(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6209761
(24)【登録日】2017年9月22日
(45)【発行日】2017年10月11日
(54)【発明の名称】接着によるフロントフォークオイルシール交換装置
(51)【国際特許分類】
B25B 27/28 20060101AFI20171002BHJP
B23P 19/02 20060101ALI20171002BHJP
B23P 19/04 20060101ALI20171002BHJP
F16F 9/40 20060101ALN20171002BHJP
【FI】
B25B27/28
B23P19/02 E
B23P19/04 K
!F16F9/40 Z
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-242787(P2016-242787)
(22)【出願日】2016年12月14日
【審査請求日】2017年1月18日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】306037355
【氏名又は名称】コバルトエンジニアリング株式会社
(72)【発明者】
【氏名】花岡 忠孝
【審査官】
保田 亨介
(56)【参考文献】
【文献】
実開平03−047776(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 27/28
B23P 19/02
B23P 19/04
F16F 9/40
B25B 27/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オイルシールの軸方向上側面の形状に合致した円筒形状で本体の先端螺子部と嵌合される螺子を有し本体と取り外し可能な円筒形状の先端部と、螺旋形状の螺子を持つ円筒形状の先端螺子部と本体ハンドルと取り外し螺子を有する円筒形状の本体と、取り外し螺子に嵌合される取り外しハンドルと、本体内側に嵌合される保護パイプで構成され、本体の取り外し螺子に取り外しハンドルを先端螺子部のある軸方向下側から差し込み本体上部にまでねじ込み、反対側の本体の軸方向上側から本体内側に保護パイプを挿入したオイルシール交換装置において、オイルシールの軸方向上側面と円筒形状の先端部を接着し、本体ハンドルを回転させて接着されたオイルシールと円筒形状の先端部を本体の先端螺子部に固定したのち、取り外しハンドルを回転させて本体の取り外し螺子の下部に移動させてアウターチューブ軸方向上側端面に押し当て、さらに回転させてアウターチューブ軸方向上側よりオイルシールと本体を引き抜くことによりオイルシールを取り外すことを特徴とするオイルシール交換装置
【請求項2】
ゴムが剥離したオイルシールにおいて軸方向上側面のゴムを取り除き、内部金属を露出させた軸方向上側面の形状に合致した円筒形状で本体の先端螺子部と嵌合される螺子を有し本体と取り外し可能な円筒形状の先端部と、螺旋形状の螺子を持つ円筒形状の先端螺子部と本体ハンドルと取り外し螺子を有する円筒形状の本体と、取り外し螺子に嵌合される取り外しハンドルと、本体内側に嵌合される保護パイプで構成され、本体の取り外し螺子に取り外しハンドルを先端螺子部のある軸方向下側から差し込み本体上部にまでねじ込み、反対側の本体の軸方向上側から本体内側に保護パイプを挿入したオイルシール交換装置において、オイルシールの軸方向上側面の内部金属と円筒形状の先端部を接着し、本体ハンドルを回転させて接着されたオイルシールと円筒形状の先端部を本体の先端螺子部に固定したのち、取り外しハンドルを回転させて本体の取り外し螺子の下部に移動させてアウターチューブ軸方向上側端面に押し当て、さらに回転させてアウターチューブ軸方向上側よりオイルシールと本体を引き抜くことによりオイルシールを取り外すことを特徴とするオイルシール交換装置
【請求項3】
