特許第6209688号(P6209688)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6209688トモシンセシスイメージングのための装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6209688
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】トモシンセシスイメージングのための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/02 20060101AFI20170925BHJP
   A61B 6/00 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   A61B6/02 300A
   A61B6/00 330Z
【請求項の数】13
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-563785(P2016-563785)
(86)(22)【出願日】2015年4月16日
(65)【公表番号】特表2017-513605(P2017-513605A)
(43)【公表日】2017年6月1日
(86)【国際出願番号】EP2015058220
(87)【国際公開番号】WO2015165737
(87)【国際公開日】20151105
【審査請求日】2016年10月20日
(31)【優先権主張番号】14166405.2
(32)【優先日】2014年4月29日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(72)【発明者】
【氏名】ホマン ハンノ ヘイケ
(72)【発明者】
【氏名】ベルグナー フランク
(72)【発明者】
【氏名】エルハルド クラウス
(72)【発明者】
【氏名】ベルグランド ヘニング ペル ヨハン
【審査官】 伊知地 和之
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2005/0135664(US,A1)
【文献】 特表2013−518649(JP,A)
【文献】 特開2006−204329(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0292217(US,A1)
【文献】 米国特許第04896343(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0083983(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 − 6/14
G01B 11/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トモシンセシスイメージングのための装置であって、前記装置は、
-対象物のレーザスキャニングから導出される、スキャンされる前記対象物の幾何学的三次元モデルに基づいてバイナリマスクを生成するように構成されるマスク生成器モジュールと、
前記対象物の一続きの二次元投影画像をスキャンするように構成される画像取込みモジュールと、
前記スキャンされる一続きの二次元投影画像からの三次元画像ボリュームの再構成の間、前記生成されるバイナリマスクを適用し、前記再構成される画像ボリュームの範囲を前記幾何学的モデルの範囲に制限するように構成される画像処理モジュールと
を有し、
前記マスク生成器モジュールは、前記対象物の前記スキャンされる一続きの二次元投影画像の少なくとも1つの二次元投影画像の画像解析から導出される前記幾何学的モデルに基づいて前記バイナリマスクを生成するように構成される、
装置。
【請求項2】
前記マスク生成器モジュールは、前記対象物の少なくとも1つの二次元投影画像の強度プロファイルに基づいて前記対象物の前記幾何学的モデルを決定するように構成される、請求項1に記載のトモシンセシスイメージングのための装置
【請求項3】
トモシンセシスイメージングのための装置であって、前記装置は、
-対象物のレーザスキャニングから導出される、スキャンされる前記対象物の幾何学的三次元モデルに基づいてバイナリマスクを生成するように構成されるマスク生成器モジュールと、
前記対象物の一続きの二次元投影画像をスキャンするように構成される画像取込みモジュールと、
