(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0007】
(発明が解決しようとする課題)
特許文献1,2に記載の車両用エンジンはインジェクタにより燃料を供給しており、燃料供給量を瞬時に変更できるので、燃焼室内の混合気の燃焼状態をリーンバーンから燃料リッチの燃焼に瞬時に変更することができる。一方、燃料と空気の混合にミキサを用いている場合は、燃料供給配管中に介装された燃料弁の開度を燃料弁モータで変更することによって燃料供給量が変更される。燃料弁モータの動作速度を非常に早くした場合、脱調やエンジン回転数のハンチング等の不具合を誘発するので、燃料弁モータをそれほど速く動作せることはできない。このため、リーンバーンからストイキ燃焼(あるいは燃料リッチの燃焼)への変更に時間がかかる。
【0008】
図13は、三元触媒を用いた場合における、空気過剰率λに対するNOxおよびCOの浄化率の変化を示すグラフである。
図13の横軸が空気過剰率λであり、縦軸が浄化率(%)である。また、
図13において曲線C1で表わされるグラフがNOxの浄化率の変化を示すグラフであり、曲線C2で表わされるグラフがCOの浄化率の変化を示すグラフである。また、グラフ中に斜線で示す領域が、三元触媒によるNOxおよびCOの浄化率がともに高い領域、すなわち三元触媒を使用することによる効果が顕著に表れる領域を表す。
図13に示すように、空気過剰率λが1.5程度である場合、すなわち燃焼状態がリーンバーンであるときには、
図13の点P1で表わされるようにNOxの浄化率が低い。しかしながらこの場合は燃焼室から排出されるNOxの量が少ない(例えば500ppm)。一方、空気過剰率λが1.0付近である場合、すなわち燃焼状態がストイキ燃焼であるときには、
図7の点P2で表わされるようにNOxの浄化率が非常に高い。したがって、いずれの場合においても、外部に排出されるNOxの量は少ない。
【0009】
燃料の供給量が燃料弁モータの駆動により変更されるタイプのエンジンを使用した場合、上述したように、燃焼状態がリーンバーンからストイキ燃焼に変更されるまでの時間が長いので、空気過剰率λがリーンバーン時における空気過剰率よりも低くストイキ燃焼時における空気過剰率よりも高い状態での燃焼(以下、中間燃焼と呼ぶ)が行われる時間も長い。中間燃焼時におけるNOxの浄化率は、例えば
図13の点P3の位置に表わされる。点P3の位置ではNOx浄化率はかなり低い。また、中間燃焼時には燃焼室に供給される燃料が比較的多いため、燃焼室から排出されるNOxの量もリーン運転時に比べてかなり多い(例えば2500ppm)。つまり、中間燃焼時には、燃焼室からのNOxの排出量が多い上に三元触媒によるNOxの浄化率が低いので、外部に排出されるNOxの量は非常に多い。
【0010】
上述の特許文献1,2によれば、インジェクタにより燃料供給量を制御しているために、燃焼状態をリーンバーンからストイキ燃焼に変更するときに、燃焼状態が中間燃焼である期間が非常に短い。しかしながら、燃料供給量を燃料弁モータなどで制御する場合には、上述のように燃焼状態が中間燃焼である期間が長いため、この間にNOxが多量に排出されてしまう。
【0011】
本発明は、燃焼状態をリーンバーンからストイキ燃焼に変更する際におけるNOxの外部への排出量を低減させたエンジン駆動式空調装置を提供することを目的とする。
【0012】
(課題を解決するための手段)
本発明は、冷媒を吸入するとともに吸入した冷媒を圧縮して吐出する圧縮機と、燃焼室が内部に形成され、燃料が供給されるとともに供給された燃料と空気との混合気を燃焼室内で燃焼させることにより圧縮機を作動させることができるように構成されるエンジンと、エンジンに供給される燃料の供給量を制御することにより燃焼室内での混合気の燃焼状態を制御する制御装置と、を備え、制御装置は、燃焼室内での混合気の燃焼状態をリーンバーンからストイキ燃焼に変更するか否かを決定する燃焼状態変更決定部と、燃焼状態変更決定部が燃焼状態をリーンバーンからストイキ燃焼に変更すると決定した場合に、エンジンの出力が低下するようにエンジンの出力を制御する出力制御部と、出力制御部によりエンジンの出力が低下された後に燃焼状態がリーンバーンからストイキ燃焼に変更されるようにエンジンに供給される燃料の供給量を制御する燃料供給量制御部と、を有する、エンジン駆動式空調装置を提供する。
【0013】
また、エンジンは、燃焼室に燃料を供給する燃料供給配管と、燃焼室で生じる排気ガスを排気する排気配管と、燃料供給配管の途中に介装された開度が可変の燃料弁と、燃料弁に接続され燃料弁の開度を変更することができるように構成される燃料弁モータと、排気配管の途中に設けられた三元触媒と、を備え
る。そして、燃料供給量制御部は、燃料弁モータを駆動させて燃料弁の開度を制御することにより、エンジンに供給される燃料の供給量を制御す
る。
【0014】
本発明によれば、エンジンの燃焼室内の燃焼状態をリーンバーンからストイキ燃焼に変更するにあたり、事前にエンジン出力が低下される。したがって、エンジン出力が低下された状態で、燃焼状態がリーンバーンからストイキ燃焼に変更される。このため、燃焼状態がリーンバーンからストイキ燃焼に移行するまでの間の中間燃焼時にはエンジン出力が低い。ここで、エンジン出力と、燃焼室から排出されるNOx量との間には、エンジン出力が低いほどNOx排出量が少ないという相関関係が存在する。したがって、エンジン出力を低下させることによって中間燃焼時に燃焼室から排出されるNOx量を低減することができ、それ故、中間燃焼時に外部に排出されるNOx量も低減される。よって、燃料弁モータの駆動により燃料弁の開度を調整して燃料供給量を制御するエンジンを用いた場合においても、燃焼状態をリーンバーンからストイキ燃焼に変更する際におけるNOxの外部への排出量を低減させることができる。
【0015】
前記出力制御部は、前記燃焼状態変更決定部が前記燃焼状態をリーンバーンからストイキ燃焼に変更すると決定した場合に、前記圧縮機の動力を低下させることにより、前記エンジンの出力を低下させるものであるとよい。圧縮機の動力を低下させることによって、圧縮機を作動させるエンジンの出力も低下する。このため燃焼状態をリーンバーンからストイキ燃焼に変更する際におけるNOxの外部への排出量を低減させることができる。
【0016】
また、本発明のエンジン駆動式空調装置は、圧縮機から吐出された冷媒を流入するとともに流入した冷媒を凝縮する凝縮器と、凝縮器に送風する凝縮器ファンと、凝縮器ファンの送風量を変更することができるように構成された送風量変更装置と、圧縮機が吐出する冷媒の吐出流量を変更することができるように構成された吐出流量変更手段と、を備えるのがよい。そして、出力制御部は、燃焼状態変更決定部が燃焼状態をリーンバーンからストイキ燃焼に変更すると決定した場合に、凝縮器ファンの送風量が増加するように送風量変更装置を制御するとともに、吐出流量が減少するように吐出流量変更手段を制御することにより、エンジンの出力を低下させるとよい。
【0017】
