(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6209799
(24)【登録日】2017年9月22日
(45)【発行日】2017年10月18日
(54)【発明の名称】フリップチップ実装用チップ保持ツール及びフリップチップ実装方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20171005BHJP
【FI】
H01L21/60 311T
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-523888(P2015-523888)
(86)(22)【出願日】2014年3月20日
(86)【国際出願番号】JP2014057664
(87)【国際公開番号】WO2014208150
(87)【国際公開日】20141231
【審査請求日】2016年7月26日
(31)【優先権主張番号】特願2013-133321(P2013-133321)
(32)【優先日】2013年6月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000146722
【氏名又は名称】株式会社新川
(72)【発明者】
【氏名】河村 敬人志
(72)【発明者】
【氏名】瀬山 耕平
【審査官】
堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−351980(JP,A)
【文献】
特開平2−137241(JP,A)
【文献】
特開2002−217242(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒータの下面に固定され、前記ヒータの前記下面と略同一の大きさである接続面を有する基体部と、
前記基体部の表面から突出し、その先端面に半導体チップを保持するチップ保持台と、を有するフリップチップ実装用のチップ保持ツールであって、
前記チップ保持台は、前記基体部に加わる垂直荷重の中心線が前記チップ保持台の前記先端面を貫通する位置に配置され、かつ、その前記位置が前記基体部に対してX方向及びY方向にオフセットされており、
前記チップ保持台のオフセット量は、それぞれ前記基体部のX方向及びY方向の長さの1/2から半導体チップの実装チップの1/2を差し引いた長さよりも長い、かつ、前記チップ保持台のオフセット量は、前記チップ保持台の幅の1/2よりも短いチップ保持ツール。
【請求項2】
フリップチップ実装方法であって、
ヒータの下面に固定され、前記ヒータの前記下面と略同一の大きさである接続面を有する基体部と、前記基体部に加わる垂直荷重の中心線がチップ保持台の先端面を貫通する位置に配置され、かつ、その前記位置が前記基体部に対してオフセットされ、先端面に半導体チップを保持するように前記基体部の表面から突出したチップ保持台と、を有し、前記チップ保持台のオフセット量は、それぞれ前記基体部のX方向及びY方向の長さの1/2から半導体チップの実装チップの1/2を差し引いた長さよりも長い、かつ、前記チップ保持台のオフセット量は、前記チップ保持台の幅の1/2よりも短いチップ保持ツールをフリップチップ実装装置にセットする工程と、
前記チップ保持台のオフセット側に向かって半導体チップの実装と基板に対する前記チップ保持ツールの相対位置を前記半導体チップの実装ピッチ分だけ移動させることを交互に繰り返し、前記基板に複数の半導体チップを実装する実装工程と、
を有し、基板に複数の半導体チップを実装するフリップチップ実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フリップチップ実装用チップ保持ツールの構造及びそのチップ保持ツールを用いたフリップチップ実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品である半導体チップを基板に実装する方法として、半導体チップの回路面にはんだなどの材料でバンプ(突起電極)を複数形成し、このバンプを回路基板上に形成された複数の電極に加熱溶融により接合することによって、半導体チップを回路基板に直接接合するフリップチップ実装が広く採用されている。
【0003】
フリップチップ実装においては、ディスペンサによって回路基板に予め熱硬化性の非導電性ペースト(NCP)を塗布しておき、加熱した半導体チップを基板の電極に押圧してバンプを加熱溶融させて半導体チップを基板に実装すると同時に、半導体チップにより非導電性ペースト(NCP)を加熱硬化させて半導体チップと回路基板との間を樹脂封止する方法が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
