(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記フック軸の軸心方向における前記第1のストライカ進入溝と前記第2のストライカ進入溝との間に配設され、前記拘束位置に配置されたフックレバーを開放位置に移動させるオープンレバーを備え、
前記フックレバーは、前記フック軸の軸心方向における前記オープンレバーと前記第2のストライカ進入溝との間に位置することを特徴とする請求項1に記載のシートロック装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明に係るシートロック装置についての実施の形態を詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態であるシートロック装置を適用した車両の断面図である。
図2は、シートバックが起立状態のリアシートを車両後方側から見た図である。
【0017】
本実施の形態では、本発明に係るシートロック装置の適用例として、トランクスルー機能を備えた車両におけるリアシートのシートバックに適用した場合を説明する。トランクスルー機能を備えた車両は、
図1に示すように、車両本体1における車室CAの後方側にトランクルームTRが設けられている。車両本体1には、トランクルームTRの上方側に開口部を設けてあり、当該開口部を開閉するトランクリッド2が取り付けてある。
【0018】
車両本体1の車室CAとトランクルームTRとは、これらの境に位置するフレーム部材101に開口部(図示せず)を形成することで連通している。フレーム部材101の開口部は、リアシート3のシートバック302を車両本体1の床面102に対して起立した起立状態(
図1の実線で示した位置)にすることで閉塞される。
【0019】
リアシート3は、車室CAの後端部に設置されたシートであり、シートクッション(座面側のクッション301)とシートバック(背もたれ側のクッション)302とを備える。シートクッション301は、車両本体1の床面102に固定してある。シートバック302は、ヒンジ303によりシートクッション301に連結してあり、ヒンジ303を支点として車両前後方向に移動させることができる。このリアシート3は、可動側クッションであるシートバック302を起立状態にして車両本体1に保持させることで、乗員が着座可能な状態となる。一方、シートバック302をシートクッション301側(
図1の二点鎖線で示した位置)に倒しシートクッション301と重ねることで、リアシート3は収納状態となる。リアシート3を収納状態にすると、トランクルームTRと車室CAとが連通しトランクスルー機能を利用できる。なお、リアシート3は、
図2に示すように、2つのシートバック302,304が車両左右方向に並んでいる。シートバック304は、ヒンジ305によりシートクッション301に連結してある。このため、シートバック302とシートバック304とは、独立して車両前後方向に移動させることができる。
【0020】
シートバック302,304のうち車両右方側に位置するシートバック302には、車両本体1に設けたストライカ4を拘束するシートロック装置5が取り付けられている。シートロック装置5は、
図2に示すように、シートバック302における車両左右方向の右端部かつシートバック302の上端側となる位置に取り付けてある。このシートロック装置5は、シートバック302が内蔵するシートバックフレーム302aに取り付けてある。本実施の形態では、シートバックフレーム302aにおける車両左右方向の外方側(右側)を向いた面にシートロック装置5を取り付けてある。シートロック装置5で拘束するストライカ4は、
図1に示したように、シートバック302が起立状態となった場合にシートロック装置5のストライカ進入溝に進入可能な位置に設けてある。このストライカ4は、車両本体1のフレーム部材101においてシートロック装置5と対向する面から車両前方側かつ斜め上方に突出するよう設けてある。
【0021】
一方、車両左方側に位置するシートバック304には、車両本体1に設けたストライカ4を拘束するシートロック装置6が取り付けられている。シートロック装置6は、
図2に示すように、シートバック304における車両左右方向の左端部かつシートバック304の上端側となる位置に取り付けてある。このシートロック装置6は、シートバック304が内蔵するシートバックフレーム304aに取り付けてある。本実施の形態では、シートバックフレーム304aにおける車両左右方向の外方側(左側)を向いた面にシートロック装置6を取り付けてある。シートロック装置6で拘束するストライカ4は、シートバック304が起立状態となった場合にシートロック装置6のストライカ進入溝に進入可能な位置に設けてある。このストライカ4は、車両本体1のフレーム部材101においてシートロック装置6と対向する面から車両前方側かつ斜め上方に突出するよう設けてある。
