(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記推奨経路選択部は、前記生体情報取得部で取得した生体情報をもとに、前記通行経路探索部で探索した通行経路の候補を通行したときの前記使用者の生体情報への影響度を算出し、当該影響度に基づいて前記推奨経路を選択することを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の通行経路探索システム。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(第1の実施の形態)
(構成)
図1は、本実施形態に係る通行経路探索システムの概略構成図である。
図中、符号1は通行経路探索システムであり、通行経路探索装置10と、車外の情報記憶装置20と、プローブ端末30とを備える。通行経路探索装置10と情報記憶装置20とは通信ネットワーク等を介してデータ通信が可能となっている。また、情報記憶装置20とプローブ端末30も通信ネットワーク等を介してデータ通信が可能となっている。
【0009】
通行経路探索装置10は、例えば、車両に搭載したナビゲーション装置であり、使用者(ここでは、車両の乗員)が目的地の情報を入力したとき、出発地から目的地までの通行経路を提示、案内する。
なお、ここでは、通行経路探索装置10を車両に搭載した場合について説明するが、例えば携帯電話に内蔵することもできる。この場合、使用者は歩行者であってもよい。また、使用者はこの他に、自転車に乗った人物やバスの乗員でもよい。
【0010】
この通行経路探索装置10は、入力部11と、処理部12と、表示部13と、送受信部14とを備える。
入力部11は、キーボードやリモコン、タッチスイッチ等を用いて使用者が入力した情報を取得する。取得する情報として、例えば目的地の情報がある。目的地の情報とは、目的地の名称、住所、座標等である。入力部11は、取得した情報を処理部12へ送信する。
【0011】
処理部12は、入力部11から目的地の情報を受信すると、出発地を設定し、当該出発地から目的地までの通行経路を探索する通行経路探索処理を実施する。ここで、使用者が入力部11から出発地の情報を入力している場合には、その情報をもとに出発地を設定する。一方、使用者が出発地の情報を入力していない場合には、使用者が目的地を入力した時点での車両位置を出発地として設定する。この通行経路探索処理では、処理部12は、情報記憶装置20に記憶した情報をもとに、使用者に適合した通行経路を探索し、その情報を表示部13に送信する。この通行経路探索処理については後述する。
【0012】
表示部13は、処理部12が送信した通行経路探索結果を表示画面に表示する。
送受信部14は、情報記憶装置20が備える送受信部22との間でデータを送受信する。情報記憶装置20に対して送信するデータとしては、出発地の情報及び目的地の情報がある。また、情報記憶装置20から受信するデータとしては、後述する情報記憶装置20の記憶部21に記憶した情報がある。
情報記憶装置20は、記憶部21と、送受信部22と、処理部23と、受信部24とを備える。
【0013】
記憶部21は、プローブ端末30を保有する人物(プローブ端末保有者)の生体情報を、少なくとも経路特定情報と対応付けた生体情報データベースを記憶している。ここで、生体情報とは、血圧、心拍数、脈拍数、呼吸数、体温、顔画像等である。また、経路特定情報とは、通行経路を特定するための情報であり、交差点情報、ノード情報、リンク情報がある。ノード情報とは、経路上の一地点に関する情報であり、ノード間を接続するものをリンクと呼ぶ。本実施形態では、複数のノード列のそれぞれの間をリンクで接続することによって経路を表現するものとする。
【0014】
この記憶部21は、例えば
図2に示すように、ノード間を結ぶリンク(走行区間)毎に生体情報を分類して記憶する。なお、
図2において、ノードAとノードBとを結ぶリンクを走行区間(A→B)と表記している。記憶部21が走行区間毎に記憶する生体情報は、複数のプローブ端末保有者の生体情報を統計処理したデータであり、例えば平均値を記憶する。
【0015】
また、生体情報としては測定値を記憶するのではなく、生体情報に予め区分を設定し、区分に応じた数値を記憶するようにしてもよい。例えば、収縮期血圧の場合、120未満が区分A、120以上145未満が区分B、145以上が区分Cと規定しておき、これらの区分を点数化しておく。そして、その点数を統計処理し、記憶部21に記憶するようにする。
さらに、この記憶部21は、走行区間毎に、生体情報を記憶してからの経過時間についても記憶しておくものとする。
送受信部22は、上述したように、通行経路探索装置10が備える送受信部14との間でデータを送受信する。
【0016】
処理部23は、送受信部22を介して通行経路探索装置10から出発地の情報及び目的地の情報を入力したとき、その出発地と目的地との間の経路特定情報に紐付いた生体情報を記憶部21から取得する。そして、取得した生体情報を通行経路探索装置10に送信するための指令を送受信部22に送信する。また、処理部23は、後述する受信部24を介してプローブ端末30からプローブ端末保有者の生体情報を受信したとき、その生体情報を記憶部21に記憶する。これらの処理部23で実行する生体情報取得処理については後述する。
【0017】
受信部24は、プローブ端末30が備える送信部31が送信するデータを受信する。プローブ端末30からは、プローブ端末保有者の生体情報を受信するようになっている。
プローブ端末30は、送信部31と、位置情報取得部32と、生体情報取得部33と、処理部34とを備える。
送信部31は、上述したように、情報記憶装置20が備える受信部24に対してデータを送信する。
【0018】
位置情報取得部32は、プローブ端末30の現在地の情報を定期的に取得し、処理部34に送信する。現在地の情報とは、現在地の名称、住所、座標等であり、例えばGPS(Global Positioning System)受信装置で計測する。また、プローブ端末30が携帯電話である場合には、基地局との位置関係から現在地を推定することもできる。さらに、プローブ端末30を車両に搭載している場合には、車載の車輪速センサ、地磁気センサ、ジャイロセンサ等の各種センサで計測したデータから現在地を求めることもできる。
【0019】
生体情報取得部33は、プローブ端末保有者の生体情報を、位置情報取得部32の現在地情報取得処理と同期して定期的に取得し、処理部34に送信する。この生体情報取得部33は、例えば、血圧計、心電図センサ、脈波センサ、呼吸センサ、脳波センサ、温度センサ、撮像装置等から構成する。
処理部34は、位置情報取得部32で取得した現在値の情報と、生体情報取得部33で取得した生体情報とを入力し、これらを情報記憶装置20に送信するための指令を送信部31に送信する。
【0020】
(通行経路探索処理)
次に、通行経路探索装置10の処理部12で実行する通行経路探索処理について、具体的に説明する。
図3は、処理部12で実行する通行経路探索処理手順を示すフローチャートである。この通行経路探索処理は所定時間毎に繰り返し実行する。
先ずステップS1で、処理部12は、使用者が目的地の情報を入力したか、即ち入力部11を介して目的地の情報を受信したか否かを判定する。そして、目的地の情報を入力したと判定した場合にはステップS2に移行し、目的地の情報が未入力であると判定した場合には通行経路探索処理を終了する。
【0021】
ステップS2では、処理部12は、出発地を設定する。ここでは、目的地と同様に使用者がキーボードや画面入力装置等により出発地を入力している場合には、その情報を取得する。また、乗員が出発地を入力していない場合には、乗員が目的地の情報を入力したときの現在位置を出発地として設定する。その際、出発地の情報は、GPS受信装置等から取得する。
【0022】
次にステップS3で、処理部12は、前記ステップS1で取得した目的地の情報と、前記ステップS2で設定した出発地の情報とを送受信部14に送信し、ステップS4に移行する。これにより、送受信部14から情報記憶装置20へ目的地の情報と出発地の情報とを送信することになる。
ステップS4では、処理部12は、情報記憶装置20が目的地及び出発地の受信を受けて送信した、出発地・目的地間の複数の通行経路候補の生体情報を、送受信部14を介して受信する。このとき受信する生体情報は、出発地と目的地とを結ぶ通行経路候補を構成する走行区間を特定するためのノード情報に対応付けられた生体情報である。