請求項1または2に記載のオイルシール交換装置において、オイルシール軸方向上側面と円筒形状の先端部を圧力を加えて接着するために、円筒形状の先端部を本体から取り外して接着剤を塗布して軸に通しオイルシール軸方向上側面に接着し、取り外し螺子に嵌合される取り外しハンドルを本体にねじ込み、円筒形状で軸方向下部に本体の軸方向上側から挿入可能な本体挿入部と軸方向上部にオイルシール打ち込み部を有する保護パイプの本体挿入部をオイルシール交換装置本体に軸方向上側から挿入し、本体と取り外しハンドルと保護パイプを反転させてオイルシール打ち込み部を軸方向下側に向けて軸に通したのち、円筒形状で切り込みを持ち螺子を締め付けることで軸に固定できる固定部を、軸に通して本体の上部で固定して、取り外しハンドルを緩めて保護パイプのオイルシール打ち込み部に圧力を加えて、オイルシール軸方向上側面と円筒形状の先端部を圧力を加えて接着することを特徴とする請求項1または2に記載のオイルシール交換装置
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のオイルシール交換装置において、軸に通すことが可能な円筒形状の軸方向下部側面にオイルシールの軸に平行方向外径と同径位置に刃物を取り付け、軸方向上側にハンドル部を持つ外周側面カッターを、軸に通してハンドル部を回転させてオイルシールの軸に平行方向外径に刃物を接触させて外周側面のゴムを切断して、オイルシールの取り外しを容易にしたことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のオイルシール交換装置
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のオイルシール交換装置において、取り外しハンドルとアウターチューブ軸方向上側端面の間にスラストベアリングを設置することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のオイルシール交換装置
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のオイルシール交換装置において、オイルシールを取り外した後に、軸に交換用オイルシールを通し、円筒形状で軸方向下部に本体の軸方向上側から挿入可能な本体挿入部と軸方向上部にオイルシール打ち込み部を有する保護パイプの本体挿入部をオイルシール交換装置本体に軸方向上側から挿入したのち、本体と保護パイプを反転させてオイルシール打ち込み部を軸方向下側に向けて軸に通して、本体のハンドル持ってオイルシール打ち込み部を交換用オイルシールに打ち付け、交換用オイルシールの打ち込みを可能とする特徴を持つ請求項1から5のいずれか一項に記載のオイルシール交換装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オートバイに使用されているフロントフォークのオイルシールを交換する作業を容易にするフロントフォークオイルシール交換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
オートバイの多くには緩衝装置として前輪にはインナーパイプとアウターチューブから構成されるテレスコピック式と呼ばれる懸架方式が用いられている。インナーパイプとアウターチューブ内には、オイルが充填されていて外部への漏れを防止するためにオイルシールがアウターチューブに勘合されている。
【0003】
しかし、走行距離が多くなったり経年変化などによりオイルシールが劣化するとオイル漏れが生じブレーキディスクにオイルが付着し安全性に問題が発生したり、オイル漏れにより市場価値が低くなったりする為、オイルシール交換作業が頻繁に行われる。
【0004】
フロントフォークのオイルシールは強度を増すために大径化されたインナーパイプと操縦性を重視するために小径化されたアウターチューブにより外径は小さく内径が大きいリング状の形状の物が使用されることが多い。リング状の形状でアウターチューブの端面から少し奥に取り付けられることが多くフォークオイルシールの交換はインナーパイプとアウターチューブを分解して交換することが一般的である。
【0005】
先行技術文献として国際特許分類B25B 27/14などで検索すると以下のようなものが公開されている。特許文献1はオイルシールの外側に穴をあけて取り外すものであり、リング形状のオイルシールでは使用が困難である。特許文献2はオイルシールのリップ部に器具を差し込むものであり、シャフトに傷が付きオイル漏れの可能性があるために当該オイルシールでは使用されることはない。また当該オイルシールのように二重リップなどによりリップ部が深くなり差込そのものが困難である。本発明はリップ部に差込をするものでなくオイルシール外側表面を利用したものであり特許文献2とは全く異なる。本発明は外側に穴を開けたり、リップ部に傷を付けずに取り外しが可能である。これはオイルシールの機能を取り外し後も維持するものであり、オイルシールの解析や再利用が可能であり、取り外し時に変形させたり穴をあける特許文献1および特許文献2とは全く異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−15473