これによれば、凝縮器ファンの送風量を増加させることにより凝縮器内での冷媒の凝縮が促進される。冷媒の凝縮が促進した場合、冷媒が気体から液体に相変化する量が増加するため冷媒の体積が減少する。冷媒の体積が減少することによって冷媒圧力が低下し、その結果、圧縮機動力が低減される。また、圧縮機から吐出される冷媒の流量(吐出流量)を減少させることにより圧縮機に作用する負荷が減少して圧縮機動力が低減される。こうして圧縮機動力が低減されるために、エンジン出力も低減される。
【0018】
この場合、出力制御部は、燃焼状態変更決定部が燃焼状態をリーンバーンからストイキ燃焼に変更すると決定した場合に、凝縮器ファンの送風量が増加するように送風量変更装置を制御した後に、吐出流量が増加するように吐出流量変更手段を制御するのがよい。凝縮器ファンの送風量の増加によって圧縮機動力が低減されるまでに多少の時間がかかる。一方、圧縮機の吐出流量を減少すれば、直ちに圧縮機動力が低減される。したがって、先に凝縮器ファンの送風量を増加させることにより、燃焼状態が変更されるときには十分に圧縮機動力を低下させることができる。
【0019】
また、制御装置は、燃焼状態変更決定部が燃焼状態をリーンバーンからストイキ燃焼に変更すると決定した場合に、燃焼室内の混合気への点火タイミングが通常の点火タイミング領域よりも遅れるように点火タイミングを遅角側に変更する点火タイミング制御部を有するのがよい。そして、燃料供給量制御部は、燃焼状態変更決定部が燃焼状態をリーンバーンからストイキ燃焼に変更すると決定し、点火タイミング制御部が点火タイミングを遅角側に変更した後に、燃焼状態がリーンバーンからストイキ燃焼に変更されるようにエンジンに供給される燃料の供給量を制御するのがよい。エンジンの燃焼室内の混合気への点火タイミングを通常よりも遅角側に変更した場合、NOxの排出量が減少することが知られている。このため本発明によれば、燃焼状態をリーンバーンからストイキ燃焼に変更する際に、より一層NOxの排出量を低減することができる。
【0020】
上記発明において、「通常の点火タイミング」とは、エンジン駆動式空調機の効率(COPあるいはAPF)が向上するように燃焼室内の混合気への点火が制御されている場合における点火タイミングである。例えば、ストイキ運転時における点火タイミングは13°〜30°であり、リーン運転時における点火タイミングは22°〜30°である。したがって、本発明においては点火タイミングが13°未満、例えば約8°前後であるとよい。
【0021】
また、制御装置は、燃焼状態変更決定部が燃焼状態をリーンバーンからストイキ燃焼に変更すると決定した場合に、エンジンの回転数を予め定められた設定回転数に変更する回転数設定部を有するのがよい。そして、点火タイミング制御部は、燃焼状態変更決定部が燃焼状態をリーンバーンからストイキ燃焼に変更すると決定した場合に、回転数設定部がエンジンの回転数を設定回転数に変更した後に、点火タイミングを通常の点火タイミング領域よりも遅れるように点火タイミングを遅角側に変更するのがよい。この場合において、前記設定回転数は、点火タイミング制御部により点火タイミングが通常の点火タイミング領域よりも遅い点火タイミングに変更されたときにエンジンストールすることなく、且つ、燃焼状態がリーンバーンからストイキ燃焼に変更されたときにエンジン回転数が高くなり過ぎて異常振動が発生しないように、予め定められた回転数であるのがよい。
【0022】
これによれば、燃焼状態をリーンバーンからストイキ燃焼に変更するにあたり、エンジンの回転数が設定回転数に制御される。このためその後に点火タイミングを遅らせるように点火タイミングが制御された場合におけるエンジンストールを防止でき、また、その後に燃焼状態がリーンバーンからストイキ燃焼に変更されて燃料比率が高まることに起因してエンジンが吹き上がってエンジン回転数が高くなり、それにより異常振動が発生することを防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係るエンジン駆動式空調装置1の構成を示す概略図である。
図1に示すように、このエンジン駆動式空調装置1は、エンジン10と、圧縮機12と、室内に設置される室内熱交換器13と、室外に設置される室外熱交換器14と、冷媒を膨張させる膨張弁15と、オイルセパレータ16と、四方切換弁17と、冷媒を気液分離させるアキュムレータ18と、室内ファン131,131と、室内ファンモータ132,132と、室外ファン141,141と、室外ファンモータ142,142と、制御装置20とを備える。
【0025】
圧縮機12はエンジン10の動力を受けて作動する。圧縮機12は吸入口12aと吐出口12bとを有し、作動したときに吸入口12aから冷媒を吸入するとともに吸入した冷媒を圧縮して吐出口12bから吐出する。
【0026】
圧縮機12の吐出口12bに冷媒吐出配管121の一方端が接続される。また、圧縮機12の吸入口12aに冷媒吸入配管122の一方端が接続される。冷媒吐出配管121の他方端はオイルセパレータ16の冷媒流入口16aに接続される。オイルセパレータ16は流入した冷媒から潤滑オイルを分離する。分離されたオイルはオイル排出口16bからオイルセパレータ16を流出してオイル排出配管161に流れる。このオイル排出配管161は冷媒吸入配管122に接続される。また、オイルセパレータ16でオイルが分離された冷媒は冷媒排出口16cから排出される。
【0027】
オイルセパレータ16の冷媒排出口16cには第1配管31の一方端が接続される。第1配管31の他方端は四方切換弁17に接続される。四方切換弁17は
図1に示すように4つのポート(第1ポート171、第2ポート172、第3ポート173、第4ポート174)を有する。四方切換弁17は、第1ポート171が第2ポート172に接続され且つ第3ポート173が第4ポート174に接続される暖房接続状態と、第1ポート171が第3ポート173に接続され且つ第2ポート172が第4ポート174に接続される冷房接続状態とに、その接続状態を切り換えることができるように構成される。上述の第1配管31は四方切換弁17の第1ポート171に接続される。第2ポート172には第2配管32の一方端が接続される。第3ポート173には第3配管33の一方端が接続され、第4ポート174には第4配管34の一方端が接続される。
【0028】
第2配管32の他方端に室内熱交換器13が接続される。また、第3配管33の他方端に室外熱交換器14が接続される。室内熱交換器13と室外熱交換器14とは中間配管35で接続される。室内熱交換器13は、第2配管32または中間配管35から内部に冷媒を流入するとともに、流入した冷媒と周囲空気とを熱交換させる。室外熱交換器14は、中間配管35または第3配管33から内部に冷媒を流入するとともに、流入した冷媒と外気とを熱交換させる。
図1からわかるように、中間配管35の途中に膨張弁15が介装される。膨張弁15はそこを通る冷媒を膨張させる。
【0029】
第4配管34の他方端はアキュムレータ18の冷媒流入口181に接続される。アキュムレータ18は冷媒流入口181から流入した冷媒を気液分離し、分離したガス冷媒を冷媒排出口182から排出する。冷媒排出口182には冷媒吸入配管122の他方端が接続される。
【0030】