【0023】
次にステップS5では、処理部12は、前記ステップS4で受信した生体情報を用いて、複数の通行経路候補の中から使用者に適合した最適な経路(推奨経路)を選択する。推奨経路は、生体情報や、目的地までの所要時間、目的地までの距離などの経路探索の優先項目に基づいて所定数(例えば3経路)選択する。
すなわち、使用者が優先項目として生体情報を指定している場合、生体情報への悪影響が少ない経路を推奨経路として選択する。具体的には、使用者が優先項目として生体情報中の血圧値を指定している場合、複数の通行経路候補について、それぞれ血圧値への影響度を算出する。例えば、血圧値への影響度としては、対象とする通行経路候補を通行したときの血圧最大上昇値や平均血圧上昇値を用いる。そして、複数の通行経路候補のうち血圧値への悪影響が少ない順に推奨経路を選択する。
【0024】
また、乗員が優先項目として目的地までの所要時間を指定している場合には、目的地までの所要時間が短い順に推奨経路を選択する。同様に、乗員が優先項目として目的地までの距離を指定している場合には、目的地までの距離が短い順に推奨経路を選択する。
そして、ステップS6では、処理部12は、前記ステップS5で探索した推奨経路の情報と、当該推奨経路に対応する生体情報とを表示部13に送信し、通行経路探索処理を終了する。これにより、表示部13に推奨経路を表示する。表示部13に推奨経路を表示する際には、各推奨経路を、それぞれ対応する生体情報と共に表示する。
【0025】
図4は、推奨経路の表示例である。この
図4では、推奨経路を2経路とし、表示する生体情報を血圧値のみとしている。血圧値を表示する際、
図4に示すように、その経路を素行したときの平均血圧値、最大血圧値、最小血圧値を表示するのが好ましい。なお、推奨経路と共に表示する生体情報は、使用者が適宜指定することができる。
また、このとき、各推奨経路の推奨度を併せて表示してもよい。2経路を比較すると、経路Aの最大血圧値は136、経路Bの最大血圧値は117となっている。すなわち、経路Bの方が経路Aと比較してストレス度の低い経路であるといえる。したがって、この場合、経路Bの推奨度を高く設定し、これが認識可能となるように、例えば表示する色や強度を分けるなど、表示方法を変えるようにしてもよい。
【0026】
さらに、
図4に示すように、推奨経路上において、血圧が最大値となるエリアを表示することで、緊張状態の起こり易い地点を知らせるようにしてもよい。これにより、使用者はその地点を避けるような経路選択をすることができる。また、やむを得ず通過しなくてはならない場合であっても、使用者は緊張状態の起こり易い地点を知っておくことで警戒することができるので、効果的である。
【0027】
(生体情報取得処理)
次に、情報記憶装置20の処理部23で実行する生体情報取得処理について、具体的に説明する。
図5は、処理部23で実行する生体情報取得処理手順を示すフローチャートである。この生体情報取得処理は所定時間毎に繰り返し実行する。
先ずステップS11で、処理部23は、通行経路探索装置10から目的地の情報及び出発地の情報を受信したか否かを判定する。そして、目的地及び出発地の情報を受信したと判定した場合にはステップS12に移行し、目的地及び出発地の情報を受信していないと判定した場合には、後述するステップS14に移行する。
【0028】
ステップS12では、処理部23は、前記ステップS11で受信した目的地及び出発地の情報に基づいて、先ず、出発地と目的地とを結ぶ通行経路を、地図情報をもとに一般的な経路抽出ロジック(探索ロジック)を用いて探索する。そして、探索したすべての通行経路を出発地・目的地間を結ぶ通行経路候補とし、これら通行経路候補の生体情報を記憶部21から取得する。
【0029】
次にステップS13では、処理部23は、前記ステップS12で記憶部21から取得した通行経路候補の生体情報を、当該通行経路候補を構成する各走行区間を特定するためのノード情報と対応付けて送受信部22に送信し、生体情報取得処理を終了する。これにより、送受信部22から通行経路探索装置10へ、使用者が設定した出発地と目的地とを結ぶ全通行経路候補に対応する生体情報を送信することになる。
ステップS14では、処理部23は、プローブ端末30からプローブ端末保有者の生体情報を受信したか否かを判定する。そして、生体情報を受信したと判定した場合にはステップS15に移行し、生体情報を受信していないと判定した場合には生体情報取得処理を終了する。
【0030】
ステップS15では、処理部23は、先ず、前記ステップS14で受信したプローブ端末保有者の生体情報を、併せて受信したプローブ端末30の現在地の情報をもとに分類する。すなわち、プローブ端末保有者の生体情報が、記憶部21に記憶している生体情報のどの分類項目(走行区間)に当てはまるかを判定する。そして、記憶部21から対応する生体情報を読み出し、プローブ端末保有者の生体情報を累積する。すなわち、受信したプローブ端末保有者の生体情報が、走行区間(A→B)を通行したときの情報である場合には、記憶部21から走行区間(A→B)に対応する生体情報を読み出し、これに受信したプローブ端末保有者の生体情報を加えるものとする。
次にステップS16では、処理部23は、前記ステップS15の累積処理結果を記憶部21に記憶し、生体情報取得処理を終了する。
【0031】
(動作)
次に、第1の実施形態の動作について説明する。
プローブ端末30は、プローブ端末保有者の生体情報を計測し、これを現在位置情報と共に定期的に情報記憶装置20へ送信する。すると、情報記憶装置20は、プローブ端末30が送信したプローブデータを受信し(
図5のステップS14でYes)、これを走行区間毎に分類し記憶部21に記憶する(ステップS15、S16)。このように、情報記憶装置20は、複数のプローブ端末30がそれぞれ送信した、プローブ端末保有者の生体情報を含むプローブデータを記憶部21に蓄積しておく。そして、通行経路探索装置10は、情報記憶装置20に記憶した生体情報を含むプローブデータをもとに経路探索を行い、その情報を提示する。
【0032】
通行経路探索装置10を搭載した車両の乗員が、ナビゲーション装置を操作して出発地及び目的地を入力すると、通行経路探索装置10は、出発地の情報と目的地の情報とを情報記憶装置20に送信する(
図3のステップS3)。すると、情報記憶装置20は、通行経路探索装置10が送信した出発地の情報と目的地の情報とを受信し(
図5のステップS11でYes)、その出発地と目的地とを結ぶ通行経路における各走行区間の生体情報を記憶部21から取得する(ステップS12)。
【0033】
例えば
図6に示すように、出発地Sと目的地Gとの間に、ノードA1〜A3及びB1〜B3が存在しているものとする。そして、情報記憶装置20が、一般的な経路探索ロジックにより、S→A1→B1→G(経路A)、S→A2→B2→G(経路B)、S→A3→B3→G(経路C)の3つの経路を通行経路候補として探索したものとする。この場合、情報記憶装置20は、上記3つの経路上の各走行区間(S→A1、A1→B1、B1→G、S→A2、A2→B2、B2→G、S→A3、A3→B3、B3→G)の生体情報を記憶部21から取得する。そして、取得したこれらの生体情報を、経路特定情報と共に通行経路探索装置10に送信する(ステップS13)。
【0034】
通行経路探索装置10は、情報記憶装置20から出発地Sと目的地Gとの間の3つの通行経路候補の生体情報を受信すると(
図3のステップS4)、その情報を用いて推奨経路を選択する(ステップS5)。ここで、通行経路探索装置10は、3つの通行経路候補の中から、生体情報に悪影響の少ない経路を推奨経路として選択する。その結果、例えばS→A1→B1→G(経路A)、S→A2→B2→G(経路B)の2つの経路を推奨経路として選択したものとすると、通行経路探索装置10は、表示部13にこれを表示する(ステップS6)。このとき、
図4に示すように、推奨経路と共に生体情報も表示する。
【0035】
そして、表示部13の表示を確認した乗員が、所定数の推奨経路のうち自身が採用する経路を確定すると、ナビゲーション装置は乗員が確定した経路でのナビゲーションを開始する。これにより、車両の乗員は、経路案内を確認しながら最適な経路で目的地まで進むことができる。