フリップチップ実装に用いられる実装ツールは、例えば、特許文献2の
図1または
図2に示されているように、四角い平板状のベースとベースの中心部に配置された半導体チップを吸着する薄い直方体のチップ保持台とから構成されている。チップ保持台の大きさは、実装する半導体チップの大きさと略同一の大きさとなっている。実装ツールは、ヒータの熱を効率よくチップ保持台に保持された半導体チップに伝達できるように全体に薄く構成されており、チップ保持台のベースからの突出高さは、実装の際に隣接する半導体チップに接触しない程度の高さとなっている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−150446号公報
【特許文献2】特開2002−16091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年、狭い実装ピッチで多数の半導体チップ45を基板40の上に実装することが要求されるようになってきている。この場合、チップ保持ツール100は、実装する半導体チップ45の大きさに合わせてチップ保持台105のサイズの小さいものに交換することができるが、ヒータ20は同一の大きさのものを用いる場合が多いので、チップ保持ツール100のヒータ20に固定されるベース101の大きさは、半導体チップ45の大きさに拘わらず、略一定の大きさとなる。このため、
図4に示すように、ヒータ20、あるいは、ベース101の長さC0よりも狭い実装ピッチXPで半導体チップ45を実装する際には、ヒータ20、あるいは、チップ保持ツール100の長さC0の半分の長さC1が半導体チップ45の実装ピッチXPの1/2よりも長くなってしまい、実装の際に表面102が隣接する実装位置に塗布されている未実装の非導電性ペースト(NCP)42の上面にまで延び、その上に覆いかぶさることになる。ヒータ20は半導体チップ45を300℃〜350℃の温度に加熱することから、チップ保持台105の表面102もかなりの高温になり、
図4の下向き矢印に示す様に、未実装の非導電性ペースト(NCP)42の表面を加熱してしまう。非導電性ペースト(NCP)42は、70℃程度まで加熱されると、変質し始めるものが多く、
図4のように、チップ保持台105の周囲にはみ出した表面102により、高温に加熱されると、実装する前に変質したり、あるいは、硬化を開始したりしてしまう場合がある。このため、半導体チップ45の実装ピッチXPがヒータ20、あるいはチップ保持ツール100の長さC0よりも狭く、ヒータ20の熱がチップ保持ツール100の表面102から未実装の非導電性ペースト(NCP)42に放射される場合には、例えば、一旦、一つおきの実装位置に非導電性ペースト(NCP)42を塗布し、その位置に半導体チップ45を実装した後、再度、半導体チップ45を実装していない位置に非導電性ペースト(NCP)42を塗布し、その位置に半導体チップ45を実装するように、実装ピッチをXPの2倍で実装を2回に分けて行う方法を用いることが多く、実装に時間がかかってしまう上、実装の工程が複雑になってしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、簡便な方法で、半導体チップを狭い実装ピッチでフリップチップ実装することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のチップ保持ツールは、
ヒータの下面に固定され、前記ヒータの前記下面と略同一の大きさである接続面を有する基体部と、前記基体部の表面から突出し、その先端面に半導体チップを保持するチップ保持台と、を有するフリップチップ実装用のチップ保持ツールであって、
前記チップ保持台は、前記基体部に加わる垂直荷重の中心線が前記チップ保持台の前記先端面を貫通する位置に配置され、かつ、その前記位置が前記基体部に対して
X方向及びY方向にオフセットされており、前記チップ保持台のオフセット量は、
それぞれ前記基体部の
X方向及びY方向の長さの1/2から半導体チップの実装チップの1/2を差し引いた長さよりも長い
、かつ、前記チップ保持台のオフセット量は、前記チップ保持台の幅の1/2よりも短いこと、を特徴とする。
【0010】
本発明のフリップチップ実装方法は、
ヒータの下面に固定され、前記ヒータの前記下面と略同一の大きさである接続面を有する基体部と、
