、信号源ユニット102とは、内部または外部から流れるかどうかに関係なく、音声データ信号110を信号処理ユニット104に配信して、複数のラウドスピーカ106のうちの1つ以上のラウドスピーカに、これらのラウドスピーカのそれぞれの音声チャネル108を介して供給する装置を指すことができる。更に、1つ以上の実施形態について、フル機能を搭載したインフォテインメントヘッドユニットに関連して開示することにより説明しているが、このような実施形態は例示に過ぎない。信号源ユニット102は、ナビゲーション機能またはブルートゥース(登録商標)機能を搭載していないカーステレオ受信装置のようなより少ない機能を備えるヘッドユニットを含む他の様々な種類のカーオーディオヘッドユニットとして具体化することもできる。
【0021】
信号処理ユニット104が図2に更に詳細に図示されている。前に説明したように、信号処理ユニット104は、アンプと一体に構成されて音声信号処理増幅器とすることができる。更に、信号処理ユニット104は、信号源ユニット102の内部に設けることができる、または信号処理ユニット104は、信号源ユニット102と通信する外部機器とすることができる。図2に示すように、信号処理ユニット104は、信号源ユニット102と通信する複数の信号インターフェースを含むことができる。例えば、信号処理ユニット104は、音声データ信号110を信号源ユニット102から受信するように構成されるストリーミングインターフェース202を含むことができる。入力音声データ信号110は、パルス符号変調信号とすることができる。パルス符号変調(PCM)は、サンプリングしたアナログ信号をデジタル表示するために使用される方式であり、デジタルオーディオ用途に広く用いられる方式である。
【0022】
ストリーミングインターフェース202は、圧縮音声データまたは音声データストリームを、メディア指向システムトランスポート(MOST)、オーディオビデオブリッジング(AVB)などのようなインフォテインメントネットワーキングテクノロジ規格を用いて受信するように構成することができる。ストリーミングインターフェース202がアナログ式インターフェースである場合、当該ストリーミングインターフェースは、アナログ−デジタル変換器(ADC)(図示せず)を含むことができる。このように、信号源ユニットは、デジタル音声をアナログ音声に、デジタル−アナログ変換器(DAC)を用いて変換する102ことができ、変換後の音声を信号処理ユニット104に送信することができる。ストリーミングインターフェース202は、音声をデジタル形式にADCを用いて逆変換することができる。
【0023】
信号処理ユニットの複数の信号インターフェースの一部として、信号処理ユニット104は更に、コマンドインターフェース204を含むことができ、このコマンドインターフェース204は、音声データ信号110に対応する音声コマンド信号114を信号源ユニット102から受信するように構成される。コマンドインターフェース204は、音声コマンド信号114を、集積回路間(Inter−Integrated Circuit:I2C)通信規格、コントローラエリアネットワーク(Controller Area Network:CAN)通信規格などのような任意の数の通信バスプロトコルを用いて受信するように構成することができる。前に説明したように、音声コマンド信号114は、制御コマンドを含むことができ、この制御コマンドで信号処理ユニット104に指示して、1つ以上の音声後処理機能を、対応する音声データ信号110に適用させることができる。別の構成として、音声コマンド信号114は、音声チューニングプロファイルコマンドを含むことができ、この音声チューニングプロファイルコマンドで信号処理ユニット104に指示して、メモリに格納され、かつ事前に設定されている音声設定を有する特定の音声チューニングプロファイルを適用させることができる。別の構成として、音声コマンド信号114は、音源ソース識別子または音声コンテンツ識別子を含むことができ、音源ソース識別子または音声コンテンツ識別子を信号処理ユニット104が使用して、適切な音声チューニングプロファイルを選択することにより、音声データ信号110に適用することができる。
【0024】
