(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記顧客特定手段は、ユーザの要求に応じた金融価値観および属性の顧客を、顧客の属性を示す予め記憶された顧客属性情報と、前記金融価値観推定手段で推定された金融価値観に基づいて特定する、
ことを特徴とする請求項1に記載のマーケティング装置。
前記表示手段は、前記顧客特定手段で特定された顧客の情報を、顧客の属性を示す予め記憶された顧客属性情報と対応付けて、商品提案対象の顧客として表示する提案先表示手段を含む、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のマーケティング装置。
類似度算出手段が、予め記憶されたサンプル情報と、予め記憶されている顧客の取引情報とに基づいて、前記顧客の行動に対応する類似度を算出する類似度算出ステップと、
金融価値観推定手段が、前記類似度算出ステップで算出された類似度に基づいて所定の演算を行うことで前記顧客の金融に対する考え方の指標値である金融価値観を推定する金融価値観推定ステップと、
顧客特定手段が、前記金融価値観推定ステップで推定された金融価値観に基づいて、ユーザの要求に応じた金融価値観の顧客を特定する顧客特定ステップと、
表示手段が、前記顧客特定ステップで特定された顧客の情報を表示する表示ステップと、を備え、
前記サンプル情報には、行動内容を示す行動情報と、該行動内容に対応する金融価値観を示す金融価値観情報とが含まれ、
前記類似度算出ステップでは、前記サンプル情報に含まれる前記行動情報と前記顧客の取引情報とを比較して前記顧客の行動に対応する類似度を算出し、
前記金融価値観推定ステップでは、前記サンプル情報に含まれる前記金融価値観情報に対し、前記類似度に基づいて所定の演算を行うことで前記顧客の金融価値観を推定し、
前記表示ステップは、前記顧客特定ステップで特定された顧客の金融価値観の平均値と、予め定められた人数の顧客の金融価値観の平均値と、の乖離度を算出して前記予め定められた人数の顧客の金融価値観の平均値と該算出結果を対応付けてグラフ表示するグラフ表示ステップを含む、
ことを特徴とするマーケティング方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、非特許文献1に記載のマーケティング手法では、イベントの発生を商品提案の契機としているため、イベントが発生する度に商品が顧客に提案される。そのため、当該提案した商品が成約に至るか否かは顧客の価値観に左右されてしまう。すなわち、顧客の価値観が考慮されておらず、顧客のニーズに合わせたマーケティングを行うという点からすると未だ十分ではなかった。
【0005】
本発明は、上述のような事情に鑑みてなされたものであり、顧客のニーズに合わせたマーケティングを行うことができるよう、顧客の価値観を可視化できるマーケティング装置、マーケティング方法およびプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係るマーケティング装置は、
予め記憶されたサンプル情報(例えば価値観行動リスト113など)と、予め記憶されている顧客の取引情報(例えば取引情報111など)とに基づいて、前記顧客の行動に対応する類似度を算出する類似度算出手段(例えばステップS102の処理など)と、
前記類似度算出手段で算出された類似度に基づいて所定の演算を行うことで前記顧客の金融に対する考え方の指標値である金融価値観を推定する金融価値観推定手段(例えばステップS103の処理など)と、
前記金融価値観推定手段で推定された金融価値観に基づいて、ユーザの要求に応じた金融価値観の顧客を特定する顧客特定手段(例えばステップS501やステップS502の処理など)と、
前記顧客特定手段で特定された顧客の情報を表示する表示手段(例えばステップS501やステップS502の処理など)と、を備え、
前記サンプル情報には、行動内容を示す行動情報と、該行動内容に対応する金融価値観を示す金融価値観情報とが含まれ(例えば
図4など)、
前記類似度算出手段は、前記サンプル情報に含まれる前記行動情報と前記顧客の取引情報とを比較して前記顧客の行動に対応する類似度を算出し(例えばステップS102の処理など)、
前記金融価値観推定手段は、前記サンプル情報に含まれる前記金融価値観情報に対し、前記類似度に基づいて所定の演算を行うことで前記顧客の金融価値観を推定
し(例えばステップS406の処理など)、
前記表示手段は、前記顧客特定手段で特定された顧客の金融価値観の平均値と、予め定められた人数の顧客の金融価値観の平均値と、の乖離度を算出して前記予め定められた人数の顧客の金融価値観の平均値と該算出結果を対応付けてグラフ表示するグラフ表示手段を含む、
ことを特徴とする。
【0007】
前記顧客特定手段は、ユーザの要求に応じた金融価値観および属性の顧客を、顧客の属性を示す予め記憶された顧客属性情報と、前記金融価値観推定手段で推定された金融価値観に基づいて特定する(例えばステップS601やステップS701にて対象となる属性の顧客の価値観推定リスト117のみを抽出するなど)、
ようにしてもよい。
【0008】
前記表示手段は、前記顧客特定手段で特定された顧客の情報を、顧客の属性を示す予め記憶された顧客属性情報と対応付けて、商品提案対象の顧客として表示する提案先表示手段(例えばステップS703の処理など)を含む、
ようにしてもよい。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係るマーケティング方法は、
類似度算出手段が、予め記憶されたサンプル情報(例えば価値観行動リスト113など)と、予め記憶されている顧客の取引情報(例えば取引情報111など)とに基づいて、前記顧客の行動に対応する類似度を算出する類似度算出ステップ(例えばステップS102の処理など)と、
金融価値観推定手段が、前記類似度算出ステップで算出された類似度に基づいて所定の演算を行うことで前記顧客の金融に対する考え方の指標値である金融価値観を推定する金融価値観推定ステップ(例えばステップS103の処理など)と、
顧客特定手段が、前記金融価値観推定ステップで推定された金融価値観に基づいて、ユーザの要求に応じた金融価値観の顧客を特定する顧客特定ステップ(例えばステップS501やステップS502の処理など)と、
表示手段が、前記顧客特定ステップで特定された顧客の情報を表示する表示ステップ(例えばステップS501やステップS502の処理など)と、を備え、
前記サンプル情報には、行動内容を示す行動情報と、該行動内容に対応する金融価値観を示す金融価値観情報とが含まれ(例えば
図4など)、
前記類似度算出ステップでは、前記サンプル情報に含まれる前記行動情報と前記顧客の取引情報とを比較して前記顧客の行動に対応する類似度を算出し(例えばステップS102の処理など)、
前記金融価値観推定ステップでは、前記サンプル情報に含まれる前記金融価値観情報に対し、前記類似度に基づいて所定の演算を行うことで前記顧客の金融価値観を推定
し(例えばステップS406の処理など)、
前記表示ステップは、前記顧客特定ステップで特定された顧客の金融価値観の平均値と、予め定められた人数の顧客の金融価値観の平均値と、の乖離度を算出して前記予め定められた人数の顧客の金融価値観の平均値と該算出結果を対応付けてグラフ表示するグラフ表示ステップを含む、