【0022】
シートバック302に取り付けたシートロック装置5と、シートバック304に取り付けたシートロック装置6とは、シートバックに取り付けた状態における各部材の位置関係が車両左右方向で反転した関係になっている。以下、シートバック302に取り付けたシートロック装置5を例に挙げ、その構成及び取付方法を説明する。
【0023】
図3は、ストライカを拘束した状態のシートロック装置を車両左側から見た側面図である。
図4は、
図3のシートロック装置を車両右側から見た側面図である。
図5は、
図3のA−A線断面図である。
図6は、ストライカを解放した状態のシートロック装置を車両左側から見た側面図である。
【0024】
シートロック装置5は、
図3から
図5に示すように、ボディ10と、ベースプレート11と、フックレバー12と、オープンレバー13と、ガイドレバー14と、フック軸15とを備える。
【0025】
ボディ10及びベースプレート11は、フックレバー12、オープンレバー13、ガイドレバー14等を収容するケース部材である。ボディ10は、略箱型に成形した樹脂部材である。ボディ10の底面には、第1のストライカ進入溝10Aと、フック軸挿通孔10Bと、オープンレバー支持軸10Cと、ガイドレバー支持軸10Dとが設けられている。第1のストライカ進入溝10Aは、ストライカ4が進入する溝である。この第1のストライカ進入溝10Aの最奥面部10A1は、フックレバー12が後述する拘束位置に配置された場合にストライカ4が当接し、フックレバー12とともにストライカ4を挟持することが可能な形状に形成してある。フック軸挿通孔10Bは、
図5に示すように、フック軸15を挿通する孔である。フック軸15は、後述するようにフックレバー12を回転可能に支持する部材である。オープンレバー支持軸10Cは、オープンレバー13を回転可能に支持する円筒状の軸である。ガイドレバー支持軸10Dは、ガイドレバー14を回転可能に支持する円筒状の軸である。フック軸挿通孔10B、オープンレバー支持軸10C及びガイドレバー支持軸10Dは、それぞれの軸心方向がボディ10の底面と直交する方向になるよう形成してある。ベースプレート11は、ボディ10における底面とは反対側の開口端部を覆う金属板である。ベースプレート11には、第2のストライカ進入溝11Aと、フック軸挿通孔11Bとが設けられている。第2のストライカ進入溝11Aは、ストライカ4が進入する溝である。フック軸挿通孔11Bは、フック軸15を挿通する孔である。
【0026】
なお、本実施の形態のシートロック装置5における第2のストライカ進入溝11Aは、
図4及び
図5に示すように、ボディ10(ケース部材)においてストライカ4の進入口となるストライカ進入面10Eから最奥面部11A1までの距離D2を、ストライカ進入面10Eから第1のストライカ進入溝10Aの最奥面部10A1までの距離D1よりも長くしてある。また、第2のストライカ進入溝11Aは、ストライカ4が第2のストライカ進入溝11Aに当接することなく第1のストライカ進入溝10Aの最奥面部10A1まで移動することを許容する幅に形成してある。第2のストライカ進入溝11Aの距離D2及び幅は、例えばストライカ4においてシートロック装置5に拘束される被拘束部4Aの軸心4Axがフックレバー12の回転軸12xと平行な状態(
図5に示した状態)から第2のストライカ進入溝11Aの最奥面部11A1側に傾いても、ストライカ4の被拘束部4Aがベースプレート11に当接しないような値にする。
【0027】
フックレバー12は、ボディ10のフック軸挿通孔10B及びベースプレート11のフック軸挿通孔11Aに挿通したフック軸15に回転可能に支持されている。このフックレバー12は、第1のストライカ進入溝10Aを横切って第1のストライカ進入溝10Aの開口を閉鎖する拘束位置(
図3に示した位置)と、第1のストライカ進入溝10Aの開口を開放する開放位置(
図6に示した位置)との間を移動する。また、フックレバー12は、図示しないバネにより開放位置から拘束位置に向かう方向(
図3における時計回り方向)に付勢してあり、ストライカ4が第1のストライカ進入溝10Aの最奥面部10A1まで進入すると拘束位置に移動する。フックレバー12が拘束位置に配置された場合、