室内ファン131,131は、室内熱交換器13に送風することができるように室内熱交換器13に近接して配置される。室外ファン141,141は、室外熱交換器14に送風することができるように室外熱交換器14に近接して配置される。各熱交換器に各ファンから送風されることによって、各熱交換器内での冷媒の熱交換が促進される。室内ファン131,131に室内ファンモータ132,132が接続される。室内ファンモータ132,132が駆動することにより室内ファン131,131が回転する。室内ファンモータ132,132は、室内ファン131,131の回転速度(送風量)を変更することができるように構成される。また、室外ファン141,141に室外ファンモータ142,142が接続される。室外ファンモータ142,142は、室外ファン141,141の回転速度(送風量)を変更することができるように構成される。
【0031】
冷媒吐出配管121に吐出温度センサ41および高圧センサ42が取り付けられる。吐出温度センサ41は圧縮機12から吐出されて冷媒吐出配管121を流れる冷媒の温度(冷媒吐出温度Td)を検出する。高圧センサ42は冷媒吐出配管121を流れる冷媒の圧力(吐出圧力Pd)を検出する。また、冷媒吸入配管122に吸入温度センサ43および低圧センサ44が取り付けられる。吸入温度センサ43は、冷媒吸入配管122を流れて圧縮機12に吸入される冷媒の温度(冷媒吸入温度Ts)を検出する。低圧センサ44は、冷媒吸入配管122を流れて圧縮機12に吸入される冷媒の圧力(吸入圧力)Psを検出する。また、第2配管32の途中であって室内熱交換器13寄りの部分に第1熱交換温度センサ45が取り付けられ、中間配管35の途中であって室内熱交換器13に接続されている部分と膨張弁15が介装されている部分の間に第2熱交換温度センサ46が取付けられる。第1熱交換温度センサ45は、暖房時に室内熱交換器13に流入し冷房時に室内熱交換器13から流出する冷媒(ガス冷媒)の温度(温度Th1)を検出する。第2熱交換温度センサ46は、暖房時に室内熱交換器13から流出し冷房時に室内熱交換器13に流入する冷媒(液冷媒)の温度(温度Th2)を検出する。なお、その他の部分に温度センサや圧力センサが取り付けられてもよい。
【0032】
また、圧縮機12には、バイパス配管123の一方端が接続される。このバイパス配管123の他方端は冷媒吸入配管122に接続される。バイパス配管123の途中に開度が可変の流量制御弁124が介装される。したがって、流量制御弁124の開度を変更することによって、バイパス配管123内を流れる冷媒の流量を調整することができる。
【0033】
ここで、本実施形態においては、圧縮機12としてスクロール圧縮機を用いている。スクロール圧縮機は、周知のように、内部に固定スクロールと旋回スクロールとを備え、旋回スクロールが固定スクロールに対して自転せずに偏芯回転する。このとき固定スクロールと旋回スクロールとの間に形成される圧縮室の容積が徐々に狭められるとともに回転中心寄りに移動していく。そして、固定スクロールの中央付近の底板に設けられた吐出孔を通じて吐出口から圧縮冷媒が吐出される。
【0034】
また、バイパス配管123は、スクロール圧縮機内の圧縮室のうち、前半の圧縮過程を実施している圧縮室に連通するように、圧縮機12に接続される。バイパス配管123は冷媒吸入配管122に連通しているので、流量制御弁124が開いている場合、バイパス配管123が連通している圧縮室は圧縮されないことになる。圧縮室とバイパス配管123との連通が遮断されて初めて圧縮が開始される。このため、流量制御弁124を開いた場合には、実質的には、圧縮されようとした冷媒の一部が吸入口12aに戻される。
【0035】
すなわち、流量制御弁124の開閉によって、圧縮機12で圧縮される冷媒の容積が変更される。また、流量制御弁124の開度を大きくすればするほど、バイパス配管123を通って吸入口12aに戻される冷媒の流量が多くなるので、吐出口12bから吐出される冷媒の流量が減少する。その反対に、流量制御弁124の開度を小さくすればするほど、バイパス配管123を通って吸入口12aに戻される冷媒の流量が少なくなるので、吐出口12bから吐出される冷媒の流量が増加する。すなわち、バイパス配管123および流量制御弁124は、圧縮機12が吐出する冷媒の吐出流量を変更することができるように構成される。
【0036】
制御装置20は、CPU、ROM、RAMなどを有するマイクロコンピュータにより構成されており、エンジン駆動式空調装置1の運転に関する制御(例えばエンジン10の回転数制御など)を行う。また、制御装置20は、上記した各センサや、室内温度を検出する室内温度センサ47に電気的に接続されており、これらのセンサが検出した情報を入力する。また、制御装置20は、流量制御弁124に電気的に接続されており、流量制御弁124に開度に関する制御信号を出力することによって流量制御弁124の開度を制御する。さらに、制御装置20は、室内ファンモータ132,132および室外ファンモータ142,142に電気的に接続されており、これらのモータに風量に関する制御信号を出力することによってこれらのモータへの通電量を制御する。
【0037】
次に、エンジン駆動式空調装置1の空調運転(暖房運転、冷房運転)について簡単に説明する。まず、暖房運転について説明する。なお、暖房時には四方切換弁17が暖房接続状態にされる。暖房時にエンジン10が駆動して圧縮機12が作動すると、圧縮機12はその吸入口12aから潤滑オイルが混入した低圧ガス冷媒を吸入し、内部でガス冷媒を圧縮する。このとき潤滑オイルが圧縮機12を潤滑する。そして、圧縮された高圧ガス冷媒が潤滑オイルとともに吐出口12bから排出される。
【0038】
吐出口12bから排出された高圧ガス冷媒および潤滑オイルは冷媒吐出配管121を流れ、さらにオイルセパレータ16の冷媒流入口16aからオイルセパレータ16に流入する。オイルセパレータ16では潤滑オイルが高圧ガス冷媒から分離される。オイルセパレータ16で分離された潤滑オイルはオイルセパレータ16のオイル排出口16bからオイル排出配管161に流入し、さらに冷媒吸入配管122に流入する。そして、圧縮機12の吸入口12aから圧縮機12に再度吸入される。このようにして潤滑オイルは繰り返し圧縮機12を潤滑する。
【0039】
また、オイルセパレータ16で潤滑オイルが分離された高圧ガス冷媒は冷媒排出口16cからオイルセパレータ16を出て第1配管31を流れ、四方切換弁17の第1ポート171から四方切換弁17に入る。暖房時には四方切換弁17の第1ポート171が第2ポート172に接続されており、第2ポート172は第2配管32に接続されているので、第1ポート171から四方切換弁17に入った高圧ガス冷媒は第2ポート172から四方切換弁17を出るとともに第2配管32内を流れて、さらにその先の室内熱交換器13に流入する。室内熱交換器13に流入した高圧ガス冷媒は室内熱交換器13内を流通する間に室内空気に熱を吐き出して凝縮する。このとき高圧ガス冷媒から吐き出された熱によって室内空気が暖められて、室内暖房される。
【0040】
室内空気に熱を吐き出して凝縮した冷媒は一部液化して室内熱交換器13から流出して中間配管35を流れる。そして、膨張弁15で膨張することにより蒸発しやすいように低圧化された後に室外熱交換器14に流入する。室外熱交換器14に流入した冷媒は室外熱交換器14内を流通する間に外気の熱を奪って蒸発する。
【0041】
