特許第6209778号(P6209778)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6209778
(24)【登録日】2017年9月22日
(45)【発行日】2017年10月11日
(54)【発明の名称】特定のイソプレノイドの段階的水素化
(51)【国際特許分類】
   C07C 45/62 20060101AFI20171002BHJP
   B01J 23/44 20060101ALI20171002BHJP
   C07C 49/203 20060101ALI20171002BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20171002BHJP
【FI】
   C07C45/62
   B01J23/44 Z
   C07C49/203 E
   !C07B61/00 300
【請求項の数】13
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-536141(P2015-536141)
(86)(22)【出願日】2013年10月11日
(65)【公表番号】特表2015-536304(P2015-536304A)
(43)【公表日】2015年12月21日
(86)【国際出願番号】EP2013071238
(87)【国際公開番号】WO2014057075
(87)【国際公開日】20140417
【審査請求日】2016年9月7日
(31)【優先権主張番号】12188133.8
(32)【優先日】2012年10月11日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503220392
【氏名又は名称】ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】ボンラート, ヴェルナー
(72)【発明者】
【氏名】キーウィ ミンスカー, リュボフ
(72)【発明者】
【氏名】イウラノフ, イゴール
(72)【発明者】
【氏名】カルデナス リザーナ, フェンランド
(72)【発明者】
【氏名】デッシモズ, アンヌ ロール
【審査官】 杉江 渉
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−190644(JP,A)
【文献】 特許第4172272(JP,B2)
【文献】 特開昭56−124442(JP,A)
【文献】 特開2012−016681(JP,A)
【文献】 特開2012−152720(JP,A)
【文献】 特表2008−513389(JP,A)
【文献】 特開2008−303213(JP,A)
【文献】 特開昭64−016738(JP,A)
【文献】 特開昭57−038733(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 45/00−49/92
B01J 21/00−38/74
CAplus/REGISTRY(STN)
CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

(式中、nは0、1、2、3、4または5である)
で示される化合物を、第1の工程で、式(II)
【化2】

(式中、nは式(I)と同じ意味を有する)
で示される化合物とし、
第2の工程で、式(III)
【化3】

(式中、nは式(I)と同じ意味を有する)
で示される化合物とする、不均一触媒による段階的水素化において、
(i)Hガスを使用して水素化し、かつ
(ii)触媒が、MgOおよび任意選択により少なくとも1種の他の金属酸化物を含む非酸性金属酸化物層によって被覆された構造体触媒であって、前記金属酸化物層にPdナノ粒子が含浸されている構造体触媒である
ことを特徴とする水素化。
【請求項2】
式(Ia)
【化4】

で示される化合物を出発物質として使用する請求項1に記載の水素化。
【請求項3】
前記構造体触媒は、焼結金属繊維(SMF)をベースとしている請求項1または2に記載の水素化。
【請求項4】
SMFは、FeCrAl合金またはステンレス鋼である請求項に記載の水素化。
【請求項5】
前記非酸性金属酸化物層は、いかなるZnも実質的に含んでいない請求項1〜4のいずれか一項に記載の水素化。
【請求項6】
前記触媒は、前記非酸性金属酸化物層を、前記触媒の全重量に対して0.01wt%〜最大20wt%含む請求項1〜5のいずれか一項に記載の水素化。
【請求項7】
前記Pdナノ粒子は、0.5〜20nmの粒径を有する請求項1〜6のいずれか一項に記載の水素化。
【請求項8】
前記触媒は、前記触媒の全重量に対して0.001〜5wt%のPdナノ粒子を含有している請求項1〜7のいずれか一項に記載の水素化。
【請求項9】
溶媒中で行われる請求項1〜8のいずれか一項に記載の水素化。
【請求項10】
前記溶媒が、少なくとも1種のアルコールであり、任意選択により水と組み合わされる請求項9に記載の水素化。
【請求項11】
かなる溶媒も使用せずに行われる請求項1〜のいずれか一項に記載の水素化。
【請求項12】
40〜120℃の温度で行われる請求項1〜11のいずれか一項に記載の水素化。
【請求項13】
1〜200barの圧力下で行われる請求項1〜12のいずれか一項に記載の水素化。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、式(I)で示される特定のイソプレノイドの段階的水素化に関する。
【化1】

