(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記切除部および前記電極引出部は、前記電極体の少なくとも酸化被膜層または分極性電極層の未処理部内に形成されることを特徴とする請求項1に記載のコンデンサの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電気二重層コンデンサなどのコンデンサでは、陽極側の電極体、第1のセパレータ、陰極側の電極体および第2のセパレータを積層して巻回したコンデンサ素子が用いられる。このようなコンデンサ素子の素子端面をたとえば、二分し、一方の部位に陽極側の電極体の縁部、他方の部位に陰極側の電極体の縁部を張り出させて電極引出部とするには、各部位の相当する範囲で電極体の縁部を電極引出部に加工する必要がある。たとえば、コンデンサ素子の素子端面が積層された陽極側の電極体、第1のセパレータ、陰極側の電極体および第2のセパレータの縁部で形成されるとともに、陽極側の電極体の縁部、陰極側の電極体の縁部に素子端面幅より所定範囲で突出する電極引出部に形成する必要がある。この電極引出部は、電極体を張り出す範囲で残し、その他の部分を切除すればよい。
【0007】
ところで、電極体の縁部に素子端面より露出させるための幅分をカットによって成形した場合、その成形精度が低い場合には、コンデンサ素子側の電極体と除去部との間に未カット部が生じる。この未カット部によって切除部が電極体側に残留し、電極引出部の形状が安定化しないという課題がある。
【0008】
コンデンサ素子側の電極体に未カット部によって切除部が残留している場合、電極体から切除部が千切られると、コンデンサ素子側の電極体に応力が作用し、電極体側に伸びなどのストレスや、亀裂などの損傷を生じさせるという課題がある。
【0009】
分極性電極層が形成されている陽極側の電極体にあっては、切除部を離脱させる際に分極性電極層が損傷し、地金部分が露出してしまうという課題がある。このような電極体を使用すると、コンデンサ特性を低下させるという課題がある。
【0010】
そこで、本発明では、上記課題に鑑み、電極体の部分切断により形成される電極引出部の成形精度を高めることを目的とする。
【0011】
また、本発明では、他の目的として、電極体の部分切断により形成される電極引出部の形状安定化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明のコンデンサの製造方法は、セパレータとともに陽極側および陰極側の電極体を巻回してコンデンサ素子を形成する工程を含むコンデンサの製造方法であって、前記コンデンサ素子に巻回前または巻回途上の前記電極体の縁部に切除部と電極引出部とを交互に形成する工程を含み、前記切除部が前記電極体の長手方向に向かって切断する長手方向切断部と、前記電極体の幅方向に向かって切断する幅方向切断部とで形成され、前記長手方向切断部が前記幅方向切断部を越えて前記電極引出部側に延長させ
、前記長手方向切断部と前記幅方向切断部との間に前記電極体の未切断部を残し、前記未切断部を断裂させて前記切除部を前記電極体から離脱させる。
【0013】
上記コンデンサの製造方法において、好ましくは、前記長手方向切断部と、前記幅方向切断部とを交差させて形成してもよい。
【0015】
上記コンデンサの製造方法において、好ましくは、前記切除部および前記電極引出部は、前記電極体の少なくとも酸化被膜層または分極性電極層の未処理部内に形成されてもよい。
【0016】
上記目的を達成するため、本発明のコンデンサは、セパレータとともに陽極側または陰極側の電極体を巻回して形成されたコンデンサ素子を含むコンデンサであって、前記コンデンサ素子に巻回前または巻回途上の前記電極体の縁部に
、前記電極体から切除された切除部と
該切除部の切除により形成された電極引出部とを交互に備え、前記切除部が前記電極体の長手方向に向かって切断する長手方向切断部と、前記電極体の幅方向に向かって切断する幅方向切断部とを備え、前記長手方向切断部が前記幅方向切断部を越えて前記電極引出部側に延長され
