(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6209710
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】鋼管穴あけ具
(51)【国際特許分類】
B23B 45/14 20060101AFI20170925BHJP
【FI】
B23B45/14
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-95068(P2017-95068)
(22)【出願日】2017年4月20日
【審査請求日】2017年5月21日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517060030
【氏名又は名称】西田 稔
(72)【発明者】
【氏名】西田 稔
【審査官】
久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】
実開平05−044407(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3194581(JP,U)
【文献】
実開昭58−047412(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0152442(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 45/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼管の外周面に小径の穴を開ける鋼管穴あけ具であって、
前記鋼管穴あけ具は、十字状のガイドラインが表示される柔軟性を有する矩形の透明カバーのセンター穴位置に内径部が貫通する筒状のドリルガイド受け口キャップを溶着し、該ドリルガイド受け口キャップの内径部に所定のドリルガイド穴を形成するドリル刃ガイドブロックを着脱・係止自在に装着して成り、
穴開け作業時において、前記透明カバーを前記鋼管の上方から覆い被せて外周面に沿って密着させることで、ドリル刃の滑りによる穴開け位置のズレ込みを防止すると共に、抑え込む手の指を前記鋼管の下方部に回り込ませて前記鋼管の回転を阻止することで、前記鋼管の外周面に小径の穴をズレることなく正確に穴開けすることができることを特徴とする鋼管穴あけ具。
【請求項2】
前記鋼管の外周下方にV字状の凹部を形成する鋼管受け台を配置して成ることを特徴とする請求項1記載の鋼管穴あけ具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼管の外周面に小径の穴をズレることなく正確に穴開けできる鋼管穴あけ具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来における鋼管の外周面に小径の穴を開ける手段としては、磁気ボール盤を使用して鋼管への穴あけ作業を容易にする「磁気ボール盤の鋼管穴あけ用治具」(特許文献−1)が提案され、公知技術となっている。
【0003】
しかしながら、係る「磁気ボール盤の鋼管穴あけ用治具」の提案は、鉄心にマグネットコイルが巻装されたマグネットと、前記マグネットの上部に取付けられたスタンドと、前記スタンドに上、下動可能に取付けられた電気ドリルとを含む磁気ボール盤において、加工対象物である鋼管に載置されるように形成される中抜きの長方形状の両端部に鞍状の切欠き部をもった治具と、前記治具の中抜き部分の上方に前記マグネットを配置して前記治具に取付けられ前記マグネットを支えるための複数のボルトを含んで構成されて成る磁気ボール盤を使用した鋼管穴あけ用治具の提案であって、該提案は、鋼管に穴あけする際には、固定された磁気ボール盤に鋼管を穴あけ作業毎にセットし直さなければならないことから使い勝手が悪いと共に、大型且つ重量物であることから移動が困難である上、作業現場が磁気ボール盤の設置個所に限定されることから鋼管設置現場においての穴あけ作業が困難なものであった。
【0004】
また、一般に普及しているハンドドリルを使用した鋼管穴あけ具としては、地中等に埋設したり、地上に配管している鋼管内に電線、ケーブル等が入っているか否かを調べるため、鋼管の外周に穴を開けて、当該穴から内部を覗いているが、この鋼管の外周に穴を開ける際、鋼管内の電線やケーブルを傷つけないようにした「鋼管用穴開け工具」(特許文献−2)が提案され、公知技術となっている。