(式中、nは0、1、2、3、4または5の値を有する。)
【0002】
イソプレノイドはよく知られた化合物である。例えば、プソイドイオノン(n=1)は、すなわちタバコ植物に見ることができ、それから抽出することができる化合物である。
【0003】
しかし、通常、式(I)で示される化合物は合成によって製造される。例えば、プソイドイオノンは、160℃までの温度で加熱することによって、アセト酢酸エチルからもデヒドロリナロールからも製造することができる。
【0004】
式(I)で示されるイソプレノイドが2つ以上のC−C二重結合とC=O結合とを有するという事実から、水素化が起こり得る可能性のある位置が多数ある。
【0005】
本発明の目的は、以下の方法で、選択的、かつ段階的に式(I)で示される化合物を水素化する方法を見出すことにあった。
【化2】
【0006】
驚いたことに、特定の触媒を使用すると、水素化が段階的に起こることがわかった。
【0007】
本発明との関連において、段階的とは、式(I)で示される化合物が水素化されて式(II)で示される化合物が生成され、その後、式(II)で示される化合物が水素化されて式(III)で示される化合物が生成されることを意味する。
【0008】
式(I)および式(II)で示される化合物は幾何異性体配列をとることができる。それらは全E型、または全Z型であり得るし、またE/Z型であり得る。幾何異性体を有するか否かは段階的水素化にはさほど重要なことではない。式(II)で示される化合物および式(III)で示される化合物は、有機合成に有用な中間体であり、また香料の製造にも有用な化合物である。
【0009】
さらに、本発明の触媒の使用により、次の副生物:
【化3】

は生成しない(または、ごく僅かだけ生成する)。
【0010】
使用触媒は、MgOおよび任意選択により少なくとも1種の他の金属酸化物を含む非酸性金属酸化物によって被覆された構造体触媒であって、前記非酸性金属酸化物にPdナノ粒子が含浸されている構造体触媒である。
【0011】
したがって、本発明は、式(I)
【化4】

(式中、nは0、1、2、3、4または5である)
で示される化合物を、第1の工程で、式(II)
【化5】

(式中、nは式(I)と同じ意味を有する)
で示される化合物とし、
第2の工程で、式(III)
【化6】

(式中、nは式(I)と同じ意味を有する)
で示される化合物とする、不均一触媒による段階的水素化において、
(i)Hガスを使用して水素化し、かつ
(ii)触媒が、MgOおよび任意選択により少なくとも1種の他の金属酸化物を含む非酸性金属酸化物層によって被覆された構造体触媒であって、前記非酸性金属酸化物層にPdナノ粒子が含浸されている構造体触媒である
ことを特徴とする水素化に関する。
【0012】
非酸性金属酸化物層は塩基性または両性であることが好ましい。
【0013】
本明細書での使用において、「構造体触媒」という用語は、触媒の空間的形状が制御されている触媒をいう。構造体触媒は、当技術分野では知られている(例えば、Chimia 56(4),2002,159−163を参照)。構造体触媒の例としては、セラミック担体構造体、ならびに繊維状構造体、特にフィラメント織布および不織布がある。本発明での使用には、あらゆる種類のフィラメント織布を使用することができる。繊維は有機物からのものでも無機物からのものであってもよい。例としては、活性炭素繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、金属繊維 複合繊維からなる布またはフリースが挙げられる。フィラメント織布の個々の繊維は、約2μm〜約100μmの直径、特に約20μm以下の直径を有することが好ましい。布は、個々の繊維の束からなる糸から適切に織られ、約1mm未満の大きさの孔隙径を有する織布を提供する。それらは、化学的に、例えば硝酸により処理して、特定の表面を改質したり、例えばAl、TiまたはPbなどの金属の化合物からなる被覆を設けて触媒の特性を向上させたりしてもよい。
【0014】
焼結金属繊維(SMF)もまた構造体触媒として適している。
【0015】
金属マイクロファイバからなる3次元焼結金属繊維は、発熱性水素化に非常に有利な高い熱伝導性、高い孔隙率および高い透過性を有している。金属繊維マトリックスはまた、チャネリングを除くミクロンサイズの静的ミキサーとして機能する。さらに、大きい機械的強度、高い化学的および熱的安定性、成形の容易さが、SMFを、接触水素化を強化する有望な材料としている。
【0016】
適切なSMFは、例えば、FeCrAl合金やステンレス鋼から作製される。
【0017】
本発明のより好ましい実施形態は、式(Ia)
【化7】