前記基体部に加わる垂直荷重の中心線が前記チップ保持台の前記先端面を貫通する位置に配置され、かつ、その前記位置が前記基体部に対してオフセットされ、先端面に半導体チップを保持するように前記基体部の表面から突出したチップ保持台と、を有し、前記チップ保持台のオフセット量は、それぞれ前記基体部のX方向及びY方向の長さの1/2から半導体チップの実装チップの1/2を差し引いた長さよりも長い、
かつ、前記チップ保持台のオフセット量は、前記チップ保持台の幅の1/2よりも短いチップ保持ツールをフリップチップ実装装置にセットする工程と、を有し、基板に複数の半導体チップを実装するフリップチップ実装方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、簡便な方法で、半導体チップを狭い実装ピッチでフリップチップ実装することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】本発明の実施形態におけるチップ保持ツールの立面図である。
【
図1B】本発明の実施形態におけるチップ保持ツールの平面図である。
【
図2】本発明の実施形態におけるチップ保持ツールを用いた実装工程を示す立面図である。
【
図3】本発明の実施形態におけるチップ保持ツールを用いた実装工程を示す平面図である。
【
図4】従来技術のチップ保持ツールを用いた実装工程を示す立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1A,
図1Bに示すように、本実施形態のチップ保持ツール10は、ヒータ20に固定される基体部である平板状のベース11と、ベース11の表面12から突出し、その先端面16に半導体チップを保持するチップ保持台15を備えている。また、先端面16の中央には、半導体チップを吸着固定する吸着孔17が設けられている。
図1A,
図1Bは、チップ保持ツール10が、実装ヘッド30の先端に固定されたヒータ20の下面22に吸着固定された状態を示し、フリップチップ実装装置の基板送り方向をX方向、水平面内でX方向と直角方向をY方向、上下方向をZ方向として説明する。以下の各図もXYZの方向は同様である。
【0014】
ベース11は、
図1A、
図1Bに示すように、厚さ(Z方向)H1,幅(X方向)D0、奥行き(Y方向)E0の矩形の平板で、ヒータ20と略同一の大きさとである。ヒータ20側のヒータ接続面13は、ヒータ20の下面22(Z方向マイナス側の面)に真空吸着で固定される。チップ保持台15は、ベース11のヒータ接続面13と反対側に配置され、半導体チップを吸着する、その先端面16(Z方向マイナス側の先端面)は、ベース11の表面12から高さH2だけZ方向マイナス側に突出した厚さ(Z方向)H2、幅(X方向)D2、奥行き(Y方向)E2の直方体の台座で、四角いチップ保持台15のXY方向の各辺は、ベース11のXY方向の各辺と平行となるように配置されている。チップ保持台15の厚さH2は、半導体チップを実装した際に、隣接する半導体チップや基板に塗布された非導電性ペースト(NCP)42に接触しないような厚さとなっている。また、チップ保持ツール10の全体厚さはH0である。
【0015】
図1A、
図1Bに示す様に、ベース11のX方向の中心線51、Y方向の中心線52の交差点であるベース11のXY面内の中心点55は、ヒータ20、実装ヘッド30のXY面内での中心点と同一点であり、
図1Aに示す様に、中心点55を通るZ方向中心線53は、ヒータ20、実装ヘッド30、ベース11で共通となっている。一方、チップ保持台15のX方向の中心線61、Y方向の中心線62は、それぞれベース11のX方向の中心線51、Y方向の中心線52から距離ΔX、ΔYだけX方向マイナス側、Y方向プラス側にずれた位置となっている。また、チップ保持台15のX方向の中心線61、Y方向の中心線62の交差点であるチップ保持台15のXY面内での中心点65の位置および、中心点65を通るZ方向中心軸63も、ベース11のX方向の中心線51、Y方向の中心線52の交差点であるベース11のXY面内の中心点55及び中心線53からそれぞれ距離ΔX、ΔYだけX方向マイナス側、Y方向プラス側にずれた位置となっている。つまり、チップ保持台15は、ベース11に対してXY方向に対してそれぞれΔX、ΔYだけオフセットして配置されている。
【0016】