【0005】
しかしながら、係る「鋼管用穴開け工具」の提案は、電気ドリルに着脱自在な穴あけ用の筒状の刃の下端から一定長の外周上部にストッパーを突設し、鋼管の外周に被冠自在な弧状のガイド体を別に設け、このガイド体の略中央に透穴を穿ち、この透穴の内径は上記穴あけ用ドリル刃の筒状の刃の外径よりやや大きくかつストッパー部分の外径より小さい構成とし、また上記筒状の刃の下端からストッパーまでの長さがガイド体の透穴の長さと穴開けする鋼管の厚さを加えた長さに略等しい構成とした鋼管穴あけ用治具の提案であって、該提案は、穴開けする鋼管の外周に被冠自在な弧状のガイド体を穴あけする度に巻き付けなければならず、連続して多数の穴開け作業をするには、作業性が極めて悪いといった問題点があるものであった。
【0006】
本出願人は、従来の鋼管穴開け手法においての作業性および安全性の確保に加えて穴あけ作業の熟練度が求められる現状に着目し、一般的に普及しているハンドドリルを使用して誰でもが簡単に鋼管の外周面に小径の穴をズレることなく正確に穴開けできないものかという着想の下、鋼管の外周面に小径の穴をズレることなく正確に穴開けできる鋼管穴あけ具を開発し、本発明における「鋼管穴あけ具」の提案に至るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−138416号公報
【特許文献2】実開平7−027714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記問題点を鑑み、鋼管の外周面に小径の穴をズレることなく正確に穴開けできる鋼管穴あけ具の提供を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記課題を解決するためになされるもので、本発明における鋼管穴あけ具は、鋼管の外周面に小径の穴を
開ける鋼管穴あけ具であって、前記鋼管穴あけ具は、十字状のガイドラインが表示される
柔軟性を有する矩形の透明カバーのセンター穴位置に内径部が貫通する筒状のドリルガイド受け口キャップを溶着し、該ドリルガイド受け口キャップの内径部に所定のドリルガイド穴を形成するドリル刃ガイドブロックを着脱・係止自在に装着
して成り、穴開け作業時において、前記透明カバーを前記鋼管の上方から覆い被せて外周面に沿って密着させることで、ドリル刃の滑りによる穴開け位置のズレ込みを防止すると共に、抑え込む手の指を前記鋼管の下方部に回り込ませて前記鋼管の回転を阻止することで、前記鋼管の外周面に小径の穴をズレることなく正確に穴開けすることができる手段を採る。
【0010】
また、本発明における鋼管穴あけ具は、前記鋼管の外周下方にV字状の凹部を形成する鋼管受け台を配置して成る手段を採る。
【発明の効果】
【0011】
本発明の鋼管穴あけ具によれば、鋼管の外周面に対してドリル刃ガイドブロックを着脱・係止自在に装着することによって、鋼管の外周面に小径の穴をズレることなく正確に穴開けできるといった優れた効果を奏する。
【0012】
また、本発明の鋼管穴あけ具によれば、穴あけ手段が、手動のハンドドリルまたは固定式のボール盤を使用して鋼管の外周面に小径の穴をズレることなく正確に穴開けできるといった優れた効果を奏する。
【0013】
また、本発明の鋼管穴あけ具によれば、鋼管の外周下方位置にV字状の凹部を形成する鋼管受け台を配置して成ることで、鋼管が安定的に保持されると共に、加工される穴が鋼管の主軸方向に対して正確にあけられるといった優れた効果を奏する。
【0014】
また、本発明の鋼管穴あけ具によれば、鋼管以外の塩ビパイプ、陶器パイプ、ガラスパイプ、丸棒木材の穴あけ具としても使用することができるといった優れた効果を奏する。
【0015】
また、本発明の鋼管穴あけ具によれば、一般ユーザーによるDIY作業によって鋼管に多数の穴を容易にあけることができることから、雪国地方における温水と鋼管を使用した融雪装置が容易且つ安価にできるといった優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の鋼管穴あけ具における実施形態を示す説明図である。(実施例1)
【