外気の熱を奪って蒸発した冷媒は一部気化して室外熱交換器14から流出し、第3配管33を流れる。そして、第3ポート173から四方切換弁17に入る。暖房時には四方切換弁17の第3ポート173は第4ポート174に接続されており、第4ポート174は第4配管34に接続されているので、第3ポート173から四方切換弁17に入った冷媒は第4ポート174から四方切換弁17を出て第4配管34に流れる。第4配管34を流れる冷媒はアキュムレータ18の冷媒流入口181からアキュムレータ18に導入される。アキュムレータ18では冷媒が液冷媒と低圧のガス冷媒とに分離される。そして、低圧ガス冷媒のみがアキュムレータ18の冷媒排出口182から排出されて冷媒吸入配管122に流れる。冷媒吸入配管122内の冷媒はオイル排出配管161から流れてくる潤滑オイルと合流し、潤滑オイルとともに圧縮機12の吸入口12aから圧縮機12に吸入される。
【0042】
次に、冷房運転について説明する。なお、冷房時には四方切換弁17が冷房接続状態にされる。冷房時にエンジン10が駆動して圧縮機12が作動すると、圧縮機12はその吸入口12aから潤滑オイルが混入した低圧ガス冷媒を吸入し、内部でガス冷媒を圧縮する。このとき潤滑オイルが圧縮機12を潤滑する。そして、圧縮された高圧ガス冷媒が潤滑オイルとともに吐出口12bから排出される。
【0043】
吐出口12bから排出された高圧ガス冷媒および潤滑オイルが冷媒吐出配管121を流れ、さらにオイルセパレータ16の冷媒流入口16aからオイルセパレータ16に流入する。オイルセパレータ16で分離された潤滑オイルがオイルセパレータのオイル排出口16bからオイル排出配管161に流入し、さらに冷媒吸入配管122に流入する。そして、圧縮機12の吸入口12aから圧縮機12に再度吸入される。
【0044】
また、オイルセパレータ16で潤滑オイルが分離された高圧ガス冷媒は冷媒排出口16cからオイルセパレータ16を出て第1配管31を流れ、四方切換弁17の第1ポート171から四方切換弁17に入る。冷房時には四方切換弁17の第1ポート171が第3ポート173に接続されており、第3ポート173は第3配管33に接続されているので、第1ポート171から四方切換弁17に入ったガス冷媒は第3ポート173から四方切換弁17を出るとともに第3配管33を流れ、さらにその先の室外熱交換器14に流入する。室外熱交換器14に流入した高圧ガス冷媒は室外熱交換器14内を流通する間に外気に熱を吐き出して凝縮する。
【0045】
外気に熱を吐き出して凝縮した冷媒は一部液化して室外熱交換器14から流出して中間配管35を流れる。そして、膨張弁15で膨張することにより蒸発しやすいように低圧化された後に室内熱交換器13に流入する。室内熱交換器13に流入した冷媒は室内熱交換器13内を流通する間に室内空気の熱を奪って蒸発する。このとき冷媒が室内空気の熱を奪うことによって室内空気が冷やされて、室内冷房される。
【0046】
室内空気の熱を奪って蒸発した冷媒は一部気化して室内熱交換器13から流出し、第2配管32を流れる。そして、第2ポート172から四方切換弁17に入る。冷房時には四方切換弁17の第2ポート172は第4ポート174に接続されており、第4ポート174は第4配管34に接続されているので、第3ポート173から四方切換弁17に入った冷媒は第4ポート174から四方切換弁17を出て第4配管34に流れる。第4配管34を流れる冷媒はアキュムレータ18の冷媒流入口181からアキュムレータ18に導入される。アキュムレータ18では冷媒が液冷媒と低圧のガス冷媒とに分離される。そして、低圧ガス冷媒のみがアキュムレータ18の冷媒排出口182から排出されて冷媒吸入配管122に流れる。冷媒吸入配管122内の冷媒はオイル排出配管161から流れてくる潤滑オイルと合流し、潤滑オイルとともに圧縮機12の吸入口12aから圧縮機12に吸入される。
【0047】
このように、暖房時には、室内熱交換器13が圧縮機12から吐出された冷媒を流入するととも流入した冷媒を凝縮し、冷房時には、室外熱交換器14が圧縮機12から吐出された冷媒を流入するとともに流入した冷媒を凝縮する。すなわち、暖房時には室内熱交換器13が凝縮器となり、冷房時には室外熱交換器14が凝縮器となる。なお、空調運転中に圧縮機12から吐出された冷媒が圧縮機12に吸入されるまでに流れる流路を冷媒回路と呼ぶ。
【0048】
図2は、エンジン10の概略構成を示す図である。
図2に示すように、このエンジン10は、内部に燃焼室101aを形成するエンジン本体101と、燃焼室101a内に燃料と空気との混合気を供給する吸気配管102と、燃焼室101aで生じる排気ガスを排気する排気配管103と、燃焼室101aに燃料を供給する燃料供給配管116と、燃焼室101aに空気を供給する空気配管109と、燃料弁104と、燃料弁モータ105と、スロットル弁106と、スロットル弁モータ107と、ミキサ108と、触媒装置111とを備える。燃焼室101aは、エンジン本体101と、エンジン本体101内に往復動可能に配設されたピストン101bとで囲まれた空間により形成される。なお、本明細書において、「エンジン」は、エンジン本体のみならず、その周辺の付帯部品も含む。
【0049】
燃料供給配管116には、図示しない燃料供給源から燃料(例えばLPG)が供給される。また、燃料供給配管116と空気配管109とは合流しており、合流部分にミキサ108が設けられる。ミキサ108にて、例えばベンチュリ効果により燃料が空気に混合される。ミキサ108で混合された混合気が吸気配管102を通ってエンジン本体101の燃焼室101aに導かれる。
【0050】
燃料供給配管116の途中に開度が可変の燃料弁104が介装される。燃料弁104に燃料弁モータ105が接続される。燃料弁モータ105は、燃料弁104の開度を変更することができるように構成される。燃料弁モータ105を駆動させて燃料弁104の開度を調整することで、燃焼室101aに導かれる混合気中に含まれる燃料の量が制御される。したがって、燃料弁104の開度を調整することで、空気過剰率λが調整される。
【0051】
また、吸気配管102の途中に開度が可変のスロットル弁106が介装される。スロットル弁106にスロットル弁モータ107が取付けられる。スロットル弁モータ107は、スロットル弁106の開度を変更することができるように構成される。スロットル弁モータ107を駆動させてスロットル弁106の開度を制御することで、燃焼室101aに供給される混合気の流量が制御される。混合気の流量を制御することで、エンジン10の回転数が制御される。
【0052】
また、空気配管109の途中にエアフィルタ110が介装される。エアフィルタ110により空気配管109に取り込まれた空気が清浄化される。
【0053】
排気配管103の途中に触媒装置111が介装される。触媒装置111内に三元触媒111aが設けられている。この三元触媒111aによって排気配管103内を流れる排気が浄化される。また、排気配管103の途中の部分であって触媒装置111の上流の部分に酸素センサ112が取付けられる。酸素センサ112は、触媒装置111に流入する排気中の酸素濃度を検出する。検出された酸素濃度は制御装置20に入力される。
【0054】