図3に示すように、第1のストライカ進入溝10Aを横切るフック部(図示せず)の係合面12Aにストライカ4が当接し、第1のストライカ進入溝10Aから離脱する方向へのストライカ4の移動を規制する。また、拘束位置に位置するフックレバー12の係合面12Aに当接したストライカ4は、
図5に示したように、ボディ10のうちの、第1のストライカ進入溝10Aの最奥面部10A1のみに当接した状態でフックレバー12とボディ10とに挟持される。
【0028】
オープンレバー13は、フックレバー12を拘束位置から開放位置に移動させるレバーであり、オープンレバー軸10Cに回転可能に支持されている。このオープンレバー13は、
図5に示すように、フック軸15の軸心方向においてフックレバー12と第1のストライカ進入溝10Aとの間となる位置に設けてある。また、オープンレバー13は、図示しないバネにより
図3における反時計回り方向に付勢してある。フックレバー12が拘束位置にある場合、オープンレバー13は、第1の係合部13Aがフックレバー12のインジケート突部12Bと係合した位置に保持される。
【0029】
ガイドレバー14は、フックレバー12を開放位置に保持するレバーであり、ガイドレバー軸10Dに回転可能に支持されている。このガイドレバー14は、フック軸15の軸心方向においてフックレバー12と第1のストライカ進入溝10Aとの間となる位置に設けてある。また、ガイドレバー14は、図示しないバネにより
図3における時計回り方向に付勢してある。フックレバー12が拘束位置に位置する場合、ガイドレバー14は、ストライカ当接部14Aがストライカ4から受ける押圧荷重により第1のストライカ進入溝10Aから後退した位置に保持される。
【0030】
フック軸15は、フックレバー12を支持する円筒状部材の一端にフランジ15Aを設けてあり、ボディ10のフック軸挿通孔10B及びベースプレート11のフック軸挿通孔11Bに回転可能に挿通してある。このフック軸15は、シートバック302のシートバックフレーム302aにシートロック装置5を取り付ける際の取付部でもある。
図5に示したように、フック軸15及びシートバックフレーム302aの貫通孔(図示せず)にボルト7の軸7Aを挿通し、ナット8で締結固定することでシートロック装置5がシートバックフレーム302aに回転可能に取り付けられる。なお、本実施の形態では、
図5に示すように、フランジ15Aがボディ10の底面外側に位置する向きでフック軸15を設けてある。そして、シートロック装置5は、フランジ15Aによりボディ10がシートバックフレーム302aから離間した状態でシートバックフレーム302aに取り付けてある。すなわち、シートロック装置5は、
図2及び
図5に示すように、フック軸15の軸心方向(車両左右方向)においてフックレバー12よりもシートバック302の中心302x側に第1のストライカ進入溝10Aが位置する向きでシートバックフレーム302aに取り付けてある。
【0031】
このようなシートロック装置5で拘束しているストライカ4を解放する際には、オープンレバー13を
図3における時計回り方向に回転させる。これにより、オープンレバー13の押圧部13Bがフックレバー12のインジケート突部12Bを押圧し、フックレバー12が
図3における反時計回り方向に回転する。回転するフックレバー12が
図6に示した開放位置に近づき第1のストライカ進入溝10Aの開口が開放されると、フックレバー12の係合面12Aとストライカ4との係合が解除される。そして、フックレバー12が開放位置まで移動すると、ガイドレバー14が
図6に示すように時計回り方向に回転し、ストライカ当接部14Aが第1のストライカ進入溝10Aに進出する。これにより、ストライカ4が第1のストライカ進入溝10Aから離脱する方向に押し出される。また、ガイドレバー14が
図6に示した位置に移動すると、ガイドレバー14のフック係止部14Bがフックレバー12の係合突起12Cと係合し、フックレバー12が開放位置に保持される。その後、オープンレバー13の
図6における時計回り方向への回転操作をやめると、オープンレバー13は反時計回り方向に回転し、
図6に示すように第2の係合部13Cがフックレバー12のインジケート突部12Bに係合する位置に保持される。この一連の動作によりストライカ4を解放することで、シートバック302を車両前方側に倒すことができるようになる。
【0032】
また、シートロック装置5とストライカ4とが