図2】本発明の鋼管穴あけ具における使用状態を示す斜視図である。
【
図3】本発明の鋼管穴あけ具における使用状態を示す断面図である。
【
図4】本発明の鋼管穴あけ具におけるその他の実施形態を示す説明図である。(実施例2)
【
図5】本発明の鋼管穴あけ具におけるその他の使用状態を示す斜視図である。
【
図6】本発明の鋼管穴あけ具におけるその他の使用状態を示す断面図である。
【0017】
本発明における鋼管穴あけ具10は、鋼管Pの外周面に小径の穴を
開ける鋼管穴あけ具10であって、該鋼管穴あけ具10は、十字状のガイドライン23が表示される
柔軟性を有する矩形の透明カバー20のセンター穴21位置に内径部が貫通する筒状のドリルガイド受け口キャップ22を溶着し、該ドリルガイド受け口キャップ22の内径部に所定のドリルガイド穴31を形成するドリル刃ガイドブロック30を着脱・係止自在に装着し
て成る手段を採ったことを最大の特徴とする。以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
尚、本発明の鋼管穴あけ具10は、以下に述べる実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内、すなわち同一の作用効果を発揮できる形状及び寸法の範囲内で適宜変更することができる。
【実施例1】
【0019】
図1は、本発明の鋼管穴あけ具における実施形態を示す説明図である。
図2は、本発明の鋼管穴あけ具における使用状態を示す斜視図である。
本発明の鋼管穴あけ具10は、十字状のガイドライン23が表示される
柔軟性を有する矩形の透明カバー20のセンター穴21位置に内径部が貫通する筒状のドリルガイド受け口キャップ22を溶着し、該ドリルガイド受け口キャップ22の内径部に所定のドリルガイド穴31を形成するドリル刃ガイドブロック30を着脱・係止自在に装着される形状に形成される。
【0020】
透明カバー20は、例えば、テーブルクロスに使用される
柔軟性を有する透明の合成樹脂シートを用いて加工時における鋼管Pのズレ込みによる回転を押さえ込む滑り止め用として用いられるもので、その形状は、使用される鋼管Pの外径に合わせて前後ならびに左右対称の矩形状に形成され、その中心位置には、筒状のドリルガイド受け口キャップ22が溶着されるセンター穴21が開けられて形成される。
【0021】
ドリルガイド受け口キャップ22は、透明カバー20の略中心位置に設けられるセンター穴21位置に溶着され、ドリル刃ガイドブロック30を着脱・係止自在に装着することができる筒状に形成される。
【0022】
ガイドライン23は、ドリルガイド受け口キャップ22が設けられる位置を交点として十字状に表示されるもので、鋼管Pの中心軸ならびに鋼管Pの外周面にあけられる穴の位置寸法を割り出す目盛りとして設けられる。
【0023】
ドリル刃ガイドブロック30は、金属製、焼き入れ鋼や、歯車などの素材に使用される高強度樹脂など、使用されるハンドドリルDのドリル刃Cの外径に合わせて複数用意され、使用時においてそれらが任意に選択されてドリルガイド受け口キャップ22に挿入される形状に形成される。
ちなみに、ドリル刃ガイドブロック30を着脱・係止自在に装着する手段としては、嵌合式、落とし込み式、圧入式、挿入式、螺合式、スライド式など多様な手段を用いてドリルガイド受け口キャップ22に装着することができる。
【0024】
ドリルガイド穴31は、ハンドドリルDのドリル刃Cの外径が上下にスライドするガイド穴であって、最深部位置が鋼管Pの外周面に密着することで、ドリル穴あけ作業における滑りを防止することができる。
【0025】
鋼管Pは、足場用の鋼管パイプ、水道管、ガス管、ケーブル配管用鋼管等を対象とし、その他としては、塩ビパイプ、陶器パイプ、ガラスパイプ、丸棒木材等が使用される。
尚、穴あけ位置は、鋼管Pの外周面にランダムにあけることができる他、鋼管Pの外周面にケビキ線Kを書き込んで、透明カバー20に表示されているガイドライン23に合わせることで任意の位置に正確に穴あけすることができる。
【0026】
図2は、本発明の鋼管穴あけ具における使用状態を示す斜視図である。
鋼管Pに
柔軟性を有する透明カバー20を上方から覆い被せて押さえつけることで、鋼管Pのズレ込みによる回転を阻止して鋼管Pの穴あけ作業を容易にすると共に、前後左右にズレる(滑る)ことなく正確に穴あけすることができる。