1つ以上の実施形態によれば、ストリーミングインターフェース202及びコマンドインターフェース204を組み合わせて単一の信号インターフェースとすることができる。従って、音声データ信号110は、コマンドヘッダを含むことができ、これらのコマンドヘッダで信号処理ユニット104に対して、いずれの音声設定を音声データ信号に適用すべきかについて指示することができる。このような単一の信号インターフェースは、例えばMOSTテクノロジまたはAVBテクノロジを採用して用いることができる。
【0025】
信号処理ユニット104は、複数の音声チューニングプロファイル208を格納するメモリユニット206を含むことができる。各音声チューニングプロファイル208は、車両環境内の少なくとも1つの聴取位置に合わせて音響的に最適化した音場を生成する音声設定210を含むことができる。例えば、1つの音声チューニングプロファイル208は、運転者座席の位置に合わせて音響的に最適化した音場を生成する音声設定210を含むことができる。図3は、車両302の例示的な簡略図であり、前に説明したシナリオを記号で表わしており、このシナリオでは、音声設定210は、車両客室304の運転者座席S1に位置するユーザのために調整される。従って、本開示では、これらの音声設定を有する音声チューニングプロファイルは、プロファイルS1と表記することができる。プロファイルS1は、催促ナビゲーション、車両システム警告信号または車両システム催促信号(例えば、駐車距離制御、バックアップ警告、シートベルトアラーム、半ドアアラームなど)などに対応する音声を生成するために起動することができる。プロファイルS1が図3に、前方右側ラウドスピーカチャネル、後方右側ラウドスピーカチャネル、後方左側ラウドスピーカチャネル、及び中心ラウドスピーカチャネルにそれぞれ適用されるスピーカ遅延δ、δ、δ、及びδを使用して表示されている。しかしながら、δ、δ、δ、及びδを使用した図3におけるプロファイルS1の表示は、プロファイルS1に関連する全ての音声設定210を象徴的に表わしている。
【0026】
車両302は更に、他の座席位置S2〜S5に関連する更に別の聴取位置を含むことができる。図4は、前部客室座席S2の位置に合わせて音響的に最適化した音場を生成する音声設定210を象徴的に表わす別の例示的な簡略図を示している。これらの音声設定を有する音声チューニングプロファイルはプロファイルS2と表記することができる。プロファイルS2は、マルチメディア音源ソースからの音声を再生するために適する音声設定210を含むだけでなく、接続先モバイル機器などからの電子メール(email)読み出し、または加入者メッセンジャーサービス(SMS)メッセージ読み出しに適する音声設定も含むことができる。メモリユニット206は、それぞれプロファイルS3、プロファイルS4、及びプロファイルS5と表記される残りの座席位置S3、S4、及びS5の各座席位置に合わせて音響的に最適化した音場を生成する更に別の音声チューニングプロファイル208を格納することができる。図3及び図4に示す車両302は、セダンまたはクーペのような車両内の2列に並んだ座席を備える客室304を有する様子が図示されているが、本開示の1つ以上の実施形態は、任意の数の座席構造を有する車両に同じように適用することができる。
【0027】
メモリユニット206は更に、複数の聴取位置に合わせて音響的に最適化した音場を生成する音声チューニングプロファイル208を格納することができる。例えば、1つ以上の音声チューニングプロファイル208に、複数の搭乗者が娯楽音源を聴取することができるように最適化した音声設定210を書き込むことができる。1つのこのような音声チューニングプロファイル208は、車両302内の全ての聴取位置に合わせて音響的に最適化した音場を生成する音声設定210を含むことができる。別のこのような音声チューニングプロファイル208は、車両302の前部客室304a内の全ての聴取位置に合わせて音響的に最適化した音場を生成する音声設定210を含むことができる。更に別のこのような音声チューニングプロファイル208は、車両302の後部客室304b内の全ての聴取位置に合わせて音響的に最適化した音場を生成する音声設定210を含むことができる。
【0028】