ことを特徴とする。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の第3の観点に係るプログラムは、
コンピュータを、
予め記憶されたサンプル情報(例えば価値観行動リスト113など)と、予め記憶されている顧客の取引情報(例えば取引情報111など)とに基づいて、前記顧客の行動に対応する類似度を算出する類似度算出手段(例えばステップS102の処理など)、
前記類似度算出手段で算出された類似度に基づいて所定の演算を行うことで前記顧客の金融に対する考え方の指標値である金融価値観を推定する金融価値観推定手段(例えばステップS103の処理など)、
前記金融価値観推定手段で推定された金融価値観に基づいて、ユーザの要求に応じた金融価値観の顧客を特定する顧客特定手段(例えばステップS501やステップS502の処理など)、
前記顧客特定手段で特定された顧客の情報を表示する表示手段(例えばステップS501やステップS502の処理など)、として機能させ、
前記サンプル情報には、行動内容を示す行動情報と、該行動内容に対応する金融価値観を示す金融価値観情報とが含まれ(例えば
図4など)、
前記類似度算出手段は、前記サンプル情報に含まれる前記行動情報と前記顧客の取引情報とを比較して前記顧客の行動に対応する類似度を算出し(例えばステップS102の処理など)、
前記金融価値観推定手段は、前記サンプル情報に含まれる前記金融価値観情報に対し、前記類似度に基づいて所定の演算を行うことで前記顧客の金融価値観を推定
し(例えばステップS406の処理など)、
前記表示手段は、前記顧客特定手段で特定された顧客の金融価値観の平均値と、予め定められた人数の顧客の金融価値観の平均値と、の乖離度を算出して前記予め定められた人数の顧客の金融価値観の平均値と該算出結果を対応付けてグラフ表示するグラフ表示手段を含む、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、顧客の価値観が可視化されるため、顧客のニーズに合わせたマーケティングを行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本実施の形態におけるマーケティング装置は、銀行や証券会社などの金融機関に設置されている一般的なコンピュータであり、
図1に示すように、記憶部110と、制御部120と、入出力部130と、通信部140と、これらを相互に接続するシステムバス(図示省略)と、を備えている。また、当該マーケティング装置は、複数のATM(Automated Teller Machine/現金自動預払機)や窓口端末などと相互に通信可能に接続されている。ATMは、金融機関の店舗や駅やコンビニエンスストアなどの店舗等に設置されている。窓口端末は、例えば金融機関の窓口業務を行う係員が操作する端末である。
【0015】
記憶部110は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等を備える。ROMは制御部120のCPUが実行するプログラム及び、プログラムを実行する上で予め必要なデータを記憶する。RAMは、プログラム実行中に作成されたり変更されたりするデータを記憶する。記憶部110は、制御部120が実行するプログラムが用いる主要な情報として、取引情報111、顧客属性情報112、価値観行動リスト113、行動点数リスト114、点数分配表115、類似度一覧表116、価値観推定リスト117、見込み客一覧表118を記憶する。
【0016】
取引情報111は、顧客ごとの取引履歴を示す情報であり、顧客ごとに記憶されている。具体的に、取引情報111は、
図2に示すように、振り込みが行われたことや入出金が行われたことなど、当該顧客口座に関して行われた取引に関する情報を時系列で記憶するデータベースである。当該取引情報は、当該顧客口座に対して何らかの処理(変動)が行われる度に、日時情報に対応付けて記憶される。なお、図示する例では、理解を容易にするため、取引情報111として記憶されている項目を簡略化したが、取引情報111には、例えば、どこへ振込みを行ったかといった振込先の情報や、どこから振り込まれたかといった振込元の情報、手数料に関する情報、現在の残高の情報など、取引における詳細な情報などが記憶されている。なお、当該取引情報111は、例えばATMや窓口端末から、行われた取引の内容を受信して記憶される。
【0017】
顧客属性情報112は、
図3に示すように、顧客ID(顧客を一意に識別できる情報)や氏名や口座番号などの口座情報と、住所や電話番号や年齢などの顧客の個人情報とを含むデータベースである。当該顧客属性情報112は、口座開設が行われた際に記憶される。なお、新たに口座開設が行われる度に当該データベースである顧客属性情報112は更新されるが、例えば、口座解約や住所変更など、顧客に対する変動が生じた場合にも顧客属性情報112は更新される。なお、図示する例では、理解を容易にするため、取引情報111として記憶されている項目を簡略化したが、例えば、勤務先や家族構成、住宅ローンの有無やカードローンの有無、保険や投資信託の購入回数、家族口座の番号など、顧客属性情報112には、図示する項目の他にも複数の項目が記憶されている。すなわち、顧客属性情報112には、当該顧客IDにより示される顧客に関する様々な情報(金融に関する情報)が記憶されている。
【0018】
価値観行動リスト113は、
図4に示すように、顧客に対する金融価値観の点数とそれに対応する行動内容の点数とを示す情報であり、顧客ごとに予め記憶されている。金融価値観は、貯蓄に対する考えや運用に対する考えなど、顧客個人の金融に対する考え方を示す情報であり、当該金融価値観の点数は、顧客個人の金融に対する考え方の指標値である。具体的に、価値観行動リスト113は、金融価値観に関する項目と行動に関する項目について、複数の顧客に対してインターネットを介して事前に行われた4択のアンケート(
図5参照)の集計結果を示す情報である。この実施の形態における金融価値観としては、
図4に示すように、「貯蓄に対する価値観」、「運用に対する価値観」、「借金に対する価値観」、「消費に対する価値観」、「保険に対する価値観」などといった分類(大分類)の金融価値観が設定されている。また、
図4に示すように当該大分類をさらに細かく分類した複数の小分類ごとに、
図5に示すアンケートの設問が対応して割り当てられており、当該設問の回答結果に応じて(集計して)、小分類ごとに1〜4の点数が割り当てられている。なお、
図4に示す小分類の数と
図5に示すアンケートの設問数は1対1であっても、そうでなくてもよい(小分類ごとに対応する設問数が異なっていてもよい)。
【0019】
また、
図4に示すように、行動内容についても同様に、上述した金融価値観に対応して「貯蓄に対する行動」、「運用に対する行動」、「借金に対する行動」、「消費に対する行動」、「保険に対する行動」といった分類(大分類)の行動内容が設定されている。また、
図4に示すように当該大分類をさらに細かく分類した複数の小分類ごとに、
図5に示すアンケートの設問が対応して割り当てられており、当該設問の回答結果に応じて(集計して)、小分類ごとに1〜4の点数が割り当てられている。なお、
図4に示す小分類の数と
図5に示すアンケートの設問数は1対1であっても、そうでなくてもよい(小分類ごとに対応する設問数が異なっていてもよい)。なお、この実施の形態では、1000名分の価値観行動リスト113が記憶されているものとする(