て形成された前記長手方向切断部と前記幅方向切断部との間の未切断部に、前記電極体の断裂部を備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、次のいずれかの効果が得られる。
【0019】
(1) 電極体の縁部に形成される電極引出部の成形精度が高められ、電極引出部の形状安定化を図ることができる。
【0020】
(2) 電極引出部の形成のために生じた切除部を除いても、電極体に働く応力を抑制でき、伸びなどによるストレスや、亀裂などの損傷を生じさせることがなく、コンデンサ特性の劣化を防止できる。
【0021】
(3) コンデンサ特性を安定化したコンデンサが得られる。
【0022】
そして、本発明の他の目的、特徴および利点は、添付図面および各実施の形態を参照することにより、一層明確になるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1のAは、本発明の第1の実施の形態に係る陽極側の電極体および電極引出部の形成工程の一例を示している。
図1に示す構成は一例であり、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。
【0026】
陽極側の電極体2−1にはたとえば、アルミニウム箔4が用いられ、その表面にエッチング処理を経て電極塗工部6が形成されるとともに、これらを形成していない未塗工部8が設けられている。電極体2−1は集電体の一例である。電極塗工部6は、分極性電極層の形成部分である。この分極性電極層には活性炭などの分極性材料が含まれる。未塗工部8は分極性電極層の未形成部であり、未処理部の一例である。未塗工部8は、電極体2−1の縁部10側に連続して形成されている。未塗工部8には電極引出部12と切除部14とを交互に形成される。
【0027】
切除部14は、長手方向切断部14−1と、幅方向切断部14−2、14−3とで形成される。長手方向切断部14−1は、電極体2−1の長手方向に向かって切断される。各幅方向切断部14−2、14−3は、電極体2−1の幅方向に向かって切断される。
【0028】
長手方向切断部14−1は、幅方向切断部14−2、14−3を越えて電極引出部12側に延長させている。つまり、長手方向切断部14−1のカット領域が幅方向切断部14−2、14−3を越えて延長している。そして、長手方向切断部14−1と幅方向切断部14−2、14−3との間には幅の狭い未切断部16が形成されている。
【0029】
この未切断部16で断裂させると、
図1のBに示すように、電極体2−1から切除部14が除かれ、電極体2−1には電極引出部12が形成される。この場合、未切断部16には断裂部18が生成される。長手方向切断部14−1が幅方向切断部14−2、14−3を越えて形成されているので、未切断部16は、長手方向切断部14−1と幅方向切断部14−2、14−3とで挟まれた狭い箇所である。このため、切除部14に対して電極体2−1から引き離す方向に力が加えられると、電極体2−1の切除部14から切除片15が断裂し、容易に離脱する。つまり、切除片15の断裂が容易化し、断裂部分の波及がなく、未切断部16の幅内で切り離すことができる。これにより、電極引出部12および切除部14の成形精度が高められ、電極引出部12の形状安定化が図られる。
【0031】
図2のAは、電極体および電極引出部の形成工程の比較例を示している。この比較例では、長手方向切断部14−1および幅方向切断部14−2、14−3の各端部が対向して未切断部16が形成されている。つまり、未切断部16が電極体2−1の長手方向の中心線Xと非直角の傾斜角度θを持っている。
【0032】
このような未切断部16で切除部14を離脱させるために断裂させると、
図2のBに示すように、断裂部18が不規則となり、断裂部18には場合によって異なるので、一概には言えないが、切除部14の一部が電極引出部12に突出して残る残留部20や、電極引出部12側や電極塗工部6側に亀裂22が生じるという不都合がある。これは未切断部16が強度を持つため、断裂状態がまちまちとなり、電極引出部12の成形精度が低下する。つまり、電極引出部12の形状が安定しないという不都合がある。