また、燃焼室101a内にその先端が露呈するように点火プラグ113がエンジン本体101に取付けられている。この点火プラグ113はイグニッションコイル114およびイグナイタ115を介して制御装置20に電気的に接続される。
【0055】
また、
図2に示すように、燃料弁モータ105およびスロットル弁モータ107は制御装置20に電気的に接続されており、制御装置20によってこれらのモータの動作、すなわち燃料弁104の開度およびスロットル弁106の開度が制御される。
【0056】
このような構成のエンジン10において、燃料供給配管116を流れる燃料と空気配管109を流れる空気がミキサ108で混合されて混合気が生成される。生成された混合気が吸気配管102から燃焼室101aに導かれる。燃焼室101a内で点火プラグ113が混合気に点火することにより混合気が燃焼する。混合気が燃焼する際に発生するエネルギーによりピストン101bが往復運動する。ピストン101bの往復運動は回転運動に変換される。この回転運動が圧縮機12に伝達されることによって圧縮機12が作動する。また、混合気の燃焼により生じた排気ガスが排気配管103を通り、触媒装置111内の三元触媒111aで浄化された後に外部に放出される。
【0057】
図3は、制御装置20の機能構成の一部を示すブロック図である。なお、
図3には、本実施形態の説明に必要な機能のみが表示される。制御装置20は
図3に示す機能以外の機能を持つように構成されていてもよい。
【0058】
図3に示すように、制御装置20は、燃焼状態決定部21と、燃焼状態変更決定部22と、出力制御部23と、回転数設定部24と、点火タイミング制御部25と、燃料供給量制御部26と、ストイキ復帰制御部27を有する。燃焼状態決定部21は、各センサが検出する情報、各検出情報に基づいて計算される運転容量、その他、各種の条件に基づいて、エンジン10の燃焼室101aでの混合気の燃焼状態をリーンバーンかストイキ燃焼かに決定する。一般に、運転容量が小さいとき、すなわち空調負荷が小さいときには燃焼状態がリーンバーンとされ、運転容量が大きいとき、すなわち空調負荷が大きいときには燃焼状態がストイキ燃焼とされる。燃焼状態決定部21は、決定した燃焼状態を表す信号Sを燃焼状態変更決定部22に出力する
【0059】
燃焼状態変更決定部22は、エンジン駆動式空調装置1が空調運転を実施しているときに、燃焼状態変更決定処理を所定の微小間隔ごとに実行することにより、燃焼室101a内での混合気の燃焼状態をリーンバーンからストイキ燃焼に変更するか否かを決定する。
図4は、燃焼状態変更決定部22が実行する燃焼状態変更決定処理ルーチンを表すフローチャートである。
図4に示すルーチンが起動すると、燃焼状態変更決定部22は、まず
図4のステップ(以下、ステップをSと略記する)11にて、燃焼状態決定部21から燃焼状態を表す信号Sを入力する。次いで、入力した信号Sにより表わされる燃焼状態がストイキ燃焼であるか否かを判断する(S12)。ストイキ燃焼ではない場合、すなわちリーンバーンである場合(S12:No)、燃焼状態変更決定部22はこのルーチンを終了する。
【0060】
一方、入力した信号Sにより表わされる燃焼状態がストイキ燃焼である場合(S12:Yes)、燃焼状態変更決定部22はS13に処理を進め、前回入力した信号S_oldを取得する。次いで、前回入力した信号S_oldにより表わされる燃焼状態がリーンバーンであるか否かを判断する(S14)。前回入力した信号S_oldにより表わされる燃焼状態がストイキ燃焼である場合(S14:No)、燃焼状態変更決定部22はストイキ燃焼が継続していると判断する。この場合、燃焼状態変更決定部22は、入力した信号SをS_oldに設定し(S17)、その後、このルーチンを終了する。
【0061】
また、前回入力した信号S_oldにより表わされる燃焼状態がリーンバーンである場合(S14:Yes)は、燃焼状態変更決定部22は、燃焼状態決定部21が決定した燃焼状態がリーンバーンからストイキ燃焼に変化したと判断する。この場合、燃焼状態変更決定部22は、S15に処理を進め、変更フラグFが0に設定されているか否かを判断する。変更フラグFは、エンジン10の燃焼状態をリーンバーンからストイキ燃焼に変更する処理を実行している最中か否かを表すフラグであり、1に設定されている場合は燃焼状態を変更する処理を実行している最中であることを表し、0に設定されている場合は燃焼状態を変更する処理を実行していないことを表す。S15にて変更フラグFが1に設定されていると判断した場合(S15:No)、燃焼状態変更決定部22はこのルーチンを終了する。一方、変更フラグFが0に設定されている場合、すなわち未だ燃焼状態を変更する処理が実行されていない場合(S15:Yes)、燃焼状態変更決定部22は、燃焼状態をリーンバーンからストイキ燃焼に変更することを決定する。そして、燃焼状態をリーンバーンからストイキ燃焼に変更することを表す信号S1を出力制御部23に出力する(S16)。その後、燃焼状態変更決定部22は、この処理を終了する。
【0062】
出力制御部23は、燃焼状態をリーンバーンからストイキ燃焼に変更することを表す信号S1を入力したときに、出力制御処理を実行することにより、エンジン10の出力が低下するようにエンジン10の出力を制御する。
図5は、出力制御部23が実行する出力制御処理ルーチンを表すフローチャートである。
図5に示す出力制御ルーチンが起動すると、出力制御部23は、
図5のS21にて、変更フラグFを1に設定する。次いで、S22にて、タイマーTによるカウントを開始する。続いて、現在の空調運転が暖房運転であるか冷房運転であるかを判断する(S23)。暖房運転である場合、出力制御部23はS24に処理を進め、室内ファン131,131の送風量を増加させるべく、室内ファン131,131の風量が最大となるように室内ファンモータ132,132に制御信号を出力する。一方、冷房運転である場合、出力制御部23はS25に処理を進め、室外ファン141,141の送風量を増加させるべく、室外ファン141,141の風量が最大となるように室外ファンモータ142,142に制御信号を出力する。ここで、暖房時には室内ファン131,131が凝縮器として機能し、冷房時には室外ファン141,141が凝縮器として機能する。つまり、S24,S25の処理によって凝縮器に送風するファンの送風量が増加される。
【0063】
S24、S25の処理の実行により、凝縮器に送風するファンの送風量が増加されると、凝縮器での熱交換が促進される。凝縮器での熱交換が促進された場合、凝縮器内で冷媒の液化が促進される。冷媒が気体から液体に相変化すると、体積が大きく減少するため、圧力も大きく低下する。すなわち凝縮器での熱交換が促進された場合、冷媒回路内の冷媒圧力が全体的に低下する。この圧力の低下は、例えば冷媒吐出圧力Pdの低下として検出され得る。
【0064】
次いで、出力制御部23は、S24またはS25の処理を開始してから10秒経過したか否かを判断し(S26)、10秒経過した場合(S26:Yes)に、流量制御弁124の開度を増加させるべく、流量制御弁124の開度が全開になるように制御信号を流量制御弁124に出力する(S27)。これにより流量制御弁124の開度が全開にされる。
【0065】