インフォテインメントシステム116が車両製造業者により工場で搭載される場合、音声チューニングプロファイル208に、車両製造業者により、または車両製造業者への供給業者により、インフォテインメントシステムが搭載されている特定の車両について最適化した音声設定210を事前に書き込むことができる。インフォテインメントシステム116がアフターマーケットで販売される場合、複数の入手可能な車両の各車両に対応する1つ以上の音声チューニングプロファイル208からなる音声チューニングプロファイル集合は、メモリユニット206に格納することができる。一旦、搭載されると、ユーザは、車両メーカ及び車種を、設定メニューから信号源ユニットのHMI120を介して選択することにより、信号源ユニット102または信号処理ユニット104は、いずれの音声チューニングプロファイル集合208を適用すべきかについて認識することができる。別の構成として、ユーザは、インフォテインメントシステム116が搭載されている車両を選択することができ、車両を入手可能な場合、選択した車両について設定された音声チューニングプロファイル集合208は、信号源ユニット102または信号処理ユニット104にダウンロードすることができる。適正な音声チューニングプロファイル集合208は更に、信号源ユニット102または信号処理ユニット104に、メモリスティックのような外部記憶装置を使用して、USBポートを介して離れた場所でダウンロードして搭載することができる。
【0029】
更に別の構成として、インフォテインメントシステム116は、聴取位置を車載測定手段でリアルタイムに測定して、最適な音声設定210を取得するように構成することができる。初期設定の間、信号処理ユニット104は、複数の異なる聴取位置に関する音声データを収集することができ、各位置に合わせて最適化した音声チューニングプロファイル208を生成することができる。音声データは、例えばユーザまたはマネキンが装着する両耳マイクロホンを使用して収集することができる。システムを構成している間、信号処理ユニット104は更に、複数の聴取位置を測定して、音声出力が2つ以上の座席位置の間で差し引きゼロになるように音声出力をバランスさせることができる。一旦、初期設定が完了すると、音声チューニングプロファイル208は、メモリユニット206に格納することができ、対応する音声設定210は、信号処理ユニット104に配信される次の音声に適用することができる。
【0030】
図2に戻って図2を参照するに、メモリユニット206は、各チューニングプロファイル208に関連する複数の音声設定210を格納することができる。音声設定210は、音声データ信号110に音声後処理モジュール212によって適用されることになる種々のパラメータを含むことができる。このようなパラメータとして、ラウドスピーカ遅延単位時間、フィルタ係数、音量/消音曲線、音源/音源聴取者間距離、周波数レベル調整などを挙げることができる。従って、音声後処理モジュール212は、前に説明した例示的な音声後処理機能のうちの1つ以上の音声後処理機能を実行することができる。更に、音声後処理モジュール212は、デジタル信号プロセッサ(DSP)を使用して、DSPを利用した音声後処理機能を適用することができる。次に、デジタル処理音声データ信号110は、音声チャネル108のうちの1つ以上の音声チャネルに、有効音声チューニングプロファイル208に従って配信することができる。図示のように、各音声チャネル108は、デジタル−アナログ変換器(DAC)214を含むことができ、DAC214は、デジタル音声情報をアナログ信号に変換し、このアナログ信号を、それぞれの音声チャネル108に接続されるラウドスピーカ106で再生することができる。
【0031】
インフォテインメントシステム116は、ユーザが音声チューニングプロファイル208のうちの1つの音声チューニングプロファイルを、信号源ユニット102に配設されたHMI120を介して選択する際のユーザ選択を表わす入力を受信するように構成することができる。本開示の1つ以上の実施形態によれば、インフォテインメントシステム116は、音声チューニングプロファイル208を自動的に選択して、音声データ信号110に適用するように構成することができる。インフォテインメントシステム116は、音声チューニングプロファイル208を、例えば座席搭乗者検出手段、ペアリングされる、またはその他の形態で接続されるモバイル機器122などを含む複数の要素に応じて選択することができる。インフォテインメントシステム116は、客室座席の搭乗者を、この技術分野の当業者に公知の搭乗者検出手段を使用して検出することができる。このような例示的な搭乗者検出手段は、静電容量センサ、座圧センサ、光学カメラ、または赤外線カメラなどを用いることができる。