【0034】
図3は、第2の実施の形態に係る陽極側の電極体の一例を示している。
図3において、
図1と同一部分には同一符合を付してある。
【0035】
電極体2−1はたとえば、アルミニウム箔4の表面にエッチング処理を経て、既述の電極塗工部6が形成されている。この電極塗工部6は既述の分極性電極層である。この電極塗工部6は一定幅で形成されている。この電極体2−1には電極塗工部6の処理範囲に対し、電極塗工部6が形成されていない未塗工部8が設けられている。この未塗工部8は、一定の幅で電極体2−1の長手方向の縁部10側に連続して形成され、複数の電極引出部12および切除部14の形成に用いられる。つまり、未塗工部8は電極引出部12および切除部14の形成領域である。
【0036】
電極引出部12および切除部14は未塗工部8に形成されている。この電極引出部12および切除部14が未塗工部8に形成されることが好ましいが、その形成領域が電極塗工部6の一部に及んでいてもよい。電極引出部12は切除部14の離脱によって形成された部分である。切除部14は、未塗工部8から切除された部分である。つまり電極引出部12は、電極体2−1と一体であり、未塗工部8の残留部分である。
【0037】
この実施の形態の電極引出部12および切除部14は長方形状である。電極引出部12の外縁部12−1が未塗工部8の外縁側、内縁部12−2が未塗工部8の内側に設定されている。ここで、外縁部12−1および内縁部12−2の各幅は同一に設定されている。
【0038】
これにより、電極引出部12には外縁部12−1と内縁部12−2の間に幅方向切断部14−2、14−3が形成されている。各幅方向切断部14−2、14−3は、電極引出部12と切除部14とを仕切る仕切り縁を形成する。
【0039】
電極体2−1の長手方向の中心線Xと、各幅方向切断部14−2、14−3との間に傾斜角度θ1、θ2が設定されている。各傾斜角度θ1、θ2は、θ1=90〔°〕、θ2=90〔°〕、つまり、直角に設定されているが、同一角度(θ1=θ2)または異なる角度(θ1≠θ2)のいずれでもよい。
【0040】
この電極引出部12および切除部14は、電極体2−1のコンデンサ素子26(
図7)への巻回前または巻回途上で形成される。これらは、カッター30−1、30−2、30−3(
図4のBおよびC)を用いて電極体2−1の切り出しによって形成することができる。
【0041】
この実施の形態では、陽極側の電極体2−1を例示したが、陰極側の電極体2−2(
図7)には既述の電極引出部12を同様に形成すればよい。
【0043】
(1) 電極体2−1の切断箇所およびカッター形状
【0044】
図4のAは、電極体2−1の切断箇所を示している。電極体2−1は、一定幅の帯状態であり、コンデンサ素子26を形成する際、巻軸に搬送されて巻回される。つまり、電極体2−1は長手方向にたとえば、矢印Lの方向に搬送される。この電極体2−1の未塗工部8には、二点鎖線で示すように、切除部14が設定されている。この切除部14は、長手方向切断部14−1および幅方向切断部14−2、14−3で形成される。長手方向切断部14−1は、電極体2−1の中心線Xと平行に設定された平行切断線である。幅方向切断部14−2、14−3は、既述の傾斜角度θ1、θ2が設定された傾斜切断線である。同様に、既述の未切断部16(
図1のA)が形成される。
【0045】
図4のBは、長手方向切断部14−1におけるカッター形状および切断状態を示している。長手方向切断部14−1の切断にはカッター30−1が用いられる。カッター30−1は、電極体2−1(または2−2)を部分的に切断する切断手段の一例である。このカッター30−1は、本体部32の先端に鋭角状の刃先部34を備える。
【0046】
電極体2−1は、