で示される化合物を、第1の工程で、式(IIa)
【化8】

で示される化合物とし、第2の工程で、式(IIIa)
【化9】

で示される化合物とする段階的水素化において、
(i)Hガスを使用して水素化し、かつ
(ii)触媒が、MgOおよび任意選択により少なくとも1種の他の金属酸化物を含む非酸性酸化物層によって被覆された構造体触媒であって、前記酸化物層にPdナノ粒子が含浸されている構造体触媒である
ことを特徴とする水素化に関する。
【0018】
本発明のさらに他の重要な利点は、完全に水素化された化合物(式(IV)で示される化合物)にまで水素化が行われないことである。
【化10】
【0019】
本発明の方法の結果、カルボニル基もまた還元されることはない。
【0020】
より好ましい方法は、
触媒が、非酸性酸化物層によって被覆された焼結金属繊維(SMF)をベースとした構造体触媒であって、非酸性酸化物層がMgO、ならびに任意選択によりAl、TiO、ZrO、CeO、La(ランタニド系列から作られる他の酸化物もまた適している)およびGaからなる群から選択される少なくとも1種の他の金属酸化物を含み、前記金属酸化物層にPdナノ粒子が含浸されている構造体触媒である
ことを特徴としている。
【0021】
金属マイクロファイバからなる三次元焼結金属繊維(SMF)が、構造体触媒の支持体として好ましいものである。SMFは、発熱性水素化に非常に有利な高い熱伝導性を有し、また、高い孔隙率および高い透過性を有している。
【0022】
本発明との関連において好適な焼結金属繊維は、前述したもの、すなわちFeCrAl合金またはステンレス鋼である。
【0023】
そのような材料は、例えばBekaert SA(ベルギー)から商業的に入手可能である。
【0024】
非酸性酸化物層にはいかなるZnも実質的に含まれていない。これは、非酸性酸化物層に、いかなる形態のZnも(元素形態のZnも他の任意の形態のZnも)含まれていないことを意味する。
【0025】
本発明の好ましい実施形態では、SMFはFeCrAl合金から作製され、それは任意選択により予備酸化し得る。
【0026】
本発明の好ましい実施形態では、SMFはステンレス鋼合金から作製される。
【0027】
SMFには、少なくとも1種の非酸性金属酸化物からなる薄層が被覆される。好ましくは、金属酸化物は、MgO、および任意選択により少なくとも1種の他の金属酸化物である。これらの他の金属酸化物は、Al、TiO、ZrO、CeO、LaおよびGaからなる群から選択される。
【0028】
SMFは、MgOおよびAlからなる混合物によって被覆されることがより好ましい。
【0029】
通常、触媒は、触媒の全重量に対して0.01重量%(wt%)〜最大20wt%の非酸性金属酸化物層を含む。
【0030】
触媒の全重量に対して、好ましくは0.1〜10wt%、より好ましくは1.5〜10wt%、最も好ましくは2〜8wt%である。
【0031】
非酸性金属酸化物層には、Pdナノ粒子が含浸される。
【0032】
Pdナノ粒子は、通常、0.5〜20nm、好ましくは2〜15nm、より好ましくは2〜12nm、最も好ましくは3〜9nmの粒径を有する。
【0033】
本発明は、さらに、上で定義した方法であって、触媒が、触媒の全重量に対して0.001〜5wt%、好ましくは0.01〜2wt% より好ましくは0.05〜1wt%、最も好ましくは0.2〜0.8wt%のPdナノ粒子を含む方法に関する。
【0034】
水素化は高温で行う。通常、水素化は40〜120℃の温度で行う。
【0035】
水素化は1〜200barの圧力で行う。
【0036】
水素化は溶媒(または、溶媒の混合物)中で行うか、またはいかなる溶媒も使用せずに行うことができる。
【0037】
溶媒を使用する場合、不活性溶媒(または、不活性溶媒の混合物)を使用しなければならない。溶媒を使用する場合、少なくとも1種のアルコール、または水と少なくとも1種のアルコールとの混合物を使用することが好ましい。
【0038】
メタノール、エタノール、プロパノール、i−プロパノールおよびこれらの任意の混合物、ならびに水との組み合わせ(特にエタノール/水混合物)がより好ましい。
【0039】
さらに、段階的水素化で使用する触媒もまた新規である。
【0040】