【0032】
前に説明したように、信号源ユニット102から送信される音声データ信号110は、複数のコンテンツソースのうちの少なくとも1つのコンテンツソースから受信するコンテンツに応じて生成することができる。コンテンツソースは、コンパクトディスク、ラジオ局、交通情報システムまたは天候情報システム、接続先モバイル機器122、ナビゲーションシステム、接続先車両制御モジュール(例えば、コントローラエリアネットワーク(CAN)バスを利用した)などとすることができる。従って、コンテンツソースから受信するコンテンツは、信号処理ユニット104が受信する音声データ信号に含まれる同じ音声データを必ずしも含んでいる訳ではない。そうではなく、幾つかの例では、信号源ユニット102が受信するコンテンツは、他の情報を含むことができ、信号源ユニット102は、音声データ信号110を生成して、情報または関連情報を、催促信号、警告、メッセージなどを利用してユーザに聞こえるように伝送することができる。例えば、信号源ユニット102は、可聴催促ナビゲーションを、マップデータに応じて出力することができ、GPSアンテナから受信するデータを調整することができる。同様に、信号源ユニット102は、eメールのテキストをスピーチに変換して、催促されると、eメールメッセージをユーザに可聴メッセージとして送信することができる。
【0033】
本開示の1つ以上の実施形態によれば、インフォテインメントシステム116は更に、音声チューニングプロファイル208を選択して音声データ信号110に、音声データ信号のコンテンツ、音声データ信号のコンテンツソース、またはコンテンツ及びコンテンツソースの両方に応じて適用することができる。このように、信号処理ユニット104が入力音声データ信号110に適用する後処理は、状況に応じて行なわれる。例えば、運転者の隣の座席S2に着座しているユーザは、モバイル機器122を信号源ユニット102とペアリングする、信号源ユニット102に同期させる、またはその他には、接続することができる。このユーザは、プロファイルS2を信号源ユニット102側で選択することができる。別の構成として、インフォテインメントシステム116は、ユーザが座席S2に着座している状態を、カメラ、座席センサで、音声情報または他のいずれかのセンサ情報に基づいて自動的に検出することにより、搭乗者を検出することができる。次に、インフォテインメントシステム116は、座席位置S2に合わせて音響的に最適化した音場を生成するために適するプロファイルS2に関連する音声設定210を読み込むことができる。
【0034】
ユーザがストリーミング音楽を接続先モバイル機器122から流し始めると、座席S2に位置するユーザは、音声を最適な状態で聴取することができる。ユーザがSMSメッセージまたはeメールをモバイル機器122から音声で読み出すことを選択する場合、インフォテインメントシステム116は、例えば変換後のテキスト−スピーチを、ユーザの座席位置に最も近いラウドスピーカ106で、最適音量で、他の全てのラウドスピーカを消音している状態で、またはラウドスピーカ音量を減衰させている状態で再生することができる。このように、1つ以上の実施形態によれば、各座席位置は、音声のコンテンツに応じて選択することができる複数の音声チューニングプロファイル208に関連付けることができる。例えば、上に説明したように、座席S2に関連する少なくとも1つの音声チューニングプロファイル208が、音楽を含む音声データ信号110について選択されるのに対し、座席S2に関連する別の音声チューニングプロファイル208は、テキストメッセージをユーザのモバイル機器122からスピーチとして出力するために選択されてもよい。
【0035】
上の例に関する説明を続けると、車両システム警告信号(例えば、催促ナビゲーション、交通警告、安全警告など)を信号源ユニット102が受信する場合、インフォテインメントシステム116は、運転者の座席位置S1に対応するプロファイルS1を読み込んで、可聴催促信号を運転者が最適に聴取することができるようにする。一旦、警告催促が終わると、プロファイルS2を読み込み直して、座席S2に位置するユーザが、座席S2に合わせて音響的に最適化した音場の音声を楽しみ続けることができるようにする。
【0036】