図4のBに示すように、矢印Lで示す方向に搬送される。この電極体2−1の長手方向切断部14−1の始端部14−1Sにカッター30−1の刃先部34を矢印Dで示す方向に差し込み、この刃先部34を電極体2−1の長手方向切断部14−1に貫通させる。電極体2−1は矢印L方向に搬送されているので、その搬送力に従って長手方向切断部14−1の部分が刃先部34に当たり、直線状に切断される。この長手方向切断部14−1の終端部14−1Eにカッター30−1の刃先部34が到達した際に、カッター30−1を矢印Uで示す方向に後退させ、電極体2−1から離脱させる。これにより、長手方向切断部14−1が切断される(
図5のA)。
【0047】
図4のCは、幅方向切断部14−2におけるカッター形状および切断状態を示している。幅方向切断部14−2の切断にはカッター30−2が用いられる。カッター30−2は、電極体2−1(または2−2)を部分的に切断する切断手段の一例である。このカッター30−2は、カッター30−1と同様に、本体部32の先端に鋭角状の刃先部34を備える。カッター30−2の刃先部34は、幅方向切断部14−2の長さに応じて幅の狭いものを用いてもよい。
【0048】
電極体2−1は、矢印Lで示す方向に搬送されている(
図4のB)。この電極体2−1の幅方向切断部14−2の始端部14−2Sにカッター30−2の刃先部34を差し込み、この刃先部34を電極体2−1の幅方向切断部14−2に貫通させる。この場合、電極体2−1の搬送方向(矢印L)と交差方向であるので、カッター30−2を幅方向切断部14−2の方向に移動させれば、幅方向切断部14−2がカッター30−2より直線状に切断される。この場合、カッター30−2に既述の傾斜角度θ1、θ2を設定すればよい。この幅方向切断部14−2の終端部14−2Eにカッター30−2の刃先部34が到達した際に、カッター30−2を後退させ、電極体2−1から離脱させる。これにより、幅方向切断部14−2が切断される(
図5のB)。
【0049】
幅方向切断部14−3は幅方向切断部14−2と同様にカッター30−3より切断することができる(
図5のC)。
【0050】
(2) 電極引出部12および切除部14の生成
【0051】
図5のAは、電極引出部12の長手方向切断部14−1の切断形態を示している。始端部14−1Sからカッター30−1により終端部14−1Eまで直線状に切断される。
図5のBは、幅方向切断部14−2の切断形態を示している。始端部14−2Sからカッター30−2により終端部14−2Eまで直線状に切断される。
図5のCは、幅方向切断部14−3の切断形態を示している。始端部14−3Sからカッター30−3により終端部14−3Eまで直線状に切断される。矢印は切断方向を示している。
【0052】
図6のAは、電極体2−1の電極引出部12および切除部14の生成を示している。切除部14により生成された切除片15を未塗工部8から離脱させると、未塗工部8には切除部14とともに電極引出部12が得られる。
【0053】
そして、
図6のBに示すように、長手方向切断部14−1の終端部14−1Eと、幅方向切断部14−2の終端部14−2Eとが一致せず、未切断部16で断裂し、切除片15が生成される。この場合、断裂による亀裂の電極引出部12ないし電極体2−1側への波及を防止でき、電極引出部12および切除部14の形状の安定化が図られる。
【0055】
図7は、コンデンサ素子26を分解して示している。陽極側の電極体2−1、第1のセパレータ40−1、陰極側の電極体2−2および第2のセパレータ40−2は、重ねられて図示しない巻き芯側に搬送され、該巻き芯の回転により円筒状の巻回素子であるコンデンサ素子26に巻回される。
【0056】
陽極側の電極体2−1および陰極側の電極体2−2には巻回前または巻回途上で既述の電極引出部12が形成される。つまり、電極引出部12の形成工程は、巻回前または巻回途上のいずれであってもよい。各電極引出部12に付された破線42は、折曲げ加工のための罫書き線(以下、「罫書き線42」と称する)である。
【0057】
陽極側の電極体2−1および陰極側の電極体2−2には交互の位置に電極引出部12が形成されている。コンデンサ素子26には電極体2−1、2−2およびセパレータ40−1、40−2の縁部で素子端面44が形成される。この素子端面44の中心には巻き芯部46が形成される。この巻き芯部46を挟んで、陽極側の電極引出部12(2−1)と、陰極側の電極引出部12(2−2)が形成されている。これら電極引出部12(2−1)と、電極引出部12(2−2)との間には、巻き芯部46を挟んで絶縁間隔48が形成されている。