前記スキャンされる一続きの二次元投影画像からの三次元画像ボリュームの再構成の間、前記生成されるバイナリマスクを適用し、前記再構成される画像ボリュームの範囲を前記幾何学的モデルの範囲に制限するように構成される画像処理モジュールと
を有し、
前記画像取込みモジュールは、エネルギ分解X線画像を収集することができ、前記幾何学的モデルは、前記エネルギ分解二次元投影画像を使用してスペクトル物質分解から得られる定量的高さモデルから導出される、
装置。
【請求項4】
前記画像取込みモジュールは、エネルギ分解X線画像を収集することができ、前記幾何学的モデルは、前記エネルギ分解二次元投影画像を使用してスペクトル物質分解から得られる定量的高さモデルから導出される、請求項1乃至の何れかに記載のトモシンセシスイメージングのための装置。
【請求項5】
前記マスク生成器モジュールは、機械式圧迫ユニットによって測定される対象物厚み値を使って前記バイナリマスクを生成するように構成される、請求項1乃至4の何れかに記載のトモシンセシスイメージングのための装置。
【請求項6】
前記画像処理モジュールは、前記スキャンされる一続きの二次元投影画像の再構成プロシージャの間、前記生成されるバイナリマスクを適用するように構成される、請求項1乃至5の何れかに記載のトモシンセシスイメージングのための装置。
【請求項7】
前記、請求項1乃至6の何れかに記載のトモシンセシスイメージングのための装置及びマンモグラフィ装置を有するX線医用イメージングシステム。
【請求項8】
トモシンセシスイメージングのための方法であって、前記方法は、
-対象物のレーザスキャニングから導出される、スキャンされる前記対象物の幾何学的なモデルに基づいてバイナリマスクを生成するステップと、
-前記対象物の一続きの二次元投影画像をスキャンするステップと、
-前記生成されるバイナリマスクを前記スキャンされる一続きの二次元投影画像に適用し、前記画像の各々の範囲を前記幾何学的モデルのディメンションに制限するステップと
を有し、
前記幾何学的モデルに基づいて前記バイナリマスクを生成するステップは、前記対象物の前記スキャンされる一続きの二次元投影画像の少なくとも1つの二次元投影画像の画像解析から導出するステップを更に有する、
方法。
【請求項9】
前記幾何学的モデルに基づいて前記バイナリマスクを生成するステップは、前記対象物の少なくとも1つの二次元投影画像の強度プロファイルに基づいて前記対象物の前記幾何学的モデルを決定するステップを更に有する、請求項8に記載のトモシンセシスイメージングのための方法。
【請求項10】
トモシンセシスイメージングのための方法であって、前記方法は、
-対象物のレーザスキャニングから導出される、スキャンされる前記対象物の幾何学的なモデルに基づいてバイナリマスクを生成するステップと、
-前記対象物の一続きの二次元投影画像をスキャンするステップと、
-前記生成されるバイナリマスクを前記スキャンされる一続きの二次元投影画像に適用し、前記画像の各々の範囲を前記幾何学的モデルのディメンションに制限するステップと
を有し、
前記幾何学的モデルに基づいて前記バイナリマスクを生成するステップは、エネルギ分解X線画像を更に収集し、前記幾何学的モデルは、前記エネルギ分解二次元投影画像のスペクトル物質分解から得られる定量的高さモデルから導出される、
方法。
【請求項11】
前記幾何学的モデルに基づいて前記バイナリマスクを生成するステップは、エネルギ分解X線画像を更に収集し、前記幾何学的モデルは、前記エネルギ分解二次元投影画像のスペクトル物質分解から得られる定量的高さモデルから導出される、請求項8乃至の何れかに記載のトモシンセシスイメージングのための方法。
【請求項12】
前記幾何学的モデルに基づいて前記バイナリマスクを生成するステップは、機械式圧迫ユニットによって測定される対象物厚み値を使って幾何学的モデルを導出するステップを更に有する、請求項8乃至11の何れかに記載のトモシンセシスイメージングのための方法。
【請求項13】