流量制御弁124の開度が増加すると、バイパス配管123を通って圧縮機12から圧縮機12の吸入口12aに戻される冷媒の流量が増加する。逆に言えば、圧縮機12から吐出される冷媒の流量が減少する。すなわち、S27の処理は、圧縮機12から吐出される冷媒の吐出流量が減少するように流量制御弁124を制御する処理である。圧縮機12から吐出される冷媒の流量が減少すると、冷媒回路内を流れる冷媒の流量が減少する。このため冷媒回路内の冷媒圧力が全体的に低下する。この圧力の低下は、例えば冷媒吐出圧力Pdの低下として検出され得る。
【0066】
すなわち、S24,S25の処理の実行およびS27の処理の実行により、冷媒回路内の冷媒圧力が低下する。冷媒圧力が低下した場合、圧縮機12の圧縮仕事が減少するため圧縮機動力が減少する。エンジン10は圧縮機動力に見合った出力を圧縮機12に伝達しているので、圧縮機動力が減少するとエンジン10の出力も低減される。すなわち、S24、S25およびS27の処理は、冷媒回路内の圧力を低下させることによりエンジン10の出力を低下させる処理である。
【0067】
続いて、出力制御部23は、S27の処理を開始してから10秒経過したか否かを判断する(S28)。10秒経過した場合(S28:Yes)、出力制御部23はタイマTによるカウントを終了する(S29)。次いで、出力制御が完了したことを表す出力制御完了信号S2を回転数設定部24に出力する(S30)。その後、出力制御部23はこのルーチンを終了する。
【0068】
回転数設定部24は、出力制御部23から出力制御完了信号S2を入力した場合に、回転数設定処理を実行することにより、エンジン10のエンジン回転数Rを予め定められた設定回転数R1に変更する。
図6は、回転数設定部24が実行する回転数設定処理ルーチンを表すフローチャートである。
図6に示す回転数設定処理ルーチンが起動すると、回転数設定部24は、
図6のS31にてタイマTによるカウントを開始する。次いで、回転数設定部24は、エンジン10のエンジン回転数Rが予め定められている設定回転数R1に一致するように、スロットル弁モータ107に制御信号を出力する(S32)。スロットル弁モータ107は制御信号を受けて作動してスロットル弁106の開度を調節する。これによりエンジン回転数Rが設定回転数R1にされる。ここで、設定回転数R1とは、後述するエンジン点火タイミング遅角処理によりエンジンストールすることなく、且つ燃焼状態がリーンバーンからストイキ燃焼に変更されたときに吹きあがりによってエンジン回転数が上限回転数以上に上昇することがない回転数であり、予め実験等により定められる。例えば後述するエンジン点火タイミング遅角処理によりエンジン回転数が500rpm以下でエンジンストールするおそれが高まり、エンジン回転数の上限回転数が3000rpmである場合、設定回転数R1を1200rpmに設定することができる。
【0069】
次に、回転数設定部24は、S32の処理を開始してから10秒経過したか否かを判断する(S33)。10秒経過した場合(S33:Yes)、回転数設定部24は、回転数Rが設定回転数R1に設定されたと判断してタイマTによるカウントを終了する(S34)。次いで、エンジン回転数Rが設定回転数R1に設定されたことを表す回転数設定完了信号S3を点火タイミング制御部25に出力する。その後、回転数設定部24はこのルーチンを終了する。
【0070】
点火タイミング制御部25は、回転数設定部24から回転数設定完了信号S3を入力した場合に点火タイミング制御処理を実行することにより、燃焼室内の混合気への点火タイミングが通常の点火タイミング領域よりも遅れるように点火タイミングを遅角側に変更する。
図7は、点火タイミング制御部25が実行する点火タイミング制御処理ルーチンを表すフローチャートである。
図7に示す点火タイミング制御処理ルーチンが起動すると、点火タイミング制御部25は、
図7のS41にて、エンジン点火タイミング遅角処理を実行する。この処理は、点火プラグ113による燃焼室101a内の混合気への点火タイミング(エンジン点火時期)を遅らせる処理である。本実施形態では、点火タイミング制御部25は、このS41にて、点火タイミングが8°になるようにイグナイタ115に制御信号を出力する。なお、本明細書においては、点火タイミングは、エンジン本体101内で往復運動するピストン101bの位置に対応する角度を基準に定められる。具体的には、ピストン101bが下死点に位置するときを角度180°、上死点に位置するときを角度0°と定義し、下死点から上死点に移動するにつれて角度が180°から0°に減少するものとする。したがって、エンジン点火時期が8°の場合は、ピストンが下死点から上死点に到達する直前の位置である。
【0071】
ちなみに、リーン運転時、ストイキ運転時のいずれも、点火タイミングは8°よりも進んでいる(早い)。リーン運転時における点火タイミングの範囲は例えば18°〜30°であり、ストイキ運転時における点火タイミングの範囲は例えば13°〜25°である。したがって、S41の処理は、点火タイミングをできるだけ遅くする制御である。また、点火タイミングを遅くし過ぎると、エンジン回転数にかかわらずエンジンストールが発生する。したがって、S41ではこのようなエンジンストールが発生することがない範囲において、点火タイミングができるだけ遅くされる。
【0072】
また、S41では、点火タイミングの変化速度が1°/10秒となるようにイグナイタ115が制御される。つまり、10秒かけて点火タイミングが1°だけ遅角側に変化する。このようにして点火タイミングが徐々に変化される。
【0073】
次いで、点火タイミング制御部25は、S41の処理が完了したか否かを判断する(S42)。S41の処理が完了した場合(S42:Yes)に、点火タイミング制御部25は、点火タイミングの制御が完了したことを表す点火タイミング制御完了信号S4を燃料供給量制御部26に出力する(S34)。その後、点火タイミング制御部25はこのルーチンを終了する。
【0074】
燃料供給量制御部26は、点火タイミング制御部25から点火タイミング制御完了信号S4を入力したときに、燃料供給量制御処理を実行することにより、燃焼状態がリーンバーンからストイキ燃焼に変更されるようにエンジンに供給される燃料の供給量を制御する。
図8は、燃料供給量制御部26が実行する燃料供給量制御処理ルーチンを表すフローチャートである。
図8に示す燃料供給量制御処理ルーチンが起動すると、燃料供給量制御部26は、
図8のS51にて、タイマTによるカウントを開始する。次いで、燃料弁104の開度がリーン運転時に用いられる開度からストイキ運転時に用いられる開度に変更されるように、ストイキ時の開度のベースマップを参照して制御信号を燃料弁モータ105に出力する(S52)。ここで、リーン運転時における燃料弁104の開度はストイキ運転時における燃料弁104の開度よりも小さい。したがって、S41では、燃料弁104の開度が増加されるように燃料弁モータ105が制御される。
【0075】
次いで、燃料供給量制御部26は、S52の処理を開始してから5秒経過したか否かを判断し(S53)、5秒経過した場合(S53:Yes)、燃料供給量制御部26は、空気過剰率λがストイキ運転時の空気過剰率にまで低下したと判断する。その後、燃料供給量制御部26は、ストイキ運転時に用いられる燃料弁104の開度のベースマップを参照し、要求されている空調負荷や各センサの検出値に基づいて燃料弁104の開度をフィードバック制御する(S54)。
