(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6209766
(24)【登録日】2017年9月22日
(45)【発行日】2017年10月11日
(54)【発明の名称】チョロギエキスの製造方法
(51)【国際特許分類】
A61K 36/53 20060101AFI20171002BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20171002BHJP
A61P 39/06 20060101ALI20171002BHJP
【FI】
A61K36/53
A61P43/00 111
A61P39/06
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-170683(P2013-170683)
(22)【出願日】2013年8月20日
(65)【公開番号】特開2015-40177(P2015-40177A)
(43)【公開日】2015年3月2日
【審査請求日】2016年6月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】392008541
【氏名又は名称】日東薬品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100122688
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100117743
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 美由紀
(74)【代理人】
【識別番号】100163658
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 順造
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(72)【発明者】
【氏名】森 隆治
(72)【発明者】
【氏名】久 景子
(72)【発明者】
【氏名】岩佐 一毅
【審査官】
鈴木 理文
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−119373(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第103131744(CN,A)
【文献】
中国特許出願公開第102138598(CN,A)
【文献】
中国特許出願公開第101717415(CN,A)
【文献】
Talanta,2006年,Vol.70,pp.208-212
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/53
A61P 39/06
A61P 43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チョロギを40℃を超える水にて抽出する方法で得られるチョロギエキスまたはその乾燥粉末を含む、Nrf2−ARE経路の活性化剤。
【請求項2】
前記方法が、
水抽出物をろ過又は遠心分離することにより残渣を除去し、抽出液を調製する工程、
該抽出液を濃縮する工程、及び
該濃縮液に対し、滅菌、乾燥、篩過の1以上の工程
を行う方法である、請求項1に記載の剤。
【請求項3】
水抽出における水温が、80℃〜100℃である、請求項1又は2に記載の剤。
【請求項4】
水抽出における水温が、90℃〜100℃である、請求項1又は2に記載の剤。
【請求項5】
チョロギの塊茎部を使用する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の剤。
【請求項6】
抗酸化ストレス剤である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チョロギエキス、チョロギエキスを含む組成物及びそれらの製造方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
高齢化社会を迎え、増加する認知症をどのように抑えていくかという課題が世界的な問題となっている。認知症は患者自身のみならず、家族への精神的、肉体的、経済的負担も大きく、深刻な社会的問題である。認知症の中でも、アルツハイマー型認知症に対し、日本で使用されている治療薬としては、アリセプト、メマリー、レミニール、イクセロンが存在するが、いずれも症状改善薬であって根本的な治療薬ではないため、新たな治療薬の開発は急務である。
【0003】
近年、植物から抽出物を調製し、その脳機能改善効果についての報告がなされている。例えば、双子葉植物であるキンポウゲ科に属する多年性植物のオキナグサ抽出物に、β−アミロイドによる神経毒性の保護作用等があることが報告されている(特許文献1)。
あるいは、シソ科の多年草の食用植物であるチョロギ(学名Stachys affinis又はStachys sieboldii)塊茎部の粉末又は抽出物に、脳機能改善効果があることが報告されている(特許文献2)。しかしながら、特許文献2に記載されている抽出法では、抽出物が飴化されてしまいエキス化し難い。その上、同方法はメタノールを用いる抽出法であるため、残留溶媒が懸念される等、実用性、安全性等に問題が存在している。
【0004】