このように、使用者とは異なる人物が各通行経路を通行したときに計測した生体情報を、当該生体情報を計測した通行経路と対応付けて蓄積しておき、この蓄積したプローブデータをもとに、使用者の生体情報への影響度が低い通行経路を探索する。
【0036】
使用者の生体情報への悪影響が少ない経路を探索する手法としては、自身の生体情報を計測、記憶しておき、以前に通行した走行区間における生体情報への影響度を参照して最適な経路を選択する方法がある。ところが、この場合、これまでに通行したことのない経路については、生体情報への影響度が不明であるため、最適な経路探索が行えない。また、別の手法として、出発地と目的地との間を結ぶ通行経路候補上を走行している他車両の生体情報をリアルタイムで取得し、取得した生体情報をもとに最適な経路を選択する方法もある。ところが、この場合には、車通りの少ない時間帯や場所など、プローブカーが通行経路候補上を走行していない場合、最適な経路探索が行えない。
【0037】
これに対して、本実施形態では、これまでに通行したことのない経路や、現在プローブカーが走行していない経路であっても、その経路を通行したときの生体情報を入手し、経路探索に用いることができる。すなわち、見通しが悪いために注意が必要となり血圧が高くなりやすい場所や、車速の高い一般道で煽られること等により心拍数が高くなりやすい場所等の情報を得ることができる。したがって、健康状態への悪影響が少ない経路を適切に探索することができる。
【0038】
また、通行経路探索に際し、出発地の情報と目的地の情報のみを情報記憶装置20へ送信し、情報記憶装置20内で通行経路候補を探索するので、通行経路探索装置10の計算負荷を低減することができる。したがって、通行経路探索装置10の軽量化や小型化を実現することができると共に、発熱量を小さくすることが可能になる。
なお、
図3において、ステップS1が目的地取得部に対応し、ステップS4が生体情報取得部に対応し、ステップS5が推奨経路選択部に対応し、ステップS6及び表示部13が表示部に対応している。また、
図5において、ステップS14〜S16及び記憶部21が生体情報記憶部に対応し、ステップS12が通行経路探索部に対応し、ステップS13が生体情報取得部に対応している。
【0039】
(効果)
第1の実施形態では、以下の効果が得られる。
(1)情報記憶装置20は、使用者とは異なる人物が各通行経路を通行したときに計測した生体情報を、少なくとも当該生体情報を計測した通行経路と対応付けて記憶する。また、通行経路探索装置10は、使用者が入力した目的地を取得する。そして、情報記憶装置20は、使用者が入力した目的地までの通行経路候補を複数探索し、探索した通行経路候補に対応する生体情報を記憶部21から取得する。通行経路探索装置10は、情報記憶装置20で取得した通行経路候補の生体情報をもとに、当該通行経路候補の中から推奨経路を選択し、これを当該推奨経路に対応した生体情報と共に表示する。
【0040】
このように、これまでにプローブ端末保有者が各通行経路を通行したときの生体情報を蓄積しておき、蓄積した生体情報をもとに通行経路探索を行う。そのため、使用者がこれまでに通行したことのない経路や、現在プローブカーが走行していない経路についても、使用者の生体情報への影響度に応じた経路探索が可能となる。
また、推奨経路を表示する際には、当該推奨経路に対応した生体情報を併せて表示するので、使用者は、各経路の生体情報への影響度を容易に認識することができる。そのため、使用者は生態情報へ悪影響を与える可能性のある経路を避けたり、やむを得ず通過しなくてはならない場合であっても、緊張状態の起こり易い経路であること(例えば、歩行者に対して警戒すべき経路である等)を認識しながら通行したりすることができる。
【0041】
(2)生体情報は、血圧、心拍数、脈拍数、呼吸数、体温、顔画像の少なくとも1つとする。このように、生体情報として、特に緊張状態や弛緩状態(眠気等)の他、肉体的負荷の大小が反映されやすい情報を用いるので、様々な状況に対応した通行経路探索が可能となり、好適である。
(3)使用者は、車両の乗員である。したがって、車両の運転者に対して目的地までの通行経路を適切に提示することができる。
【0042】
(4)使用者の使用端末である車載のナビゲーション装置(通行経路探索装置10)と、ナビゲーション装置との間でデータ通信可能な情報管理サーバ(情報記憶装置20)と、を備える。情報管理サーバは、生体情報記憶部と、通行経路探索部と、生体情報取得部と、を備える。ナビゲーション装置は、目的地取得部と、推奨経路選択部と、表示部と、を備える。
このように、サーバ側で生体情報データベースを記憶するので、車両側に大容量のメモリを搭載する必要がない。また、サーバ側で通行経路探索を行うので、車両側(ナビゲーション装置)の計算負荷を低減することができる。したがって、ナビゲーション装置の軽量化や小型化を実現することができると共に、発熱量を小さくすることが可能になる。
【0043】
(5)通行経路探索装置10は、報記憶装置20で取得した通行経路候補の生体情報をもとに、各通行経路候補を通行したときの使用者の生体情報への影響度を算出し、当該影響度に基づいて推奨経路を選択する。
これにより、使用者が入力した目的地までの通行経路として、使用者の生体情報への悪影響が少ない経路を推奨経路として選択することができる。したがって、使用者は、快適な通行経路を通って目的地に辿り着くことができる。
【0044】
(第1の実施形態の変形例)
(1)上記実施形態では、通行経路探索装置10を車両に搭載し、乗員がこれを使用する場合について説明したが、通行経路探索装置10を携帯電話に内蔵すれば、歩行者がこれを使用することもできる。この場合、各走行区間における生体情報を取得することで、車の通行量が多く横断歩道を渡る際に注意が必要な交差点や、坂道により心拍数が高くなりやすい場所等の情報を得ることができる。したがって、経路探索の優先項目に応じて、健康状態への悪影響が少ない経路を探索したり、また逆に、運動の効果を上げるための経路を探索したりすることが可能となる。
【0045】
(2)上記実施形態では、通行経路探索装置10に過去の使用経路の生体情報を記憶する記憶手段を設け、そこに生体情報を記憶しておくこともできる。この場合、生体情報取得処理が済んでいるものとし、
図3のステップS3及びS4の処理を省略することができる。したがって、通行経路探索の処理時間を短縮することができる。
【0046】
(3)上記実施形態では、通行経路探索装置10が出発地の情報と目的地の情報とを入力した時点で、通行経路探索装置10が一般的な経路探索手法を用い、生体情報によらない出発地、目的地間の通行経路探索を事前に行ってもよい。この場合、通行経路探索装置10から情報記憶装置20へ送信するのは、探索した通行経路候補のノード情報とし、通行経路探索装置10は、その通行経路候補上の各走行区間における生体情報を情報記憶装置20から取得するようにする。この場合にも、上述した情報記憶装置20内で経路探索処理を行う場合と同様の経路探索結果が得られる。
【0047】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
この第2の実施形態は、上述した第1の実施形態において、目的地までの経路のうち、使用者が過去に実際に選択したことのある経路を推奨経路として探索するようにしたものである。
(構成)
図7は、第2の実施形態における通行経路探索システム1の概略構成図である。
この通行経路探索システム1は、
図1に示す通行経路探索装置10において、経路選択履歴記憶部15を追加したことを除いては、
図1と同様の構成を有する。
経路選択履歴記憶部15は、表示部13に表示した所定数の推奨経路のうち、実際に使用者が選択した経路の情報(経路選択履歴)を記憶するものである。ここで、経路選択履歴は、経路を特定する情報(ノード情報等)や当該経路を選択した回数などを含む。
【0048】
(通行経路探索処理)
図8は、本実施形態における通行経路探索装置10の処理部12で実行する通行経路探索処理手順を示すフローチャートである。この通行経路探索処理は、所定時間毎に繰り返し実行する。