このため、チップ保持台15のX方向のオフセット側長さD1(Y方向中心線62あるいは、Z方向中心線63からのX方向マイナス側長さ)は、ベース11のX方向長さD0の1/2よりもX方向オフセット量ΔXだけ短くなっている(D1=D0/2−ΔX)。同様に、チップ保持台15のY方向のオフセット側長さE1(X方向中心線61あるいは、Z方向中心線63からのY方向プラス側長さ)も、ベース11のY方向長さE0の1/2よりもY方向オフセット量ΔYだけ短くなっている(E1=E0/2−ΔY)。そして、
図2、
図3に示す様に、チップ保持台15のX,Y方向の各オフセット量ΔX,ΔYは、ベース11のX,Y方向の長さD0,E0の1/2から半導体チップ45のX,Y方向の実装ピッチXP,YPの1/2を差し引いた長さよりも長くなっている(ΔX>D0/2−XP/2)、(ΔY>E0/2−YP/2)。従って、チップ保持台15のX,Y方向の各オフセット側長さD1,E1は、半導体チップ45のX,Y方向の各実装ピッチXP,YPの1/2よりも短くなっている(D1<XP/2,E1<YP/2)。
【0017】
このため、
図2,3に示すように、実装の際に、チップ保持ツール10のX,Y方向の各オフセット側の表面12が隣接する未実装の非導電性ペースト(NCP)42の上まで伸びることがなく、実装の際に隣接する未実装の非導電性ペースト(NCP)42を加熱することを抑制することができる。
【0018】
また、中心線53は、ヒータ20を介して実装ヘッド30からのZ方向に加わる垂直荷重の中心線であり、チップ保持台15は、ベース11の中心点を通るZ方向中心線53がチップ保持台15の先端面16を貫通する位置に配置されている。つまり、チップ保持台15は、Z方向荷重が先端面16の面内に加わるように配置され、実装の際にチップ保持台15に加わる偏心荷重により半導体チップがチップ保持台15の先端面16の角部を中心に回転してしまわないように構成されている。従って、XY各方向のオフセット量、ΔX,ΔYは、それぞれチップ保持台15のX方向長さD2、Y方向長さE2の1/2よりも小さくなっている。
【0019】
次に、
図2、
図3を参照しながら、
図1A,
図1Bを参照して説明したチップ保持ツール10を用いて半導体チップ45を基板40に実装する方法について説明する。
【0020】
まず、
図1A,
図1Bを参照して説明した本実施形態のチップ保持ツール10を実装ヘッド30に固定されたヒータ20の下面22に吸着固定する。この際、チップ保持ツール10の四周の各辺は、それぞれヒータ20の四周の各辺の方向に合わせ、チップ保持台15のXY方向の各オフセット側が、それぞれX方向マイナス側、Y方向プラス側となるようにヒータ20の下面22に吸着固定させる。
【0021】
次に、
図2、
図3に示す様に、図示しないディスペンサによって、半導体チップ45を実装する基板40の表面41の各位置の上に、非導電性ペースト(NCP)42を塗布する。非導電性ペースト(NCP)42は、
図3に示す様に、半導体チップ45を実装する位置の中心で交差し、その長さが実装する半導体チップ45の対角長さとなるようなX型に塗布してもよい。塗布された非導電性ペースト(NCP)42は、
図2に示す様に、基板40の表面41から盛り上がる。
【0022】
基板40に非導電性ペースト(NCP)42を塗布した後、基板40を図示しないプレヒーティングステージで70℃程度に加熱した後、図示しない実装ステージに吸着固定する。実装ステージは、基板40の温度を70℃程度に保持する。次に、チップ保持台15の先端面16の吸着孔17を真空にして先端面16に半導体チップ45を吸着固定し、ヒータ20をオンにして、半導体チップ45を300〜350℃に加熱する。半導体チップ45を加熱したら、
図2に示す様に、実装ヘッド30を下降させて、チップ保持台15の先端面16に吸着している半導体チップ45を非導電性ペースト(NCP)42の上に押し付ける。すると、ヒータ20の加熱で溶融した半導体チップ45の図示しないバンプのはんだが溶融し、基板40の電極と接合される。また、半導体チップ45を非導電性ペースト42に押し付けると、非導電性ペースト(NCP)42は、半導体チップ45の基板40側の面全体を覆い、その一部が半導体チップ45の四周に少しはみ出すように押し広げられる。その後、半導体チップ45からの熱によって硬化し、
図2に示すように基板40と半導体チップ45との隙間を埋める硬化樹脂43となる。
【0023】
半導体チップ45の実装は、
図3に示す白抜き矢印91,92の様に、チップ保持台15のXYの各オフセット側に向かって順次行っていく。以下、実装の工程について
図3を参照しながら説明する。