ところで、NF-E2-related factor (Nrf2) は、塩基性-ロイシンジッパー構造を有する、CNC (Cap’n’Collar) 転写因子群に属する転写因子として知られている。通常は細胞質内に存在し、Keap 1 (kelch-like ECH associating protein 1)とよばれる制御タンパク質と結合しているが、酸化ストレス刺激を受けると、Keap 1と解離して核内に移行して小Maf群転写因子とヘテロ二量体を形成し、標的遺伝子の調節領域内に存在するARE (Antioxidant Responsive Element) 配列に結合し、親電子物質の解毒化酵素遺伝子群、抗酸化ストレス酵素遺伝子群、ペントースリン酸経路、抗炎症性遺伝子群、ユビキチン−プロテアソームシステムに関与する遺伝子群、薬物トランスポーター遺伝子など標的遺伝子の転写を活性化し、酸化ストレスに対する恒常性維持機構として働いていることが、マイクロアレイ解析などにより明らかになってきている。しかしながら、チョロギに含まれる成分とNrf2-ARE経路の関係については全く知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−246311号公報
【特許文献2】特許第2776927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、チョロギから、残留溶媒等の懸念がない安全なチョロギエキスを製造する方法、当該チョロギエキスを含む組成物等を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的に鑑み鋭意検討を行い、チョロギを40℃を超える水で抽出することを試みた。その結果、当該抽出液から飴化することなくチョロギエキスが容易に得られることを見出した。さらに、当該方法で製造したチョロギエキスに抗酸化ストレス作用があることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は下記のとおりである:
[1]チョロギを40℃を超える水にて抽出し、チョロギエキスを製造する方法。
[2]水抽出物をろ過又は遠心分離することにより残渣を除去し、抽出液を調製する工程、
該抽出液を濃縮する工程、及び
該濃縮液に対し、滅菌、乾燥、篩過の1以上の工程
を行う、[1]の方法。
[3]水抽出における水温が80℃〜100℃である、[1]、[2]の方法。
[4]水抽出における水温が90〜100℃である、[1]、[2]の方法。
[5]チョロギの塊茎部を使用する[1]〜[4]の方法。
[6][1]〜[5]の方法で得られるチョロギエキスまたは、その乾燥粉末を含むNrf2-ARE経路の活性化剤。
[7]抗酸化ストレス剤である、[6]の剤。
【発明の効果】
【0009】
本発明のチョロギ抽出方法は、熱水によるため、従来のメタノール等有機溶媒抽出で得られるチョロギ抽出物と比べて残留溶媒による有害反応の懸念が無く、安全で実用的なものである。また、本発明の方法により得られるチョロギ抽出物は飴化しないため、エキス化も容易である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】チョロギ熱水抽出物を用いたin vitro アッセイ系において、いずれの抽出物でも、Nrf2−ARE経路の活性化が誘導されたことを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の詳細を説明する。本発明は、チョロギから熱水抽出でチョロギエキスを製造する方法、当該方法により得られるチョロギエキス、チョロギエキスを含む組成物等を提供する。
【0012】
本発明で使用する原料はチョロギである。抽出には、チョロギ塊茎部を使用することができる。抽出には、生のチョロギを刻んで使用する、あるいは粉砕して使用してもよい。別の態様としては、乾燥したチョロギを粉砕して使用してもよい。また、チョロギは日本産、中国産等、産地を問わない。
【0013】
本発明の抽出には、水を使用することができる。抽出に使用する水としては、例えば、イオン交換水、蒸留水、純水、超純水、ナチュラルウォーター、ナチュラルミネラルウォーター、常水(日本薬局方の規定による)等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0014】
使用する水の量は、原料であるチョロギの量に応じて適宜決定することができる。原料の5〜15重量部、好ましくは、8〜10重量部である。
【0015】
抽出用の水の温度は、40℃を超えることが必要であり、好ましくは80℃〜100℃、より好ましくは、90℃〜100℃であり、さらに好ましくは93℃〜97℃であり、就中95℃である。本明細書においては、上述の好ましい温度範囲から、抽出用の水を「熱水」という語で表現する場合があるが、特にことわらない限り、40℃を超える水をすべて包含する意味で使用される。
【0016】
熱水での1回の抽出反応時間は、30分〜2時間、好ましくは50分〜1時間である。
【0017】
本発明の抽出方法は、チョロギに上述の熱水を加えて、熱水の温度を保持させながら、上述の時間、抽出反応を行うことができる。熱水の温度を保持することができれば、どのような方法でもよく、例えば、マルトンヒーターでの還流を行うことができる。また、一態様として、熱水での抽出操作を2回以上行ってもよい。
【0018】
上述の方法で処理した抽出物は、さらにろ過、又は遠心分離等の手段により、残渣と抽出液とに分けることができる。ろ過のフィルターのサイズは、適宜選択すればよく、例えば、150メッシュ(mesh)のフィルターを使用することができるが、それに限定されない。抽出液は、減圧濃縮等を行い、濃縮液とすることができる。
【0019】