先ずステップS21で、処理部12は、前記ステップS1と同様に、使用者が目的地の情報を入力したか、即ち入力部11を介して目的地の情報を受信したか否かを判定する。そして、目的地の情報を入力したと判定した場合にはステップS22に移行し、目的地の情報が未入力であると判定した場合には通行経路探索処理を終了する。
ステップS22では、処理部12は、前記ステップS2と同様に、出発地を設定する。
【0049】
次にステップS23では、処理部12は、経路選択履歴記憶部15を参照し、出発地及び目的地の情報が一致する経路選択履歴を経路選択履歴記憶部15から取得し、ステップS24に移行する。
ステップS24では、前記ステップS21で取得した目的地の情報と、前記ステップS22で設定した出発地の情報と、前記ステップS23で取得した経路選択履歴の情報とを送受信部14に送信し、ステップS25に移行する。これにより、送受信部14から情報記憶装置20へ、目的地の情報と出発地の情報と経路選択履歴の情報とを送信することになる。
【0050】
ステップS25では、処理部12は、情報記憶装置20が目的地、出発地及び経路選択履歴の受信を受けて送信した、出発地・目的地間の複数の通行経路候補の生体情報を、送受信部14を介して受信する。このとき受信する生体情報は、出発地と目的地とを結ぶ通行経路のうち、経路選択履歴にマッチした通行経路の生体情報である。
次にステップS26では、処理部12は、前記ステップS25で受信した生体情報を用いて、複数の通行経路候補の中から使用者に適合した最適な経路(推奨経路)を選択する。例えば、推奨経路は、経路選択履歴にマッチした通行経路のうち、使用者が良く選択している通行経路から順に所定数(例えば3経路)選択する。
【0051】
ステップS27では、処理部12は、前記ステップS26で探索した推奨経路の情報と、当該推奨経路に対応する生体情報とを表示部13に送信し、ステップS28に移行する。これにより、表示部13に推奨経路を表示する。表示部13に推奨経路を表示する際には、各推奨経路を、それぞれ対応する生体情報と共に表示する。
ステップS28では、処理部12は、表示部13に推奨経路を表示した後、使用者が実際に通行する経路を選択したか否かを判定する。ここでは、使用者が、通行経路探索装置10に設置したキーボードや画面入力装置等から経路を入力したことをもって、経路を選択したと判断する。
【0052】
また、車両にGPS受信装置等が付いている場合であれば、車両が通行経路の移動を始めることで、経路を選択したと判断するようにしてもよい。さらに、通行経路探索装置10を携帯電話に内蔵している場合であれば、基地局による位置情報認識装置によって使用者が通行経路の移動を始めたと判断するようにしてもよい。
そして、このステップS28では、処理部12は、経路を選択していないと判断した場合にはそのまま待機し、経路を選択したと判断するとステップS29に移行する。
ステップS29では、処理部12は、使用者が選択した経路に基づいて経路選択履歴の情報を作成し、これを経路選択履歴記憶部15に記憶してから通行経路探索処理を終了する。
【0053】
(生体情報取得処理)
図9は、本実施形態における情報記憶装置20の処理部23で実行する生体情報取得処理手順を示すフローチャートである。この生体情報取得処理は、
図5におけるステップS11をステップS31に置換し、ステップS12をステップS32に置換したことを除いては、
図5と同様の処理を行う。
ステップS31では、処理部23は、通行経路探索装置10から目的地の情報、出発地の情報、及び経路探索履歴の情報を受信したか否かを判定する。そして、これらを受信したと判定した場合にはステップS32に移行し、これらを受信していないと判定した場合には、前記ステップS14に移行する。
【0054】
ステップS32では、処理部23は、前記ステップS31で受信した経路選択履歴にマッチする通行経路を出発地・目的地間を結ぶ通行経路候補とし、その通行経路候補の生体情報を記憶部21から取得し、前記ステップS13に移行する。また、このとき、経路選択履歴にマッチした通行経路の他に、当該経路選択履歴から想定される使用者の経路選択傾向(血圧値の低いルートを良く選択している等)を反映した通行経路についても、通行経路候補として設定して生体情報も取得する。
なお、使用者が入力した出発地・目的地間の経路を、当該使用者がこれまで一度も通行したことがない場合には、上述した第1の実施形態(
図5のステップS12)と同様の方法で通行経路候補の探索と、生体情報の取得を行う。
【0055】
(動作)
次に、第2の実施形態の動作について説明する。
通行経路探索装置10は、情報記憶装置20に記憶した生体情報を含むプローブデータをもとに目的地までの経路探索を行い、所定数の推奨経路を提供する。そして、使用者が実際に選択した通行経路の情報を、経路選択履歴として記憶しておく。
通行経路探索装置10を搭載した車両の乗員が、ナビゲーション装置を操作して出発地及び目的地を入力すると、通行経路探索装置10は、先ず経路選択履歴を参照する。このとき、出発地及び目的地が、乗員が入力した出発地及び目的地と等しい経路を選択した履歴がある場合には、その経路の情報を取得する(
図8のステップS23)。取得した経路選択履歴は、乗員が入力した出発地及び目的地の情報と共に情報記憶装置20に送信する(ステップS24)。
【0056】
すると、情報記憶装置20は、通行経路探索装置10が送信した出発地及び目的地の情報と経路選択履歴の情報とを受信する(
図9のステップS31でYes)。そして、その出発地から目的地まで間の通行経路のうち、経路選択履歴とマッチする通行経路における各走行区間の生体情報を記憶部21から取得する(ステップS32)。
例えば
図6に示すように、出発地Sと目的地Gとの間に、ノードA1〜A3及びB1〜B3が存在しており、S→A1→B1→Gの経路が経路選択履歴にマッチするものとする。この場合、情報記憶装置20は、S→A1→B1→Gの経路上の各走行区間(S→A1、A1→B1、B1→G)の生体情報を記憶部21から取得する。
【0057】
また、S→A1→B1→Gの経路が、例えば血圧値を低く抑えられるルートである場合には、情報記憶装置20は、乗員は血圧値を低く押さえられるルートをよく選択する傾向があると判断する。そして、同じく血圧値を低く抑えられるルート(例えば、S→A2→B2→G)についても通行経路候補とし、当該経路上の各走行区間(S→A2、A2→B2、B2→G)の生体情報を記憶部21から取得する。
このように、情報記憶装置20は、経路選択履歴にマッチする経路や、経路選択履歴から想定される使用者の選択傾向にマッチした経路を、通行経路候補として探索する。そして、これら通行経路候補の生体情報を取得し、これを通行経路探索装置10に送信する(ステップS13)。
【0058】
通行経路探索装置10は、情報記憶装置20から出発地と目的地との間の2つの通行経路候補の生体情報を受信すると(
図8のステップS25)、その情報を用いて推奨経路を選択する(ステップS26)。このとき、通行経路探索装置10は、経路選択履歴にマッチした経路(S→A1→B1→G)を最も優先度の高い推奨経路として設定し、S→A1→B1→G、S→A2→B2→Gの2つの経路を推奨経路として表示部13に表示する(ステップS27)。このとき、
図4に示すように、推奨経路と共に生体情報も表示する。
【0059】
そして、表示部13の表示を確認した乗員が、2つの推奨経路のうち自身が採用する経路を確定すると、ナビゲーション装置は乗員が確定した経路でのナビゲーションを開始する。同時に、通行経路探索装置10は、乗員が確定した経路の情報を経路選択履歴として記憶する(ステップS29)。
このように、使用者が過去に実際に選択した経路の履歴を記憶しておき、目的地までの経路探索を行う際には、使用者が過去に実際に通行したことのある経路を優先的に探索する。すなわち、蓄積したプローブデータから当該履歴にマッチする経路の生体情報を取得し、これを提示する。これにより、使用者の傾向を反映した通行経路探索が可能となる。
なお、
図8において、ステップS21が目的地取得部に対応し、ステップS25が生体情報取得部に対応し、ステップS26が推奨経路選択部に対応し、ステップS27及び表示部13が表示部に対応している。また、
図9において、ステップS32が通行経路探索部に対応している。
【0060】
(効果)
第2の実施形態では、以下の効果が得られる。