図5に示すアンケートを1000名に行ったものとする)。
【0020】
図5は、複数の顧客に対してインターネットを介して事前に行われるアンケートの内容を示している。上述したように、当該アンケートは、
図4に示す価値観行動リスト113を作成する際に用いられる。図示するように、この実施の形態におけるアンケートは、金融価値観に関する質問事項と、行動内容に関する質問事項とに、それぞれ50問ずつ用意されている。また、図示するように、金融価値観に関する質問事項の設問1〜3の回答結果が、
図4の小分類における「貯蓄に対する価値観」の点数を算出する際に用いられる。また、行動内容に関する質問事項の設問1の回答が、
図4の小分類における「貯蓄額」の点数を算出する際に用いられ、設問2の回答が、
図4の小分類における「ATM有料出金数」の点数を算出する際に用いられる。このように、
図4の小分類を算出する際に用いられる設問数は当該小分類の内容によって異なっている。
【0021】
なお、例えば、金融価値観に関する質問事項の設問1の回答結果が「A」であれば「4点」、「B」であれば「3点」、「C」であれば「2点」、「D」であれば「1点」、設問2の回答結果が「A」であれば「3点」、「B」であれば「4点」、「C」であれば「1点」、「D」であれば「2点」、などといったように、それぞれの設問につき回答結果に応じて予め1〜4の点数が設定されており、それぞれの点数の平均値が
図4における各小分類の点数となる(金融価値観に関する質問事項の設問1〜3の点数の平均値が
図4の「貯蓄額」の小分類に対応する金融価値観の点数となる)。なお、一つの質問事項の回答が、複数の小分類の点数の算出に用いられてもよい。なお、当該アンケートは定期的(例えば3年ごと)に再度行われるため、再度行われた際には
図5に示す価値観行動リスト113が更新される。また、新たに100名に対してアンケートが行われた場合には、新たに100名分の価値観行動リストが記憶され、合わせて1100名分の価値観行動リストが記憶されることとなる。
【0022】
行動点数リスト114は、顧客個人の実際の行動を数値化したリストであり、
図6に示すように、予め定められた各行動データに対してそれぞれ1〜4までの点数が付与された情報である。各行動データは、
図4に示す価値観行動リスト113における行動内容の項目の小分類に分類される内容と同内容のデータとなっている。行動点数リスト114は、後述する制御部120の行動点数リスト作成部121により作成される。
図6に示す行動点数リスト114は、取引情報111により示される顧客の数分記憶される(顧客の数に対応した数の行動点数リスト114が記憶される)。なお、後述するように、行動点数リスト114の各行動データに対応する点数は、取引情報111から各行動データに対応する取引内容を集計して付与されるが、行動データに対応する取引内容が存在しない場合には点数が付与されないことがある。
【0023】
点数分配表115は、
図7に示すように、行動データごとに取引内容の集計結果に応じて予め1〜4の点数が割り当てられているテーブルである。点数分配表115は、予め記憶部110に記憶されており、後述する行動点数リスト作成部121における行動点数リスト作成処理にて参照される。
【0024】
類似度一覧表116は、
図8に示すように、顧客に対して価値観行動リスト番号「1」〜「1000」の全ての価値観行動リスト113における行動内容の類似度が示されたテーブルであり、顧客ごとに記憶される。類似度は、当該顧客に対応する取引情報により示される行動(実際に行われた行動)と、価値観行動リスト113における行動内容の小分類で示される行動とがどの程度類似するかを示す値であり、後述する類似度算出処理にて算出される。類似度一覧表116は、後述する類似度算出処理により作成される。
【0025】
価値観推定リスト117は、取引情報111により示される顧客の金融価値観の推定情報である。価値観推定リスト117には、
図9に示すように、金融価値観データごとに1〜4の点数の推定値が設定されており、当該点数の推定値は、後述する類似性分析部122により算出された類似度に基づいて(
図8に示す類似度一覧表116に基づいて)設定される。価値観推定リスト117は、後述する価値観推定リスト作成処理により作成される。金融価値観データは、
図4に示す価値観行動リスト113における金融価値観の項目の小分類に分類される内容と同内容のデータとなっている。
【0026】
見込み客一覧表118は、
図11に示すように、商品提案を行う対象となる顧客(見込み客)の情報が示されたテーブルである。見込み客一覧表118は、後述する見込み客一覧表作成処理により作成される。
【0027】
制御部120は、CPU(Central Processing Unit)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等から構成される。制御部120は、記憶部110に記憶されたプログラムに従って動作し、当該プログラムに従った処理を実行する。制御部120は、記憶部110に記憶されたプログラムに従って動作する。制御部120は、記憶部110に記憶されたプログラムにより提供される主要な機能部として、行動点数リスト作成部121と、類似性分析部122と、価値観推定リスト作成部123と、可視化情報生成部124と、見込み客抽出部125と、を備える。
【0028】
行動点数リスト作成部121は、記憶部110に記憶されている取引情報111を参照して、
図6に示す行動点数リスト114を作成する(行動点数リスト作成処理)。具体的に、行動点数リスト作成部121は、予め定められた各行動データに対応する取引内容を、取引情報111を参照して順に集計し、予め記憶部110に記憶された点数分配表115(
図7参照)に基づいて各行動データに対応する点数を付与して行動点数リスト114を生成する。例えば、「ATM有料出金回数」の行動データに対応する点数を付与する場合を例に説明すると、行動点数リスト作成部121は、
図2に示す取引情報111を参照して、ATMの手数料が有料となる時間に該当する「出金」の行動内容の数を集計する。なお、この実施の形態における「ATM有料出金回数」とは、ATMの手数料が有料な時間帯(土日祝日の場合も含む)の1か月間の出金回数とする。そして、
図7に示す点数分配表を参照して、集計結果が「0」〜「1」であれば「4点」を付与し、「2」〜「4」であれば「3点」を付与し、「5」〜「9」であれば「2点」を付与し、「10以上」であれば「1点」を付与する。点数分配表115は、
図7に示すように、各集計結果に対応して1〜4の点数が割り当てられているテーブルであり、予め記憶部110に記憶されている。行動点数リスト作成部121は、取引情報111が記憶されている顧客全員分の行動点数リスト114を作成する。
【0029】
類似性分析部122は、行動点数リスト作成部121で作成された行動点数リスト114における各行動データの点数と、記憶部110に予め記憶されている全ての価値観行動リスト113における行動内容の各小分類の点数とを比較して類似度を算出する(類似度算出処理)。なお、この実施の形態では、上述したように1000名分の価値観行動リストが記憶されているため、類似性分析部122は、一個の行動点数リスト114に対して1000個の価値観行動リスト113と比較してそれぞれの類似度を算出する。すなわち、