図6に示した位置関係であるときにシートバック302を車両後方側に移動させると、ストライカ4が第1のストライカ進入溝10Aの最奥面部10Aに向けて移動する。そして、ストライカ4がガイドレバー14のストライカ当接部14Aを押圧すると、ガイドレバー14が
図6における反時計回り方向に回転し、ガイドレバー14のフック係止部14Bとフックレバー12の係合突起12Cとの係合が解除される。そうすると、フックレバー12は、
図6における時計回り方向に回転し、
図3に示した拘束位置に移動する。同時に、ガイドレバー14は
図6における反時計周り方向に回転し、
図3に示した位置に移動する。この一連の動作によりストライカ4をフックレバー12と第1のストライカ進入溝10Aの最奥面部10A1とで挟持し拘束することで、シートバック302を起立状態に保持することができる。
【0033】
図7は、シートバックに車両前方側から押圧荷重が作用した状態の一例を示す模式図である。
【0034】
ストライカ4を拘束した状態のシートロック装置5では、
図3から
図5に示したように、ケース部材としてのボディ10及びベースプレート11のうち、フック軸15の軸心方向におけるフックレバー12を境とした一方の側に位置する第1のストライカ進入溝10Aの最奥面部10A1のみが、ストライカ4に当接している。このシートロック装置5は、シートバック302における車両左右方向の右端部となる位置に、フック軸15の軸心方向が車両左右方向になる向きでシートバックフレーム302aに取り付けてある。また、シートロック装置5は、
図2及び
図5に示したように、フック軸15の軸心方向においてフックレバー12よりもシートバック302の中心302x側に第1のストライカ進入溝10Aが位置する向きでシートバックフレーム302aに取り付けてある。
【0035】
このような位置及び向きにシートロック装置5を取り付けた場合、例えば乗員が起立状態のシートバック302にもたれかかる等して、シートバック302に車両前方側から押圧荷重が作用すると、
図7に示すようにシートバック302が車両後方側に撓む。この際、ストライカ4を拘束するシートロック装置5は、
図5に示した状態から、第1のストライカ進入溝10Aの最奥面部10A1を支点としフックレバー12やベースプレート11が車両前方側に移動する態様でストライカ4の被拘束部4Aに対して相対的に傾斜する。
【0036】
ストライカ4を拘束した状態では、フックレバー12の車両前方側にストライカ4があり、フックレバー12の係合面12Aとストライカ4とが当接している。そのため、シートバック302に車両前方側から押圧荷重が作用しシートロック装置5がストライカ4に対して相対的に傾斜しても、フックレバー12はストライカ4に当接した状態が維持される。また、シートロック装置5は、シートバック302に車両前方側からの押圧荷重が作用していない状態のときに、フックレバー12よりもシートバック302における車両左右方向の中心302xから遠方側となる位置で車両前方側からストライカ4に当接する部材がない。このため、車両前方側からの押圧荷重によりシートバック302が撓む際に、ケース部材(ボディ10及びベースプレート11)のうちストライカ4と当接している部位がストライカ4から離間した状態に変化することはない。したがって、車両前方側からの押圧荷重が作用して撓んだシートバック302が元の状態に復帰する際に、ケース部材のうちストライカ4から離間している部位がストライカ4に当接することもない。よって、本実施の形態のシートロック装置5は、着座可能な状態にしたリアシート3のシートバック302に車両前方側から押圧荷重が作用した場合にも、シートロック装置5とストライカ4とが当接することによる打音の発生を防げる。
【0037】
また、起立状態のシートバック302には、トランクルームTRの荷物が当接する等、車両後方側から押圧荷重が作用することもある。この場合、シートロック装置5は、
図5に示した状態から、フックレバー12の係合面12Aとストライカ4との当接箇所を支点とし第1のストライカ進入溝10Aの最奥面部10A1が車両前方側に移動する態様でストライカ4の被拘束部4Aに対して相対的に傾斜する。この際、第1のストライカ進入溝10Aの最奥面部10A1はストライカ4から離間する方向に移動するので、第1のストライカ進入溝10Aの最奥面部10A1とストライカ4との強当たりを防げる。そのため、樹脂部材であるボディ10に設けた第1のストライカ進入溝10Aの最奥面部10A1が、ストライカ4との強当たりにより変形又は破損することを防げる。
【0038】