【特許文献2】特開2000−167778
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする問題点は、フロントフォークオイルシール交換をフロントフォークを分解せずに行う装置を開発することである。作業時間の短縮、フォークオイル及び交換部品の点数を少なくしユーザーの負担を軽減し安全性を向上させることが要望されている。
【0008】
フロントフォークのオイルシールには雨水や洗車時の水が溜まることがありオイルシール内部の金属が腐食することがある。このような場合でも分解せずにオイルシールが交換できる装置が望まれている
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、フロントフォークのオイルシールの取り外しにオイルシールの外側表面の形状に合わせた円筒形状の先端を接着させることにより引き抜くことを可能とするために、接着に一定時間圧力を加えて固定し、接着力を強力なものにする必要がある。したがって、手段としてフロントフォークのインナーパイプに固定ブロックを取り付けてオイルシール交換装置の螺子部を利用してオイルシールと円筒形状の先端に圧力を加えて接着する。強力な接着ができればオイルシール交換装置の螺子部を利用して円筒形状の先端を引き抜いて取り外し新しいオイルシールを保護パイプを利用して打ち込み作業完了となる。
【発明の効果】
【0010】
当該発明のフロントフォークオイルシール交換装置はオイルシール交換を非分解で行うものであり交換時間の短縮の効果があり、分解するためのボルトが腐食などにより分解不可能になった場合でもオイルシールを交換できる効果もある。フロントフォークの分解には一般的にインパクトレンチが使用されるが騒音などの課題がある、当該発明は手動で取り外しできるので住宅地の深夜でも交換できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】接着によるオイルシール交換装置とオイルシール斜視図
【
図2】接着によるオイルシール交換装置とオイルシール断面図
【
図3】オイルシール交換装置とオイルシールの斜視図
【
図4】オイルシール交換装置とオイルシールの断面図
【
図5】オイルシール取り外し時の本体先端拡大断面図
【
図8】剥離した二重リップのオイルシールの斜視
図Gと断面
図Hと円筒形状の先端の断面
図J
【
図12】外周側面カッターとオイルシールの拡大断面図
【
図13】接着によるオイルシール交換装置とオイルシール画像
【
図19】外周側面カッター使用による取り外したオイルシール外周の側面画像
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は接着によるオイルシール交換装置とオイルシール斜視図である。円筒形状の先端部(5)を螺子で脱着可能な螺旋形状の先端(7)を持つオイルシール交換装置の本体(1)と本体の取り外し用の雄螺子(12)に勘合する雌螺子を有する取り外しハンドル(2)とインナーパイプ(10)を保護する保護パイプ(3)と固定ブロック(23)から構成されるオイルシール交換装置と接着剤(25)を用意する。フロントフォークを直立させて固定しダストシール(
図9、28)と抜け防止用クリップ(
図9、29)をはずしておく、オイルシールの外側表面の油脂等を有機溶剤などで脱脂しておく。オイルシールを取り外したらすぐに交換用オイルシールを取り付けないと温度変化により内圧が上がりオイルが溢れることがあるためにリップ部にシリコングリスを塗布した交換用オイルシールを用意する。
【実施例】
【0013】
実施例を図を用いて説明し補足として画像を添付する。フロントフォークをオートバイから取り外し下部をバイスで掴み倒れないようにする。フロントフォークのダストシール(
図9、28)と抜け防止クリップ(
図9、29)を取り外す。本体(1)取り外しハンドル(2)保護パイプ(3)に異常や傷がないか確認する。交換用オイルシール(