図8に示すように、一人の顧客の行動に対して1000名分の価値観行動リストの類似度を算出して類似度一覧表116を作成する。具体的に、類似性分析部122は、
図6に示す行動点数リスト114における「貯蓄額」の行動データの点数と、
図4に示す価値観行動リスト113における「貯蓄額」の小分類の点数とを、行動点数リスト114における「ATM有料出金回数」の点数と、価値観行動リスト113における「ATM有料出金回数」の小分類の点数とを、といったように、それぞれ対応する項目同士の点数を順に比較する。そして、例えば比較対象項目が全部で40項目ある場合(行動データが40種類ある場合)に、点数が全て一致する場合には類似度「100%」とし、全て異なる場合には類似度「0%」とし、10項目の点数のみ一致し、残りの30項目の点数が異なる場合には類似度「10%」とするなど、一致する割合を類似度として算出する。なお、全ての比較項目に対して1つの類似度を算出するのではなく、例えば、
図4に示す大分類に対応する項目ごとに類似度を算出してもよい。なお、類似度の算出方法は一例であり、取引情報111により示される顧客の実際の行動と、価値観行動リスト113における行動内容の小分類で示される行動とがどの程度類似するかを示すことができれば、上記の算出方法に限られず任意の算出方法により算出されてよい。例えば、行動点数リスト114における各行動データの点数の合計と、価値観行動リスト113における行動内容の各小分類の点数の合計との差の絶対値を求め、当該絶対値を各行動データの点数の合計で除算して1から差し引いた値に100を乗じた値を類似度としてもよい。
【0030】
価値観推定リスト作成部123は、類似性分析部122により算出された類似度に基づいて、当該類似度の算出対象となった顧客それぞれについて、金融価値観データ(価値観行動リスト113における金融価値観の各小分類に対応する項目;
図9参照)の点数を価値観行動リスト113に基づいて推定し、価値観推定リスト117を作成する(価値観推定リスト作成処理)。具体的に、価値観推定リスト作成部123は、1000個の価値観行動リスト113における金融価値観の各小分類の点数を、類似度に応じて重み付けして演算を行うことにより、対象顧客の各金融価値観データの点数を推定し、価値観推定リスト117を作成する。
【0031】
なお、本来は価値観行動リスト番号1〜価値観行動リスト番号1000の全てが対象となるが、理解を容易にするため、価値観行動リスト番号「1」、価値観行動リスト番号「600」、価値観行動リスト番号「1000」の3つの価値観行動リスト113を対象とした場合を例に説明すると、価値観推定リスト作成部123は、以下のようにして顧客ID「50001001」に該当する顧客の価値観推定リスト117を作成する。
図8に示すように、顧客ID「50001001」に該当する顧客の行動は、価値観行動リスト番号「1」に該当する価値観行動リスト113の行動内容と80%類似し、価値観行動リスト番号「600」に該当する価値観行動リスト113の行動内容と10%類似し、価値観行動リスト番号「1000」に該当する価値観行動リスト113の行動内容と30%類似する。そこで、価値観推定リスト作成部123は、価値観行動リスト番号「1」に該当する価値観行動リスト113における金融価値観の小分類の各点数に80/(80+10+30)を乗じた値と、価値観行動リスト番号「600」に該当する価値観行動リスト113における金融価値観の小分類の各点数に10/(80+10+30)を乗じた値と、価値観行動リスト番号「1000」に該当する価値観行動リスト113における金融価値観の各点数に30/(80+10+30)を乗じた値の、同一小分類同士の和を、顧客ID「50001001」に該当する顧客の各金融価値観データの点数として推定し、価値観推定リスト117を作成する。すなわち、価値観行動リスト番号「1」に該当する価値観行動リスト113における金融価値観の「貯蓄志向性」の小分類の点数に80/(80+10+300)を乗じた値と、価値観行動リスト番号「600」に該当する価値観行動リスト113における金融価値観の「貯蓄志向性」の小分類の点数に10/(80+10+30)を乗じた値と、価値観行動リスト番号「1000」に該当する価値観行動リスト113における金融価値観の「貯蓄志向性」の小分類の点数に30/(80+10+30)を乗じた値との和を、顧客ID「50001001」に該当する顧客における「貯蓄志向性」の点数とした価値観推定リスト117を作成する。なお、小数点以下は四捨五入するものとする。
【0032】
可視化情報生成部124は、例えば、投資信託契約者の金融価値観の傾向が知りたい、などのユーザ(例えば銀行員)の要求に対応して、価値観推定リスト作成部123で作成された価値観推定リスト117に基づいて、
図10に示すように、顧客全員の金融価値観の平均値を0とした場合における当該投資信託契約者の金融価値観の平均値をグラフ化する(可視化情報生成処理)。具体的に、可視化情報生成部124は、ユーザの要求が投資信託契約者の金融価値観の傾向が知りたいといった内容である場合には、価値観推定リスト作成部123で作成された全ての顧客に対する価値観推定リスト117のうち、投資信託契約者の価値観推定リスト117を抽出する。すなわち、可視化情報生成部124は、当該ユーザの要求に対応した価値観推定リスト117を抽出する。そして、抽出した価値観推定リスト117の各金融価値観データに対応する点数の平均値を算出し、それぞれの平均値が、全ての顧客に対する価値観推定リスト117の各金融価値観データの点数の平均値(基準値)とどの程度乖離しているかを算出し、当該算出結果を各金融価値観データと対応付けてグラフ化する。
【0033】
見込み客抽出部125は、例えば、投資信託未契約者の価値観推定リスト117から、可視化情報生成部124で算出された投資信託契約者の価値観推定リスト117の各金融価値観データに対応する点数の平均値に類似する価値観推定リスト117を抽出する。具体的に、見込み客抽出部125は、類似度が80%以上であるなど、予めユーザにより事前に指定された類似度以上の価値観推定リスト117を抽出する。例えば、金融価値観データが40項目ある場合、見込み客抽出部125は、投資信託未契約者の価値観推定リスト117における各金融価値観データとそれに対応する点数を参照し、投資信託契約者の価値観推定リスト117における金融価値観データの点数と32項目以上一致する(類似度が80%以上である)価値観推定リスト117を抽出する。なお、類似度の算出方法は一例であり、各金融価値観データがどの程度類似している(近い値である)かを示すことができれば、上記の算出方法に限られず任意の算出方法により算出されてよい。例えば、投資信託未契約者の価値観推定リスト117の各金融価値観データの点数の合計と、投資信託契約者の価値観推定リスト117の各金融価値観データの点数の合計との差の絶対値を求め、当該絶対値を投資信託未契約者の点数の合計で除算して1から差し引いた値に100を乗じた値を類似度としてもよい。また、見込み客抽出部125は、抽出した全ての投資信託未契約者の価値観推定リスト117の顧客IDを参照し、当該顧客IDにより示される顧客を見込み客として認定して、
図11に示す見込み客一覧表118を、顧客属性情報112に基づいて作成する(見込み客一覧表作成処理)。