【0076】
S54の処理の実行後、燃料供給量制御部26はS55に処理を進めてタイマTによるカウントを終了し、続いて開度変更完了信号S5をストイキ復帰制御部27に出力する。その後、燃料供給量制御部26は、このルーチンを終了する。
【0077】
ストイキ復帰制御部27は、燃料供給量制御部26から開度変更完了信号S5を入力した場合に、ストイキ復帰制御処理を実行する。
図9は、ストイキ復帰制御部27が実行するストイキ復帰制御処理ルーチンを表すフローチャートである。
図9に示すストイキ復帰制御処理ルーチンが起動すると、ストイキ復帰制御部27は、要求されている空調負荷に応じたエンジン回転数の制御を開始し(S61)、要求されている空調負荷に応じた凝縮器のファンの風量の制御を開始し(S62)、要求されている空調負荷に応じた流量制御弁124の開度制御を開始する(S63)。つまり、所定の大きさに固定されているエンジン回転、凝縮器のファンの風量、流量制御弁124の開度の制御を開始する。
【0078】
次いで、ストイキ復帰制御部27は、点火タイミングを8°からストイキ運転時における点火タイミングに変更する(S64)。上述したように、ストイキ運転時における点火タイミングは18°〜30°である。したがって、S64の処理では、点火タイミングが進角側に変更される。なお、このとき、10秒ごとに1°変化するように点火タイミングが変更される。
【0079】
続いて、ストイキ復帰制御部27は、点火タイミングの変更が完了したか否かを判断する(S65)。点火タイミングの変更が完了した場合(S65:Yes)、ストイキ復帰制御部27は変更フラグFを0に設定する(S66)。その後、ストイキ復帰制御部27はこのルーチンを終了する。
【0080】
以上のように、本実施形態においては、エンジン10の燃焼室101a内での混合気の燃焼状態がリーンバーンからストイキ燃焼に変更される際に、事前に出力制御部23が出力制御処理を実行する。この処理では、
図5のS24またはS25にて凝縮器のファンの風量が最大にされ、S27で流量制御弁124の開度が全開にされることによって、冷媒回路内の冷媒圧力が低下される。これにより冷媒吐出圧力Pdも低下して、圧縮機12の圧縮機動力が低下する。圧縮機動力の低下に伴ってエンジン10のエンジン出力が低減される。
【0081】
図10は、エンジン10のエンジン出力と排出されるNOxの濃度との関係を示すグラフである。
図10に示すように、エンジン出力が低下すればするほど、排出されるNOxの濃度が低下することがわかる。したがって、S24,25およびS27の処理の実行によってエンジン10のエンジン出力が低下されたことによって、排出されるNOxの濃度が低下する。
【0082】
そして、本実施形態では、NOxの濃度が低下した状態で、燃料供給量制御部26が燃料供給量制御処理を実行する。この処理(特に
図8のS52の処理)の実行により燃料弁104の開度がストイキ運転時に用いられる開度に変更(増加)される。この場合において、リーンバーンからストイキ燃焼に切り換わるまでに、上述したように燃焼状態が中間燃焼である状態を通過する。また、本実施形態のようにミキサ108を用いて燃料と空気とを混合し、燃料弁104の開度を燃料弁モータ105で調整することにより燃料供給量を制御している場合には、燃焼状態が中間燃焼状態である時間が長い。従来では中間燃焼時に燃焼室から排出されるNOxの量(濃度)は多いが、本実施形態によれば、エンジン出力を低下させることで、中間燃焼時であっても燃焼室から排出されるNOxの量(濃度)を少なくすることができる。このため三元触媒111aによるNOxの浄化率が低い場合でも、排出されるNOxの絶対量が少ないことから、外部に排出されるNOxの量が従来に比較して低減される。
【0083】
また、S52にて燃料供給量制御部26が燃料弁104の開度を変更(増加)した場合、燃焼状態がリーンバーンからストイキ燃焼に変化するためエンジン回転数が上昇する。したがって、燃料弁104の開度を変更する直前のエンジン回転数Rが高い場合、例えばエンジン回転数Rが定格回転数付近である場合、燃料弁104の開度を変更(増加)することによってエンジン回転数Rが上限回転数を上回る場合も生じ得る。このような場合、エンジン10が異常振動する。この点に関し、本実施形態によれば、燃料供給量制御部26が燃料弁104の開度を変更(増加)するよりも前に、回転数設定部24が回転数設定処理を実行してエンジン回転数Rを設定回転数R1に固定する。したがって、その後に燃料弁104の開度を変更した場合であってもエンジン回転数Rが高くなり過ぎて上限回転数を上回り、異常振動が発生するといった状況を回避することができる。
【0084】
また、S52にて燃料供給量制御部26が燃料弁104の開度を変更(増加)するよりも前に、点火タイミング制御部25が点火タイミング制御処理を実行して、点火タイミングをできるだけ遅らせている。点火タイミングを遅らせた場合、NOxの排出量が減少することが知られている。これにより燃料弁104の開度を変更した場合における外部へのNOxの排出量をより一層低減することができる。
【0085】
図11は、燃焼状態をリーンバーンからストイキ燃焼に変更する際に外部に排出されるNOx濃度の時間変化を示すグラフである。
図11(a)が、燃焼状態をリーンバーンからストイキ燃焼に変更する前に上述した出力制御処理、回転数制御処理、および点火タイミング制御処理を実行した場合(すなわち本実施形態)におけるNOx濃度の時間変化を表し、
図11(b)が、燃焼状態をリーンバーンからストイキ燃焼に変更する前に出力制御処理、回転数制御処理および点火タイミング制御処理を実行しない場合におけるNOx濃度の時間変化を表す。また、
図11において、時間0の時点で燃焼状態の変更が開始される。
図11(a)からわかるように、本実施形態によれば、燃焼状態を変更する際に外部に排出されるNOxの最大濃度は806ppm、平均濃度は276ppmである。一方、
図11(b)に示すように、出力制御処理を実行しない場合には、燃焼状態を変更する際に外部に排出されるNOxの最大濃度は2113ppm、平均濃度は800ppmである。この結果からわかるように、本実施形態によれば、燃焼状態をリーンバーンからストイキ燃焼に変更する際に外部に排出されるNOxの量が大きく低減される。
【0086】
以上のように、本実施形態のエンジン駆動式空調装置1は、冷媒を吸入するとともに吸入した冷媒を圧縮して吐出する圧縮機12と、燃焼室101aが内部に形成され、燃料が供給されるとともに供給された燃料と空気との混合気を燃焼室101a内で燃焼させることにより圧縮機12を作動させることができるように構成されるエンジン10と、エンジン10に供給される燃料の供給量を制御することにより燃焼室101a内での混合気の燃焼状態を制御する制御装置20と、を備える。制御装置20は、燃焼室101a内での混合気の燃焼状態をリーンバーンからストイキ燃焼に変更するか否かを決定する燃焼状態変更決定部22と、燃焼状態変更決定部22が燃焼状態をリーンバーンからストイキ燃焼に変更すると決定した場合に、エンジン10の出力が低下するようにエンジン10の出力を制御する出力制御部23と、出力制御部23によりエンジン10の出力が低下された後に燃焼状態がリーンバーンからストイキ燃焼に変更されるようにエンジン10に供給される燃料の供給量を制御する燃料供給量制御部26と、を有する。