【0059】
図8のAは、コンデンサ素子26および電極引出部12を示している。コンデンサ素子26の素子端面44に形成された陽極側および陰極側の電極引出部12は、所定角度範囲で3分して折り曲げられる。この分割処理は、カッターによって行ってもよい。
【0060】
図8のBは、コンデンサ素子26および加工後の電極引出部12を示している。電極引出部12は、3つの折り曲げ領域としてたとえば、各中央引出部12N、右引出部12Rおよび左引出部12Lは、巻き芯部46に向かって折り曲げられ、素子端面44上に偏平状に成形される。
【0062】
図9は、電気二重層コンデンサを分解して示している。
図10は、電気二重層コンデンサの縦断面を示している。
【0063】
この電気二重層コンデンサ52は、本発明のコンデンサの一例である。この電気二重層コンデンサ52には既述のコンデンサ素子26、外装ケース54、封口板56、陽極側および陰極側の集電板58−1、58−2が含まれる。
【0064】
このコンデンサ素子26には、外周囲に保持テープ60が巻回されている。この保持テープ60により電極体2−1、2−2およびセパレータ40−1、40−2の巻き戻しが防止され、コンデンサ素子26の形状が保持されている。
【0065】
外装ケース54にはコンデンサ素子26が収納される。この外装ケース54には封口板56を係止する段部62が加締めにより形成されている。外装ケース54の開口縁部64は、封口板56を保持するためのカーリング処理に用いられる。
【0066】
封口板56は外装ケース54の開口部を封口する部材である。この封口板56にはベース部66を中心に封止部68が形成されている。ベース部66はたとえば、硬質合成樹脂板であり、封止部68はたとえば、密閉性の高いゴムなどで形成された環体である。
【0067】
ベース部66は硬質合成樹脂の成形体である。このベース部66には、陽極側の外部端子70−1と陰極側の外部端子70−2がインサート成形により固定されている。また、このベース部66には透孔72が形成され、この透孔72には圧力弁74が設置されている。圧力弁74は外装ケース54内のガスを放出するとともに、ケース内圧の急激な上昇時に開弁して圧力を調整する。
【0068】
陽極側の集電板58−1は、外部端子70−1と電極引出部12(2−1)の中央引出部12Nとの間に設置されて接続される。陰極側の集電板58−2は、外部端子70−2と電極引出部12(2−2)の中央引出部12Nとの間に設置されて接続される。
【0069】
各集電板58−1、58−2には扇型状の中央接続部58Nが形成され、この中央接続部58Nを挟んで扇型状の左側接続部58Lおよび右側接続部58Rが形成されている。中央接続部58Nは、電極引出部12(2−1)の中央引出部12Nを包含し、該中央引出部12Nの上面に接続される扇状の膨出部である。左側接続部58Lは、電極引出部12(2−1)または電極引出部12(2−2)の左引出部12Lに接続される扇状部である。右側接続部58Rは、電極引出部12(2−1)または電極引出部12(2−2)の右引出部12Rに接続される扇状部である。
【0070】
このような電気二重層コンデンサ52にあっては、外装ケース54の加工後、コンデンサ素子26が外装ケース54に収納される。コンデンサ素子26には、予め電極引出部12(2−1)に集電板58−1がレーザ溶接により接続され、電極引出部12(2−2)に集電板58−2がレーザ溶接により接続されている。
【0071】
そして、集電板58−1の側面には陽極側の外部端子である陽極端子70−1の側面側がレーザ溶接により接続され、集電板58−2の側面には陰極側の外部端子である陰極端子70−2の側面部がレーザ溶接により接続される。これにより、コンデンサ素子26には陽極側の外部端子70−1および陰極側の外部端子70−2が電気的に接続される。
【0072】