【0034】
入出力部130は、キーボード、マウス、カメラ、マイク、液晶ディスプレイ、有機EL(Electoro−Luminescence)ディスプレイ等から構成され、データの入出力を行うための装置である。
【0035】
通信部140は、シリアルインタフェース、或いはアナログ信号を受信するためのアナログインタフェースを有している。通信部140は、制御部120による制御により、ATMや窓口端末と通信を行う。
【0036】
以上が、マーケティング装置100の構成である。続いてマーケティング装置100の動作について、
図12〜
図18を参照して説明する。マーケティング装置100は、上述したように、行動点数リスト作成処理、類似度算出処理、価値観推定リスト作成処理、可視化情報生成処理、見込み客抽出処理、といった各種処理を実行可能である。なお、行動点数リスト作成処理、類似度算出処理、価値観推定リスト作成処理については、ユーザによる操作に応じて一連の処理(価値観推定処理;
図12)として実行される。また、可視化情報生成処理、見込み客抽出処理についても同様に、ユーザによる操作に応じて一連の処理(提案先顧客選出処理;
図16)として実行される。なお、ユーザによる操作に応じて、行動点数リスト作成処理、類似度算出処理、価値観推定リスト作成処理、可視化情報生成処理、見込み客抽出処理、といった各種処理が、一連の処理として実行されてもよい。
【0037】
図12は、価値観推定処理の一例を示すフローチャートである。上述したように、当該価値観推定処理は、ユーザによる入出力部130に対する操作(例えば、価値観推定処理実行ボタンを選択する操作など)により開始される。価値観推定処理を実行すると、制御部120は、行動点数リスト作成部121の機能により行動点数リスト作成処理を実行する(ステップS101)。ステップS101の処理を実行した後、制御部120は、類似性分析部122の機能により類似度算出処理を実行する(ステップS102)。ステップS102の処理を実行した後、制御部120は、価値観推定リスト作成部123の機能により価値観推定リスト作成処理を実行して(ステップS103)、価値観推定処理を終了する。当該価値観推定処理が実行されることで、顧客一人一人の金融価値観が推定されることとなる。
【0038】
図13は、
図12のステップS101にて行われる行動点数リスト作成処理の一例を示すフローチャートである。
図12に示す行動点数リスト作成処理において、行動点数リスト作成部121は、まず、記憶部110に記憶されている取引情報111のうち、任意の顧客(対象顧客)に対応する取引情報111を参照し(ステップS201)、予め定められた行動データ(価値観行動リスト113における行動内容の小分類の項目と同項目のデータ)に対応する取引内容を集計する(ステップS202)。続いて行動点数リスト作成部121は、予め記憶部110に記憶された点数分配表115を参照して(ステップS203)、ステップS202で集計した集計結果に基づいて各行動データに対応する点数を付与し(ステップS204)、対象顧客に対応する行動点数リスト114を作成する。
【0039】
ステップS204の処理を実行した後、行動点数リスト作成部121は、記憶部110に記憶されている全ての顧客の取引情報111を参照して処理を行ったか否かを判定する(ステップS205)。全ての顧客の取引情報111を参照済みであると判定した場合(ステップS205;Yes)、行動点数リスト作成処理を終了する。一方、全ての顧客の取引情報111を参照済みではないと判定した場合(ステップS205;No)、行動点数リスト作成部121は、ステップS201の処理に戻り、未処理の顧客に対応する取引情報111を参照して上記処理を繰り返し実行する。
【0040】
このように、行動点数リスト作成処理は、全ての顧客の取引情報111が参照されるまで(全ての顧客の行動データに点数が付与されるまで)繰り返し実行される。当該行動点数リスト作成処理により、
図6に示す行動点数リスト114が全ての顧客に対応して作成される。
【0041】
図14は、
図12のステップS102にて行われる類似度算出処理の一例を示すフローチャートである。
図14に示す類似度算出処理において、類似性分析部122は、まず、
図12のステップS101の行動点数リスト作成処理にて作成された行動点数リスト114のうち、任意の顧客に対する行動点数リストを参照する(ステップS301)。そして、記憶部110に予め記憶されている価値観行動リスト113を参照する(ステップS302)。この実施の形態では、上述したように、価値観行動リスト番号が「1」〜「1000」までの1000個の価値観行動リスト113が予め記憶されており、ステップS302の処理が最初に行われると、価値観行動リスト番号が「1」の価値観行動リスト113が参照される。
【0042】
続いて類似性分析部122は、ステップS301で参照した行動点数リスト114における各行動データの点数と、ステップS302で参照した価値観行動リスト113における行動内容の各小分類の点数とを比較して類似度を算出する(ステップS303)。ステップS303では、上述したように、
図6に示す行動点数リスト114における「貯蓄額」の行動データの点数と、
図4に示す価値観行動リスト113における「貯蓄額」の小分類の点数とを、行動点数リスト114における「ATM有料出金回数」の点数と、価値観行動リスト113における「ATM有料出金回数」の小分類の点数とを、といったように、それぞれ対応する項目同士の点数を順に比較する。そして、例えば比較対象項目が全部で40項目ある場合(行動データが40種類ある場合)に、点数が全て一致する場合には類似度「100%」とし、全て異なる場合には類似度「0%」とし、10項目の点数のみ一致し、残りの30項目の点数が異なる場合には類似度「10%」とするなど、一致する割合を類似度として算出する。また、ステップS303の処理では、価値観行動リスト113に算出した類似度を対応付けて
図8に示す類似度一覧表116を作成する。なお、上述したように、類似度の算出方法は任意である。
【0043】
ステップS303の処理を実行した後、類似性分析部122は、当該類似度算出の対象となった行動点数リスト114(対象顧客の行動点数リスト114)に対して全ての価値観行動リスト113を参照したか否かを判定する(ステップS304)。具体的に、この実施の形態では、1000名分の価値観行動リスト113が記憶されているため、ステップS304では、価値観行動リスト番号が「1」〜「1000」までの1000個全ての価値観行動リスト113を参照済みであるか否かを判定する。対象顧客の行動点数リストに対して全ての価値観行動リスト113を参照済みではないと判定した場合(ステップS304;No)、類似性分析部122は、ステップS302に戻り、参照済みの価値観行動リスト113の次の番号の価値観行動リスト113を参照し、上記の処理を繰り返し実行する。
【0044】
一方、対象顧客の行動点数リスト114に対して全ての価値観行動リスト113を参照済みであると判定した場合(ステップS304;Yes)、類似性分析部122は、全ての顧客の行動点数リスト114を参照したか否かを判定する(ステップS305)。全ての顧客の行動点数リスト114を参照済みであると判定した場合(ステップS305;Yes)、類似度算出処理を終了する。一方、全ての顧客の行動点数リスト114を参照済みではないと判定した場合(ステップS305;No)、類似性分析部122は、ステップS301の処理に戻り、未処理の顧客に対応する行動点数リスト114を参照して上記処理を繰り返し実行する。