(1)通行経路探索装置10は、推奨経路を複数選択する。また、通行経路探索装置10は、表示部13で表示した複数の推奨経路のうち、使用者が採用した推奨経路の情報を記憶する。そして、情報記憶装置20は、目的地までの通行経路の候補として、使用者が過去に採用した通行経路を優先的に探索する。
このように、経路選択の履歴をもとに通行経路候補を探索し生体情報を取得するので、使用者の傾向を反映した通行経路を探索し、提示することができる。そのため、使用者は経路選択時に不要な経路を検討する必要がなくなる。
【0061】
(第2の実施形態の変形例)
(1)上記実施形態においては、経路選択履歴を記憶する経路選択履歴記憶部15を経路探索装置10内に設ける場合について説明したが、経路選択履歴記憶部15を情報記憶装置20内に設けるようにしてもよい。この場合、経路探索装置10から情報記憶装置20に、使用者の情報(例えば、使用者IDのようなもの)と併せて経路選択履歴の情報を送信し、情報記憶装置20内では使用者の情報と紐付けて経路選択履歴の情報を記憶するようにすればよい。
【0062】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
この第3の実施形態は、上述した第2の実施形態において、経路選択履歴にマッチングした通行経路探索を行っているのに対し、使用者の属性に応じた通行経路探索を行うようにしたものである。
(構成)
図10は、第3の実施形態における通行経路探索システム1の概略構成図である。
この通行経路探索システム1は、
図1に示す通行経路探索装置10において、属性情報記憶部16を追加し、プローブ端末30において、属性情報取得部35を追加したことを除いては、
図1と同様の構成を有する。
属性情報記憶部16は、使用者の属性情報を予め記憶する。属性情報には、人物によるものと、人物以外によるものとがある。人物によるものとしては、性別、年齢、職業、在籍地、運転経験(免許取得後の年数、免許取得後の累積運転距離等)がある。人物によらないものとしては、通行手段(徒歩、自転車、バス、電車、車等)、道路種別(一般道/高速道路)、時間(朝・昼・晩)、日種(曜日、平日/休日、大型連休等)、天候、路面状態がある。
【0063】
人物による属性については、所定の分類ルールに則って分類しておくと好適である。例えば、年齢を例に挙げると、年齢30歳未満の若年層を年齢分類A、30歳以上50歳未満を年齢分類B、50歳以上65歳未満を年齢分類C、65歳以上の高齢者層を年齢分類Dに分ける。
また、個々の人物を属性で分類する際、複数の属性を組み合わせて分類するようにしてもよい。例えば、上記の年齢による分類に、行動範囲の違いが反映される可能性のある性別を加味してもよい。この場合、30歳未満の男性、30歳未満の女性、30歳以上50歳未満の男性、30歳以上50歳未満の女性、…といった分類方法となる。
【0064】
本実施形態では、同一属性分類内における人物の行動傾向が、基本的に似たものになることを利用し、人物の属性情報を通行経路探索に用いるようにする。なお、これらの分類を組み合わせた情報は、使用者IDのような形式で持っておくと、取得する際に簡便で好適である。
属性情報取得部35は、プローブ端末保有者の属性情報を取得し、これを処理部34に送信する。
【0065】
(通行経路探索処理)
図11は、本実施形態における通行経路探索装置10の処理部12で実行する通行経路探索処理手順を示すフローチャートである。この通行経路探索処理は、所定時間毎に繰り返し実行する。
先ずステップS41で、処理部12は、前記ステップS1と同様に、使用者が目的地の情報を入力したか、即ち入力部11を介して目的地の情報を受信したか否かを判定する。そして、目的地の情報を入力したと判定した場合にはステップS42に移行し、目的地の情報が未入力であると判定した場合には通行経路探索処理を終了する。
ステップS42では、処理部12は、前記ステップS2と同様に、出発地を設定する。
【0066】
次にステップS43では、処理部12は、属性情報取得部16を参照し、使用者の属性情報を取得し、ステップS44に移行する。
ステップS44では、前記ステップS41で取得した目的地の情報と、前記ステップS42で設定した出発地の情報と、前記ステップS43で取得した属性情報とを送受信部14に送信し、ステップS45に移行する。これにより、送受信部14から情報記憶装置20へ、目的地の情報と出発地の情報と属性情報とを送信することになる。
【0067】
ステップS45では、処理部12は、情報記憶装置20が目的地、出発地及び属性情報の受信を受けて送信した、出発地・目的地間の複数の通行経路候補の生体情報を、送受信部14を介して受信する。このとき受信する生体情報は、出発地と目的地とを結ぶ通行経路のうち、使用者の属性情報にマッチした通行経路の生体情報である。例えば、使用者が30歳以上50歳未満の男性である場合、出発地と目的地とを結ぶ通行経路のうち、30歳以上50歳未満の男性がよく使用する通行経路の生体情報を受信することになる。
【0068】
次にステップS46では、処理部12は、前記ステップS45で受信した生体情報を用いて、複数の通行経路候補の中から使用者に適合した最適な経路(推奨経路)を選択する。例えば、推奨経路は、属性情報にマッチした通行経路のうち、生体情報や、目的地までの所要時間、目的地までの距離などの経路探索の優先項目に基づいて所定数(例えば3経路)選択する。
【0069】
ステップS47では、処理部12は、前記ステップS46で探索した推奨経路の情報と、当該推奨経路に対応する生体情報とを表示部13に送信し、通行経路探索処理を終了する。これにより、表示部13に推奨経路を表示する。表示部13に推奨経路を表示する際には、各推奨経路を、それぞれ対応する生体情報と共に表示する。
【0070】
(生体情報取得処理)
図12は、本実施形態における情報記憶装置20の処理部23で実行する生体情報取得処理手順を示すフローチャートである。
ステップS51では、処理部23は、通行経路探索装置10から目的地の情報、出発地の情報、及び属性情報を受信したか否かを判定する。そして、これらを受信したと判定した場合にはステップS52に移行し、これらを受信していないと判定した場合には、後述するステップS54に移行する。
【0071】
ステップS52では、処理部23は、前記ステップS51で受信した目的地及び出発地の情報に基づいて、出発地と目的地とを結ぶ経路を一般的な経路抽出ロジック(探索ロジック)を用いて探索する。そして、探索した通行経路のうち、前記ステップS51で受信した属性情報にマッチした人物がよく使用する通行経路を通行経路候補として設定し、その通行経路候補の生体情報を記憶部21から取得する。このとき、通行経路候補の生体情報のうち、前記ステップS51で受信した属性情報にマッチした人物の生体情報のみを取得するのが好ましい。
【0072】
次にステップS53では、処理部23は、前記ステップS52で記憶部21から取得した通行経路候補の生体情報を、当該通行経路候補を構成する各走行区間を特定するためのノード情報と対応付けて送受信部22に送信し、生体情報取得処理を終了する。これにより、送受信部22から通行経路探索装置10へ、使用者が設定した出発地と目的地とを結ぶ全通行経路候補における使用者の属性情報に対応した生体情報を送信することになる。
【0073】
ステップS54では、処理部23は、プローブ端末30からプローブ端末保有者の生体情報及び属性情報を受信したか否かを判定する。そして、生体情報及び属性情報を受信したと判定した場合にはステップS55に移行し、生体情報及び属性情報を受信していないと判定した場合には生体情報取得処理を終了する。
ステップS55では、処理部23は、前記ステップS54で受信したプローブ端末保有者の生体情報を、併せて受信したプローブ端末30の現在地の情報及び属性情報をもとに分類する。すなわち、プローブ端末保有者の生体情報が、記憶部21に記憶している生体情報のどの分類項目(走行区間、属性情報)に当てはまるかを判定する。ここで、生体情報は、例えば
図13に示すように、属性毎に分類したうえで、さらに走行区間毎に分類して記憶部21に記憶しているものとする。
【0074】
そして、記憶部21から対応する生体情報を読み出し、プローブ端末保有者の生体情報を累積する。すなわち、プローブ端末保有者が属性分類Aに属し、受信したプローブ端末保有者の生体情報が、走行区間(A→B)を通行したときの情報である場合には、記憶部21から属性分類Aの走行区間(A→B)に対応する生体情報を読み出す。そして、これに受信したプローブ端末保有者の生体情報を加える。