したがって、本発明はまた、非酸性金属酸化物層によって被覆された構造体触媒であって、非酸性金属酸化物層がMgOおよび任意選択により少なくとも1種の他の金属酸化物を含み、前記酸化物層にPdナノ粒子が含浸されている構造体触媒に関する。
【0041】
上記方法で挙げ、また定義した好ましい態様は、すべて触媒にも適用される。
【0042】
より好ましい触媒は、非酸性酸化物層によって被覆された焼結金属繊維(SMF)をベースとした構造体触媒であって、非酸性酸化物層がMgO、および任意選択によりAl、TiO、ZrO、CeO、LaおよびGaからなる群から選択される少なくとも1種の他の金属酸化物を含み、前記金属酸化物層にPdナノ粒子が含浸されている構造体触媒である。
【0043】
本発明の好ましい実施形態は、FeCrAl合金から作製され、任意選択により予備酸化し得るSMFを含む触媒に関する。
【0044】
本発明の好ましい実施形態では、SMFはステンレス鋼合金から作製される。
【0045】
本発明の好ましい実施形態は、少なくとも1種の非酸性金属酸化物からなる薄層が被覆されたSMFを含む触媒に関する。好ましくは、金属酸化物は、MgO、および任意選択により少なくとも1種の他の金属酸化物である。これらの他の金属酸化物は、Al、TiO、ZrO、CeO、LaおよびGaからなる群から選択される。
【0046】
本発明のより好ましい実施形態は、MgOおよびAlからなる混合物によって被覆されたSMFを含む触媒に関する。
【0047】
したがって、本発明は、MgOおよびAlを含む非酸性金属酸化物層によって被覆された構造体触媒であって、前記金属酸化物層にPdナノ粒子が含浸されている構造体触媒に関する。
【0048】
本発明はまた、触媒の全重量に対して0.01wt%〜最大20wt%の非酸性金属酸化物層を含む触媒に関する。
【0049】
触媒の全重量に対して、好ましくは0.1〜10wt%、より好ましくは1.5〜10wt%、最も好ましくは2〜8wt%である。
【0050】
本発明の触媒の非酸性金属酸化物層には、Pdナノ粒子が含浸されている。
【0051】
Pdナノ粒子は、通常、0.5〜20nm、好ましくは2〜15nm、より好ましくは2〜12nm、最も好ましくは3〜9nmの粒径を有する。
【0052】
本発明の触媒は再利用でき、かつ選択性が非常に良好なレベルで残存していることもまた重要な利点である。
【0053】
本発明はさらに、触媒の全重量に対して0.001〜5wt%、好ましくは0.01〜2wt% より好ましくは0.05〜1wt%、最も好ましくは0.2〜0.8wt%のPdナノ粒子を含む触媒に関する。
【0054】
したがって、本発明は、上記の構造体触媒であって、触媒の全重量に対して0.01wt%〜最大20wt%の非酸性金属酸化物層を含み、Pdナノ粒子が、0.5〜20nmの粒径を有し、かつPdナノ粒子を触媒の全重量に対して0.001〜5wt%含む構造体触媒に関する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1】段階的水素化に使用した反応器
図2】濃度−時間プロファイル(0.2%Pd/5%(Al+MgO)/SMFss触媒、溶媒なし)
図3】濃度−時間プロファイル(10%Pd/C触媒、溶媒なし)
【0056】
以下の実施例により本発明を説明する。特に断らない限り、示された部はすべて重量に関係し、温度は℃で示す。
【0057】
[実施例]
[実施例1:構造体触媒の調製(0.2%Pd/5%(MgO+Al)/SMFss]
AISI316Lステンレス鋼焼結金属繊維パネル(SMFSS、Bekaert Fibre Technology)をアセトン(Fluka、≧99%)で洗浄し、トルエン(Fluka、≧99.7%)中で30分間煮沸し、室温で空気乾燥させた。酸化物層が金属繊維表面に接着しやすくなるように、このフィルタをさらに空気中、450℃で2時間酸化させた(傾斜−20°min−1)。
【0058】
予備処理後、SMFSSパネルにMgO+Al(モル比1:1)層をディップコーティングした。MgO+Al前駆体溶液は次のように調製した:200gのAl(NO・9HOを700mlの蒸留水に溶解した。溶液を95℃まで加熱した。22.0gのMgOを溶液に加えた。MgOが完全に溶解するまで加熱と攪拌を継続した。その後、溶液を室温にまで冷却した。