【0045】
このように、類似度算出処理は、全ての顧客の行動点数リスト114が参照されるまで(全ての顧客の行動点数リスト114における各行動データの点数が全ての価値観行動リスト113における行動内容の各小分類の点数と比較されるまで)繰り返し実行される。当該類似度算出処理により、対象顧客における全ての価値観行動リスト113との類似度が、全ての顧客に対して算出され、
図8に示すような類似度一覧表116が顧客ごとに作成される。
【0046】
図15は、
図12のステップS103にて行われる価値観推定リスト作成処理の一例を示すフローチャートである。
図15に示す価値観推定リスト作成処理において、価値観推定リスト作成部123は、まず、任意の顧客(対象顧客)に対応する類似度一覧表116(
図8参照)を参照する(ステップS401)。続いて価値観推定リスト作成部123は、記憶部110に予め記憶されている価値観行動リスト113を参照する(ステップS402)。上述したように、この実施の形態では、価値観行動リスト番号が「1」〜「1000」までの1000個の価値観行動リスト113が予め記憶されており、ステップS402の処理が最初に行われると、価値観行動リスト番号が「1」の価値観行動リスト113が参照される。
【0047】
ステップS402の処理を実行した後、価値観推定リスト作成部123は、ステップS402にて参照した価値観行動リスト113の類似度が、全価値観行動リスト113の類似度に対して占める割合(影響割合)を算出する(ステップS403)。具体的に、ステップS403の処理では、ステップS402にて参照した価値観行動リスト113に対応する類似度を、価値観行動リスト番号が「1」〜「1000」の価値観行動リスト113それぞれに対応する類似度の和で除算した商を、影響割合として算出する。ステップS403の処理を実行した後、価値観推定リスト作成部123は、ステップS402にて参照した価値観行動リスト113における金融価値観の小分類の点数と当該影響割合との積を、当該小分類ごとに算出する(ステップS404)。
【0048】
ステップS404の処理を実行した後、価値観推定リスト作成部123は、ステップS401で参照した類似度一覧表116(対象顧客の類似度一覧表116)において(対象顧客に対して)全ての価値観行動リスト113を参照したか否かを判定する(ステップS405)。具体的に、この実施の形態では、1000名分の価値観行動リスト113が記憶されているため、ステップS405では、価値観行動リスト番号が「1」〜「1000」までの1000個全ての価値観行動リスト113を参照済みであるか否か(全ての価値観行動リスト113に基づいてステップS404までの処理を実行したか否か)を判定する。対象顧客に対して全ての価値観行動リスト113を参照済みではないと判定した場合(ステップS405;No)、価値観推定リスト作成部123は、ステップS402に戻り、参照済みの価値観行動リスト113の次の番号の価値観行動リスト113を参照し、上記の処理を繰り返し実行する。
【0049】
一方、対象顧客に対して全ての価値観行動リスト113を参照済みであると判定した場合(ステップS405;Yes)、価値観推定リスト作成部123は、ステップS404の処理における演算結果の小分類ごとの和を、対象顧客における金融価値観の推定値として算出し(ステップS406)、
図9に示す価値観推定リスト117として記憶する。本来であれば、一つの金融価値観の小分類に対して「1」〜「1000」の演算結果が存在するが、理解を容易にするため3つの演算結果のみである場合を例に説明すると、対象顧客における価値観行動リスト番号「1」を対象としたステップS404の演算結果(
図4に示す価値観行動リスト113における金融価値観の、各小分類の演算結果)のうち、ある小分類(「貯蓄志向性」の小分類)における演算結果(小数点第3位以下切り捨て)が「2.66」で、対象顧客における価値観行動リスト番号「600」を対象としたステップS404の演算結果のうち、同一小分類(「貯蓄志向性」の小分類)における演算結果が「0.33」で、対象顧客における価値観行動リスト番号「1000」を対象としたステップS404の演算結果のうち、同一小分類(「貯蓄志向性」の小分類)における演算結果が「1.00」であった場合、ステップS404の演算結果ステップS406の処理では、当該小分類(「貯蓄志向性」の小分類)における金融価値観の推定値を「2.66」と「0.33」と「1.00」の和(3.99)の、小数点以下を四捨五入した値である「4」とする。そして、算出した推定値に対応する小分類(「貯蓄志向性」の小分類)を
図9に示す金融価値観データ(「貯蓄志向性」の金融価値観データ)とし、当該推定値を対応付けて価値観推定リスト117として記憶する。
【0050】
ステップS405の処理を実行した後、価値観推定リスト作成部123は、全ての顧客に対して金融価値観の推定値を算出したか否かを判定する(ステップS407)。具体的に、ステップS407の処理では、全ての顧客の類似度一覧表116を参照済みであるか否かを判定する。全ての顧客に対して金融価値観の推定値を算出したと判定した場合(ステップS407;Yes)、全顧客の価値観推定リスト117におけるそれぞれの金融価値観データの点数の平均値を、基準値として算出して(ステップS408)、価値観推定リスト作成処理を終了する。一方、全ての顧客に対して金融価値観の推定値を算出していないと判定した場合(ステップS407;No)、価値観推定リスト作成部123は、ステップS401の処理に戻り、未処理の顧客に対応する類似度一覧表116を参照して上記処理を繰り返し実行する。なお、この実施の形態では、全ての顧客を対象として基準値を算出したが、ユーザの要求を満たす顧客(例えば、性別や地域、年齢など)など、全ての顧客でなく、一部の顧客を対象として基準値を算出してもよい。
【0051】
このように、価値観推定リスト作成処理は、全ての顧客の類似度一覧表116が参照されるまで(全ての顧客に対する金融価値観の推定値が算出されるまで)繰り返し実行される。したがって当該価値観推定リスト作成処理により、
図9に示すような価値観推定リスト117が顧客ごとに作成される。
【0052】
図16は、提案先顧客選出処理の一例を示すフローチャートである。上述したように、当該提案先顧客選出処理は、ユーザによる入出力部130に対する操作により開始される。具体的には、投資信託契約者の金融価値観の傾向が知りたい、などといったユーザの要求がユーザによる入出力部130に対する操作により選択されたことにより開始される。なお、ユーザの要求は予め複数種類用意されており、当該複数用意された中からユーザによる操作に応じていずれかが選択されればよい。提案先顧客選出処理を実行すると、制御部120は、可視化情報生成部124の機能により可視化情報生成処理を実行する(ステップ501)。ステップS501の処理を実行した後、制御部120は、見込み客抽出部125の機能により見込み客抽出処理を実行し(ステップS502)、提案先顧客選出処理を終了する。当該提案先顧客選出処理が実行されることで、ユーザの要求に応じた見込み客が選出されることとなる。
【0053】