さらに、フックレバー12とともにストライカ4を拘束する第1のストライカ進入溝10Aを樹脂部材であるボディ10に設けたため、シートバック302を起立状態にする際のストライカ4と第1のストライカ進入溝10Aの最奥面部10A1との当接音を低減できる。しかも、ベースプレート11の第2のストライカ進入溝11Aは、上記のようにストライカ4の被拘束部4Aの軸心4Axがフックレバー12の回転軸12xから第2のストライカ進入溝11Aの最奥面部11A1側に傾いても、ストライカ4の被拘束部4Aがベースプレート11に当接しないよう形成してある。このため、シートバック302を起立状態にする際にシートバック302が撓んでも、第2のストライカ進入溝11Aに進入したストライカ4がベースプレート11に当接することによる当接音の発生を防げる。
【0039】
図8は、本実施の形態のシートロック装置による他の効果を説明する模式図である。
【0040】
本実施の形態におけるシートロック装置5は、フック軸15を介してシートバックフレーム302aに取り付けられている。フック軸15は、ボディ10及びベースプレート11に回転可能に設けられている。すなわち、シートロック装置5は、フック軸15を回転軸として回転可能な状態でシートバックフレーム302aに取り付けられる。
【0041】
シートロック装置5をシートバックフレーム302aに取り付ける場合、その取り付け位置は、
図3に示したように、ストライカ4が第1のストライカ進入溝10Aの最奥面部10A1においてボディ10に当接するように定められる。しかしながら、シートロック装置5及びストライカ4の取り付け位置の公差等により、第1のストライカ進入溝10Aに対するストライカ4の進入位置が第1のストライカ進入溝10Aの幅方向にずれることがある。この点に鑑み、
図3に示したシートロック装置5のように、第1のストライカ進入溝10Aの形状を、最奥面部10A1から進入口に向かうにつれて幅が徐々に広くなる形状にしておくと、ストライカ4の進入位置が幅方向にずれた場合でも、ストライカ4の第1のストライカ進入溝10Aへの進入が許容される。
【0042】
また、
図8に示すように、ストライカ4の進入位置が基準進入位置Pから車両下方側に大きくずれた状態でストライカ4が第1のストライカ進入溝10Aに進入すると、ストライカ4は、第1のストライカ進入溝10Aの最奥面部10A1に到達する前に第1のストライカ進入溝10Aの側面に当接する。この際、ボディ10(シートロック装置5)は、第1のストライカ進入溝10Aの側面に当接したストライカ4からの押圧荷重により、フック軸15を回転軸として
図8における時計回り方向に回転する。なお、
図8では、ストライカ4が第1のストライカ進入溝10Aに進入する前のシートロック装置5の位置を二点鎖線で示している。
【0043】
このようにボディ10がフック軸15を回転軸として回転すると、第1のストライカ進入溝10Aの向きが変更され、ストライカ4を第1のストライカ進入溝10Aの最奥面部10A1まで移動させることができる。そのため、ストライカ4でガイドレバー14のストライカ当接部14Aを押圧することが可能となり、フックレバー12が拘束位置に移動する。したがって、ストライカ4の進入位置が第1のストライカ進入溝10Aの幅方向にずれた場合でもストライカ4を確実に拘束することができ、噛合許容代を大きくすることができる。
【0044】
さらに、
図5に示したように、フック軸15に設けたフランジ15Aをボディ10の底面とシートバックフレーム302aとの間に介在させ、両者の間に隙間を有する状態でシートロック装置5を取り付けると、ボディ10(シートロック装置5)とシートバックフレーム302aとの摩擦等による回転不良や異音の発生を防ぐことができる。
【0045】
また、車両左方側のシートバック304に取り付けるシートロック装置6は、シートバック304に取り付けた状態でのフック軸15の軸心方向(車両左右方向)の構成がシートロック装置5の構成と左右対称になるようにする。これにより、シートバック304側も、シートバック302側と同様の効果が得られる。
【0046】
以上説明したように、本実施の形態のシートロック装置によれば、シートバック302に取り付けたシートロック装置5で車両本体1に設けたストライカ4を拘束した状態でシートバック302に車両前方側から押圧荷重が作用した場合のシートロック装置5とストライカ4との当接による異音の発生を防げる。
【0047】
また、本実施の形態のシートロック装置によれば、シートバック302に取り付けたシートロック装置5で車両本体1に設けたストライカ4を拘束した状態でシートバック302に車両後方側から押圧荷重が作用した場合のシートロック装置5とストライカ4との強当たりを防ぐことができる。