濃縮液は、さらに自体公知の手法を経て、チョロギエキスとすることができる。加工処理としては、例えば、滅菌(加熱滅菌等)、乾燥(スプレードライ等)、篩過(例えば、60メッシュ(mesh)等)等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
また、前記抽出液あるいは濃縮液を、減圧乾燥や凍結乾燥等の一般的な手法により、チョロギ抽出液乾燥物(粉末)、又はチョロギ濃縮液乾燥物(粉末)として使用することもできる。
【0021】
一態様としては、チョロギ抽出液又はチョロギ濃縮液をさらに精製してもよい。精製法は自体公知の方法、例えば、向流分配法、カラムクロマトグラフィー等が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、後述の実施例に記載のNrf2−ARE経路の活性化を指標に、当該活性を有する画分を取得し、前記精製法により精製を行ってもよい。当該精製処理により得られる各精製画分を、減圧乾燥や凍結乾燥等の通常の手段により乾燥して使用することもできる。
【0022】
別の態様としては、チョロギ抽出液中に存在する活性物質を特定するため、自体公知の方法を適用することができる。方法は、クロマトグラフィー(シリカゲルカラムクロマトグラフィー、HPLC、逆相HPLC等)による分離、その後マススペクトル等による分子量決定、NMR等での構造決定が挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
本発明は、少なくとも部分的には、上述の方法で得られるチョロギエキスが、意外にもNrf2−ARE経路を活性化することの発見に基づく。即ち、本発明はまた、上述の方法で得られるチョロギエキスを含む、Nrf2−ARE経路の活性化剤、特に抗酸化ストレス剤を提供する。本発明の抗酸化ストレス剤は、医薬品(医療用医薬品、一般用医薬品又は医薬部外品)、食品(健康食品、栄養補助食品(サプリメント、栄養ドリンク等)、特定保健用食品等)、化粧料等に使用することができる。
【0024】
医薬品の形態としては、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤等が挙げられるが、これらに限定されない。また、液体の医薬品としては、懸濁剤、乳剤、シロップ剤等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
本発明の組成物は、薬理学上許容される量の添加剤を含むことができる。添加剤としては、賦形剤、結合剤、矯味剤、滑沢剤、ミネラル類、ビタミン等が挙げられるが、これらに限定されない。これら添加剤は、製剤技術分野において慣用の量が用いられる。また、これら添加剤は2種以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。
【0026】
賦形剤としては、マルチトール、マルトール、エリスリトール、D−マンニトール、D−ソルビトール、キシリトール、精製白糖、白糖、果糖、ブドウ糖、粉末還元麦芽糖水アメ、乳糖等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
結合剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、プルラン、マクロゴール、アラビアゴム、アラビアゴム末、ゼラチン等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
矯味剤としては、甘味剤、清涼化剤、香料等として用いられるものであればよい。例えば、ヨーグルトフレーバー、バニラフレーバー、アスパルテーム、アマチャ末、サッカリン、カラメル、ケイヒ末、グリチルリチン酸二カリウム、ステビア、ハッカ油、オレンジ油、レモン油、パイン油、1−メントール、フルーツフレーバー、チョコレートフレーバーなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、ラウリル硫酸ナトリウム、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
ミネラル類としては、例えば、カルシウム、カリウム、亜鉛、鉄、マグネシウム、ヨウ素、銅、セレン、マンガン、フッ化物、クロミウム、モリブデン、ナトリウム等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
ビタミン類としては、ビタミンB(B1、B2、B3、B5、B6等)、ビタミンC、ビタミンD(D2、D3、D4、D5等)、ビタミンK等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
さらに、食品に一般的に使用される保存料、発色剤、香料、酸味料等を添加することもできる。例えば、保存料としては安息香酸ナトリウム、ε-ポリリジン等、発色剤としては、亜硝酸ナトリウム等、香料としては、エチルバニリン、バニリン、グリセリン脂肪酸エステル、中鎖脂肪酸トリグリセリド、酸味料としては酢酸、クエン酸、コハク酸等が挙げられる。これら添加剤は、製剤技術分野において慣用の量が用いられる。また、これら添加剤は2種以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。
【0033】
本発明の組成物は、チョロギエキスの乾重量として、約0.1mg/kg体重〜約500mg/kg体重、好ましくは約1mg/kg体重〜約300mg/kg体重を、1日1回〜数回に分けて投与することができる。
【0034】