図17は、
図16のステップS501の処理にて行われる可視化情報生成処理の一例を示すフローチャートである。
図17に示す可視化情報生成処理において、可視化情報生成部124は、
図12のステップS103の処理で作成された全ての顧客に対する価値観推定リスト117のうち、ユーザの要求に対応した価値観推定リスト117を全て抽出する(ステップS601)。そして、抽出した価値観推定リスト117により示される各金融価値観データの平均値を算出する(ステップS602)。ステップS601の処理では、例えば、ユーザの要求が投資信託契約者の金融価値観の傾向が知りたいといった内容である場合には、価値観推定リスト作成部123で作成された全ての顧客に対する価値観推定リスト117のうち、投資信託契約者の価値観推定リスト117を抽出し、ステップS602の処理にて、当該抽出された投資信託契約者の価値観推定リスト117における各金融価値観データの平均値を算出する。
【0054】
続いて可視化情報生成部124は、ステップS602の処理にて算出された各金融価値観データの平均値が、
図12のステップS103の処理で算出された全ての顧客に対する価値観推定リスト117の各金融価値観データの平均値(
図15のステップS408で算出された基準値)とどの程度乖離しているかを、金融価値観データごとに算出する(ステップS603)。すなわち、ステップS603の処理では、投資信託契約者の金融価値観データが顧客全体の金融価値観データとどの程度乖離しているかを算出する。具体的に、ステップS603の処理では、
図15のステップS408で算出した金融価値観データごとの基準値と、ステップS602で算出した各金融価値観データの平均値とを比較して、乖離度を算出する。
【0055】
ステップS603の処理を実行した後、可視化情報生成部124は、
図12のステップS103の処理で算出された全ての顧客に対する各金融価値観データの平均値(基準値)を「0」として、ステップS603の処理で算出した乖離度を、
図10に示すようにグラフ化する(ステップS604)。ステップS604の処理を実行した後、可視化情報生成部124は、可視化情報生成処理を終了する。このように、当該可視化情報生成処理により
図10に示すようにグラフ表示が行われるため、例えば投資信託契約者の金融価値観データが顧客全体の金融価値観データとどの程度乖離しているかを、ユーザが一見して把握することができる。すなわち、投資信託の契約に至る可能性が高い顧客の金融価値観の傾向を一見して把握することができる。
【0056】
図18は、
図16のステップS502の処理にて行われる見込み客抽出処理の一例を示すフローチャートである。
図18に示す見込み客抽出処理において、見込み客抽出部125は、
図16のステップS601の処理にて抽出された価値観推定リスト117以外の価値観推定リスト117の中から、予め指定されている類似度以上の価値観推定リスト117を抽出する(ステップS701)。例えば、
図16のステップS601にて抽出対象となった価値観推定リスト117が投資信託契約者の価値観推定リスト117であれば、ステップS701の処理では、投資信託未契約者の価値観推定リスト117の中から、予め指定されている類似度以上の価値観推定リスト117を抽出する。具体的に、金融価値観データが40項目ある場合、ステップS701の処理では、投資信託未契約者の価値観推定リスト117における各金融価値観データの点数を参照し、投資信託契約者の価値観推定リスト117における金融価値観データの点数と32項目以上一致する(予め指定されている類似度が80%である場合)価値観推定リスト117を抽出する。なお、上述したように、類似度の算出方法は任意であり、ステップS701の処理では、任意の算出方法により算出した類似度以上の価値観推定リスト117を抽出すればよい。
【0057】
ステップS701の処理を実行した後、見込み客抽出部125は、ステップS701で抽出した価値観推定リスト117の顧客IDに基づいて、当該顧客IDに対応する顧客属性情報112を特定する(ステップS702)。続いて見込み客抽出部125は、当該特定した顧客属性情報112により示される各種データを抽出して、
図11に示すような見込み客一覧表118を作成し(ステップS703)、見込み客抽出処理を終了する。このように、当該見込み客抽出処理により、投資信託を既に契約中の顧客の金融価値観と類似する金融価値観を持つ投資信託未契約者の一覧、すなわち、商品成約済みの顧客の金融価値観に類似する金融価値観を持つ顧客の一覧が、見込み客一覧表118として作成される。したがって、ユーザは当該見込み客一覧表118に示された顧客に対して商品提案を行うことで、より成約に至る可能性を向上させることができるとともに、顧客のニーズに合ったマーケティングを行うことができる。
【0058】
以上が、マーケティング装置100の動作である。このように、本実施の形態に係るマーケティング装置100は、行動点数リスト作成処理により、顧客個人の実際の行動を数値化し、類似度算出処理により、当該数値化した行動を予め記憶されている価値観行動リスト113の行動内容と比較して、行動の類似度を算出する。そしてマーケティング装置100は、価値観推定リスト作成処理により、顧客の金融価値観を推定して価値観推定リスト117を作成する。また、マーケティング装置100は、可視化情報生成処理により、このようにして作成された価値観推定リスト117を用いて、ユーザの要求に応じたグラフを表示するとともに、見込み客抽出処理により、当該ユーザの要求に応じた見込み客の一覧である見込み客一覧表を作成する。したがってユーザは、要求した内容を満たす顧客の金融価値観が顧客全体に対してどのような傾向となっているか、を一見して把握することが可能となるだけでなく、見込み客一覧表118に示された顧客に対して商品提案を行うことで、より成約に至る可能性を向上させることができるとともに、顧客のニーズに合ったマーケティングを行うことができる。
【0059】
(変形例)
なお、この発明は、上記実施の形態に限定されず、様々な変形及び応用が可能である。例えば、マーケティング装置100では、上記実施の形態で示した全ての技術的特徴を備えるものでなくてもよく、従来技術における少なくとも1つの課題を解決できるように、上記実施の形態で説明した一部の構成を備えたものであってもよい。また、下記の変形例それぞれについて、少なくとも一部を組み合わせても良い。
【0060】
上記実施の形態では、
図12のステップS103における価値観推定リスト作成処理において、
図8に示す類似度一覧表116に示される全ての価値観行動リスト番号に対応する価値観行動リスト113を対象に、影響割合を算出して顧客の金融価値観の推定値を算出する例を示したが、これは一例である。例えば、対象とする価値観行動リスト113は、
図8に示す類似度一覧表116における類似度が「30%」以上や「40%」以上など(任意に設定変更可能であればよい)、類似度が所定値以上の価値観行動リスト113のみを対象としてもよい。この場合、
図15のステップS402では、対象となった価値観行動リスト113を参照すればよい。これによれば、より精度よく顧客の金融価値観を推定することができる。
【0061】
さらに、上記実施の形態では、
図14に示す類似度算出処理において、行動点数リスト114と価値観行動リスト113との全ての比較項目に対して1つの類似度を算出する例を示したが、例えば、