図3に示す様に、まず、基板40の一番右上の角位置(X方向プラス側、Y方向プラス側の角)に半導体チップ451を実装する。半導体チップ451と基板40との間及び半導体チップ451の周囲では非導電性ペースト(NCP)42が硬化し、硬化樹脂431となる。半導体チップ451の実装が終了したら、図示しない実装ステージによって基板40をY方向プラス側にY方向実装ピッチYP分だけ移動させる。すると、実装ヘッド30の位置は、基板40に対して
図3の白抜き矢印92のように、Y方向マイナス側に向かってY方向実装ピッチYPだけ移動する。そして、実装ヘッド30を下降させて次の実装位置に半導体チップ452を実装する。その後、半導体チップの実装と図示しない実装ステージの移動とを交互に繰り返し、半導体チップ453、454を順次実装する。半導体チップ454の実装が終了したら、図示しない実装ステージをX方向プラス側にX方向実装ピッチXPだけ移動させると共に、Y方向マイナス側に4実装ピッチ分(4×YP)だけ実装ステージを移動させる。つまり、実装ヘッド30を基板40に対して
図3の白抜き矢印91のようにX方向マイナス側にXPだけ移動させ、Y方向プラス側に4実装ピッチ分(4×YP)移動させる。そして、実装ヘッド30を下降させて
図3に示す半導体チップ455を実装する。この様に、
図3に示す白抜き矢印91,92に示す様に、実装ヘッド30を基板40に対して、オフセット側(X方向マイナス側、Y方向プラス側)に移動させながら半導体チップ45を順次実装していく。
【0024】
図2,3に示す様に、チップ保持台15のX,Y方向の各オフセット側長さD1,E1は、半導体チップ45のX,Y方向の各実装ピッチXP,YPの1/2よりも短くなっている。このため、実装の際に、チップ保持ツール10のX,Y方向の各オフセット側の表面12が隣接する未実装の非導電性ペースト(NCP)42の上まで伸びることがなく、実装の際に隣接する未実装の非導電性ペースト(NCP)42を加熱することを抑制することができる。そして、先に説明したように、実装ヘッド30を基板40に対して、オフセット側(X方向マイナス側、Y方向プラス側)に移動させながら半導体チップ451〜456を実装していくことにより、未実装の位置に塗布されている非導電性ペースト(NCP)42の上に、チップ保持ツール10の表面12のオフセット側の領域が覆いかぶさらない状態で隣接する半導体チップ451〜456を順次実装することができる。従って、本実施形態のチップ保持ツール10を用いることにより、半導体チップ45の実装のX,Y方向の実装ピッチXP,YPがヒータ20の大きさあるいは、チップ保持ツール10のベース11の大きさD0,E0よりも狭い場合でも、未実装の位置に塗布されている非導電性ペースト(NCP)42の温度の上昇を抑制することができ、隣接する位置に順次半導体チップ45を実装することができ短時間で多くの半導体チップ45を基板40に実装することができる。なお、
図2,3に示す様に、チップ保持台15のX,Y方向の反オフセット側長さD3,E3は、半導体チップ45の実装のX,Y方向の実装ピッチXP,YPの1/2よりも長く、隣接する実装済みの半導体チップ451〜455の上にベース11の表面12が覆いかぶさっているが、この部分の非導電性ペースト42はすでに熱硬化して硬化樹脂431〜435となっているので、ベース11の表面12によって加熱されても問題ない。
【0025】
以上説明した実施形態は、チップ保持台15をベース11に対してオフセットするという簡便な方法で、狭い実装ピッチで半導体チップ45を順次フリップチップ実装することができるという効果を奏する。
【0026】
以上説明した実施形態では、チップ保持ツール10は四角形で、チップ保持台15も四角形状として説明したが、形状は四角に限らず、丸形であってもよいし、長円形などほかの形状でもよい。
【0027】
本発明は以上説明した実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲により規定されている本発明の技術的範囲ないし本質から逸脱することない全ての変更及び修正を包含するものである。
【符号の説明】
【0028】
10,100 チップ保持ツール、11,101 ベース、12,41,102 表面、13,103 ヒータ接続面、15,105 チップ保持台、16,106 先端面、17 吸着孔、20 ヒータ、22 下面、30 実装ヘッド、40 基板、42 非導電性ペースト、43,431−436 硬化樹脂、45,451-456 半導体チップ、51−53,61−63 中心線、55,65 中心点、91,92 矢印、XP,YP 実装ピッチ、ΔX,ΔY オフセット量。