【0027】
図3は、本発明の鋼管穴あけ具における使用状態を示す断面図である。
ハンドドリルDのドリル刃Cの先端が、ドリル刃ガイドブロック30によって鋼管Pの外周面に直交した状態で密着することで、ドリル穴あけ作業におけるズレ(滑る)が防止され、且つ作業性ならびに安全性の確保が同時にできると共に、熟練度を必要としない穴あけ作業ができる。
【0028】
以上で構成される本発明の鋼管穴あけ具10は、鋼管Pの外周面に対してドリル刃ガイドブロック30を着脱・係止自在に装着することによって、ドリル刃Cが鋼管Pの外周部に対して滑ることなく、安全且つ容易に穴あけすることができると共に、穴あけ工具が、手動のハンドドリルDまたは固定式のボール盤であっても容易に穴あけ作業ができる鋼管穴あけ具10の提供を可能にする。
【実施例2】
【0029】
図4は、本発明の鋼管穴あけ具におけるその他の実施形態を示す説明図である。
本発明の鋼管穴あけ具10は、鋼管Pの外周下方にV字状の凹部を形成する鋼管受け台40を配置して成る手段を採ることができる。
【0030】
鋼管受け台40は、金属製ならびに合成樹脂製の長尺またはブロック状に形成され、鋼管Pの外周下方に配置されて鋼管Pの外径をV字状の凹部で受けることでドリル穴あけ作業における滑りが防止され、且つ作業性ならびに安全性の確保が同時にできると共に、穴あけ作業の熟練度を必要としない形状に形成される。
【0031】
図5は、本発明の鋼管穴あけ具におけるその他の使用状態を示す斜視図である。
鋼管Pに
柔軟性を有する透明カバー20を上方から覆い被せて押さえつけることで、鋼管Pのズレ込みによる回転を阻止して鋼管Pの穴あけ作業を容易にすると共に、鋼管受け台40を鋼管Pの外周下方に配置することで、鋼管Pの主軸方向に対して前後左右にズレる(滑る)ことなく正確にあけることができる。
【0032】
図6は、本発明の鋼管穴あけ具におけるその他の使用状態を示す断面図である。
ハンドドリルDのドリル刃Cの先端が、ドリル刃ガイドブロック30によって鋼管Pの外周面に直交した状態で密着することで、ドリル穴あけ作業における滑りが防止されると共に、鋼管受け台40が鋼管Pの下方に配置されることで、鋼管Pのズレ込みによる回転が確実に阻止され、且つ作業性ならびに安全性の確保が同時にできると共に、熟練度を必要としない穴あけ作業ができる。
【0033】
以上で構成される本発明の鋼管穴あけ具10は、鋼管Pの外周下方位置にV字状の凹部を形成する鋼管受け台40を配置して成ることで、鋼管Pが安定的に保持されると共に、加工される穴が鋼管Pの主軸方向に対して正確にあけられる鋼管穴あけ具10の提供を可能にする。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の鋼管穴あけ具は、鋼管の外周面に小径の穴を開ける鋼管穴として成ることができると共に、塩ビパイプ、陶器パイプ、ガラスパイプ、丸棒木材用等の穴あけ具としても利用することができることから、本発明の「鋼管穴あけ具」の産業上の利用可能性は極めて大であるものと思料する。
【符号の説明】
【0035】
10 鋼管穴あけ具
20 透明カバー
21 センター穴
22 ドリルガイド受け口キャップ
23 ガイドライン
30 ドリル刃ガイドブロック
31 ドリルガイド穴
40 鋼管受け台
P 鋼管
D ハンドドリル
C ドリル刃
K ケビキ線
【要約】
鋼管の外周面に小径の穴をズレることなく正確に穴開けできる鋼管穴あけ具の提供を図る。
【課題】
本発明の鋼管穴あけ具は、鋼管の外周面に小径の穴を開ける鋼管穴あけ具であって、該鋼管穴あけ具は、十字状のガイドラインが表示される柔軟性を有する矩形の透明カバーのセンター穴位置に内径部が貫通する筒状のドリルガイド受け口キャップを溶着し、該ドリルガイド受け口キャップの内径部に所定のドリルガイド穴を形成するドリル刃ガイドブロックを着脱・係止自在に装着して成り、穴開け作業時において、透明カバーを鋼管の上方から覆い被せて外周面に沿って密着させることで、ドリル刃の滑りによる穴開け位置のズレ込みを防止すると共に、抑え込む手の指を鋼管の下方部に回り込ませて鋼管の回転を阻止することで、鋼管の外周面に小径の穴をズレることなく正確に穴開けすることができる手段を採る。
【選択図】
図1