【0075】
また、このとき、走行区間毎に累積走行回数を記憶するものとする。これにより、走行区間(A→B)を属性分類Aの人物が通行した回数と、同じ走行区間(A→B)を属性分類Bの人物が通行した回数との比較が可能となる。すなわち、走行区間(A→B)を使用する頻度の高い属性分類を統計的に把握することができる。
次にステップS56では、処理部23は、前記ステップS55の累積処理結果を記憶部21に記憶し、生体情報取得処理を終了する。
【0076】
(動作)
次に、第3の実施形態の動作について説明する。
プローブ端末30は、プローブ端末保有者の生体情報を計測し、これを現在位置情報及び属性情報と共に定期的に情報記憶装置20へ送信する。すると、情報記憶装置20は、プローブ端末30が送信したプローブデータを受信し(
図12のステップS54でYes)、これを属性毎に分類し、さらに走行区間毎に分類して記憶部21に記憶する(ステップS55、S56)。このように、情報記憶装置20は、複数のプローブ端末30が送信した生体情報を含むプローブデータを記憶部21に蓄積しておく。そして、通行経路探索装置10は、情報記憶装置20に記憶した生体情報を含むプローブデータをもとに経路探索を行い、その情報を提示する。
【0077】
通行経路探索装置10を搭載した車両の乗員が、ナビゲーション装置を操作して出発地及び目的地を入力すると、通行経路探索装置10は、出発地の情報と目的地の情報とを乗員の属性情報と共に情報記憶装置20に送信する(
図11のステップS44)。すると、情報記憶装置20は、通行経路探索装置10が送信した出発地及び目的地の情報と属性情報を受信し(
図12のステップS51でYes)、先ず、一般的な探索ロジックを用いて出発地と目的地とを結ぶ通行経路を探索する。そして、探索した通行経路のうち、乗員の属性情報にマッチした通行経路を通行経路候補として探索し、その通行経路候補の生体情報を記憶部21から取得する(ステップS52)。
【0078】
例えば
図6に示すように、出発地Sと目的地Gとの間に、ノードA1〜A3及びB1〜B3が存在しており、情報記憶装置20が、S→A1→B1→G(経路A)、S→A2→B2→G(経路B)、S→A3→B3→G(経路C)の3つの経路を一般的な探索ロジックにより探索したものとする。この場合、情報記憶装置20は、上記3つの経路のうち、乗員の属性情報とマッチした人物がよく通行している経路を通行経路候補として探索する。その際、記憶部21に記憶した各走行区間における累積走行回数を参照して判断する。このとき、経路A及び経路Bを通行経路候補としたものとすると、当該経路上の各走行区間(S→A1、A1→B1、B1→G、S→A2、A2→B2、B2→G)における乗員の属性情報にマッチした生体情報を記憶部21から取得する。そして、取得したこれらの生体情報を通行経路探索装置10に送信する(ステップS53)。
【0079】
通行経路探索装置10は、情報記憶装置20から出発地Sと目的地Gとの間の各通行経路における生体情報を受信すると(
図11のステップS45)、その情報を用いて推奨経路を探索する(ステップS46)。ここで、通行経路探索装置10は、2つの通行経路候補の中から、生体情報に悪影響の少ない経路を推奨経路として選択し、表示部13にこれを表示する(ステップS47)。このとき、
図4に示すように、推奨経路と共に生体情報も表示する。
【0080】
そして、表示部13の表示を確認した乗員が、所定数の推奨経路のうち自身が採用する経路を確定すると、ナビゲーション装置は乗員が確定した経路でのナビゲーションを開始する。
同じ通行経路を通行した場合であっても、年齢や運転経験、時間帯や天候などによって運転者の生体情報への影響度は大きく異なる。例えば、高齢者や運転初心者にとっては緊張により血圧が上昇する道路であっても、若者や運転熟練者は全く動じない場合がある。そのため、年齢や運転経験、時間帯や天候などといった、所謂属性を考慮せずに通行経路探索を行ってしまうと、探索結果が使用者に適合しない場合がある。
【0081】
そこで、本実施形態では、使用者の属性情報を考慮して通行経路探索を行う。すなわち、自分と似た傾向を持つ人物の生体状態を用いて通行経路探索を行う。このように、個々の人物を属性で分類しておくことで、より使用者にあった経路探索が可能となる。
なお、
図11において、ステップS41が目的地取得部に対応し、ステップS45が生体情報取得部に対応し、ステップS46が推奨経路選択部に対応し、ステップS47及び表示部13が表示部に対応している。また、
図12において、ステップS54〜S56及び記憶部21が生体情報記憶部に対応し、ステップS52が通行経路探索部に対応し、ステップS53が生体情報取得部に対応している。
【0082】
(効果)
第3の実施形態では、以下の効果が得られる。
(1)通行経路探索装置10は、使用者の行動傾向を特定する指標である属性情報を予め記憶する。情報記憶装置20は、使用者とは異なる人物が各通行経路を通行したときに計測した生体情報を、当該生体情報を計測した通行経路と、当該使用者とは異なる人物の属性情報とに対応付けて記憶部21に記憶する。情報記憶装置20は、目的地までの通行経路の候補として、使用者の属性情報に適合した通行経路を優先的に探索する。
このように、使用者と似た行動傾向を有するプローブ端末保有者の生体情報を用いて通行経路探索を行うことができるので、さらに深く使用者の傾向を反映した通行経路探索が可能となる。
【0083】
(2)属性情報は、性別、年齢、職業、在籍地、通行手段、運転経験、道路種別、時間、天候の少なくとも1つとする。このように、属性情報として、緊張状態や弛緩状態(眠気等)に加えて、特に行動傾向が反映されやすい情報を用いるので、様々な状況に対応した通行経路探索が可能となり、好適である。
【0084】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
この第4の実施形態は、上述した第3の実施形態において、使用者の属性に応じた通行経路探索を行っているのに対し、さらに同じ属性内でも分布を持つものに対して補正を施すようにしたものである。
(構成)
第4の実施形態における通行経路探索システム1は、
図10と同様の構成を有する。
本実施形態では、同じ属性内でも、個々の人物によって生体情報にばらつきがあることを考慮し、同じ属性の中でさらにいくつかの属性に分類するものとする。
図14は、ある属性の人物がある経路を通行したときの血圧値の出現頻度である。この
図14に示すように、年齢・性別等の属性が全く同じ条件で同じ道路を通行した場合でも、人によって血圧値にばらつきが生じる。これは、高速道路での運転が、緊張により血圧が高くでる人物と、全く動じない人物とがいるためである。
【0085】
そこで、使用者の属性を、使用者の生体情報の傾向に応じていくつかの属性種別に分類する。ここでは、使用者の生体情報の傾向が標準的な生体情報の傾向と一致する場合、属性種別を「標準」とする。一方、使用者の生体情報の傾向が標準的な生体情報の傾向からずれている場合(例えば、同じ属性(年齢・性別等)の人と比べて血圧・体温が高めである等)は、属性種別を「補正」とする。属性種別を「標準」とするか「補正」とするかは、予め自身の生体情報の傾向をもとに使用者が設定し、属性情報記憶部16に記憶しておくものとする。
【0086】
図14に示す例では、同じ属性内で統計的に最も多い生体情報の傾向を有する群の属性種別を「標準」とする。そして、これに対して低い方の裾野部を「補正L」、高い方の裾野部を「補正H」としている。なお、属性種別の分類方法は適宜設定可能である。
そして、このような生体情報の傾向を考慮して、使用者に適合した経路探索を行う。
【0087】
(生体情報取得処理)
図15は、本実施形態における情報記憶装置20の処理部23で実行する生体情報取得処理手順を示すフローチャートである。この生体情報取得処理は、
図12におけるステップS52の後にステップS61の処理を追加したことを除いては、
図12と同様の処理を行う。