前記方法は、前記スキャンされる一続きの二次元投影画像を使って再構成プロシージャの間、バイナリマスクを生成するステップを更に有する、請求項8乃至12の何れかに記載のトモシンセシスイメージングのための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イメージング技術のための装置及び方法に関する。 特に本発明は、トモシンセシスイメージングのための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トモシンセシスにおいて、三次元画像ボリュームは、X線投影を使って、180°より小さな角度範囲(例えば人間の乳房トモシンセシスにおいて通常10°-60°)から再構成される。 セットアップの限定される角度範囲のために、X線の主方向における検査中の対象物の空間範囲は、既知の画像再構成技術によって正確に再構成されることができない。
【0003】
EP 2,101,648 B1は、トモシンセシス三次元X線画像を生成する方法及び装置を記載し、複数のデジタル二次元X線投影画像が、X線源及びデジタルX線検出器を用いて、限定される角度範囲において異なる投影角により検査対象物から記録され、いわゆるファンアーチファクトはバイナリ三次元マスクによって除去され、第一の投影角で記録される第一の二次元X線画像の投影画像データ及び第二の投影角で記録される第二の二次元X線画像の投影画像データから決定される。
【0004】
FR 2,978,911 A1は、イメージング検出器によって低エネルギ画像を得るため、人体の部分、例えば人間の乳房を低エネルギ放射線で照射する方法を記載する。体の部分は、放射線源及び検出器の間に位置される。 合成医用画像は、コントローラによって低及び高エネルギ画像から生成されるので、体の部分の組織は合成医用画像において表示可能である。 移植片を含む体の医用画像の収集及び処理のためのシステムがさらに記述される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
トモシンセシスイメージングのためにデジタル画像処理を改善する必要性は存在する。
【0006】
これらの必要性は、独立請求項の主題によって満たされる。 さらに典型的な実施例は、従属請求項及び以下の説明から明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様は、トモシンセシスイメージングのための装置であって、スキャンされる対象物の幾何学的三次元モデルに基づいてバイナリマスクを生成するように構成されるマスク生成器モジュールと; 対象物の一続きの二次元投影画像をスキャンするように構成される画像取込みモジュールと; スキャンされる一続きの二次元投影画像から、三次元画像ボリュームの再構成の間、生成されるバイナリマスクを適用し、再構成される画像ボリュームの範囲を幾何学的モデルの範囲に制限するように構成される画像処理モジュールとを有する装置に関する。
【0008】
本発明の更なる態様は、トモシンセシスイメージングのための装置及びマンモグラフィ装置を有するX線医用イメージングシステムに関する。
【0009】
本発明の更なる態様はトモシンセシスイメージングのための方法であって、スキャンされる対象物の幾何学的三次元モデルに基づいてバイナリマスクを生成するステップと; 対象物の一続きの二次元投影画像をスキャンするステップと; 生成されるバイナリマスクをスキャンされる一続きの二次元投影画像に適用し、再構成される画像ボリュームの各々の範囲を幾何学的モデルのディメンションに制限するステップとを有する方法に関する。
【0010】
本発明は、制限される角度範囲による対象物の外側における画像アーチファクトの発生を克服するアプローチを提供する。真の減衰は回復され得ないため、このようなアーチファクトは対象物内においても、例えば低周波強度変動として現れる。
【0011】
本発明は、バイナリトモシンセシス再構成によって生成されるマスク画像を適用することによって、この問題を有利に解決する。
【0012】
本発明は、これらのX線のスペクトル情報を使用して、非ゼロ線積分値によりX線を有利に特定する。
【0013】
本発明は、マルチエネルギ投影データが基礎物質画像、例えば光電効果及びコンプトン効果による吸収に分解されることができる。これにより、有利なことに、ボリュームが2つの物質の混合物に分解されることができる場合、対象物を通じる各々の光線の長さの定量的表現力が可能になる。乳房組織はほとんどの場合、脂肪及び腺組織の混合物であるので、これは、マンモグラフィックボリュームの場合になる。分解はそれから、高さ及び腺として表されることができる。
【0014】
マルチエネルギ投影データが利用できない場合、ローカルな高さは、1つの組織タイプ、好ましくは脂肪組織が支配的なそれらの位置に対して従来の単一エネルギ投影データから推定されることもできる。他の位置に対する高さ情報はそれから、補間法によって得られることができる。