別の例として、複数の座席位置に合わせて音響的に最適化した音場を生成する音声設定210を有する音声チューニングプロファイル208は、自動的に選択されるか、またはユーザが選択することにより、娯楽音源の音声を複数の乗客が最適に聴取することができる。娯楽音源は、ラジオ局、CD、接続先モバイル機器などとすることができる。接続先モバイル機器122のユーザが、eメールメッセージまたはSMSメッセージをスピーチとして音声で読み出すことを許可する場合、インフォテインメントシステム116は、メッセージが1つ以上のラウドスピーカ106で再生されている状態で、ユーザの座席位置に合わせて音響的に最適化した音声チューニングプロファイル208を自動的に選択することができる。一旦、メッセージ再生が終了すると、初期音声チューニングプロファイルを読み込み直して、娯楽音源の音声に適用することができる。警告催促信号を、娯楽音声信号またはeメールメッセージ/SMSメッセージのいずれかを再生している間に受信する場合、警告音声を優先的に流すことができる。従って、インフォテインメントシステム116は、運転者の位置に合わせて最適化したプロファイルS1を選択して、可聴車両システム警告(例えば、交通警告、催促ナビゲーションなど)を再生することができる。
【0037】
図5は、車両環境内の少なくとも1つの聴取位置に合わせて音響的に最適化した音場を、音声データ信号のコンテンツに応じて選択する例示的な方法500を示すフロー図である。こと505に図示されるように、インフォテインメントシステム116は、複数のオーディオシステム入力を受信することができる。オーディオシステム入力は、音声コンテンツ選択、接続先システム及び接続先機器、ユーザ再生設定などを表わすことができる。信号源ユニット102は、主音声信号を信号処理ユニット104に、音声コンテンツ選択に応じて送信することができる。例えば、主音声信号は、CDから読み出される音声、無線放送から受信する音声、インターネットまたは接続先モバイル機器から流れ出る音声などのような娯楽音声に対応することができる。オーディオシステム入力は更に、主音声信号に適用されることになる音声チューニングプロファイル208を表わす入力を含むことができる。
【0038】
こと510では、インフォテインメントシステム116は、音声チューニングプロファイル208が、主音声信号について選択されているかどうかを判断することができる。音声チューニングプロファイル208がインフォテインメントシステム116によりオーディオシステム入力に応じて選択されていない場合、方法はこと515に進むことができる。こと515では、インフォテインメントシステム116は、音声チューニングプロファイル208を選択して主音声信号に、ユーザ選択が行なわれていない状態で適用することができる。音声チューニングプロファイル208は、インフォテインメントシステム116によりオーディオシステム入力に応じて自動的に選択することができる。例えば、インフォテインメントシステム116は、特定の聴取位置における搭乗者の着座状態を検出する、または搭乗者の接続先モバイル機器122を検出する、または着座状態及び接続先モバイル機器122の両方を検出することができ、特定の音声チューニングプロファイル208をそれに応じて選択することができる。別の構成として、インフォテインメントシステム116は、デフォルトの音声チューニングプロファイル208を、ユーザによるプロファイル選択が行なわれていない状態で選択することができる。自動的に選択される、またはユーザ入力に応じて選択される音声チューニングプロファイル208は、1次チューニングプロファイル(primary tuning profile)と表記することができる。1次チューニングプロファイルは、少なくとも1つの聴取位置に合わせて音響的に最適化した音場を生成して主音声信号を再生する主音声設定を含むことができる。
【0039】
こと520では、主音声信号に適用されることになる主音声設定を含む1次チューニングプロファイルを読み込むことができる。1次チューニングプロファイルを読み込む際に、主音声信号に信号処理ユニット104により適用されることになる主音声設定を含む主音声コマンド信号を受信することができる。別の構成として、1次チューニングプロファイルを読み込む際に、いずれの音声チューニングプロファイル208を、対応する主音声信号に適用すべきかについて特定する主音声コマンド信号を受信し、適用されることになる主音声設定をメモリユニット206から取り出すことができる。こと525では、インフォテインメントシステム116は、主音声信号をラウドスピーカグループ106に、1次チューニングプロファイル従って送信することができる。