ステップS61では、処理部23は、使用者の属性種別(標準/補正)に応じて、記憶部21から取得する生体情報を補正する。ここでは、使用者の属性種別が「補正」である場合にのみ、属性種別に適合した生体情報を記憶部21から取得し直し、前記ステップS53に移行する。具体的には、使用者の生体情報の傾向とマッチする別の属性分類を検索し、前記ステップS52で設定した通行経路候補の生体情報として、検索した属性分類の生体情報を取得し直す。一方、使用者の属性種別が「標準」である場合には、取得する生体情報の補正は行わずにそのまま前記ステップS53に移行する。
【0088】
(動作)
次に、第4の実施形態の動作について説明する。
通行経路探索装置10を搭載した車両の乗員が、ナビゲーション装置を操作して出発地S及び目的地Gを入力すると、通行経路探索装置10は、出発地の情報と目的地の情報とを乗員の属性情報と共に情報記憶装置20に送信する(
図11のステップS44)。このとき、通行経路探索装置10は、乗員の生体情報の傾向に応じた属性種別(標準/補正)も併せて情報記憶装置20に送信する。
【0089】
すると、情報記憶装置20は、通行経路探索装置10が送信した出発地及び目的地の情報と属性情報を受信し(
図15のステップS51でYes)、先ず、一般的な探索ロジックにより、出発地と目的地とを結ぶ通行経路を探索する。そして、探索した通行経路のうち、乗員の属性情報にマッチした通行経路を通行経路候補として探索し、その通行経路候補の生体情報を記憶部21から取得する(ステップS52)。
【0090】
例えば
図6に示すように、出発地と目的地との間に、ノードA1〜A3及びB1〜B3が存在しており、情報記憶装置20が、S→A1→B1→G(経路A)、S→A2→B2→G(経路B)、S→A3→B3→G(経路C)の3つの経路を探索したものとする。この場合、情報記憶装置20は、上記3つの経路のうち、乗員の属性情報とマッチした人物がよく通行している経路を通行経路候補として選択し、当該経路上の各走行区間における乗員の属性情報にマッチした生体情報を記憶部21から取得する。
【0091】
ここで、乗員の属性種別が「補正」である場合には、取得する生体情報を補正する(ステップS61)。例えば、乗員の属性情報とマッチした通行経路候補として、上記3つの経路のうち経路Aを選択したものとする。ここで、乗員の属性情報が属性分類Aに属しており、経路Aの走行区間を属性分類Aの人物が通行したときの血圧分布が
図16(a)のようになっているものとする。このとき、乗員(使用者)の属性種別が、乗員の生体情報傾向が標準よりも低い裾野部に属することを示す「補正L」である場合には、この属性分類Aの生体情報(平均値)を用いて通行経路探索を行うと、自分に合った経路探索を行えない。
【0092】
そのため、この場合には、乗員の生体情報の傾向とマッチした別の属性分類として、同じ経路Aでの血圧分布の基準値(平均値)が、属性分類Aの基準値(平均値)よりも低くなっている属性分類を検索する。このとき、
図16(b)に示すように、属性分類Bでの血圧分布がそれに相当する場合、属性分類Bが乗員の生体情報の傾向とマッチした属性分類であると判断する。そして、経路Aの走行区間の生体情報として、属性分類Bの生体情報を取得し直す。すなわち、経路Aの走行区間の生体情報を、属性分類Aの生体情報から属性分類Bの生体情報へ補正する。
【0093】
また、このとき、上記3つの通行経路候補(経路A〜C)のうち、属性分類Bの人物がよく通行している経路についても通行経路候補として選択し、当該経路上の各走行区間における生体情報を記憶部21から取得するようにしてもよい。
そして、取得したこれらの生体情報を通行経路探索装置10に送信する(ステップS53)。通行経路探索装置10は、情報記憶装置20から出発地Sと目的地Gとの間の各通行経路における生体情報を受信すると(
図11のステップS45)、その情報を用いて推奨経路を探索する(ステップS46)。このとき、通行経路探索装置10は、複数の通行経路候補の中から、生体情報に悪影響の少ない経路を推奨経路として選択し、表示部13にこれを表示する(ステップS47)。このとき、
図4に示すように、推奨経路と共に生体情報も表示する。
【0094】
その後、表示部13の表示を確認した乗員が、所定数の推奨経路のうち自身が採用する経路を確定すると、ナビゲーション装置は乗員が確定した経路でのナビゲーションを開始する。
同じ属性を有する人物が同じ通行経路を走行した場合であっても、生体情報への影響度は大きく異なる。例えば、同じ年齢や運転経験、時間帯や天候であっても、高速道路を走行したときに緊張により血圧が高くでる人物と、全く動じない人物とがいる。そのため、このような同一属性内での生体情報の傾向の違いを考慮せずに、同一属性で通行経路探索を行ってしまうと、探索結果が使用者に適合しない場合がある。
【0095】
そこで、本実施形態では、使用者の生体情報の傾向(属性種別)を考慮して通行経路探索を行う。これにより、自分と似た傾向を持つ人物の生体状態を用いて通行経路探索を行うことができ、より使用者にあった経路探索が可能となる。
なお、
図15において、ステップS61が通行経路補正部に対応している。また、属性情報記憶部16が属性種別記憶部に対応している。
【0096】
(効果)
第4の実施形態では、以下の効果が得られる。
(1)通行経路探索装置10は、同一属性情報を有する人物毎に分類した同一属性分類内で、個々の人物によりばらつきを持つ生体情報について、使用者の前記生体情報が標準範囲内であるか否かを示す属性種別を予め記憶する。そして、情報記憶装置20は、使用者の属性情報に適合した通行経路の候補を、使用者の属性種別に基づいて補正する。
このように、使用者と似た生体情報の傾向を有するプローブ端末保有者の生体情報を用いて通行経路探索を行うことができるので、さらに深く使用者の傾向を反映した通行経路探索が可能となる。
【0097】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。
この第5の実施形態は、使用者の属性情報を計測する機能を備え、計測した属性情報を通行経路探索で用いるようにしたものである。
(構成)
図17は、第5の実施形態における通行経路探索システム1の概略構成図である。
この通行経路探索システム1は、
図10に示す通行経路探索装置10において、生体情報計測部17を追加したことを除いては、
図10と同様の構成を有する。
生体情報計測部17は、使用者の属性情報を計測する。この生体情報計測部17は、例えば、血圧計、心電図センサ、脈波センサ、呼吸センサ、脳波センサ、温度センサ、撮像装置等を含んで構成する。なお、これら各種の生体情報計測器がBluetooth(登録商標)等の通信機器を内蔵しており、通行経路探索装置10がその受信機能を有している場合には、生体情報計測器で計測した生体情報を通信により受信するようにしてもよい。
【0098】
(通行経路探索処理)
図18は、本実施形態における通行経路探索装置10の処理部12で実行する通行経路探索処理手順を示すフローチャートである。この通行経路探索処理は、所定時間毎に繰り返し実行する。
先ずステップS71で、処理部12は、前記ステップS1と同様に、使用者が目的地の情報を入力したか、即ち入力部11を介して目的地の情報を受信したか否かを判定する。そして、目的地の情報を入力したと判定した場合にはステップS72に移行し、目的地の情報が未入力であると判定した場合には通行経路探索処理を終了する。
ステップS72では、処理部12は、前記ステップS2と同様に、出発地を設定する。
【0099】
次にステップS73では、処理部12は、属性情報取得部16を参照し、使用者の属性情報を取得し、ステップS74に移行する。
ステップS74では、処理部12は、生体情報計測部17で計測した生体情報を取得し、ステップS75に移行する。
ステップS75では、前記ステップS71で取得した目的地の情報と、前記ステップS72で設定した出発地の情報と、前記ステップS73で取得した属性情報と、前記ステップS74で取得した生体情報とを送受信部14に送信し、ステップS76に移行する。これにより、送受信部14から情報記憶装置20へ、目的地の情報と出発地の情報と属性情報と生体情報とを送信することになる。
【0100】
ステップS76では、処理部12は、情報記憶装置20が目的地、出発地、属性情報及び生体情報の受信を受けて送信した、出発地・目的地間の複数の通行経路候補の生体情報を、送受信部14を介して受信する。このとき受信する生体情報は、出発地と目的地とを結ぶ通行経路のうち、使用者の属性情報にマッチした通行経路の生体情報である。