【0015】
このようなボリュームを通じての高さ又は長さ情報は、異なる角度で撮られる画像から利用可能であるので、スキャンされる対象物の外形を記述するバイナリ画像ボリュームは再構成されることができる。 要するにこの問題は概して、非決定論的多項式時間ハード、略して: NP-hardであるが、幾何学的な予備情報、例えば関連性、なめらかさ及び凸状制約を導入することによって緩和されることができる。 また、更なる境界条件は知られており: 乳房を通じた最大長さは圧迫高さによって与えられ、乳房の間の広い領域に渡って一定である。 更に、皮膚-線は、X線が皮膚に平行である点で正確に詳細に描出されることができる。
【0016】
この種の幾何学的な高さモデル情報は、バイナリ画像として表されることができる。このバイナリ画像はそれから、実際のトモシンセシス構成におけるマスクとして使われることができ、主要なX線方向における対象物範囲のより好適な再構成が可能になり、それゆえに、トモシンセシスは改善され、
-すべてのスライスに対する(すなわち3Dにおける)乳房輪郭の描出及び改善されるバックグランドマスキングが可能になり、
-乳房の端部の方への強度低下(後処理の厚さ等化/補償に対する必要性は与えられない)が回避され、
- 画像化される対象物、例えば、画像化される人間の乳房の内側及び外側における、結果としてもたらされる画像アーチファクトが低減される。
【0017】
言い換えると、本発明は有利なことに、スペクトル画像分解から長さ情報を使って三次元マスク画像を生成することを提案する。これは画像アーチファクトを除去し、厚み等化の必要性を克服する。
【0018】
本方法はトモシンセシス画像のために使われることができ、トモシンセシススキャンのカバレジの外側、さもなければ、限定される断層角度のために不可能である角度で効果的に「乳房の後ろから見る」ので、断層角度又は断層撮影角度は度で表されるチューブ移動の振幅になる。
【0019】
本発明の記載内において使われる用語「スキャンされる対象物」又は「画像化される対象物」は、例えば、人間の乳房を検査するためにマンモグラフィ又は高若しくは低エネルギX線を使う他の何れかのプロセスによって調査され、診断及びスクリーニングツールとして使われる、スキャンされるべき対象物又は他の何れかの対象物若しくは人体の部分に関する。
【0020】
用語「エネルギ分解X線画像」又は「スペクトルX線画像」は、何れかの種類のX線技術を用いて収集される画像と理解されてもよく、例えばエネルギ分解フォトンカウンティング検出器及び分類方法論を使用して、2種類より多くの物質が効率的に分離されることができる。具体的には、これは、関心エネルギ範囲においてK-吸収端を含む造影剤が対象物に存在する場合に適用される。この分離は、複数の閾値を備える、最近開発されたエネルギ分解フォトンカウンティング検出器の使用を介して可能になり、複数のエネルギにおけるX線減衰の同時測定が可能になる。
【0021】
バイナリマスクは、対象物の三次元、可能な場合、曲げられる、空間範囲を表す、スキャンされる対象物マスクの幾何学的三次元モデルに基づく。
【0022】
本発明の典型的な実施例によると、マスク生成器モジュールは、対象物のレーザスキャニングから導出される幾何学的モデルに基づいてバイナリマスクを生成するように構成される。 これは、投影画像からの強度情報に結合され得る。
【0023】
これは、有利なことに、スキャンされる対象物との、幾何学的三次元モデルの改善されたマッチングを提供する。
【0024】
本発明の典型的な実施例によると、マスク生成器モジュールは、対象物のスキャンされる一続きの二次元投影画像の少なくとも1つの二次元投影画像の画像解析から導出される幾何学的モデルに基づいてバイナリマスクを生成するように構成される。
【0025】
これは、有利なことに、スキャンされる対象物との、幾何学的三次元モデルの改善されたマッチングを提供する。
【0026】
本発明の典型的な実施例によると、マスク生成器モジュールは、対象物の少なくとも1つの二次元投影画像の強度プロファイルに基づいて対象物の幾何学的モデルを決定するように構成される。
【0027】
これは、有利なことに、スキャンされる対象物との、幾何学的三次元モデルの改善されたマッチングを提供する。
【0028】