本発明の組成物を投与する対象としては、ヒトが挙げられるが、ヒト以外の哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ヒツジ、サル等)にも適用することができる。
【0035】
本発明で得られるチョロギ抽出物は、Nrf2−ARE経路を活性化することができる。そのため、本発明で得られるチョロギエキス、それらの精製物、又はこれらを含む組成物は、当該経路の活性化により奏される作用(抗がん作用、抗変異原作用、抗酸化作用、抗菌・抗カビ作用、抗血小板凝集作用、抗ピロリ菌作用、ビタミンB1合成増強作用、食欲増進作用等)により予防・改善効果が得られる種々の疾患・状態に対して使用することができる。例えば、抗酸化ストレス剤(例えば、肝炎、慢性腎臓病(CKD)、糸球体腎炎、肺炎、間質性肺炎、閉塞性肺疾患、がん、動脈硬化性疾患(例、心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、脳出血、大動脈瘤、大動脈解離、腎硬化症、閉塞性動脈硬化症等)、神経変性疾患(例、パーキンソン病、アルツハイマー病、筋委縮性側索硬化症(ALS)、脊髄小脳変性症(SCD)、ポリグルタミン病、プリオン病等)、生活習慣病(例、糖尿病、高脂血症、肥満症、高血圧、高コレステロール血症、アルコール性肝炎、脂肪肝等)、自己免疫疾患(例、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、シェーングレン症候群、強皮症、多発性硬化症、自己免疫性肝炎、1型糖尿病等)などの予防及び/又は治療剤)、抗変異原剤、抗菌・抗カビ剤、抗血小板凝集剤、抗ピロリ菌剤、ビタミンB1合成増強剤、食欲増進剤等として使用することができる。
【0036】
別の態様として、本発明で得られるチョロギエキス、その精製物、それらの乾燥物、又はそれらを含む組成物は、脳機能を改善するために使用することができる。例えば、認知症(アルツハイマー型認知症、レビー小体病のような変性性認知症、多発脳梗塞型、限局性脳梗塞型のような脳血管性認知症)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
本発明において、チョロギエキス等の薬理活性は、自体公知の方法により、確認することができる。一例として、後述のin vitro アッセイ系による、ARE活性の測定法が挙げられるが、それに限定されない。マウス、ラット等の動物に投与し、in vivoでの効果を確認することもできる。
【0038】
以下、実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下に示す実施例によって何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0039】
熱水1回抽出
チョロギ乾燥物(100g)を刻んで細片化し、細片物1部に対し、日本薬局方に規定される常水10部(1L)を加え、95℃で1時間還流抽出した。得られた抽出液を150メッシュでろ過し、ろ液(750mL)を60℃以下でエバポレーターにて減圧濃縮、乾固させた後、乳鉢にて混合・粉砕してチョロギエキス(16.4g)を得た。
【実施例2】
【0040】
熱水2回抽出
チョロギ乾燥物(100g)を刻んで細片化し、細片物1部に対し、日本薬局方に規定される常水10部(1L)を加え、95℃での1時間還流抽出を2回行った。得られた抽出液を150メッシュでろ過し、1回目のろ液(750mL)、2回目のろ液(870mL)を60℃以下でエバポレーターにて減圧濃縮、乾固させた後、乳鉢にて混合・粉砕してチョロギエキス(21.2g)を得た。
【実施例3】
【0041】
ラージスケールでの熱水抽出
チョロギ乾燥物(1.5kg)を刻んで細片化し、細片物1部に対し、日本薬局方に規定される常水10部(15L)を加え、95℃で1時間還流抽出した。得られた抽出液を150メッシュでろ過し、ろ液(11.2L)を60℃以下で減圧濃縮して濃縮液(1485g)を得た。得られた濃縮液を噴霧乾燥した後、60メッシュで篩過しチョロギエキス(640g)を得た。実収率43%、乾燥重量4.1%であった。
【実施例4】
【0042】
チョロギ抽出物を用いたin vitroアッセイ
実施例1、2で得られたチョロギ抽出物に対しin vitroアッセイを行い、ARE活性を測定した。ラットNADPH:quinone oxidoreductase 1(NQO1)遺伝子のARE配列を含むプロモーター領域をルシフェラーゼ遺伝子の上流に組み込み、ラット腎臓髄質由来褐色細胞腫PC12細胞に安定発現させた。ARE活性化により生成したルシフェラーゼ活性を、ルミノメーターにより測定した。PC12細胞は、5% FBS、10%HS含有DMEM中で、5%CO
2、37℃で維持した。結果を
図1に示す。熱水1回抽出、及び2回抽出いずれの場合においても、Nrf2−ARE経路の活性化が認められた。
【0043】
本発明を好ましい態様を強調して説明してきたが、好ましい態様が変更され得ることは当業者にとって自明である。
【0044】
ここで述べられた特許及び特許出願明細書を含む全ての刊行物に記載された内容は、ここに引用されたことによって、その全てが明示されたと同程度に本明細書に組み込まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明により、チョロギを熱水抽出し、抽出液を濃縮してチョロギエキスを製造することができる。本発明の抽出方法は、熱水によるため、従来のメタノール等の有機溶媒を使用する抽出法と比べても残留溶媒の懸念が無く、より安全である。そのため、食品、医薬品等への実用的な使用が可能となる等、産業上極めて有用である。