図10、22)のリップ部にシリコングリスを塗布する。当該明細書においてオイルシールの外側表面とは中心の軸に対して垂直の外側の表面でありオイルシールの直接見える部分である、また外周側面とは中心の軸に対して平行の外周の面であり取り外さないと見えない通常は見えない部分のことである。
【0014】
図1は接着によるオイルシール交換装置とオイルシール斜視図であり、理解しやすいようにオイルシール(4)とアウターチューブ(11)を離してあるが、実際には
図2の接着によるオイルシール交換装置とオイルシール断面図に、あるようにアウターチューブ(11)にオイルシール(4)が嵌合されている。オイルシール(4)と円筒形状の先端部(5)を接着して取り外すために、オイルシール(4)の外側表面を脱脂洗浄し乾燥させる、円筒形状の先端部(5)の接合面(
図6、38)に接着剤(25)を塗布してインナーパイプ(10)に通す、次にインナーパイプ(10)外径で仕上げられた保護パイプ(3)の保護パイプ本体挿入部(
図3、13)を本体(1)に挿入して、取り外しハンドル(2)を取り外し用の雄螺子(12)の中央部に位置させた交換装置本体を保護パイプ(3)側からインナーパイプ(10)に通す、固定ブロック(23)を通して本体(1)の螺旋形状の先端(
図3、7)に押し当てるところで固定ブロック(23)の固定螺子(24)を締めて固定する。本体(1)に取り付けた取り外しハンドル(2)を緩める方向に回転させてベアリングプレート(27)の端面を固定ブロック(23)に押し付ける。さらに回転させてオイルシール(4)と、円筒形状の先端部(5)の接合面に圧力を加えて接着を強力なものとする。本体が回転するのを防ぐために取り外しハンドル(2)とベアリングプレート(27)の間にスラストベアリング(26)を設置する。接着剤(25)の硬化が確認できたら取り外しハンドル(2)を締める方向に回転させベアリングプレート(27)を固定ブロック(23)から引き離す。固定ブロック(23)の固定螺子(24)を緩めてインナーパイプ(10)から取り外す。指等で円筒形状の先端部(5)の接合面に接着剤(25)を塗布したものをオイルシール(4)に押し付けても接着はできるが均一に圧力が掛けられなかったり長時間保持できないので接着力が弱くなりオイルシール(4)を引き抜く時に剥離する可能性が高い。
【0015】
オイルシールの取り外しを図を用いて説明する。
図3はオイルシール交換装置とオイルシールの斜視図であり、
図4はオイルシール交換装置とオイルシールの断面図である、
図5はオイルシール取り外し時の本体先端拡大断面図である。
図3にあるようにオイルシールの取り外しには交換装置本体(1)と保護パイプ(3)を接着時とは反転した状態で使用される。オイルシール交換装置は本体(1)と取り外しハンドル(2)と保護パイプ(3)と円筒形状の先端部(5)と接着時に使用する固定ブロック(
図2、23)から構成される。本体(1)は円筒形で、先端には螺旋形状の先端(7)を有しオイルシール外側表面(14)の形状に合わせた円筒形状の先端部(5)の交換を可能とする、本体(1)の中央部には取り外し用の雄螺子(12)を有し取り外しハンドル(2)の雌螺子と嵌合され、オイルシール(4)の取り外しとオイルシール(4)と円筒形状の先端部(5)の接着に利用する、上部には螺旋形状の先端(7)と円筒形状の先端部(5)を螺子で固定するための本体ハンドル(6)を有する。取り外しハンドル(2)は円筒形で内側に雌螺子を有し下側端面にはスラストベアリング(26)とベアリングプレート(27)を有する、スラストベアリング(26)とベアリングプレート(27)は本体(1)が小さな力で真っ直ぐに引き上げられるようにするためと接着面に横方向の力が掛からないようにするために必要である。保護パイプ(3)は本体(1)が金属製のためインナーパイプ(10)に傷が付くのを防ぐために樹脂製であり、下部に保護パイプ本体挿入部(13)を有し上部には保護パイプオイルシール打ち込み部(15)を有する。
【0016】
図3、
図4、