コンデンサ素子26とともに外装ケース54に挿入された封口板56は、外装ケース54の段部62に当たって位置決めされて保持される。外装ケース54の開口縁部64は
図10に示すように、カーリング処理されて封止部68に食い込ませ、外装ケース54の封止処理が行われる。これにより、
図10に示すように、電気二重層コンデンサ52が形成される。
【0073】
この電気二重層コンデンサ52では、コンデンサ素子26の素子端面44の上側には絶縁環76が設置されている。この絶縁環76は、電極引出部12(2−1)、12(2−2)、陽極側の外部端子70−1および陰極側の外部端子70−2と外装ケース54との間を絶縁する絶縁手段の一例である。
【0075】
(1) 上記第2の実施の形態によれば、電極体2−1、2−2の縁部10に形成された電極引出部12の成形精度が高められ、電極引出部12の形状安定化が図られる。
【0076】
(2) 電極体2−1、2−2の巻回や、巻回後の電極引出部12の折り曲げにより、電極体2−1、2−2に加わる過度なストレスや、電極体2−1、2−2や電極塗工部6に生じる亀裂を抑制できる。
【0077】
(3) コンデンサ素子26の素子端面44から導出されている電極引出部12が電極体2−1または電極体2−2(アルミニウム箔4)の縁部10をカッター30−1、30−2、30−3にて所定部位に切り出して容易に形成される。
【0078】
(4) 少なくとも長手方向切断部14−1を幅方向切断部14−2、14−3を越えるカット領域とするので、亀裂22の方向が電極領域である電極塗工部6側とは異なる方向となる。これにより、電極塗工部6を保護できるとともに、未切断部16の残存率を低減できる。
【0079】
(5) 長手方向切断部14−1と電極領域である電極塗工部6との間隔をたとえば、0.3〜2〔mm〕程度に狭く設定でき、未塗工部8の幅内に形成でき、電極塗工部6の電極領域を犠牲にしない点で有利である。
【0080】
(6) 長手方向切断部14−1で切断された電極体2−1、2−2では巻回後、折り曲げる際に、電極引出部12に残存する長手方向切断部14−1のカット領域が電極引出部12の折り曲げ加工の起点(つまり、折り目機能)を果たし、電極引出部12の折り曲げの容易化や成形加工精度の向上に寄与する。
【0081】
(7) これらの効果により、信頼性の高い電気二重層コンデンサ52などのコンデンサを実現することができる。
【0083】
図11は、第3の実施の形態に係る長手方向切断部および幅方向切断部を示している。
図11において、
図1と同一部分には同一符合を付してある。
【0084】
第1の実施の形態と同様に、第3の実施の形態においても、切除部14は、長手方向切断部14−1と、幅方向切断部14−2、14−3とで形成される。長手方向切断部14−1は、電極体2−1の長手方向に向かって切断される。各幅方向切断部14−2、14−3は、電極体2−1の幅方向に向かって切断される。
【0085】
第1の実施の形態では長手方向切断部14−1が幅方向切断部14−2、14−3を越えて電極引出部12側に延長させ、長手方向切断部14−1と幅方向切断部14−2、14−3との間には幅の狭い未切断部16が形成されている。
【0086】
これに対し、第3の実施の形態では、長手方向切断部14−1が幅方向切断部14−2、14−3に到達前に終端部14−1Eが設定されている。各幅方向切断部14−2、14−3は、長手方向切断部14−1を越えて未塗工部8の内縁側に延長させ、幅方向切断部14−2、14−3と長手方向切断部14−1との間には幅の狭い未切断部16が形成されている。つまり、未切断部16が長手方向切断部14−1の端部と幅方向切断部14−2、14−3のカット領域との間に形成され、幅方向切断部14−2、14−3が長手方向切断部14−1のカット領域を越えて延長している。
【0087】
この未切断部16で断裂させると、
図11のBに示すように、電極体2−1から切除部14が除かれ、電極体2−1には電極引出部12が形成される。この場合、未切断部16には断裂部18が生成される。幅方向切断部14−2、14−3が長手方向切断部14−1のカット領域を越えて形成されているので、未切断部16は、長手方向切断部14−1と幅方向切断部14−2、14−3とで挟まれた狭い箇所である。