本発明の典型的な実施例によると、画像取込みモジュールは、エネルギ分解X線画像を収集することができ、幾何学的モデルは、エネルギ分解二次元投影画像のスペクトル物質分解から得られる定量的高さモデルから導出される。
【0029】
本発明の典型的な実施例によると、マスク生成器モジュールは、機械式圧迫ユニットによって測定される対象物厚み値を使ってバイナリマスクを生成するように構成される。
【0030】
本発明の典型的な実施例によると、画像処理モジュールは、スキャンされる一続きの二次元投影画像の再構成プロシージャの間、生成されるバイナリマスクを適用するように構成される。
【0031】
本発明の方法を実行するコンピュータプログラムは、コンピュータ読取り可能な媒体に記憶され得る。 コンピュータ読取り可能な媒体は、フロッピーディスク、ハードディスク、CD、DVD、USB(ユニバーサルシリアルバス)記憶装置、RAM(ランダムアクセスメモリ)、ROM(リードオンリメモリ)及びEPROM(消去可能なプログラマブルリードオンリメモリ)であってもよい。 コンピュータ読取り可能な媒体は、プログラムコードをダウンロードすることを可能にするデータ通信ネットワーク、例えばインターネットであってもよい。
【0032】
ここに記載される方法、システム及びデバイスは、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、マイクロコントローラ、若しくは他の何れかのサイドプロセッサにおけるソフトウェアとして、又は特定用途向け集積回路(ASIC)内におけるハードウェア回路として実現されてもよい。本発明は、デジタル電子回路、又はコンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、若しくはそれらの組合せ、例えばここに記載される方法を処理するために専用化される新たなハードウェアにおいて実現され得る。
【0033】
本発明は、様々な画像処理アプリケーションにおける画像再構成の使用のために実施されることができ、画像変更及びセグメンテーションタスクのためのこの変換の有用性を示すことを目的とする。
【0034】
本発明及びその付随する利点のより完全な評価は、寸法は異なる以下の概略図を参照することによってより明らかに理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の典型的な実施例によるトモシンセシスイメージングのための装置の概略図を示す。
図2】本発明の典型的な実施例によるトモシンセシスイメージングのための方法の概略フローチャート図を示す。
図3】本発明の典型的な実施例によるマンモグラフィ装置及びトモシンセシスイメージングのための装置を有するX線医用イメージングシステムの概略図を示す。
図4】本発明を説明するための二次元投影画像を示す。
図5】本発明を説明するための他の二次元投影画像を示す。
図6】本発明を説明するための他の二次元投影画像を示す。
図7】本発明を説明するための逆投影を示す。
図8】本発明を説明するための他の逆投影を示す。
図9】本発明を説明するための他の逆投影を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図面内における例は、全く図的であり、スケーリング関係又はサイズ情報の提供を意図するものではない。 異なる図面において、類似又は同一の要素は、同じ参照番号を備える。 通常、同一のパーツ、ユニット、実体又はステップは、詳細な説明において同じ参照符号を備える。
【0037】
図1は、本発明の典型的な実施例によるトモシンセシスイメージングのための装置の概略図を示す。
【0038】
トモシンセシスイメージングのための装置100は、スキャンされる対象物の幾何学的三次元モデルに基づいてバイナリマスクを生成するように構成されるマスク生成器モジュール101を有してもよい。
【0039】
装置100は、対象物の一続きの二次元投影画像をスキャンするように構成される画像取込みモジュール102を更に有してもよい。
【0040】
さらに、本装置は、スキャンされる一続きの二次元投影画像から三次元画像ボリュームの再構成の間、生成されるバイナリマスクを適用し、再構成される画像ボリュームの範囲を幾何学的モデルの範囲に制限するように構成される画像処理モジュール103を有してもよい。
【0041】
図2は、本発明の典型的な実施例によるトモシンセシスイメージングのための方法の概略フローチャート図を示す。
【0042】
本方法は、ブロック図に関して視覚化される。 本方法は、三つのステップS1、S2及びS3を有してもよい。