【0059】
SMFSSパネルをMgO+Al前駆体溶液に浸漬し、その後、空気中、室温で乾燥させ(1時間)、450℃でか焼(1時間、温度傾斜−2°/min)して、MgO+Al(モル比1:1)層を析出させた。浸漬−乾燥−か焼のサイクルを2回繰り返し、約5wt%のMgO+Al(モル比1:1)を析出させた。
【0060】
その後、5%(MgO+Al)/SMFSSパネルにPdナノ粒子ゾルを含浸させた。Pdナノ粒子ゾルは次のように調製した:0.277gのポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)(K30、M約50000)および0.156gのアスコルビン酸を15mlの熱水(95〜98℃)に溶解した(溶液1)。別のビーカーで、0.088gのPdClおよび0.058gのNaClを10mlの熱水に溶解した(溶液2)。攪拌しながら、溶液2を溶液1に素早く加えた。溶液の色が、Pdナノ粒子の生成を示す茶色から黒色に直ちに変化した。得られたコロイド溶液の攪拌と加熱を3時間継続した。その後、ゾルを冷却し、75mlのアセトンで希釈した。この混合物を攪拌せずに終夜静置した。無色の液相を捨てた。黒色の粘稠な残渣を12.5mlの水に溶解し、安定なPdゾルを得た。
【0061】
5%(MgO+Al)/SMFSSパネルにPdナノ粒子ゾルを含浸させ、その後、空気中、室温で乾燥(1時間)させることを2回行った。0.2%Pd/5%(MgO+Al)/SMFSSパネルを、空気中、600℃でか焼(2時間)し、その後、10%H+90%Ar流れ(流量−450ml/min)中、300℃で還元(2時間)した。
【0062】
[例2(比較例):0.2%Pd/5%ZnO/SMFFecral触媒の調製]
実施例1に記載のようにして清浄化したSMFFecralパネルに、Zn酸化物層をディップコーティングした。ZnO前駆体溶液は次のように調製した:18.3gのモノエタノールアミンおよび12.8gのアセトインを、0.75lのイソプロパノールに攪拌しながら溶解した。その後、この混合物に65.8gのZn(CHCOO)・2HOを加え、攪拌しながら溶解した。
【0063】
SMFFecralパネルをZnO前駆体溶液に浸漬し、その後、空気中、室温で乾燥させ(0.5時間)、600℃でか焼(0.5時間)して、ZnO層の析出を行った。浸漬−乾燥−か焼のサイクルを6回繰り返し、約5wt%のZnOを析出させた。その後、被覆したSMFFecralパネルを900℃で15分間、後焼鈍させた。
【0064】
実施例1に記載したようにして、Pdを5%ZnO/SMFFecralパネル上に析出させた。
【0065】
[例3(比較例):0.2%Pd/5%(ZnO+Al)/SMFSS触媒の調製]
MgOをZnOに代えた以外は実施例1に記載したようにして、0.2%Pd/5%(ZnO+Al)/SMFSS触媒を調製した。
【0066】
[実施例4:例1〜3の触媒を使用した、溶媒中における段階的水素化]
溶媒中における水素化はすべて、図1に示した実験装置を用いて行った。SMFベースの触媒(0.8g、例1、2または3)を攪拌機に固定した。60cmの有機溶液(溶媒+出発物質(約32%)を反応器に仕込んだ。反応器をNで3回パージし、反応温度まで加熱し、Hで加圧した。反応中、圧力を一定に維持した。反応混合物を攪拌した(2000rpmで)。反応の進行は、試料(約0.5cm)を抜き取り、分析することにより追跡した。
【0067】
[実施例5:無溶媒条件下の段階的水素化]
溶媒を使用しなかった以外は、実施例4に記載のようにして水素化を行った。この場合、60cmの出発物質を反応器に仕込んだ。
【0068】
[実施例6:触媒として10%Pd/C触媒を使用した段階的水素化]
SMFベースの構造体触媒を、商業的に入手可能な、粉末活性炭に担持させたPd、10%Pd/C(約0.04g、Fluka)に代えた以外は実施例4に記載のようにして水素化を行った。この場合、粉末触媒は液相に混合した。
【0069】
[実施例7:0.2%Pd/5%(MgO+Al)/SMFSSを使用したプソイドイオノンの段階的水素化]
プソイドイオノン(式(Ia)で示される化合物≡化合物A
【化11】