【0048】
さらに、本実施の形態のシートロック装置によれば、ストライカ4の進入位置が第1のストライカ進入溝10Aの幅方向にずれた場合でもストライカ4を確実に拘束することができ、噛合許容代を大きくすることができる。
【0049】
なお、本発明は、上記実施の形態で挙げた構成に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能であることはもちろんである。
【0050】
例えば、シートロック装置5は、ボディ10の開口端部をベースプレート11で覆わない構成であってもよい。この場合も、フックレバー12よりもシートバック302における車両左右方向の中心側に第1のストライカ進入溝10Aが位置する向きでシートロック装置5をシートバックフレーム302aに取り付ければ、上記実施の形態で説明したような効果が得られる。なお、上記実施の形態のようにボディ10の開口端部をベースプレート11で覆うことで、ケース部材(ボディ10及びベースプレート11)に収容されたフックレバー12等を保護できる。また、ボディ10の開口端部をベースプレート11で覆い、フック軸15の一端部をベースプレート11のフック軸挿通孔11Bに挿通しておくと、例えばシートバック302が撓んだ場合にボディ10のフック軸挿通孔10Bが変形することを防止できる。
【0051】
また、シートロック装置5の向きは、フック軸15の軸心方向が車両左右方向となる向きに限らず、適宜変更可能である。例えば、フック軸15の軸心方向が起立状態でのシートバック302の上下方向となる向きにした場合も、フック軸15の軸心方向においてフックレバー12よりもシートバック302の中心側に第1のストライカ進入溝10Aが位置するようシートロック装置5を配設すれば、上記実施の形態で説明したような効果が得られる。
【0052】
また、ストライカ4は、
図9に示すように、車両本体1における車両左右方向の端面(側面)103から車両中央方向に突出する向きで設けてもよい。なお、
図9は、ストライカの取付方法の変形例を示す断面図であり、
図3のA−A線断面に相当する。この場合、シートロック装置5のフックレバー12をストライカ取付面である車両本体1の端面103に近接して配置できる。そのため、シートバック302に車両後方側から押圧荷重が作用した際にフックレバー12を介してストライカ4に作用するモーメントを低減でき、高強度化が可能になる。
【0053】
また、シートロック装置5は、シートバック302が内蔵するシートバックフレーム302aにおける内方側(
図2におけるシートバック302の中心302x側)を向いた面に取り付けてもよい。
【0054】
さらに、シートロック装置5を適用するシートバックは、トランクスルー機能を備えた車両に限らず、ワゴン車におけるリアシートのシートバック等でもよい。また、シートロック装置5を適用するシートバックは、車両前後方向に移動可能なものに限らず、車両左右方向に移動可能なものでもよい。この場合も、フック軸15の軸心方向においてフックレバー12よりもシートバックの中心側に第1のストライカ進入溝10Aが位置するようシートロック装置5を配設すれば、車両左右方向の押圧荷重がシートバックに作用した場合の打音の発生を防ぐことができる。
【0055】
また、本発明に係るシートロック装置5は、シートバック(背もたれ側のクッション)302が車両本体に対して移動可能なシートに限らず、シートクッション(座面側のクッション)301が車両本体に対して移動可能なシートにも適用できる。この場合も、シートクッションの端部、かつフック軸15の軸心方向においてフックレバー12よりもシートクッションの中心側に第1のストライカ進入溝10Aが位置するようシートロック装置5を配設すれば、シートクッションに押圧荷重が作用した場合の打音の発生を防ぐことができる。
【0056】
また、シートロック装置5を適用するシートの収納状態は、可動側クッションを着座可能な状態のときとは異なる位置に移動させた状態であれば、上記実施の形態で示したようなシートバック302(可動側クッション)がシートクッション301と重なった状態でなくてもよい。例えば、シートクッション301とシートバック302との位置関係を保ったまま、着座可能な状態からシートクッション301を車両本体1の床に対して起立させた状態が収納状態であってもよい。また、例えば、シートバック302をシートクッション301とは反対側に倒すとともにシートクッション301を車両本体1の床に対して起立させた状態が収納状態であってもよい。