【0087】
また、エンジン10は、燃焼室101aに燃料を供給する燃料供給配管116と、燃焼室101aで生じる排気ガスを排気する排気配管103と、燃料供給配管116の途中に介装された開度が可変の燃料弁104と、燃料弁104に接続され燃料弁104の開度を変更することができるように構成される燃料弁モータ105と、排気配管103の途中に設けられた三元触媒111aとを備える。また、燃料供給量制御部26は、燃料弁モータ105を駆動させて燃料弁104の開度を制御することにより、エンジン10に供給される燃料の供給量を制御する。
【0088】
本実施形態によれば、エンジン10の燃焼室101a内の混合気の燃焼状態をリーンバーンからストイキ燃焼に変更する前に、エンジン出力が低下される。したがって、エンジン出力が低下された状態で、燃焼状態がリーンバーンからストイキ燃焼に変更される。このためリーンバーンとストイキ燃焼との間の中間燃焼時にはエンジン出力が低い。このようにエンジン出力を低下させることによって中間燃焼時に燃焼室101aから排出されるNOx量を低減することができ、それ故、外部に排出されるNOx量も低減される。よって、ミキサ108により燃料と空気とを混合し、且つ燃料弁モータ105で燃料弁104の開度を制御することにより燃料の供給量が制御されるエンジンを用いた場合においても、燃焼状態をリーンバーンからストイキ燃焼に変更する際におけるNOxの外部への排出量を低減させることができる。
【0089】
また、出力制御部23は、燃焼状態変更決定部22が燃焼状態をリーンバーンからストイキ燃焼に変更すると決定した場合に、圧縮機12の動力を低下させることにより、エンジン出力を低下させている。圧縮機動力を低下させることによって、圧縮機12を作動させるエンジン10の出力も低下する。このため燃焼状態をリーンバーンからストイキ燃焼に変更する際におけるNOxの外部への排出量を低減させることができる。
【0090】
また、本実施形態のエンジン駆動式空調装置1は、圧縮機12から吐出された冷媒を流入するとともに流入した冷媒を凝縮する凝縮器(暖房時においては室内熱交換器13、冷房時においては室外熱交換器14)と、凝縮器に送風する凝縮器ファン(暖房時においては室内ファン131,131、冷房時においては室外ファン141,141)と、凝縮器ファンの送風量を変更することができるように構成された送風量変更装置(暖房時においては室内ファンモータ132,132、冷房時においては室外ファンモータ142,142)と、圧縮機12が吐出する冷媒の吐出流量を変更することができるように構成された吐出流量変更手段(バイパス配管123および流量制御弁124)と、を備える。そして、出力制御部23は、燃焼状態変更決定部22が燃焼状態をリーンバーンからストイキ燃焼に変更すると決定した場合に、出力制御処理を実行して、凝縮器ファンの送風量が増加するように送風量変更装置を制御する(S24、S25)とともに、吐出流量が減少するように吐出流量変更手段を制御する(S27)ことにより、エンジンの出力を低下させている。
【0091】
これによれば、凝縮器ファンの送風量を増加させることにより凝縮器内での冷媒の凝縮が促進され、且つ圧縮機12から吐出される冷媒の流量(吐出流量)を減少させて圧縮機に作用する負荷が減少されることにより、圧縮機動力が低減される。こうして圧縮機動力が低減されるため、エンジン出力も十分に低減される。
【0092】
また、出力制御部23は、
図5のS24またはS25にて凝縮器ファンの送風量が増加するように送風量変更装置を制御した後に、
図5のS27にて吐出流量が増加するように吐出流量変更手段(流量制御弁124の開度)を制御する。凝縮器ファンの送風量が増加してから冷媒回路内の冷媒圧力が低下するまでには多少の時間がかかる。したがって、先に凝縮器ファンの送風量を増加させ、その後に圧縮機12からの吐出流量を増加させることにより、燃焼状態が変更されるときには十分に圧縮機動力を低下させておくことができる。
【0093】
また、制御装置20は点火タイミング制御部25を備える。点火タイミング制御部25は、燃焼状態変更決定部22が燃焼状態をリーンバーンからストイキ燃焼に変更すると決定した場合に、点火タイミング制御処理を実行して、点火タイミングが通常の点火タイミング領域よりも遅れるように点火タイミングを遅角側に変更する。そして、その後に燃料供給量制御部26が燃料供給量制御処理を実行して、燃焼状態がリーンバーンからストイキ燃焼に変更される。このように点火タイミングを通常よりも遅角側に変更することで、より一層NOxの排出量を低減することができる。
【0094】
また、制御装置20は回転数設定部24を備える。回転数設定部24は、燃焼状態変更決定部22が燃焼状態をリーンバーンからストイキ燃焼に変更すると決定した場合に、回転数制御処理を実行して、エンジン10の回転数Rを予め定められた設定回転数R1に変更する。そして、その後に点火タイミング制御部25が点火タイミング制御処理を実行して点火タイミングを遅角側に変更する。ここで、設定回転数R1は、点火タイミング制御部により点火タイミングが通常の点火タイミング領域よりも遅い点火タイミングに変更されたときにエンジンストールすることなく、且つ、燃焼状態がリーンバーンからストイキ燃焼に変更されたときにエンジン回転数が高くなり過ぎて異常振動が発生しないように、予め定められた回転数に設定される。
【0095】
これによれば、エンジン回転数Rを上記のような設定回転数R1に設定しておくことにより、その後に点火タイミングを遅らせるように点火タイミングが制御された場合におけるエンジンストールを防止できる。また、燃焼状態がリーンバーンからストイキ燃焼に変更されて燃料比率が高まることに起因してエンジンが吹き上がり、このエンジンの吹き上がりに伴ってエンジン回転数が高くなり過ぎて異常振動が発生することを防止できる。
【0096】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるべきものではない。例えば、上記実施形態においては、圧縮機12の途中にバイパス配管123を接続するように構成したが、
図12に示す変形例のように、圧縮機12の吐出口12bに接続される冷媒吐出配管121と、圧縮機12の吸入口12aに接続される冷媒吸入配管122とをバイパス配管123で接続し、このバイパス配管123に流量制御弁124を介装させてもよい。また、圧縮機としてはスクロール圧縮機以外の圧縮機を用いることができる。また、電動モータにより作動する電動圧縮機を用い、電動モータへの通電量を制御することにより圧縮機から吐出される冷媒の吐出流量を変更するように構成してもよい。さらに、本発明は、ミキサを用いて燃料と空気を混合し、燃料弁モータにより燃料弁の開度を調整するタイプのエンジンに好適に適用されるが、インジェクタを用いたエンジンに本発明を適用してもよい。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、変形可能である。