図5にあるように、接着剤の硬化を確認してのち本体(1)と取り外しハンドル(2)と保護パイプ(3)を反転してインナーパイプ(10)に挿入する、本体の螺旋形状の先端(7)は右螺子なので本体ハンドル(6)を右回転して螺旋形状の先端(7)と内側に右螺子の雌螺子が切ってある円筒形状の先端部(5)を固定する。最後まで締め付ける必要はなく余分な回転方向の圧力を与えて接着面が剥離するのを防止する。本体の取り外し用螺子(12)は右螺子なので取り外しハンドル(2)を右回転させてアウターチューブ(11)の端面にベアリングプレート(27)を押し当てる、さらに取り外しハンドル(2)を右回転させると本体(1)と円筒形状の先端部(5)と接着されたオイルシール(4)が上方へ移動し、引き抜きによる取り外しが可能となる。本体ハンドル(6)は回転しないように押さえる必要があるが取り外しハンドル(2)下部にスラストベアリング(26)を設置したものは本体ハンドル(6)が回転しにくくなる。本体(1)をインナーパイプ(10)から取り外して円筒形状の先端部(5)を本体(1)から取り外す。円筒形状の先端部(5)と接着されたオイルシール外側面(15)は接着面にカッターナイフやドライバーの先端を差し込み抉ることにより分離し接着剤(25)を取り除いて再利用することが可能となる。
【0017】
図6、
図7、
図8はフロントフォークに使用されているオイルシールであり接着によるオイルシール交換にはオイルシール外側表面(14)の形状に合わせた円筒形状の先端(5)を用意することが必要である。二重リップのオイルシール(16)は段付きの二重リップのオイルシール用の円筒形状(19)をしたもの、一重リップのオイルシール(17)は平らな一重リップのオイルシール用の円筒形状(20)をしたものが用意され、接着剤(25)は金属とゴム材(8)を接着するものを用意する。オイルシールが腐食しゴムが剥離したオイルシールにおいて外側表面のゴムを取り除きゴム層(8)を剥離して内部金属の鉄芯(9)を表面に露出し剥離した二重リップのオイルシール(18)とし、鉄芯(9)の形状に合わせた剥離した二重リップのオイルシール用の円筒形状(21)を用意して、接着剤(25)は金属と鉄心(9)の金属を接着するものを用意する。各円筒形状は円筒形状の先端(5)として、本体(
図4、1)の螺旋形状の先端(7)に螺子で取り付けられ交換が可能となる。
【0018】
図10は交換用オイルシール取り付け時の斜視図である。インナーパイプ(10)に交換用オイルシール(22)を通し保護パイプ(3)の保護パイプオイルシール打ち込み部(15)を下側に向けて本体(1)の本体ハンドル(6)を持ってアウターチューブ(11)に打ち込む、保護パイプ(3)は樹脂などで製作されて傷が付くのを防ぐ。保護パイプは本体(1)の内径とインナーパイプ(10)の外径をもつ保護パイプ本体挿入部(
図3、13)を本体(
図3、1)に差し込めるものとして反対側の端面にはオイルシールの内径と外径と取り付け深さに合わせたオイルシール打ち込みが可能な形状の保護パイプオイルシール打ち込み部(15)を有する。
【0019】
交換用オイルシール(
図10、22)が打ち込まれたら抜け防止クリップ(
図9、29)を抜け防止クリップ溝(
図9、30)に取り付けてダストシール(
図9、28)を取り付けて、オイルシール交換作業が完了する。フロントフォークをオートバイに取り付ける。
図9はフロントフォークにおける、ダストシール(28)と抜け防止クリップ(29)の位置関係がわかる断面図である。オイルシール(4)がアウターチューブ(11)から抜けないように抜け防止クリップ溝(30)に抜け防止クリップ(29)が嵌められている。そしてインナーパイプ(10)とオイルシール(4)の間に水や埃が入らないようにダストシール(28)が取り付けられている。この
図9でのオイルシール(4)は交換前の状態であり交換後は交換用オイルシール(22)である。当該明細書においてダストシール(28)と抜け防止クリップ(29)が記載されているが簡単に取り外しできるのでオイルシール交換装置の断面図などには抜け防止クリップ溝(30)を省略した。また当該明細書においてインナーパイプ(10)とアウターチューブ(11)はインナーチューブ、フォークチューブ、フォークパイプ、ボトムケース、アウターパイプなどと呼ばれる場合もあるが、インナーパイプ(10)とアウターチューブ(11)として記載した。
【0020】
変形例1として当該オイルシール交換装置を使用する前に下記により前処理を行うと交換作業がより効率的におこなえる、
図11、