次にステップS77では、処理部12は、前記ステップS76で受信した生体情報を用いて、複数の通行経路候補の中から使用者に適合した最適な経路(推奨経路)を探索する。例えば、推奨経路は、属性情報にマッチした通行経路のうち、生体情報や、目的地までの所要時間、目的地までの距離などの経路探索の優先項目に基づいて所定数(例えば3経路)選択する。
【0101】
ステップS78では、処理部12は、前記ステップS77で探索した推奨経路の情報と、当該推奨経路に対応する生体情報とを表示部13に送信し、通行経路探索処理を終了する。これにより、表示部13に推奨経路を表示する。表示部13に推奨経路を表示する際には、各推奨経路を、それぞれ対応する生体情報と共に表示する。
【0102】
(生体情報取得処理)
図19は、本実施形態における情報記憶装置20の処理部23で実行する生体情報取得処理手順を示すフローチャートである。この生体情報取得処理は、
図15におけるステップS51をステップS81に置換し、ステップS61をステップS82に置換したことを除いては、
図15と同様の処理を行う。
ステップS81では、処理部23は、通行経路探索装置10から目的地の情報、出発地の情報、属性情報及び生体情報を受信したか否かを判定する。そして、これらを受信したと判定した場合には前記ステップS52に移行し、これらを受信していないと判定した場合には、前記ステップS54に移行する。
【0103】
ステップS82では、処理部23は、前記ステップS81で受信した生体情報をもとに、使用者の属性種別(標準/補正)を設定する。具体的には、受信した使用者の生体情報に基づいて、直近の所定期間における使用者の生体情報の傾向を判別する。例えば、その日の血圧値が、使用者と同一の属性分類での標準値(標準範囲)と一致していると判断した場合には、使用者の属性種別を「標準」とする。一方、その日の血圧値が、使用者と同一の属性分類での標準値(標準範囲)から逸脱していると判断した場合には、使用者の属性種別を「補正」とする。
【0104】
そして、このステップS82では、処理部23は、設定した使用者の属性種別(標準/補正)に応じて、記憶部21から取得する生体情報を補正する。ここでは、使用者の属性種別が「補正」である場合にのみ、属性種別に適合した生体情報を記憶部21から取得し直し、前記ステップS53に移行する。補正方法については、前記ステップS61と同様の方法を用いる。一方、使用者の属性種別が「標準」である場合には、取得する生体情報の補正は行わずにそのまま前記ステップS53に移行する。
【0105】
(動作)
次に、第5の実施形態の動作について説明する。
通行経路探索装置10を搭載した車両の乗員が、ナビゲーション装置を操作して出発地及び目的地を入力すると、通行経路探索装置10は、出発地の情報と目的地の情報とを、乗員の属性情報と乗員の生体情報と共に情報記憶装置20に送信する(
図18のステップS75)。
すると、情報記憶装置20は、通行経路探索装置10が送信した出発地及び目的地の情報と属性情報と生体情報とを受信し(
図19のステップS81でYes)、先ず、一般的な探索ロジックを用いて、出発地と目的地とを結ぶ通行経路を探索する。そして、探索した通行経路のうち、乗員の属性情報にマッチした通行経路を通行経路候補として探索し、その通行経路候補の生体情報を記憶部21から取得する(ステップS52)。
【0106】
例えば
図6に示すように、出発地Sと目的地Gとの間に、ノードA1〜A3、B1〜B3が存在しており、情報記憶装置20が、S→A1→B1→G(経路A)、S→A2→B2→G(経路B)、S→A3→B3→G(経路C)の3つの経路を探索したものとする。この場合、情報記憶装置20は、上記3つの経路のうち、乗員の属性情報とマッチした人物がよく通行している経路を通行経路候補として選択し、当該経路上の各走行区間における乗員の属性情報にマッチした生体情報を記憶部21から取得する。
【0107】
また、このとき、乗員の生態情報をもとに、乗員の属性種別を判別する。具体的には、直近の所定期間における使用者の生体情報をもとに、乗員の生体情報の傾向(例えば、血圧が高めであるとか、体温が高めであるとか)を判別する。そして、乗員の直近の生体情報が、予め設定した属性分類の標準値であると判断した場合には、属性種別を「標準」とし、標準値からずれていると判断した場合には、属性種別を「補正」とする。
【0108】
そして、乗員の属性種別が「補正」であると判断した場合には、取得する生体情報を補正する(ステップS82)。例えば、乗員の属性情報とマッチした通行経路候補として、上記3つの経路のうち経路Aを選択したものとする。ここで、乗員の属性情報が属性分類Aに属しており、経路Aの走行区間を属性分類Aの人物が通行したときの血圧分布が
図16(a)のようになっているものとする。このとき、乗員(使用者)の属性種別が、乗員の生体情報傾向が標準よりも低い裾野部に属することを示す「補正L」である場合には、この属性分類Aの生体情報(平均値)を用いて通行経路探索を行うと、自分に合った経路探索を行えない。
【0109】
そのため、この場合には、乗員の生体情報の傾向とマッチした別の属性分類として、同じ経路Aでの血圧分布の基準値(平均値)が、属性分類Aの基準値(平均値)よりも低くなっている属性分類を検索する。このとき、
図16(b)に示すように、属性分類Bでの血圧分布がそれに相当する場合、属性分類Bが乗員の生体情報の傾向とマッチした属性分類であると判断する。そして、経路Aの走行区間の生体情報として、属性分類Bの生体情報を取得し直す。すなわち、経路Aの走行区間の生体情報を、属性分類Aの生体情報から属性分類Bの生体情報へ補正する。
【0110】
また、このとき、上記3つの通行経路候補(経路A〜C)のうち、属性分類Bの人物がよく通行している経路についても通行経路候補として選択し、当該経路上の各走行区間における生体情報を記憶部21から取得するようにしてもよい。
そして、取得したこれらの生体情報を通行経路探索装置10に送信する(ステップS53)。通行経路探索装置10は、情報記憶装置20から出発地Sと目的地Gとの間の各通行経路における生体情報を受信すると(
図11のステップS45)、その情報を用いて推奨経路を探索する(ステップS46)。このとき、通行経路探索装置10は、複数の通行経路候補の中から、生体情報に悪影響の少ない経路を推奨経路として選択し、表示部13にこれを表示する(ステップS47)。このとき、
図4に示すように、推奨経路と共に生体情報も表示する。
【0111】
その後、表示部13の表示を確認した乗員が、所定数の推奨経路のうち自身が採用する経路を確定すると、ナビゲーション装置は乗員が確定した経路でのナビゲーションを開始する。
このように、使用者の生体情報の傾向(属性種別)を考慮して通行経路探索を行うので、自分と似た傾向を持つ人物の生体状態を用いて通行経路探索を行うことができ、より使用者にあった経路探索が可能となる。
【0112】
また、属性種別は、実際に計測した生体情報をもとに設定するので、直近の使用者の生体情報にマッチした経路探索が可能となる。すなわち、直近の使用者の生体情報の変化にも対応することができる。したがって、その日の体調により別の属性として情報を取得した方が良い場合には、その情報を反映した通行経路探索が可能となる。
なお、
図18において、ステップS71が目的地取得部に対応し、ステップS74が生体情報計測部に対応し、ステップS76が生体情報取得部に対応し、ステップS77が推奨経路選択部に対応し、ステップS78及び表示部13が表示部に対応している。また、
図19において、ステップS82が属性種別設定部及び通行経路補正部に対応している。
【0113】
(効果)
第5の実施形態では、以下の効果が得られる。
(1)通行経路探索装置10は、使用者の生体情報を計測する。そして、情報記憶装置20は、使用者の属性情報に適合した通行経路の候補を、使用者の属性種別に基づいて補正する。このとき、実際に計測した生体情報に基づいて使用者の属性種別を設定する。
このように、使用者と似た生体情報の傾向を有するプローブ端末保有者の生体情報を用いて通行経路探索を行うことができるので、さらに深く使用者の傾向を反映した通行経路探索が可能となる。また、使用者の生体情報を実際に計測し、計測した生体情報に基づいて使用者の生体情報の傾向を判別するので、使用者のその日の体調の変化に対応した通行経路探索が可能となる。