【0043】
本方法の第一のステップとして、スキャンされる対象物の幾何学的モデルに基づいてバイナリマスクを生成するステップS1が実行される。
【0044】
本方法の第二のステップとして、対象物の一続きの二次元投影画像をスキャンするステップS2が実行される。 例えばスキャンされる対象物の幾何学的モデルが、前記一続きをスキャンするステップS2においてスキャンされる、生成投影画像に基づく場合、前記一続きをスキャンするステップS2は、バイナリマスクを生成するステップS1に先行して実行されてもよい。例えば図2の概略フローチャート図に図示されるように、バイナリマスクが、機械式圧迫ユニットによって測定される対象物厚み値から生成される場合、スキャンするステップS2は、バイナリマスクを生成するステップS1に後続して実行されてもよい。
【0045】
本方法の第三のステップとして、生成されるバイナリマスクをスキャンされる一続きの二次元投影に適用し、画像の各々の範囲を幾何学的モデルのディメンションに制限するステップS3が実行される。
【0046】
本発明の典型的な実施例によると、これらのステップは同時に実行されるか、複数のオペレーション若しくはタスクに分割されるか、又は繰り返され得る。
【0047】
図3は、本発明の典型的な実施例によるマンモグラフィ装置及びトモシンセシスイメージングのための装置を有するX線医用イメージングシステムの概略図を示す。
【0048】
X線医用イメージングシステム300は、マンモグラフィ装置200及びトモシンセシスイメージングのための装置100を有してもよい。 本発明のさらに典型的な実施例によると、図3とは逆に、トモシンセシスイメージングのための装置は、マンモグラフィ装置200に一体化されてもよい。 さらにまた、図3の表現と対照的に、医療イメージングシステム300は、オペレータのコンピュータ又は制御ターミナルを更に有してもよい。 マンモグラフィ装置200は、マンモグラフィ又は生検の間、乳房を圧迫するために2枚のプレートを含み得る機械式圧迫ユニットを有してもよい。
【0049】
プロシージャの間、乳房は専用のマンモグラフィ装置を使って圧迫される。 機械式圧迫ユニットの平行プレート圧迫は、X線が透過しなければならない組織の厚みを減らし、散乱放射線の量を減少させ(散乱は画質を低下させる)、必要とされる放射線ドーズを減らし、動きぼけを防ぐ乳房スチルを保持することによって画質を向上させるために乳房組織の厚みを平らにする。診断マンモグラフィは、特定の関心領域の、幾何学的に拡大され、点圧迫されるビューを含む、頭蓋尾部、中間横斜め及び他のビューを含み得る。
【0050】
図4-6は、スペクトルマンモグラフィデータの分解を示し、図4は、本発明を説明するための二次元投影画像を示す。図4において、マンモグラムデータは、少なくとも2つの異なるエネルギ範囲で測られる。 図5はスペクトルマンモグラムの、高さ画像への分解を示し、値はmmで与えられる。 図6は、スペクトル分解によっても得られる、腺画像を例示し、腺組織のパーセンテージを示す。
【0051】
本発明のさらに典型的な実施例によると、高さ情報が使われ、三次元乳房形状を計算するために異なる角度からとられる。
【0052】
図7-9は、トモシンセシス画像ボリュームを通じて断面を示す、本発明を説明するための逆投影法を示し、主要なX線方向は上から下である。
【0053】
図7は、楕円対象物、例えばダークグレイで陰影付けられる乳房を通じての断面のトモシンセシス再構成を示す。対象物の空間範囲は、主要なX線方向において再構成されることができず、アーチファクトがもたらされ、X線はライトグレイ領域によって表されるが、対象物内におけるアーチファクトによっても表される。図8は、アーチファクトを低減し得るバックグラウンド光線の識別によってのみ得られるバイナリマスクを使う再構成を示す。図9は、バイナリスペクトルトモシンセシスとともに図5におけるスペクトル高さ画像によって、幾何学的モデルから生成されるバイナリマスクを使用し、真の対象物輪郭を回復し、従って対象物内におけるアーチファクトも低減する再構成を示す。
【0054】
用語「バイナリスペクトルトモシンセシス」は、スペクトルマンモグラフィ投影画像を使用して対象物の空間範囲を表すバイナリ三次元ボリュームの再構成を指す。
【0055】
本発明の別の例示的な実施形態では、適当なシステムにおいて、前述した実施形態のいずれかによる本方法の方法ステップを実行するように適合されたコンピュータプログラム又はコンピュータプログラム要素が提供される。