図12はオイルシールの外径と同径の円筒形の側面に刃物を取り付けた外周側面カッター(31)をインナーパイプ(10)に通しカッターハンドル(35)を回転させて、オイルシールの外周の側面のゴムを切断して、オイルシールの取り外しを容易にするものである。円筒形の樹脂の外周の側面にオイルシールの外径と同径の溝を作成し、市販されている両刃タイプのカッター替刃(32)をカッター固定螺子(33)で固定し回転させやすいようにカッターハンドル(35)を上部に取り付ける。カッター替刃(32)の数は複数で一対または二対が傾かずに安定して切削することが可能となる。
図11ではカッター替刃(32)は4枚であるが画像
図17では2枚で実施した。外周カッター(31)はインナーパイプ(10)を軸の中心として回転し、カッター替刃(32)は薄くて曲がるのでアウターチューブ(11)の内径に沿った刃先の回転が可能となりオイルシール外周部(36)のゴムを切り離すことが可能となる。刃先が両刃なのでアウターチューブ(11)の内側面のアルミ材を傷付けずゴムだけを切り離すことができる。数回転させると切り屑がオイルシール上面に上がってくるので掃除をしてからオイルシールの交換を行う、これは切り離したゴムが抜け防止クリップ溝(
図9、30)に嵌って交換作業に影響することを防ぐためである。参考までにカッター替刃(32)の厚みは0.4mmでありオイルシール外周部(36)のゴムの厚みは0.6〜0.8mmほどである。経年変化などで硬化したオイルシールを取り外すには大きな接着力が必要になるがこの外周側面カッターを利用することにより接着力が小さくても取り外しが可能となる。硬化したオイルシールはアセトンなどを少し垂らしてから外周側面カッターを利用すると効率的に切断できる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明をオイルシールを多用した産業機械に使用すると、本装置によってシャフトを傷めることなくオイルシールを交換可能となり、産業機械においてメインテナンスが容易になる。分解作業による交換をしないので、特別な知識や技能が不要でないので諸外国などでの利用が多くなると思われる。リップ部を損傷せずに取り外しができるので解析が容易になり、耐久性向上などオイルシールの性能向上の研究開発が促進されると思われる。
【0022】
自動車や産業機械などにオイルシールは数多く使用されており、狭く奥深いところなどでは分解作業によるオイルシール交換がおこなわれている、本発明を利用することにより分解作業をせずにオイルシール交換が可能となれば大幅な時間短縮と経費削減をもたらすことが期待できる。簡単にオイルシールを交換することが可能となりオイル漏れをしてから交換するのではなく、定期交換をすることによる環境汚染を未然に防ぐことが可能となる。
【符号の説明】
【0023】
1 本体
2 取り外しハンドル
3 保護パイプ
4 オイルシール
5 円筒形状の先端部
6 本体ハンドル
7 螺旋形状の先端
8 ゴム層
9 鉄芯
10 インナーパイプ
11 アウターチューブ
12 取り外し用の雄螺子
13 保護パイプ本体挿入部
14 オイルシール外側表面
15 保護パイプオイルシール打ち込み部
16 二重リップのオイルシール
17 一重リップのオイルシール
18 剥離した二重リップのオイルシール
19 二重リップのオイルシール用の円筒形状
20 一重リップのオイルシール用の円筒形状
21 剥離した二重リップのオイルシール用の円筒形状
22 交換用オイルシール
23 固定ブロック
24 固定螺子
25 接着剤
26 スラストベアリング(円盤状のニードルローラーベアリング)
27 ベアリングプレート
28 ダストシール
29 抜け防止クリップ
30 抜け防止クリップ溝
31 外周カッター
32 カッター替刃(両刃)
33 カッター固定螺子
34 カッター先端
35 カッターハンドル
36 オイルシール外周側面部
37 アウターチューブ保護カラー
38 接合面
【要約】
【課題】オートバイのフロントフォークに使用されるオイルシールの交換は、分解作業を伴い専門知識が必要であったり廃油設備が必要とされる。奥深いところに設置されたリング状のオイルシールで取り外しが困難なため容易に取り外しできる装置が必要とされていた。
【解決手段】フロントフォークのオイルシールの外側面に取り外し用の円筒形状の先端を接着することに取り外しに利用できると考えた。通常の接着では接着力が不足するので固定ブロックをインナーパイプ取り付け、交換装置の螺子を利用して接着面に圧力を加えて強力な接着としてオイルシール取り外し可能とした。
【選択図】
図1