の水素化を、実施例1の触媒を使用して、実施例5に記載のようにして行った。得られた濃度−時間プロファイルおよび反応条件を図2に示す。
【0070】
図2に見られるように、この場合、プソイドイオノンの水素化は段階的プロセスである。プソイドイオノン(化合物A)の濃度は急速に低下し、式(IIa)で示される化合物(≡化合物A
【化12】

の濃度が極大値を示す。Aが完全に転化した後、式(IIIa)で示される化合物(≡化合物A
【化13】

の生成が始まる。A
【化14】

の生成は無視できるほどである。アルコール(A)の生成
【化15】

は認められなかった。
【0071】
[実施例8:10%Pd/C触媒を使用したプソイドイオノンの水素化]
10%Pd/C触媒(Fluka)を使用し、実施例5に記載のようにして、プソイドイオノンの水素化を行った。得られた濃度−時間プロファイルおよび反応条件を図3に示す。この場合、Aの生成は認められず、AとAが反応の開始直後から生成する。
【0072】
[実施例9:例1〜3のSMFベースの触媒を使用したプソイドイオノンの段階的水素化]
例1〜3に記載したようにして調製した触媒を使用し、実施例5に記載のようにして、プソイドイオノンの水素化を行った。測定した触媒の初期活性RPIと選択率SA2を表1に示す。
【0073】
【表1】
【0074】
本発明の触媒の触媒特性(選択性)が向上していることがわかる。
【0075】
[実施例10:異なる溶媒中におけるプソイドイオノンの段階的水素化]
実施例1に記載のようにして調製した触媒を使用し、実施例4に記載のようにして、プソイドイオノンの水素化を行った。測定した触媒の初期活性RPIと選択率SA2を表2に示す。
【0076】
【表2】
【0077】
反応は溶媒中で生じることがわかる。それはアルコールおよびアルコール/水混合物中で特に良好に生じる。
【0078】
さらに、0.2%Pd/5%(MgO+Al)/SMFSS触媒の再使用性を試験した。実施例4の実験条件下で触媒を使用し、その後、エタノールで洗浄し、室温で乾燥させた。5サイクル後も選択率は90%超であった。
図1
図2
図3