【0056】
本発明のさらに典型的な実施例によれば、コンピュータプログラム要素はそれ故に、本発明の実施形態の部分ともなり得るコンピュータ装置に保存される。このコンピュータ装置は、上述した本方法のステップを実行するか、又はこの実行を誘導するように適合してもよい。
【0057】
また、コンピュータ装置は、上述した装置の構成要素を動作するように適合される。コンピュータ装置は、自動的に動作する及び/又はユーザの命令を実行するように適合されることができる。コンピュータプログラムを、データプロセッサの作業メモリにロードしてもよい。従って、データプロセッサは、本発明の方法を実施するように装備してもよい。
【0058】
本発明のこの例示的な実施形態では、最初から本発明を使用するコンピュータプログラムと、アップデートにより、既存のプログラムを、本発明を使用するプログラムに変えるコンピュータプログラムとの両方を網羅する。
【0059】
さらに、コンピュータプログラム要素は、上述した本方法の例示的な実施形態のプロシージャを充足するために必要な全てのステップを提供することができる。
【0060】
本発明の更なる例示的な実施形態によれば、CD−ROM等のコンピュータ可読媒体が、提示され、ここでこのコンピュータ可読媒体は、その上に記憶されたコンピュータプログラム要素を有しており、コンピュータプログラム要素は、前の段落で説明している。
【0061】
本発明は、例えば、乳房イメージング、胸部イメージング又は歯科イメージングのような異なる医用分野におけるX線トモシンセシスのために使われ得る。コンピュータプログラムは、光学記憶媒体又は他のハードウェアと共に又は部分として供給される固体媒体等の適切な媒体上に記憶され及び/又は分布されるだけでなく、インターネットや他の有線又は無線通信システム等を介して他の形態で配布してもよい。
【0062】
しかしながら、コンピュータプログラムは、ワールドワイドウェブのようなネットワークを介して提供してもよく、このようなネットワークからデータプロセッサの作業メモリ内にダウンロードされ得る。
【0063】
本発明の更なる例示的な実施形態によれば、コンピュータプログラム要素をダウンロードするのを利用可能にする媒体が提供され、コンピュータプログラム要素は、本発明の前述した実施形態のいずれかによる方法を実行するように構成される。
【0064】
なお、本発明の実施形態は、様々な主題を参照して説明していることに留意されたい。特に、いくつかの実施形態は、方法クレームを参照して説明しているが、他の実施形態は、装置クレームを参照して説明している。
【0065】
しかしながら、当業者は、特に断らない限り、1つのタイプの主題に属する特徴の任意の組合せに加えて、異なる主題に関する特徴同士の間の任意の組合せも、本願に開示されているとみなされることを上記及び以下の説明から推量するだろう。しかしながら、全ての特徴は、特徴の単純な総和よりも大きな相乗効果を提供するように組み合わせることができる。
【0066】
本発明について、図面及び前述の説明において詳細に図示し且つ説明してきたが、このような図示及び説明は、例又は例示としてみなすべきであり、限定的なものとしてみなすべきではない。本発明は、開示された実施形態に限定されるものではない。開示された実施形態に対する他の変形形態は、当業者によって、図面、明細書の開示、及び従属請求項の検討から、特許請求の範囲に記載された発明を実施する際に理解され且つ達成することができる。
【0067】
特許請求の範囲において、「備える、有する、含む(comprising)」という用語は、他の要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「1つの(a, an)」は、複数を除外するものではない。単一のプロセッサ又は他のユニットは、特許請求の範囲に記載されるいくつかのアイテムの機能を充足することができる。特定の手段が互いに異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これら手段の組合せが有利に使用できないことを示すものではない。請求項におけるいかなる参照符号も、特許請求の範囲を限定するものとして解釈すべきではない。
図1
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図9