【0040】
こと530を戻ると、インフォテインメントシステム116は、副音声信号を表わす入力が行なわれているかどうかを判断することができる。副音声信号が検出されない場合、方法はこと525に戻り、主音声信号が、ラウドスピーカグループ106に、1次チューニングプロファイルに従って配信され続け得る。しかしながら、副音声信号が含まれていることが検出される場合、方法はこと535に進むことができる。こと535では、インフォテインメントシステム116は、副音声信号が主音声信号よりも高い優先度を有しているかどうかを判断することができる。例えば、車両システム警告信号及び催促信号は、接続先モバイル機器122からのテキスト−スピーチコンテンツよりも高い優先度を有することができる。今度は、接続先モバイル機器122から受信するテキスト−スピーチコンテンツが、音楽再生コンテンツのような娯楽音声信号コンテンツよりも優先され得る。従って、主音声信号が発話eメールメッセージまたは発話SMSメッセージであり、副音声信号が、より低い優先度を有する場合、主音声信号は中断されることなく継続することができる。例えば、しかしながら、副音声信号が催促ナビゲーションである場合、副音声信号が優先される。主音声信号が副音声信号よりも高い優先度を有する場合、方法はこと525に戻り、主音声信号は、ラウドスピーカグループ106に、1次チューニングプロファイルに従って配信され続け得る。これとは異なり、副音声信号が主音声信号よりも高い優先度を有する場合、方法はこと540に進むことができる。
【0041】
こと520と同様にして、副音声信号に適用されることになる副音声設定を含む2次チューニングプロファイルをこと540で読み込むことができる。本開示の1つ以上の実施形態によれば、2次チューニングプロファイルは、副音声信号のコンテンツ、副音声信号のソース、またはコンテンツ及びソースの両方に応じて選択することができる。例えば、副音声信号が車両システム警告、交通警告、催促ナビゲーションなどである場合、インフォテインメントシステム116は、プロファイルS1を2次チューニングプロファイルとして選択して読み込むことにより、音場を、運転者に属する座席位置S1に合わせて音響的に最適化することができる。別の例として、副音声信号が、ユーザの接続先モバイル機器122からのSMSメッセージまたはeメールメッセージに対応するテキスト−スピーチ信号である場合、インフォテインメントシステム116は、ユーザの座席位置に関連する音声チューニングプロファイルを選択して読み込むことができる。
【0042】
こと545では、インフォテインメントシステム116は、副音声信号をラウドスピーカグループ106に2次チューニングプロファイルに従って送信することができる。1つ以上の実施形態によれば、副音声信号が主音声信号よりも高い優先度を有する場合、副音声信号ではなく、主音声信号を完全に中断することができる。別の構成として、主音声信号は、ラウドスピーカ106のうちの1つ以上のラウドスピーカの位置で、副音声信号を優先的に聴取することができるように減衰させることができる。
【0043】
こと550では、インフォテインメントシステム116は、副音声信号の配信が完了しているかどうかを判断することができる。副音声信号の配信が完了していない場合、方法はこと545に戻り、副音声信号の配信が継続するようにすることができる。しかしながら、副音声信号の配信が完了している場合、方法はこと525に戻り、主音声信号をラウドスピーカグループ106に、1次チューニングプロファイルに従って配信し続けることができる。
【0044】
例示的な実施形態について上に説明したが、これらの実施形態は、本開示の主題について考えられる全ての形態を記述している訳ではない。そうではなく、本明細書において使用される用語は、限定用語ではなく記述用語であり、種々の変更を、本明細書において提示される主題の趣旨及び範囲から逸脱しない限り加えることができることを理解されたい。更に、種々の実施形態の特徴を組み合わせて本開示の更に別の実施形態を構成することができる。
図1
図2
図3
図4
図5