【0088】
このため、切除部14に対して電極体2−1から引き離す方向に力が加えられると、電極体2−1の切除部14から切除片15が断裂し、容易に離脱する。つまり、第3の実施の形態においても第1の実施の形態と同様に切除片15の断裂が容易化し、断裂部分の波及がなく、未切断部16の幅内で切り離すことができる。これにより、電極引出部12および切除部14の成形精度が高められ、電極引出部12の形状安定化が図られる。
【0089】
この実施の形態では、長手方向切断部14−1のカット領域を越えて幅方向切断部14−2、14−3が設定されているので、電極体2−1、2−2の電極領域すなわち、電極塗工部6の処理範囲にダメージを与えないように配慮する必要がある。このため、厳しい寸法精度が求められる。
【0091】
図12は、第4の実施の形態に係る長手方向切断部および幅方向切断部の形成を示している。
図12において、
図11と同一部分には同一符合を付してある。
【0092】
この第4の実施の形態では、
図12のAに示すように、電極引出部12の長手方向切断部14−1と幅方向切断部14−2をクロスさせている。
図12のBに示すように、電極引出部12の長手方向切断部14−1と幅方向切断部14−3をクロスさせている。つまり、長手方向切断部14−1の終端部14−1Eを幅方向切断部14−2の終端部14−2Eを越えて設定し、幅方向切断部14−2の終端部14−2Eを長手方向切断部14−1の終端部14−1Eを越えて設定している。また、長手方向切断部14−1の始端部14−1Sを幅方向切断部14−3の終端部14−3Eを越えて設定し、幅方向切断部14−3の終端部14−3Eを長手方向切断部14−1の始端部14−1Sを越えて設定している。
【0093】
このようにクロスカットすれば、未切断部16(
図1または
図11)の残留を防止でき、電極引出部12の成形精度を高め、電極引出部12の形状安定化が図られる。
【0095】
(1) 電極引出部12の傾斜角度θ1、θ2は直角にしてもよく、非直角の角度としてもよい。たとえば、
図13のAまたはBに示すように、電極引出部12と長手方向切断部14−1に対する幅方向切断部14−2、14−3の角度を直角以下の傾斜角度θや直角を超える傾斜角度θに設定してもよい。この傾斜角度は、好ましくは70〔°〕<θ<110〔°〕であり、より好ましくは、80〔°〕<θ<100〔°〕に設定される。このように所定の傾斜角度θを有することで、未切断部の残留がさらに低減し、電極引出部12の成形精度を高め、電極引出部12の形状安定化が図れる。
【0096】
(2) 上記実施の形態では、幅方向切断部14−2、14−3の始端部14−2S、14−3S(切断開始点)を電極体2−1、2−2の縁部10側に設定しているが、電極体2−1、2−2の内部側から縁部10側に向かう切断方向としてもよい。
【0097】
(3) 上記実施の形態では、電極体2−1、2−2の搬送方向を左側(L)に設定しているが右側(R)に設定してもよい。この場合、長手方向切断部14−1の切断方向は搬送方向と逆方向に設定してもよく、同一方向でもよい。
【0098】
(4) 上記実施の形態では、コンデンサの一例として電気二重層コンデンサ52を例示したが、電解コンデンサであってもよい。この電解コンデンサの場合には、電極体の未処理部はエッチング層や酸化被膜層が形成されていない部分であればよい。
【0099】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明した。本発明は、上記記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、または発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能である。斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。