図19に示すように、大分類(
図4に示す大分類)に対応する項目ごとに類似度を算出してもよい。この場合、
図15に示す価値観推定リスト作成処理において、当該大分類に対応する項目ごとに算出された類似度に基づいて、当該大分類ごとの影響割合を算出し、推定値を算出すればよい。
【0062】
例えば、
図19に示すように、価値観行動リスト番号が「1」の価値観行動リスト113との「貯蓄に対する行動」における類似度が「80%」、「運用に対する行動」における類似度が「20%」であり、価値観行動リスト番号が「1000」の価値観行動リスト113との「貯蓄に対する行動」における類似度が「40%」、「運用に対する行動」における類似度が「10%」であった場合、「貯蓄に対する価値観」に対応する小分類の項目(「貯蓄志向性」、「長期貯蓄志向性」などの項目)には、当該参照した価値観行動リスト113(価値観行動リスト番号が「1」の価値観行動リスト113)における「貯蓄に対する行動」の類似度(80)を、全ての価値観行動リスト113における「貯蓄に対する行動」の類似度の和(80+・・・・+40)で除算した商を乗じ、「運用に対する価値観」に対応する小分類の項目(「運用計画性」、「リスク許容度」などの項目)には、当該参照した価値観行動リスト113(価値観行動リスト番号が「1」の価値観行動リスト113)における「運用に対する行動」の類似度(20)を、全ての価値観行動リスト113における「運用に対する行動」の類似度の和(20+・・・・+10)で除算した商を乗じればよい。これによれば、大分類ごとに異なる類似度を用いて推定値が算出されるため、より精度よく顧客の金融価値観を推定することができる。
【0063】
また、上記実施の形態では、
図18に示す見込み客抽出処理におけるステップS701の処理において、全ての金融価値観データを対象とした類似度に基づいて価値観推定リスト117を抽出する例を示したが、これは一例である。例えば、投資信託契約者の金融価値観は、
図10に示すように、「外食志向性」や「消費計画性」といった項目に対応する点数が基準値より低く、「運用計画性」や「リスク許容度」といった項目に対応する点数が基準値より高い傾向にあるため、投資信託未契約者の中から見込み客を抽出する場合に、「外食志向性」、「消費計画性」、「運用計画性」、「リスク許容度」といった項目の類似度が予め指定されている類似度以上である、といったように、一部の金融価値観データを対象とした類似度に基づいて価値観推定リスト117を抽出してもよい。さらに、全ての金融価値観データを対象とした類似度が「80%以上」であり、かつ一部(上述した例では「外食志向性」、「消費計画性」、「運用計画性」、「リスク許容度」の4つ)の類似度が「90%」以上である、といった複数の条件を満たす価値観推定リスト117を抽出するようにしてもよい。すなわち、価値観推定リスト117を抽出するための条件は任意に変更可能であればよい。このような構成によれば、より多くの顧客に対して商品提案を行いたい場合や、よりコアな顧客に対して商品提供を行いたい場合など、様々な提案手法に対応することができる。
【0064】
また、上記実施の形態では、
図18に示す見込み客抽出処理におけるステップS701の処理において抽出された価値観推定リスト117の顧客IDにより示される全ての顧客を対象に見込み客一覧表118を作成する例を示したが、これは一例である。例えば、男性のみや東京都在住のみの見込み客一覧表118を作成するなど、ステップS701の処理において抽出された価値観推定リスト117の顧客IDの一部を排除してもよいし、性別や住所別、年齢別などにより、作成する見込み客一覧表118を複数に分けてもよい。これによれば、商品提案を行う顧客をより細かく分類することができる。なお、例えば、
図17に示す可視化情報生成処理においても、男性のみや東京都在住のみの顧客、といったように、顧客の属性ごとにグラフ表示を行うようにしてもよい。この場合には、ステップS601やステップS701の処理にて価値観推定リスト117を抽出する際に顧客属性情報を確認し、対象となる属性の顧客の価値観推定リスト117のみを抽出すればよい。また、当該可視化情報生成処理においても、性別や住所別、年齢別などの属性により、表示するグラフを複数作成してもよい。これによれば、性別や住所、年齢などといった顧客の属性ごとの特性を一見して把握することができる。なお、属性ごとに切り替えて表示することができるようにしてもよい。すなわち、表示したい属性を予め選択しておき、当該選択に対応した価値観推定リスト117を抽出し、選択された属性ごとにグラフを切り替えて表示可能とすればよい。
【0065】
また、例えば、
図18に示す見込み客抽出処理におけるステップS701の処理において抽出された価値観推定リスト117の顧客IDにより示される顧客だけでなく、その顧客と生計を共にする家族についても見込み客一覧表118に追加するようにしてもよい。例えば、見込み客抽出処理にて抽出された価値観推定リスト117の顧客IDにより示される顧客に配偶者がいる場合、当該配偶者に対応する情報を顧客属性情報から取得して、見込み客一覧表118に追加するようにしてもよい。これによれば、対象の金融価値観と類似するわけではないが、生計を共にする家族全員に商品提案を行うことができ、契約の意思決定に役立てることができる。
【0066】
また、上記実施の形態では、見込み客抽出処理により見込み客一覧表118を作成し、当該見込み客一覧表118に示された顧客を見込み客として、ユーザが当該見込み客に商品を提案する例を示したが、これは一例である。例えば、マーケティング装置100の制御部120の機能として、作成された見込み客一覧表118を参照して、商品提案のダイレクトメールを作成する機能を有していてもよい。また、作成された見込み客一覧表118に示された顧客の顧客端末に対して、ネットワークを介して商品提案を行う機能を有していてもよい。また、ATMの操作時に挿入された取引カードの情報を取得して、取引カードの情報により示される顧客が当該作成された見込み客一覧表118に示された顧客であれば、当該ATMの操作の終了後(終了前でもよい)にATMにて商品提案を行うようATMに商品提案の内容を通知するようにしてもよい。また、これらすべてを行う機能を有していてもよい。これによれば、ユーザの作業によらずに商品提案を行うことができるとともに、複数のタイミングで商品提案を行うことができ、作業効率を向上させることができるとともに、成約の可能性を高めることができる。
【0067】
なお、上述の機能を、OS(Operating System)とアプリケーションとの分担、またはOSとアプリケーションとの協同により実現する場合等には、OS以外の部分のみを媒体に格納してもよい。
【0068】
また、搬送波にプログラムを重畳し、通信ネットワークを介して配信することも可能である。例えば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS、Bulletin Board System)に当該プログラムを掲示し、ネットワークを介して当該プログラムを配信してもよい。そして、これらのプログラムを起動し、オペレーティングシステムの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上述の処理を実行できるように構成してもよい。